INNOCENT TABOO

- case Mana -T


written by PDX.


「ただいまぁ」
 学校から帰ってきたシンジ。靴を脱ごうとして、見慣れない靴があるのに気が付いた。女の子用のスニーカー。
(アスカ……じゃないよな。靴が小さいし。すると、英会話教室の子かな)
 今日はムサシやケイタが来る曜日ではない。そしてトウジやケンスケは、今日は都合が悪いとユイに言われたのだそうだ。
(女の子が来てるんじゃ、そりゃおかしなこと出来ないよね)
「あらシンジ、おかえりなさい」
 リビングから出てきたユイ。シンジは、彼女がちゃんと服を着て出てきたことに安心する。
「着替えたら下りていらっしゃい。おやつにするわよ」
「英会話教室の子、来てるんじゃないの?」
「ええ、可愛い女の子よ」
「僕がいて邪魔にならない?」
「おしゃべりしながらお菓子を食べるんだから、人数が多い方が楽しいし、美味しいものなの。
 とっとと着替えて下りていらっしゃい」
 それだけ言うとユイはキッチンの方へ歩いて行ってしまった。つまりシンジに拒否権は与えられていないということだ。もし行かなかったらおやつ抜き確定であろう。
「……女の子とおしゃべりって苦手なんだけどな」
 そう思いながら階段を登って部屋に向かうシンジ。
(母さんのことだから、口下手の僕に女の子と話す練習でもさせるつもりなんだろうな)
 ふと、最近クラスメイトの女の子とおしゃべりなんてしただろうかと考える。
 思い出せたのは、アスカとレイくらいのものだ。もっともアスカの場合は、一方的にまくし立ててくる彼女に応えているだけだし、レイの場合はアスカがいなければ間が保たないという有様だった。
 ブルーになりそうな気分をなんとか立てなおして、とりあえず無難な服に着替える。
 いつもの部屋着では、初対面の相手、それも女の子に対しては失礼と言うものであろう。みっともなくない範囲で、それでもラフな服を着てリビングに向かった。

 コンコン。
 自宅のリビングのドアを開けるのにノックするというのもなんだか変な気がする。そう思いながらリビングに入る。
 ぺこり。
 先制攻撃。ソファに座っていた相手に挨拶をする前に、先に会釈されてしまった。
「あ、ど、どうも、いらっしゃい」
 まったくもって気の利かない言葉。ユイやアスカがいたら天を仰いでいたかもしれない。
 とりあえず自分もソファに座ろうとするシンジ。ロングソファなので多少の間があくとは言え、少女の隣に座るなんてのはいささか大胆すぎる気がするし、正面というのも気恥ずかしい。
 そんなわけで少女の斜め前に座ろうと思ったのだが、そこにはユイのものであろうバッグが置かれていた。
 それをわざわざ退けて座るのも不自然かと思い、結局少女の正面に座ることにした。
「あの、ええと……」
「霧島マナです」
「あ、霧島さん」
 そう口にした途端、少女……マナがけらけらと笑った。
 愛らしい少女だ。
 5年生か6年生といったところだろうか。スレンダーな体格のせいか、こころなしか幼く見える。
 話すごとに、笑うごとにくりくりと動く大きな瞳。人なつっこそうな笑顔。
 ショートカットの茶髪からは、元気そうな印象を受ける。
 茶髪といっても人工的に脱色したような艶のない色ではなく、健康的な色だ。
「マナでいいです」
「え、えと」
「マナって、呼んでください」
 にっこりと微笑む。愛らしい笑顔に赤面してしまうシンジ。
「う、うん、マナ……ちゃん」
「う〜ん、呼び捨てでもいいですよ? でも、シンジさんがその方が呼びやすいなら、それでもいいです」
 その言葉にほっとするシンジ。いくら年下とはいえ、初対面の女の子を呼び捨てにできる彼ではない。
「あれ、僕の名前……?」
「はい、先生から聞いています」
「あ、そうか、そうだよね」
 照れ隠しに視線を逸らすシンジ。逸らした視線の先にちらりと見える、綺麗に焼けた小麦色の肌。
 ノースリーブの真っ白なワンピースの胸元あたりに、日焼けしていない真っ白な肌が少しだけ見えている。
(ブラとか、まだ着けていないのかな?)
 スレンダーな割に、彼女の胸は年齢相応に膨らんでいた。むしろ細い分相対的に大きめに見えてしまうくらいだ。無防備なしぐさのためにちらちらと見える白い肌にドキリとしてしまう。
「あらあら、盛り上がってるみたいね」
 三人分のケーキと紅茶をトレイに乗せたユイが微笑みながらリビングに入ってきた。
 口下手なシンジではなくユイが会話の主導権を握ってからは、先ほどのようなぎごちない空気が漂うことはなくなった。
 運ばれてきたケーキは、デパ地下にあるユイお奨めのお店のものであった。これが出てくるということは、何かいいことがあったのか、とにかく彼女の機嫌がいいということである。
 ユイはマナの隣に座り、二人に交互に視線を配りながらごく自然に会話のやりとりを楽しんでいた。
 シンジにとってありがたいのは、二人が同じ方向にいるためきょろきょろしないで済むという点であった。
「マナちゃんは6年生なんだ」
「はい」
「ムサシくんたちとクラスメイトなんですって」
「やぁだ先生、あいつらと一緒にしないでください!」
 けらけらと笑うマナ。最初はもっと大人しそうな印象を受けていたシンジだったが、その評価に多少修正をしていた。
 ユイ相手のくだけた口振りや笑顔の明るさからみて、活発というか快活というか、そんな地が出てきたというところなのだろう。
 初対面のシンジ相手に緊張していたのか、あるいは猫を被っていたのか。
 だが、女の子というのは楽しそうに笑っている顔が一番可愛らしいものだ。案の定シンジも、マナの笑顔に見とれていた。
 そしてもうひとつ。隣に座ったユイの方を向いてはしゃぐ時、無意識に片方の膝が上がったりする。そうなると必然的にワンピースの裾が跳ね上がり、小麦色に焼けた脚が付け根近くまで見えてしまう。
 いや、時には脚の付け根まで、ワンピースとは異なる白い布までばっちり見えてしまうのだ。
 何も知らずマナと知り合ったのであれば、彼女の下着が見えたところでシンジの目を引くことはなかっただろう。たった2つ3つの年齢差とはいえ、中学生から見た小学生というのはそういうものだ。
 だが、ムサシやケイタとクラスメイトだという事実、二人がユイの『恋人』であるという事実が、マナもまたセックスが可能な年齢であり、彼にとっての性的な対象としてシンジに感じさせていた。
 それゆえに、彼女の秘めやかな部分を隠す白い布に視線を引き寄せられてしまうのであった。
 美味しいケーキと紅茶、そしてユイの軽妙な話術とマナの明るさのため、口下手な少年が混じっているとも思えないペースで会話が弾む。
(こんな雰囲気もいいかな……)
 もし妹というのがいたらこんな感じなのだろうか。下に妹のいない男性に共通する誤解と幻想もそのままに、シンジはそう思った。
 そんな気の緩みを、ユイが見逃す筈がない。初対面の女の子相手に緊張していた息子がガードを下げたところを見計らって、最初の爆弾が投下された。
「ねぇシンジ、マナちゃんのこと、どう思っているかしら?」
「え、ええっ!? ど、どう、って?」
「うふふ、マナちゃんのこと、可愛いって思う?」
 にこにこと微笑んで、楽しそうに問いかけてくるユイ。一方、問われた方のシンジと言えば、みっともないくらいにうろたえ、真っ赤になって口をぱくぱくさせている。
 もっともその反応は、自ら答えを晒しているようなものであった。あまりに分かり易いシンジの態度に、ユイは内心苦笑し、マナは嬉しそうに微笑んだ。
「それでね、シンジにおねがいがあるんだけど」
「な、何?」
「マナちゃんのね、初体験の相手になってあげてほしいの」
 それはまるで、運動会で父兄参加の二人三脚のパートナーになることを頼むかのような気軽な口調であった。
 だからシンジもうっかり即答してしまいそうになったが、すんでのところでユイの言葉の意味を咀嚼できた。結果、彼は真っ赤になって絶叫することになる。
「なっ、しょ、初体験って、えええっ?」
 そんな彼の反応は予想の範囲内だったらしく、美しい母はからかうように次の言葉を紡ぐ。
「嫌ねぇシンジったら。女の子にとっての初体験と言って、ロストヴァージン以外の何があると言うの?」
 分かってはいたが認めがたい事実をにこやかに、きっぱりと言い切られて絶句するシンジ。
 救いを求めるかのように視線をもう一人の同席者に向けたが、マナはといえばやや俯きがちな姿勢で上目使いに彼を見つめ、薄く頬を染めていたりする。彼女がユイの言葉の意味を理解した上でそれに合意しているのは明白だった。
「だ、だめだよそんなの」
「あら、どうして?」
 にこやかに、可愛らしいと言ってよいほどの笑顔を浮かべて訊き返すユイに、シンジはどんな反論も無意味だと分かっていた。
 マナの年齢を理由にしても、彼女のクラスメイトであるムサシやケイタと『恋人』の関係を続けているユイが聞き入れるはずがない。
 道義的云々を言ったとしても、当のシンジ自身が実の母であるユイと肉体関係を結んでいては説得力ゼロというものである。
「マナちゃんもね、英会話教室で成績が優秀だったからご褒美をあげることにしたの」
 ムサシやケイタと同じということらしい。二人については、ユイ自身の肉体がご褒美になったわけだが、女の子であるマナ相手では事情が違うと言うことなのか。
「基礎レッスンまではしてあげたんだけど、初めての相手はシンジがいいんですって」
「えええっ!?」
 どうして僕なんかに、と驚くシンジに、今度はマナが答える。
「今までに何度か、英会話教室のときにこちらでシンジさんのことを見かけたんです。優しそうな人だなぁって、ずっと思ってたんです」
 シンジの側には、英会話教室に来る子供達にはそれほど記憶がない。邪魔をしたりしないよう一定の距離を置くようにしていたし、何よりムサシ・ケイタの印象が強すぎた。
「シンジさんは私のことなんて何も知らないと思います。お話するのだって、今日が初めてですし。
 だから、いきなり恋人だなんて言いませんから、ガールフレンドにしてください!」
 真剣な表情で訴えるマナ。
「私ってまだ子供ですし、アスカさんやレイさんみたいに綺麗じゃないけど、5年後には、負けないくらい美人になってみせますっ!」
 あの二人に張り合おうとは大した自信だが、実際美少女のマナなのだ。将来性は有望である。
「シンジさんがまだアスカさんやレイさんとお付き合いしているわけじゃないのなら、私にだってチャンスがあるはずですっ!」
「も、もし僕が誰かと付き合っていたら?」
「奪い取りますっ!!」
 初体験のお相手云々などという話を切り出しているせいか、マナも開き直ったかのように大胆発言をしてしまう。
「そ、それに、シンジさんにお付き合いしている相手がいるんだったら、先生とエッチなんてしていないと思いますっ!」
 この一言にひっくり返りそうになるシンジ。『どこまで話したのさ?』と顔に書いてユイに視線を向ける。
 その視線をやんわりと受け止め、にこやかに微笑みながら言葉を返すユイ。
「マナちゃんには、ムサシ君やケイタ君の事も合わせて全部話してあるわ」
「そ、そんな……」
「マナちゃんがこれから経験すること、コイトスの意味についても説明してあるの。大切な事だから、何も知らない子を騙すような事はしたくないの。
 だから、シンジにとってマナちゃんが初めての相手じゃない事も話してあるの」
「……」
「言っておくけど、マナちゃんがあなたの事を好き、というのは本当の事よ。ご褒美の話をするよりも前から、あなたの事を訊きたがっていたもの」
 そのときのマナを思い出してか、ふふっ、と笑う。
「だからマナちゃんは、この機に先手を打とうと決めたんですって」
「せ、先手?」
「あなたのお嫁さん候補の席の予約。
 何しろライバルが強力だから」
 先ほど名前の出ていた二人の事であろう。
「そうそう、勘違いしちゃ駄目よ。マナちゃんは何も、身体の関係であなたを縛ろうなんて思ってはいないわ」
 もしそうなら自分は協力しない、と言うユイ。確かに、何人もの若い恋人達と悦びを分かち合っている彼女にとっては、肉体関係で相手を拘束するというのは首肯しがたい考え方であろう。
「どう? こんなに美味しい話は滅多に無いわよ? マナちゃんみたいな可愛い女の子をガールフレンドにできて、しかも初めてのお相手になれるのよ」
 そう言って艶のある微笑みを浮かべるユイ。
「……だめ……ですか?」
 先ほどの勢いはどこへやら、一転して不安そうな顔を見せるマナ。ユイの言うとおり、シンジに好意を寄せているというのは本当なのだろう。
 好奇心だけで、誰とでも良いというものでもないのだろう。
「……僕なんかで、いいのかな」
 にこやかな、けれど真面目なシンジの問いかけが、疑問ではなくて確認であることを感じたマナは、満面の笑みを浮かべて答えを返した。
「シンジさんが、いいんです」
 言った方も、言われた方も真っ赤になっていた。そんな二人を、ユイは優しいまなざしで見つめていた。
「それじゃ、マナちゃん」
「はい」
「えっ?」
 ユイに声をかけられたマナが、少しだけ腰を上げたと思ったら、そのままユイのすぐ隣に座った。
「シンジ、いらっしゃい」
「えっ、あ、うん」
 ようやくユイの意図を汲み取れたシンジが、立ち上がってマナの隣に腰をおろした。
「シンジが最初にマナちゃんの隣に座っていたら、二人きりでさせてあげて、正面に座ったらこうして三人で、って決めていたのよ」
 ユイの指先が、マナの太股の上を滑っている。マナは頬を染めうっとりとしながらその愛撫を受け入れている。
「母さん……マナちゃんに、どこまでレッスンしたの?」
「性感帯の開発の為にペッティングだけ。あと自分でする方法を教えてあげたわ」
「ペッティング……だけ?」
「キスすらさせてもらえなかったのよ、ふふ。ファースト・キスの相手はシンジがいいんですって」
 真っ赤になって見つめ合う二人。
「さ……シンジ……」
「うん」
 ユイの言葉に誘われ、シンジがマナを抱き寄せる。
「マナちゃん……」
「……」
 無言で従う少女。目を閉じて頬を染めたまま、ほんの少し上を向く。
 そして、重ねられる唇。
「ん……」
 唇から伝わる温もりの心地よさに酔いしれるマナ。嬉しそうに、シンジの背中に腕を廻す。それに応えるかのように、シンジの腕がマナの背中に。
 幼い恋人達、とでもいうべき情景を、微笑みながら見守るユイ。そんな彼女の視線の先では、シンジがマナの後頭部を撫でながらキスを続けていた。
「ん!」
 閉じられていたマナの目が驚きに見開かれる。
「ん! んんっ……う……ん……」
 少しの間抵抗するかのような声をあげていたマナであったが、やがて大人しくなってしまう。いや、むしろ先ほど以上にうっとりとしてシンジに身体を預け、なすがままになっている。
「あらあら」
 我が子の大胆な行為を見て楽しそうに笑うユイ。
 おそらく、普段彼女相手にするときの要領で深い深いキスをしているのだろう。時折、二人の唇の間から濡れた音が漏れてくる。
 そして5分ほどして、ようやくシンジがマナを解放した。
「……ふぅ」
「お疲れさま。シンジにしてはずいぶん情熱的だったわね」
「そうかな?」
「ふふっ、マナちゃんには、とても思い出深いファースト・キスになったみたいね」
「あっ!」
 ユイにからかわれてやっと、マナ相手にディープ・キスをしてしまったことに気付いたシンジ。
 マナはと言えば、濃厚すぎる初体験があまりにも甘美だったのか、完全に骨抜きになって未だに夢見心地のようである。
「マっ、マナちゃん、大丈夫?」
「ああン……シンジさぁん……」
「マっ、マナちゃん?」
「もっとぉ」
「マナちゃんっ、んっ……!」
 今度はマナがシンジの唇を奪った。シンジにしがみつくように抱き付き、自ら彼の口に、小さな舌を潜り込ませる。
「んんっ? ……ん……」
 いきなりの奇襲に面食らったシンジであったが、慣れたものでマナを優しく包み込むように舌を使って応える。こうなると経験不足のマナに勝ち目があるはずなど無く、シンジにいいように弄ばれてしまう。
 小さな舌を抱き寄せるように引き込み、甘噛みして逃げられないようにする。そして、少女の舌を嬲り者にするかのように舐め回す。
「ん……んんン……」
 シンジの手が、マナの肩を撫でながら胸元に滑り降りる。ワンピースごしに、膨らみ始めたばかりという風情のバストを撫で始める。
「ん……ン……」
 布地ごしの愛撫が心地良いのか、マナが甘い息を漏らす。
 そしてさらに、ユイが、悪戯な指先をマナのヒップに差し延べた。
 ユイの位置からは、短いスカートの下のお尻がばっちり見えてしまう姿勢だったのだ。
 愛らしい丸みを確かめるかのようにコットンのショーツの感触を楽しむ指。やがてそれが、中央を縦に滑ってクロッチの上に達した。
「ん……んン……」
 マナはうっとりとしながら、二人がかりの愛撫を受け入れている。
 いつしかシンジの指先がワンピースの下に潜り込み、ユイはと言えばショーツの下にこそ触れていないものの、クロッチの上から、最も敏感な一点を探り当ててそこを集中的にこね回している。
 乳首に、クリトリスに集中する淫らすぎる性感の漣。幼いマナが限界に達してしまうのは時間の問題でしかなかった。
「んっ、んんっ、んんんーーーーーーっ!!」
 シンジに縋り付き、唇を深く深く重ねながらマナは達してしまった。
 小さな身体が何度か跳ね、やがてぐったりとシンジの腕の中にくずおれた。
 力を失った少女を抱きしめながら、シンジが咎めるような視線をユイにむける。
「母さんってばやりすぎだよ」
「うふふっ、でも素敵な体験よ。セカンド・キスでイッちゃうなんて。
 ふふっ、マナちゃん、これからシンジの事を思い出す度にこのキスの味を思い出しちゃうわね。それとも、キスをするだけでここを濡らしてしまうかしら?」
 二人がそんな会話をしている間も、マナは「シンジさぁん」と甘い声を漏らしながら彼にしがみついていた。



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