「でてきちゃだめだよ」
 ポニーテールの「彼女」はささやいた。玄関のドアを乱打する音が次第に大きくなっていた。
 レイは何度も首を振る。立ち上がろうと努力する。
 からからに乾いた唇で言葉を紡ぎ出そうとする。
 無理だった。
 闇で手に入れた抗生物質の大量投与でなんとか感染症を押さえ込んでいる肉体は、その意志に応えられない。
 「大丈夫だから。キミがいないと分かったら、諦めて帰るはず」
 熱を帯びたレイの頬をそっと押さえると微笑みとともにドアが閉じ、鍵がかけられる。
 襲撃者たちの野卑な声と家具や食器の壊れる音、「彼女」とその母親の悲鳴が聞こえてきたのはそれからしばらくしてからだった。
 レイは暗闇のなかでぎゅっと目を閉じる。
 内臓まで達した傷はまだ癒えず、高熱はまだ下がらない。
 レイはいま、ただの無力な少女に過ぎない。
 やがて廊下に乱暴な軍靴の足音が響いた。手当たり次第にドアが開けられる。壁を乱暴に叩く音が聞こえる。
 やがて足音はレイのすぐ前で止まった。
 がちゃがちゃとノブを引く音、ドアパネルを力いっぱい蹴る音。
 レイは無感動に暗闇を見つめていた。
 だがやがて、足音は遠ざかっていく。そのかわり悲痛な「彼女」とその母親の声が、男たちのはやし立てる声が聞こえてくる。
 衣類が引き裂かれる音ののち、「彼女」が苦悶の声をあげはじめる。
 やがてその声が、屈辱混じりの「おんな」の声に変化する。
 レイはすすり泣くことしかできない。
 暗闇の中で、自分の弱さを呪うことしかできない。



-MODEL- Ver.R(2)






 レイは自分の泣き声で目を覚ました。
 しばらくぼんやりと天井を眺める。
 そこは暗闇ではなかった。
 そこは階段下の物置ではなかった。
 柔らかく、清潔なベッドの上だった。
 そこは「碇」レイの私室だった。
 彼女のための清潔で心地よく、暖かな部屋だった。
 「涙……」少女はつぶやき、ごしごしと頬をこすった。
 レイは溜息をつく。また「思い出して」しまったのだ。
 少女がただのか弱き存在となったときに、無償の好意を示してくれたひとびとのことを。
 そう。
 さっき夢に出てきたのは、戦いののち大量に失血して衰弱しきったレイを救ってくれた母娘。
 「黒の男たち」との死闘で致命傷を負い、這うことしかできなくなったレイを我が家に迎え入れ、なにも尋ねずに貴重な抗生物質……その「世界」では狂信的なテロリストと腐敗しきった政府との戦いが二〇年以上続いており、社会はなかば崩壊していた……を惜しげもなく使ってくれた女医とその娘。
 そう。
 「碇」レイが一度も会ったことはなく、今後も決して会うことがない人たちについての夢。
 究極の献身と善意をレイ……いま、この清潔なベッドに横たわってすすり泣く少女の姉妹……に与えてくれた人たちについての夢。
 だが、少女は知っている。
 そのレイ……あまたの世界に存在する少女の姉妹のひとり……はその献身と善意に応えることができなかったことを。
 全力を尽くしても、奇跡を起こすことができなかったことを。
 「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」
 柔らかな太陽の光が差す部屋の中で、少女は声をあげて泣いた。



◆ ◆ ◆



 軽快で少し間の抜けた電子音が短く鳴った。
 毛布にくるまってまだしゃくり上げていたレイはゆっくりと枕元に手を伸ばす。
 シンプルな携帯電話がそこにあった。誰かがわざわざ置いたらしい。
 首をかしげて引き寄せる。
 「……なに、これ」レイは栗色の瞳を何度もしばたたかせる。
 携帯電話には見覚えがあった。碇ユイが少女のために買ってくれたものだ。
 だがそれにくっついているマスコットにはまったく見覚えがない。
 昨夜までレイの携帯電話に、こんなものなど付いていなかったはずなのに。
 それはレイがもっとも苦手とする赤毛の美少女お気に入りの、なんとも形容しがたい生物だった。
 彼女は溜息をつく。
 画面に視線を落とし、もう一つ溜息をついた。
 「おはよー起きた?もう元気ー?プレゼント気に入った?」
 授業中のはずなのに。レイは思う。それに、体調をたずねるにはずいぶんお気楽じゃないかしら。
 さらに……。
 「プレゼント、これが」
 憮然として少女は携帯を揺すった。
 惣流・アスカ・ラングレーがサルだと主張するそれは、脳天気な表情のままでふらふらと踊る。
 ……一体なにを考えているのだろう。惣流・アスカ・ラングレーという娘は。
 レイは首をひねる。
 ……一方的で、わがままで、移り気で、でも他人を魅了する少女。
 ……好奇心旺盛で、なんにでも首を突っ込んで、でも急に優しい言葉をかけてくる少女。
 ……甘え声で近づいてくると逃げ出したくてしょうがないのに、いなくなると急に寂しくなる、とても気になる女の子。
 ああ、そうなのだ。
 唐突に彼女は理解する。
 似ているのだ。「彼女」に。
 瀕死のレイを救ってくれたポニーテールの「彼女」に。
 外見はまったく異なるけれど、その口調が、その態度が。
 レイはごしごしと目をこすった。携帯の画面がにじんでいる。
 少女は再び決意した。
 ……もう負けない。今度こそ滅ぼしてみせる。
 ……かならず、助けてあげるから、約束するから。だから……。
 レイは誓い、決意を新たにする。
 再び電子音。画面を見つめた。
 「あのねーあのねーシンジったら、先生にあてられてアワアワいってるー」
 レイの全身から力が抜け、枕に突っ伏した。
 なにか自分がひどく間抜けになったような気がした。
 しかし、アスカからのメッセージ攻勢はとどまることを知らない。
 「またシンジ、あてられた」
 「シンジったら、ジャージに答え教えてもらってる。絶対聞く相手、間違ってる」
 「やっぱり間違ってた。あ、シンジがジャージに苦情いってる。信じるほうがバカなのに」
 「おなかへったー。おべんとうまだかなー」
 枕の下に携帯電話を突っ込んでレイはベッドから抜け出した。カーディガンを羽織り、スリッパを突っかけるとキッチンへと向かう。
 ……もう知らない。あんなコなんて、もう知らない。

 レイは自室でテレビを眺めつつ、カリカリに焼いたトーストとパンプキンスープを上機嫌で平らげていた。
 ユイは準備万端だった。
 彼女が用意したそれはレイの好物であると同時に、少女の体調も十分考慮したものだった。
 レイはただ、冷蔵庫にしまってあったそれをユイのメモに従って温め、パンを焼くだけでよかった。
 少女はそれをトレイに乗せて自室へ持ち帰ると絨毯にぺたんと座り、毛布にくるまったままで平らげる。
 ちょっとお行儀が悪いかしら。ユイおばさまに見られたら驚かれるかも。
 くすりと彼女は笑う。
 でもいいわ。いいの。今日は。
 レイは決心していた。
 今日は戦士ではなくごく普通の少女として過ごそうと。
 優しい養母と義兄の庇護のもと、活発でお節介焼きで、でも直接会話をするとすぐに小競り合いになる「ともだち」を持つ少女として過ごそうと。
 「姉妹たち」の多くが得られなかった幸せを感じようと。
 レイはくすんと鼻を鳴らし、毛布をしっかりと身体に巻き付けた。

 毒にも薬にもならない主婦向けの情報番組……グルメとダイエットに関する話題が全体の七割を占める……をぼんやり眺めつつ、レイは計画を練っていた。
 あと四日で月は満ちる。
 レイの力がピークに達するのはその時だ。
 だから、これまでの場合「彼」はそうなる前にレイを討ち滅ぼそうとした。
 ある時は「黒の男たち」を大量に動員することで。
 ある時は、決してかなえることができなかった願望を約束された代わりに「彼」の下僕と化したものたちによる罠で。
 しかし今回は違う。
 「彼」はレイが設置した封印の外から出られない。
 封印外部の「黒の男たち」は「彼」と接触することはできなければ、その力をみるみるうちに消耗してしまう。
 昨夜の惣流・アスカ・ラングレーへの「誘惑」にしてもそうだ。
 「黒の男」たちとそれらによって劣化コピーされた「下僕」は少女を犯し、堕落させ、意識のない淫らな人形に仕立て上げたのちにレイが設置した封印の解除を行わせようとしたらしいが、疲労の極みにあったレイに造作なく蹴散らされるほど戦闘力は激減していた。
 今のところはうまくいっている。レイは結論した。
 「彼」の奴隷とされてしまったユイとアスカには、封印の内側へ入らないように強力な暗示をかけてある。
 「彼」……渚カヲル……からさまざまな誘惑はあるだろうが、強制力を伴わない限り暗示が破れることはないはずだ。
 ふぅっとレイはため息を漏らす。
 もう大丈夫のはずだ。
 レイの設置した封印はカヲルから付与された力がないと撤去できない。
 しかしそのような力を持っている下僕はもういないはずだ。「黒の男たち」もそう。
 奴隷とされてしまったふたりも、カヲルとは接触していない。だから彼女たちが外部の下僕や「黒の男たち」への触媒や中継点として作用しえない。
 ましてや「浸透」などおこるはずがない。
 奴隷が新たな奴隷をつくりだし、「かれ」の力を飛躍的に高める現象も起こりえない。
 もう、大丈夫だ。
 決戦は三日後、月が満ちる一日前。それでなにもかも終わる。
 もう、大丈夫だ。
 レイは瞳を閉じ、浅い夢の世界に浸ることを自分に許した。
 「……ええ、そうなんです。この住宅地の中だけなんですよぉ。不思議ですね」
 テレビでは地元のキャスターとレポーターが会話を交わしていた。
 「はい。でもキレイですよね……それにこの香り……」
 レイはベッドにもたれかかり、かすかな寝息をたてていた。
 画面にはラベンダーに埋もれるように立っているビル群が映っていた。
 それは「綾波レイ」が封じた区画だった。
 渚カヲルが住む高級マンションが含まれている区画だった。



◆ ◆ ◆



 浅い眠りからレイは目を覚ます。
 熱も疲労感も消え失せていた。
 時計を見る。午後二時だった。あと二時間ほどでシンジもユイも戻ってくるだろう。
 彼女は身を起こし、食器を片づける。てきぱきとした動きはユイが賞賛するいつものレイだった。
 一〇分も経たないうちに食器はきれいになって戸棚に戻され、少女の部屋のベッドも整えられた。
 それからレイは身繕いをはじめた。汗で湿ったパジャマを脱ぎ捨ててシャワーを浴び、髪を整えるとクローゼットを開く。
 眉がひそめられる。困った表情になった。
 「あ……おばさまったら……」
 手を伸ばし、ハンガーからそれを下ろす。
 「また、わたしに黙って……洋服……もう……」そう言いつつも少女はその可愛らしい洋服から目を離せない。くるくると前後を確かめたのちに下着姿の身体の前にあて、鏡に向かう。
 鏡の中にはまっしろな薄手のワンピース姿の少女が、フリルが多く少々クラシックなデザインゆえに可愛らしい人形のように見える少女が立っていた。
 「ちょっと……これ……コドモ」レイは頬を染めて自分の姿を見つめる。しかしまんざらではない。
 数分後、鏡の中ではまっしろなワンピースを着た少女が笑みを浮かべ、さまざまなポーズをとっていた。


 ぽんと親指を当てる。鍵はなんの問題もなく開いた。
 玄関には碇レイの靴がきれいに揃えられていた。
 足音を忍ばせて廊下を進み、そっとドアを開ける。
 そして息を呑んだ。
 窓際には白い妖精が立っていた。
 窓から差し込む光に純白のワンピースを輝かせ、空を眺めていた。
 丸く膨らんだ肩口はまるで羽のようだった。まるでそのまま飛んでいってしまいそうなほど儚げできれいだった。
 嫉妬することもできないほど、心が震えてしまうほど。
 いや、だからこそ、アスカはこう言うのだ。
 彼女が飛び去ってしまわないように。
 ことあるごとに衝突を繰り返している「友人」が妖精の国へと消えてしまわないように。
 「れーいー、アンタ、ぱんつ透けてるわよー」

 「なーんだ、レイ、アンタってやっぱり『ミノムシ』すきなんだ」
 「……ひどい」
 ドアに身体をもたれかけて制服姿のアスカはくすくす笑う。レイはぶすっとした表情で侵入者を睨みつけていた。整えたばかりのベッドの上で、毛布にくるまって目だけ出した格好で。
 「……勝手にひとの部屋に入ってこないで」
 だがアスカはレイの非難をものともしなかった。へらへらっと笑う。
 「普通はさぁ、目立たないような色の下着を着けるとか、キャミとかスリップとか着けるものよぉ。しっかしまぁアンタって……あの電光石火なスピードはなに?」
 「……ひどい」
 ぼそっとつぶやくレイ。だが確かに彼女の行動は特筆すべきものだった。
 アスカに背後から声をかけられたレイは小さく悲鳴を上げたのちぎくしゃくと振り返り、アスカの姿を認める。それからさらに振り返ってユイがクローゼットに忍ばせていたワンピースを身につけている自身の後ろ姿を確認した。
 そこでレイは発見する。
 身体の線と黄色いスポーティなショーツとブラが、ワンピースの生地越しに驚くほどはっきりと透けて見えていることを。
 さぁっと少女は青ざめ、次の瞬間真っ赤になった。
 さらに次の瞬間、レイはベッドに飛び込んでいた。
 毛布でしっかりくるまれるまで、二秒も必要なかったのだ。
 「んーっと、なんていうか、まぁ、体調は良くなったみたいね。よかった」
 「……良くないわ。最悪」
 「いいじゃないの。ぱんつ見られたくらい」
 レイはぐるる、と喉を鳴らした。もちろんアスカは気にもしない。
 そのとき、軽やかな音を立てて電話が鳴った。二人は顔を見合わせた。
 「ユイおばさまだわ!」アスカが廊下へ飛び出し、レイもそのあとに続いた。
 リビングに先にたどり着いたアスカはなんのためらいもなく受話器を取り上げる。
 「はいっ!碇でございます」これ以上はないくらい澄ました優等生の声だった。しかしレイに向けていたアスカの勝ち誇った表情が微妙に変化する。「……あ、ああ、ユイおばさま……じゃなくって……あ、冬月のおじさま……は、はい。ええ、おばさまはちょっと……え?はい。シンジもまだです。えと、ええ、レイは……います」ちらとアスカがレイを見た。「え、いまからですか?え?もう下に?はい?プレゼント?はぁ。分かりました……」
 アスカはそっと受話器を下ろした。レイをじっと見つめたまましばらく沈黙する。
 「レイ!」アスカの叫び声にぎょっとする。「お茶の準備!大急ぎ!」アスカはだっとキッチンへ駆け込む。状況をまったく理解しないまま彼女も続いた。
 「レイ!カップを四つ温めて!アタシ、ポットの準備するから!あ、それからなにかお菓子ある?」
 「ラスクがそこの戸棚に……」言いかけてはっとする。「あの、アスカ、私たちなんの準備しているの?それに、その紅茶……私が大事にしている……」
 「だーっ!この火急の際に細かいことを気にしない!だいたい昨日、この葉っぱ使ったし」
 「だからあんなに減ってたのね」
 「だーかーら、そういうちっぽけなことは気にしないの!ったくシンジといいアンタといい……いや、そんなことじゃなくって」アスカがレイに振り向いた。「冬月のおじさまとそのお友達が来るのよ。もうすぐ」
 「冬月のおじさま?」レイがとまどった表情になる。
 ……冬月コウゾウ、碇ユイ、ユイおばさまが小さいころからの知り合いであり、大学研究室では担当教官だった人物。
 ユイの知識から得たプロフィールをレイは検討する。
 ……私という存在が「伝播」していれば問題ないのだけれど、いまから刷り込みを行うのは危険すぎる。アスカの刷り込み内容と矛盾してしまうかも。
 「ほら!レイ、ぼーっとしない。なんたって冬月おじさま、『レイちゃんはいるかな?』って言ってたくらいだから」
 「え……」
 「そうよぉ。『プレゼント』があるんですって。レイちゃんに」アスカはくすくす笑った。「レイって年上のオトコのヒトに妙に人気あるもの。ご近所じゃ『孫にしたい女の子ナンバーワン』だもんねー」
 ……直接記憶の書き換えをした人はそんなに多くないのに、ここまで「浸透」してしまうなんて。私の力が増しているのと関係あるのだろうか。
 いつもならレイは「透明な存在」として他者に認識される。彼女が意識して当人の記憶を書き換えない限り。
 とはいえレイの存在を強く認識している人が増えれば、間接的に少女の存在を「信じる」人々は増えていくわけだが。
 しかし今回の伝播のスピードは速すぎる。これではまるでレイが実在の人間のようではないか。
 とにかく、下手な記憶操作をしなくていいのは助かった。レイは結論する。あとはアドリブでなんとかしよう。
 でも、「孫にしたい女の子ナンバーワン」だなんて。
 「ほら、赤くなってないで準備する。おじさまたち、もう一階のエントランスにいるんですって……ってどこ行くのよ!」ぐいとアスカがレイの腕を掴んだ。
 「着替え……透けてるんでしょ?」
 「もう遅い!窓際に立ったりしなきゃ大丈夫だって。ええっとぉ……」アスカはユイ愛用のエプロンを手渡した。「これ着けなさい。きっと透けない。オッケーよ」


 「おお、これは可愛らしい、そのワンピースにそのエプロン。実に似合っているよ、レイくん」冬月のまさしく好々爺な物言いにレイはたじろぐ。アスカはというと微妙にふてくされていた。
 「……あの、これ、ユイおばさまが買ってくださったもので、それにまだ、お礼も言ってないんです」
 「やっぱりユイ君の見立ては素晴らしい。なぁ、そう思わんか?」
 「さよう、レイ君はこのような少女らしい服装が実に映える」
 鷲鼻の老人がとろけそうな笑みを浮かべ、残りの二人もうんうんとうなずいた。
 ……うわぁ、キール先生までも……おじさまたち壊れてるよぉ。なんだかすっかりオヤジになってる。
 アスカはこわばった笑みを浮かべつつ、碇ユイの知己である男性達にお茶をサーブしていた。
 レイは男性陣の絶賛の嵐にさらされたおかげで使い物になっていない。真っ赤になってお盆を抱え、もじもじしているだけだった。
 ああもう、レイったらちょっとちやほやされただけですっかりダメになっちゃってぇ。アタシと違って慣れてないから、ったくぅ。
 アスカはため息をついた。
 それにしても、おじさまたち……四人とも「ナントカ学会」の理事だったり博士だったりする……がここまでデレデレしちゃうなんて。
 あ、そうか。おじさまたちってユイおばさまのファンだったっけ。レイっておばさまの若い頃にそっくりって聞いたけど……。そうか、だからかぁ……。
 ちょっとぉ、それはいけませんよ。浮気はダメ、浮気は。
 こほん、とアスカは咳払いする。
 「あ、あのぉ、おじさまたち、今日はどういった……」
 「ああ」相変わらずのにこやかな表情で冬月が言った。「今日はレイちゃんにプレゼントを持ってきたのだよ」
 ナニそれ、レイだけなの?前はアタシにもプレゼント持ってきてくれたのにぃ……。
 「そ、そうですかぁ」アスカは優等生声でにっこりする。あとでお裾分けするのよぉ、レイ。
 「これだよ」冬月がポケットからそれを取り出してテーブルに置いた。それはなんのラッピングもされていなかった。
 「タマゴ?」アスカがぽつりとつぶやく。
 「いや、ちがうよ」冬月は微笑する。確かにそれは卵形をしていたが、大きさも鶏卵より一回り大きく、さらに陶製だった。
 「アロマポットだよ。知っているだろう?アスカ君は」
 「ええ、はい。でも、これ、どうしてちゃんと立ってるんだろ……」彼女はテーブルに顔を近づけた。そのポットは脚も突起もないにもかかわらずきちんと自立していた。
 「『完璧な重量配分』というやつかな」頂部を取り外して中に収めてあるキャンドルに火をともし、取り外した頂部をひっくり返してポットの上に乗せた。
 「あ、ここにオイルを入れるんですね。でも、レイってこんな趣味あったっけ?」見上げたアスカはぎくりとする。レイが蒼白になってそのポットを見つめていたからだった。
 「疑問に思っているようだね。『なぜこれが、ここに持ち込めたのか?』と」冬月は穏やかな声で言った。「なぜならこれは、これだけではまったく無害なものだからだよ。だから君の超感覚でも捉えられなかった」
 「……あなたが……『下僕』」レイはあえいだ。
 「そうだな。私は魂を売ったのだろう。決して手に入れられなかったものと引き替えに」冬月の声は穏やかなままだった。
 「愚かな。正気を取り戻して」
 「いや、無理だ。私の狂気はずっと以前からはじまっていたのだ。決して振り返ってくれなかった彼女に恋い焦がれるばかりに」冬月はつぶやく。
 「……彼女が悲しむわ」レイは静かに言った。その瞳はいつしか紅に染まっていた。「あなたをとても尊敬していたのに」
 「尊敬などはいらない。私は彼女に振り向いてほしかったのだ。私は彼女に見つめてほしかったのだ。師としてではなく、男性として」冬月は唇を歪めた。
 「だが、私は、我々は『彼女』を手にすることを許された。無垢で、清らかで、欲望のなんらかも分かっていない『彼女』を」
 レイは眉をかすかにひそめる。冬月の言葉は引っかかるところだらけだった。その様子に冬月はくぐもった笑い声を漏らした。
 「君は分かっていないね。『彼』が私に、我々に下賜たまわるのは『碇ユイ』の遺伝子をコピーした存在、すなわち『綾波レイ』なのだから」
 レイが奥歯をぎゅっと噛みしめた。風を巻いて現れた二股のロッドを左手で振りかざす。
 だがそれはレイの敵と化した老人に達する前に実体を失った。
 「アスカ!」レイの唇から悲鳴が漏れる。
 その瞬間まで、惣流・アスカ・ラングレーは自分がなにをしているかなどまったく意識していなかったのだ。
 アスカはポケットから取り出したコロン……確かそれは、アスカがユイの車から降りたときになにげなく手渡された……をそのポットに注いでいたのだった。
 その藤色の液体が受け皿に注がれた真っ白な卵形のポットには、いくつもの「目」を抽象化したような奇怪なマークがくっきりと浮かび上がっていた。
 少女の紅の瞳が色を失う。膝が崩れる。
 「とき……だまし……」なおもにじり寄る少女にスタンガンが突き当てられ、容赦ない電撃が二度、三度と浴びせかけられた。
 少女は痙攣しながらがっくりと倒れ伏す。
 「さよう、『時騙しの香』じゃな。存在は知っておったようだが……」男は窓の外を見る。
 そこにあったのはやせ細った月だった。
 さっきまでのでっぷり太った月ではなかった。
 「良くやった。アスカ君」冬月に頭を撫でられてアスカは我に返る。
 「あ、あ、アタシ……」
 「ユイに言い含められたとおりに、『香』を持ち込んだではないか」男の一人がささやいた。
 「違う、違う、違う……そんなの……しらない」アスカはあえぐ。
 ユイがそんなことは言わなかった。ただこれを手渡しただけなのだ。
 気がついたときにはアスカはポケットの中に入っていたそれを受け皿に注いでいたのだ。
 当然のように、絶対の確信を持って。
 「否定してもだめだ。お前はレイを陥れる絶妙のタイミングで『香』を焚いたではないか」別の一人がささやいた。
 「アタシ……こんなこと……したく……な……い……レイを、レイを非道い目にあわせたく……ない……」
 「よかったなぁ、惣流・アスカ・ラングレーよ。これで『彼』に好きなだけ貫いてもらえるぞ」
 「あ、ああ、ああ……」アスカの紺碧の瞳から涙がこぼれる。
 「さよう。褒美としてな。たっぷり恵んでもらうがよい。前の穴にも、後ろの穴にも……」
 壱中の制服姿の美少女もまた、ずるずると絨毯に崩れ落ちた。
 「おやおや、たちまちだらしない顔つきになりよって」サングラスの老人の声に別の男たちが笑いつつ同意する。「しかし『彼』も戯れがお好きなようだ。人形に心を残して苦しむ様子を楽しむとは、のう冬月」
 呼びかけた彼は苦笑する。なぜなら当の冬月はとろけるような笑みを浮かべて、全身を弛緩させた「碇レイ」の全身を夢中になって撫で回していたからだった。
 「行くぞ、冬月」
 キールが香を片付けた。
 手錠をかけられたレイを冬月ともう一人が抱え上げ、残りの一人がアスカの細い肩をいやらしく抱いた。


 無人となった碇家のリビングには、濃厚なラベンダーの香りのみが残されている。



◆ ◆ ◆



 その大きな部屋に窓はなかった。
 ただ中央に巨大なベッドが置かれ、くだんの卵形の香炉がただひとつ、ラベンダーの香りをたゆたわせていた。
 男たちはその大きなベッドの上へレイをそっと横たわらせると召使いのようにかしずいて衣装を脱がした。
 だが、レイが少しでも意識を取り戻そうとすると彼らはためらいもせずに再び電撃を浴びせかけた。
 結果、少女が失禁しても彼らは気にもしない。いや、むしろ大喜びだった。碇ユイが師として尊敬していた男は感涙にむせびつつ少女の下半身を舌で清め、クリトリスをねぶりはじめたのだから。
 冬月が一通り満足したところで、少女の肢体を男たちは「検分」する。
 「……この雪のような肌」
 「……この男好きのする唇」
 「……まだ小振りで硬い尻もいい。少年のようだが何とも言えない色気があるわ」
 「……そのくせこの生意気な乳はどうだ。惣流の娘よりもふたまわりも大きいわ。こんなのをゆさゆささせながら『彼』に逆らっておったとは」
 「……ほれほれ、この毛の生え具合もいい。こんなに薄くてはまるで隠しきれておらんぞ」
 「……見よ!この硬い姫孔は。小指を入れるのにも苦労する。花びらもまだ発達しておらん。さらにこの膜……この『レイ』、やはり雛のままか」
 「この可愛らしい真珠を見たまえ。あんなに舐めてもまだ半分も顔を出しておらん。一人遊びもしたことがないらしいな。剥きあげて味見をするのが実に楽しみだよ」
 「……後ろの孔も可愛らしい。実に美味そうではないか」
 少女の耳がしっかりとこのおぞましい言葉を聞き取っていることを承知の上で、男たちはレイを賛美する。
 そして「儀式」は開始される。
 レイの華奢な両手首と両足首に黒革の枷が巻かれた。
 右手首の枷は右足首に、左手首の枷は右足首にとつながれて、すらりとした肢体は不自然な屈曲姿勢を強いられる。
 さらに男たちは一本の頑丈なバーを追加して、囚われの姫が左右の脚をどんなに頑張っても閉じられないようにしてしまった。
 卑猥なM字開脚ポーズを完成させられたレイは乱れたプラチナブロンドを丁寧に直され、屈辱と苦悶に歪む美貌を観察された。
 そこで告げられる。
 この「儀式」の意義と意図を。
 「綾波レイよ」サングラスの男は少女の表情を眺めつつ宣告した。
 「汝は『彼』の花嫁となるべく、この躰を我らによって磨かれるのだ。ただ少女の形をしているだけで、まだ快楽など知りもしない肉体にじっくりたっぷりと牝の悦びを教えてやろう。
 汝の未通の処女門が『彼』の男根を恋い焦がれるようになるまで、淫乱な体と心に造りかえてあげよう。あらゆる手管を用いて、そう……汝の『姉妹』たちがおのれの不作法を詫びるに至ったときのものなど……をひとつひとつ試してみるのも一興やもしれぬ」
 「そうさな、まず……」男がレイのおとがいを左手で掴み、力を込めた。スタンガンで麻痺しきった少女の唇が開くと強引に男の指が侵入する。
 「あ……あかぁ……ッ」可愛らしい桃色の舌を男の指で押さえ込まれたレイが苦悶の声をあげる。
 男が差し出した右手に銀色のケースが乗せられた。
 ひとひねりで蓋が開く。男はそこからちっぽけな注射器を取りだし、抵抗できない少女の舌裏に手慣れた仕草でぷつりと針を刺した。
 「あ……が……ふぅ……ぅぅ……」
 シリンダーが押され、琥珀がかった透明な液体が少女の血管内へと流れ込んでゆく。
 「よしよし、いい子だ」ぽんぽん、と頭を軽く撫で、注射器を仕舞う。「どうだ?もう効いてきたのではないかね?」
 「は、はぁ……あ……くぅ……ふぅぅ……」
 ……舌……痺れて……あ、ずきんずきんって……麻薬……ま……や……くが……まわ……る……。
 口を利くこともできないレイの全身からふつふつと汗が噴き出していた。
 唇を半開きにさせ、あえぐ少女の口内に再び男の指が侵入する。
 「ふぅぅぅッ……ひぃぃぁぁぁッ!」レイが舌足らずな声で悲鳴を上げた。拘束具ががちゃがちゃと鳴る。
 「ほほぅ、ちゃんとヒトと同じ造りか。神経系も含めて」男が笑い、再び少女の舌を指でそっと撫でた。
 レイは悲鳴を上げて全身を痙攣させる。その瞳は恐怖と快楽で濡れていた。
 「君の『姉妹』の何人もが『おくすり』で素直になったのだろう?君にも同じことをしてあげよう」男の言葉はねっとりと滑らかだった。「どうしようもなく低質のヘロイン漬けにされて精神を破壊されたものもおれば、今回使ったような『極上の芸術品』の虜にされたものまでさまざまなようだが。どうかね?これは。注射されたところが剥き出しの性感帯のように感じるのではないかね?……ああそうか、まだ『性感帯』がなにかも分からない乙女だったな。このレイは」
 「うふぅぅッ!ひぃぃぃンッ!」
 涎を垂らしながら少女はのけぞる。

 ……ああ、ああ、こんなに辛い……こんなに気持ちの良い地獄に貴女達は墜とされたのね。
 陥落の瞬間に、数多の姉妹へ向けて放たれたメッセージの重みをレイはようやく理解した。
 そしてそのメッセージに潜んでいたもう一つの黒い感情も理解する。
 快楽への渇望と、澱んだ欲望から逃れることができない被虐の喜びを。
 ……お願い、お願い、逃げる方法はないの?この私を造りかえてしまう快楽に勝つ方法はないの?
 少女は心の中で姉妹たちに助けを求める。彼女たちの送ってきたメッセージを必死になって思い出す。
 だがそれは、恐怖を増幅させてしまうだけだ。

 ……もう……だめ。かりそめのかいらくから……かえってこれな……い。もう、じぶんがだれかも……。
 ……もう、なにも……考えられない……の。くすり……のこと……しか。
 ……あ、あああ、ああ、うそみたい!うそみたいにいい!くすりといっしょのせっくす、すごくいい!ああ、ああ、わたしとけてしまう、ああ、ああ、ああ。
 ……くるしい……ああ、くすりが、くすりが、くすり、くすり、くすり、くる……しい……。
 ……はい!なんでもします!ああ、くれるのなら、レイにおくすりくれるのなら、どんなことでもします!はい!じ、自分で入れるんですか?はい!はい!なんでもします!なんで……も……あ、ああぁ……あはぁ……ン。
 ……あは、あのね、わたし、このマンションに来るコに「シャブ漬けレイちゃん」とか「激安おま○こ」って呼ばれてるみたい。でもいいの。ぜんぜん気にならないもん。あのコたち、お小遣い稼ぎの自分たちのほうが偉いと思ってるみたいだけど、そんなの関係ないもん。だって、おじさまたち、すごくレイに優しいんだよぉ。おくすりくれるだけじゃなくって、すごくキモチよくしてくれるんだよぉ。今日もいつもの倍のおくすりくれて、まえとうしろからこぶこぶのおちんちんで、レイを気持ちよくしてくれたの。ああ、あたし、もうすごくシアワセ……。

 がたがたと震えるレイに、さらなる悪魔の仕打ちが施される。
 熱に冒されたような目つきの冬月が、少女の唇をむさぼりはじめたのだ。
 彼の舌がずるりと入り込み、魔薬の影響で充血する少女の舌を舐めた。
 それだけでレイは全身を使って歓喜を表現してしまう。
 舌を絡めて玩ばれる感覚に脳を直撃され、随喜の涙を流しはじめる。
 ちゅぱちゅぱと吸われるとレイの思考は瞬時に粉砕された。腰をかくかくと震わせて、少女は鼻を鳴らして催促してしまう。
 もっとして!もっとレイにキスして!と。
 彼らは寛容だった。
 男たちと濃厚で卑猥なディープキスを交代で少女に与えてやる。
 舌を出すように命じておいて、とろとろと唾液を垂らしてやると、少女は快楽でむせび泣いた。
 その舌を男たちがちゅうちゅう吸って甘噛みすると、レイはついにまた失禁してしまう。
 「あー、あはぁーっ、ふぅぅぅ……ン」と言語ですらない甘え声を上げ、可愛らしい唇からだらしなく涎を垂れ流すようになる。
 痺れる舌を必死になって動かして、男たちとの濃厚な口腔性交に没頭する。
 凛とした表情のかけらもなく、卑劣な敵と舌を絡める行為に夢中になっていた。
 だから男たちがディープキスを中断して体を離すと「あ……あ……あ……」としゃくり上げてしまう。
 だから「よしよし、もっと舐めると気持ちの良いものをくれてやろうな」とにやにや彼らが笑うと、期待に胸を膨らませてしまう。
 だから命じられたとおりに充血した舌を突き出す少女の目の前で彼らが次々とズボンのチャックを下ろし、醜悪な形と異臭を放つペニスをその舌に押し当てたときも、レイは嫌悪の表情などまったく現さない。それどころか感激に震えつつ、一心不乱に男の肉茎に舌を這わせてはそれが与えてくれる快楽に溺れてしまっていた。
 小さな口いっぱいにペニスをくわえ込み、れろれろと舐めしゃぶっては思考を痺れさせる快楽に酔っていた。
 男たちが樹液を放出すると苦くどろどろとした白濁液を喉を鳴らして飲み干し、頬をすぼめながらちゅうちゅうと先端を舐め回していた。
 「おやおや、分かっておるのか?レイよ、お前はいま、軽蔑すべき男たちのペニスに口で奉仕しているのだぞ。それなのに、そんなに美味そうにしゃぶっていいのか?恥ずかしいと思わないのか?」と揶揄されても瞳をどんより輝かせ、自身が堕落してしまったことも理解できずに、抵抗していたことも忘れて、ちゅうちゅうちゅぱちゅぱと性感帯にされた舌でうっとりとペニスをしゃぶっていた。
 未通の処女孔からじくじくと蜜をこぼし、柔らかな双乳の先端を鴇色に尖らせているさまを観察されていることなど気づきもせずに。



◆ ◆ ◆



 「アスカちゃん、おまたせ」
 サイドブレーキを引いたユイは振り返る。その瞳はねっとりと熱を帯びていた。
 運転席から手を伸ばし、惣流・アスカ・ラングレーの頬をそっと撫でる。彼女は後部座席にぐったりと身体を投げだし、切ない声をあげていた。
 クォーター美少女の太股は大きく開かれ、制服のスカートは腰までずり上がっていた。
 「まぁ、アスカちゃんたら、《リッキー》と《ジョー》に夢中なのね」
 少女の脚の付け根には真っ黒な大型犬が二頭、争うように鼻面を突っ込んでいた。
 大きく長い舌を伸ばし、彼女の牝花を傍若無人に舐め回していた。
 スポーティーなグリーンのショーツの上から、あるいは強引に横合いから侵入して。
 少女も逆らわない。逆らえるはずもない。
 熱を持ち、敏感になっていた花園をざらつく舌で巧みに舐め回される快感に彼女が抵抗などできるはずもない。


 エレベーターホールでアスカとレイは離ればなれになった。
 レイは上階へ、アスカは地下駐車場へと。
 そこにはユイが待っていた。
 「さぁ、行きましょう。アスカちゃん」左右から抱きかかえられ、うつろな表情の少女にユイが微笑みかけた。
 無言のまま後部座席へ押し込まれたアスカは、荒い呼吸を繰り返す同乗者がいることに初めて気付いた。
 《リッキー》と《ジョー》に。真っ黒な体長一メートルを超えるシェパードたち、人間の女に欲情し、征服欲を隠そうとしない獣たちがいることに気がついた。
 男たちが笑いながらドアを閉めると、少女は欲望に目を血走らせる犬たちにたちまちのうちにのしかかられる。
 「あらあら、アスカちゃんの発情したお汁に興奮しちゃったのね」ユイがルームミラー越しに笑った。「『レイちゃんがこれからどんな恥ずかしい目に会うのかしら』って考えているうちにトロトロになっちゃったのね、アスカちゃん」
 ああ、とアスカが切ない声をあげた。少女のスカートの中に《リッキー》が、《ジョー》が頭を突っ込んだのだった。
 「おばさ……ま……ユイおばさ……まぁ……あ、ああぁ、はぁ……ン」助けを求めるアスカの声が甘くとろけた。彼女の太股が自らの意志で大きく拡げられ、ぺちゃぺちゃ、はぁはぁという獣たちのたてる荒々しい音が車内を満たした。
 「おばさまぁ、おばさまぁ……このコたち……すごい……のぉ」牡犬たちの舌を受け入れてしまった少女の両手が、黒い毛皮を愛おしげに撫で回す。
 「そうよ、この子たち、すごいのよ」ユイは頬を染めてうなずいた。「この子たちは自分も人間だと思ってるの。私たちをただのセックスの相手にしか見てないのよ。とっても強引で乱暴で、そして上手なの。カヲルさまから禁じられていなければ、きっと今頃アスカちゃんはずぶずぶ犯されて、可愛い牝犬の声であんあん鳴いてるにちがいないわ」
 「あ、ひぃぃッ!イヌと、イヌとファックなんて、あ、ああ、はぁぁぁ……ああ、ダメ、アタシ、ダメになっちゃうよぉ……」
 「いいのよ、いいのよ。駄目になっても。だってしょうがないんですもの。私たちなんかが抵抗できるわけなんて……ないんですもの」
 陶酔した瞳のままでユイはそっとアクセルを踏む。
 そうして少女は、「主人」の元へと連れ戻される。
 途中なんども、獣によって無情なエクスタシーを与えられ、甘く哀しく泣き叫びながらスレンダーな肉体を痙攣させて。

 碇ユイは震える手でエンジンを切った。
 ショーツのクロッチから生暖かい果汁がしたたり、ワンピースの生地まで染み通っているのが見なくても分かった。
 猛犬の舌で責めたてられた惣流・アスカ・ラングレー……自分の娘のように溺愛していた美少女……がユイの名を呼びながら陥落し、ユイの名を呼びながらその快楽を讃えはじめるのを聞かされ続けた彼女の肉体は、どうしようもないほど発情しきっていた。
 ……ああ、アスカちゃん。ごめんなさいね。ごめんなさいね。あなたをケダモノの玩具にさせるなんて。こんな穢らわしい快楽を教えてしまうなんて……。
 ユイは心の中でなんども謝罪する。
 しかし同時に、愛おしい少女がなすすべもなく自分と同じ煉獄へと落とされるさまに昏い歓びも得てしまうのだ。
 ……だけど、アスカちゃんも分かってるんでしょ?もう、逃れることができないことが。
 そんなに素敵な声で鳴いて、そんなに獣たちを抱きしめて腰を振っているあなたは、もう諦めてしまったのでしょ?
 カヲルさまに目覚めさせていただいたその身体は、同い年の恋人とのセックスなんかで我慢なんてできなかったでしょ?
 だから貴女はカヲルさまが「予想した」とおりにレイちゃんを罠にはめたんでしょ?
 アスカちゃんが本当に運命に逆らえる強い子だったら、あの罠は閉じることはなかったのよ。
 そう、あなたも悪いのよ。
 そう、あなたも望んでいたのよ。
 カヲルさまにふたたび抱いていただくことをね。
 ユイはふらふらと車を降りると後部座席のドアを開け、アスカを抱きしめた。
 二〇分以上のあいだ、獣に下半身を舐め回されていた女子中学生は快楽に美貌を惚けさせたまま、年長女性の手を握りしめる。
 「おばさま……ココ……」
 アスカが夕日に輝くビル街を見あげる。
 「そうよ、ここは『あの方』が住むマンション」ユイは微笑む。「レイちゃんが封じ込め、世界から切り離した『はず』の場所。けれど彼女はいまや『私たちの』手に落ちたわ」レイが慕っていた女性の表情は歓喜に彩られていた。
 「あ……アタシ、また……ココで……」
 「そうよ、アスカちゃん、あなたはまたここでカヲルさまのモデルができるのよ。普段のあなたが知らないあなたになって、とっても淫らに磨いていただけるのよ」
 「ああ、ああ……アタ……シ……カヲルさ……ま……のモデル……。アタシ……カヲルさ……ま……のえっちなドレイ……だった……わ」
 アスカのしなやかな手がユイの腰に回り、熱を持った身体がぎゅっと押しつけられる。
 「そうよ、そうなのよ。わたしたちはカヲルさまに御奉仕するための牝奴隷なのよ」
 ユイの言葉にアスカはその表情を輝かせる。
 その表情は「真理」に接した喜びに満ちていた。
 その微笑みは自分の存在価値を知った喜びに満ちていた。
 「ユイおばさま……行きましょ?ごしゅじんさまのところへ……」
 美しい人妻と美しい女子中学生はお互いを支え合い、ふらふらとエレベーターホールへと向かっていく。

 夕焼け空の地平付近に浮かぶ月は、ひどく痩せ細っていた。



◆ ◆ ◆



 唇の純潔を失い、麻薬の恐怖を教え込まれた聖少女レイへの冒涜は、まだ序についたばかりだった。
 「娘よ。我らは確かに老人だ。だから少年のようになんども放つことはできぬし、一度放てば元に戻るにはずいぶんかかる」
 冬月は目を血走らせたまま、くくっと喉を鳴らした。
 「だがね、レイ君。落胆しなくてもよいのだ」彼は少女の耳元に顔を寄せてささやいた。「『待ち時間』のあいだ、君は存分に快楽を得ることができる。我々が心を込めて玩具にしてあげよう。何時間ものあいだ、君は数限りなく絶頂を得るのだ」
 彼女が息を呑む。冬月が骨張った指を伸ばし、争うように他の男たちも続いた。
 レイのその絹のように滑らかで、まるでマシュマロのように柔らかで同時にぴんと張りつめた双乳へと。
 仰向けの拘束姿勢を取らされても、美乳としかいいようのないかたちを保ち続けるバストへと。
 あるものはたぷたぷとボリュームたっぷりの乳房を持ち上げ、その重みと感触を楽しむ。
 あるものはさわさわと指先だけでかたちをトレースし、麻薬が全身に回って過敏になりつつあるレイに甘い声を上げさせ、同時に脂汗を吹き出させた。
 さらには強引に指を食い込ませて少女に悲鳴を上げさせ、無理にこね回してレイのあげる痛みと苦痛の声を愉しむ。
 そうしておいて、さっきから痛々しいほどに屹立している乳首に悪戯するのだ。
 かさつく手のひらで先端を撫で回して悲鳴を上げさせ、柔らかなバストをぐいと掴んで先端をくびり出させておいてから人差し指と親指で転がして遊んでやりもする。
 爪を立ててレイのあげる舌足らずな懇願を鼻で笑い、また触れるか触れないかのソフトタッチで乳蕾をこすり立たせて少女の未熟な官能を目覚めさせてやる。
 もちろん、舌で青い膨らみを味わうことも忘れていない。
 一四歳の絹肌を舐め回し、卑猥なキスマークを付け、さらに左右からちゅうちゅうと吸い上げてレイに泣き声を上げさせる。
 四人の男たちに半時間あまりに渡って吸われ、舌で転がされてたっぷり唾液をまぶされ、さらには甘噛みされてころころと転がされた美突起は、ピンクに充血して哀しいほどに勃起してしまう。
 「レイよ、見るがよい」キールが邪悪に微笑みながら銀色のケースを見せた。
 「これはお前を幸福にする薬だ。どんなに幸せになれるかは……もう知っておるな?」
 レイがあえぎ声をあげる。震えながらなんども首を振る。
 キールはぱちりとケースの蓋をあけた。深紅の内張の中にはまだ液体が詰められた注射器が三本輝いていた。
 「さぁ、娘よ。もっと幸せにしてやろうな」
 いや、いや、いや!!
 聖少女はなんども首を振る。全身を揺すって悪魔の薬から逃れようとする。
 だが年齢不相応なほど美しく育ったバストをそれぞれ絞り上げられ、唾液に濡れ光りながら震える先端をぎゅっと指で摘まれるとレイはもう抵抗できない。
 ケースから二本の注射器が取り出された。
 「ほらほら、よーく見なさい。レイのオッパイをもっともっといやらしくしてあげるからね」とささやかれながら銀色の針が近づいてくると、泣いて慈悲を乞う以外に少女に選択肢はない。
 もちろんレイの言葉を彼らが聞き入れるはずもない。
 ついに右の乳首につぷりと針を立てられて静かに薬液が注入される。続いて左の乳首にも。
 レイはただ、かちかちと歯を鳴らしながらそれを見ていることしかできない。
 注射器が空になり、「よーく我慢したね。レイちゃん」とおためごかしを聞かされながら針が抜かれるまで、少女は自身のバストから視線を逸らすことができないのだった。

 そうして一〇分ほどが経過したころ、レイへの淫らな拷問は再開された。
 全身を脂汗でぬめひからせ、荒く浅い呼吸をはじめた彼女の目の前に男たちが取り出したのは刷毛と筆だった。
 レイの瞳が見開かれる。
 「ひぃぃぃッ!」屈曲し、拘束された全身が跳ねた。なんども何度も首を振るレイ。どっと笑う男たち。
 「おやおや、ずいぶん喜んでくれるね。しかしこの程度でそんな調子じゃ身体がもたんよ」口髭の男が笑い、手にした刷毛の先を触れるか触れないかのタッチで、少女のお腹のあたりをふたたび撫でた。
 それだけでレイは全身を痙攣させてしまう。
 三本の注射器によって血管内へ注ぎ込まれた薬は、彼女の全身を信じられないほど敏感にしていたのだった。
 残りの三人も少女の肌を淫靡なタッチでなぞっていく。
 耳たぶを、首筋を、引き締まった滑らかな脇腹を。
 筋肉の張りつめた少年のような太股を。
 きゅっきゅっとなんどもすぼまる足指のあいだを。
 声も出すことができなかったのは、薬で舌が痺れていたためだけではなかった。まぶたの裏でなんども何度も閃光が散り、思考がスパークしてしまほどの快楽のためだった。
 男たちは笑いながら筆責めを続ける。
 ぼんのくぼを、内腿を、ふくらはぎを。
 腰回りを、汗に濡れた額を。
 そのたびに少女は涎を垂らして泣き叫び、だらしなく美貌をとろけさせた。
 だが、彼らはまだ「そこ」に触れようとしない。
 クスリを注入されてしまい、じんじんと充血して親指の先くらいまで恥ずかしく勃起してしまったレイの乳首と、白く濁った蜜を吐き出しはじめた処女孔を。
 ときおり胸の膨らみの周りをそろりと筆が這うことはあるものの、内腿の根元近くまでさわさわと刷毛が撫でることがあるものの、彼女のもっとも敏感なところは卑劣な責め苦から逃れていた。
 しかしそれは、レイの恐怖と予感を膨らませていく。
 ……ただ、ただ肌を撫でられるだけでこんなに感じさせられてしまうのに。
 ……ゆっくりと筆が動いていくだけで頭の中が真っ白に融けてしまうのに。
 ……もし、もし、もし、クスリをたっぷり流し込まれた胸の先を刷毛でいじめられたら?
 ……私のおんなの部分、それもとても敏感なクリトリスをつんつん筆で責められたら?
 男たちの卑猥ないたずらに思考をどろどろにしつつ、少女は「その瞬間」のことを考えずにはいられない。
 彼らには、哀れな犠牲者の心境が手に取るように分かっていた。
 だから、少女の「期待」が十分に高まってしまったところで、本格的な拷問を開始する。
 筆で悪戯されるたびにぷるんぷるんと揺れる双乳、それを麓から刷毛でそろり、そろりと這い上がっていく。卑猥に立ち上がった乳首の周りを触れるか触れないかの同心円状に撫でていく。
 ……あ、だめ、そこは、そこは、そこはゆるして、ゆるして……ぇ。
 「ひはぁぁぁッ!」
 今日最大級の快楽がレイを襲った。
 恥も外聞もなく涎と鼻水を垂れ流し、腰を突き上げてしまった。
 「気持ちよいかね?娘よ」キールが笑い、もう一度筆先で少女の尖りきった右乳首の先をさっと撫でた。
 「あ、はぁぁああああああッ!」拘束具をぎしぎしきしませてレイは泣き叫ぶ。
 「いい顔だ。とてもいい顔だ」冬月がレイの左乳首を刷毛で玩んだ。
 「やめれぇ……ゆるひてぇ……ひんじゃう、ひんじゃうよぉぉ……」
 ついに少女は決壊した。けして口に出すまいと心に誓っていたのに、ついに発情した音色で彼らに懇願してしまったのだ。
 「なぜ?レイはとても幸せそうに見えるよ?」祖父のような口調でプラチナブロンドを整えてやりつつ、冬月はさわさわと乳首をいじめ続けた。
 「ひ、ひぃん!らめぇ!らめぇ!もうゆるひて!く、くるっちゃう!きもちよすぎてくるっちゃうの!」
 もうだめだった。一度口にしてしまえば、もうそれを止めることはできないのだった。
 自分が快楽に負けてしまったことを舌足らずに告白し、陵辱者たちを大いに喜ばせてしまう。
 「いいんだよ、レイ」冬月の声はあくまでも優しい。同時にその表情もとろけるように柔和だった。「壊れてしまっても。快楽に溺れてしまっても。なぜならお前はそれを望んだのだからな。お前はこの世界に女として現れること選んだのだから」
 「さよう、レイは選んだのだ。感じやすく淫らな身体を持ってこの世に現れ、蹂躙される歓びを得ることをな」
 レイはなんども首を振る。男の言葉を跳ね返そうと努力する。しかしその努力も尖りきった乳首を悪戯されてしまうと一瞬のうちに潰えてしまう。たちまちのうちに恥ずかしいあえぎ声を漏らしつつ、かくんかくんと不器用に腰を揺すってしまう。
 「違うかね?レイ。お前の身体……女の身体に付いているものをただいじっているだけで、お前は涎を垂れ流してこうもイきっぱなしになってしまうのだよ。その肌も、その胸も、可愛らしい唇も、男に愛してもらって気持ちよくなるためのものなのだよ」
 「……くすり……づけに……したのはあなたたち……でしょ……お、おぉぉぉぉ!ひぃぃぃン!らめぇ、らめぇおっぱいのさきをぉぉ!やめれぇぇ!」
 「おやおや、また派手にいきおった」筆先で乳首のさきをつんつん突かれて泣き叫ぶ少女に黒い肌の老人が苦笑する。「これではどんなに立派なセリフも台無しだな」
 男たちは同意する。そうして少女をさらに追いつめていく。レイの尖りきった乳首とクリトリス「以外」の箇所を、より熱心にいやらしく、筆と刷毛でなぞっていく。
 数分、十数分、数十分にわたって、気高き少女戦士は発狂しそうな快楽に翻弄されるしかない。
 だからついに、老人の筆がレイの排泄口を撫でたときも、彼女は屈辱よりも先に快楽に悲鳴を上げてしまったのだ。
 彼らが処女襞からしたたった蜜をすくってはひそやかな後ろのおちょぼ口に丹念に塗りつけはじめると、しっかり目を閉じているはずの目蓋の裏にばちばちと閃光が飛んだ。
 さらに彼女の口から漏れる悲鳴が、言語を逸脱した獣じみたものになっていく。
 「おお、これはよいな。尻を悪戯されるのがずいぶん気に入っていただけたようだ」サングラスの男が笑った。「これなら今日中にでも……」
 「ならん」冬月がぴしゃりと言った。「この花嫁は自ら花開くように飼い慣らせとの仰せ。強引に破るなど論外だ」
 「分かっておる、分かっておる」サングラスの男は何度もうなずいた。「快楽と屈辱のあいだを行き来しているうちに、自分が尻穴を弄られるのが好きでたまらぬ淫乱と気付かせてやるのも一興であろう」
 「いやいやそれだけではくだらぬ」禿げた男が言った。「フェラチオをじっくり仕込んでやって、雄の青臭い匂いで夢心地になる変態娘に変えてやろう。精液を飲ませてもらうためにはどんな恥知らずなおねだりもするような」
 それはいいですな。冬月は賛成した。男のものをくわえているあいだになんどでもイけるような躾をしてやりましょう。薬で素直になっていますから、きっとすぐに覚えますよ。
 口髭の男がレイの髪を撫でた。「良かったな、レイよ。お前は『入れ物』に合うように心を作り直してもらえるのだよ。淫らな唇、感じやすい胸、美味そうなアナル、そしてこのいやらしい汁を噴きだしているここ。お前がこの世界に現れるときに選んだ部品に合わせて、お前の魂は変わるのだ」
 「さよう。この淫乱な身体から得られる快楽を素直に楽しめるようにしてやろう。ユイやそう、あのアスカのようにな。レイよ、感謝するのだぞ」
 レイは目をつぶって男たちの言葉が聞こえないふりをする。
 目の前にペニスを突きつけられ、鼻につんと来る異臭を嗅がされたとたん、じわりとつばが溢れて全身が熱くなったことを自覚しても歯を食いしばっていた。
 しかしそれも、愛らしい鼻をつままれるまでのことだった。
 息を止められなくなったレイがついに小さく口を開けてしまったときにペニスを唇にねじ込まれるまでのことだった。
 「レイ、しゃぶりなさい」と言われてペニスを舌に押しつけられるまでだった。
 クリトリス以上の性感帯にされてしまった舌は勝手に動き、男のペニスに舌を擦りつけるように舐め回しはじめてしまう。
 鼻をつままれなくても大きく口を開け、雄の異臭を胸一杯に吸い込み、ちゅうちゅうと音を立てて先端をねぶってしまう。
 少女が肉茎を舐め回す快感に没頭しはじめたところで柔らかなペニスがずるりと引き抜かれた。
 そこで命じられる。
 「レイはおちんちんをしゃぶるのが大好きです」と言えと。
 少女は再び目を閉じた。麻薬に侵された身体が勝手に反応しているだけなのに、そんな恥知らずなことを言うつもりなどあるわけがない。
 しかし彼女は分かっていなかった。もはやレイの身体は彼女の心をとうに裏切っていたことを。
 ざらりと乳首を撫でられて、彼女は全身を痙攣させた。
 眼鏡の男のペニスをくわえさせられる。さわさわと刷毛で乳首を悪戯される。
 反り返ってぱくぱくと声にならない悲鳴を上げる唇に真っ黒なペニスがぬるりと押し込まれる。
 一心不乱に舐めてしまった。
 舌から得られる快楽と、乳首をさわさわと撫でられる「ご褒美」の悦楽にレイの自我は大きく揺るいでいた。
 またペニスを引き抜かれ、「宣言」を命じられる。
 断固とした意志を持って噛みしめた唇が大きく開き、艶めいた甘い声が迸る。
 男の指が左乳首を転がしたのだ。
 少女の目の前に冬月がまだ柔らかな雄茎を見せつける。
 「いいなさい。レイ、今のお前の気持ちを」
 「あ、そんな……きたない……もの、すぐにしまいな……さい」
 冬月の目が鋭くなった。左手を伸ばして少女の乳首をぎゅっと摘んだ。それだけで聖少女の表情に微かにあった勝利の笑みは一瞬のうちに消え失せ、代わりに歓喜と隷従の色が現れる。
 「さぁ、レイ、私たちに教えておくれ。お前がフェラチオ好きかどうかを」冬月が真摯とも取れる顔つきでたずねる。「正直に教えてくれれば好きなだけ舐めさせてあげたうえに、お前のこのかちかちになったおっぱいの先を舐めてあげてもいいのだよ。ほら、こんな風に」
 「ひ、ひぃぃぃッ!あああ、あ、あ、お、ぉおお……」
 軽いキスと舌先でのノックだけで、レイは絶叫した。
 こりこりと歯を立てられる。涙をこぼす整った顔に、粘液を吐き出すキールのペニスが押しつけられ、可愛らしい唇の上をリップのように先走り液を塗りつけられた。
 じゅるじゅると乳首をすすられ、ユイとシンジの名前を呼んで泣きじゃくる。しかしそれもペニスへのキスを許されるまでのあいだだけだった。
 少女の意志とは関わりなく、彼女の舌は喉奥まで突き込まれたペニスに絡まり、唾液を乗せて舐めはじめてしまう。柔らかな乳房をぎゅっと握りしめられ、絞り上げた先端を爪で突かれるととたんに抵抗心も嫌悪も薄れ、さらに熱心に夢心地に男のペニスへ奉仕してしまう。
 どんなにこのおぞましい行為をやめたいと思っても、少女の舌は彼女の意志に従わない。
 それどころか抵抗を試みようとする意志さえも、胸への愛撫の快楽がそれをとろけさせられてしまう。
 そこでペニスを抜かれてしまう。
 「正直になるまでおあずけだな」と笑われてしまう。
 舌を伸ばし、なんとかペニスを舐めようとする惨めな自分自身にレイは涙する。
 しかしその屈辱の涙は、いつしか渇望の涙に変わった。
 こりこりとおっぱいを責めたてられ、ときに乱暴に虐められた。
 そのたびにレイは恥ずかしくいやらしい声を上げて、絶頂に連れていかれる。
 十数分後、男たちに向かって「宣言」をしているレイがそこにいた。
 「好き……です」屈辱にしゃくり上げ、快楽に痙攣しながらレイは男たちに言った。「わたしは、わたし……は、男の人の、お、おちんちんがすき……です」
 「あ、あ、あ、言います!言うから歯を、歯を立てないで!あ、あああ、あ、レイは、レイはおしゃぶりするのが好きです!レイはおとこのひとにフェラチオするのがすきです!お、お、おちんちんなめてるレイはとても幸せです!」
 「お、美味しいです。おじさまたちのおちんちん、とっても美味しいです!」
 男たちに強いられたセリフをレイは大声でなんども叫ばされた。
 目をつぶることも許されず、涙を浮かべた瞳で卑劣漢たちを見上げたうえで屈辱的な宣告を強いられる。
 そうしてそれは、彼女へのもう一つの枷として作用したようだった。
 拘束されたまま開脚を強いられて、ぬるぬる輝く秘園と排泄口を煌々とした明かりの下にさらけ出す姿勢をとらされて、そのセピア色のすぼまりにちゅるちゅるとグリセリンを挿入されても、レイはもう抗わなかった。
 陵辱者たちのペニスを舐めることができれば、仰向けになってもつんと天井へ突き出すバストを愛でてもらえるのなら、少女はどんなに恥ずかしい行為でも受け入れるようになっていた。
 少女の菊門に突き立てられたガラスの浣腸器のシリンダーが押され、レイの腸内に冷たい液体がゆっくりゆっくりと注ぎ込まれているあいだも、彼女は全身を汗で濡らしつつも素直にその拷問を受け入れていた。
 「よしよし、これで全部だよ」嘴がずるりと引き抜かれる。
 歯を食いしばり、腸内で暴れ回る液体の感触と悪寒に耐えようとするレイの髪が優しく撫でられた。
 「我慢するんだよ。お前の中をキレイにするためのものなのだからね」
 屈辱的な崩壊を遅らせようと涙をこぼして必死に耐えるレイにはもうキールの言葉は聞こえていなかった。ぎゅっと拳を握りしめ、つまさきをきゅうきゅうすぼめて泣いていた。
 少女の頬が軽く叩かれた。
 「見なさい、レイ」
 反抗できない少女の目の前にかざされたのは、シリコン製とおぼしき奇妙な器具だった。
 乳児のおしゃぶりを思わせるシリコン製のそれはしかし、ミルクを欲しがる唇が咥えるはずの部分には小さなブツブツが無数にあり、さらにそれ自身は不可思議なカーブと螺旋を持っていた。
 「これはなにか分かるかな?」猫なで声に少女は答えない。分かるはずなどない。冬月は好々爺の笑みを浮かべる。
 「これはね、レイ。お前がもっと我慢できるようにするものだよ。お前がベッドの上でお漏らしをしないようにするためのものだよ」
 さぁっとレイが青ざめる。それの邪悪な意図が分かってしまったのだった。
 しかし彼女は拒否できない。
 恥ずかしい姿勢で拘束されたまま、牝壷の入り口からじくじくと溢れている白く濁った愛液を冬月がその器具が塗りつけるさまを見ていることしかできない。
 そうして、それがアナルの入り口に押しつけられても拒否できない。
 「らめぇ、らめ!はいらないわ、そ、そんなのぉ……」
 にゅるん。
 「くふぅぅぅッ!」涎を垂れ流して聖少女は啼いた。
 「逆らえんよ。これは」冬月は笑う。「先端の形状とカーブは考え抜かれているから、どんなに食いしばっても入り口をくぐってしまう。それに、『吐き出そう』としても逆に……」
 「ひ、ひあ、ふ、ふぉぉぉ、は、はい、はいって、は、はいって……」
 レイはぱくぱくと唇を動かして呻くことしかできない。彼女が無意識に括約筋を収縮させるたびに、その邪悪な器具は逆に中へ中へと侵入してしまうのだ。
 その螺旋とカーブに従って、ひくりひくりと頭を振りながら、少しずつ回転しながら少女の小さな尻穴に収まっていくのだ。
 「いや、いや、いやぁ!ゆるして、ゆるして!ゆるしてくださいぃぃッ!」
 嫌悪のあまり腸内に注入された邪悪な液体のことも忘れていきんでしまう。しかし「軸」の邪悪な突起部は少女の排泄口にぷるぷると奇妙で逆らいがたい刺激を与え、刻まれた螺旋によって少しずつ沈んでいく。
 悲鳴とともに息を吸うと、こつん、とさっきよりも深く一度に入り込み、しかもそのときにぷよぷよでしかし芯のある突起にアナルを擦られる感覚は彼女に原始的な快楽を与えるのだ。
 「どうして、どうしてはいっちゃう、はいっちゃう、はいっちゃうよ……おし、おし、おしりぃぃぃ……」
 半狂乱になる少女を彼らは実に楽しそうに見守っていた。



 「ほう、きれいに収まったな」
 一〇分以上ものあいだレイが泣きむせび抗い、やがて無抵抗になっていくさまを鑑賞していた禿頭の男は、嘲笑しつつレイの小さなお尻の真ん中に生えているピンク色のリングを弾いた。
 レイはかすかなあえぎ声を上げた。
 「良くなってきたようだな」男の声を彼女は無視する。しかし全身を震わせて快楽を表現してしまっている状況では、彼女の態度は男たちを喜ばせるだけだった。
 彼は無言のまま傍らから奇妙なリモコンを取り出して、いまや少女を支配しているアナルプラグに接続する。
 スイッチが入れられた。
 「あ、お、お、お、おしり、おしり、おしりが……あ、ああ、おおお」プラチナブロンドを振り乱して泣き悶える少女に男は説明する。
 これは尻に栓をするだけのものではない。その入り口を柔らかくほぐし、尻穴の快楽を覚え込ませるためのものだと。
 プラグ表面の無数のツブツブが微振動することで、装着者のアナルはその意志とは関わりなく開発されるのだと。
 「もちろん、これですぐにアナルセックスが可能となるわけではないがの。あくまでもこれはそのための『道具』を受け入れる準備じゃが。だが、準備運動とはいえレイにとってはとても楽しいものとなろう。な?」
 「らめぇ、らめぇ、おしり、おしりがへんになるぅ、ゆるひてぇ、おねがいだからぁ」
 「前の孔からこんなに濃い汁を噴き出しておいてやめてほしいとはよく言ったものだ。そのへそ曲がりなところをきっちり躾け直してやろう」キールの宣言に男たちは同意する。
 ふたたび淫らな拷問が再開された。
 レイの勃起しきった乳首は男たちの指で、舌で、筆と刷毛で悪戯された。
 レイの唇には男たちの指が侵入し、性感帯と化してしまった舌を弄られた。
 そしてついに、少女の秘園を男たちはなぶりはじめた。
 包皮からちょこんと顔を出す、充血しきった肉真珠を筆で刷毛でさわさわといじめられる。
 それだけで少女の意識は簡単に途切れてしまう。
 それほどまでに甘美で衝撃的な刺激だった。
 しかし少女は夢の世界へ逃れることを許されない。
 頬を軽く叩かれ、むき出しの神経並みに敏感な乳首をねじられて、真っ白な夢の中から悪夢のような現実へと連れ戻された。
 そこでしゃぶられる。
 待ちに待った男たちは執拗に舌を遣い、じゅるじゅると吸い、ざらついた唇で挟んでは甘噛みする。
 そのたびにレイはベッドの上で全身を弾ませて泣き叫んだ。
 もうやめて、ゆるして、おねがいだからたすけて、レイをこれいじょうきもちよくしないで。
 懇願は哄笑とともにはねつけられる。
 男たちの指でいじられつづけたレイの肉芽は、男たちの指によって「包茎を卒業」させられる。
 初めて触れる外気にさえひくひくと震えるその部分を、男たちは丹念に清めあげた。
 蜜をしたたらせ、ほんのわずかにほころんだクレバスを舐め回され、舌をねじ込まれた。
 さらにその乙女の部分に男たちはゆっくりと指を侵入させ、彼女の「構造と性能」を微に入り際に入り討論するのだ。その刺激と恥辱のあまりレイが上げる悲鳴を心地よいBGMとしつつ。
 快楽と失神と、強制的な覚醒が何度も繰り返される。
 彼女は一時間あまりにわたって、びりびりと振動するアナルプラグに翻弄され、屈辱的な快楽を教え込まれる。
 その振動が不意に止まった。電池が切れたのだ。舌打ちする男。
 だがわずかな勝利感も冬月が新たな電池をコントローラに詰め始めるまでしか続かない。
 「やだぁ、もう、やだぁ、ゆるしてよぉ、ゆるしてよぉ」レイは肩を震わせて泣きじゃくりはじめる。
 「おやぁ、心が折れてしまったんでしょうか。ずいぶん可愛らしくなってきましたよ」
 だが彼らはかちりとふたたびスイッチが入れるのだ。
 アナルからの快楽でレイの愛らしい顔が涙と涎と鼻水にまみれるさまを見て、げらげらと笑うのだ。
 やがて彼らは空腹を覚え、別室に食事が準備されていることを思い出す。
 男たちが笑いながら部屋を出て行くあいだも、少女のアナルでは卑劣な器具がびりびりと振動していた。
 冬月が「しばらくひとりで楽しんでいなさい。いいね」と微笑んでドアを閉めようとするまで「おじさま、おじさま、もうゆるして!レイのお尻からこれを取ってください!このブルブルするのはいや、いや、いやななおぉ、お願いです!おじさま、おじさまぁ」と少女は哀願しつづけていた。

 だが。
 扉が閉ざされ、冬月の足音が聞こえなくなると、ひとり取り残された少女は惨めに拘束されたままながら、身体をよじらせてベットの縁へと移動する。
 歯を食いしばってずるずると無様にベッドの上から絨毯へとずり落ちる。
 仰向けになったまま首をひねったレイの視野には、それがあった。
 卵形の奇怪な香炉が。
 「時騙しの香」をたゆたわせている超存在が。
 ……あれ、あれを消してしまえば、「彼」の魔術は効力を失うはず。
 そう。
 彼女はまだ希望を失っていなかった。
 プライドをずたずたにされてもまだ、闘志を失っていなかった。
 少女戦士は四肢も満足に動かせないまま部屋の隅へと移動しようとする。
 身体をくねらせ、ねじらせながら。
 なかば仰向けの姿勢でほんのわずかずつながらも近づいていく。
 全身を濡らし、息を荒げ、排泄の要求に涙し、深呼吸を繰り返しながら。
 だからむしろ膝に力を入れすぎて、勢い余ってうつぶせになったときにはレイは一瞬ほっとしたのだ。
 この姿勢のほうがまだ速く動けると。
 レイは勝利を確信する。曲げた膝に力を込めて、身体を前に押し出した。
 「ひ、ひぁぁぁあああッ!」
 食いしばった唇から絶叫がほとばしる。
 目の前に火花が散った。
 全身に込められた力ががっくりと抜ける。
 ……むね、胸が……さっきの……薬が。
 そうなのだ。
 カヲルの下僕と化した男たちによって注入された薬品は、いまだにその効果を保っていたのだ。
 硬く勃起し、ひどく敏感にされてしまった少女の胸の先端が絨毯に擦りつけられたとたん、レイは悪魔の快楽を得てしまう。
 ……あ、あ、だめ……。この姿勢では……だ……め。
 刺激を減らそうと仰向けになろうと身をひねる。
 「はぁぁッ!」
 彼女の膝に込められた力が一気に抜け、カーペットに突っ伏してしまう。がくがくと躰を震わせる。
 「あ、あ、あ……ちょっと、ちょっと触れただけ……で」
 身体をねじっただけで、痛々しく屹立してしまった少女の乳首はカーペットにこすりつけられてしまう。
 だがその刺激は、レイを絶望的な快楽へと追いつめるのだ。
 「だめ、だめ、だめ、このままじゃ」虚ろにつぶやきながらも、レイは諦めなかった。なんとか刺激の少ない姿勢を取ろうとぎちぎちに拘束されたままでもがき……。
 「あはぁぁッ!だめ、だめ、かんじちゃうッ!」
 尖りきった乳首を絨毯に擦りつけてしまって泣き叫ぶ。
 どこかうっとりした表情を浮かべて涙をこぼしてしまう。
 それでもレイは戦い続ける。
 なんとかして邪悪な香炉までたどりつき、その火を消してしまおうと身をくねらせて絨毯の上を這い進もうとする。
 だがそれは当然……
 「あ、ああ、あ、いやぁ、こすれ……るぅッ!」
 自分自身に対してさらなる拷問を行ってしまうことを意味するのだ。
 それでも彼女はあきらめない。
 泣きながら、声にならない甘い悲鳴を上げながら、全身をがくがくと痙攣させながらレイは進もうとする。
 拘束された身体を屈曲させて進もうとする。
 歯を食いしばり、一心不乱に進もうとする。
 だから、その声は突然だった。
 「ずいぶん楽しそうだな。レイよ」
 我に返る、首をひねって背後を見上げる。
 そこにいたのは冬月とその仲間たちだった。
 ……間に合わなかった。
 レイはぽろぽろと涙を流しはじめた。無念と悔恨で胸が張り裂けそうだった。
 ……ああ、あと少しだったのに、あとすこし……え?
 涙に濡れ、歪んだ視野に映る呪われた香炉、それは遙か彼方のままだった。
 ……うそ?なぜ?
 愕然とするレイに男は優しい語調で残酷に告げる。
 「ずいぶん可哀想なことをしたね、レイ。我々がいないあいだ、寂しくてたまらなかったのだな。絨毯におっぱいを擦りつけてオナニーに耽るほどとはね」
 「うそです!」少女は叫ぶ。自分の努力がここまで愚弄されることに彼女は我慢できなかった。
 「これは異なことをを」禿げた男は鼻で笑うとうつぶせになった少女の背中を軽く踏みつける。
 「ふ、ふひぃぃッ!いやぁぁぁ!」
 毛足の長い繊維にごりごりと乳首を刺激されて、聖少女は悲鳴を上げる。
 背中に乗せた足を残酷にぐりぐりと動かされ、さらに乱暴にレイの胸は刺激された。
 なんとか抵抗しようと膝で踏ん張ろうとする。
 だが、かなわない。
 「あ、あ、ああ、あ」つぅっ、と彼女の唇から涎がカーペットにこぼれた。甘いあえぎがひっきりなしに漏れはじめた。
 男が足をどける。しかしレイの甘え声は止まない。彼女の瞳は情欲に惚けたままだ。
 彼女は膝と腰を巧みに使ってカーペットに自分の上半身をこすりつける動作を続けていたのだから。
 男に強いられることもなく、快楽を得るための永久運動を始めてしまっていたのだから。
 「ベッドの上にレイがいないことに気付いて慌てたが……無用な心配だったな」
 禿げた男に嘲笑われても、レイは自慰を止めることができない。
 「ああ、わたし、わたし、自分から、自分から、いやなのに、使命があるのに……」
 聖少女は涙をこぼしつつも、胸からの素敵な刺激をむさぼることを止められない。
 男たちに見られながら、さらなる高みを求めてごりごりとおっぱいをこすりつけることを止められない。

 彼女が敗北を意識したのはこの瞬間だった。



◆ ◆ ◆



 「ね?どうしてアンタってアイツのことを『碇君』って呼ぶわけ?」
 床に腹ばいになった姿勢でポテトチップをぼりぼりやりつつ、部屋の所有者の本棚から探し出した少女小説を読みふけっていた赤毛の同級生に呼びかけられた「碇」レイは小さくため息をついた。
 「その本、持って帰って読めば?」レイはアスカの質問に答えず、逆に問いかけた。
 「いいじゃないのぉ、もうじき読み終わるから」
 「なにしに来たの?さっきは碇君の部屋でずっと漫画を読んでいたし」
 「ああ、あれ?」アスカはひょいとソックスのつまさきを振ってのけた。「あれはね、『片付け』なの。ユイおばさまに頼まれてるもん。相田や鈴原オススメの、アレなやつをぽいぽいーって捨てて、良質なモノは残しておくためのものよ」
 「『アスカが帰ったあとの本棚には恋愛ものと熱血ものしか残っていないんだ』って碇君が言っていたけど」
 「そうそうそう!アイツに足りないのはそのあたりなのよ。そういうのを多少は学びなさいというオヤゴコロかな?」
 はぁ、とレイはまたため息をついた。
 ベッドの上に正座したまま、さっきたたみ終わった洗濯物をもう一度広げてたたみ直す。
 「ね?なぜ?教えなさいよぉ」アスカはしつこかった。にこにこ笑いながらさっきの質問を繰り返す。
 「……なんとなく」素っ気なくつぶやいた。しかし詮索好きの少女の追求は収まらない。
 「だってさぁ、家族なんだから『お兄ちゃん』って言ったほうが普通じゃない?あ、それとも『おにぃさまぁ』かな?」裏返った鼻声の少女にレイは苦笑した。
 「わたしは『碇君』がいいの。そっちのほうがしっくりくるわ」
 レイの言葉に少女は、惣流・アスカ・ラングレーは唇をちょっと曲げた。
 「ま、たしかにお兄ちゃんって柄じゃないか、シンジだもんね。なんてったって」
 「そうじゃないの」
 強い口調にアスカは思わず振り返る。
 「そんな意味じゃないの」レイの調子にアスカはいささかひるんだ。すこし黙ってからくすくす笑う。
 「ふふっ、やっぱり『お兄ちゃん』が悪く言われるのはいやなんだ、アンタは」
 ふたたびレイはため息をついた。
 どうしてそんなことを聞いてくるのかしら。どうしてこんなに好奇心いっぱいなのかしら。
 レイには分からない。とにかくアスカがひどく苦手でたまらないのだ。
 こどものように「なぜ?どうして?」と訊ねてくるところも、無邪気に無限の善意をたたえた瞳で「はい」と差し出される訳の分からないプレゼントや、レイが行こうとは思わない場所へ「さ、いくわよ、ほらぁっ!」と時に背中を押され、時には手を引かれて連れていかれることなども。
 それにひどくこどもじみた悪戯も。
 いや、レイが苦手としているのはアスカの行為そのものではなく、それを断ることなのだった。
 無愛想な言葉では、クォーター美少女にあっさりと押し切られてしまう。
 理路整然とした理由を突きつけると、ひどく哀しそうな目をして拗ねはじめる。
 気がつくとアスカの思い通りになっている自分を発見してしまうのだ。
 だいたい、アスカだって自分のことを好いているわけではないのだ。レイは思う。幼馴染みとのあいだに突然割って入ってきた、中途半端な立ち位置のオンナ、アスカが自分のことをそう捉えていることは分かっていた。
 ならばそれらしい対応の仕方があるだろうに、彼女はことあるごとにちょっかいをかけてくるのだ。
 今日のように、いまのように。
 シンジを訪ねてきたはずなのにレイの部屋にノックとともに入り込み、本棚を勝手にあさっては「あ、これってヒカリが勧めてた本だ」と実にくつろいだ調子で読み始めたのだ。
 おかげでレイは自分の洗濯物を畳みおえても、ユイのところへ戻れなくなってしまった。
 いつもなら大好きな養母のすぐ隣に座って洗濯物の片付けをしているころなのに。
 レイはため息をついた。アスカは小さく肩をすくめる。
 リビングからユイの声が届く。アスカちゃん、レイちゃん、お茶の準備ができたから二人ともいらっしゃいと。
 どこかほっとした表情で二人はドアへと向かう。
 そのとき不意にレイは気付いた。
 ……わたし、碇君と「きょうだい」になりたくないのね。
 ……それ以上になりたいから、他人行儀に呼びかけているのね。
 廊下を並んで歩くアスカをレイは初めて強く意識する。
 リビングのドアを開ける。

 そこはつよいラベンダーの香りが立ちこめていた。
 少女はぐらりとバランスを崩す。



◆ ◆ ◆



 「……目が覚めた?優等生?」
 レイをのぞき込んでいるのは勝ち気な少女だった。
 「ヘロゥ、よく眠ってたわね」
 「あす……か。ああ、アスカ……」レイの瞳から涙が溢れはじめた。
 ああ、あれは悪夢だったのだ。あのどうしようもないひどい陵辱は悪夢だったのだ。
 でももう大丈夫。勝ち気で勇敢な友達が来てくれたのだから。あんな淫らな悪夢に悩まされずにすむ。
 「わたし、お茶の途中で眠ってしまったの?変ね。疲れていたのかしら?」普段よりもはるかに饒舌に語りかけるレイにアスカは奇妙な笑みを浮かべた。
 「お茶?なんの話?優等生?」
 「や、やだ、だっておばさまに呼ばれてお茶を、それにその『優等生』って呼び方はやめて……」
 少女はアスカに笑いかけ、身を起こそうとする。
 動けなかった。びくともしなかった。
 「……あ、ああ、ああ……」アルビノの少女はがたがたと震えはじめる。
 彼女は気付いてしまったのだ。
 自分は卑猥なM字開脚姿勢で拘束されたまま、ベッドに横たわっていることを。
 室内にはラベンダーの香りが立ちこめていることを。
 アスカの背後でにやにやと笑いながら自分を見つめる男たちの存在を。
 「素敵なユメを見てたみたいねー、レイ?」
 「あすか、ああ、あなた……」
 レイは震えることしかできない。惣流・アスカ・ラングレーはレイの「ちょっと苦手な女の子」ではなく、憎むべき敵の下僕としてここに存在しているのだ。
 決してレイを救うためにここにいるのではないのだ。「彼」の手に落ちた人間が逆らえるはずなんてないのだから。
 だからアスカの浮かべる笑みは、どこか意地悪でこうも淫靡なのだ。
 そのクォータ少女の艶めいた唇が、聖少女を貶める言葉を紡いでいく。
 「気絶するくらいよかったんだ。おじさまたちの『オシオキ』って。四本目のお注射がとってもステキだったのね?」
 アスカはレイの髪を整えつつ、くすくす笑いながらレイが施された教育内容を少女の耳に吹き込んでゆく。

 「ベッドの上に連れ戻されて、キールのおじさまにおっぱいの先にオシオキされちゃったんだ。すごく敏感になってるところを爪できゅーっとされちゃったら、そりゃわんわん泣いちゃうよね。
 それからキールのおじさまに、「お注射」いただいたのね。クリのところに。怖かったでしょ?おっぱいだけでああなっちゃうのに、ソコがじんじんするようになったら気が狂っちゃうと思ったでしょ?
 でも、どんなにお願いしても許してもらえなかったんだよね?もう逆らいませんとか、どんなことでもしますとか、えっちな御奉仕も覚えますからとか、言っても駄目だったんだよね?……あーあ、「ごしゅじんさま」にケンカ売ってたはずなのに、ねぇ?
 おじさまたちに押さえつけられて、「ちく」ってされちゃったらおこちゃまみたいにわんわん泣いちゃったんでしょ?
 けど、だんだんじんじんしてきたクリをつんつんされたら……レイはすっごくシアワセになれたんだっけ?
 もう、「さだめ」なんてどうだっていいくらいにね。
 えっと、そのあとはおじさまたち四人同時に愛していただいたんだっけ?
 いやらしーいディープキスしながら唾液をこくこく飲ませてもらったんだぁ。
 右と左のチクビを、同時に吸われたり、舌でコロコロされるとすごく良かったのね?
 アンタったら、バージンホールをおじさまの舌でれろれろされたときの顔、信じられないくらいエロかったよ。
 ふふっ、そんな上手なテクニックで「ローテーション」していただいたんだぁ。それも二周?信じられない。
 そりゃぁいくらアンタでも、身体がぐにゃぐにゃになっちゃって……とってもとってもステキな気分になっちゃうわよねぇ。
 そんなところで、コレが……」
 アスカはいたずらっ子な表情のまま、レイの目の前にそれをかざす。
 レイは悲鳴を上げる。可憐な美貌を歪ませてこどものように泣きだした。
 「あれ?そんなに辛いの?これ」にやりと唇の端を歪ませるアスカ。
 彼女が手にしているのはどこの家庭にでもある洗濯ばさみだった。
 赤い樹脂製の、どこにでも売られているものだった。
 それをレイの目の前でかちかちと開閉させる。それだけで異界の少女戦士は躰を震わせて泣きじゃくるのだ。
 アスカの無邪気な笑みがさらに大きくなる。
 「これでクリと乳首をぱちん、ってしてもらったら、何回イったんだったけ?ったく、形無しじゃないのアンタって」
 そういいながらアスカの手はゆっくりと下がっていくのだ。レイの下腹部へと、ゆっくりと。
 「あ、あ、ああ、だめ、だめ……お、お、あ、あ……」
 洗濯ばさみを開いていたアスカの力がすこし緩められる。女の芯を嘴で軽く挟まれただけで、レイはもはやもがくこともできない。
 「スケッチブックの絵では無口なアンタがどんな声で泣いたか分からなかったの。だからね、もういちどレイがわんわん泣く声を聞きたいなー。ね?」
 「お願い、アスカ、お願い、そんな残酷なことしないで、お願い、おねが……あぁぁぁッ!」
 くすりと笑われた。指の力をいっぺんに緩められた。
 ぎざぎざした樹脂の歯がぱちんと噛み合った。
 拘束具をぎしぎし歪ませて、スレンダーな肢体を反り返らせて碇レイは部屋中に響き渡る美声で泣き叫ぶ。
 制服姿で見下ろす「ライバル」の目の前で悲惨な絶頂をなんども迎えさせられる。
 失禁と潮吹きを繰り返しながら「ああ、ゆるして、ゆるして、ゆるして、あすか、あすか、あすかぁ!」と叫んでしまう。
 ふたたび意識を失ったレイを、どこか安らかな表情の同級生を、惣流・アスカ・ラングレーは自身をぎゅっと抱きしめた姿勢でうっとりと見つめている。


 そうしてレイは同級生の目の前で、「レッスン」の最終段階へと進まされる。
 拘束を外された彼女は冬月に抱えられてバスルームへ連れて行かれた。
 蕩けた表情に水をかけられて意識を取り戻す。しかし、過酷に責めたてられた彼女はタイルの上にぐにゃりと身体を投げ出したままだった。
 「よーしよし、よく我慢したね、レイ」冬月に抱きしめられても彼女は無反応なままだった。
 だがしかし、レイの髪をいじっていた冬月の手が肩から背中へ通り、腰まで下がってくると少女ははっと目を見開いた。
 男の指がレイのアナルに突き刺さっているプラグのリングにかかると「ああ」とおののいてしまう。
 「さ、レイがひり出す様子を私たちに見せておくれ」と囁かれると、力が入らないくせに崩壊の瞬間を遅らせようと努力してしまう。
 背筋を這い上がる悪寒に奥歯をかちかち鳴らしながらも、「彼女にだけは」見られたくないと心の底から思ってしまう。
 そのけなげな決意を彼女の表情から読み取りつつ、冬月はゆっくりと栓を抜いてゆく。
 揺すり、ひねり、ときに勢いよく動かして、奥歯を食いしばるレイの漏らす悲鳴を楽しみつつ。
 ついに邪悪な器具からレイは解放された。もちろんそれは新たな試練の、決して報われない努力の始まりに過ぎない。
 小さく悲鳴を漏らしつつしだいに虚ろになってゆくアルビノ美少女の表情を男たちは心の底から楽しみ、アスカも彼らに追従する。
 「さぁ、もうじきだな。どう頑張っても力が入らないだろう?」冬月は笑うと熱を帯びたレイの頬を両手で支え、レイがいやでも彼と見つめ合うよう強制する。
 「ひり出すときは私の目を見るんだ。目を逸らしたり、つぶったりすればまた洗濯ばさみで仕置きしてあげるからね」
 「おねが……いで……す。こんな、こんなひどいこと、しないで、もう、もう、さからわないからぁ、もう……ぁ……は、あぁ」
 決壊はあっけないほど簡単に訪れた。
 「ああ、ああ、いや、いや、いや、でちゃう、でちゃう、ああ、ああ、ああ……はぁ」
 少女と男たちの哄笑を浴びながら、レイは風呂場のタイルを、自身の下半身を汚していく。
 音を、匂いを最大のライバルである美少女に残酷に嘲笑われ、屈辱と自己嫌悪で泣き歪むと同時に原始的な快楽に蕩ける表情を冬月に観察される。
 男の瞳に潜む歪みきった達成感とさらに煮えたぎる欲情の色彩を直視させられて、もはや自分がエロティックな素材に過ぎないことを否が応でも認識させられてしまう。
 シャワーからの温水で下半身の汚れを落とされ、さらに四回にわたって浣腸されるあいだ、レイは一切の抵抗を放棄していた。

 ふたたび挿入されたアナルプラグだけを唯一の装身具としたレイは、ようやく回復した男たちの肉棒にフェラチオ奉仕を求められた。
 少女は従順だった。
 言われるがままにしなやかな指を絡め、麻薬の助けによって覚え込まされた舌遣いで情熱的に口腔性交に励む。
 ちいさな口いっぱいにペニスを頬張り、澱んだ視線をちらちらと牡たちに向けつつちゅぱちゅぱちゅうちゅうとバスルーム中に反響するほど熱心にペニスに舌を擦りつけていたのは、いまだに薬の影響が残っていたためだけだろうか。
 硬くおおきく腫れ上がった亀頭に喉奥を「こつん」と突かれたとたんに、タイルにぺたんと落ちた腰をひくひくさせて、股間から熱いしたたりを分泌させてしまうのも麻薬のせいだろうか。
 ようやく溜まった精液が舌上にほとばしると、無意識のうちに喉を鳴らして感謝の笑顔を浮かべてしまうのも、麻薬の後遺症なのだろうか。
 レイは男たちに制止されるまで、舌淫奉仕をやめなかった。いや、やめることはできなかった。
 男たちの放った精を飲み干したのち、冬月に手を引かれてよちよちとベッドルームへ連行されるレイの表情は、まるでミルクが飲み足りない乳児のようだった。

 マットレスへと突き倒され、男たちによってヘッドボードに両手首と両足首を拘束されてもレイは従順だった。二つ折りにされた輝く裸身を悪戯されても人形のように無反応だった。
 そんなレイの表情にわずかな変化が起きたのは、彼女の小振りなヒップをアスカが軽く撫でたときだった。
 「はーい、レイちゃんのオナカのナカ、きれいきれいになりまちたねー」
 かすかな嫌悪を浮かべるレイへにっこり邪悪な笑顔を向けたアスカの表情には、彼女を彼女たらしめている快活さも聡明さも、意志の光もなにもなかった。そこにいるのは美しく淫らなサッキュバスだった。
 その可愛らしい淫魔は制服のポケットから長さ二〇センチほどのケースを引っ張り出すと、レイに見えるように蓋を開けてみせる。
 それは黒塗りの棒だった。いや、枝と言ったほうが適当だった。
 それはよじれ、ねじれ合い、あちこちに瘤を持ったぬめ光る棒だった。材質は分からない。最も太いところでも直径二センチもなかった。
 「これはね、魔法のステッキなんだよ」アスカは喜々として説明する。まるで貴重品かなにかのようにそれを取りだし、レイの目の前で振ってみせる。
 「これで魔法をかけられちゃうとね、お尻のセックスが大好きになるのよ」V字開脚を強いられたうえ、飾り毛もまばらな秘所とアナルプラグをひくつかせる菊門を天井に突き出しているレイの内腿にそっとその「ステッキ」の先端を触れさせる。
 「カヲル様ってすごく優しいよね。アンタみたいな敵でさえ、気持ちよくしてくださるんだから」
 アスカの陶酔しきった表情をこれ以上見ることができなかった。レイはぎゅっと目を閉じて顔をそむける。
 「ほんと、コレ、すっごいのよ」レイの内心などまったく気にせずにアスカはつづけた。「コレを使われたオンナはみんな、とっても素直になるんだから。そうよ、ユイおばさまも、アタシもこれでアナルの快楽に目覚めさせていただいたのよ」
 レイは唇を噛みしめた。
 ……あのアスカを、あの溌剌とした彼女を、ここまで貶めるなんて。ひどすぎる。ひどすぎる。
 しかしアナルセックスの虜にされた美少女は朗らかにレイに告げる。
 この棒はついさっきまでユイとアスカを快楽に泣きさけばせていたものだと。しばらくのあいだこれの快楽をいただけないのはとっても残念だけれど、「親友」のレイのためだから我慢すると。
 そうして惣流・アスカ・ラングレーは花の蕾のような唇をおおきく開いてその邪悪なステッキを舐めしゃぶるのだ。たっぷりとそれに唾液を乗せ、ちゅぱちゅぱと卑猥な音を立ててその邪悪な器具に潤滑液を塗りつけてゆくのだ。
 「だめ、だめ、だめ、あぁ……」ぶるっとレイが躰を震わせる。アスカのほっそりした指がアナルプラグを引き抜いたのだった。
 アルビノ少女の柔軟な排泄口はプラグによって拡張されていたもののすぐにすぼまろうとする。
 そのおちょぼ口が元のサイズとなる寸前に、アスカはそれを……鉛筆程度ながらも邪悪なまでにイボと瘤の付いた棒を……落とし込む。
 「ふぁぁ……ッ!」
 こつん、と奥を突かれ、レイは瞳を見開いた。
 奥まで達したところで菊門がきゅっと締まり、結果として「それ」を食い締める。
 「ひぃぃぃッ!ああああああっぅぅぅぅッ!」
 さっきまでの悲鳴とはボリュームからなにもかも違っていた。
 少女の爪先が暴れ回り、拘束されたヘッドボードを蹴りつける。
 同じくヘッドボードに固定された手枷がすさまじい勢いで引っ張られる。
 「ああ、あああっ!ああ、おおぉぉぉッ!ひぃぃぃッ!」
 それは悪魔だった。
 その捻れ、瘤、いやらしい反り具合。
 レイの肉体が反射的に括約筋を収縮させるたびに、それら全てがすさまじくも凶暴な快楽をレイに与えていた。
 涙の粒をふりまきながらレイは全身を痙攣させる。しかしそれは不幸なことに未成熟なアヌスをさらに収縮させてしまう。
 「あ、あああ、だめ、だめ、らめぇぇぇ、い、い、いや、ぁぁあああああ!あああ、あ、あ……」
 暴れ、泣き叫び、なんとかこの地獄から逃れようと悶えるたびに聖少女はその調教具を締め付けてしまい、結果としてその悪魔の器具にアナルをえぐられ、ぐるりぐるりと掻き回されてしまうのだ。
 がくりとスイッチが切れたかのように全身が弛緩した。
 少女の必死の努力でほんの二センチほど体外へ排出されていたスティックがするりと再侵入する。
 こつん、とその先端があたったのはまだ未熟な少女の子宮壁。
 「あ!あああ!」
 邪悪なスティックがレイのおんなの部分に与えた電撃的な快楽はもはや暴力だった。荒い呼吸を繰り返し、唇の端からたらりたらりと涎をこぼしていた少女は未知の快楽の衝撃に目覚めを強要される。
 ぎゅうっと躰が反り返り、彼女の菊門はスティックをまた締め付けてしまう。
 「いや、いや、おしり、おしり、おしりがあついのぉ、あああ、お、あつい、あつい、おおおおぅぅぅッ!らめぇ、らめぇ、らめぇえ……!」
 カヲルを滅ぼすためにこの世界に降臨した少女戦士レイ、彼女はいまや肛虐無間地獄に堕ちていた。
 「ね、レイ、すっごいでしょ?それ」
 十数秒のあいだ泣き叫び、痙攣しながら暴れ、その後ぐったりと全身を弛緩させるというサイクルに陥った少女を見下ろしアスカはくすくす笑う。
 「いまは勝手におしりが気持ちよくなってるだけだけど、もうじきね、自分からはじめちゃうのよ。力をどう入れれば気持ちよくなるのか分かってくると、自分でお尻のアナをきゅうきゅうさせちゃうの。ほんとだよ。我慢なんてできないんだよ。ぜったい」
 「あ、ああ、あ、だめ、だめ、だめ……」
 「アンタは優等生だからきっとすぐに覚えちゃうわ」アスカは微笑む。「じゃアタシ、ご主人様のところに戻るから。おじさまたちにしっかり躾けてもらうのね。アンタがおじさまたちにお尻のバージンを捧げるときは、アタシも絶対呼ぶのよ。いいわね?」
 「いや、いや、こんな、こんなのぉぉぉッ!だめ、だめ、ああ、ああ、おかしく、おかしくなる!おしり、あついの、あついの、あ、あ、あ、あすか、あすか、おねがい、おねがいだからたすけて!おね、おねが……いぃ……」
 レイの唇がわななき、表情が緩む。股間からぴゅっ、ぴゅっとしぶかせた愛蜜を美貌に降り注がせてレイはエクスタシーを迎えさせられていた。
 にっこりと男たちに会釈して、アスカはマンションの一室を辞去する。

 レイの惑乱ぶりに夢中になっていた男たちは気付かない。
 アスカのまなじりに涙が浮かんでいたことに。
 アスカの掌に爪が食い込み、血がにじんでいることに。


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Original text:FOXさん