カトー「キハ85」を少しいじる
キハ85-100を動力化する

 先日カトーより、「キハ85系<ワイドビューひだ・ワイドビュー南紀>」各セットが発売された。製品としては古くからあるものがベースとなっており、車端部機器が追加されたりライト周りが改良されたり、そして車種が追加されたりして現在に至る。私は最初期の製品とキロ85が追加された「ワイドビューひだ・ワイドビュー南紀」を所有している。最新製品でキハ85-200とキハ84-200が追加されたが、セットで買うとその他の車両が多くなりすぎるため、各200番台をAssyパーツで組み立てることにした。さらに、他にいくつかのパーツを買って長年の課題を解消することにした。
 最初期の頃に、Assyパーツで増結用のキハ85-100を1両作ろうとした。ところが床板が手に入らず、組み立てられることなく20年以上(推定)放置されていた。今回はそのボディを利用し、製品にない先頭動力車を作ることにした。新たに買ったのは「動力ユニット」「動力台車」「床板」の3点。ライトを点灯させたかったので動力は片台車動力とし、先頭部はT車用の床板を使う。

動力とT車用床板のカット状況

 動力ユニットとT車用床板はこのようにカットする。とすまし顔で書いているが、T車用床板はもう少し長く残せたはず。その方が諸々都合が良かったので少し後悔している。

窓ガラスを削ってツメ受けを作る

 発売前に手持ち品で試したところ、T車用の床板が動力車のボディにそのままハマる。逆もそのまま行けるだろう……と思っていざ実践してみるとこれが全然ダメ。動力車用の窓ガラスパーツにはT車用と動力ユニット用の2種類のツメ受けが用意されていただけで、動力ユニットは基本的に他車には入らない。というわけで、窓ガラスに動力ユニットのツメがハマる凹みを作る。その他にも干渉する部分があったので、動力ユニットを当てて位置を確認しながら削っていった。写真はツメ受けの加工の様子で、上がそのまま、下が削ったところ。
 ツメ受けを削る工程はかなりの精度が要求される……と思って慎重に進めていたのだが、実際には窓ガラスパーツの外形が動力ユニットの(ダイキャストの)凹みにハマって位置が決まるようになっており、多少ズレても(削りすぎても)問題なくボディに収まるようである。

ライト基盤は自作

 古い製品と最近の製品ではライト周りが完全に違った部品になっており、ライト基盤の転用は不可。古い製品ではキハ85-100はライト非点灯(オプション扱い)となっており、その部品も買っていなかったので自作した。当初は砲弾型LEDを使う予定だったが、床板が入らなくなるのでチップLEDに変更した。おそらくだが、最初期製品の床板であれば砲弾型で行けたような気がするのだが、現行製品の床板は新しいライト関連のパーツに起因する突起が増えている。そこが干渉するのだろう。LEDとは関係なく床板がきっちりハマらなかったので、床板上面、遮光ケースは当たりそうなところを削っておいた。
 抵抗は1000Ωを使ったところ少し暗かったので、560Ωに付け替え。その他ちらつき防止回路を入れたが、これはもしかするとフライホイール付き動力ではないので不要だったかもしれない。

ライト点灯状況(左:ヘッドライト、右テールライト)

 セットに入っているキハ85各車と比べても明るく点灯するようになってしまったが、これはこれで自作基盤であることが主張出来て良い。が、しかし、テールライト点灯時(右)の光漏れがあまりにも激しい。うっすらではあるもののヘッドライトまで光ってしまう。もちろん対策はいろいろとやってみたのだが、遮光目的でライトレンズの周囲を着色すると、光漏れは大人しくなる一方で肝心の点灯時にかなり暗くなってしまった。本末転倒なので塗料を落とし、「光漏れ上等」とすることにした。

※画像は各点灯状況を別々に撮影し、1枚の写真に繋げたものです。2両加工したわけではありません。

キハ85-0の運転台側に増結する

 Assyパーツを予約注文するときに店員さんに教えてもらったのだが、ダイヤが乱れた際に普段は繋がないキハ85-0の運転台側に別の編成を“増結”して走ったことがあるという。そういうのって模型で遊びたくなるよね。というわけでキハ85の運転台側――製品だとダミーカプラーで連結できない――に車両が繋げるようにしてみた。加工内容は簡単。ダミーカプラーを外して、台車にカトーカプラーを付けるだけ――では終わらなかった。
 “だけ”の状態が左なのだが、連結面間隔が狭く、カーブ(R280)で擦ってしまう。1回や2回だけなら大丈夫なのだろうけど、この状態で何周か走らせているとそのうち塗料が剥げてしまいそうだ。キハ85-100の幌受けを取り外すのが一番簡単な解決策だが、それではこの編成の見どころがダサくなってしまう。というわけで加工して連結面間隔を広げることにした(写真右が加工後)。

キハ85-100の幌受けを削る

 幌受けを削って薄くする。直線状である前側を削るのが楽ではあるのだが、ディティールが消失するので削るのは車体側だ。Rの付いた部分なので難易度が上がるが、そこはまあ、頑張って何とかした。先ほどの写真の右で、キハ85-100の幌受けが薄くなっているのがお分かりいただけるだろうか(あと、微妙に車体と隙間が空いている)。

キハ85-0の台車も加工

 幌受けを薄くするだけではちょっと不十分だった。そこで次なる策として、カプラーの固定位置を少し前に出してやることにした。まずカプラー固定用の穴を削り拡げる(写真右)。

詰め物でカプラーがガタつかないようにする

 カプラーを付けると穴が広がったせいでガタつくので、前に出した状態で根元にプラ板を詰めて動かないようにする(写真右)。未加工の左と比べて僅かな差ではあるが、この0.5mmが連結面間隔に十分な余裕を生んでくれた。

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 キハ85-100のAssyボディは見るたびずっと気になっていたのだが、肝心の再生産の時に存在を忘れ、今回が“三度目の正直”になった(*1)。買った当初はそのまま組むつもりだったのだが、冒頭に書いたように車両セットが増えたせいでただのキハ85-100が増えても嬉しくない状況になっていた。そんな経緯もあって最終的に動力ユニットを組み込むことになり、20年越しの課題が思わぬ形で解決することになった。

*1 実際には四度目か五度目?

(2024.03.24)
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