ボクのヒミツたいけん


Scene.02
Original text:通行人Sさん


「上手いとね……碇くんは悦んでくれるわよ」
「喜ぶ…シンジが喜んでくれるのかな……」

 アスカは雰囲気に飲まれていた。
 ヒカリはまるで劇場に立つ催眠術師のようにアスカの耳元に唇を寄せ、囁きかけた。

「碇くんには、アスカはいつもお世話になっているじゃない?」
「そんなこと……」
「鈴原の前だからって意地張らないで。いつも私に言ってるでしょ。“シンジは優しくしてくれるのに、あたしは何もできない”って」
「でも―― でも……」

 アスカは耳を押さえ、首を振る。
 
「アスカ……男の子って、お弁当とかキスなんかより、これが一番悦んでくれるのよ?」

 ヒカリはそう言ってから、剥き出しにされたトウジのペニスを手にとった。すでに二人の少女の視線に晒されて膨張していたそれは、ヒカリの手の中でさらに膨れたかのように見えた。
 
 見えた――
 
 そう。
 アスカは耳を抑えながらも、その光景から目が離せないでいる。
 ヒカリの指から目が離せないでいる。
 トウジのペニスに視線が釘付けになってしまっている。
 
「………っ!」

 トウジは無言で、しかしうめいた。
 ヒカリの指がさわさわと動き始めたのだ。まるで猫の頭を撫でるかのような手つきで。
 そして。
 口を必要以上に開け、ヒカリはそれに顔を寄せた。
 唾液に濡れた舌が伸びて、先端の部位―― 亀頭に触れた。
 
「…………!!」

 アスカは声もなくそれを見守っていた。
 ヒカリの舌は口の中から唾液をかき上げるように動かされ、亀頭にそれを塗り広げていく。
 やがて唇をすぼめたかと思うと、鈴口を微かに吸い上げるようにキスをした。
 唾液の線がその唇との間に結ばれていた。
 
「気持ちいいでしょ、鈴原?」
「ああ……イインチョ……気持ちエエけど、そんな殺生なことせぇへんでくれ……」

 トウジは懇願するように言う。
 
「ダーメ。後はアスカがやるから」

 ヒカリの笑顔は無邪気だった。
 
「何言ってるのよヒカリ……!」

 声を荒げるアスカに、ヒカリは再び顔を寄せた。
 
―― 見たでしょ? 男の子が一番悦ぶのはコレなのよ?」
「だ、だけど……」
「ずっと見てたクセに―― 興味、あるんでしょ?」

 アスカは熱病にうかされたように唇を何度も開けた。そこから明瞭な言葉紡がれることはなかった……。



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