第2章 おてんば姫の冒険 その1 サントハイム・サラン・フィールド |
第二章 おてんば姫の冒険 むかしむかし ある所に アリーナ姫という それはそれは おてんばな お姫さまが おったそうじゃ。 ▼ その国の王様は 姫の おてんばに 頭をかかえる 毎日。 ある朝 姫を 呼びつけたのじゃよ……。 ▼ *「姫さま! アリーナ姫さま! お父上が お呼びですぞ! 王「おお アリーナか!? じいから 聞いたのだが ちからだめしの旅に 出たいと 申しているとか……。 ▼ 王「ならぬっ。ならぬぞ。 お前は 女。 しかも わが国の姫なのだぞ。 ▼ 王「怪物どもが住む 外の世界へ ちからだめしに 出るなど このわしが ゆるさん! ▼ 王「よいなっ!? この城から 出てはならぬぞ。 では 下がってよい……。 王「どうした アリーナ? まだ 外に出たいと申すのか? モはい いいえ 王「ならぬっ。ならぬぞ! どうして お前は そう おてんばなのじゃ……。 はい モいいえ 王「おお! 聞き分けてくれたか! それでこそ わしのかわいい娘じゃ。 ささ 部屋で 休むがよい。 (サントハイム玉座の間・昼) *「王様は 姫さまのことを思って (大臣) ああ言って おられるのです。 なにとぞ 聞きわけられますよう。 ★アリーナ「大臣って ホント うるさいのよねー。 ブライよりは マシだけど。 *「ここは サントハイムの お城です。 *「この上は 王様とお姫さまの 寝室で ございます。 ブライ「姫! 少しは 女らしくして いただかないと。 ▼ ブライ「お亡くなりになった お妃さまは とても 上品な方でしたのに。 ▼ ブライ「姫の 教育係として この じいは 王様に 合わせる顔が ありませぬぞ。 (サントハイム玉座の間・昼 一度出て戻ってきた後) 王「おお 戻ってきてくれたか。 アリーナ。 ▼ 王「いや 言わずともよい。 どうせ お前のことだから 止めても またすぐに 出てゆくつもりであろう。 ▼ 王「しかし わしの目のとどかぬ よその大陸だけには 行くでないぞ。 ★クリフト「大陸中を アリーナ姫と 旅をしてもよい と 王様の おゆるしが……。 ▼ ★クリフト「ああ 私は なんという 幸せ者でしょう! うっうっ 涙がっ。 ★アリーナ「いっそ お父さまも いっしょに 旅をすればいいのよ。 ▼ ★アリーナ「そうすれば 世界中 どこにだって行けるわ! お父さまの目がとどくんだから。 ★ブライ「王様も 甘いですな。 姫を止めてくだされば よろしいものを。ぶつぶつ。 *「ああ よかった。 (大臣) よくぞご無事で……。 ★ブライ「姫と 旅をしていると 命が いくつあっても たりませんわい。 ★アリーナ「大臣も お父さまも 心配しすぎなのよ。 私を 信じてほしいわ。 ★ブライ「ふつうの姫君ならば あの玉座に しとやかに こしかけて いるでしょうに。 ▼ ★ブライ「どうして わが姫は……。 ぶつぶつ……。 (サントハイム玉座の間・夜) ★アリーナ「お父さまは もう お休みの 時間みたいね。 私も ちょっと眠いかな……。 ★クリフト「こんな 夜ふけまで 兵士どの ご苦労様ですね。 (サントハイム1階・昼) *「この階段をのぼると 玉座の間です。 ▼ *「あっ アリーナ姫さま! ごきげん うるわしゅう。 *「あっ アリーナ姫さま! ごきげん うるわしゅうございます。 *「ああ ハラがへった。 早く メシの時間に ならないかな。 *「さあさ お食事の仕度を しなくては。 ああ いそがしい。 *「私は 旅の商人ですが この城の お姫さまは とんでもない おてんばだとか。 ▼ *「一度 会ってみたいものですな。 わっはっはっ。 ★アリーナ「とんでもない おてんば? 失礼ね。私は この国いちの おてんば姫 なんだから! ★ブライ「しもじもの 者にまで このようなウワサを されるとは。 はあー なんとも なげかわしい。 *「どうか お許しください。 その人は いい人なのですが どうも クチが悪くて。 *「もし 姫さまが 旅に出たなどと 世間に知られたら 悪いやつらが 姫さまを ねらうかもしれんのう。 ★アリーナ「悪いやつらが 私を ねらう……。 ▼ ★アリーナ「……うふふふふ。 そうこなくっちゃ! ああ 腕が鳴るわ〜。 ★ブライ「うーむ。 やはり 一国の姫とも あろう方が 旅に出るのは 良いこととは 言えませんな。 *「王様の ご命令により ここを 通すわけには いきませぬ。 *「何とぞ お部屋に 戻られますように。 ★ブライ「ほれ 姫さま。 兵士も こう申しておりますし このまま お城にお戻りなされ。 ★アリーナ「お父さまの わからずや! いいわ また壁をけやぶって 外に 出てやるんだから! ★ブライ「はあ……。 姫の 教育係になったばかりに ひどい目に あわされますわい。 ★アリーナ「どうも お城の中って きゅうくつで キライなのよね。 (王の了承を得たあと) *「王様から お話は 聞いております。 さあ お通りください。 *「何とぞ お気をつけて 旅を 続けられますように。 (サントハイム1階・夜) *「この階段をのぼると 玉座の間です。 ▼ *「しかし 王さまは すでに お休みでございます。 *「ぐうぐう……。 (兵士) あっ 姫さま いけません……。 むにゃむにゃ……。 ★クリフト「なっ なんとふしだらなっ! いち兵士の ぶんざいで なんという うらやましい夢をっ!? ▼ ★クリフト「はっ……! い いえ 失礼しましたっ。 なんでもありませんから! *「これは これは。 (老人) 今 ちょうど 姫さまのお話を しておったので ございます。 ★ブライ「どういうウワサか だいたいの 見当がつきますな。 やれやれ……。 *「うちのお姫さまは どうして ああ おてんば……いえ お元気なんでしょうねえ。 ★アリーナ「べつに 私 自分は ふつうの姫だと思うけどな。 元気があるのって いいことだし! ★ブライ「元気だけが とりえの 姫君とは まったく なげかわしいものですな。 *「ふむふむ。 すると ここの お姫さまが 旅に出る。 もちろん 人には 言いませんよ。 ▼ *「何しろ 私は クチがかたいので 有名なのですから。 わっはっはっ。 ★アリーナ「私たちの事 もうウワサに なってるのね。 ふふっ 人気者のしるし? ★クリフト「あまり たくさんの人に 姫の旅が 知られてはなりません。 ▼ ★クリフト「まあ この方は クチが かたいそうなので 心配はないでしょうが。 (サントハイム城内・昼 一度出て戻ってきた後) ★アリーナ「もう お城なんかに 用はないわ。 さあ 冒険にでかけましょう! ★ブライ「うむ。 城の者たちは 変わりないようですな。 けっこう けっこう。 ★クリフト「お城に もどってくると なんだか ほっとしますね。 *「やや! よくぞ 戻られました! ★ブライ「ほっほっほ これで 城の外へは 戻れませんぞ。 (サントハイム城内・夜) ★ブライ「年よりは そろそろ 眠くなってきましたぞ。 ふわ〜 ねむいねむいっ。 ★アリーナ「今夜は 月も星も よーく 見えるのね。 ▼ ★アリーナ「城の屋上を 私の部屋にしたら 毎晩 星を見ながら 眠れるわ。 (礼拝堂・昼) *「近ごろ 何やら 東の空より (神父) あやしげな気配が ただよってきます。 ▼ *「おお 神よ! このサントハイムの城を 守りたまえ。アーメン。 ★ブライ「ふーむ。 東で何かが とは 気をつけねば なりませんな。 ▼ ★ブライ「いちばんいいのは この城から 出ぬことだと 思いますがな。 ★クリフト「ご安心ください 姫さまは 命にかえても このクリフトが お守りいたします。 ▼ ★クリフト「い いえ ブライ様も もちろん お守りいたしますよ! クリフト「じいやの ブライさまから うかがったのですが アリーナ姫は 一人旅に出る おつもりとか。 ▼ クリフト「どうか そのような ムチャを なさらぬように! ▼ クリフト「姫に もしものことがあっては このクリフト……いや 王様が どんなに なげかれることかっ! (本棚) 「信仰と祈り」という 神学の本がある。 本の間に 何か はさまっているようだ。 ▼ なんと アリーナの かくしどり ブロマイドが出てきた! (礼拝堂・夜) *「何やら 胸さわぎがして 眠れません。 おお 神よ。アーメン。 ★クリフト「神父様の胸さわぎ とは? アリーナ姫の 身に 何事もなければ よいのですが。 (サントハイム3階・昼) ★クリフト「私のような身分の者が 王様と姫の お部屋に 入っても いいものだろうか……。 ★アリーナ「たまには お城の フカフカのベッドで ぐっすり 眠りたいわ。 *「姫さまの 寝室のカベは 修理を頼んで おきました。 ▼ *「もう カベを けり飛ばして 壊したり なさりませぬように。 ★クリフト「私は 神官ですから 壁を けやぶるなんて とても できません。 ▼ ★クリフト「さすがは 姫! やっぱり ステキです!! ★ブライ「亡くなられた お妃様は それはそれは おしとやかで 美しい方でしたのに。ぶつぶつ。 ★アリーナ「私が 悪いんじゃないわ。 壁が こわれやすいのが 悪いのよ。ねっ? アリーナは カベを 調べた! ▼ 板で 修理してあるだけなので けやぶれそうだった。 ▼ カベを けやぶりますか? モはい いいえ (サントハイム3階・夜) ★クリフト「もう 王様は お休みのようですね。 ★アリーナ「たまには お城の フカフカのベッドで ぐっすり 眠りたいわ。 *「王様は すでに おやすみに ございます。 お話なら また明日おいでください。 *「まったく 姫さまの おてんばにも 困ったものだ。 ▼ *「ありゃりゃ 姫さま!? これは 失礼いたしました……。 ★アリーナ「おてんば おてんばって 耳に タコができちゃうわ。 ★クリフト「この人は わかっていない。 おてんばな 所こそが アリーナ姫の……。 ▼ ★クリフト「えっ? わ 私は 何も言っておりませんよ! *「すー すー。 (サントハイム屋根・昼) *「にゃ〜ん。 (ミーちゃん。トラねこ) ★アリーナ「あら こんな所に ネコがいたのね。 かわいいー。 (サントハイム城門・昼) ★ブライ「本来なら 城でのんびりと お茶を飲んでいる時間だというに なにゆえ このような……ぶつぶつ。 ★アリーナ「お日さまが ポカポカで 気持ちいいわねー。 うーん いい天気! (フィールド・昼) ! (アリーナ) ブライ「姫! お一人で 旅に出るなど とんでもない! どうしてもと言うなら この じいめも ついてゆきますぞ! クリフト「およばずながら 私も 姫さまの お供をいたします! さあ 参りましょうか。 ブライとクリフトが 仲間にくわわった! ★クリフト「サントハイムの 領地は この大陸全土に およんでいます。 私も 城から出るのは初めてですが。 ★アリーナ「お城の外って 広くて 気持ちいーい! ▼ ★アリーナ「さあ! 魔物たち! どこからでも かかってらっしゃい。 みんな やっつけちゃうわよ。 ★ブライ「はー つかれた。 姫さま! もっとゆっくり 歩いてくだされ! ★クリフト「アリーナ姫。 おケガは ありませんか? ▼ ★クリフト「何かありましたら いつでも このクリフトが 手当てさせて いただきます! ★アリーナ「じいが 何と言おうと もう ぜったい お城には 戻らないわ。 ぜったい! ★アリーナ「まったく どうして あなたたちまで ついて 来ちゃったのよ。 ▼ ★アリーナ「せっかく 一人で 気ままに 冒険できると 思ったのに! もうー。 ★ブライ「姫さまには まったく 困ったものですな。 ぶつぶつ……。 ★クリフト「姫と いっしょに 旅をすることに なるとは……。 ▼ ★クリフト「なんだか 私 ドキドキしてきました。 い いえ その 変な意味ではなく! (フィールド・夜) ★ブライ「年よりは 眠くなって 来ましたわい。ぶつぶつ。 ★アリーナ「夜って 魔物たちが たくさん 出るのよね……。 ▼ ★アリーナ「ああ 腕が鳴る! さあ どんどんいらっしゃい! (サラン・昼) ★アリーナ「サランの町なんて 城の庭みたいな ものだわ。 もっと 遠くへ行きましょ! ★ブライ「そろそろ お城に 戻ってくださればよいものを……。 ★クリフト「サランは 美しくて よい町ですね。 ▼ ★クリフト「私は 幼いころ この町の教会で 神の道を 教えて いただいたのです。 *「こんにちは。 サランの町に ようこそ。 ★クリフト「たしかに たまには こうして 城の外に出るのも 息抜きに なりますね。 ★アリーナ「いーい? 私が アリーナ姫だってことは 町のみんなには 秘密よ。 ★ブライ「ひとまず われわれの身分は 知られては いないようですな。 ▼ ★ブライ「とはいえ 油断は禁物。 目立たぬよう 行動せねば。 *「商人仲間から聞いたのですが となりの城のお姫さまが 旅に 出たとか。あっ ないしょですよ。 ★アリーナ「やだ もうサランでも ウワサになってるの? ▼ ★アリーナ「人気者は つらいわねー。 でも ま とぼけとけば バレないわよね。 ★ブライ「商人というのは どうも おしゃべりで いけませんな。ぶつぶつ。 *「わんわんわん! *「おしろのアリーナさま みたいに つよーく なるんだから! てやーっ! たーっ!! ★アリーナ「うふふっ かーわいいっ! この子が 大きくなったら 一度 勝負してみたいわ。 ★クリフト「やはり アリーナ姫は みなの あこがれなんですね! じーん……。 ★ブライ「……やれやれ。 アリーナ姫に あこがれるとは。 将来が おそろしいですな。 (サラン・夜) ★クリフト「町の みなさんも もう お休みのようですね。 ★アリーナ「夜の町 なんて ちょっと ワクワクするわ。 やっぱり旅ってステキ! ★ブライ「いつもなら とっくに 眠っている時間だというのに。 あー 疲れましたぞ。 (サラン教会・昼) *「この町より 北に進み 東の山奥に 小さな村が ありますわ。 ★クリフト「山道は 険しいはず。 薬草を たくさん 買っておかなくては。 ★アリーナ「東の山奥の村……。 これは ぜひ行ってみなくちゃ! *「俺は この尼さんに ひとめぼれ しちまったんだ。 結婚して くれねえかなあ。 ★ブライ「姫様のご結婚までは このブライ 死んでも 死にきれませんぞ! ▼ ★ブライ「とはいえ いったい いつになることやら。 ぶつぶつ。 *「いけませんわ。 私は 神に お仕えする者。 神にささげた身で ございます。 ★ブライ「このブライも 若いころは いろいろと 浮き名を流したもの。 なつかしいですな。ほっほっほ。 ★クリフト「やはり 神に仕える身では 恋をしては ならぬのでしょうか……。 はあー……。 *「私は 詩人のマローニです。 ▼ マローニ「あおーい そーらとー ながれるー くもーたちー ラララ。 ★ブライ「フム。この者が マローニか。 国でも ひょうばんの詩人と 聞いております。 ★アリーナ「マローニって わりと いい声 してるわね。 (サラン教会・夜) *「すやすや……。 (シスター) マローニ「かがやくー みかーづきー またたくー ほしーぼしー ラララ。 ★クリフト「美しい歌声と 美しい三日月……。 ロマンティックですね。 ★アリーナ「一日中 歌ってて よく あきないわね。 ▼ ★アリーナ「たまには ぱーっと あばれたくならないのかしら? *「マローニの歌は いつ 聞いても ステキ。 ウットリ……。 ★ブライ「およそ 女人というものは ムードに弱いものと 決まっておりますからな。 ▼ ★ブライ「アリーナ姫様は…… まあ 置いておいて。 ★アリーナ「歌ねえー? 私なら あきるわ。すぐ。 (サラン立て看板) ちょっと待て! そんな装備じゃ 危ないぞ! サラン武器防具連盟 ★クリフト「備えあれば うれいなし。 この町の人たちは 親切ですね。 ★ブライ「フム。商売上手めが。 見えすいた事を やりおる。 (サラン宿屋2階・昼) *「ほう? 女だてらに ちからだめしの旅に……? ▼ *「しかし しばらくは 町のまわりで ちからを つけることだな。 ★アリーナ「女だてらに って 失礼な人ねー。 私 すっごく強いんだから! ★ブライ「この者の言うことも もっともですな。 いきなりの遠出は 危険ですぞ。 (サラン宿屋2階・夜) *「くそー マローニのやつ うまいこと やりやがって。 ▼ *「ああ 俺も あいつくらい 歌が 上手かったらなあ……。 *「ほう。 どこからともなく 澄みきった歌声が 聞こえる。 これは 気持ちよく眠れそうだ。 ★ブライ「わたしは やはり 静かな所でないと よく寝つけませんがな。 ★クリフト「きっと 今夜は よい夢が 見られますね。 |