-14歳の喪失−


Original text:FOXさん


 ……だれか、だれかきて。
 ……おねがい。だれか。
 ……おねがい、おねがい。
 ……お父さん。おとう……さ……ん

 身体をゆする。強く揺する。
 両手は自由にならない。手首が痛くなるばかり。
 膝を曲げて擦り合わせる。
 「はぐぅぅぅん!」
 がくん、と頭が跳ね上がり、ポニーテールが暴れ回った。

 ……キモチ……いい。
 ……いままでの、いままでの……自分のユビでするより……いい。
 ……こんな、怖いのに、恥ずかしいのに……いい。
 ……クスリ、あの、あの、あのクスリのせいだ。
 ……でも、でも……いい。すっごく……イイ。

 彼女の瞳に光がともる。
 ただしそれは、同年齢の少女には見られないような光。
 欲情にまみれ、理性が蒸発しきった光。

 「う、ううぅ、う」
 くぐもった声を上げながら少女は膝を擦り合わせる。
 そうすることによってジーンズの生地が「恥ずかしいところ」に与えてくれる刺激に思考をフラッシュさせる。
 鼻水と涙で愛らしい表情をぐしゃぐしゃにしながら刺激を求め続ける。
 両手首の痛みが快感を押しつぶすまでそれを続ける。
 「ひ、ひぃん……ふぅぅぅっ」
 ひんやりとしたコンクリートにソックスの足裏が触れ、その冷たさが彼女に正気と、快楽を貪ってしまった自分への嫌悪を取り戻させる。
 でも、それはわずかな間の話。
 少女に施された卑劣な悪戯は、彼女の未熟な蕾をじんじんと浸食し、そして精神も蝕んでいく。

 身体をゆする。強く揺する。
 両手は自由にならない。手首が痛くなるばかり。
 膝を曲げて擦り合わせる。
 押し寄せる快楽が彼女にいまの状況を忘れさせた。
 両脚を宙に浮かせてそのままぐりぐりと膝を擦り合わせる。
 ジーンズが与えてくれる快楽に涙する。
 両手首の痛みが快楽を押しつぶすまで。

 それが十数回繰り返される。

 いつしか、少女の叫びは変わっていた。
 それが声にならないことを感謝しながら叫んでいた。

 ……だれか、だれか……。
 ……お願い、おねがい。
 ……ここ、ここ、痒いの、じんじんするの、熱いの!
 ……おねがい、おねがいだから……触って
 ……ここ、この、痒いところ、あたしの恥ずかしいところ……こりこりして!
 ……おねがい……だれか……おとう……さ……ん。
 ミサトのここ、いじって……ぇ。

 一四歳の少女は泣き叫んでいた。
 誰もいない資料庫で泣き叫んでいた。
 三メートル以上ある資料棚の立ち並ぶ通路で、左右の棚から伸びたロープに両手首を拘束されて泣きじゃくっていた。
 爪先立ちになり、可愛らしい口には清潔「だった」ハンカチを詰め込まれて泣いていた。
 活動的なジーンズに青黒い染みを付け、ポニーテールを揺らしながら快楽に押し流されていた。

 その一四歳の少女、葛城博士の愛娘ミサトは南極調査基地の資料庫で、欲望の生け贄とされていたのだった。




◆ ◆ ◆




 最初はずいぶん張りつめていたはずの緊張が緩んでしまったのは、やはり時間が経つにつれて人恋しくなったからだろう。
 どちらかと言えばはにかみ屋の葛城ミサトも、南極という閉鎖環境では自分の父親しか会話の相手がいないという状況には耐えられなくなったのだろう。
 父親の研究室よりもはるかに極端な「年上の男の人ばっかり」という環境にも多少は慣れてきたからだろう。
 もちろん、常に愛娘に注がれている葛城博士の愛情を感じていたこともその理由だった。
 少女に向けられる不埒な考えなど、少女の父親の存在感だけで消え失せてしまうのだから。

 だからミサトは、いつも読書室代わりにしている食堂で、その従業員から「ミサトちゃん、悪いけど第四作業所にコーヒーとお夜食、持って行ってくれない?」と頼まれると。にっこり笑ってポット受け取ったのだ。

 ここ数日、彼女の父親は「発掘物」にかかり切りで居室にも戻らないどころか、ミサトの様子を見にもこない状況となっていたことなど、気にかけないくらい緊張が緩んでしまっていたのだ。
 そして父親という暖かく力強い存在に護られていた雛鳥は、その無邪気な笑顔がどれだけ邪な欲望を呼び起こしているかを知らなかったのだ。
 一四歳のスレンダーな肢体で機敏に「お手伝い」をするさまに、どれだけ淫らな欲望が投影されているか考えもしなかったのだ。
 年上の男性と会話するときの少し赤面しながら発せられる澄んだ声が、どれだけの妄想をこね上げてしまうか理解できなかったのだ。

 だから、第四作業所のドアを開け「あの……お夜食とコーヒー、持ってきました」と小さな声で伝えたときの、男たちが浮かべた欲望と焦りの表情の意味がよく分からなかったのだ。


 「ったく、来るの遅いよ、ミサトクンは」
 「んッ!んんん!んー」
 「まぁまぁ、来てくれただけで喜ばなくっちゃ。ね?」
 「ふぅぅぅッ!んんんっー。むぅぅー」
 「けどさ、どうする?呼び出しかかっちゃってるぜ。もうすぐ行かないと」
 「ふぅぅぅッ!ううううっ!」
 「ここまでしておいて、返すわけにはいかないっしょ。ミサトちゃんには待っててもらいましょ」
 「ひぃぃぃん!ひっ!あふぁぁっ!」
 男性職員六人がかりで拘束され、口にハンカチを詰め込まれて悲鳴を封じられていたミサトは全身をバネにして暴れていた。
 少女が男性職員に頼まれたようにテーブルへポットと夜食の入ったバスケットを置いたとたん、背後から彼女は襲われる。
 あっという間に羽交い締めにされ、ジーンズのポケットから抜かれたハンカチで声を封じられた。
 そして、先のやりとりののちにミサトはジーンズとショーツを膝までずらされてしまう。
 屈辱のあまり泣きじゃくる少女に男たちは優しく言った。

 ……ここにいるのはミサトちゃんの大ファンばっかだよ。
 ……ずーっとミサトちゃんと仲良くなりたくて、うずうずしてたヤツばかりだよ。
 ……お父さんが厳しかったから、なかなか機会がなかったけれど、チャンスをずっと待ってたんだ。
 ……このポニーテールの匂いを嗅ぎながら、後ろからズコズコ突いてやりたかったんだよな。
 ……オレは全身をナメナメしてあげたくってたまらなかったんだ。
 ……この変態め、オレはただ、ここの狭いベッドで一晩中ぴったり抱き合ってあらゆる体位でヤルことしかかんがえてないのに。
 ……だめだったら、独占は許されない。ミサトちゃんはみんなの「モノ」なんだから。

 震える少女の脚が強引に押し広げられた。
 おお、と男たちが声を上げる。
 ……バージンって感じのワレメだよな。
 ……「おひげ」の生え加減がそそるなぁ。お手入れなんて考えてもない感じがいいよ。
 ……おいおい、そんなに弄り回すな。ミサトちゃんが痛がってるじゃないか。

 男の一人がラベルもなにもないチューブを引き出しから取り出し、右の人差し指にそれをちょん、とのせる。それから左の人差し指と親指で無造作にミサトの未成熟な肉芽を露出させる。

 「ひ、ひぃぃぃンッ!」ミサトの全身が反り返った。しかし雄たちはまったく容赦しない。

 ……うわ「処女の香り」だなこりゃ。
 ……ミサトちゃん、ちゃんとここも綺麗にしなくちゃ。
 ……全部は剥けなかったけど、いいのか?
 ……かまわねぇよ。半分でも処女には天国……いや、地獄かもな。

 処女ゆえに不潔になっていた箇所を揶揄され、屈辱に震えていたミサトのクリトリスにそのチューブの中身が丹念に塗りつけられた。
 敏感な箇所を指でいじられ、強烈な刺激に泣き叫ぶミサトの様子をはやし立てながら、男はクスリを処女の性感帯に塗り込めた。

 そうしておいて男たちはミサトのショーツとジーンズを元に戻し、彼女の両手をそれぞれ資料棚にくくりつけてその場を去る。
 「一時間くらいで戻るけど、そのころにはきっとミサトちゃんはボクたちを心待ちにしてるだろうね」
 爪先立ちの少女に哄笑を浴びせかけ、スリムなお尻を撫でてから立ち去る。

 明かりが消され、ドアが閉まる。
 残ったのはただ、葛城ミサトのすすり泣く声だけ。




◆ ◆ ◆




 なれなれしく背後から肩を抱かれるまで、ミサトは男たちが戻ってきていることを知らなかった。
 それどころか、明かりがいつの間にかついていることも気づいていなかった。
 ただ目を閉じ、もどかしい快感を貪ることに夢中になっていたのだった。
 「ずいぶんハデにもじもじしてるね、ミサトちゃん」
 そう言ってリーダー格の男がジーンズの上からミサトの小さなお尻を撫でた。
 うつろな表情の彼女は抵抗しない。それどころかまだ青硬い桃尻の割れ目に這わせるように突き出した指に、ぐりぐりと秘所をこすりつけようとするありさまだった。
 「気持ちいいかい?ミサトちゃん?」
 少女にわずかに残った理性が、首を横に振らせた。
 しかしそれも、別のだれかがぐいと手を伸ばしてミサトのジーンズが濃紺に変色部分をぎゅっと押さえるまでだった。
 強烈きわまりない愉悦が少女を襲い、哀れな生け贄はがくがくと全身を痙攣させながら至福の快楽と絶望を味あわされた。
 がっくりと全身から力が抜けたところで、男の指がさらに巧みに熱を帯びてしまった少女の肉芽を硬い布地の上からくすぐった。
 一四歳のはにかみ屋の少女が耐えられるはずなどない。
 男が与えてくれる快楽にどっぷりつかり、甘えた鼻声で「もっと、もっと」と催促してしまうようになってしまう。
 悲鳴や助けを呼ぶ声を封じていたハンカチが取り除かれても甘い声しか上げなくなってしまっていた。

 その唇が男たちに奪われる。
 コミックとドラマとうわさ話とチャットでしかそれのことを知らない少女は、たちまちのうちにその口で行われるセックスに溺れてしまう。
 優しく唇を触れるだけの優しいキスで高められ、ある時は容赦なく顔中を舐め回され、口腔内を強引に舌で犯され、唾液をまぶされた舌を絡めることを強制されてしまったのだ。
 それどころか、秘芽を刺激されながら「さっきおじさんにされたみたいに、今度はミサトちゃんがおじさんの口に舌を入れるんだよ」と命じられるとうっとりとした表情でディープキスをはじめてしまっていた。
 さらに卑劣漢たちと唾液の交換をなんの躊躇いもなく始めるようになってしまっていた。
 なんども、なんども下半身をなぶる指に絶頂へ追いやられながら。

 少女への責めはまだ終わらない。
 未知の快楽を与え続けていた手が不意にいなくなる。
 はっ、と瞳を見開くミサトに男たちは言う。「自分でやってごらん」と。
 しかしミサトの両手は拘束されたままなのだ。それにさっきのように膝を擦り合わせるだけではもはや満足できないことも明白なのだ。
 「おねがい……おねがい……いじって、ごりごりして……おねがい」ミサトの懇願は受け入れられない。
 だからミサトは、葛城博士の知性を受け継いだ聡明な少女は、解決策を発見するや実行に移す。
 目の前に立つ男の脚に自分の脚を絡ませ、淫靡な腰つきで自分の股間を男の脚にこすりつけはじめる。
 男たちが「さすがミサトちゃん。頭いいねぇ」とはやし立てる中、にっこりと微笑みながら快楽を貪る。
 後ろから伸びてきた手が、少女の生硬な胸の膨らみを弄りはじめてもミサトは気にするどころか、口元に笑みを浮かべて歓迎してしまっていた。

 やがて、十数回の絶頂ののちに少女のスタミナが切れてしまうと、力を失った下肢からジーンズが脱がされた。
 「うわ、ミサトちゃんの縞パン、ぐちゃぐちゃだよぉ」驚きの声を耳にしても、彼女は虚ろに微笑んだままだ。
 そしてそのショーツをずらされてダイレクトにクリトリスをいじられた。
 言語にならない甘い絶叫がミサトの唇から発せられ、若いしなやかな肉体ががくがくと弾む。
 少女の反応は大いに陵辱者たちを喜ばせた。
 ミサトはショーツも剥ぎ取られて、そのちっぽけな肉真珠が男たちの舌で次々と転がされ、しゃぶられ、吸われてしまう。
 いつしか少女は泣きじゃくりながらも教えられたとおりに「イク、イク!」と叫ぶようにされていた。

 完全に抵抗心が蒸発してしまったところで、葛城ミサトはその処女を奪われる。
 拘束を解かれて休憩室へ連れ込まれると、男たちが注視するなかで貫かれる。
 誰がミサトを最初に犯すのか、どの体位で犯すのか、それはずいぶん以前から決定されていたことのようだった。
 ミサトの「はじめて」の場所はソファーだった。
 安っぽいビニール地のソファーにミサトは乗せられ、男に前後を挟まれてしまう。そうして後ろから伸びた手が少女の膝裏に伸びて、無惨に恥ずかしい姿勢で固定された。
 そして前から貫かれたのだ。
 本来なら男の肉棒など簡単には迎えられないはずの狭く収縮した秘裂も、快楽でどろどろにされてしまったいま、ひくひくと雄をくわえ込んでしまう。
 「いや、いや、こんなのいや、こんなのやだ、おとうさん!おとうさん!」
 葛城ミサトは泣き叫ぶ。
 少女を何より絶望させたのは、男たちの罠からどうあがいても抜け出せないことではなかった。
 父親が決して助けに来てくれないことでもなかった。

 男の楔が自分の「おんな」に打ち込まれていくさなか、ただひたすらに気持ちよかったことだった。
 知識でしか知らないセックスが、望んでいない性交が、どうしようもないほど気持ちよく感じてしまうことだった。

 ごりごりと硬くて熱い杭が打ち込まれていくにつれ、ミサトの声が甘くなっていく。
 魔薬によって快楽を教えられ、雄の欲望から逃れられないことを知った少女の精神は、それを受け入れはじめてしまっていた。
 狭隘な締め付けと体温に男が満足のうなり声を上げ、腰をスライドさせるころには、絹肌の太股に鮮血をしたたらせつつ甘え声を上げるようになっていた。
 男が叫び声とともにどくどくと淫汁を少女の子宮へ放出するときには、軽いアクメさえ覚えるようになる。
 「処女喪失の介添え役」が「二番目」としてミサトを背後からずぶり、と貫いたときにはもう涙は流れなかった。
 代わりに牝の艶声を漏らし、男とキスを始めてしまっていた。




◆ ◆ ◆




 男たちが一通りの行為を少女の身体で試すまでまる一日が必要だった。
 葛城ミサトはまずぶっ続けで六時間以上犯された。
 前から、立ったまま後ろから。犬の姿勢で、男にまたがらされて。
 男たちが特に気に入ったのは、打ち合わせ用テーブルにミサトの手をつかせてのファックだった。
 ずんずん突かれているうちにテーブル突っ伏し、踵を宙に浮かせふらふらと揺すりながらペニスを受け入れるさまも、ポニーテールの横顔を観察しながら小さいながらも柔らかな胸を、その先のとても感じやすい果実を弄ることができるのも好評だった。
 そして絶頂を迎えたのち、素に返って絶望しすすり泣く少女を言葉でなぶりながら、くるりと表に返して「ほら、ご褒美だよ」と邪悪にささやきつつ件の「悪魔のクスリ」をクリトリスへ塗り込めてやるには最適な姿勢だったからだ。

 男たちが放出に飽き、ミサトが涎を流して意識がもうろうとなると、彼女はシャワールームへ連れていかれた。
 全身を男の指でぬらぬらと「洗われ」強引に高められたところで下半身の敏感な箇所を強水流で「きれいに」された。
 全身を痙攣させ、「おねがい。おねがいだからやめて、死んじゃうよ。もう死んじゃうよぉ。言うこと聞くからこれ以上気持ちよくしないで……」と一四歳の少女が全面降伏したところで彼らはフェラチオを教え込んだ。
 ミサトは言われるがままに、いやそれ以上の熱意を持って、男の性器を舐め回し、先端の汁を舌でつつき、血管の浮いたグロテスクな物体を指で愛し、そして言われるがまま睾丸を含んだ。
 もちろん、男が放出するものを一滴残らず飲み干すことも覚え込まされる。
 膝立ちでくりくりと振るお尻に仕掛けられる悪戯も全て受け入れる。
 排泄口を指でほじくられるのも、石けんを塗りつけたそれにぬるりと入り込まれるのも逆らわなくなった。
 浴室の鏡に映る自分の姿……尻を振りながら男のペニスをうっとりとした表情でしゃぶる白痴じみた愛らしい少女に……どうしようもなく絶望すると同時に、愛おしさがこみ上げてくるようになる。

 やがて男にひょいと抱え上げられて、後ろからずぶずぶ貫かれながらの口唇奉仕「メニュー」へと切り替わったころには、自分がどうしてフェラチオをすることを望んだのかも忘れていた。
 そう。
 絶頂で失神し、水を顔にかけられて目覚めるたびに、葛城ミサトは男の欲望をそそる美少女へと姿を変えていくのだった。

 そして、ついにミサトは排泄口まで犯される。
 男の指でほぐされたアヌスに、希釈したシャンプーがゆっくりと注ぎ込まれる。
 最初は泣き叫んだものの、クリトリスにまたたっぷりと「ご褒美」が塗り込まれると葛城ミサトの表情は夢見がちなものへと変わる。
 やがて男たちの指示通りのポーズでの排泄を行い、その原始的な快楽と、「衆人の前で排泄する」という人としてしてはならないタブーを破らされた葛城ミサトは、タイルにぺたんと座り込み、犬のような表情で陵辱者たちを見つめるようになった。
 そうなったところで少女は尻穴を捧げるのだ。
 まずタイルに仰向けになっている男の上にまたがって、一夜のうちに柔らかく、きゅうきゅうと男のものを締め付けるようになった前の穴でペニスをくわえ込む。
 そこで男にしっかりと抱きつき、その姿勢で尻を犯してもらったのだった。
 細く長い悲鳴も、ずりり、ずりりとペニスが直腸へ侵入していくうちに「こすれてるぅ、ごりごりって、ごりごりって、ミサトのなかで擦れてるよぉ」と言うつぶやきへと変わっていくのだった……。




◆ ◆ ◆




 サイレンが鳴っていた。
 いままで聞いたことがない種類のサイレンだった。

 葛城ミサトはけだるげに身を起こす。
 ここは自室の、自分のベッドだった。
 うつろな表情で自分の身体を見下ろす。
 お気に入りのパジャマを着ているその身体は、自分のものではないようだった。
 そっと下半身に手を伸ばす。
 ぬるりとした感触と、きらめくような快楽に「あ……」とミサトは声を漏らした。
 そのまま再びベッドに横たわる。少しの間だけすすり泣いた。

 サイレンはまだ鳴っている。
 だれかの悲鳴も聞こえている。

 ミサトは耳を澄ました。遠くからとぎれとぎれに「直ちに非難してください。手近な緊急ポッドヘ急いでください」という電子声が聞こえていた。

 「……いいや、もう」
 葛城ミサトはつぶやいた。
 父親がどうなっているのかもなんとなく予想がついた。
 このあと自分がどうなるのかも。
 「……もう、いいよ」
 ミサトは目をつぶる。


 サイレンはまだ鳴っている。
 だれかの悲鳴も聞こえている。





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