淫天使ミサト 召喚篇


Original text:FOXさん
Illust:名無さん




 「う、う……ゥ……ン、あ、あ、お、おおお……ッ」
 足下から聞こえるうめき声に金髪の女性がくすくすと笑った。
 「ふふ、とてもいい声で鳴くようになったわね。それにごらんなさいな。彼女、とてもすてきな雌の貌になってきたと思わない?」
 「はい。マスター。聖二位魔導師はすっかり発情しきっています」
 「もう『聖二位』ではないのよ。アレは。ただの裏切り者、堕落した存在よ」
 「はい、申し訳ありません。お師匠さま。彼女は堕ちた存在です。我らの希望を誘惑し、我らの園から穢らわしい外界へと誘い出した恐るべき犯罪者です」
 プラチナブロンドの弟子が虚ろな表情で追従するさまに彼女は優しく微笑んだ。
 「その通りよ。さすがわたしの愛おしい隷妹ね」もう一度微笑むとアルビノの美少女はうつむく。しかしその頬は歓喜に染まっている。
 なによりも大切な「師」に誉めてもらえた喜びに。彼女に認められた満足に。
 だから少女は残酷になる。
 すぐ足下で拘束され「扉を開く腕」に玩ばれている哀れな犠牲者をくすくすと嘲笑う。
 なぜならその女は少女の大切な「師」を裏切ったのだから。
 なぜならその女は真実と正義の代行者である【塔】を裏切ったのだから。
 「……ご気分はいかがですか?『堕落者』ミサト」すっとしゃがみ込んで相手の顔を見上げる。
 「う、ふぅぅぅッ!んふぅぅぅぅッ!ふ、ふ、くぅぅん!」
 だが、彼女は答えることができない。革製の口枷が肉感的な唇を割り、その声を獣じみたものに変えていた。
 「外して差し上げなさいな。今の彼女はとても素直になっているはずよ」
 「はい。マスター」
 アルビノ少女のほっそりとした指が伸び、女の口枷を外す。
 次の瞬間、彼女の艶やかな唇からは欲情しきった悲鳴か奏でられた。切れ切れに甘く、艶やかな声が狭い室内に絶え間なく響きはじめる。
 「ああ、ああ、ああ、駄目、駄目、駄目……凄すぎる。これ、凄すぎるのぉぉぉッ!」
 「こんな素晴らしい声で歌うなんて。三日三晩犯され続けた殿方のものよりも、ずっとずっとお気に召したようね」
 「ひ、ひ、ひぁああああ、あ、許して、レイ、許して、こ、この、このイボイボが、ああ、ああ、お、お、おしり、おしりのなか、あたし、あたし、壊れちゃう……」
 「まぁ、とても楽しそう」少女はくすくすと笑った。そのまま軽く年上の美女の頬を叩く。「そうでしょ?ミサト」
 「あ、あぁっ!あ、あぁ、く、くふぅぅぅッ!いいのぉ!いいのぉ!あたし、あたし、あたしぃぃぃッ」
 艶やかな黒髪を振り乱す美女に、少女はにっこりと微笑む。
 「そう、それはとてもいいもの。あなたを支配し、あなたに真実を教える存在。ミサト、感謝してその悦びを受け入れるのよ」
 「ああ、あああッ!レイ、レイ……あ、あ、あなたもぉ……」
 「そうです。私は知りました。【腕】に導かれ、自分の犯した過ちがいかに愚かなものかを」
 「ああ、ああ……あなたも、無垢だったあなたも……これに、こんな残酷な……こんなにひどい、あ、あ、あ、き、き、キモチのいい……に……あ、だ、だめ、だめぇ……」
 血を吐くようなミサトの声にレイはうっとり微笑んだ。
 「ミサト、貴女も自分の過ちを知り、正義と真実を会得するのです。【腕】はあなたを導いてくださいます。絶対の悦楽を伴って」
 「だめ、だめよ、レイ、レイ、あなたは間違ってなんていないのよ!間違って、間違っているのは、あ、あ、あああ、あ、イク、い、い、イッちゃうぅぅぅッ!」
 親しみやすい美貌を快楽に歪め、ミサトは泣き叫ぶ。
 身にまとうものすべてを剥ぎ取られ、唯一形見のクロスだけを許された成熟した肉体を鎖につながれた彼女は啼き悶える。
 彼女が拘束されている魔法陣から伸びる異形の触手に前後の穴を貫かれて、膝立ちの姿勢で揺すられていた。
 微笑む少女に見つめられて、望まない悦びの声を部屋中に反響させていた。



◆ ◆ ◆



 「ザ・サード」と「朱の姫」を【塔】から遙か彼方へと脱出させて数分後に、ミサトはついに魔力を使い切った。
 そこへ殺到する兵士。
 正眼に構えた細身の指揮刀は太刀の一撃でへし折られた。
 ブーツに差したナイフを引き抜く。両手で握り、刃を反転させる。
 切っ先が向いたのは己の心の臓。躊躇など全くなかった。
 しかし、ミサトの行為は成就しなかった。
 目を血走らせた兵士たちにのしかかられ、武器はどこかへすっ飛んだ。
 押し倒され、四肢を押さえつけられた。
 舌を噛もうと試みた。
 それすら許されない。豪腕に首を固められ、ぎりぎりと締め上げられる。
 彼女はたちまちのうちに酸欠に陥り意識を失う。暴れていた手脚が力を失い、ばたりと床に落ちた。

 意識が闇に沈む寸前にミサトは理解する。
 これが……きっと最後の……安息。
 このあとにはもう……恐怖と屈辱と苦痛しか許されないの……だわ。

 彼女は間違っていた。
 彼女に許されるのは恐怖や屈辱や苦痛ではない。

 彼女に許されているのは隷従。
 さらにもうひとつ。
 ひととしての限界を超えた快楽。おのれの全存在を捧げてもいいと思うほどの肉の悦び。
 ただ、ただそれだけ。



◆ ◆ ◆



 屈強な兵士にひんやりとした石床にねじ伏せられ、後ろ手に彼女を固定する枷がさらに鎖でアンカーボルトにつながれた。
 両足首の枷も同様につながれる。
 彼女はもう立ち上がることはできない。印を結ぶこともできない。
 エーテルを循環させて理力を溜めることもできない。それらはすべて接地された枷から漏れだしてしまう。
 だが彼女は泣いてはいない。
 崩れ落ちそうな肉体を内心で叱咤し、唇を噛みしめて目隠しされた頭を昂然とかかげていた。
 その頬がちいさな手でそっと撫でられる。
 「素敵な姿ですね。ミサト」
 ミサトの耳に届いた声は、彼女のよく知る少女のものだった。しかしその声はひどく冷たく、哄笑の響きがあった。
 「殿方にずっと犯していただいたのですね。ミサト。いかがでしたか?顔見知りの殿方に前後の孔を存分に貫いていただいた感想は」
 「レ、レイ……貴女」闇の中でミサトは戦慄する。彼女の知っている少女はそんな言葉を口にするような人間ではなかった。
 「いっぱい出されて、じっくりかき混ぜていただいたのですね。ひくひくするたびに溢れています。それに全身もどろどろになるくらいかけていただいたのですね」
 「ああ、レイ、レイ……」
 小さな手がミサトの頭の後ろに回され、目隠しが外された。
 「ああ、レイ……」
 分かっていた。少女がそうなってしまっていることは。
 その声を聞くまでもなく。
 ミサト自身が囚われた時点で、それは当然の帰結だったのだ。
 しかし、それを目の当たりにして彼女は恐怖する。
 そこにいるのは小柄なアルビノの美少女。ノーブルな美貌がどこか近寄りがたささえ他人に抱かせる。
 ルビーを思わせる紅の瞳は常に真摯で他人の冗談など許さない。
 そこにいるのは魔女見習いの少女、レイ。
 だが、同時にそれは全くの別人でもあった。
 そこにいるのは【塔】の下す命令に不安を抱きつつもそれにしたがっていたミサトに正しい道を示してくれた少女ではなかった。
 それは姿形だけはレイと同一の存在だった。
 紅の瞳に残酷な色を秘めた可愛らしい淫魔だった。
 「聖二位魔導士、これはなにか分かりますか?」冷ややかな視線で足元を示す。
 「《式》ね。それもとても邪悪な。組み上げるだけで魂が奪われたんじゃないかしら」おびえが表に出ないようにするためには相当な努力が必要だった。
 「はい」レイはうなずいた。「三人の導術技術者が廃人になりました。それから乙女が五人。もちろんホムンクルスなどではありません。家族に愛でられ育て上げられ、邪悪なことなどとは無縁の……一四歳の少女たちです」
 「ま、まさか!」
 ミサトは青ざめていた。石床に描かれた赤黒い紋様が少女たちの無垢な肉体から絞り出した血液で成されたものだと知ったからだけではない。
 「はい。貴女の生徒たちから生贄を選びました。彼女達も光栄だったでしょう。敬愛する『マスター・ミサト』を正しい道へ導くためにその血肉を……」
 「やめて!」ミサトが叫ぶ。「彼女たちは関係ないわ。彼女たちは、逆らったのはわたし、だから、わたしだけに……」
 「こんなときにも生徒を心配するなんて。やはり貴女は優しい先生なのですね」
 「彼女たちは、あなたのクラスメイトでもあったのよ!レイ……もう、もう、お願い……」
 ミサトは涙をこぼして哀願する。


 多忙を極める【塔】の教導武装団の一指揮官でありながら、友人であり高位の錬金術師であるリツコに推薦されて就いた「中等クラス」での教官職。
 強面の魔法騎士を想像していた生徒や学校関係者の想像をミサトは裏切った。
 彼女が全力を注いだのはエリートを磨き上げることではなかった。むしろ彼女はクラスを甘やかしていた。
 クラスの半数以上をふるいにかけねば「ならない」制度上、崩れることが必定の生徒同士の人間関係をミサトは修復し続けたのだった。
 だってそうでしょ。「ミサト先生」は苦笑混じりに言った。誰もが魔法使いになれるわけでないことを知っておきながら、【塔】はあなたたちに魔法を教え込んでいるのよ。
 【塔】が迎え入れてくれなければ、その人生に価値はないなんて思っちゃだめよ。
 【塔】がその才能を欲しなかった人々が、世界を支える柱となっている事実を忘れてはだめ。
 だからね、わたしはあなたたちに言いたいのはひとつだけ。
 ……みんな、そんなに肩肘張らなくていいのよ。いまあなたたちが学んでいることがすべてではないの。他にももっと大事なことはいっぱいあるんだから、ね。
 「ミサト先生」は微笑する。
 そう、それこそが彼女を知る誰もが彼女を敬愛する理由。
 職務以外の面ではさっぱりなところが(たとえば実生活においてはひどく怠惰といってもよかった)あったとしても、そのどこか人として甘くナイーブなところを慕われたのだった。


 だが、ミサトを敬愛していた生徒たち、レイの同級生の生命を【塔】は弄んだ。
 おぞましい魔術のためにその瑞々しい生命をいとも簡単に消費した。
 その事実にミサトはうちひしがれる。
 さらにその事実を淡々と、いやむしろ喜ばしげにレイが告げたことに衝撃を受ける。
 ……ここまで彼女を造り替えたの?リツコ、このコが自分を越えてくれたらとか言ってたじゃない。
 ……それをこんな機械じみた邪悪な生き物にしてしまうなんて。
 「そんなに悲しまないでください。この《式》は貴女を素敵な女性にするためのものなのですよ。ミサト」
 「ふざけないで。冗談じゃないわ」
 「いいえ。冗談ではありません。貴女を矯正するためにはこれだけのものが必要と」
 「……あなたの魂はもう、失われてしまったのね。はにかみ屋で皮肉屋だけど、とても優しかった女の子はもう、その肉体の中にはいないのね」
 「敬愛すべきマスターから伝言です」レイはミサトの厳しい言葉を受け流して言った。「『自分の命を絶とうなどとはゆめゆめ思わないように。もしそんなことが起これば、あなたの代わりを務めるのはあなたの教え子たちとなるでしょう』と。『あなたの態度や教育理念とは裏腹に、今年の生徒は実に優秀に育った』とも」
 「どこまで……下劣なの」ミサトは唇を噛んだ。
 「あなたの教え子からの犠牲、五人で終わりにしたいと思いませんか?」
 レイはにっこりと微笑む。
 彼女が六人目の犠牲者であることなど、まったく理解することもできずに。


 うっすらと瞳に涙を浮かべつつ、まだ傲然とレイを見上げているミサトを囲む「式」が燐光を発する。
 かすかに息を呑むミサト。だが、あえて視線を落とさずに少女を睨みつけていた。
 だが、床の紋様から吹き上げてくる「気」を感じたとたん、ミサトはちいさな悲鳴を上げてしまう。
 歴戦の魔法戦士でさえ原始的な恐怖を抱いてしまうほど、そこから放射される「感情」は生々しいものだった。
 そして、しだいに希薄になってゆく足元の感覚に、ついにミサトは視線を落としてしまう。
 「!!!」
 彼女の足元は深淵が口を開きつつあった。彼女を支えていたはずの石床は薄れ、揺らぎ、そして消えつつあった。
 瞬間、彼女を支えるものはなにもなくなっていた。
 落下の感覚にあえぐミサト。だが、彼女は闇の中へは落ちてゆかなかった。
 彼女を拘束する鎖が伸びきる前に、ふんわりと支えられていた。
 しかし彼女は絶叫する。不自由な身体を揺すってそこから逃れようとする。
 「いや、いや、いやぁぁぁ!助けて!いや、いやぁぁぁぁ!」
 彼女を支えているのは無数の触手だった。
 まるでイソギンチャクのように細く、肉色をしたそれが深淵からうぞうぞと這いだして、ミサトの肉体を支えていた。
 しかしそれがざわざわとうごめく感覚にミサトは半狂乱になる。
 ぬるぬると冷たく、同時にざらつきながら熱く、さらに粘着質にざわざわとそれは彼女の肌を這い上っていく。
 「いや!いやぁ、いやぁ、こんなの、こんなのいやぁぁ!」
 あまりに常軌を逸した感覚に襲われたミサトは泣き叫ぶ。だが、しゅるしゅるとそれらはさらに数を増やし、さらに伸び、美女の全身をくるみ込んで彼女を嬲るのだ。
 足の指のあいだを、ふくらはぎを、くるぶしを。
 柔らかで、かつずっしりとした量感を持つ乳房を。
 敏感な脇の下を、美しいうなじを。
 「戦利品」として与えられた彼女をむさぼった男ども、彼らがなんの遠慮もせずに注ぎ込んだ樹液がひくつくたびに漏れ出す菊門の皺を。
 ミサトをむさぼった男たちすべてがその「具合」を褒め称え、彼女を絶望させ、屈服させるためにできるだけ奥で精液を放った雌花の入り口を、その奥を。
 男どもに前後の孔を犯されながらも【塔】の腐敗とその悪行を告白し続けていたミサトを黙らせるために、ごつい指で挟んでぎりぎり責めたてた薔薇色の肉真珠を。

 しっとりと熟れた全身を淫らに舐めこすられた美しい魔女は、気も狂わんばかりの感覚にがくりがくりと全身を痙攣させることしかできない。
 やがて、波が惹くようにそれらが退いてゆき、いやらしいクッションとしてしか機能しなくなってもミサトは力なく横たわり、すすり泣いているだけだった。
 さらに、その闇からひょいと現れた「腕」……いま彼女を支えうごめくものとは別種の、鞭のように長い触手……を目にしてしまうと彼女は「ああ……」と絶望の吐息とともに目をつぶってしまった。
 ずるりにゅるりとそれが現れ、とんとん、とあちこちを探りながらついに彼女の肌に触れたときにはなんとか悲鳴を押し殺したものの、それがつまさきからくるぶし、ふくらはぎと這い上がり、肌に塗り込められた精液を綺麗にする代わりに異臭を放つ粘液を塗りつけていくと「ああ、ああ、ああ……」とせっぱ詰まったあえぎ声を上げてしまう。
 それでもまだ、ミサトは抗っていた。
 肉付きの良い太股をぎゅっと閉じ、魔界の触手が女の園に到達するのを防ごうとする。
 くすりとレイが笑った。
 「無駄。指一本でも入る隙間があれば……」
 「ひぃぃぃぃッ!」ミサトは歯を食いしばる。
 レイの言うとおりだった。
 ミサトが力を込めてとじ合わせても、女の魅力たっぷりのむっちりとした太股の付け根には隙間ができてしまうのだ。
 そこに細い触手が下からにゅるりと侵入する。
 「あ、はあぁぁッ」
 ふっくらとしたミサトの花弁のあいだを、粘液まじりの触手がずるりと這い、そのまま太股のあいだから顔を出した。
 「あ、あ、あああ……」
 蛇のように鎌首を上げるさまは、かちかちと歯を鳴らす誇り高い魔女の表情を観察するかのようだった。
 そこでぐい、と「それ」は前進する。
 「ひ、ひぃぃぃぃンッ!」ミサトが涙をこぼして反り返る。
 十分熟した淫唇を粘液まじりの鱗の生えた触手に擦り立てられ、囚われの美女は全身から生汗を噴きだした。
 さらに、二度、三度と勢いよく、しかし寸刻みに触手は前進する。
 そのたびに快活で男勝りの言動で人気の美神は艶めかしい声を上げて痙攣する。
 さらに寸刻みの前進。ミサトの艶やかな唇からは甘い声が溢れてしまう。
 むっちりとした太股のあいだから伸びた触手が床にとぐろを巻くほどまでに伸びたころには、ミサトはもう自分の太股に力を込めることができなくなっていた。
 だが。
 「あ……な、なに?」
 もう一本の触手がひょいと現れると、抵抗する彼女の太股にぐるぐると巻き付いてしまう。
 まるで彼女に脚を開かせないかのように。
 事実彼女の太股の付け根は、邪悪で淫らな触手をぎゅっと挟み込んだ状態にされてしまう。
 そうなったところで、一気に触手が後進する。
 「ひ、ひ、ひはぁはああああああッ!」
 ぬるぬるとした、でこぼことした、鱗まみれの長い長い胴体に敏感になった牝花のその複雑な花びらを、とても敏感なクリトリスを一気に淫らにヤスリがけされたミサトはがくがくと躰を震わせて泣き叫んだ。
 そこでまた繰り返される。
 寸刻みの前進と、一気呵成の後退を。
 それが三回も続くころには、美貌の魔術師のプライドはなかば崩壊してしまっていた。
 レイを睨みつけていた瞳はぼんやりと焦点を失い、艶やかな唇からはときおり涎をこぼすようになっていた。
 さらにいまだに彼女の脚の付け根でうごめく触手に、濃い牝蜜を絡みつかせるようになっていたのだった。

 もちろん、その程度でそれは満足しない。
 無数の触手が彼女を持ち上げて、後ろ手に鎖で固定された肩がぎりぎりと悲鳴を上げるような、腰を前に突き出した膝立ちの姿勢を強制した。
 どっと脂汗を噴きだしたところで残酷で高速の「素股」責めを再開する。
 背骨が折れるのではないかという苦痛と、下半身が融けるのではないかという痛痒感まじりの快楽にミサトは悩乱した。
 そこに施されるさらに残酷な措置。
 「ひ、ひ、ひぎぃぃぃぃ……ッ、お、お、おしりがぁぁぁ……」
 長い黒髪を振り乱して、こどものように泣きじゃくる。レイがくすくすと笑った。
 「たまらないでしょう?熱くて、ぬるぬるしていて、でこぼこしていて」
 「おしりぃ、おしりぃ、おしりがあついのぉ、ああ、ああ、ああ、たすけ、たすけ、たすけて……」
 ミサトは助けを求めていた。しかしとても甘く、とろけるような声で。
 彼女のアナルへと侵入した触手の与えてくれる快楽は、ミサトの理性をなかば蒸発させてしまうほどだった。
 つい一昨日に肛門性交を無理矢理……それもつい先ほどまで彼女の部下だったもの、それどころか彼女の魅力の賛美者たちに……教え込まれたときには痛みに泣き叫んでいたにもかかわらず、いまの彼女はその異界の生物が与えてくれる背徳の快楽に酔いしれていた。
 その粘液にまみれ、蠢動する悪夢の存在が排泄のための孔に与える刺激にミサトの思考は沸騰する。言語とはかけ離れた甘い叫びが彼女の口からほとばしった。
 そこにさらにごりごりと花びらを、クリトリスを触手の前後運動で擦り立てられる。
 彼女の太股をがっちり抱え込んでいた触手がすらりとほどけると、ミサトは嬌声を漏らし腰を突き出す姿勢を取ってしまった。
 レイに「どうしたのですか?そんなに太股を開いて」と言われても、「だって……だって……」と少女のように舌足らずにつぶやいて、牝孔をひくひくと動かしてしまう。
 いままで鰓の生えた胴体で魔法使いをよがり泣かせてきた触手がくるりと向きを変え、ミサトの肉体へと侵入した。
 「お、おお、お、ああああああッ!だめぇぇぇ!は、は、入って来ちゃうぅぅぅッ!」
 大きく開いた鰓が、ごりっと入り込む。
 「ひ、ひ、ひぃぃぃぃッぅぅぅッ、あ、ああああー」
 閉じたまぶたの奥で真っ白な火花が飛んだ。
 ねじりながら、ゆっくりと、ゆっくりと奥へと進んでゆく。
 柔らかで熱い肉洞を拡張されてゆく感覚にミサトは泣き叫び、同時にそれが与える途方もない快楽に絶望する。
 「こ、これ、これ、違うのォォォォッ!すごい、すごい、すごいのぉぉぉ!」
 凛とした号令で聖騎士団を叱咤激励し、悪夢のような怪物を、人としての存在を全て投げ捨てた狂信者達の軍団を撃滅してきたその唇からあり得ないほど淫らな叫びが溢れ出した。
 「なにがすごいのですか?」冷静きわまりないレイの質問にミサトは泣き叫ぶ。
 「ふ、ふとくて、ごりごりして、あ、お、こ、こすられてぇぇ、ひ、ひもちいいいのぉ!こんなこと、こんなこと、いままでなかったのぉぉぉ」
 「殿方との交わりより、ですか?」
 「あ、ああ、だってちがうのよ、すごいんだものぉぉ」
 「あなたの思い人の、『リョウジ』よりも?」
 はっと息を呑むミサト。艶やかな唇がぎゅっと噛みしめられる。
 めったに会う機会もなく、おそらく彼を恋人と呼ぶ女が他にもいるにちがいないとうんざりしつつも、再会を心待ちにしていた放浪の騎士をイメージして正気を取り戻そうと努力する。
 しかしそれも、彼女を穢す淫らな「腕」がずいと奥へ進み、子宮口をノックするまで。
 「お、おお……ッ、ひぃぃぃ……ン!あ、ああ、アイツ、アイツなんかより、アイツなんかよりももっと、もっとこっちのほうがすごいの、あ、ああ、ごめんなさい、ごめんなさい、でも、でも、おぉぉぉぉ……」
 丸く尖った瘤だらけの触手にこつん、とつつかれただけで美しい魔法使いは陥落してしまう。
 親しみやすい美貌を淫猥にとろかせて、羞恥心もプライドも蒸発させて自分を姦す怪物を賛美しはじめる。
 だが、「それ」は彼女を屈服させるだけでは満足しない。
 「それ」は彼女を造り替えるために呼ばれたのだから。
 だからそれはさらに細い触手を無数に伸ばし、不自然に反り返った姿勢を強いられて揺れるミサトのバスト……ときに「不謹慎」と言いがかりとしか思えない非難を浴びるたっぷりとした量感と、ぐいと突きだした素晴らしい形のそれ……に絡みつき、その柔らかな美丘を好き放題に玩ぶ。
 ぎゅっと押しつぶし、あるいはこね回し、ときには左右の胸をぎゅっと寄せてその先端同士を擦りあわせもした。
 おんなの誇りを異界の生物に踏みにじられ、泣きじゃくるミサトの声のトーンが変わった。
 ひょいと左右一本ずつ立ち上がったやや頭でっかちの触手に気づいてしまったのだ。
 それは硬くぷっくりと立ち上がってしまった乳首に触れるか触れないかの距離にまで接近し、ぱっくりと蛇のように口を開けた。
 「あ、あああ……だめ、だめ、ゆるして……」
 そこには無数の歯があった。小さいもののギザギザした、見るものの背筋を凍らせるほどの。
 さらにその奥から糸のような細い触手……まるでイトミミズのような……がぞろりと現れる。
 「あ、ああ、あ……」
 ミサトはがくがくと震える。それがなにをしようとしているのか分かってしまったのだ。
 「や、や、すごく、すごく、敏感になってるの、だから、だから……ね?ひぎぃぃぃぃッ」
 残酷でかつ途方もなく甘い快楽。
 ミサトの十分に成熟した乳房の先端、その鳶色の突起にイトミミズが絡みつき、こすりたてた。
 「あ、お、みやぁぁぁ……ッ、ちくちくして、ざらざらして、あ、熱い、あついぃぃぃ……」
 そのイトミミズにびっしり生えた繊毛、それにちくちくと刺激されて彼女は泣き叫ぶ。
 そこをぱっくり銜えられた。
 ぎざぎざの、無数の歯で。それも左右同時に。
 彼女は声にならない悲鳴を上げて全身を震わせる。
 触手がぐるりぐるりと蠢いている股間から湯気の立つ液体が漏れだした。
 こりこりと甘噛みされつつ、同時に細い繊毛にいじられている敏感な器官から押し寄せる感覚、それはどうしようもなく鮮烈で、ミサトは自分のバストが溶けてしまうのではないかと恐怖すら覚える。
 だが、その繊毛が彼女の乳首をこじ開けてさらに奥へと進んできたときに彼女の唇から漏れたのは恐怖の悲鳴ではなかった。
 乳管の一本一本を犯され、さらに乳腺へと侵入されてそれが分泌する物質にちりちりと灼かれたミサトがあげた「ああ、ああ、胸が、胸が融けちゃう、熱い、熱くてズキズキしててすごいの!」という声は、歓喜と快楽以外のなにものでもなかった。
 その証拠にミサトの下半身は前後の孔を責めたてる淫蔓をきゅうきゅうと締め付けるばかりか、卑猥きわまりない舞いをはじめてしまう。
 やがて左右の胸を責め続けている触手が奇怪な蠕動運動とともに彼女の乳房を赤ん坊のようにちゅうちゅう吸い始めるころには、美しい魔女の唇からはおぞましい異界の生物を賞賛する声しか聞こえてこなくなっていた。
 仰向けの姿勢からふたたび膝立ちの姿勢に戻され、躰の芯とおんなの芯を貫かれたまま、ふわりふらりと持ち上げられて、優しく淫らに揺すられるころには、ミサトはもう薄暗い室内じゅうに響き渡るよがり声を上げるようになっていた。
 たっぷりとした黒髪を揺らし、まるでそよ風に揺れる花のようにぐらぐらと頭を振りながら「いいの、いいの、おっぱい吸われるの、すごくいいの!ああ、ああ、もう、もう、どうなってもいいのぉッ!」と絶叫するようになっていた。
 「他の囚人がたの迷惑になりますね、これでは」とレイが苦笑して革の口枷を装着させるほどの声で、ミサトは押し寄せる快楽を讃え、こどものように泣き叫んでいたのだった。



◆ ◆ ◆



 そしてミサトは再会した旧友、リツコの目の前で口枷を外される。
 そこでもミサトは、自分が快楽に負け、一匹の牝であることを自身の口から涙ながらに告白してしまう。下腹部の奥から押し寄せる甘く切ないインパルスに耐えられなくなった彼女は憎むべき存在となった元同僚に、涙ながらの媚態を示してしまう。
 「あらあら」その様子を見下ろしていた金髪の女がくすくすと笑った。「三時間ももたなかったのね。この娘でさえ、半日耐えたのにね」
 その声にミサトが面を上げる。
 「ど、どうして……レイ……まで……」どろりと濁った瞳の中に、かすかな怒りと哀しみのかけらがまだ残っていた。
 「だって、当然でしょ。レイの裏切りがなければ、あの蛮族の娘も『ザ・サード』も塔から出られるわけがなかったんですもの」
 「……成功……したのね……あのコたち、まだ……捕まってないん……だ」
 リツコは舌を鳴らした。かすかに微笑んだ元同僚の頬を激しく打つ。
 「小賢しいことを。私、貴女のそう言うところ、昔からだいっきらいだったのよ、ミサト」腕組みをして見下ろしたあと、リツコは唇の片方を歪めて笑う。
 腰をかがめてミサトに囁く。
 「決めたわ、貴女の処遇。最初は『扉を開ける腕』たちの栄養源に造り替えて飼ってあげるつもりだったけど……」リツコは何事かつぶやいて両手を紋章に差し出した。しばらくたったのち紋章の色が変わり、ミサトの瞳が大きく開かれた。
 「お、奥に、もっと奥に入ってくる、あ、ああ、お、これ、これ、これ……」
 「子宮の奥、いえ、卵巣にまで『腕』の繊毛が入り込んだのよ。貴女の女の部分を徹底的に造り替えるためにね。それは貴女の子宮に根を張っているのよ。十分に根を張り、卵巣まで達したところで先端が切り離され……」リツコは冷静きわまりない錬金術師の口調を不意にひどく蠱惑的なものに切り替え、ミサトのおとがいをそっと撫でた。「……貴女の中に定着し、貴女を子宮の中から支配するの」
 ミサトは声にならない悲鳴を上げた。しかしそれも、彼女のアナルを貫く触手がふたたび煽動をはじめるまでのこと。
 胸の左右の頂を思う存分むさぼっていた二本の魔手が音を立てるほどの勢いでミサトの乳首を吸い始めるまでのこと。
 悪魔の快楽を熟れきった女体に教え込まれた彼女の瞳はたちまちこどものように無邪気なものへと変化してしまう。
 敏感な粘膜をこじられ、こすり立てられ、めくりあげられる感覚に、痺れるようなエクスタシーを覚えて尻を振りはじめてしまう。
 くすくす笑うリツコ。その瞳はひどく優しい。
 「子宮に定着するのには三時間もかからないわ。その間、貴女は目もくらむような快楽を味わうことになるから……きっとそんなに時間が経ったとは思わないでしょうね。そうして……貴女の中に住み着いた『それ』は植物が根を張るように、貴女の躰の隅々まで組織を張り巡らせて貴女を造り替えるの。大丈夫、痛くなんてないわ。そうねぇ……三日ほどかしら?そのころには貴女は全く別の存在になっているわ。『殿方の精を命の糧とし、殿方と交わるためなら、どんな命令にも従う【隷獣ミサト】』に変わっているわ」
 「リツコ!おねがいだから、おねがいだから……」血を吐くようなミサトの声にリツコの笑顔が大きくなった。
 「ふふ、でも、貴女ちょっと羨ましいわ。ミサト。だってずっとずっと、殿方好きのする顔かたちのままで【塔】に飼っていただけるんですもの。そうよ、『それ』を胎内に宿している限り、殿方の精液を補充し続ける限り、貴女はその姿形のままなんですもの。
 ミサト、もう逆らっては駄目よ。もっとも、そんなことなどもう絶対に考えることなんてできないんだけど。貴女はオナカの中のそれが与えてくれる快楽に操作されて生きていくの。大嫌いな男の前でも『それ』が命じれば恋する乙女の表情で甘えて、オマタを開いて誘惑するようになるのよ」
 死よりも無惨な運命を宣告され、ミサトは蒼白になった。
 「お願い、お願い、それだけは、それだけはやめて、お願い、いっそ殺して!お願い!私に慈悲を……あ……あ、ああ、じ……ひ……を……あ、ああ、は……は……は……ぁ……ぁッ……ぁ……」
 「ほら始まった。分かるでしょ?ゆっくりとお腹の奥に根が張り巡らされていくのが」
 「あ……あ、あ、あ、ら、らめ、らめ、こ、これ、これぇ……」神経に直接与えられる、さらに決して飽和しない快楽に美しい魔法戦士はたちまちのうちに溺れた。子宮がとろとろに煮えていくような幸福感に吐息が熱を帯びる。
 だが、さまよう視線が愛しい生徒であったレイへとたどり着いたとき、ミサトはその精神の全力を振り絞って少女に呼びかけた。
 「ごめん、ごめんね、レイ、先生、貴女を助けられない。でも、でもね、レイ、あたしたち、勝ったのよ。彼、彼は、あなたの犠牲のおかげでここから逃れたわ。『朱の姫』も無事連れ出せたわ、あのコたちはきっと【塔】を滅ぼす勢力となるわ。だって、二人ともあたしの生徒で、貴女の大事なオトモダチなんですもの!そう、そうよあたしも、あなたも勝ったのよ」
 それが「聖二位魔導師ミサト」の最後の抵抗だった。
 次の瞬間、ミサトはがっくりと頭を垂れる。すべての気力を失い、あらがえない快楽に脳を灼かれてしまったために。


イラスト:名無さん「淫天使惑乱」


 無限の闇が広がる空間の上で、触手に前後の孔を貫かれてふらりゆらりと揺すられるミサト。
 ふたたび意識を取り戻した彼女の瞳には、もはや彼女をミサトたらしめていた活発で陽性の彩はなかった。
 あるのはただ、さらなる快楽への渇望のみ。
 その彼女の顔のすぐそばに一本の触手が近寄った。ふっくらとした、つやつやとした唇に粘液をまぶしはじめる。
 ミサトは抗わない。それどころかちろちろと舌を伸ばしてその先端をついばみはじめる。
 男たちがそれを強いようとしてもがんと受け付けず、それどころか歯を立てると言いはなっていたにもかかわらず、鼻を鳴らしてぺろぺろ舐めはじめる。
 やがて唇を割って侵入されても、歓喜の声とともにそれをしゃぶりはじめる。
 美貌を快美にとろけさせて、口舌奉仕をはじめてしまう。
 ほとばしる粘液を喉を鳴らして飲み干してしまう。
 卑猥に腰を振りながら。
 リツコと、レイの哄笑など気にもとめずに。



◆ ◆ ◆



 薄暗い照明の下でグラスを傾けていた男は、その姿を見て驚愕した。
 「いかがされましたか?議員」
 同席していた【委員会】のひとりがくぐもった声で笑った。「まるで教師に飲酒現場を見つけられた悪ガキのようではありませぬか。議員殿」
 「まぁ、確かに『教師』ではある」別の【委員】がそれに応じた。「それも美人の……な」
 「本日の公聴会ではずいぶんな目にお遭いになりましたからなぁ、貴兄は」笑いながら指摘された男はアルコールで赤らんだ顔をさらに赤くする。もちろん怒りでだ。
 「追求されはずであった側がする側をああも見事に論破するところなど、めったに見られるものではありませんて」
 「さよう。実に面白いショーであったな」
 男の脳は怒りで白熱する。

 そうなのだ。
 本来ならあんな無様で屈辱的なことになるはずなどなかったのだ。

 【塔】において内紛が発生……実体は小規模戦闘に近かったらしい……の情報を掴んだ彼は「議員」の義務として【塔】を管理運営する【委員会】に事態を議会へ説明するよう声高に主張した。
 この共和政体において、あらゆる国家機関は議会に対して説明の義務を有すはずである。もちろん【塔】もしかり。それが共和国に与える恩恵がいかに大きかろうと。
 共和国における第二位の政治団体、さらにそれのナンバー・ツーの位置を占める彼は議会で叫んだ。
 その説明が行われるなどかけらも思わずに。
 ところが、非公開ながらも【塔】は公聴会を開くことに同意した。
 むしろ男は狼狽する。彼が掴んでいた情報はおよそ二週間前に【塔】内部でかなり大がかりな、死者まで出した戦闘があったらしいという「噂」のみであったのだ。
 ……いつもなら「取引」の申し出があるはずなのだが。男は首をかしげた。
 何らかの利益供与と引き替えに、議論をうやむやにしようとするのではなかったのか、ヤツラは。
 まあ良い、たまにはきちんとした手順を踏むのも。
 だが、いきなり彼は頓挫する。
 なにも知ることができないのだ。なにも分からないのだ。
 あらゆる情報源をたぐっても帰ってくるのは真空のような沈黙、あるいはどうしようもないほど空虚な情報のみ。
 とてもではないが公聴会において追求に使える代物ではなかった。
 さらに、貴重な第一報をもたらした人物と連絡が取れなくなっていることに彼は不安を覚えつつ、彼は公聴会の日を迎えた。
 ……尊大な態度と声、さらに詭弁すれすれの議論でいつも通りに論敵を打ちのめせると信じて。

 大間違いだった。
 その公聴会の場に【塔】から派遣された「聖二位魔導師」の階級を持つ魔女は、凛とした美貌のミサトという女は、男の追求をことごとく弾き返した。

 それは根拠のない噂に過ぎません。議員閣下。
 それを裏付ける資料はどこにあるのでしょうか。議員閣下。
 はい。【竜】召喚は行われました。しかしそれは正規の許可を得た正当なものです。蛮族との小競り合いの続く西管区の要塞指揮官が急病で倒れたため、代わりの指揮官を大急ぎで送らねばなりませんでした。ご存じの通り、【門】の辺境における密度は低く、そこからの移動の手間を考えますと【竜】を使用するのがもっとも妥当かと……。

 「そ、そ、それならば、戦闘があった南塔を見せてもらおうではないか」裏返った声で彼は叫ぶ。「見せられんだろう、【雷撃】や【真空刃】がとびかったそうだからな。明らかな証拠なのだから、見せることはできまいて!」
 ミサトはうつむく。
 「そら見ろ、できんだろう。【塔】のいつものやり口だ。証拠を決して明らかにせず……」
 「お見せいたしますわ」【塔】の第一種制服……襟と袖口のエンジがアクセントの漆黒のツーピース……に包んだ魔女は苦笑していた。「もちろん議員閣下お一人だけでなく、出席者すべてご確認していただけます。馬車の用意もできております。お時間の許すかたがたはこちらへ……」

 そして彼らはその「現場」へと案内された。
 「戦闘が行われたとされる『南塔』最上階の現状です。ごらんのように……いささか古びてはおりますが……そのような騒動の痕跡などまったくございません。議員閣下、ご自由に検分くださいませ」
 ミサトはあくまでも謙虚に微笑む。しかし彼女がどう思っているのかはその腕組みをした姿勢が明確に物語っていた。
 ……男の完敗だった。
 【塔】は彼を罠にかけたのだ。ひどくうまそうな餌をちらつかせ、食いついたところで残酷に釣り上げてさらし者にしたのだ。
 公聴会には【塔】の委員数人……彼らの生まれたとしがいつだったのか知るものすらいない……と議員一二人に限られていたが、人数の少なさを感謝できる状態ではなかった。
 おそらく、まず間違いなくこの件は明日には議会中の誰もが知ることになるだろう。
 男が美しい魔女に婉曲に「無能」と断言されたことを。

 かすかな不安を抱きつつも、彼が勝利を確信して始まった公聴会は、一時間も経たないうちに終了した。
 屈辱と怒りを伴って。
 ……ろくな資料を集めることができなかったスタッフどもを全員首にしてやろう、私に恥をかかせたあの馬鹿者どもに罰を与えてやろう。
 責任転嫁しつつホールの扉をくぐった男に声がかけられた。
 声をかけたのは【塔】の委員のひとりだった。
 「災難でしたな」委員は言った。「ですがこれも故あってのこと。それについて内密にご説明したいのですが、いかがでしょうか。嫌なにまぁ、一種の『慰労会』のようなものですよ」
 男は黙ったままうなずいた。
 彼は愚かではあったが、その場の流れや力関係を読むすべは心得ていた。
 ……つまり【塔】はうるさく吠える犬を手ひどく蹴りつけたところなのだ。
 ……そうして、その犬に今度は肉を与えようという。それが意味するところは……。
 「了解いたしました。委員殿」
 男は微笑してみせる。
 内心を煮えたぎらせながらも。

 もし彼が人並みの知性を持っていたら気付いたに違いない。
 【塔】内部の事件にしては、第一報の時点で妙に細かなディティールまで伝わってくるのは不自然だと。
 自分がその第一報に拘泥した議論を強いられていたことに。
 そう、彼は根本的なことを見落としていた。
 彼は他の箇所も含めて査察を要求すべきだったのだ。
 「南塔」だけでなく「西塔」も確認していれば、こうも子供じみたトリックに引っかかることなどなかったのに。


 その「慰労会」の席にふたたび彼女は現れる。
 贅沢な調度が施された、会議場ほどの大きさの室内を彼女はつかつかと律動的な歩調で進んだ。
 その部屋の中央を占めている(というよりも、その部屋は彼らと給仕たちしか存在しなかったのだが)数脚のソファーの前で立ち止まる。
 きりりとした、凛とした美しさを帯びた表情で女は彼らに敬礼する。
 彼女が公聴会会場に現れたそのときに、男が不謹慎にもそれを剥いた肢体を想像してしまうほど張りつめた腰と胸を【塔】の魔導師に定められた第一種制服……襟と袖口のエンジがアクセントの漆黒のツーピース……に包んだ姿で彼女は敬礼する。
 「『聖二位魔導師』ミサト、御命令に従い出頭いたしました」
 「ごくろうじゃったな」男の向かいのソファーに腰掛けていた委員が鷹揚にうなずき、自分のすぐ隣を指した。「ここにすわりなさい」
 「……はい」かすかな沈黙ののち、ミサトはスカートを直しつつ老人たちのあいだに腰を落とす。
 彼女の正面に位置していた男には彼女が上品に脚を揃える直前、ソファーに身を沈めたその瞬間に室内照明に輝く真っ白な内腿がはっきりとのぞけてしまう。
 「なにか飲みなさい。いま注文しよう」ミサトの右隣の委員が穏やかに言い、係を呼び出してなにか命じた。
 その間も男は目を離せない。
 ミサトの美貌から、その下半身から。
 「ミサト、お前の正面にお座りになっている人物は紹介するまでもないな」
 「……はい。存じております」
 「ご挨拶せんか」左隣の男にぽん、と頭を小突かれてミサトは慌てて頭を下げる。
 「あ、あの、本日はご苦労様でした。貴重な時間を割いていただいて感謝いたします」
 かすかに身じろぎをする彼女、ふたたびその脂ののった内腿が一瞬露わになる。
 男は唖然とするしかない。
 それは、昼間のミサトとはまったく異なっていた。
 「現場」へ向かう馬車の中で、男と向かい合って座っていたミサトとはまったく異なっていた。そのときの彼女は一分の隙も見せようとはせず、その表情にあるのは冷笑のみだった。
 それがどうだ。
 いまの彼女は媚びを含んだ笑顔と口調で、頬を染めて彼を見つめているのだ。
 高級なソファーに身を沈め、もじもじと腰を動かしては魅惑的な曲線を持った太股をタイトスカートのサイドスリットから覗かせているのだ。
 やがて届いた飲み物……いささか強めのアルコール……を彼女は意を決したような表情で口に含む。こくりと喉を鳴らし、たちまちのうちにグラスの半分を空にする。
 「美味いかね?ミサト君」右隣の老人がたずねた。
 「はい」こくりとうなずく。
 「そうか。私にもそれをもらえないかね」委員に言われたミサトはうなずき、給仕を呼び出すベルへは手も触れずに、グラスを艶やかな唇に当てると残りの半分を口に含んだ。
 そして腰を浮かせて委員の膝にお尻を乗せ、しなやかな指で委員のおとがいをそっと持ち上げて口付ける。
 委員の喉が動くさまを男は呆然と見つめていた。

 ……あの美しい魔女は、こともあろうに口移しで酒を男に飲ませているのだ。
 ……場末の娼婦が男を誘うかのように、むっちりとした尻を男の膝に擦りつけて媚びを売っているのだ。

 さらにその魔女は目元を紅に染めつつ、老人と舌を絡めていた。
 姿勢を入れ替えて彼にのしかかられ、「んふっ、ふぅぅん」と鼻を鳴らしてとろとろと流し込まれる唾液を喉を鳴らして飲んでいた。
 老人の骨張った指でタイトスカートの尻を撫でられても嫌がるどころか、スカートの中に掌を侵入されると幸福そうに微笑んでいた。
 目の前の男にすばらしい脚線美と肉感的な太股と、その奥の下着を披露してしまっていることも忘れて、老人とのディープキスに溺れていた。
 ちゅぱちゅぱと音がするほどの口舌性交を数分にわたって続けたのち、ミサトはようやく解放される。
 ぐったりとソファーに身を投げ出す魔女。
 スカートの裾が乱れ、その奥が露わになっても彼女はそれどころではないようだった。息を荒げて腰をひくりひくりと動かしていた。
 ショーツのクロッチに大きな染みを発見して、男は目を見張り……そしてにやりと微笑んだ。
 「『聖二位魔導師』ミサト殿、小生にも酌をしてもらえないだろうか」
 「……は……い……」
 ふらりと身を起こしてテーブルに置かれた瓶を手にする。そのまま片膝をつき上目遣いに瓶を差し出す。
 男はグラスを持った手を伸ばす。ミサトが優雅にそれに液体を注ごうとした。
 だが、男はそれを制止する。
 「『聖二位魔導師』、その前に小生に言うべきことがあるのではないかね?」
 笑みを浮かべ、ミサトの美貌と制服の上からでもボリュームがはっきり分かる胸と、光沢を持った高級下着が露わになったスカートの奥へとねっとりとした視線を投げかける。
 「あ……ああ……」ミサトはぶるっと全身を震わせる。流し目で委員達を見つめる。
 「なにをためらっておる、ミサト、ちゃんと躾けられたとおりにご挨拶せんか」老人に発破をかけられると、ミサトの表情は陶酔と被虐の悦びにとろけてしまう。
 「ぎ、議員閣下、わたくし『聖二位魔導師』ミサトは……」ふたたび全身を震わせる彼女。その陶酔の色はさらに高まっていた。「いままでの無礼な振る舞いを心から謝罪いたします……。その、わたくしはその無礼を全身全霊をもって償わせていただきます。今宵の……ミサトをご自由にお遣いくださいませ……」
 自身を貶め、自身を売り渡すような口上を述べ、男が鷹揚にうなずいて初めてミサトはグラスに酒を注ぎはじめる。
 そうして男がそれを口にするのを見て、ぱっと表情を輝かせてしまうのだった。
 その笑顔はその「議員閣下」を心の底から馬鹿にし、嫌悪していた昼間の彼女を全否定するかのようだった。
 いや、その昼間の感情の記憶すら、ミサトにとってはぞくぞくするような快感の源なのだ。

 ……あ……わたし『聖二位魔導師』なのに。
 命令ひとつで性奴隷になっちゃった……。
 いやらしく恥ずかしく、破廉恥なことが大好きなメスになっちゃった……。
 ココロからそう望んでいるわ、わたし。
 ああ、オナカの、オナカの奥が、子宮がどろどろに熱く……なってるよぉ。
 「キモチいい」が押し寄せてきて、どんなことでもしてしまうようになってる……。
 わたし、もう、もう、逆らえないよ……。
 わたし、とてもシアワセになってしまっているわ。
 わたし、【塔】の淫人形なのね。【塔】のいやらしい道具としてこのカラダを使っていただくのね。
 わたし、この下衆に御奉仕をすることにぜんぜん抵抗を感じられない。それどころか、あらゆる御奉仕ができることで、胸がときめいてしまっているの。

 だから男がミサトの手を引いて立ち上がらせたときは、少女のように、恋する乙女のようにうっとりとしてしまう。
 男の膝に乗るように命じられ、結果、タイトスカートが腰までずり上がってレースをふんだんに使ったTバックショーツが剥き出しにされても屈辱だとは感じられない。
 男と向かい合う姿勢で大股開きで膝に乗せられ、ひょいとクロッチの横から侵入した指に複雑な花びらを弄ばれても、ミサトは幸福感に背筋をぞくぞくさせて、口移しで彼に酒を飲ませていた。
 二本の指で溶岩のように蕩ける肉裂を掻き回されつつ、ひっそりと窄まったアナルを悪戯されても拒否しようなどとは思えない。むしろさらに熱心に男と舌を絡めてしまっていた。

 「んふっ……うふぅ……ぅン、は、はぁ、あは!」
 今宵、【塔】の快楽接待の道具として差し出された自分がどのように貪られ、どのような奉仕を強いられるか。
 男の生臭い舌で熱い口腔を犯されているミサトは甘い睦み声を立てつつ、うっとり想像してしまう。

 ……きっと【委員】の方々が見ている前で、「ごしゅじんさま」に身につけているものすべて脱ぐように命じられちゃうんだ。
 スカートを、ジャケットを脱ぎ捨てるたびに……いやらしいポーズを、たとえばテーブルの上に大股開きでたたされたり、そのまま前屈姿勢をさせられたり……して、あたしのいやらしいおまんこがどろどろに涙を流すようすを観察されるの。
 ヒールだけの姿でお給仕させることに「ごしゅじんさま」が飽きてきたら、テーブルの上でオナニーショウを命じられるのね。
 声をこらえることなんて許してもらえるはずなんてないの。きっと部屋中に響く声で「みさと、ミサトはオトコノコみたいにクリトリスしこしこしてます!」とか「中指の第一関節くらいの深さのところまで入れて、ウエの、うえの裏のちょっと奥、コスるとすごく素敵なんです!」とか叫んでしまうんだわ。もちろん、お尻の穴を弄るのが大好きなことも告白させられてしまうの。
 だって「ごしゅじんさま」の言葉に逆らえることなんてできないんですもの。

 この「会」がお開きになると、わたしは「ごしゅじんさま」に媚肉奉仕をすることになる。きっと首輪をつけられて、裸のままで夜伽部屋まで連れていかれるんだわ。ああ、きっとそのとき、あたしは犬みたいに四つん這いで歩かされるのよ。それもお尻をぶたれながら。
 廊下ですれ違うメイドの女の子達にくすくす笑われてるのに、おまんこからはとろとろってお汁をたらすのが止められないの。
 「ああなったらもうおしまいね」とささやき合うのが聞こえたら、きっとわたし、そこでまたイっちゃうにちがいない。

 密室の中では、なにが待っているのかしら?
 浴室ではシャボンでヌルヌルにした全身を使って「ごしゅじんさま」の身体を清めさせていただくのかしら?
 それとも、舌と唇だけを使って清めさせていただくのかしら?足の指をぺろぺろ舐めさせていただいたあと、ゆっくりと舐めあげて、、お尻の穴も腋の下もたっぷり味あわせていただくのかな。
 それともそれとも、「ごしゅじんさま」がわたしの身体を舐め回すのかしら。あるいは媚薬効果のあるオイルを肌にとろとろ垂らして塗り拡げて、ミサトが気が狂いそうになるまで快楽責めにされてしまうかも。
 あたしのいやらしい毛を一本一本引き抜いて、泣き叫ぶくせして蜜がどんどん濃くなっていくのを知られてしまったら……。

 ああ、もちろんミサトのお尻の穴は「ごしゅじんさま」のものですわ。
 悪魔の液体をたっぷりお尻の穴へ注ぎ込まれても、ミサトは御命令があるまで我慢いたします。どうかこのいやらしいドレイのお尻の穴をお好きに意地悪なさってくださいませ。
 オナカがぷっくり膨らむまで注ぎ込んで、ひくひくしてるお尻のアナを骨張った指や、瘤だらけのオモチャで掻き回されると、あたしってばすごく大きな声でよがり泣いちゃうことがすぐばれちゃうかも。
 ああ、そうして最後は「ごしゅじんさま」に嘲笑れながら……。ああ、そのときってすごく惨めで、とっても気持ちいいんだわ。
 人としての尊厳なんて、どうでもいいくらいに気持ちいいんだわ。

 お口での御奉仕も、ミサトは大好きです。
 どろどろの精液の香りを嗅ぐと、私はえっちなケダモノになります。ただもう、「おしゃぶりしたい、舐めさせてほしい、喉の奥を突いてほしい」としか考えられなくなるのです。
 あたし、とっても上手なんですよ。このあいだなんて、捕虜にした一四歳の蛮族の少年……ムサシとケイタ……をおしゃぶりだけで陥落させたんですから。下履きを剥ぎ取って背中合わせにして天井から吊し、皮をかぶった可愛いけれど臭いおちんちんに息をかけたりキスしてあげたり……舌をこじ入れて舐め削ったりすると、あっというまにイっちゃいましたね。
 三回ずつおしゃぶりで絞り出してあげてから、もっとハードに舐めてあげました。オチンチンの根元をぎゅっと縛ってからですけど。
 三〇分も経たないうちに二人とも陥落しちゃいました。
 【塔】の戦士を何人も倒した男の子が泣きながら「出させてください、オチンチン解いて!出したいんです!」って泣き叫ぶのはぞくぞくしますね。
 せっかく自分たちが犠牲になってまで逃がしたはずの幼馴染みの女の子……マナちゃん……との集合地点も、「異常なし」のサインもなにもかも争って教えてくれました。ほんと、すごく可愛いんですの。
 だからいま、三匹とも並べて犬の姿勢でつないで前線基地で飼ってます。【塔】の兵士の欲求不満解消のためですわ。ええ、男の子二人もおちんちんが大好きみたいです。お尻の穴にペニスをねじ込まれて、腰を掴んでぐりぐりしてもらうと、幼馴染みのマナちゃんと同じくらい澄んだ声でひんひん鳴くようになったそうです(ああ、マナちゃんはどっちかというと前の孔にたっぷり中出ししてもらうほうが好きだそうですが)。お尻の中に精液を注ぎ込まれた瞬間に、自分もどばって射精するんですって。
 もちろんお口を使って精液を絞り出す「お仕事」も幼馴染みのマナちゃんと同じくらいに上達したそうです。お友達の孔を掻き回したおちんちんだってぜんぜん嫌がらないのは偉いと思いません?
 ……ふふっ、もちろんミサトのほうが数倍上手なのは保証いたしますわ。

 はい!はい!もちろんおまんこもアナルも、「ごしゅじんさま」のご自由にお使いくださいませ。
 どんな恥ずかしいポーズでも、どんなにハードな姿勢でも、好きなだけミサトの穴を貫いて、たっぷり中へ注ぎ込んでくださいませ。
 はい、わたしはセックスが大好きな変態魔女ですから。おちんちんと精液のためなら、あたしはどんなに恥ずかしいことも、どんなにいやらしいこともいたします!
 壁に手をついてうしろからずぶずぶ貫かれるのもだいすきですし、獣の姿勢の交わりも惨めで恥ずかしくてぞくぞくしてしまいます。
 大開脚して片脚を「ごしゅじんさま」の肩に担がれてずぶずぶってされちゃうと、深くまで先があたるので夢見心地になるんです。
 自分から「ごしゅじんさま」にまたがって腰をぐりぐり振るのも大好きです。「このスキモノの牝豚め」って表情で見上げられたりするともう……だめですわ。
 はい!もちろん「使い勝手」についても皆様誉めてくださいますの。
 「ねっとりと絡みつくくせして、少女のような締まりの良さ」だとか。「ざらざらした天井もいい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
 ……ああ、そんな風に言っていただけると……あたし、女として至福の喜びを感じてしまうのです。


 軽蔑すべき男に尻を撫で回されながらねっとりとしたキスを交わしている魔女は、このあとに続く牝奴隷としての奉仕活動に心を躍らせていた。
 子宮に張り巡らされた繊毛に思考まで支配された魔女は、自分が肉奴隷に造り替えられたことすら誇りに思いつつ、媚肉から蜜をしたたらせていた。
 彼女は艶やかな黒髪を快楽に踊らせながら男に囁く。

 「……はい。『ごしゅじんさま』どうかミサトを「ナカダシできるセックスドール」としてお遣いください!」
 「……はい。ミサトは『ごしゅじんさま』の【塔】への協力に対する、お礼のごく一部に過ぎませんの。どうかお好きなだけ、お好きなようにミサトを使ってキモチよくなってくださいませ」

 ミサトを弄る男の指が、彼女の舌と絡む男の舌の動きがさらに熱を帯びたものになる。
 【委員】たちがにやりと笑い、顔を見合わせた。その表情に侮蔑しかないことに、男もミサトも気がつかない。


 ……それは「彼」と「朱の姫」がその塔に帰還する四年前の出来事だった。




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From:触手のある風景2