肉体決済 〜レイが全てを売り渡した放課後〜



06.誘惑の代価、悶え啼き雪肌熔かし

―― 誰にも触ってもらえないのなら、自分から誘惑して、見込んだ相手を痴漢に変えてしまえ。

そして綾波レイは、遂にやってのけた。
一人の善良な乗客を、小悪魔的に映るその濡れた赤い瞳と、乱れた隙間から覗き見させるブラウスの胸元、ぴったりと隣掛けてちらつかせた太股に血迷わせ、手を出させたのだ。

スカートの裾に手を掛けたまま、やるせなく繰り返していた息遣い。

(……問題無いの。何も問題なんて、無いの。後は、ここをめくって上げてやれば良い筈。着衣を一枚だけという、それだけの話だもの……)

『……んんっ』と重大な踏ん切りを付けて。
レイは、その下半身がどうなっているのかを覆い隠していたスカートを、そろそろとたくし上げていった。

「……おお、おほっ!」

男が歓声を上げる。
曝け出されたのは、誘惑の女子高生が隠していた、更に淫らな秘密。
血走った目にいきなり飛び込む、少女の秘密の部分が丸見えになってしまっている様子だった。

「お嬢ちゃん……、こいつぁ……」

何者かの手が引き下ろしたと思しき、太股半ばでくちゃとわだかまるショーツ。
クロッチには、女の子そのものが当たる場所から広がる、濡れ濡れの染みが。

「うう……」

自分の手で晒しものにさせていても、レイ自身が直視できたものではない。
ぴったり足を通しているべき下着が剥がされているおかげで、透き通った肌をした恥丘はもろに露出してしまっているのだ。
日焼けなど生まれてこの方縁の無いだろう控えめな膨らみに、縦一本すっきりと走るだけの姫割れ。そここそが、少女の羞恥の源泉である。
しかも、男が目を皿の様にして凝視する今にだって、ぬらという明らかな快感の徴を染み出させ続けていて。
脚の付け根はまるでお漏らしの様にぬらぬらと、スカートの尻に敷いた方へも伝い垂れている始末。

「っはぁ……ぁ」

レイは耳まで真っ赤になって顔を逸らすが、男の見る目は、恥知らずの好きモノ娘めと、すでに完全に軽蔑するものになっていた。

「こんなに……こんなに、いけないオツユをこぼしちゃって……」

ひくっ、ひくっと。短時間に二度重ねで踏み荒らされた結果の強制開花であっても、桜色の秘唇は可憐に息衝く。
そして、呼び醒まされた官能に内側から、待ち受ける筈の異性との行為の準備を進めているのである。
胸の鼓動は不思議に思うほどドキドキと高鳴る一方。
息苦しく、喉が乾く。

「……ッは、は、は、はぁ……」
「ああ、ああ、分かったとも。オジサンを誘っているんだね?」

男は、呆れながらも喜色を満面にしていく。
この、まだあどけない顔付きの少女のそこは、既に何者かの痴漢行為に荒らされてしまっていた。
だがところがこの子ときたら、悪戯されたのを悦んで、嬉しい嬉しい、もっともっとと愛液を流しておねだりさえしているのだ。

―― この、俺に……!!

大人として歳相応に備えていた筈の理性も良識も、一瞬にして蒸発した。
後ろめたさももう無く、ただ、有り得ない幸運が舞い込んだのだと快哉を叫んだ。

「なんて悪い子なんだろうね、君は!」
「……ァ、あああーっ!」

後は俄然のエキサイト。
男は、淫乱美少女の脚の付け根へ―― もはや躊躇う必要など欠片も認められぬご馳走へ、わきわきと手を突っ込ませた。

「あっ、あ、あっ! ああっ、あっ、あっ!」
「凄い、凄いじゃないか! こんなっ、ツルツルで―― まだお毛々も生えてないじゃないか」

無毛の秘部をさわと触り上げ、例えようの無い柔らかさを持った果肉を割りほぐしていく興奮は、このうだつの上がらぬサラリーマン男には未曾有のものだ。
処女の敏感なスリットを乱暴なダイレクトタッチに見舞われて、レイは恥ずかしくてならないショックと、その感触そのものに悲鳴を上げる。

「こんな若い子のオマ×コなんて!」

形を、手触りを、確かめさせてくれよ、早く、早く……! そう、手付きそのものが叫ばんばかりの勢い。
楚々と開示された未通の性器に、男は指を殺到させたと同時にいきなり真芯のぬかるみをこじ拡いた。
ひぃっと、赤い涙目が睫毛を揺らす。

(ああっ、だめ! やめて……!)

耐えられず、今更にぎゅっと収縮する両脚。
力一杯に乙女としての防御を取ろうとするも、手遅れだ。
暴れた肩を素早く抱きかかえ、男がレイを逃さない。
くちくち、くちくちと鳴らされる蜜まみれの音は激しくなるばかり。

「はっ、あっ、あぁぁ……あ!」

拒む筈の太股が万力のように手の動きを締め付けても、はらりととり落とされたスカートの下、蜘蛛の動きが更に潜り込もうというスペースは確保済みなのだから。
レイの無垢のクレヴァスには、三角に堅く遮蔽された隙間の内で、蠢く掌がべたりと張り付いている。
指先を器用に使われ、ぐにと周囲の薄土手ごと変形させられて、『チュッ、ニチュッ、ニチ―― 』と、桜色の粘膜が直に敏感に泣かされてしまっている。

「だっ、だめっ。ダメ……っ、ッ」

いやいやと首を振るレイはこの瞬間、ただの少女だった。
シンジと過ごした想い出を除けば、人前ではじめて見せてしまった涙。
それと同じに、かつて無いほど女の危機が切迫した今、冷たい人形だった彼女の心は仮面も何も無い素顔を浮かび上がらせて、ただ震え上がっていたのである。

しかし、予めのケンスケに準備付けられていた性感の経路は、容易く官能電流を流させる。

「あう、う、……うっ」

気配りのまるで足りない指責めでも、まっさらの姫ヒダを突付き、なぞられ、秘口からこんこんという愛液の泉に潜られると、どうして良いか分からず喘いでしまう。

「だめなの……、ッあああっ、ゆ、許して」
「何を言ってるんだい、君から誘っておいて。哀れっぽい声を出してみせたって、オジサン騙されないぞ」

か細く震えて、ようよう絞り出す寛恕の願い。
それは今まで誰もレイから聞いたことの無かった、等身大の悲鳴であったのだが、聞き遂げられる事は無かった。

―― 当たり前だ。
綾波レイのような神秘的なアルビノ美少女に、容貌と相反するいやらしさで誘惑されてしまったら。
現役女子高生の制服を意味深に乱し着た姿で、スカートの下の瑞々しい太股に誘われてしまったら。
止められる、わけが無い。

(今から引き返せる男なんて、いないんだよ、綾波)

離れた席に背を向けつつも、盗撮カメラ越しの哀れなレイにせせら哂うケンスケだった。
上手に誘えたんじゃないか、喜べよと。
なにしろ彼はたった今、振り付けの指導をしてやったばかりの素人少女が、スカートを捲ってみたそのシーン、実に完璧にポルノ女優をやっていたことにニヤニヤと感心していたのである。

(たっぷりとお手本を見せてやったもんな。さすが優等生の綾波レイさんだよ、しっかりトレースしてやんの)

無意識であったろうが、スカートをゆっくりたくし上げる焦らし方と、そして揃えて僅かに股を開く、飢えた視線を吸い寄せる先でまた煽る娼婦の技。
本職がアダルトビデオでしてみせたり、ケンスケが手取り仕込んだそれを録画されてしまっていた先輩の彼女たちか ら、「手」として仕える日々に学び取っていたのだろう。

(そういや、手コキもあっという間に上手くなったもんなぁ……)

それで後は表情さえああも無機質にではなく、今して見せているようなそそる泣き顔だったなら、もっと気持ち良く顔射を浴びせてやれてたのにと。
反芻とそして、録画が続くモニタに展開されるフィンガーレイプショウが、ケンスケの股間をも滾らせていた。

誘惑した淫乱美少女と、おっかなびっくりに応じた痴漢中年。
今や立場は逆と変わっている。
斜めに身を伸ばし、幾らかでも逃げ離れたいという少女の小柄を、男のスーツ姿が半ば圧し掛りに背もたれへ押し付ける。
逃すものかと、スカートの下に差し入れられた腕は、肘まで大きく使ったまさぐり様。

(ああっ、指が……指がわたしの中に、入ってくるの―― !)

自分の中にじりじりと沈もうとしている他人の一部に、そして本当に怯えているのにも関わらず、込み上げてしまう熱っぽい悶えに、レイは為す術も無く追い詰められていた。

「んっ、んんぅ……ん!」

声がいやらしく―― “あの人たちと同じに”、喘いでしまう。
だけど、抑えられない。

「だめ、離して……はなし、て……ぁ、あああ!」

抗う力の入らない下肢を割り開かれると、啼き人形と化した麗少女は、知らず卑猥なM字開脚のポーズを取っていた。
この姿勢もやはり、いつかレイが立ち会うのを強いられたケンスケの行いの中で演じられていたもの。
さわさわとブラウスの胸を撫ぜられ、華奢な下半身を剥き出しで玩ばれている中3の女の子は、今襲われている自分のことと、今日までに襲われていた“彼女たち”の記憶が、千々の脳裏であやふやになりだしているのかもしれない。
自分でも気付かないままに、決して彼女が自分からは行おうと思う筈のない、娼婦の媚態を見せはじめているのだ。

「はぁ―― ンッ、んんーっっ!」

恥ずかしい喘ぎが、レイの耳元に響き続いている。

「あふっ、ああうふっ、ふぅぁあああーっ」

胸をねっちり揉み解されている時に出てしまう、荒い息遣いだろうか。
不意に敏感な肉芽をくじり上げられた時に上げてしまったような、嬌声だろうか。
粘っこい液体で光る陰部を、引っ切り無しに掻き回されて上げさせられてしまう、叫びだろうか。
まるでまたいつものように、耳元で少年が解説し続けているようだ。

『見ろよ、あの女。体付きからすると綾波なんかと同じぐらいの歳の癖に、もう一人前の大人みたいな男の誘い方知ってるんだぜ?』

さすが本場アメリカもんのビデオだぜと、何がそんなに嬉しいのかやたらとにやついていた―― その時の映像の記憶が、どうしてあのアスカの姿と重なったイメージで浮かぶのだろう。
きっとそれは、ビデオの女優とやらが、決して顔を出さない構図で淫らな下半身ダンスを披露していた彼女が、友人の髪と同じ色の恥毛を映していたから?
三脚使用と思しき固定されたアングルのカメラ側から、やけに念入りにモザイクの掛かった男が進み出て女を貫く。
ずぷりとこちらにも聞こえてきそうな荒々しい挿入を、歓喜を表すように足を巻きつけて迎えていた彼女。
その彼女のことを何故か繰り返しよく思い出した、そのシーンの中のポーズだ。
少女の下半身が、記憶をなぞるように勝手に動く。
男の手が離れても、その浅ましい姿勢は解かれない。

「お嬢、ちゃぁ〜ん?」

なんだ、やっぱり分かってるんじゃない。こんなことも慣れてるのかな、と。
Mのアルファベットの下辺には、餅のようなすべすべとした脚線と、子供の肉付きを残した臀たぶが一つのカーブにまとめられいてて、つるりと男に膝裏から一撫で下ろされる。

「はう!」

洩らされ続けている悩ましい旋律が跳ね上がれば、芋虫似の中指が、揃えて喘いだレイの下の唇に咥えよと突き付けるのである。

「いや、いやぁぁ……」

とろり。縁を赤く昂ぶる幼裂から、淫湿なくすぐりに連られ流れ出してしまう熱いラブジュース。
甘露はミルク色の尻たぶ双つが並んだあわいに伝って、シートの染みを濃くした。
……無理だわ、太いもの、そんな入れたこともないの。
混濁した脳裏でまとまりもなく乱れる悲鳴とは裏腹に、だが秘唇は指先でなぞられて可愛がられるごとに、珊瑚色の内側を覗かせ、男の興奮に奉仕する従順さを示す。
ねっとりとした液の止まらぬ様のそこは、男の指戯に屈服してしまっているも同然なのだった。

「あうっ、あ、あああ!」

シートの先端にまで引き上げられた黒いソックスの足首が、じたとシート生地を擦りながらローファーをのたうたせている。
カモシカのような太股が開脚ポーズにがくがくと揺れ震えて汗を浮かばせているのも、そう。

「敏感なんだねぇ、お嬢ちゃん。可愛いオマ×コがヒクヒク、ヒクヒクしてるよ」
「だめっ、あああ! 入ってくる……! い、いや。入れないで! それ以上は――
「おお、なんてキツい……」
「あーっ」

背もたれにばさばさとブループラチナを振り乱して暴れている内に、レイの開ききった股の間は、どこの誰とも知れぬ男の指を咥えてしまっていた事実。

「はぁあ、あ、あぁ……だめ、動かしては、だめ……ぇ、えぁあああ!」

つぷりと秘門に入り込んでしまっているのは、関節一つ分程度ではあるが、自身の女に異物を挿入した経験など無いレイにとっては、目を『ヒッ』と見開くほどショックの体験に違いはない。
一刻も早く私から出て行ってと泣き出したいのに、それでも喉は艶めいた喘ぎばかり。
指の中ほどまで貫かれた入口から、じりじり奥を窺われる始終、大切な処女の閂さえも緩みがちに。
だらしなく甘い匂いの涎を垂らしているのだった。

「お嬢ちゃん……、えへへ、どうだいよ、お嬢ちゃん? オジサンの指の味は?」
「ああうっ、はぁぁううう」

綾波レイともあろう強い女の子が、指先一つ、淫らがましく花びらに押し入られただけで悩乱しきっている。
まだ男の侵略を受けていない神秘の聖域を、隅々まで好きにさせているのである。
男ももう尻を浮かし、身を乗り出し、この淫乱天使との一時に没頭するのみでも無理は無い。
ラッシュに備え車両の半分を占めるような長椅子も、たった二人で行き過ぎた痴漢遊戯に耽っていれば、丁度ベッドと同じ。
スプリングはまるっきり効いていないが、横たえられた美少女は下校途中そのままの制服を大きく捲り上げられて、今にも裸の下半身に圧し掛かられそうな勢いだ。
そう、隠し撮りを継続するケンスケが意図したとおりの絵でもって、痴漢の彼を喜ばせているのだった。

「しかし……」

演出、脚本のケンスケは、期待以上の映像が撮影できている満足とはまた別に唸り声を上げる。
展開が早過ぎる、どうしたものかと。

(思ったより随分速攻で堕ちちゃってるじゃんかよ、綾波さんよう……)

同性の友人すら少なく、まして男などは、今は街を離れたシンジくらいしか近寄らせるのを見たことが無い。
いっそ病的なほどに透けた肌と、こちらをどこまでも見通す紅玉の瞳。ミステリアスな美貌。
制服で包んだ下には、横流しにする下着写真や際どいパンチラショットに群がる男子生徒たちがだらしくなく鼻の下を長くさせるに充分な、商品価値の高い身体つきも育っている。
それこそが壱中の、高嶺の花の中の花、綾波レイだ。
身持ちが堅いどころでなく、交際を申し込む生徒にはただにべもない無言がブリザードのように弾くばかり。
不埒な輩にはネルフ仕込の細腕が、鋼の肘鉄をくれて寄越す。
“おっかないオンナ”だとの評判は、ケンスケこそが手強いと思い知らされている通り。

『さすが綾波、ここまで来て強情なっつーか、なかなか隙を見せてくれないか……』

契約で縛り「手」を奪い、口実にして何をさせてきたか?
校内盗撮の片棒を担がせ、思った通りの世間知らずだったレイへの教育の意味も含めて、見知らぬ女子生徒達や良く見知った友人たちの淫らな姿を網膜に焼き付けさせてやった。
俺の「手」なんだからと、男の肉棒など触ったことも無かったろう、すべらかな手でしごかせて。
ほっそりと白い指の間にベトベトと絡むよう、思い切り放った。
時にはその、そこまでさせられて尚『どうということは無いもの』とでも言いたげなポーカーフェイスにまで飛び散らした。
勿論、撮影もしている。
そうやってもう、綾波レイは相田ケンスケの共犯者。
それで足りなければ、男の股座に手を突っ込んで白濁射精へ奉仕している姿なども、バラすぞと言われれば気の弱い娘なら自殺モノだろう。
これだけ握られてしまったのなら、後は脅迫されてさめざめ泣くだけ一方の、転落コースまっしぐら。
それが相場じゃないのかねと。普通は―― と。
ケンスケが指を折り折り数える他の娘らの場合と照らしても、攻略の道程は険しかった。
綾波レイは未だに強情で、愛想も無しの仏頂面。屈する様子なんか、見せちゃいなかったじゃないのさと。

(オッパイやお尻を触ってやって文句が言えないとこまで持ち込むのに、結構苦労したんだがねぇ)

目の前で展開されているレイの窮まり様は、痴漢の被害者だなんてヌルい話どころではない。

「……っ、くんっ、ンン―― ッッ!」

縁も所縁もなく、ただ同じ車両に乗り合わせただけの二人が、最も仲睦まじい間柄同士さながら愛の交歓絵図を繰り広げる勢い。
即席のベッドに成り果てつつある長椅子で、まだ中学生の幼腰を『あっ、あっ』とのたうたせているのは、やっとで声を抑えようとするばかりが精一杯そうなレイ。
万年凍土の溶け出した瞳は半ば虚ろで、もはや圧し掛かった男から身を守る踏ん張りも効かず、両手はただ、だらしなく涎が流れそうな口元を押えることに必死になっているだけだ。
それでも、中年男が座った上体を横に大きく傾げさせて隣席に貪る美少女が、未通の膣襞を淫汁塗れにして洩らす素直な媚声は、二人の席のみに収まらない。

(聞こえてしまう……。でも、ダメ。声、止められない……)

力なく膝をしゃくって、開いた足の付け根でかき混ぜる指のピストンに哭く、啼いてしまう。
どうしてと、ままならない自分の体が不思議でならない。そんな苦しさの只中のレイなのだった。

男の目も理性を忘れ去ってしまっている。
ズボンの股間で、このくったりとなった淫乱美少女のあちこちをまさぐろうと身動きする度、下着に擦れるだけの刺激が、中年に溜まり溜まった老廃白濁を噴射させようとする。

「おお、なんて綺麗なオマンコをして。まるでバージンみたいだよ、お嬢ちゃん! こんなにいけない子なのに……!」

いけない子だ、いけない子だね。おしおきをして上げなくちゃならないよと。
うわごとの様に繰り返しながら、中学生のいたいけな造りのスリットをくつろげ、調べまわる。
感動に震えながらブラウスの乳房を握り締め、ツンと硬くなった頂の尖りを確かめた。

「い、痛っ、……あああ」
「感じてるのかい? 乳首ももうビンビンじゃないか」

優美な顎をのけぞらせてわななく媚態に、そんなに良いのかと即席の自信を深めていく様子が、手に取れるようだった。
実際、抵抗を形だけしか見せようとせずに、幻想的な横顔の美少女が一心になって自分の愛撫を受け入れている様は夢のようで、男がおかしくなってしまっても無理は無い。

「違う……違うわ……」
「嘘つき娘め、それじゃオジサンの指でこう―― クリクリしてるのは何なんだい?」
「あっ、あっ、あーっ!」

この頃無性に敏感になったと思う乳首を摘まれては、綾波レイも堪らず悦がりの声を放ってしまう。

「凄いな、なんて娘だ…。うちの嫁だってここまで可愛ければな……」
「だ……めっ、放して……」
「いやいや、放してあげないよ。こうなったら、お嬢ちゃんの可愛いオッパイも検査してあげなくっちゃね。どう考えてもビンカン過ぎるからねぇ」
「……なに? ま、待っ――
「待たない、待てないから。さ、どれどれ……」

たちまちボタンがお腹まで外され、毟る様に胸を肌蹴させられた。
ひやっとした車内冷房に震えた乳房が、素っ気無いブラを押し上げさせられると、動揺するレイは呻くまで二つの膨らみを揉みくちゃにこねられてしまうのだった。

「ううっ、っッツ」

レイの顔は火を噴きそうに。恥ずかしさはもう頂点だ。
こんな開けっぴろげな場所で胸を揉まれている。そう、広い空間と他人たちを意識すると、生まれて初めてのような身の置き所のなさに竦み上がるのである。
ネルフのチルドレン、最初の被験者たる生い立ちは、レイにそんな公開半裸での弄ばれもさして珍しくありもしない、今までにも何度だって―― と、静まれよと叱咤するが、動悸はいよいよ激しく、自分のコントロールがままならなくなっていくのを自覚させられるばかりだった。
可愛いかたちの胸をすっぽり手の内に収められて『ッ、くんンっ』と、聞いた事も無い自分の声に、耳朶はひたすら赤熱し続けた。

(どうして……?)

極端に回転の悪くなった頭で考えようとする。
裸の胸を司令たちに見せたところで、何とも感じはしなかったのにと。
シンジとの事故のような一件でもそう。
ケンスケに取り引きのやり直しを求めて触られた時も、気持ち悪さがあっただけの筈。
―― じゃあ、と。比較に最適かと浮かべかけたたった今の記憶が、不意に湧き上がった抵抗感の元。
連れ込まれたトイレの中で、今までに経験したことのない執拗さで刺激された最前の経験こそが最も近しいと、そう考えの端が形になるかならないかで、レイは思索を投げ捨てていた。

「くっ、う。あっ、あっ、……っあっ」
「可愛い……かわいいオッパイじゃないか。これが中学生の……! は、ははっ。む、娘も……俺の娘も、こんな感じなのか……?」

何故こうも異様な興奮をと思うほど荒い息で覆い被さり掛かり、夢中に触ってきている手。
それはケンスケの手と全く同じだと分かる。
だが一言で言えば、考えたくなかった。思い出したくなかったのである。
己の落ち込んだ異常な心理状態。原因はと分析しようとするのが、レイという少女には半ば習性のようなものであったにも関わらず ゛
それも何故、と。どうして、何故とばかり混乱しつつ、躯はいよいよ熱くなり、声が止まらなくなる。
焦りが募り、未だレイが制御になれない羞恥という感情の地獄に閉じ込められようとする最中、流れたアナウンスがその場の立ち込めた空気を大きくかき混ぜたのだった。
次の停車が間近であると、大音響の様に。
痴漢遊戯に嵌りきった二人の耳にも、さすがに届く。
『ちっ』と男が頭を持ち上げ、迷うように思案顔になった胸の下、レイもどうにかの一息を吐いていた。

「あっ、待て……!」

減速の気配が、慣性の掛かった動き辛さを車内に生む。
レイはその隙を突いた。
鈍った頭と感覚の痺れた手足が、それでも咄嗟に動いてくれたのは、きっと長年の訓練の成果だったろう。
一瞬の虚から立ち戻った腕では既に追うに遅れており、組み敷いた下からするりと抜け出した白い背に、空しく宙を掻いただけだった。
俄かに重さを増した足で床を踏んで、少女が胸も隠さず揺らしたまま、奥へ逃げていく。
隣の車両へ移ろうとするのを、男は逃した魚のあまりの大きさに歯噛みして、しかしただ座視するのみ―― だった。

「……っあ」

ドアに手を掛けた背中が、くらりとブレーキに足を取られよろめく。
その拍子もう一度垣間見えた美しい腕型の双丘に、その揉み心地を取り戻したいと。ふと目をやった手元には、たった今まで男の愛撫に乱れていた美少女の忘れ物が残っていた。
レイの体温をまだ留めて皺くちゃに丸まった、小さな布切れ。無造作なデザインの下穿きにありありと広がる、確かな欲情の証のシミに、ぐびりと喉を。
そして僅かたりとも他人の目に触れさせまいと掴み取って、握り締めて。
帰宅途中の、無害極まりないサラリーマンだった男は、ギラついた目を奥へと戻した。
かつてなく膨らみ上がり、はち切れんばかりになっているいきり立ちを、あの娘の柔らかな感触以外でどうやって鎮められるというのか。
熾り火に近い鈍い昂ぶりに囚われた足取りが、そうしてまたレイを追ったのだった。
次いで車体に掛かった制動が最大値に達し、ホームへの侵入と降車ドアの開放をアナウンスが告げる車内に、どやどやと足音が充満する。

―― しまった!)

慌てて追おうとしたケンスケの前には、あっという間に分厚い人壁が出来上がっていた。

「ちょ、ちょっと……通して下さい! すいまんせっ、通してください!」

立ち上がろうとした際、ズボンの股間の自己主張の大きさにたじろいでしまったのが失敗だったと、いらつくケンスケは苦い顔だ。
このマヌケ……! なんとか隣の車両へ追い掛けようと難渋しつつ、自分を罵る。
したが、隙間も無く詰め込まれた新たな乗客たちに加え、商売道具をぱんぱんに詰めたカバンもが足を引っ張っていた。
人と人の間にことごとく引っ掛かり、気のはやる足をいちいち止めさせるのである。

計算違いだった、この時間、こんなに人は乗って来ない筈だったのに。
ケンスケの舌打ちは、泳ぐように辿り着いたドアの前で一際高く繰り返された。
こちらとあちら、二両の車体の端と端を繋いだ感通路を隔て、レイがそこに居るのを確認はしたが、嵩張る荷物がアンカーさながらにどこかで絡まってしまっており、それ以上にっちもさっちも進まなくなってしまったのだ。

「くそっ!! 綾波ぃ〜!」

少年を窓越しに確認したレイの顔が、驚きに目を見張る。
金網入りのガラスが汚れて曇った扉をあと一枚開けて入るだけでタッチが掛かるのに、どうしてもこれ以上が進めない。

『……っっ!?』

どんっと軽く体重がぶつけられた音に見ると、目の前へレイの横顔が張り付いていた。
四方から押され、潰されそうに人込み合っているのは向こう側も同じらしいなと、そう思いながらカバンを引っ張っていると、事態は見る間に急変していった。

(……な!)

口をぱくぱくと慌てさせたと思ったら、きゅぅっと噛み締めて何かに耐える素振りを見せだす。
付け加えて、みるみる頬を紅く染め直していった羞恥の貌。

―― また触られてやがるのか!? 
一足先を追い縋ったあの乗客が、どうやら首尾良く再開に漕ぎ着けたと思しきも、身動き付かないケンスケは撮影のレンズを向けることも叶わない。
レイに持たせた録音機器が、音だけは拾っているが、

『……や、やめて……そんな……!!』

切羽詰った声に重なって、赤い瞳がどんよりと濁っていくのも、既にケンスケには手出しが出来ない流れとなっていた。
ガラスに熱い喘ぎを吐いて曇りを作っては、思い出したように向かい合うその少年の目に、はっと眉根を引き締めようとする。
であっても、片時もイヤホンから響く淫らな苦悶が途切れることはない。
低く混ざる男の揶揄が、少女が今、胸を股間を、どこをまさぐられているのかと嫉妬の想像を逞しくさせる。

『ぁあ〜、あ、あっ、あうう……ンンンーっ!』

―― 畜生、やっぱヤられてやがるんじゃねぇか!
目線の位置を常より高くして、きっと爪先立ちになって股座から上へ挿し込み上げてくる指戯をしのごうとしているレイだ。
秘めたる部分を覆うべき下穿きの守りも、先の攻撃に脱がされ捨ててしまっているのだから。
今の彼女の固く閉じようとする柔腿の付け根では、下手すれば大人の指丸々ぬぷりとで、今すぐにも杭打たんと蠢いているに違いない。

『嫌……ぁ、は、はぁ……ぁ、ぁ……』

すべすべとした頬をケンスケの目前に、ガラスにぎゅうっと押し付けて。
ひくひくと爪先立ちになって、それで僅かの距離でも稼いで逃げたがっている乙女の花弁が、しとどの蜜で滑り易くさせられているを幸い、無理に押し入ろうとする太指で処女門を危うくされているのだ。

折角ここまで堕としてきたのにと、見守るしか出来ないケンスケは気が気でない。
男から盗聴マイクが拾うのも、言葉にもならない息の荒げばかり。
すっかり暴走している様相では、下手をすればそのまま、レイの貴重極まりない処女膜をあっさりに破ってしまいかねない。
―― だのにこの、トレードマークも同然のポーカーフェイスを崩してしまった麗少女は、為す術も無く喘がされるだけ。

『……! ……!』

周囲をぐるりと囲む大人の背丈に埋没して、彼らの無関心さが檻となった電車の端一角に洩れる、応え始めた喘ぎ吐息。甘い悲鳴。
揺れる肩は、未経験の膣口に繰り返される指ピストンにシンクロした拙い尻振りダンスの開始を知らせる。

さっさと振り払ってしまえよ。くだらないわって目で、冷たく蔑んでやれよ。いつものようにさ! と。
氷の無表情でもって、群がる男をにべも無く撃墜し続ける綾波レイだとも思えない脆さに映って、仕方が無かった。
明らかに、自分に対する時よりもガードが緩い。
何が何でも拒み通そうという、拒絶一色の心の壁のようなものが感じられない。

(……糞っ、警戒させまくってたのがここで祟りやがったのか? 綾波にとって俺は敵。でも、そいつは敵じゃねぇからってか。)

思えば、この難攻のターゲットが官能に落ちようとする苦悩を真正面に観察してやれたのは、これがケンスケにもはじめてだったのではないか。
時間を掛けてまとった鎧を崩し剥ぎ、美体へ直に毒牙を届かせるところまで漕ぎ着けていても、そこは常にレイとの駆け引きの最中。意識のどこかには常に用心深さを残し、クールにと自分を保ち通さねばならなかった。
極上の獲物にリーチを掛けた。そしてこれまでの経験で覚えた責め技をフルに、つんとお高く留まったクールビューティーから理性の衣を削ごうとする―― 反面、心底の夢中になってしまうわけにはいかなったのだ。

(馬鹿だぜ、綾波。男はみんな狼なんだよ。俺にばっかり身構えて、誘惑してやったそいつがどれだけ物騒にトチ狂ってんのか、分かってねぇのか?)

ガラス越し、地獄さながら痴漢官能に溺れさせられゆくレイの塗炭の顔は、もう涙と汗、いくら口元を押さえはしても『あふっ、ふぅっ』と喘ぎに流れ落つ涎とで、ドロドロだった。
泣かされ過ぎて充血した瞳は、時折思い出したようにケンスケの視線へ硬質さを取り戻して見せようとするものの、後はひたすら虚ろによろめくのみ。

『くっ、ハッ、ハクゥ……ッ、ッッ』

過呼吸も同然に苦しそうな喉の喘ぎが、唯一の目撃者たるケンスケの目にも危うい。
絶頂間際へさえ度々届きかけている、最後の理性が蒸発する寸前の綱渡り状態。そこにまで、レイが昂ぶらされているということだ。
恐らくはもう、波状の愛撫に可愛がられ続けた閂は、狭い粘膜の入り口をぱくぱくと開け放ち果てている。
このままでは本当に……と、気が急いて仕様が無いのに。どれだけ力任せに引っ張ろうとも、引っ掛かった鞄は抜けない。
展開される美処女陥落の極悪なエロティックさも相俟って、興奮と焦燥の坩堝にあるケンスケもまた、混乱を来たしていたのだろう。
どうにも打開策を見出せぬまま、

『……あ、あ……や、やめっ……! な、なにっ? それは……ぁ、ああっ、まさか……!』

指に変わる、より以上の脅威を処女に宛がわれたレイの恐慌に、息を飲む羽目になってしまったのだ。

『入れるよ、お嬢ちゃん』
『だめっ、それは……だめっ!! ―― ッ、ヒッ、ひぁ……ああァアアアアーッ!!』

かはっ、と濡れたルビーが見開かれた。
その最前の瞬間、確かに視線を合わせたケンスケに強烈な羞恥を滲ませて。
散らした涙と共に、ドアへ身を叩き付けるように。
後背から押し潰されそうな小柄の体重がこちら側にも、ドンッと確かに届く。

『……ぃぁ、ぁ、あぁ……痛い……痛いの……。い……くんっ』

小さく聞こえたのは、シンジへの謝罪だったのか。
男の上げた歓声に続いて、二人分の重みにドアは軋みを繰り返し始めていた。

『こんな……こんな……』
『最高だ! 最高だよ、お嬢ちゃん!』

ハハッとはしゃぐ声。
見えはしない筈なのに、ケンスケの目にはまざまざと浮かぶようだった。
上向きに差し上げられた小尻に密着して、男の腰が、ずっぷりレイを串刺しにしている。
高校生にもならない幼い女の子のそこには太すぎる、中年男の肉杭が、破瓜の血を真っ白な下肢に伝わせて。
未発達の土手肉を割り広げ、突き刺さっているのだ。―― 根元まで!

『だめ……、いやぁ……』

痛ましく眉根へ皺寄せ瞑る目蓋からの、透き通った雫。
穢れ無き処女の涙の、最後の一滴がそこに流れたのだろう。

「……ちっく、しょおお……」

ケンスケはただ傍観者として、レイの戦慄く唇が広げさせる、ガラスの曇りに目を見開き続けていた。
 


◆ ◆ ◆



荒々しく開けたトイレの中にレイを突き飛ばすと、ケンスケは後ろ手でロックを閉めた。
本来ならば、撮影し終えたテープのチェックがてらで可愛そうな出演者にも録画具合の確認をさせて、楽しく嬲ってやろうと思っていたのだが、

「……くそっ」

この駅は、本日のコース最後の締めくくりの舞台となる予定であったのにも関わらず、“愛用の"トイレにレイを目論見どおり連れ込んでいても、まるで愉快な気持ちにはなれなかった。
ドス黒い苛つきが抑えられない。

「おいっ、綾波!」

ショックも覚めやらぬとよろめく同級生には、今は理不尽な怒りだけを感じていた。

「ケツ出せよ、このっ」
「……っッ、何をするの……!」
「いいからっ」

最寄の停車駅に逃げ込めるまで、体力気力を使い果たしていた華奢な身に、抗う力は残っていない。
腕を掴まれたレイは易々と壁に押し付けられて、汚れたシミの滲んだスカートを捲り上げられた。
ケンスケの血走った目に、少女の剥き出しの股間に血の滲む様子と、ポタポタと漏れ落ちる濁った汁液が飛び込んでくる。

「クソッ、クソッ! ヤられちまってるじゃねぇか!」
「……っ、放して!」
「折角ここまで……っ、糞っ、この野郎っ! なんてことしやがって……!」

呻くケンスケは目も眩む思いだ。
感情に任せ声高に、処女を喪ってしまったレイを罵りつける。

「勝手にあんなやつにヤらせてんじゃねーよ! 馬鹿じゃねぇの?」

その腕を振り払い、少女はキッと向き直った。だから、なに……? と。
尖った声は、ケンスケの身勝手な怒りを呼び水にして、レイ自身も怒りを取り戻したかのような冷たさだ。

「……ぅ、あ……あやなみ……」
「何を言っているの。あなたは……満足なのでしょう? わたしは約束を守ったわ」

負債を贖うための痴漢演技を、自分は確かに果たしてみせた。そこに何の不都合があるのかと。
穢されて無残な姿でも、綾波レイの紅玉は輝きを失ってはいなかった。
ぴしゃり叩き付ける、有無を言わせぬ言葉。
どう帳尻を付けさせてくれようかと頭が一杯になっていたが、一瞬で思い知らされる。
上手く撮れなかったら今回分のは無しだ、等と卑拙をは、軽々しく言い出せぬ凄みが効いていたのだ。
衝動的な劣情に走って苛立ちを解消しようとする、そんな真似はこれまでの積み重ねを一気に台無しにするだろう。

「なんだよ……」

ケンスケは気圧されている自分に気付き、うろたえた。
たった今まで、見知らぬ中年親父にひんひん言ってコマされてた癖にと。
恨みがましく、レイがスカートに隠してしまったノーパン状態の下腹部を窺う。
稚く、恥毛の一本も生えていなかったような少女の部分だったのに、確かめた時にはすっかり痛々しく踏み荒らされて、全体に薄赤く充血していていた。
貫通させられた女の穴から、他の男の使用跡が糸を引いていた。
我慢ならない話だった。

「おまっ、おまえ……随分あっさりと股開いてんじゃねぇか。まさか、自分が誘惑して罪を犯させたんだから犠牲者だ、申し訳ないって思ってじゃねぇだろうな?」

随分気前の良い話だが、それともひょっとしてと、

「澄ました顔しててまさかさ、綾波ってもうヤリ捲くりだったとかなわけ? とっくに処女じゃなかったとかさ……ッッ!?」

シンジもあっさり騙されてたってことか、可愛そうに。そう笑ってみせようとした頬には、間を置かず手痛い報いがくれられた。
抜く手も見せない平手打ちだった。

「なんだよ畜生……。シンジが聞いたらどう思うかってことだろ?」
「……あなたの、知ったことではないわ」

当て擦る言は強かにレイの弱みも抉ったようだったが、即席にでも普段の強情さを再建させたらしいレイの手の力みを見れば、さすがのケンスケもこれ以上不貞腐れていられるとは考えられなかった。
しかし腹立たしいのだ。

「ちぇっ」

狙っていたご馳走を、まさに鳶に浚われてしまったということか。あのオッサン、良い目を見やがったなぁ……と、舌打ちは抑えられない。

結局、その日は引き下がるしかなかった。
顔を顰めてびっこを引くようにしながらも、レイが確かな足取りで歩み去るのを、みすみすの気分で見送るしか出来なかった。
負債分の完済を渋々認めざるを得なかったで、今日の憤慨をまた同じ手口に埋め合わせることは出来ないだろう。
まだまだ撮り溜めるつもりだった『壱中美少女裏名鑑・痴漢シリーズ、綾波レイ編』も、またの機会は別の仕込みを用立てねばならない。
最高のご馳走にありつけるつもりでいたのに、最低の気分。
肩から吊るした中に収めた、ビデオカメラの重い感触も今は癇に障る。

(……だけどな)

ケンスケは胸の裡に嘯いた。
まだだと。そしてもう、悠長なやり方はもう止めだと。
綾波レイは、「手」の買戻しを望んでいる。
それこそ、処女を奪われるような目に耐えてもだ。
ならば最大限「手」とのトレードへは値を吊り上げ、覚悟を問うようにふっかけてやれば良い。
それともやはり、あの物知らずなお嬢様に色々なビデオを見せてやったりしていても、そこは後の楽しみと残しておいた“隙"を使おうか。
知識が無ければ予測も警戒も足りはしないだろう。
不意打ちを知って、また一つ致命的に穢されると理解した時、あの強情なお姫様がどんな顔を浮かべて見せてくれるのかは、実に興味深い。

くつくつと、俯いた口から聞こえだしていたのは、猫が喉を鳴らすのにも似た引き攣りだった。
積み上げてきたプランを手痛いミスで台無しにされた埋め合わせは、生半では済ませられまい。
仕切り直しに何をあの少女から奪ってやろう?
陰鬱にほくそ笑む、その口元の影を深く。
日の沈んだ道へ踵を返したケンスケの脳裏には、未練か、何度も妄想に巡らしたレイの処女を奪う自分の姿が揺らめいていた。
雪白の処女尻に挑みかかり、許してと迸らせる悲鳴を楽しみながら、深々と杭棒を付き立てる自分。
シンジにも許したことの無い奥深い場所へと、きつい未開通肉路に腰を突き進めて行く。
感情の素直な表し方も知らない同級生のヴァージンヴァギナを、たっぷりと突き解して、掻き混ぜて、相田ケンスケのペニスの形に馴染ませてやる。
心行くまで甘美な膣肉のぬくもりを味わい、はじめての射精で腹の中から牡というものの匂いを染み付かせてやる。
そして綾波レイは、引き抜かれたままの形にぽっかり開いた喪失の器官から、どろりと朱混じりと精液を垂らす――
その筈だったのだ。

「……へへ、良いさ。これからが楽しみなんじゃないか……」

ポケットに突っ込んだ手でこっそりといきり立ちをあやしつつ、ケンスケは道を急ぐ。
プランの書き直しを練るに相応しい、ふんだんな資料が取り揃えられた、自分の巣へ。
早足に、早足にと――




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Original text:引き気味
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(5)