─ 夏だ、一番!シンジハーレム祭り ─

アスカ編



書いたの.ナーグル










『浮くことまでは教えましたが、これ以上、私にはシンジさんに水泳を教えることは出来ません…。無理です。出来るわけ…ないわ』

 というひたすらに意味深なマユミの言葉にアスカは怪訝な表情をしたが、とりあえず、次にシンジを独占できるのは自分って事がわかれば充分なので、納得したのか何度も頷いた。ただ一応、なんかむかついたのでシンジを二三発殴っておいた。

「浮ければ充分よ」

 それはもう、シンジの顔が引きつる位に良い笑顔でアスカは言った。











 で、予定では1kmほど沖に見える島まで、浮くことしかできないシンジを連れて行くはずだったが、途中でシンジが大暴れをした結果、なし崩し的に誰も邪魔の入らない場所でシンジと二人っきり計画は破綻を迎えた。
 今いる場所は、砂浜から200mほど離れたところにある、岬の砂浜の上だ。それなりに距離はあるし、浜が向いているのは沖だから、マユミ達がいるところからは見えない。
 確かに人気はないが、いつ人が来るかもわからないし正直ベストの位置とは言えない。

「どうして、ただ、浮いてるだけが出来ないのよ」
「あんな波が凄いのに、無理矢理引っ張られて! ただ浮いてるだけなんて僕が、僕に、出来るわけないだろう」

 そうトゲのある口調で言いつつ、シンジは指先に力を込める。

「くぁっ」

 息をつまらせ、首を仰け反らせてアスカは呻く。

「ひ、くぅ…」

 口の端から糸を引くような涎をこぼれ、いやいやと首を振るたびに滴が垂れる。もじもじと手足が勝手に跳ねそうになるのを押さえながら、桜色に染まった吐息を漏らしてアスカは喘いだ。

「はぁううううぅぅぅ」

 サボテンのトゲみたいに敵意を剥き出しにしていたアスカの突然の変わりように、シンジはクスクスと…心の中で笑みを浮かべた。実際に言葉にして、アスカの更なる反発を買ったり話をややこしくしたりはしない。
 その程度の機転を、彼は学んでいるようだ。

「あ、ごめん。痛かった?」

 シンジは揉むのをいったん止め、しなやかなアスカの脹ら脛をすくい上げるように両手で撫でさする。指が触れている以外の場所の毛が逆立ち、ぶるるっ、とアスカの体が震えた。

「い、痛くなんか…ない、わ」
「そう? でも、それにしてはなんか辛そうに見えるんだけど」
「あ、あんたが、あんたのマッサージが、下手くそだから、よ」
「あ、うん。そうだね」
「良いから。マッサージ、続けなさいよ」
「わかったよ。今度は、もうちょっと優しく、丁寧にするから」

 『優しく』『丁寧』

 それが意味することを察して、アスカは声にならない悲鳴を上げた。だが決して、声を漏らしたりはしない。グッと呑み込む。シンジに対してこれ以上ない弱みを見せることになるのだから。
 既にお互いの情けないところ、醜いところを見せ合った間柄であっても。この期に及んでアスカはシンジに弱音を吐くことが出来ないのだ。

「は、ひっ、くぅ。優しく、なんてしなくても、良いってば。と、とにかく、マッサージするだけで、良いって言ってるでしょう…」

 いったん、マッサージが止まったことで、帯びた熱と指先の感触の残滓が信じられないほど感じられる。

「ううん、優しくするってば。まだ痛いんだろ」
「あああ、馬鹿馬鹿馬鹿ぁ。優しくなんて、する必要ないって、言ってるでしょう…。お、お願…くっ。だから、や、優しく、するなって」

 かろうじて、そう、きつく…だが、とろけた声で言うのが精一杯。
 マッサージという名の愛撫に、既に体中が熱を帯び、体の至る所がジンジンと火がついたように疼く。

 暴れるシンジの所為で痙ってしまった足の筋は、既に痛みを感じなければ引きつりもない。回復したと言っていいのだけれど、だが、不思議とその言葉をアスカは口にしない。

 内心では、やめて欲しくないのかも知れない。耐え難いほどの疼きに呻き続ける。体育座りの姿勢を崩すことなく、シンジの前に差し出された足。
 シンジの指先が脹ら脛をもみ、強ばった筋がほぐされていく。

「あっ。はぁ、んふぅ」

 二匹の蜘蛛に襲われている…。私は生け贄。為す術もなく、一方的に蜘蛛に蹂躙される。
 毛のない大きなピンク色の蜘蛛が二匹、足を這い回る。

 夢うつつ。

 足全体が焼けるように熱く、シンジの指先がことさら鮮明に感じ取れる。いや、熱いのはシンジの指で、自分の足は冷え切っているのではないか。熱いのか冷たいのか、それすらもわからない。

「や、めろって、言ってるのに…。もう、シンジいい加減に、しなさいよ」

 そういうアスカだが、食いしばる口元から漏れるのはどこまで弱々しく、か細い喘ぎ声。そして、顎を伝い落ちる粘つく涎だ。高圧的な命令口調とは裏腹に、快楽に惚け、甘え縋る声はシンジの情欲をより一層刺激する。

(どこまでその高圧的な命令が続けられるのか、楽しみだね)

 アスカに見えないように俯いたシンジの顔、その口の端が微妙に吊り上がった。快楽に弱いのに、全く持って意地っ張りなレディだ。だからこそことさら愛おしい。
 こうなったら徹底的に可愛がってあげねば。

 アスカの首が大きく後方に仰け反り、髪がバサリと音を立てて振り乱される。
 体中に汗の滴が浮いたアスカの体に、扇情的にほつれた髪が張り付く。

「ふぁん!」

 シンジの指先はすっかりほぐれた脹ら脛からもっと先、太股の上を撫で回す。

「だ、ダメっ! あ、くぁああっ! って、あんたなにする気なのよっ」

 熱っぽい目をどうにか見開けば、シンジの顔が必要以上に太股に寄せられている。
 何をしようとしているのか、アスカの頭脳はすぐに答えを出せない。

 ちゅっ

 小さな、だが確かな音を立てて唇が押し当てられる。
 ゾクリと体の芯から疼いた。

「はぅっ! し、シンジ」

 膝頭から始まり、なぞるように口元が下がり、太股にぬめりと光る唾液の跡を付けていく。既にマッサージではなくなっているが、もうそれどころではなくなっているのか、アスカは首を左右に振り、豊かなバストがゆさゆさと…彼女の最も嫌う男に媚びを売る安っぽい女のそれのように…右に左に激しく揺れた。

「やめなさいよぉ、あんた、いい加減に…。ん、んふぅぅ。ばか、馬鹿ぁ。く、苦しい…の、よぉ。胸が、さっきから、ああ、動悸が、きついっ」

 啼き声同然のアスカの声にようやくシンジは、顔を上げた。潮の風味付けがされたアスカの太股をたっぷり堪能して実に満足げだ。

「ますます体が硬くなってるよアスカ」
「だ、誰の、せいよ! そもそも、それはもう、マッサージなんかじゃ」

 言いかけた言葉が空気と共にのみこまれる。
 太股を愛撫していたシンジの指先が滑るように動き、はしたなくも大きく広げられていたアスカの股間に押し当てられていた。

「ひっ」

 淫靡な指先と熱に火照ったアスカの急所を隔てるのは、厚さ数ミリにも満たない目にも鮮やかな赤い水着だけだ。つまり、ほとんど何もないに等しい。

「凄く熱を持ってるよ、アスカ」
「だ、ダメダメ、そこは、ああ、こんな所でっ。あ、ああぁぁぁぁぁ」

 ぷっくりとした盛り上がりを愛撫する動きがダイレクトに伝わり、アスカの全身が大袈裟なほどに強ばった。より一層熱を持った秘肉の快楽をほじくり出すように、5本の指によるダンスマカブルで擦りたてる。

「ん、ふあぁぁぁぁぁ――――っ」

 仰け反った喉を奮わせてアスカは絶叫をあげた。
 止めないと、と思う反面、叫べば叫ぶほどにこのまま何もかも委ねてしまいたいという気持ちが強くなる。
 だが、一方でアスカに残っていたかろうじて正気の部分が、それ以上のシンジの狼藉をさせてはいけないと必死になって叫ぶのだった。

「や、やめなさいよ――――っ! ダメって、ダメだって、そこは、これ以上はっ、あ、あああっ!
 うそ、だめ、もう! あああ、イヤよ、そんな!」

 羞恥と高まる肉欲への恐怖で固く閉ざされていたアスカの瞳が、突如見開かれる。
 そしてアスカの股間を弄ぶシンジの指先に、予想外の熱い物が触れた。


「え、あ、アスカ…」

 指先どころか手の平までも濡らす熱い迸りに、さしものシンジも目が点になる。
 見守る間もアスカの水着は濡れて色がより濃く、鮮やかになり、あふれ出たものは砂にこぼれ湿らせる。

「あああ、あ、ああっ。ダメだって、やめろって、もうするなって、言ったのに、ああ、シンジの、所為よ。馬鹿、この大馬鹿野郎ー!」

 何が起こったのか、大体わかってるけどそれを認めた時自分は死ぬんじゃ無かろうか。

 たぶん、殴り殺される。もしくは犬神家の一族状態で。

 手を離すことも出来ず、間抜けというか命知らずな体勢のまま恐る恐る顔を上げると…。
 そこには人間はここまで赤くなるもんなんだなぁ、と思うほどに羞恥と怒りで紅潮したアスカの顔があった。











 細く白い指先が紐をゆるめ、海水で現れた水着をずらしていく。
 一方的な行為にシンジは抵抗も出来ず、濡れた砂浜に仰向けになったまま、自分の巨大ヤスデのごとき分身が露わになるのを見守ることしかできない。

(こうまで一方的だと不安この上ないんだけど…)

 不用意なことをすれば、いや、何か余計なことを言おう物なら、腹の上に馬乗りになったアスカの全体重を込めた鉄拳が鼻っ柱にたたき込まれるだろう。海中に投げ飛ばした直後、笑みの消えた凄惨な貌でアスカが言ったことは、嘘偽りではあるまい。彼女は本気だ。

『よくも、私の恥ずかしい姿を…! よくも、よくもこの私にあんな、あんな破廉恥なことをっ!』

 とりあえず、鳩尾に拳がたたき込まれた。拳が半分ほどめり込む、本気の一撃にシンジの循環機能が停止する。

「ぐっ、はぁっ!」

 一瞬意識が体の外にはじき出された。息がつまり、目の前がかすむ。
 糸の切れた人形のようにその場に膝をつくシンジの耳元に、凄惨な笑みを浮かべたアスカがそっと顔を近づける。海水に濡れてもかき消されない、アスカの匂い…ラベンダーの香りに体が震える。心を落ち着かせる効能があるはずのラベンダーだが、その柔らかみのある香りがかえって恐怖をかき立てる。

『ふ、ふふふ。こんな私のみっともない秘密、誰にも知られてはいけないのよ。たとえそれがあんただったとしてもね』

 だから、と、シンジの頬を両手で撫でながらアスカはニッコリと笑う。その手は柔らかく、力はほとんどはいってないのだが、半ば無理矢理に視線をアスカに固定される。

『あんたを殺しちゃう? そんなわけにはいかないわよね。じゃあどうするかしら。
 そう、私もあんたの恥ずかしい秘密を握ってしまえばいいのよ。あんたが、私の醜態を誰かに話そうと思うことも出来ないくらい恥ずかしい秘密を、ね』
「な、何する気なんだ…っ!?」

 質問は途中で打ち切られ、唐突に唇を奪われる。
 熱くぬめった舌が強引に唇を割り、受け入れ準備の出来てない口腔内部を思う存分に蹂躙する。唇は貝のようにピッタリと密着し、空気を一分子だって逃さない。

 ちゅく、くちゅ、ちゅ…ちゅぷ、くちゅ。

(な、アスカ…。アスカの方から、こんな大胆なキスをしてくるなんて)

 目の前に光が瞬き、当たり前になっていた所為で半ば忘れかけていたディープキスの感触にシンジは酔いしれた。

(ああ、そうだ。キスって、こんなに気持ちが、良い物なんだった…)

 いつかみたいに息をするな、なんて理不尽なことを言われたりはしない。ごくごく自然に、シンジはアスカの舌と自らの舌を絡め、甘い唾液を受け入れた。甘い唾液をお互いに堪能しつつ、柔らかくもしなやかな舌の感触に体が震える。なにより、これから始まるだろう魅惑的な一時を思うと、どうにも興奮が止まらない。

(うくっ、アスカ…。本当に、キスが上手になってるんだから…。没頭しそうだよ)

 どんな気持ちで、アスカはキスをしているんだろう。と痛いほど胸の鼓動を激しくさせたシンジは思うが、頬を赤く染めたアスカはじっと目を閉じていた。

『ん、ふっ。ふぅ…んんっ、んちゅ、うふ』
「ちゅ…ん、ん、んんっ。ちゅく、ふ…………ちゅ」

 たっぷり1分ほどシンジを味わってから、ゆっくりとアスカは唇を離す。粘つく涎が糸を引き、ぬらりと輝いた。

『これからあんたをレイプするのよ』
「ふーん、そうなんだ、これから僕をレイプ…って、ええっ!?」

 アスカが何を言っているのか、僕にはわからないよ。

 そんな顔をしてシンジは数回瞬きをした。言葉の意味がわからないわけではない。口を塞ぐための弱みを握る、と言う意味で言えばアスカの言っていることにおかしいところはない。手段はともかくとして。

『そうよ。さっきの事が噂であっても私の耳に入ったら、逆にあんたがレイプされたって話を周囲にばらまいてやるから。さすがにレイプされた、なんて誰にも相談できないでしょう?』

 確かにそうだね。でも、それは違うんじゃないか、って顔をシンジはする。
 普通、それは女性が男性に対して行うことではないのではないだろうか?
 いや、しかし、アスカが言うと妙にしっくりとなじむ気が…。

『ふふふ、暴れちゃダメよ…。抵抗したら、酷いわよ』

 ゾクゾクするほどに蠱惑的な声と口調なのだが、アスカの目は全く笑っておらず、本気であることが見て取れた。中学生の時から、ずっと、ずっと調教されてきたシンジの心の一部は、アスカのこの目には逆らえない。蛇を目の前にしたカエルのように体が硬直し、砂浜に押し倒されるがままだ。

『お互い初めてじゃないんだし…。大人しくしてれば、たっぷり可愛がって上げるわ』

 まだ柔らかなのに凶悪なサイズのシンジの一物をゆっくりとさすりながら、ペロリとアスカは口元を舐めた。

「ふん、無理矢理触られてるのにおっきくなるんだ…。どうしようもない変態ね」

 かなり無茶なことを言う。シンジは思う。

「ふくっ、だ、だって…アスカの、指、が」
「指が何よ? あんたこれからレイプされるのよ! それなのに、こんな反応して…。
 いやらしい! このM! 変態! 男マユミ!
 こうやって、一方的にいじめられるのが嬉しいんでしょ! レイプされるのが嬉しくて仕方ないんでしょ!」
「う、あああぁぁぁっ。は、激しい! き、きついよ、アスカ」

 アスカの手は熱く、速く、そして柔らかい。指は尿道を刺激し、手の平が亀頭部分をひっぱたくように擦りあげる。ツボを心得た少しきつめのしごきに、シンジの肉棒はたちまちの内に膨れあがっていく。

「ふん、大きさだけは一人前なんだから」
「そんな酷いこと言わないでよ…」
「口答えするな!」
「ご、ごめん」

 圧迫をはじき飛ばしそうな勢いにアスカは少々恐れをなすが、これから犯されるというのに、反応してしまうシンジの淫乱な体に苦笑してしまう。

「口ではそんなこと言ってるけど、こっちはこんなに喜んでる。淫乱男!」
「やめて、やめてよアスカ」

 言ってる内に興奮したのか、息を荒げてアスカはますますピッチをあげていく。
 シンジもシンジで、犬の服従のポーズよろしく砂浜の上に仰向けに寝そべったまま、されるがままでただ啜り泣くような声を上げる。いやいやと首を振って身悶えするが、太股の上にどっかりと腰を下ろしたアスカが動こうとする様子はない。デカ尻め…なんてシンジは思ったかも知れないけどそんなことはおくびにも出さない。

「ふん。準備できたみたいね」

 隆々とそそり立つ肉棒にアスカはにんまりと笑う。キノコよろしく先端で大きくふくらんだ亀頭はテカテカと健康的な色にてかる。手の平についた先走りのカウパー氏腺液を舐めとりながら、アスカはにんまりと笑う。そしてシンジに跨ったまま膝立ちになる。

「ふふ、ほら見なさいよ。あんたのペニスを、これから私のヴァギナがのみこむのよ」

 シンジに見せつけるように腰を揺らし、一昔前のアイドルのように胸を強調するために腕を組む。
 アスカの水着は飾りのない赤一色のシンプルなセパレートタイプだ。だが、海水浴場で出来る限界に挑んだかのような布地面積の少なさと、油断すればこぼれるのではないと余計な心配をしそうな切れ上がったハイレグタイプだ。プラの肩ひもはあくまでも細く、肩と胸の間に隙間が出来るアスカの豊満な胸との対比は危険極まりない。
 僕以外の誰かが見るなんて…と、当のシンジに軽い嫉妬を覚えさせたアスカの姿だが、こうして間近で見るとその凶悪さはいかばかりか。
 瞬きも出来ずに上下に視線を彷徨わせるシンジをよそに、アスカはゆっくりと右手を腰に当てる。
 蝶々結びにされた紐の端をつまみ、そっと引っ張る。海水を吸って固くなっているが、じりじりとだが確実に紐はゆるめられていく。

 プツリ

 軽い音を立てて結び目がほどけ、拘束を除去された水着と、その下のサポーターが共にずらされる。

「どう?」

 顔を赤くしながら、アスカはほんの少し誇らしげに尋ねた。
 この日のためにと、シェイプアップを行い整えた肢体。
 腹部には無駄な脂肪は微塵もなく、かといってボディビルダーのように限界まで削いでいるわけではない。スポーツ選手のしなやかさと強靱さを持ちつつ、女性らしさを充分に残している。

『ウェストの細さや胸のカップサイズなどで箇々に劣るところがあったとしても、総合してみれば私が一番綺麗でしょう? そもそも、スタイルの一部だけを比べるのだとしても、この私が誰かに負けることなんてあり得ないのよ!
 大体何よ、マユミにファーストにマナは! 特にファースト!
 な〜んにもしてないくせに、なんであのスタイルを維持できるのよ!? ええ、本当はわかってるわよ。私のエネルギー変換効率が悪すぎるのが問題だってことは。ああ、まったくもう、アイスやクレープをぱくぱく食べてあのスタイルを維持できるなんて、あいつら羨ましすぎるわ…』

 なんか余計なことも混じっているがそう無言に主張していた。

「あ、ああ…。アスカ、綺麗だよ」
「ば、馬鹿っ。これからレイプされるって男がなに真面目な顔して…」

 真面目なシンジの返答に、顔を見ていられなくて思わず顔を背けてしまう。
 その間もシンジの視線は股間に集中しているが、なにもおかしいところはないだろうか、と今頃になってアスカは余計な心配をしてしまう。昨晩、ハイレグの水着を着るに当たって少々濃いめに生えている股間の茂みを綺麗に整えたのだが、シンジにはどう写っているのだろう。

(うっ、やだ、痺れてきちゃう…。し、シンジの視線が、目が、じっと私のヴァギナを見てる、見つめてる…。ああ、やだぁ。体が、熱くなってる)

 考えてみれば、既に幾度も肌身を重ねてきた2人だが、こうまでまじまじとシンジに見られたことはなかった。文字通り、秘所だったのだ。今更ながらに羞恥の炎がアスカの心を焼く。
 羞恥に閉ざしていた瞼を恐る恐る開くと、じっと見上げるシンジの視線と目があった。
 見つめるシンジの鳩尾がわずかに痛む。

「な、なによ」
「いや、その。
 えーと、あのさ。アスカのって、金色に光って、綺麗だなぁ…って思って」
「へ? 金色? なにが金色って…こ、この馬鹿ぁっ!」
「ぐぁっ!」

 照れ隠しというより熊殺しの一撃を鼻っ柱にたたき込んでから、アスカは肉棒にそっと手を添えた。もうこの雰囲気を保ったままでいるのは不可能に近い。こうなればさっさとシンジをいただいてしまおう。そう決めるとアスカの行動は速い。

(う、なんか凄い元気になってるわ…)

 ドクドクと肌に伝わる脈にアスカは軽く息を呑む。苦痛に悶える頭部と異なり、シンジの下半身はますます元気になっているようだ。それとも軽く命の危険を感じて遺伝子維持の本能が強まったのかもしれない。
 いずれにしても、これからシンジをレイプするのに問題はない。

「ん…ふぅ」

 少し腰を落とし、舌の唇でシンジの亀頭に口づけをする。最前のシンジの愛撫と見られたことで興奮したアスカの体もまた、シンジ同様受け入れる準備は整っていた。

「あ、あああぁぁぁぁ。し、シンジ…。私のヴァギナが、はぁぁ。あ、あんたの、亀頭を呑み込ん…で、いってるわよ」

 充血し、通常時の数倍にふくらんだラヴィアは宇宙怪獣の口よろしく大きく開いて、同じく宇宙生物のようなシンジの亀頭を呑み込んでいく。愛液に濡れたヴァギナは苦もなく、いや、さすがに顔に似合わぬサイズの最大径部分…亀頭のえらを超えるのに四苦八苦している。

「はうぅ、ひっ、ああ、お、大きい…」

 勿論、受け入れることは出来る。しかし、それは刺激に狂いそうな体を押さえ込んで、敏感な柔肉の奥に強引にくわえ込むと言うことだ。既に刺激の強さに意志に反して体が逃げ腰だというのに、これ以上の快感に襲われることが確実なことを出来るのだろうか。今でさえ我を忘れそうなのに。

「んふぅ、ひぃぃぃ、ひぅぅっ。くっ、は、はふぅぅ」

 中腰になったままでそれ以上腰を下ろすことが出来ない。だが、まだシンジの肉棒は半分はおろか、亀頭の先端部分が僅かに入ったに過ぎないのだ。

(うふぅぅ、お、大きい。大きい…。いままで、こんなの、どうやって、私の、中に…)

「はうぅっ! うっ、ふぅぅん!」

 全身に玉の汗が浮かび、苦しそうにアスカは息を荒げる。さらに腰を沈めてどうにか亀頭部分を全て呑み込むことに成功する。だがそれが彼女に出来る限界のようだ。

 仕方ないなぁ。シンジは内心で歎息する。
 これはこれで楽しいし、普段は決してみることの出来ないアスカの姿を楽しめるが、このままだとお互いもどかしいだけだ。

(うーん、アスカって本当は4人の中で一番臆病なんだろうな。でも注射を怖がる子供じゃないんだから、さ)

 刹那、砂浜に投げ出されていたシンジの両腕一瞬ぼやけた。

「ひゃう、ひぁぁぁぁぁっっ!!」

 アスカの喉から甲高い悲鳴が上がる。かろうじて保たれていた膝立ちの姿勢が、なぜかいきなり崩れてしまったのだ。当然、それ以上下ろすことが出来ないままだったアスカの腰も落ちることになり、シンジの肉棒が半ばまで呑み込まれた。

「ひっ、くひぃぃん! ひぃん、はぐっ、うっ、うううっ。は、激しい…」

 もう力を込めて支えることも出来ないのか、どうにか『ハ』の字だった足が『ヘ』の字に、さらに横に開いていく。

(辛くても、抜けかけた歯はさっさと抜かないと、ね)

「ひっ、ひっ、だめ、ああ、シンジ、ちょっと、待ってよ。待って、待ってって言ってるのよ!」
「僕が入れてるんじゃないんだけど…。そもそもアスカが僕をレイプしてるんじゃなかったっけ?」
「くっ、うう、む、無駄な抵抗するんじゃ、ないわよ。その、まま。大人しく、わ、わた、わたしにっ、犯されちゃい、なさい、よ」

(凄い強がりだ。さすがアスカ…かな)

 ちょっと苦笑しつつスムーズに挿入、いや呑み込まれるようにさりげなく腰をずらすシンジ。
 そのためにズリズリと結合部から愛液をこぼしながら、なおもアスカの腰は下がっていき、

「あ、あぁあはぁぁぁ」

 ぴったりと密着すると同時に、深々とアスカは溜息のように深い息を吐く。

「うあぁ、あうっ、うぐく、うぅぅ〜〜〜〜〜。う、ううぅ…。ほ、ほら。
 しんじ、お、奥まで入ったわよぉ。ど、どんな気分かしら」
「ああ、アスカ…」

 強がりを言いつつガクリとうなだれるアスカに、うっすらと笑顔を向ける余裕のあるシンジだったが、そのじつ彼もまたとろけるような肉の感触におぼれかけている。当初の予想に反してアスカの肉壺はもどかしいまでに優しく包み込んでくる。

「ほ、ほら、動く…わよ。う、動いて欲しく、ないんだったら…。い、今の内よ」
「そんなこと言われても…」
「ちょっと、い、良いの? 動くわよ。わたし、動かないと…ああ、そんな」

(う、ううう。アスカ、今にも泣きそうな顔して、どうしてここまで強気で。それにしても凄い)

 アスカの望むと望まないとに関わらず、ゆるゆるふわふわ、暖かく膣全体で肉棒をしゃぶってくる。

「う、うん、ううん。ふっ、く、はぁぁ」

 ぽたぽたと汗を滴らせながらアスカの体が揺れる。ピッタリと密着していた腰が僅かに、じりじりと胃が痛くなるような速さで持ち上がり、カリ首にごりごりと肉壁をえぐられる快感に耐えきれなくなったのか、倍する速度で腰が下がる。

「ひぃぃっ。し、シンジ。や、やめて欲しいなら、は、はやく、そう言ってぇ…っ」

 ゆっくりとした動きであるが故に、激しい脳が焼け付くような刺激とは比べものにならないが、じっくりと肉棒全体でアスカを感じられる。そしてアスカもまた、内臓が押しのけられるような肉棒の圧力を嫌でも全身で感じなければならない。

(ふぅ、防御力皆無なのに頑張る…な、アスカ)

 そのくせ体力は限界まであるから、全てが快心の一撃を延々受けるわけなのだが。
 自分が何をしているのか、どうしてこういう事になったのかアスカ自身ほとんどわからなくなっているだろうに。それなのにここまで頑張れる。

(意地っ張り、も、ここまで、くれば、尊敬に値する。くぅぅぅ、なんて絶妙な締め付けなんだ)

 気持ちが良くて腰が抜けそうだ。だが、この程度の快感では射精するまでまだ何時間とかかる。
 このまま、一方的に嬲られてやるのも一興か。そう思ったシンジだったが、ここまでもどかしい責めを受け続けるとその覚悟も鈍る。
 若い彼にはこんなゆっくりとしたセックスは物足りなく感じる。快感に弱いアスカは既にマラソンを走り終えた直後のようにへたばり、肩で息をして喘いでいる。腰はすでに上下に動くことをやめ、フラフラと風に揺れる柳のように震えている。

「ううう、んうぅ…。シンジぃ…。ううぅ、くぅぅん」

 肩に力なく乗せられたアスカの腕は頼り無く震え、俯いた顔からは汗がぽたぽたシンジの胸に滴る。まるで縋り付いてきているみたいだ。こんなにもアスカはか弱かったか。普段見せる物とは違う姿にシンジの心の奥底に封じていたはずの獣性がムクムクと顔をもたげる。

「アスカ…。ううおおぁ。あ、アスカ」

 がむしゃらに、乱暴に動いて、貪るようにアスカを味わいたい。
 あとでアスカは臍を曲げるかも知れないけれど…。

「アスカ、僕、もう我慢できないよ…。もどかしすぎる、よ」
「……………………え、ええ? ちょ、ちょっと待って。あ、はぁぁん」

 恋人のとまどった声を黙殺すると、シンジは手を前に伸ばした。
 目標は目の前でぶるんぶるんと激しく揺れる、大きな双乳だ。薄布の上からぐっと掴むと、アスカの目が大きく見開かれた。手に余るサイズに柔らかな肉の感触にシンジは言葉を失う。

「はぅ、お、おうぅ」

 反射的に、アスカはだらしなく開いた口を手で押さえる。だが、そうしても喉の奥から漏れる呻き声とこぼれ落ちた唾液は隠せない。

「はぅぅぅ。や、やめてぇ…」

 丁度乳首の所が手の平の中心に来るようにして、執拗に、手が痛くなるまで揉みしだく。白くどこまでも柔らかい乳房をもぎ取ってやりたくなるような凶暴な気持ち。

「やめ、やめなさい、よ。シンジ、シンジぃ…。ああ、わたし、こんなの、た、耐えられ…」
「こ、こっちが、さっきから」
「ひ、ひぃぃん」

 動かなくなったアスカを促すように、軽く突き上げると、落とし戸を持ち上げるような抵抗と共に鈍痛じみた快楽にシンジの背骨が震える。そしてアスカの首が大きく後ろに仰け反った。白い首筋に浮かぶ汗は既に戦慄のエロチシズムだ。

「ひ、ひ、うぅぅ。ゆ、許し、て」
「な、なにを許せって、言うんだよ。アスカが、僕を、レイプしてるんだろ!」
「ううううっ。あ、ああ、無理、無理よ。やっぱり、私には無理よぉ。あんただって、本当は、もう、わかってるくせに。もう、もう、意地悪しないで」

 だがアスカの懇願をシンジが聞くことはない。それどころか、凌辱の手を休めることなく、よりいっそうの激しさでもってアスカを責めたてる。

 プリン

「はうん」

 そんな擬音が聞こえてきそうな勢いでアスカの胸がまろびでる。どこまでも小生意気なアスカの胸は、かるく布地をめくりあげただけで内側から弾けてしまう。
 紡錘形の乳房はふわふわと柔らかいが、その稜線を維持するだけの弾力と張りを有しており、食い込むシンジの指先を跳ね返す。

「うう、ふぅ、くぅ。そ、そんな直にだなんて…。や、やめ、ちょっと」

 くねくねと体を震わせるアスカ。執拗に感触を求めてくるシンジの指使いに気が狂いそうだ。

「あん! ちょっと、ニプレスはがさないでよ。こんなところじゃ、換えが無いのに…」
「五月蠅い!」
「は、はぁぁ、あとで、覚えてなさいよ…」

 ニプレスをはがされた途端、窮屈から解放された乳首がプクリと立ち上がる。少々大きめの乳輪の中心で、これまた大きめの乳首がツンと屹立し、シンジの指先に転がされ、抓るようにつままれてヒクヒクと震え上がる。

「あ、うぅ――――っ! き、きつすぎるぅ」
「でも、アスカの乳首はいじめられることに喜んでるみたいだけど」
「そ、そんなことっ! ああぁ――――っ!?」

 ぐい、とシンジがきつめに捻りあげるとアスカの否定の言葉は中断した。

「ひいぃぃ! い、痛いっ! 痛い、シンジっ!」
「ごめんごめん。なんか千切れそうなくらいに柔らかくて、さ。なんだかグミを噛んでるみたいだよ」
「千切…っ、ちょ、ダメ!」
「勿論、わかってる。しないよ、そんなこと。ああ、それにしても大きくて柔らかくて」
「う、うううぅ?」

 にやりと口元を歪めてシンジは改めてどっしりとした乳房を手の平全体で愛撫する。

「絞ったらミルクが出てきそうだよ」

 『でてこないかな〜』と呟きながらシンジは根本の所から乳首をしごいてみる。

「あ、あんた馬鹿ぁ。で、出るわけ無いでしょ…」
「なんでだよ?」
「そ、それは、わ、私が、妊娠してないからで…って、あ、あんたまさか!?」

 狼狽しつつアスカが見下ろしたシンジの顔は、彼の父親そっくりな、擬音が聞こえてきそうなニヤリ笑いを浮かべていた。

「妊娠したら、出るようになるんだよね」
「ちょっと、ダメ! いや! あ、その、シンジのベビーが欲しくないわけじゃないけど、その、まだ私たちには、早すぎる、って、あ、ああああぁぁぁぁっ!!」

 アスカの体が持ち上がるくらい勢いよくアスカの体を突き上げる。未だ硬度を失わぬ肉棒がアスカのトロトロにとろけた膣壁をかきまわし、結合部からぶしゅぶしゅと淫靡な音を立てて2人の愛液が溢れだした。

「たっぷり、膣内(なか)で! 出してあげるよ!」
「ふぁぁぁぁっ! あっ、ああぁぁ〜〜〜〜っ! ば、だめっ!」

 カリ首が顔を出す寸前になるまで抜き出され、勢いよく挿入される。空気が混じり泡状になった愛液が潤滑油となって出し入れはとてもスムーズだ。

「くぁぁっ、あ、あはぁぁぁ! はふ、ふぅぅぅん! 痺れ、るっ!
 あああ、馬鹿! シンジの、馬鹿馬鹿ぁ!」
「百回ぐらい出したら妊娠するかな」
「や、やめてぇ…」

 涙を流すまでにとろけた表情でアスカは喘ぐ。
 もう恥も外聞もない。意地を張る余裕もない。
 快楽とシンジに対する複雑怪奇な感情…愛しさだけが全てだった。

「うううぅぅぅっ。ひ、ひぃぃぃっ! ひゃ、ら、めぇ…」

 形が変わるほどに胸を揉まれ、乳首を引っ張られ、しゃぶられ、軽く噛まて丹念に弄ばれる。
 濡れそぼった茂みの下でぷっくりと膨れあがり、真珠の艶やかさで自己主張するクリトリスが指先で擦り立てられる。
 肉体反射で逃げようと跳ね上がる腰ががっちりと左右から押さえられ、執拗に突き上げられた。トランポリンか何かの上で跳ねてるみたいにアスカの体は揺れ動き、前のめりに倒れたかと思えば、折れそうなほどに背筋を仰け反らせて長く尾を引く哀切の啼き声をあげる。

「ひぃ、ひぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

 唐突にビクリとアスカの体が震えた。いや、わずかに体が縮んでしまったみたいに胎内の肉棒の圧力が大きく感じられる。

「は、はひっ? ひっ、あ、ああ、く、くるっ」

 ビクビク、ヒクヒクと小鼻をふくらませてアスカは切れ切れにそれだけ言うのが精一杯だ。自分の意志ではどうにも出来ない感覚で全身が満たされ、見開かれた青い瞳は眩いまでに白い光で満たされていく。

(ひあああ、ああ、い、いっちゃう! で、でも、このままだと!)

 先程の不穏なシンジの発言が、焼け付きそうな脳裏で嫌になるほど強く大きく響き渡る。

『妊娠したら母乳が…』

(ダメ! 今日は、本当に、あ、危ない日なの!)

 抜かないと! そう思うアスカだったが、意識に反してアスカの手はシンジの肩をきつく掴み、長くたおやかな足は太股を奮わせてシンジの体を挟み込む。

「し、シンジっ! シンジ、シンジぃ!」
「おおおおおおおっ! アスカ、アスカっ! で、出る!」
「あああああっ! ああ、ダメ、ダメぇ! 今日は、中は、ダメぇ!」

 びく、ドクン、ドクン…

 アスカの懇願は叶えられなかった。

「あう、あうぅあぁぁぁぁ。中に、中にぃ…」

 胎内にじわりと広がる熱い迸りに、アスカはかろうじてそう言うだけで精一杯だった。腰がとろけるような快楽で一杯で、細胞全てが幸せで満たされていく。そしてシンジの精液が、体の中に染み渡っていく。

(ああ、もう、本当に…。こんなに、気持ちが良いなんて、は、初めて)

 意識が闇に包まれる寸前、唇をシンジの物と重ねる。それだけでまたじわりと股間が濡れた。最後の一滴まで絞り出すように赤銅色のシンジの肉棒を締め付ける。もう、後先なんて考えていられなかった。ただ、とにかくシンジが欲しかった。

「こぼさない、一滴だって、溢さないんだから! ああ、ああぁぁぁ、シンジ! シンジぃ!
 良い! 良い! これなら、妊娠したって、構わない!」
「って、え、ええっ!? ちょっと、それ、ねぇ本気で!?」

 シンジの言葉にアスカは応えない。
 そのまま彼女の意識は闇に包まれていった。

「く、うぅぅ。うう〜ん、まさか、本当に今日やばい日だったのかな…。外に、出さなかったけど、う、やばいかも。
 でも、吸い込まれる感じが…凄く、やみつきになりそう」

 崩れ落ちたアスカの髪を優しく指で梳りながらシンジは、じっくりとたぁっぷりとアスカの体を堪能していた。ただ、少しだけ引きつった表情が全てを物語っているような感じが、ちょっとした。

「あー、まあ、いっか。その時はその時だ」

 明日は明日の風がふくさ。下手したら他の三人に殺されかねないけど、その時はまあ、いわゆる腹上死で殺されるだろうから別に良い。なんて事を考えつつアスカの体を抱きしめ、その感触に頬をゆるめる。

「とりあえず、もう一回、と」











「さて、と」

 しばし夕日を見つめた後、アスカのほっぺを軽くつねってこれからどうするか考える。

(暗くなる前に浜に戻らないと、色々危ないよなぁ)

 だからといって意識のないアスカを無理矢理起こすのも可哀想だし、起こしたところでちゃんと泳げるか怪しい物だ。

(まったく幸せな顔しちゃって)

 仕方ないな、と小さくシンジは歎息する。
 意識のないアスカを抱えて、シンジ自身が泳いでいくしか方法はあるまい。

「これは貸しにしとくから」

(引っ張って行くにしても、僕は、【5キロしか】泳げないんだからね)

 その時シンジが浮かべた笑みは、父を遙かに超える邪悪な笑みだった。





初出2005/10/16

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