ボクのヒミツたいけん


Scene.25
Original text:引き気味


「毎日毎日すまんなぁ」

白い枕から半ば頭を浮かせるようにして鈴原トウジがヒカリに掛ける、この頃お決まりの言葉。
病室にしては大きい壁一面の窓から差し込む光は茜色に染まっていて、そろそろ陽が落ちようかという西の空の様子を、光ファイバーを通じて地下世界に伝えてきていた。

「いいのよ。わたし、委員長だもの」

当然のことだわ、と立ち上がりながら言うヒカリは、枕元に寄せていた丸椅子を静かに壁際に戻した。

「それじゃ鈴原、また明日」
「ああ。……気ぃ付けて帰れや、な」

それが照れとの折り合いなのか、手首を軸にシーツの上で小さく振っているトウジの掌は、指も中途半端にしか伸びてはいない。
その割りに腕に繋がれた点滴のチューブはゆらゆらと大きく揺れるのを目の端に残して、ヒカリは病室を後にした。

シュッと閉まる圧搾空気の音。
ドアを背中に一旦立ち止まった爪先の向きを90度横に変えると、通路に置かれた長椅子からは、碇シンジが立ち上がるのだった。



◆ ◆ ◆



以前はしなかった皮肉っぽい笑みを向けたきり、一言も無く先を進むシンジによって、ヒカリは次第に人気の少ない廊下から全く無人の一角へと連れ込まれていた。
足も止めずに周囲を見回し確認を取ったシンジは、もう、つもりというものを隠す気配もなくヒカリをぴったりと脇に引き寄せている。
最初腰に回された手はスカートのお尻に下って撫ぜ回し、すぐにわき腹から胸へと移った。

「んっ」

恋人のように寄り添い歩くシンジには、首筋から耳たぶまでが早くもはしたない期待に紅潮してしまっているのが良く見えていることだろう。
制服の上からじっくりと乳房を揉みこねながら、時折顔を向けて、抑えきれず息遣いの詰まる様子を楽しんでいるのだと、うなじに当たる吐息が教えている。
含み笑いの波動に、そのうなじが羞恥でそそ毛立った。

(やだっ、何でこんな……)

たかが胸をいじられた程度でと、思わぬ動揺がますます頬の火照りを熱くさせる。
ふくらみをすっぽりと包んでモミモミと捏ねまわす五指の刺激など、いつもの遊びにすれば入り口でしかないのに……。そう考えるヒカリは、自分を「慣れた女」だと思っている。
もう乙女ではない。
何も知らないクラスメイトが顔を赤らめる「体験済みの女の子」と呼ぶのすらおこがましく、女の器官は貫かれる痛みよりも繋がる良さの方をとっくに覚え、更にはこのシンジ相手に変態的な肛門性交をすら味わった。
男の子に向かって自分の一番恥ずかしい部分を拡げてみせるような真似はとんでもなく不潔だわと今でも認識してはいるが、セックスを一番の楽しみにしている今の自分はそれを躊躇わない。メス犬を演じるポーズをとって、『入れて』と自分から誘うことも出来る。
付き合っている男の子は同時に二人。
処女を捧げたずっと好きだった恋人の他にも裸になってみせる男の子がいて、つまりトウジとシンジの二股。なんて酷い―― でも、やめるつもりはない。
時には同時に愛して貰うし、恋人の目の前で犯されるシチュエーションもゾクゾクして素晴らしい。お気に入りのプレイだ。
比喩でなく代わる代わるに、体の裏も表もペニスの形を忘れる暇も無いくらい犯してもらう爛れた日々を経験してしまっているが、まだ中学生なのにとか後悔したことは無い。
クラスの皆も、恥ずかしがっていないで早く体験してみれば良いのにとすら思う。
そればかりか、自分は普通の女の子は思いもしないだろう、犯す側の興奮も知ることが出来た。
そんな自分が、

(やっ、あ、恥ずかしい……! あ、ああ。ちょっと待って。わたしったら、どうして!?)

シンジに連れられ、まだ今日のお楽しみのためのベッドにも辿り着かない、挨拶程度の愛撫なのに、

「んっ、んあっ、ハァァン」

腰は今にも砕け落ちそうになっていた。
足取りが定まらない。自分が両足を交互に出して股の付け根でショーツが軽く擦れる、それだけで驚くほど敏感になった秘唇が熱を生む。

(ああっ……、濡れちゃう……ぅ)

いつしかヒカリは、静まり返った廊下に己が浅ましい嬌声が響いてしまうのを恐れるように手で口元を押さえていた。
それでも、はぁふぅと人に聞かれれば疑われる息の荒さは隠し切れず、その先の人の有無が分からぬ曲がり角に近づく度、ヒカリは怯えねばならなかった。
自分とトウジの二人で連れまわした―― 下着を付けさせぬままだったり、パールローターといった淫具を仕込んだまま衆人の中に放り込んだ―― アスカを苛んだものが、こんな身を灼くような羞恥地獄であったろうか。

「ま、待って……あ、はぁぁ……ぁ、碇くん……。ちょ、ちょっと私……っ」

普通に歩くシンジに付いて行くのが、酷く難しくなっていた。
ドキドキという胸の高鳴りは尋常ではない。
急激に胸の先が張り詰め、シンジの指先がブラウス越しに爪を立ててコリコリとくじるのが痺れてしまうほどの快感に思える。

(こんなに感じちゃうなんて……、普通じゃないわ。ああ、お願いだから早く……!)

喘ぎながら一心に願うヒカリを連れ、シンジが向かう先は程なく知れた。
それまでヒカリには無縁だったこのジオフロントに建つネルフ医療施設だが、今や乗機を失った4thチルドレンたるトウジの入院を見舞う他、もう一箇所、この病院にはヒカリが最近通い慣れた部屋がある。

「あ……、やだっ。碇くん、ここって……」

ヒカリはたじろいだ。
シンジが足を止めた前のドアには、鈴原トウジの妹の名が記されていたのである。

「平気だって、ほら。ぐずぐずしてる方が誰かに見付かっちゃうかもよ?」

シンジは強引だった。

「大丈夫だって。ここなら誰にも見付からないよ」
「だ、だって……、やっ、ああっ!」

背中から回った腕がヒカリの腰を押す。
華奢に見えても、訓練で筋肉を鍛えられた男子の腕力だ。太股の奥をヌルヌルにしてしまっていた足では踏ん張りが効かない。

「何してんのさ。……時間が勿体無いじゃない。さっさと楽しもうよ、委員長」

そして、充血してツンと尖った乳首を薄いブラウスと一緒に抓み上げられて、

「ふにゃあっ! ああん、碇くん……っ」

甘美な刺激とも背中合わせに感じてしまう痛みで引っ張られるように、ヒカリは病室の中に蹌踉めき踏み入ってしまったのだった。



◆ ◆ ◆



侵し難い静謐さに保たれた病室の中、ベッドに横たえられた幼い少女。
鈴原トウジの妹であるナツミの瞼を閉じた顔は、この少女がやっと生命の危機を脱し、苦痛の無い安らかな眠りにつく事が出来たことを知る者には、真摯にこそ向かい合うべきものであった。
特にヒカリは、そのためにトウジが支払った代価の重さを知っている。
鈴原ナツミの兄は、妹に世界最高レベルの医療を与えてやるために、危うく右足を失うほどの重傷を負ったのだ。

「だ、だめよ、碇くん」

声は震えている。
彼女の細い喉を喘がせるのは、凍り付いたかの如く動かせなくなってしまった両肢の内側をシンジに撫ぜまわされる慄きだけではなかった。

「ふふ、大怪我したトウジに優しくしてたすぐ後なのにね。僕にこうされて委員長ってば、もういやらしい気分になっちゃってる……。それって、どんな気持ち?」
「あ、ああ……言わないで……」

スカートの中を探る手が13歳の少女のなめらかな脚線をサワサワと楽しんでいる。
内腿を熱のむっと篭る上へと向かい、閉じ合わせて守ろうとするのも容易くこじ開けて、淫猥な手つきを鼠蹊部周辺に張り付かせたまま、伸ばした指先が些かの遠慮も無くショーツの湿地帯をなぞり上げた。

「あーっ!」

甘い悲鳴の中心部から身を折ったヒカリは、咄嗟とは言えナツミのベッドに手を突いてしまった。
幼い眠り姫の顔がぶつかりそうに間近に。ハッと歯を食いしばったのを斟酌することなく、シンジの指はジュクジュクと蜜の染み込んだ薄布をこすり回す。

「いやっ、あっ、おねがい……待って、碇くん―― ン! あああっ!!」

このままではナツミを起こしてしまう。もしも、こんな小さな女の子に見られてしまったらと思うと、ヒカリは生きた心地が無かった。
それにナツミは、自分をトウジのガールフレンドだと無邪気に慕ってくれているのだ。
到底、こんな場所で密事に及ぶわけにはいかなかった。

「ナツミちゃん……起こしちゃうから……だめよ、ねえ……! ねえってば、……あ、あうっ、ヤッ! 触るの、ちょっと……あっ、だめぇぇ」

くの字に折った膝をくねらせ悶え、喘ぎ声が漏れそうになるのを耐え忍びながら、凡そこの大人しい少年のとは思えぬ振る舞いをやめてくれるように訴える。
しかし、シンジに聞き入れる素振りは一向に無く、寧ろヒカリの羞恥に身を揉んで焦る反応をさも楽しそうに受け止めているのである。

「どうして? 委員長のエッチなここは、いつもみたいに喜んでくれてるじゃない。ねぇ、僕も大分上手になったでしょう?」
「んんーっ! そこは……あっ、あふぅゥウンッ!」
「ふふ、お尻の方までビショビショにしちゃって、まるでお漏らししたみたいだ。洞木さん、クラス委員長なのにね」
「だから、ナツミちゃんが……アッ、やっ、パンツを下ろしちゃ……あ、ここじゃイヤよ。待って、待って碇くん……あはゥうう!」

後ろから抱き付くシンジの両手が、スルリと膝まで下着を引き下ろしてしまった。
『あっ、あっ』と他愛もなく喘がせられている所為でヒカリの思考は混乱の只中にあったが、奥手だった筈が及びも付かぬ大胆さに対する驚きが、この少年の気質を今まで見誤っていたのかと漠とした不安を呼んでいた。

「ほら、パンツが伸びちゃうから」

脱がせやすいように足を上げてと一方的に告げ、手馴れた仕草でヒカリの濡れ濡れの淫らさを覆う最後の守りを取り上げてしまう。
その間も露となった下腹の茂みをまさぐり続ける巧みな指遣いがヒカリに抵抗を許さない。

「あくくぅぅ―― っ」

少しひんやりとした中指の腹が恥毛を掻き分け、唇に似た裂け目を割り、熱い浅瀬を浚ったぬめりで丹念にクリトリスを磨き上げた。
肉竿を二本同時に唇と秘唇で相手する乱交まで経験し、性愛器官として充分な発達をはじめている14歳の瑞々しいヌードはたちまち発情し、断りも無しに交尾の支度を整えてしまう。

すべすべの丸い尻たぶのあわいで咲いた淫花は、陽に当たったことの無い周りの白さからハッと息を呑む鮮紅色にぬめ輝き、薄布が頼りなくも蓋の代わりを果たしていた隙間がぱっくり割れて、つぅ―― と、糸引く蜜汁が滴り落ちた。
『はあぁ……、ぁ、いやぁ……』と、膝の間に落ちた粘滴の音に知る、か細い羞恥鳴き。
そっと優しくも容赦ない指先で包皮を剥かれた肉芽は、ヒクヒクと外気に触れる敏感さに慄きながらプックリ起ち上がる。
(良いっッ!)と目の眩む快美感の塊と化す。

「はぁあふ、ふっ、フゥウーっッッ!?」

つぷぷと挿入される人差し指、中指、薬指。
しとどに濡れたピンク粘膜には、一足飛びに侵略される刺激は鋭すぎた。
いやらしい指先に恥丘の花溝を一なぞりされるだけでも、来ると身構える以上の歓びがビリビリと沸き起こるのだ。

(な、何で……っ!?)

タッチの一つ一つが、これまでの性愛経験に参照すればもっと時間を掛け、たっぷり悦がり狂わせて貰った頃に辿り着ける筈の、つんざく高みを轟かせる。
こんな場所で求めるほど浅はかでは無いつもりなのに、ウェストを無意識にくねくねと振ってしまうのが止められない。
ヒカリが自分で思うよりも半歩早く―― いや、それ以上のペースで、肉体の感度が次なる性愛のステージへ突入しているとしか思えなかった。

「はふっ、ふく……っ、ッフ! ふはぁぁ……! おねが……い、いかりくン……ん!」

『ちゅぼ、ちゅぷ』と、クレヴァスに粘っこく抜き差しが加えられていた。
このままシンジの送り込む官能に浸ってしまいたいという衝動が湧き上がり、ともすれば、堰を切ろうとする悦がり声を両手で塞いでいる、その自分の手のひらをぺちゃぺちゃと舐めしゃぶりたくなってくる。
この熱い息でキスがしたい。それか、銜えてあげたいと思ってしまう。

ちゅく……ちゅっ、じゅぷっ

膣口に挿し込まれた指がいよいよ四本に増えた。
天井の襞をくすぐってくれる。細かな振動で雛尖の裏を揉んでくれる。指の間を開けたVの字で蜜穴を拡げてくれる。
そのお気に入りの愛技が、逆らおうと厳しく結んでいた眉根を解かせていくのだ。
このままトウジとセックスへの興味で様々な探求をする時のように、アスカと同性同士の粘膜を舐め合う時のように、お互いの恋人が自分以外のパートナーに抱かれて上げる声をバックに繋がる時のように、子宮の辺りに生まれた原始的な欲求に身を任せてしまいたかった。

「ああ、ああ……。あ、ああぁー……」

―― 気持ちいいわ。ああ、でもダメよ。だめよヒカリ。ナツミちゃんが目を覚ましてしまうもの……。

葛藤を続けるヒカリは、しかし、今の姿勢は既にのしかかるシンジに膝を折ってしまっている。
ナツミがすやすやと規則正しい寝息を漏らす枕元におとがいを埋め、口元に当てられた手をも濡らす涙は、歓びに満ち満ちたかたちで瞑る瞼から流れ伝うもの。
額にふつふつと浮かぶ興奮の脂汗。
ベッドに向かって床に跪いた姿勢が、自然とお尻を掲げた後背位の受け入れポーズになってしまうのは、可愛らしくも派手さなどない素朴な顔立ちなのに、そんなにも淫行経験を積み重ねてしまった無意識の成したことだった。

「そろそろ良いね、委員長?」

ジッパーを下ろす音がして、シンジが尋ねてきた。
―― 尋ねてはみたが、答えを待とうは考えていないのだと、直後に花弁の綻びにあてがわれた少年の切っ先の感触が伝えていた。

『ああ!』と拒絶を表すべき悲鳴を上げて、ヒカリの赤くなった目が肩越しにシンジを見上げようとしたのも遅過ぎる手際良さ。
学生ズボンの前から隆々とそそり立ったペニスは、もう後ろから少女の膣肉に包まれていた。

「やだっ、あっ、あぅああッ―― っ。な、ナツミちゃんの前で……は、恥ずかしいっ」
「あはっ、委員長も恥ずかしいんだ?」
「ばかっ! な、なに考えてるのよ碇くん。こんなとこ見られちゃったら、こっ、この子になんて言い訳すれば―― あ、あはぁっ!」

煩悶してお下げ髪を振り乱す少女は、密やかな泉から湧き流れる蜜汁を利用したシンジのピストンに『あぅああッ!』と息を乱すその下で、泣きそうに抗議を連ねていた。

「ふぅん……」

翻ってシンジはさも軽く受け流す。

「鈴原の……妹の……前で、わたしっ……!」

スカートをすっかり捲り上げられ、白いお尻を出して犯されているヒカリは、肌を重ね慣れた少年が自分を今になって珍しいものを見るかの如き―― その一方、いかにも面白がる風情の表情でいるのは窺い知る由も無い。

「見られながらスルのって、委員長も好きでしょ?」
「それとこれとは!」

本気の恨めしさで大声を上げかけ、そしてまた眠るナツミの耳元なのだという意識が飛んでしまいそうになっていたとヒカリは慌てねばならなかった。

「……あ、それ良い」

そんなヒカリの臀丘に腰を打ち付けているシンジの、弾んだ―― 勿論、ヒカリの秘門の味わい、締め付けに対する―― 感想。

「今の、すっごく締まったよ。……ねえ委員長、今、ドキッとしたんでしょう?」

クスクスと零す。
カーッと一気に真っ赤になってしまったヒカリが何か言おうとするのを、隙を突いて見事に子宮口に食らわせた亀頭のパンチで封じ、

「ナツミちゃんにも見てもらおうか? 委員長のこと、トウジのガールフレンドだって知ってるんでしょ? でも、僕ともこんなことしてるなんて知るわけないよね。……やっぱり軽蔑されちゃうのかな?」

『それに、ひょっとするともうエッチなこと知ってたりして。興味津々の目で見てくれるかもね』などと、太平楽に言ってのける。
それがヒカリには分からなかった。

「……何を……っ、言って……いるの?」
「だから、アスカにずっと僕が知らない内から教えてくれてたんでしょう? 恥ずかしいのって、凄く興奮するんだってさ」
「それは……あ、あうぅ、うンッ。だ、だめ……本当に起きちゃう、ナツミちゃん起きちゃうから……そんなに突いちゃだめぇ」
「ほら、またキュッとした」
「おねがい……碇くん……。ううっ」
「だめだよ、委員長。折角、アスカがあんなに悦ぶって知ってるのに。それを教えてあげた委員長が自分でも楽しまなきゃ、勿体無いじゃない」

ほらとシンジは背けようとしているヒカリの顔を後ろから向き直らせた。
罪も穢れも知らずに眠る天使のような寝顔が、涙に滲んだ視界一杯に飛び込む。
その小さな目がぱっちりと開かれ、眼前に発見した驚きをすぐさま嫌悪と蔑みに変えて睨んできたら――

(ああっ、いやぁ!)

『お姉ちゃん、不潔……』と聞こえた気がした。
背筋がぴくんと慄いた。
これまでトウジやシンジの前でどんなに淫らな真似をしてみせてもついぞ覚えなかった類の、切迫した羞恥が沸き起こり、ヒカリは声を押し殺して啜り泣いた。

「……は……ああっ」

ずぶずぶと女陰に沈められたシンジの屹立は、病室の床にヒカリの愛液を散らしながら力強く抽送を繰り返している。
その腰遣いは、初めてヒカリに童貞を奪われた時とは見違えるほどの余裕を持って心得た緩急を使い分け、深く深く抉るように、根元まで貫いて8の字に掻き回すように、あまりに的確に女性の器官を愛で嬲る。

アスカとのセックスで身に付けた分もあろうが、殆どはヒカリが自分の一番感じるようにレッスンしたものだ。
性感の昂ぶりにドロドロと意識は混濁し、辺りも省みずに雌犬のように吠え悦がればすぐ幸せになれる―― そんな底無しの愛欲情動に飲み込まれそうになるのは当たり前だった。

「わたしが……わたしがアスカを苛めていたから……、あ、怒って……こんなことをするんでしょう……?」
「あはっ、おかしなことを言わないでよ。トウジが入院しててずっと出来ないでいる委員長のために、一生懸命考えたプレイだよ。楽しんでくれれば僕も嬉しいからさ」

優しく耳朶を食んで、性感帯でもある首筋をねっとり舐ってくれるシンジ。
囁きは繋がりあった下半身の運動とはうって変わる甘い声色で、ここがいつもの四人の乱交の場なら、きっとヒカリは嬉しく鼻を鳴らして絶頂に駆け上っていけただろう。

―― でも、こんなのじゃイヤ。あ、あんまりよ……!

美しい同級生の肢体に欲望を滾らせるトウジでもなく。
被虐の快楽に繋がれた可愛そうなアスカでもなく。
そして満を持してこの淫猥な真実に引き入れたシンジでもなく。

無垢な小学生の少女、鈴原トウジの妹を前にして、ヒカリはにわかに当たり前の少女らしい羞じらいを取り戻していた。
そして熱に取り付かれたかの没頭で耽り続けてきた堕落の日々に向かい、蘇った「潔癖なクラス委員」である洞木ヒカリの顔は、指を突き付け糾弾するのだ。
『なんて恥知らずな……!』と。

(あ、ああ……でも、でも感じちゃうのよ。こんなの……はじめてだわ。どうして……? どうしてこんなに……私のアソコ、熱くなっちゃうの?)

トウジのものと比べ歴然と大きい―― それが故に、ずんと重く貫いてくれるシンジのペニスが、何故か今日はいつもよりも一際逞しく感じられる。
狭隘な肉路が、少女の淫乱さが分泌させたヌルヌルのオイルに潤滑させられているのを、発達したエラがぐりぐりと攪拌しながら『ひゃぁふ、ふいぃひ、いぃいんんンン!』と玩弄すると、ずり落ちそうになるのを必死にシーツを掴み、肘を引っ掛けベッドにしがみ付くのが精一杯。

いやだ、いやだと。妹と同じほどの少女の前で絶頂を極めさせられる、そんな汚辱はいやだと悲鳴を軋ませつつも、既にヒカリの肉体は彼女の意識が制御する手を離れ、加速的に灼熱する一途にあった。
クライマックスに達するのはもう避けられない。それがはっきりと分かってしまう。

「やめて……。お願い許して……、ねぇっ! ねぇぇっ!」

怯えるように首を振り乱し、ポロポロと涙を零す。

多少のスケベ心も当たり年頃らしさだったトウジを誘い色欲の餓鬼に変え、そして共謀して親友のアスカの純潔を奪い、虚ろな目で交合の痕跡をドロリと残す自分達の性器の後始末までするようにマゾ飼育した――

『いいわ、いいわよアスカ。あはっ、アスカの舌っ、いいわぁ。もっと舐めて……あん、そのまま……奥まで綺麗にしてね』
『うんっ。あたひが……んむ、んっ、……れんぶ……全部飲んじゃうの。ヒカリのオマ×コの……ざぁーめんン。するはらの出したのぉ……』
『そうよぉ……、うふふ。エッチな……んっ、メスイヌちゃんのアスカは、鈴原の精液が大好物なのよねぇ。嬉しいでしょ? 私の後は鈴原のおちんちんをおしゃぶりさせてあげるわ』

そう言って、内股まで白濁液まみれの秘部にペロペロと可愛い舌を遣う美少女に向かい、『そうなのぉっ、う、嬉しい……もっとぉ、もっとセーエキ飲まふぇてよォ……!』と、心からの感謝を叫ぶまで教え込んだヒカリ。
同い年の少年少女四人で耽る性宴の女主人であったヒカリは、そんないつもの振る舞いも跡形無く、色事師として開眼したかの如きシンジにドッグスタイル・セックスで屈服させられて、狂い啼かされていた。

「ひいっ、いっ……ああ、いやよォ……」

その怯えて見開く黒い瞳に、夢の世界にまで邪魔する何かが聞こえたのか、ふるふるとむずがるナツミの横顔が飛び込んできて――

「あっ、あああ―― っっ!!」

下着を脱がされたまっ白な尻をガクガクと揺らし、ヒカリは絶頂に溺れた。
首を仰け反らせ、悩悦の叫びを迸らせてしまった唇に振り切られた両の手を、キュンキュンと戦慄く己が細身を抱きしめるように胸の前で堅く拳にして。
結局、ヒカリの肉体はシンジの責めに陥落してしまったのだ。



◆ ◆ ◆



抱え込んでいた細腰を開放し、シンジが友人の恋人の中から抜いて身を起こす。
ヒカリの粘膜は絶頂の瞬間からキュウッと何度も収縮して白濁の迸りをねだっていたが、シンジは射精せず、その怒張は天を向いてそそり立ったままである。

「は、はぁふ……は、ああ……」

焦点の定まらない目で顔をもたげ、ヒカリはナツミの様子を窺った。
あんな大声を上げてしまって、やはり目を醒ましてしまったのではないか。
恐る恐る覗き込む。
清潔なシーツを掛けられた小さな胸の上下は規則正しく、スースーと静かな寝息を立てる天使はまだ、安らかな夢の内にあった。

「……怖かった?」
「当たり前でしょ。もうっ」

思わずほっと息を吐いたヒカリだ。
とは言え、熱を帯びた肌はまだ到底鎮まってはいない。
無軌道な好奇心で自らをトウジやシンジを対手として開発してきた―― このクラス委員長を務める少女は、級友や教師が抱く清純なイメージとは裏腹な、酷く貪欲な性を心に飼っている。
一度火が付けば、飲み干さなければ性器の疼きは収まらないのだ。
くたくたと崩れ折れた腿の内側には、男に置き去りに一人だけ達してしまった気だるい心残りが、ねっとりとした涎になって垂れ落ちていた。

(まさか、あんなに感じちゃうなんて……)

緊張が解けたことで、ヒカリには振り返る余裕が生まれている。
心の準備の出来ぬまま押し切られたセックスなど、この淫らな少女の場合、友人にしてペットたるアスカにはいくらでも味あわせ泣かせているというのに、自らは初めてに近い体験だったのである。
それは、被虐に狂い咲くアスカの悩乱に重ね見た想像よりも遥かに妖しく、甘美なものであった。
膨れっ面をして見せてはいたけれども、安堵が滲んでよりももっと扇情的に潤んだままのヒカリの瞳を、休憩と腰掛けるベッド際から眺めるシンジには見透かした笑みがある。

おいでよと差し出した手を、ヒカリは意外なほど素直に掴んでいた。
ギシと二人分の体重を受けたベッドが微かに軋み、少女はまた理性を痺れさせるキスに唇を吸われていた。



◆ ◆ ◆



「……ナツミちゃんは検査を受けたばかりなんだ」

それゆえ今は、薬を使った深い眠りの中にある。ちょっとやそっとどころか、余程のことでも目は覚めないはずだよとシンジは説明した。
ネルフの用意する睡眠薬の効果の程は、自分自身が良く知っているから大丈夫なのだと。

「あ、あ、あ……、あっ、痕に……なっちゃう……」
「トウジとは暫くは無理なんだし、良いじゃない。今は委員長は僕の独り占めだよ」

ぴちゅ、ちゅと淫らな水音を立てる口付けは、はだけた胸に峻立するピンク色の頂の周辺にいくつものマーキングを刻んでいるところだ。
異国の血の混じるあの美しい友人には及ばぬものの、女らしさを急速に備えつつある可憐なお碗型の膨らみ二つは、未通娘の級友達には無い色香をも備え始めている。
シンジの手が包み込み、やわやわと揉みこねるには丁度良いサイズ。

「だ、だったら……!」
「早く言ってって? でも、その方が委員長も興奮したでしょう?」
「そんな……」

覗き込まれながら、その証拠のようにはしたない大洪水になってしまっている脚の間を弄り回され、ヒカリは頬を染めた。

皺になるからとスカートは脱がされ、勝手にシーツをはいだ寝台でパジャマ姿のナツミの脇に横たえられている。
義理の姉、妹の間柄とも見れる少女二人の隙間に片膝を入れ、シンジはヒカリの半裸に覆い被さる姿勢。
10歳にもならないあどけない少女をこう間近にしては、何と言われようともやはり睦み合いの声を出してしまうのは躊躇われる。
その上にナツミの寝顔はどこまでも清らかで穢れなく、比べて、シンジの手に乳房を揉まれ、陰唇をくじられる度、ヒクヒクと小鼻を膨らませて腰をよじる淫らな自分。
堕落の姿を並べることには、拭い難い引け目を覚えてしまうのだ。

そして、そんな対照的な自分達をシンジは等しく視界に収めてしまっている――

「あっ、碇くん……ん、碇くん……やっぱりわたし……」

不意にヒカリは身の置き所の無い羞じらいに慄えた。
ナツミの横で、一緒に少年の視線に曝されるのが居た堪れない。

「ふふ、いけないお姉ちゃんだよね。トウジが大切にしてるナツミちゃんの前で、僕なんかとこんないやらしい事をして夢中になって……」
「ああっ、あっ、だめぇ! それは……あ、お、オッパイ……気持ち良過ぎるのぉぉ―― !」
「んむ、んちゅっ。委員長の乳首、コリコリして美味しいよ……」
「ぉあ、ああう……うっ、いいっ。あはぁ……ぁ、碇くんっ、そんな……あ、赤ちゃんみたいに……」

シンジの手は極上のパン生地を揉みこねるようにヒカリの乳房の形を変え潰し、ヒリヒリと熱を帯びた乳首を歯と舌でいじめ転がす。
だめよ、だめだわと言い聞かせようとしても、少女の声は淫乱の響きで裏返ってしまう。

「ほら、ナツミちゃんも酷いって、お兄ちゃんの彼女失格だって」

無造作に伸びた手が寝顔の頬を寄せさせ、吐息の距離をヒカリの首元に押し当てた。
スゥ……と、敏感になったそこを撫でる、あまりに残酷なそよ風。

―――― !!」

瞬間、ヒカリは歯を食い縛っていた。
伏せた睫毛がふるふると震え、ギュツと閉じた瞼の隙間からはひっきりなしの涙が流れる。
剥き出しの下半身で、ソックスを履いただけの脚がピィーンと突っ張っていた。

また軽くアクメに達してしまったのだ。

「はっ、はっ、はっ、はっ……」

……信じられない。そんな顔でヒカリは呆然と直後の荒い呼吸を整えようとする。

確かにシンジは熟達を見せ始めていた。
アスカが少年の知らぬ場所では雌奴隷のようにトウジに跪き、従順すぎる程の肉奉仕を嬉々として行っていると知ってからは、見違えるほどにだ。

チェロを弾くという繊細な指の引き出してくれる官能と、恵まれたサイズのペニスがくれる、深い部分への刺激。
童貞であった日が遠くなるにつれ、濃厚なセックスの中で嵐のように狂わせてくれるようになってはいても、しかし、今日のシンジはまだまるで息を乱してもいない。
言うなれば前戯程度に軽く手を出しているだけ。
だのに、ヒカリはといえば、トウジやアスカと奔放に試してきた中でも無かったような体たらくであしらわれてしまっている。

(胸もアソコも、体中が嘘みたいに感じちゃってる。……ど、どうしてなの……? わたし、一体……)

得体の知れぬ昂ぶりに不安を覚えつつ、予感するのは未体験の境地が垣間見えたときめきだろうか。
知らず知らず媚びた眼差しを向けてしまうヒカリを、シンジの中性的なほほ笑みが柔らかく受けとめる。

ただ目は、その父親譲りの黒い目だけは、冷え冷えとした観察を少女の反応に向けていたのだ。





To be continued...



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