NEON GENESIS EVANGELION FANFICTION NOVEL
X-RATE GENESIS EVANGELION
Tentacle Series






 退屈。
 少し離れた場所でレイとシンジが何やら話している。本人達は意識せず何気無く話しているのだろうが、端から見れば仲良くしている様にも見える。
 心の中で小さく舌打ちし目線を僅かに逸らすと、トウジとヒカリが日常の風景よろしく何やら口喧嘩らしきものをしている。こちらも端から見れば仲が良い事だと思える情景だ。
 心の中で収めたかったが、その僅かな溜息は少しばかり増幅して口から出てしまう。
 後ろの木に背を凭れ掛け、腰を落とし、その場にしゃがみ込む。
───黒板相手にするより、マシだけどさ
 でも退屈なのは代わり映えしなかった。
 授業内でこうして外に出ての活動は、確かに気分転換にもなるし、机から開放された心地よさもあるが、外に出たからといって課題を真面目にこなそうとまでの気力は出てこない。
 ここぞとばかり男女それぞれ、下心を剥き出しにしたが如く、この裏山に散っていったのだ。
 ヒカリと一緒に行動しようとも考えていたのだが、彼女も俗物宜しく他と一緒だった。
 与えられた課題は「茸の群生とその繁殖範囲」と大層な名前であったが、内容は単なる茸の観察に過ぎない。
 年中夏の日本で、このように木が生い茂り湿度も多いこの場所では、態々探さなくても多種多様の茸が鏤められている。
 食卓に並ぶようなものもあれば、色とりどりでその美しさは魂をも奪うような危険なものまで。
 足下にも様々な形や色の茸が群れを成していた。
───よくよく見ると、グロいわよね
 その育ちかけの小さな茸を指で弾くと、バネの様に揺れ動き、いくつかの粉らしきものを辺りに散らした。
 何度かそうしてその茸で遊んでみたものの、やはり気分は変わらない。
 退屈。
 アスカはもう一度溜息を吐く。
 膝の上で頬杖を建てながら、無意識の内に微睡む様な目はシンジを追っていた。
 時折屈託の無い笑顔をレイに向けながら、ノートに何かを書き込んでいる。
───バッカみたい
 僅かばかりの苛立ちをひとりごちた。

ぷしゅ

 足元から奇妙な音が聞こえ、そして同時に下半身に違和感を感じた。アスカはすぐに立ち上がり、音のした方を凝視する。

「ちょっ…!」

 今の今迄気が付かなかったが、自分が尻を向けていた所には、群れていた茸とは似ても似つかない、奇妙な形をした茸がそこにあった。
 色は紅とも橙ともつかないくすんだ色に黒い斑の模様。茎は根本ではなく傘の方に向かうにしたがって太くなっており、その傘は大きくはないが卵を先端に乗せたように歪んだ丸みを持っている。
 まるで男性器の様な形をしたそれは、もう一度音と共に液体の様なものを傘から吐き出すと、次第に融けながら萎んでいき、ついには姿を消してしまった。
───何、あれ…
 茸にはさほど詳しくは無いが、それでもあれは他の茸とはまるで違うと直感した。
 ふと下半身に感じた違和感を思い出し、慌てて辺りを見渡しながら木の陰にアスカは隠れる。
 注意深く警戒し、誰の視線も無い事を確認してから、制服のスカートをずらしてみた。
 その染みは丁度、便を漏らしたかのような場所にうっすらと浮かびあがっている。
───最悪
 無駄かもしれないと思いつつ、ポケットからハンカチを出してその染みを何度か叩くように拭ってみた。
 幸いにも何度か繰り返すと、その染みは良く見ないと分からないくらいに薄まった。
 直ぐに消えた事に少しばかり安堵するが、それでもまだ違和感は残っている。
 怪訝に思いながら辺りをもう一度見渡し誰も見ていない事を確認してから、おそるおそるスカートの中に手を入れていく。
 下着の上から指を充て、尻の割れ目に添って這わし、自分でもそうそう触れる事の無いアナルの方へと持っていく。
 自分でやっている行動に嫌悪感を覚えるが、指がその辺りに触れるとそれ以上の嫌悪感が襲ってきた。
 生温い滴の感触。
 慌てて手を引き上げ、指を凝視してみた。
 指と指の間で糸を引く粘液。
───さ、サイテー!
 心の中で叫びながら、慌てて指を拭う。

「アスカ?アスカぁ?」

 そんな折り、シンジの声が近付いてきた。
 このまま逃げてしまいたかったが、先にシンジに見つかってしまう。

「あ、居た。そろそろ皆も戻るみたいだから迎えに……あ」

 シンジが全てを言い終わる前に、アスカは振り切る様に学校の方へと走っていった。






 適当な理由を付けて学校を早退し、逃げる様に自宅に戻って、誰も居ないのを良い事になりふり構わず辺りに脱ぎ散らかしながら下着を換えた。
 余りの気持ち悪さに、その下着は切り刻み塵嚢に投げ入れた。
 それで幾ばくかの落ち着きを取り戻し、キッチンのテーブルに突っ伏して息を整えたが、やはりまだ多少の違和感が拭えぬままだ。
 何度か迷った挙げ句、少し面倒にも思えたが、タオルを持って風呂に入る事にした。
 これもまた誰も居ないのをいい事に、脱衣所の鏡に向かって剥き出しになった自分の白い尻を向けて、良く見えるように割れ目を開いた。
 馬鹿な格好をしていると思いつつも、違和感を感じるその部分を凝視する。
 時間が経って乾いた所為か、それは白い幾何学模様の結晶のように、アナルを中心にして広がっていた。
───うえぇ……これ、落ちるかな
 ふと目に映った怪訝な顔をしている自分の顔から逃れる様に立ち上がり、浴室へと駆け込む。

「落ちなかったらシンジに洗わせてやるわ!」

 胸ですら見せた事無いのに、と自分に反論しながらシャワーの栓を開けた。






 異変に気が付いたのは、それから4日経ってからの事だった。
 便意が無い。
 僅かばかり感じても、直ぐに消え去ってしまう。
 かと言って、便秘症の様に詰まった感じがある訳でも無い。
 再び家で独りになり、鏡に向けて自分の霰もない姿を晒した時、

「いやぁああああああああっ!!」

 それは僅かばかり顔を覗かせた。










淫類植物
〜 茸で触手 〜











 突如として人が変わった、としか言いようが無い。
 クラスメートはエヴァ搭乗者である彼女の事だから、一般の人には言えない何かがあるのだろうと勝手に思いこみ、遠巻きから項垂れる彼女を眺めるだけだ。
 もう一人の搭乗者であるレイにしても、元々自分から会話を投げかける様な性格では無く、何時もと変わらず過ごしている。だが、そんなレイにも分からないのか、時折アスカを気にしている節もあった。
 親友であるヒカリ自身、とてもアスカの事を気に掛けているが、本人のその人を避ける様な雰囲気が強く、声を掛けるのさえ躊躇ってしまっている。
 放って置く訳にもいかず、シンジにも聞いてみるが、

「僕にも分からないんだ。家でもずっとあんなだし」

 授業中であろうとなかろうと、机の上には端末が広げられたまま。足を綺麗に揃えて座り、膝の上に真っ直ぐに伸ばした腕を乗せたまま、ずっと俯いている。
 シンジの応えに理由こそは見い出せなかったが、彼女に何か起こっている事は確認出来た。

「碇くん、一緒に過ごしてるんでしょ?ちゃんと見ててあげないと駄目じゃない」

 他にも色々とシンジに云いたい事はあったが、苛立ちの勢いとは言え流石にそこまでは言えなかった。シンジの鈍さに呆れつつも、やはり本人に直接聞くしかないだろうと思った。

「今日は……大事な日なのに……」

 シンジはヒカリの言葉に、ゆっくり頷くしかなかった。




 授業も終わり、夕焼け差し込む教室の中。ただ一つ残った人影がある以外は、静寂な空間。
 影は顔を上げ、虚ろな目で外を眺めると、その時初めて夕刻になったのを知ったのか気怠そうに端末を閉じ、鞄に入れる。
 椅子を退く音が響き渡る。
 鞄を持ち上げようと手を伸ばした時、そこに人影が被ってきた。

「アスカ……」

 顔を見上げなくても声でそれが誰だか分かる。出来るだけ顔を見せぬ様に背け、小さな声で応える。

「ヒカリ、放って置いて」
「そんな事、出来ないわよ……」

 ヒカリの性格を考えればそう応えるだろうというのは分かっていたが、心底自分の言葉通りにして欲しいと願った。
 鞄を持ち上げそのまま立ち去ろうとするが、取っ手を握ろうとするその手に、ヒカリの手が重なった。

「触らないで!」

 アスカは弾く様にヒカリの手を振り払い、数歩後ろに飛び退いた。
 徹底的な拒絶をされた事に驚きを隠せないヒカリは、それでも手に力を込めてアスカに問いかける。

「アスカ、何があったの?私じゃ役に立たないかもしれないけど…でも」
「無駄よ。もう……駄目なの」
「……アスカ」
「だから放っといて。もう私に触れないで」

 その言葉に今迄自分達が培ってきたものが壊されてしまうという怒りが込み上げ、ヒカリはアスカに駆け寄って手を挙げようとした。
 だがその手は力強くアスカに止められ、腕が捕まれてしまう。

「お願い……これ以上興奮させないで……」

 顔を背け息を荒くしているアスカ。彼女の腕から発している熱は、尋常で無いと思えるくらいに熱かった。
 その酷い熱さに体調を崩しているかと思い、再びヒカリはもう一方の手でアスカの額に触れようとするが、やはり同じ様に捕まれてしまう。

「あ、アスカ?」
「駄目……駄目よ……!」

 震えるアスカの声。

「ヒカリ……逃げて……早く」

 言葉の意味が分からなかった。それよりもアスカに腕を捕まれたまま、離れようとした所で敵わない。
 アスカが掴む力は思った以上に強く、手先が痺れる程に腕に食い込んでいる。

「もう……駄目……」

 刹那、ヒカリの足が掬い上げられ、机の上の鞄を弾きそこに尻餅を付いた。

「痛っ!」

 だがその痛みも一瞬にして消え去ってしまう。
 ヒカリは自分の足に絡まっているそれを目にした。それは幾重にも足に巻き付き足を持ち上げている。さらにその根本の方を辿っていくと、アスカのスカートの中から生えている様にも見えた。
 数本の触手。
 そしてまた、もう1本がアスカの中からゆっくりと鎌首を持ち上げてきた。

「っっ!?」
「逃げて…ヒカリ、早く…駄目…もう……」

 呟くようなアスカの声が聞こえるが、その異様な光景に声すら出せない。それでも何とか机に手を掛けようとするが、鞭の様な触手が腕ごと躰に巻き付き封じられてしまう。

「い……や…ぁ……」

 叫ぼうとしても声が掠れて出てこない。机の上で縛られたヒカリは、涙目で自分の躰に巻き付いた異様な触手を目の当たりにする。
 黒ずんだ半透明のそれは、まるで血流があるかのように脈打ち、表面にある疣の様なものからは、じわりじわりと粘液が滲み出ている。

「ひ、ぁ!」

 その粘液はアスカと同じ様に熱が込められ、服の中にまで浸透していく。まるで全身が真夏の陽に照らされているように熱い。
 気が付けば級友の目の前で大きく脚を広げ下着を晒している姿に恥じらいを感じたが、それも一瞬にして恐怖に変わる。
 そこにある視線はアスカのものではなく、うねりながら観察するかのようにそこで鎌首を上げているもう一本の触手。
 滲み出ている粘液が糸を引きながら汗のように先端から零れ落ちていった。

「駄目!駄目!それは駄目ぇっ!!」

 ヒカリでは無くアスカが叫ぶ。泣き叫びながらヒカリの陰部を見つめている触手を、自らのスカートの中に引き戻そうと、必死になって引っ張っている。
 だが触手は、そんなアスカを嘲笑うかのように、ゆっくりとヒカリの太股に巻き付いていった。
 そこから後ろに回り嬲るように尻を撫で、下着の中に潜り込み、再び前の方へと這い上がっていく。

「ぁ…が…!」

 驚愕と恐怖で見開かれているヒカリ。
 下着は触手の脈動に耐えきれなくなったのか、音を立てて破れた。布切れと成り下がったそれは、腰に引っかかっている部分を除いて床に音も無く落ちる。
 触手はそのまま躰を這い上がり、シャツの中をまさぐっていく。
 粘液と熱が動きに合わせて、陰部から臍、鳩尾から胸へと、卑猥な音を立てながらヒカリの躰を味わっていく。

「ヒカリ!ヒカリっ!!」

 触手は縮むどころか逆にアスカをヒカリの方へと引っ張っている。
 そして先端は、制服の胸元から頭を覗かせ、ヒカリの顔を正面に捉えた。

「……ぃ……ぁ…」
「うっ、ぁ、ん!ひ、ひかり!、ぁっ!」

 触手が動く度、その振動が伝わると共に、触手それ自体が自らの躰の一部ように、ヒカリの躰に触れている感触が流れ込んでくる。
 柔肌の滑るような心地よい暖かさが、丸みを帯びた尻肉の弾みが、控え目に膨らんでいる胸の狭間の感触が、腰の奥から飛沫となって躰に散っていく。
───貪りたい
 触手の言葉か、自分の奥底に眠っていた淫鬱な言葉か。
 僅かに残った理性が、掠れた声で他の言葉に代える。

「んぁ!止め…ふっ!!」

 だがその言葉は、伸びてきた触手に塞がれた。
 同じくして、声すら出せないヒカリの口にも触手が捻り込まれる。
 間を経たずしてそれは大きく脈打ち、その先端から粘液の溜を吹き出した。

「ふうっぅっ!」
「んんんっ!」

 二人の口の斜から、溢れた白い粘液が筋を描き零れていく。
 二三度それを吐く様にして出した触手は、その白い粘液に塗れながらもゆっくりと口から離れていった。そしてまた、様子を眺める様に目の前をゆらめく。
 二人の息が荒くなる。
 粘液に汗が混じる。
 涙に濡れた頬は上気し、お互いの顔を見つめ合った。

「はぁ、はぁ、ぅ、ご、ごめんね、はぁ、ヒカリ……」

 ヒカリの制服が破かれる。布は四散し、ヒカリはほぼ全身を教室の中で晒される。
 その躰の殆どは粘液に染められ、夕陽を受けて水面の様に輝いている。
 ヒカリの口を犯した触手は、解けるようにヒカリから離れると、その首先を露わになったヒカリの陰部へと向ける。

「もう…駄目…」

 ヒカリはゆっくりと目線を落とす。そこには無理矢理脚を広げさせられている自分の下半身、そしてそこを凝視する触手、その触手の根本の方を押さえているアスカが居る。
 視界が、頭がぼやける。
 虚ろになりながらも、溢れ出てくるような疼きだけははっきりと感じられる。
 飲まされた粘液の所為なのか、疼きは増え続け、僅かな理性を妄想で押しのけている。
 級友の前で触手に縛られ、躰中を粘液で穢され、脚を大きく開き誰にも見せた事のない陰部を晒し、それでもなお、今こうして陰唇から滲み出る淫液は止めどなく滴り、“感じて”いる。
 躰が悦んでいる。
 躰に脚に巻き付いている触手の脈動が、心地良い愛撫に思える。
 未だ触れる事無く、開いている筈の陰唇の前でゆらめく触手が、早く膣内に入ってこないかと待ちわびている。
 その様子を眺めているかのような触手。未だ切っ先にある鈴口から白濁の粘液をだらだらと垂れ流しているそれが、ニタリと笑った様にも思えた。

「駄目、ぅ、ぁ、だ、ぁぁ、だめ、ぅ、ふぅ、だめぇ…」

 嗚咽を漏らしながら、その場にしゃがみ込んでしまったアスカは、徐々に太さを増していくようなその触手を引き戻そうとするが、粘液と微動だにしないその体を擦り続けるだけだった。
 スカートは既に滲み出た、そしてこぼれ落ちた粘液に塗れ、紺色に染まってしまっている。
 その触手の首先は、舐るようにヒカリの陰唇を上から一撫でしながら、ゆっくりと下がっている。

「んぁあ、ああ、ああっ!」

 悦なヒカリの声が耳を刺激する。
 首先は陰唇の切れ目を通り過ぎ、十分過ぎる程に淫液で塗れたそのアナルを一舐めし、捻り込む様に入り込み始めた。

「ひぁあああっ!」

 叫びと共にヒカリの陰口から汁が飛び散り、アスカの顔に掛かる。
 触手は僅かな抵抗を無視しながら、更に奥へとその身を埋めていった。

「あ…が…ぁ…ああああぅぅっ!」
「駄目…キツい…せ、狭い…ぅ、ぁ、しま、るっうっ!」

 目の前で開いているヒカリの陰唇、ヒカリのアナルの深み、そしてまるで男根の様な触手を自ら擦り続けている快楽が躰中に押し寄せて来る。
 手持ちぶさたとなった1本の触手がアスカの首筋から頬に回り込み、粘液を滲ませながらその顔を撫で上げた。
 捲り上がったスカートの中身が露わになる。そこはヒカリと同じく、だらだらと雌汁を垂れ流している自分の淫口が疼ている。
 頬にある触手に手を添え、数度頬を擦りつけてから導くように下腹部へと誘う。
 触らずとも分かるくらいに肥大した陰核に、触手の鈴口を擦り付けた。

「んあぁっ!あ!あぅっ!」

 陰核の刺激と触手からの刺激が混じり、爆ぜる。
 触手は頬を撫でながらその身体を伸ばし、剥き出しになっているヒカリの陰唇にもその腹を擦りつけた。アスカの手の動きに合わせて、上下する。

「ふぁ!ん!あ、ぅあ、ん!ぅ!あぁ!はんっ!」

 二人の悦な声と水が滴る音が淫靡な合唱となって教室に響き渡る。
 じとじとと。ねとねとと。
 跳ねる水の音と共にその声も高くなっていく。
 そこに僅かなノイズが混じった。

「い、いいんちょ?……そ、惣流、か?」

 何時からそこに居たのか分からないが、トウジが居た。直ぐ近くに居ると言う事は、少し前からのこの痴態を見つつ近付いて来たのだろう。
 声が高ぶると共に、その声の主が誰なのか気付いたらしい。

「な、なんや、こ、これはっ!?」

 応える者は居ない。アスカの下腹部から伸びている触手は何本も枝分かれし、脈打ちながら太さを変えて二人に纏わり付いている。
 粘液塗れの触手と、そして二人。
 普通では無いという以上の事は理解を超えていた。唯々、その醜悪さと淫靡に満ちた情景に驚愕するばかり。

「す、すずはら、ぁ、う、んんっ!だ、めぇっ!ぁ、あぅ!」

 アスカは彼の姿に気付いたものの、動き以前に自分で為している事すら止められずに居る。ヒカリのアナルと陰唇と、自ら慰めている陰核への刺激に堕ちてしまっていた。
 トウジは蹌踉めき、やっとの事で唾を飲み込むが、まるで捕らわれた様に身動きが出来ずに居た。
 何とかしないと、と思いつつも、どうすればいいのか思いつかないばかりか、この臭いと刺激的な情景に反応して、堅起してしまっている。
 アスカは涙目になりながらも、そんなトウジの気配を感じ取ってしまった。
 刹那、浮かび上がるイメージ。

「駄目!駄目よ!っぁああ!」

 イメージが形を変えて現実へと、否、現実が異界へと引き擦り込まれて行く。
 ヒカリの片足を捉えていた触手は、伸びる鞭の様にトウジへと襲い掛かる。ヒカリの開放された脚は、もうそこにあるのが当たり前の様に動かない。
 触手はトウジの首に巻き付き、そして二人の方へと引きずり込む。

「ぐぅあ!がっ!」

 足を踏ん張り抵抗しようとするが、贖えない程に触手の力は強い。そのまま辺りの机を押し退けながらトウジはヒカリの前に引かれる。
 粘液に濡れた白い肌、触手が行き来している隙間から覗く乳房と堅く立った突起、蒸れた臭い、そして聞いた事も無い彼女の悦の声。

「や、ぁぅ、ん、い、いい!ぁぅ、ふっ!んあっ!」

 涙に頬を濡らしながらも、その顔は悦びに満ちていた。口の斜から零れ出ている白濁の粘液が、彼女を余計に淫らに感じさせる。

「ぐ…い、いんちょ…っ…ひ、ヒカリっ!」

 トウジの声に気付いたのか、喘ぎを止めずままに目が見開かれる。

「ん、あ、す、すず、はら!?」

 触手がこれ見よがしに、トウジの首を引っ張りその顔をヒカリに近付けさせた。

「いあ、いぁ、いや、いや!嫌ぁあああああっ!!」

 ヒカリの叫びを聞いて歓んだのか、触手は大きく脈打ちながらその動きを早める。

「みな、みな、ぁあ、みないで!見ないでぇっ!!」
「にげて…ぅあ、す、ずはらぁっ!!んぁ、んっ!にげて!」

 見られているという意識が躰を余計に熱くする。触手の責めが余計に快楽となる。
 躰の方々を這っている触手に自ら躰を擦り付けるかのように、何度も跳ね上がり、悦び、打ち震える。
 その度に絞まるアナルの感覚に、アスカも融けてゆく。
 首を絞められ、僅かな呼吸と朦朧となる意識。
 足元から触手がじわじわと伸びている事など、そんなトウジに感じ取れる訳が無かった。











「ふふ、うふふふ、アハハハハハハ!」

 アスカは嗤う。
 陽も沈み、暗闇に染まり掛けている教室。
 触手の姿は消えている。
 だが粘液を擦り合わせる様な音とヒカリの声はまだ木霊している。
 アスカの目の前ではトウジの上に馬乗りになり、その快楽を貪るヒカリの姿がある。
 トウジもヒカリの脚を押さえ、下から叩き付ける様に腰を動かしている。
 二人にアスカの嗤いなど聞こえてない。

「んふ!あぁ!もっと!ちょうだい!突いて!いい!いいよぅ!」

 幾度目になるか分からない絶頂を迎えても、二人とも動きを止める事は無く続ける。
 意識途切れるまで。


 教室に再び静寂が訪れた時には、既にアスカの姿は消えていた。
























EPISODE:X-RATE Parasite Tentacle Mashroom


























 気が付けばそこに居た。
 暗闇と静寂に包まれた玄関。
 自分が正気なのか狂っているのかさえ分からずまま、ここに辿り着いていた。
 正気に戻るとあの二人の姿がフラッシュバックして狂気に誘い、狂気から正気に戻そうと体は何時もと同じ道を歩かせた。
 誰も居ないミサトの家を足を引き擦りながら入っていく。
 リビングにもキッチンにも誰も居ない。
 だが、嗅ぎ慣れぬ匂いと、キッチンのテーブルの上に並べられているものが目に映り込む。暗くてその形ははっきりしない。
 半ば無意識のままパネルに近寄り、リビングとキッチンの電灯を付けた。
 何時もの夕食とは違う様相。
 アスカは恐る恐るテーブルに近づき、ラップに包まれた料理を見た。
 サラダにチキン、バスケットに入れられたクロワッサン、その横に並べられたチーズとジャム、そして中央にはこぢんまりしたケーキが置いてあった。

“Happy birthday Asuka!”

 中央にチョコレートで描かれた下手な文字。

 崩れ堕ちた。
 腰が落ちていき、床に座り込む。
 忘れていた。
 異変の所為とは言え、自分でも忘れていたこの日。
 全てが手作りであると言う事を、シンクのワークトップの上に置かれた未だ洗われていない調理器達が物語っている。
 力抜けた首が項垂れ、床を見つめる。
 何もかもが抜け落ちてしまった。
 この静寂な空気に吹かれて消えてしまいそうに。否、消え去りたいと願った。
───死にたい

「アスカ!?」

 慌ただしい音と共に、その姿はキッチンに現れた。

「良かったぁ…帰ってたんだね!あんまり遅いから、探しに出ちゃったんだ」

 文字通り手で胸を撫で下ろしながら、床に座りこむアスカにシンジは駆け寄った。

「驚かそうと思ったんだけど、先に見られちゃったみたいだね。……アスカ?」

 床に一粒。さらに一粒。

「…っぅ、ぅぅ…」

 想いは押さえ込めず、一気に湧き出てきた。

「うぁああああああああ!」

 伸ばしてきたシンジの腕を掴み、そこに顔を埋め、初めてと言うくらいに大声を出して泣いた。
 何も考えられず、唯、泣き続ける。

「あ、あすか?」

 シンジは困惑するが、余りにも子供の様に泣いているので、思わずその肩に手を置いた。
 引っ張った訳でも無いのに、そのままアスカはシンジの胸に顔を埋め、泣き続ける。

「うぅ、っく、ううぅ、ぅあああっ!」

 何も言わず、泣き止むまで待った。





 まだしゃっくりを続けながら小さく泣いているアスカをなんとか椅子に座らせる。テーブルには、温もりを誘うかのように湯気を立てているハーブティーが置かれていた。
 その湯気に誘われて、アスカは涙を拭いながらちびちびとお茶を口にした。
 シンジは何時もの通りミサトの席を空けておき、アスカの横に座る。
 余りにも予想外の事に困惑するばかりだ。何かがアスカに起こっているのだろうが、これだけ泣きじゃくられては聞くに聞けない。
 気丈で勝ち気なアスカが自分の誕生日にこれだけ泣く程、酷い事だと言うのは分かる。
 今はこれ以上、嫌な思いをさせるべきでは無いと言う事は理解出来た。
 それでも、こんな彼女に掛ける言葉がなかなか見つからない自分が、歯痒く思う。

「え、えと…お腹、空いて…無いよね?……もう冷めちゃってるし…」

 自分でも溜息を出してしまえる程に情けない言葉。
 だがアスカは大きく首を振って、一言小さく漏らした。

「食べる…」

 アスカは自分で小皿を取り、ケーキナイフを手にして一辺を切り取る。
 途中シンジが「あ」と漏らしたが、気にせず切り取ったケーキを小皿の方に移した。
 そのままフォークに持ち替えて、更にケーキを切り取ろうとするが、シンジの手に止められてしまう。

「これ…」

 シンジはやや強引に、切り取られたケーキに蝋燭を一本だけ立てた。そしてやはり慌ただしくマッチをすると、その先端に火を灯す。
 粒の様に消え去りそうな火は、徐々に膨らみ、僅かながらアスカの顔を照らした。

「誕生日おめでと、アスカ」
「うぇ…ぅっく……ぅあああああ!」

 再び大声を出してアスカは泣き叫ぶ。
 慌てふためくシンジを余所に、蝋燭の炎はゆらゆらと揺れていた。



 時折嗚咽を漏らしながら涙を手で拭い、料理を口に運ぶアスカは小さな子供そのものだった。
 シンジは何とか宥めながらも、甲斐甲斐しくサラダを盛ったり、チキンを選り分けて食べやすくする為に切ったりした。
 世話の焼ける大きな子供だとおもうと、少しばかり笑みが零れてしまう。

「ほんと、子供みたい」
「っさい!」

 涙目で睨みながらも、シンジが盛ったサラダを口に運んでいく。
 シンジの笑みは変わらなかった。

「ほら、頬にクリーム付いてるよ」

 シンジの手が頬に伸ばされ、触れた刹那。
 躰が跳ね上がる。
 二人の動きが止まる。
 ゆっくりとアスカはシンジの方へ向く。
 目と目が合わさる。
 笑っているシンジの顔は徐々に消えていく。
 シンジの指が、僅かに頬を撫でる。
 顔が近付く。
 視界が閉ざされていく。
 指がまた僅かに撫でる。
 吐息を感じる。
 鼻が触れ合う。
 指が頬を撫でる。
 唇が触れる。
 頬が手で包まれる。
 熱い。
 唇が重なる。
 手が頬を。
 舌先。
 重なり。
 繋がる。
 静寂。

 シンジの手に自分の手を重ね、ねだる様に僅かに動かすと、それに応えるかのようにアスカの頬を撫で上げ、指は目尻と耳元をさすって行く。そしてほんの少し顎を上げさせられると、唇の繋がりがより一層深くなった。
 お互い恐る恐る触れ合うだけだった舌先は、その時から触れ合いを一気に深め、口の中で熱く包容し合う。
 唇を歯を舌を、お互いを染め合い、そしてまた抱く。

「ん…」

 口の端から滴が零れる。それでもより深く繋がりたいと、アスカはシンジの背に手を回して引き寄せる。シンジも応えるようにゆっくりと首を傾けながら深い繋がりを求めた。
───融ける…。
 熱く、切なく、火照り、触れ合い、染められ、満ちる。
 もう出し切ったと思った涙が、シンジの手を濡らしていった。
 そして、どちらからとも無く、ゆっくりと僅かに離れる。

「アスカ…」
「……シンジ、あぃがと…」

 上手く呂律が回らない。
 シンジは気にする事無く、もう一度啄むように唇を合わせた。
 このまま、この頬の温もりをずっと感じて居られたらどんなに幸せな事だろうと思いつつ、この幸せが近くにあったのに今迄気付かなかった自分の愚かしさを呪った。
 そのまま引き寄せられるかのように、シンジの肩に顔を埋めていく。
───このまま、いっそ…。


 現実と異界は、突然入れ替わる。


 テーブルが耳を突き刺す音を立てて倒れた。
 アスカはシンジを突き放すと同時に、テーブルを倒しながら自らも椅子の上からシンジとは反対に転げ落ちる。
 痛みを感じるよりも先に、リビングの方へ逃げようとするが、躰が急激に重くなったかのように鈍くなり立ち上がれない。それでも何とか這う様にしながらシンジから離れようとした。

「アスカ!?どうしたの!?」

 困惑するシンジの叫びは心を締め付けた。そして同時にフラッシュバックが蘇る。

「駄目!来ないで!お願いだから!来ないでっ!!」

 枯れる程に声を上げで叫ぶ。
 その甲斐あってか、声にたじろいたシンジはそこで止まった。
 アスカは腹の部分を強く握りしめながら、窓の方へと向かう。躰の隅々まではち切れんばかりの力を入れて、あれを出させないようにしながら這い蹲る。
───シンジを襲うくらいなら、いっそ!
 窓の外が果てしなく遠く思える。
 脂汗が全身から吹き出る。渾身を込めた力が抜けそうになるのを必死で堪える。
 床に爪を立ててそれを引き寄せる。
 もう少しで。

「アスカ!?」
「来ないでえええええぇぇぇっ!!」

 刹那
 力が緩んだ。
 そして時が止まる。
 あと僅かでアスカに触れようとしていたシンジの目の前に、醜悪な姿を晒したそれはあった。
 ゆらゆらと揺れているそれは、シンジを値踏みするかのように見渡し、その体をゆっくりとシンジの首筋に這わせて、再び首先を彼の目の前に向けた。
 縦に割れた鈴口からは涎の様な粘液を一滴垂らす。
 唖然とするシンジにそれは、にたりと嗤った。

「ぃゃ……ぁ…………っ!」

 アスカの掠れた叫びが時を戻す。
 同時、幾本もの触手が袖や裾、襟から俊敏に入り込み強引に服を破っていく。ボタンは弾けシャツの布は四散し、ベルトは千切れ、スラックスは引き擦り落とされた。

「な……ぁ……!?」

 シンジの顔に首先を向けた触手は、何も反応出来ずにいるシンジをケタケタと嗤う様に震えている。涎を垂らしながら、目の前でゆらゆらとしながら。

「シンジ!ごめん!ごめんね!ごめんね!ごめんねっ!!」

 更に触手が伸び、シンジの手足を縛り上げた。
 アスカのスカートが捲れ上がり、白い尻とそこから伸びる艶やかな脚が晒け出された。
 艶やかな尻肉の間から、触手がうねりをあげながら伸びているのを、シンジにまざまざと見せつけるように。

「こんなだから!こんなになっちゃったから!もう!もう……もぅ……」

 言葉は嗚咽になって消えていく。

「あす…か…」
「アタシがシンジを欲しいと思わなければ、アタシがシンジにキスしなければ、アタシが帰ってこなければ、アタシがあの時妬んだりしなければ、あの時意地を張らなければ、あの時…、あの時……」

 シンジは力無くゆっくりと膝を突く。何かが抜けていく様な感じ。
 手首と足首に巻き付いた触手が締め上げてるにも関わらず、その痛みは薄れていく。
 目の前の泣き咽ぶアスカの姿、ただそれだけが目に映っていた。
 数本の触手がシンジの太股を撫であげ、胸元を舐め、腕に絡んでくるが何も感じない。
 吹き出ている粘液も体に塗れていき熱に包まれるが、ただアスカの姿を見ていた。
 だが、どうする事も出来ない。
 手足だけでなく体中を固められ、今ではアスカに触れる事さえ出来ない。
 敗北感の様な虚しさに包まれた。
 アスカの嗚咽は徐々に小さくなり、再び部屋が静寂となる。
 滴を擦り合わせるようなぴちゃぴちゃという音だけが、耳を撫でていく。
 暫くして、アスカはゆっくりと身を持ち上げた。
 荒くなっていた息を整えて、髪留めを外して投げ捨てる。そして重々しい動作でネクタイを外し、ボタンを外し、シャツを脱ぎ捨てる。
 普段からそうしているように、ブラのホックを外してそれも投げ捨て、ゆっくりと立ち上がり、スカートのファスナーを降ろしきると、そこから一気に切り裂いた。
 単なる一枚の布と化したそれを床に落とすと、全裸のアスカがそこに居る。
 細い腕、思ったよりも華奢な肩、くっきりと浮き出ている鎖骨、形良く上向いている胸、綺麗な曲線を描く腰のくびれ。淡く茂った陰毛は、すぐに手に隠されてしまう。
 脚は震えている。
 その脚を引き擦るようにして交互に前に出し、シンジの方へと近付いてきた。
───綺麗、だ
 僅かな淫靡さも携えているが、それよりもその整った体は本当に美しかった。
 輝くばかりのきめ細かい白い肌に呑み込まれそうになる。
 アスカはシンジの目の前で揺れている触手を柔らかく掴むと、自分の首に巻き付けるように誘った。触手は素直にアスカの脇を通り首を一巻きし、首先を頬に撫でつける。
 そしてそのまま触手から手を離し、粘液に塗れた手をシンジの頬に充てた。
 前を隠していたもう一方の手を離し、同じく頬に手を添えて見上げさせた。
 頬を涙で濡らしながら、震える声でシンジに訪ねる。

「見て…アタシの躰…ヘンでしょ?」
「……」
「醜いでしょ?」

 シンジは手を上げて、自分の頬に添えられたアスカのそれに重ねた。触手は絡まったままだが、何故か抵抗は無かった。

「綺麗…だよ。とても……」
「バカ……ばかしんじ……」

 崩れる様に膝が落ち、シンジの目と合わさる。
 頬に手を添えたまま、自分から顔を寄せていきシンジの鼻に自分のを触れさせた。

「ごめんね。しんじ、ごめんぇ…」
「アスカ……」
「抱いて…壊れる程に……。いっぱいだいて…」

 唇を重ねる。
 触手はアスカの頬を撫で、シンジの頬を撫で、再びシンジの首を巻き、二人を繋げる。

「あなたに、狂わせて」

 手足を縛っていた触手は離れ、二人を囲み渦巻いていく。

「アスカ…」
「すき…」




 脈打つ触手は、二人を世界に閉じこめた。
 熱く融ける情欲の中に。
 




















「ただいま……ぁ…?」

 妙だ、と気付くのは遅かったかもしれない。
 外からも窓の明かりは確認したし、玄関には二人の靴が並べてあった。遅くなった言い訳も考えていたのに、その理由は必要無くなる。
 ミサトはプレゼントとボトルを脇に抱え直し、念のために銃を背中に差し直した。
 重く澱んだ空気と漂う生臭さ。
 何よりも二人の気配がせず、騒がしい二人の声すらしない。
 玄関先から一歩踏み入れて、床に異変を感じた。
 そこはカーペットを敷いてない床の筈だが、感触が柔らかい。顎を引きながら床を見ると、苔の様なものが床一面に広がっていた。
───な、何よコレ?
 見渡すと床だけでなく壁の一部も斑になっていた。
 何がどうなっているのか把握出来ないが、もし二人が中に居たままなら危険だと言うのは直感する。
 足を取られないよう、音を立てないように壁を背にして、ゆっくりキッチンとリビングの方へと歩みを進める。
 床の苔が、ミサトに踏まれる度にぐしゅぐしゅと微かな音を立てる。
 壁の切れ目まで進むと、そこで一呼吸置く。
 気配を掴もうとするが今一つ掴みきれない。
 息を止めて、一気に躍り出た。

「…………な………に?」

 声が掠れる。
 暴れた後の様なキッチン、そしてリビングも辺り一面黒い苔で敷き詰められている。所々疣の様に、これも無数に茸が生えていた。
 茎が太く切っ先が丸まっている、まるで男性器のそれの様な形。
 そして何よりも、リビングの中央には巨大な球体が蠢いていた。
 幾多もの太い触手が脈打ちながら球体を取り囲んでいる。否、それが球体を形作っている。
 黒ずんだ半透明のその中に、人影らしきものが折り重なるように二つ在る。
 恐る恐る近付き、ミサトは目を見開いた。

「……し、シンジ君…?アスカ!?」

 床落ちていくシャンパンボトル。
 そして割れた。
 脱力して腰を落としたミサトの足下には茸の群。
 そしてその背後に、1本の触手が音も無く鎌首を上げる。




 鈴口から滴が一滴。


 ニタリ。

































後書

Writin' by Kanna Touru