卵で触手


Original text:PDX.さん


「ヒカリ、おっはよっ」
「おはようアスカ。もういいの?」
「うん、もう元気元気」
 昨日アスカは学校を休んだ。NERVの関係かと思ったんだけど、本部待機していたのは碇君の方で、アスカは学校にくるつもりだったみたい。
 連絡も何もなかったから心配していたんだけど、もうぜんぜん元気みたいね。
「ねぇヒカリ、手、出して」
「手?」
「そう」
「こう?」
「そうそう。はいっ」
 そう言って、アスカは私の手に、卵を1つ乗せた。ニワトリの卵どころか、私の拳より大きいかしら。昔流行した玩具入りチョコかと思ったけど、振ってもカラカラ音がしたりしない。
「……たまご?」
「そう」
「何の卵?」
「ナイショ」
 あ、やっぱり何か孵るのかしら。
「部屋で割ってみて」
「わ、割るの?」
「うん。平気平気」
 それならやっぱり玩具でも入っているのかしら。イースターって、いまの時期じゃないと思うし。
 でも、邪気の無いアスカを見ていて、つきあってあげようという気になった。
「それなら、いただくわね」
「ふふっ」
 私はその卵を鞄に入れて、アスカと二人で学校へ歩いていった。




◆ ◆ ◆




 家に帰ったけど、今日は私とノゾミの二人しかいない。お父さんは出張中。コダマ姉さんはお友達とツーリング旅行だって。大学生っていい身分ね。
 ノゾミと二人きりの夕食。こういうときは、ノゾミの好きなものを作ってあげる。お父さんには甘すぎるチキンライスや、コダマ姉さんの苦手なアスパラのサラダ。
「ごちそうさまー」
「先にお風呂入っちゃって」
「はーい」
 ノゾミがお風呂に入っている間にお皿を洗って、ほっと一息。
「あ、そう言えば、卵」
 アスカからもらった卵のことを思い出す。部屋にあがって、机の横に立てかけた鞄の中から卵を取り出す。
「割っちゃって……いいのよね?」
 たしかアスカがそう言っていたから。私は慎重に、卵を机の角に当ててみた。
 コンコン。
 割れない。普通の卵より丈夫なのかしら。少し力を強めて、もう一度当ててみる。
 コンコン。パリッ。
 あ、割れた。殻にヒビが入って、くしゃっとなった次の瞬間。
 何か生ぬるいねっとりしたものが染み出したかと思ったら、あっと思う間もなくそれが生き物のように動いて私の右腕に絡み付いてきた!
「な、な、何これ!?」
 なんといっていいのか、何かの動物の臓物のような色の肉っぽいもの。細長いから腸か何かみたい。それが、びくんびくんと奮えながら腕に絡み付いてくる。
 肩まで這い上がってきたそれが、ヘビみたいにカマ首をもたげる。
「い、嫌あああ! うううっ!」
 叫んだ瞬間、それが私の口に飛び込んできた。ものすごく生臭い。そして、ぬらぬらして気持ち悪い。生苦い粘液が口の中に広がる。私はもがきながら床に倒れ込んだ。でも、その変なモノは、私の舌を絡めとって気持ち悪い粘液まみれにしてしまう。
(嫌! いやあああ!!)
 涙が零れる。私、犯されてる。コダマお姉ちゃんの部屋で盗み読みしたレディースコミックに描かれていた、口を無理矢理に犯される女の人と同じだと思った。
 あの時は、そんなに嫌なら噛み切ってしまえばいいのに、と思ったけど、こんなに怖いだなんて思わなかった。そして、その肉塊がブルッと震えたと思ったら、口の中一杯に生臭いドロドロを流し込まれた。

 吐き出そうとしたけど無駄だった。その変なもの……臓物みたいな触手が私の口をしっかりふさいでしまっていた。私はそれを飲み下すしかなかった。吐き気のする味と匂い。だけど、飲み込まないと鼻の方まで逆流して窒息していたと思う。
 ずるり。
 触手が口から引き抜かれる。やっと解放される。その時はそう思った。
「あ……!」
 どくん!
 心臓が一際大きく鳴った。かぁっと全身が熱くなる。身体中から汗が噴出す。
「な……何……あああ……」
 さっき飲み込んだもののせいだと思った。身体中がちりちりする。鳥肌がたったみたいになって、むずむずする。息苦しさを覚えて、着ているワンピースの胸元を開こうとした。
「!?」
 右手は、さっきからずっと、あの触手にがんじがらめになっていたのを忘れていた。首筋に触れたべちゃりとした感触。慌てて手をどけようと思ったけど、次の瞬間には触手が服の下に滑り込んでいた。
「ああああっ!」
 羞恥心。生理的嫌悪感。そして身震いするほどの快感。全身が過敏になっていた私は、ブラジャーの上から乳房を撫でられただけで軽く達してしまった。
 無論それだけで終わるはずも無く、何本もの細い触手がブラの下にまで滑り込み、乳房を、乳首を弄び始めた。
「ああっ! あ! ああああ!」
 二度、三度とイッてしまう。触手が這い回るたび、ヌラヌラとした液体が私の胸を汚す。乳首は特に念入りに責められ、絡めとられ、吸われるたびに私は悶絶した。

 触手による陵辱は、意外なことにブラジャーの中だけにとどまっていた。もっともっと大きくなって私の全身を包むかと思ったけど、そんなことはなかった。
 でもそれゆえに、私は熱く火照る下半身に苦しめられることになった。したい。オナニーしたい。でも、今この右手でそんなことをしたら、胸の時以上の辱めに合うのは目に見えている。
 触手に絡みつかれていない左手ですればいい、というのは思いつかなかった。何度も何度もイきつづけて、ピンク色のもやがかかったようになった私には、それだけの思考力はなかった。
 そして、私は肉の疼きに屈した。右手を、そろそろと下半身に持っていったのだ。
 ワンピースをたくし上げ、太股に手を当てる。それだけでよかった。淫らな触手は、私が一番触れて欲しいところに殺到していった。
「あああああ!!」
 下着の中に潜り込む何本もの触手。恥丘が、会陰が、秘裂が、そして陰核が粘液まみれにされる。太いもの、細いもの、触手たちが股間のあらゆる性感帯に襲い掛かる。
 ビイイッ!
 触手が蠢き、下着が内側から引き裂かれる。私の恥ずかしいところが露わになる。
 私は、自ら股間に右手をあてがい、普段オナニーするときのようにクリトリスを弄り始めた。
「ああ……あああ……いい……」
 身体に力が入らない。きっと、私のアソコはぱっくりと開いて愛液を滴らせていただろう。触手がそこに群がり、じゅるじゅるとそれを吸い上げていく。
「あああっ!」
 腕に感じる重さが増していく。触手は、私の愛液を啜って養分にしているかのように、成長を始めたのだ。そして、一際太くて堅い触手を握らされた。太さ3cmはある肉の塊が、私の手の中でずきんずきんと疼いていた。
 私は……躊躇うことなくそれを自分の中心に導き、自らの手で奥深くまでねじ込んだ。

「あああああーーーーーーっ!」
 太い! 太い! そして熱くて、堅い! そんなモノが私の身体を引き裂き、奥底まで侵入してくる。そして、私は破瓜の痛みに涙を流しながら、それでもそれを受け入れ、求めてさえいた。
「もっと! もっとぉ!」
 勢い良く手を前後に動かす。喪失したばかりの処女の重さに目をくれることも無く、悦楽を求めて自らの手で自分自身の純潔を汚し続ける。
「く……くる……きちゃう!!」
 どくんっ!!
 手の中の触手が一際太くなる。刹那、私の体の一番深いところで、熱い熱い何かが迸った。
「ぅああああああーーーーーーーーーーっ!」
 二度、三度、ううん、止まらない。止まらない!
『それ』が何かを注ぎ込むたびに私は絶頂し、気絶しそうになった。
 幸福な陶酔感に満たされたまま力なくくずおれようとしたとき、部屋のドアをどんどんと叩く音がした。
「お姉! ヒカリお姉! どうしたの!!」
 私の悲鳴を聞きつけたんだろう、ノゾミが心配してきてくれたんだ。
 返事をしないでいると、ノゾミは扉を開けて部屋に飛び込んできた。そして、全身ぬめぬめになって、生臭い匂いをたてる触手にまみれて横たわる私を見て呆然としていた。
「お、お姉! そ、それ……!」
 私は弱々しく右手を伸ばした。触手にまみれた右腕を。
「や……いや……」
 怯えて後ずさりするノゾミ。どうして怖がるの? こんなに気持ちいいのに。おなかのなかいっぱいになって、こんなにイイのに。
「いやぁーーーっ!」
 しゅるりと延びた触手が、ノゾミの脚を絡めとった。バランスを崩して倒れ込むノゾミ。パジャマがまくれ上がって、可愛らしいおへそが丸見えになる。
 犯したい。
 私はそう思った。



◆ ◆ ◆




「ああ……ああああ!」
「お姉……お姉!!」
 隣で横になっているノゾミの手を強く握る。ノゾミも握り返してくる。お互いに励ましあうように、同じ想いを抱く者同士助け合うかのように。私の手に、あの触手は絡みついていない。あの後ノゾミに悦楽を注ぎ込んだ後、カラカラに干からびてそのまま粉々になってしまった。
 翌日、私とノゾミは学校を休んだ。朝から吐き気がしてとても通学できそうになかった。
 吐き気がおさまった頃には、二人とも下腹部が熱く火照ることを自覚していた。それが、ずきんずきんと疼いていることも。
 そして今、私のお腹の中で何かが暴れている。ううん、それがあの触手と私の交わったモノだと私は、そしてノゾミも理解していた。
「もうすぐ……もうすぐよ……ああ……!」
「うん! ああっ、お姉……!」
 お腹の中のものが、乱暴に私達を蹴ったりする。胎内をかき回されることにすら悦びと愛しさを覚える。そして、その時がきた。
「あ! あ! ぅあああああああっ!!」
「ぃぎぎいいいい!」
 出てくる。私の中から出てくる。私の膣を……ううん、産道をこじ開けるようにして、それが出てくる。
「「あああああ!!」」
 ぼとり、ぼとり。
 私も、そしてノゾミも二つずつそれを産み落とした。赤ちゃんの頭の大きさくらいある白いぶよぶよしたモノ。それは、しばらくじたばたしていたけど、そのうち固まってあの卵のようになった。

 次の日の朝。私は卵の片方をもって家を出た。誰か仲のいいクラスメイトにあげることにしよう。真っ先に思いついたのはアスカだったけど、アスカのところにはもうこの子と同じモノがいるはず。
 卵のもう片方? ふふ、決まってるじゃない。今日も家に帰ったら、あの卵を割るの。
 私の産んだ卵に犯されて、そしてまた卵を産むの。
 私も、ノゾミもそうするの。たぶんアスカもそうしているはず。
 そして、私やノゾミに卵をもらった女の子も、きっとそうするの。そしてみんな、何個も何個も卵を産み続けるんだわ。
「アスカ、おっはよっ」
「おはようヒカリ。もういいの?」
「うん、もう元気元気」
 とっておきの笑顔をアスカに返す。その笑顔の意味が通じたのか、アスカもとびっきりの笑顔を返してくれた。



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From:触手のある風景