コンテスト


Original text:FOXさん


 少女たちは見つめ合っていた。
 ステージの両端に設置された黒檀の椅子に背筋をぴんと伸ばして腰掛け、スポットライトに照らされて。
 憧憬と賞賛に満ちた視線を浴びながら。

 ステージ中央には垂れ幕が下がっている。
 それにはこう書かれている。
 「第三新東京市美少女コンテスト地区予選」と。

 「……さて、最終予選でも決着がつかず、結局追加審査ステージまで残ったお二人は、奇しくも同じ中学校の同じクラスとお聞きしたのですが」
 お互いに似たところはほとんど無いが、しかしたぐいまれな魅力の所有者という共通点を持つふたりは緊張したままうなずく。
 「普段学校ではお互いをどう呼んでいますか?」にっこりと微笑む司会の女性。
 「わ、わたしは……」プラチナブロンドの少女の言葉は不自然にとぎれる。何かためらっているようだった。しかし、震える声で少女は質問に答えた。
 「か、彼女を『あ、貴女』って……。」
 「ああっ!」紅茶色の髪をした少女が椅子の上でぐらりと揺れた。
 「どうしたの?」慌てる司会者に少女はこわばった笑みを浮かべる。
 「ご、ごめんなさい。何でもないの。あの、アタシは、アタシは……」不自然に語尾をふるわせて紅茶色の髪をした少女は答えた。「れ、レイって、レイって呼んでるわ」
 「んんんーっ」今度はアルビノの美少女が躰をこわばらせた。
 「あ、あの?大丈夫?」司会者の声にレイは頬を染めたままなんども黙ってうなずいた。
 「そうなんですか……。と、とにかくなんだかイメージ通りですのね。フレンドリーなアスカさんに、きまじめなレイさんって感じかしら」観客席から漏れる同意の声。にっこりとうなずく司会者。
 「綾波レイさん、惣流・アスカ・ラングレーさん」司会者は親近感にあふれた口調で続ける。ふたりの少女はフルネームで呼ばれるとなぜか身体をこわばらせた。「お二人ともやっぱり緊張しているみたいですね。だけど観客全員とネットによる投票まであと三〇分、しっかりアピールしないとライバルに後れを取ってしまいますよ」
 少女たちは硬い表情でうなずく。
 「ほらほら、リラックスして」
 美少女たちは苦労して笑みを浮かべ、タレント出身の司会者はアスカとレイのその様子ににより親近感を抱くことになる。
 しかし彼女は気づかない。もちろん観客達も気づかない。

 アスカが内腿をこすり合わせながら拳をぎゅっと握りしめていることを。
 レイが腰をもじもじさせながら、ときどきぶるっと躰を震わせていることを。
 少女たちが全身を汗で濡らしてしまっていることを。

 甘美で残酷なまでに鮮烈な快楽と戦っていることを。

 しかし、ふたりには分かってしまった。

 ……アスカ……あなたも……貴女も「されて」しまったのね。

 ……レイ、レイ、アンタも同じなの?こんなに惨めで気持ちのいいコト、されてるの?

 少女たちは見つめ合っていた。
 ステージの両端に設置された黒檀の椅子に背筋をぴんと伸ばして腰掛け、スポットライトに照らされて。
 頬を染め、瞳を揺らして。
 快楽による絶頂の余韻に痙攣しながら。



◆ ◆ ◆



 「……なんだってアンタがこんなコンテストに出るわけ?レイ、アンタそういうキャラじゃないでしょ?」
 「……ユイおばさまがわたしに知らない間に応募していたの。そうしたら一次審査に合格したって葉書が」
 ここはコンテストの控え室。
 あまたの(自称も含む)美少女たちの中に見知った顔を見つけてつかつかとアスカが歩み寄っての台詞だった。紅茶色の髪をしたヨーロッパの血を引く美少女の唐突なまでの質問にレイは秘かに動揺した。
 しかし、動揺していたのは人形のような清楚な美を発散しているアルビノ少女だけではない。
 「あ、あ、あ……あらぁ、き、奇遇ねぇ。アタシもそうなの」アスカの声は少し裏返っていた。「ママがね、冗談半分で応募したら……」
 「……貴女が相田君に写真をいっぱい撮らせていたの、わたし、知っているわ」
 「ア、アンタだって」アスカはついに決意する。こうなったら全面戦争よ。「アンタだってここ数日、郵便配達のバイクの音がするたびに郵便受けの前へ走っていくってシンジが不思議がってたわよ。レイ、アンタホントに『知らないあいだに応募』されてのかなぁ?」
 綾波レイがそっぽを向く。アスカは内心で快哉を叫んだ。
 しかし同時にアスカは自身の「野望」にかげりが見えたことを知る。
 ……コンテスト受賞でこの無愛想女に大差を付けて、そしてアイツにその……つもりだったのに。
 まさかこのコまで出場してくるなんて予想外もいいところ。
 いったいどういうつもりなのかしら。
 紅茶色の髪を振ってから少女は小さくため息をついた。



◆ ◆ ◆



 やはりと言うべきか、当然と言うべきか、レイとアスカは順調に予選を勝ち進んでいく。

 自己紹介に審査員の出すいささか意地の悪い質問へのコメント。
 勝ち気だが決して傲慢ではないアスカの輝きに満ちた受け答え。日本人離れしたすらりとしたプロポーションと愛らしいエキゾチックな美貌。
 一種冷淡ではあるが、高貴さすら感じさせるレイの言葉。白磁の肌に現実離れしたプラチナブロンドと紅の瞳は異界の姫君のようでもあった。

 制服をショートパンツとタンクトップに着替えての審査。
 バスケットボールを受け取ると軽やかにダイナミックに舞台上をドリブルで駆けめぐり、健康的な太股を惜しげもなく披露して豪快にシュートを決めたアスカに観客席は沸きに沸いた。
 アスカにとってさらに喜ばしかったのは、そのはずんだボールを拾おうとしたレイが案の定しくじって、まともに顔でボールを受ける羽目になったことだった。
 しかしその「運動オンチの冷血娘」が少し赤くなった鼻をこすってぐすんとやると、なぜか観客席が妙に沸いてしまったのは予想外だったが。

 そして水着審査。
 全員同じデザインの、どちらかと言えば地味で控えめなセパレートの水着でも、純粋な日本人ではまず得られないすらりとした脚のアスカが身につけると観客の視線は釘付けになった。
 さらに無邪気な笑みとちょっと大胆なポーズに客席からは拍手が巻き起こる。
 もちろんレイも負けてはいない。
 ガラスのように透明な肌とブルーの生地のコントラストと、華奢ながらも女としての膨らみが自己主張をしはじめているアンバランスであやうささえ感じさせる美。
 ポーズを取るよう請われると、はにかみながらすらりとした脚を持ち上げてバレエのポーズを披露した。完璧なアラベスクにどよめきをあげる観客席。
 彼女もまた、人々を魅了してやまないのだった。

 最後は再び制服に戻っての「自己アピール」
 チェロ奏者でもある幼馴染みの少年を脅しすかして泣き落とし、さらに猫なで声で拝み倒して一緒に行った「特訓」の成果で、なんとか無難に弾き終えたバッフェルベルへの拍手。アスカは勝利を確信しつつ優雅にお辞儀をしてみせる。
 もちろんレイも負けてはいなかった。少女が澄みきった声でワーズワースの朗読をはじめると客席はしん、と静まりかえり、少女がそれを終えると数秒の沈黙ののちに会場は拍手であふれたのだった。


 アスカの不安は的中した。
 数多くの予選通過者たちに大差を付けて最終審査に残ったのは、アスカただひとりではなかったのだ。
 審査員達は観客投票による「追加審査」が必要と認めざるを得なかった。
 綾波レイと惣流・アスカ・ラングレーは完璧に同票であったのだ。



◆ ◆ ◆



 「レイ。ったくアンタってコは性格悪いわね」
 休憩が宣言され、幕が下りた最終予選ステージで惣流・アスカ・ラングレーは相手を小声でののしった。
 「いつバレエなんて習い始めたの?『三年間』ですって?アンタいつ教室に通ってるの?」
 「貴女が知るわけないわ。だって……通信教育……だもの」
 「つ、通信教育ぅ?」
 「そうよ……なにか問題?」
 「そ、そそそそれは、習っているとはいわないじゃない!」アスカは絶句する。「なーにがレッスンよ。虚偽申告だわ!」
 「嘘じゃないわ。全くの嘘じゃ……ない」
 「このコ……ったく手段を選ばないわね」
 「わたしは全力を尽くしているだけ」ぷいとレイは横を向いた。だが「貴女なんかに……まけたくないから」と小さくつぶやいたのがアスカの耳にも届き、勝ち気な少女はさらにかちんと来た。
 「はっきり言わせてもらうわ。さっきから見てて思ったんだけど、アンタってなんていうか、あざとすぎるのよ。クールなふりをして媚び媚び!ってもうっ!気がつかないとでも思ったの?」
 「それは負け惜しみ?」
 「ちがうわよ!」声を潜めたままアスカは器用に美しいライバルを怒鳴りつけた。「勝負はまだついてないわ。追加審査で自己アピールをもう一回して、それから投票があるのよ。アタシがステージ正面に出て来るたびに観客席はもう大騒ぎだったことからも……アンタの負けは確実ね」
 レイは表情を硬くした。認めたくはないもののアスカへの観客の熱狂ぶりは気になっていたのだ。
 ……たしかに貴女はわたしと違って華やか……いえ、目立ちすぎるわ。クラスでも人気が……ううん、クラスを引きずり回してるだけ。きっとそう。
 わたし、負けない。こんなガサツな女なんかに負けないわ。彼女に打ち勝って、彼に、碇くんに振り向いてもらうの。わたしの魅力に気づいてもらうの。わたしだけを見つめてもらって……。
 「ねぇ、ちょっとアンタ、人の話聞いてるの?」
 レイはアスカとのやりとりの最中にぎゅっと拳を握りしめ、あさっての方角へ紅の瞳を揺らしながらなにやら怪しげな妄想に溺れつつあった。
 「ねぇったら。アンタ、突然にやにや笑い出すのやめてよ。こら、おーい」
 他の人間から見れば無表情にしか見えないアルビノ少女の感情の変化を理解できるほどなのだから、アスカは自分が思っている以上にレイと親しいのだろう。
 「あの、惣流さん、綾波さん」
 そのふたりの背後から控えめに声がかけられる。主催者の使いだった。
 「お二人を控え室にご案内します。観客投票の準備まで二時間ほどかかりますので」



◆ ◆ ◆



 レイはそっと室内を見回した。
 アスカと同室だとばかり思ったのに、少女たちはそれぞれ別室に案内されたのだった。
 レイはポーチから取りだした眼鏡(これをかけている姿をレイはアスカに決してみられないようにしていた。どんな風にからかわれるか分かったものではないからだ)をかけて室内を見渡す。
 太い梁に取り付けられた暖かな光を放つランプに照らされた大きな部屋には、天井まで届く鏡に化粧台。清潔な印象を与える壁紙が輝く室内には洗面台に、少女が横になっても余るほどの長椅子まであった。
 ……きっと女優さんやタレントのひとが付き人やスタイリストと一緒に入るんだわ。台本を読んだり、役作りのためのイメージングをしたり……。
 彼女はうっすらと頬を染めて夢想する。
 ……わたしも、そんな風になれたら……いいえ、なるの。
 ……そんなわたしに、「彼」が花束を持って訪ねてくれるの。優しい笑顔を浮かべながら……。
 だから気がつかない。
 鍵を閉めたはずのドアが音もなく開いたことを。



◆ ◆ ◆



 「広い!綺麗!絨毯はふかふか!んでもって……」アスカは控え室につながるドアを開けた。「シャワーまで!」
 少女は首を振りながらソファーに身体を投げ出した。よく効くスプリングは彼女の華奢な身体をなんども弾ませせる。
 「ちょっとしたマンションくらいの広さじゃない?すごい!」
 ぎゅっと制服の身体を抱きしめて、アスカはこのような控え室を使うようになる自分の姿を夢想する。
 ……たとえばコンサートとか、それともお芝居かな?控え室がプレゼントの花束でいっぱいになって、スタイリストさんにメイクしてもらって……。
 彼女は口元が笑みの形になるのを止められない。
 ……そうだ、芸名は……本名のままってわけにはいかないよね。
 ……でも「アスカ」の名前は残したいな。
 しかし、桜色の唇に浮かべた笑みは凍り付く。
 誰もいないはずだった控え室の鏡にサングラスにスーツ姿の男性が四人、映っていたからだった。

 「だれッ!」振り返ると俊敏にアスカはソファーから立ち上がる。彼女の動作には遅滞はなかった。壁を背にしたまま扉へと走り出そうとする。
 男の一人がその前に立ちふさがった。
 躊躇せずに拳を突き出した。サングラスが吹き飛ぶ。
 だが、そこまでだった。一四歳の美少女は絨毯に崩れ落ちた。
 「なかなか気丈なお嬢さんだ」身体を痙攣させている美少女を眺めながら、男はスタンガンをポケットに収めた。
 「かはっ……く……ッ……」アスカはなんとか立ち上がろうとするが、指一本動かすことはできない。
 「さて、手早く済ませてしまうか」男の一人がつぶやき、他の男に声をかける。「要望はあったっけ?」
 「ああ」ビデオカメラを取り出した男は淡々と応えた。「『顔が見えるようにしてほしい』と」
 「なるほどね。ほら!」
 「あ……あぁ……」軽々と男の膝に乗せられるアスカ。しかしまったく抵抗できない。麻痺した肢体は人形のように男たちの卑劣な意志のままのポーズを強いられてしまう。
 「アスカちゃん。ほーら、カメラの方を見ようねぇ」別の男が乱暴に彼女のおとがいを掴んでカメラと正対させた。
 そして、惣流・アスカ・ラングレーは乙女の尊厳をレンズの前で踏みにじられた。
 背後から回った男の手が少女の膝裏に伸び、アスカは幼女を放尿させるような姿勢を取らされてしまう。
 「ほぉ、惣流クンはブルーのストライプのパンツか」カメラを覗いていた男がつぶやいた。「もう少しお洒落なものをお好みだと思っていたが」
 卑猥にさらけ出されたスカートの奥と、屈辱にゆがむ表情を同時に撮影されてしまったアスカはなんとかカメラの視線から逃れようとする。しかし、彼女は姿勢を変えることも、表情を伏せることさえ許されないのだった。
 「おや、惣流クンのパンツから『おひげ』がちょろちょろ覗いてるぞ」モーター音とともにレンズが繰り出された。
 「い……やぁ、やだ……ぁ」
 「どれどれ?」もう一人の男が無抵抗の少女のショーツをずらし、誰にも見せたことのない聖域を好奇の視線にさらしてしまう。
 「惣流クンはアンダーヘアーも栗色なんだな。しかしふわふわしたモノを元気いっぱいに生やしてるじゃないか」
 「い……やぁ、やだ……ぁ。さわらないで……」
 「まったく。デルタゾーンはお手入れしてあるけれど、けっこう密度があるようだ」
 「お……ねが……ひぃ……。ゆ……る……してぇ」
 「アソコのほうもぐるっと元気に生えてるな」
 「い……やぁ。い……やぁ……もう、も……う」
 「おお、色が薄くて細いから見えにくいが、お尻の穴のあたりまで」
 「白人の血っていうのはこういうところに出るんだなぁ」
 惣流・アスカ・ラングレーが気丈な少女でいられたのもここまでだった。プライドを突き崩された少女は濃蒼の瞳からぽろぽろと涙をこぼしてしまう。しかし、黒ずくめの男たちによる責めは終わるはずなどない。
 「さて、生え具合の後は『膜』の確認か」
 ナイフが無造作に取り出されると鋭利な刃がアスカの下着を切り落とし、三人目の男が開脚された少女の秘裂へ無造作に指を伸ばす。
 「ほら、ちゃんと撮れよ」
 カメラが下を向き、ズームレンズが繰り出された。
 「……ああ……ゆるして……やだぁ……こんなの……」
 「これだけおっぴろげていてもぴったり閉じて縦スジ状態だな」
 「待ってろ、見えるようにするから」
 いや、いや、いや、こんなの、こんなのいや!
 異性に触れられたことなど無かった少女の花弁が大きく拡げられ、その中を無機質なガラスの瞳に観察された。
 「あるある。ヒダのすぐうしろにビラビラが」
 「偉いぞ。アスカ」彼女を抱きかかえている男がささやいた。「ちゃんとバージン守ってたんだな。最近のガキは好奇心旺盛だから、どこかのオトコに開通されたんじゃないかと心配してたんだ」
 ……こんなことなら、こんなことになるのなら!
 彼女は涙をこぼしながら胸の内で慟哭する。
 ……こんな奴らに奪われるのなら、アイツに、アイツにあげておくんだった。アイツに告白していれば……。
 「おい、この表情も撮っておけよ。絶望しきった美少女ってのは相当そそられるからな」
 「りょうかーい」
 「たすけて……ゆるして……」
 「じゃぁ始めますか」
 その声を合図に、アスカの背後にいた男が彼女のうなじに舌を這わせ始め、もう一人の男が剥き出しにされた少女の花弁へ顔を近づける。
 ぴちゃぴちゃと、くちゃくちゃと卑猥な音とともに貪欲に少女は舐め回される。
 嫌悪のあまり顔を伏せると頬を舐められ、耳孔をしゃぶられてしまった。
 下半身も同様だった。ほとんど日焼けしていない内腿にキスマークが付けられ、まだ未発達の花弁を左右交互にちろちろと舌が這う。さらに排泄のためのすぼまりの、その皺をひとつひとつ数えられながら舐められた。
 その間、濃すぎるのではないかと秘かにコンプレックスを抱いていた飾り毛をさわさわと撫でられ、さらに舌でねぶられていたのだった。
 「おっ、いい貌になってきたぞ」カメラを構えていた男がにやりと笑う。「気持ちよくて我慢できません。ってなエロい顔だぜ」
 「……ち、違うもん、そんなことな……んんんむぅぅっ!」
 反論しようとした桜色の唇を蹂躙された。歯を食いしばって男の舌の侵入を拒むことはできなかった。太股を撫でられながら一部だけがひっそりと顔をのぞかせているクリトリスを舌でつつかれると、どう我慢しようとしても吐息が漏れ、濡れた唇を半開きにしてしまうのだから。
 なんとか逃れようとしても舌を絡めあうキスを強制される。
 嫌悪のあまり泣きじゃくりながらも、ヤニ臭い唾液を嚥下させられてしまう。
 そのあいだもアスカの花心への責めはやむことはなかった。
 「濡れてきた濡れてきた」ビデオの男の声に励まされてか、アスカを責めたてる舌の動きがさらに激しく巧妙になった。
 「む……んんんっ……あはぁ……」表情をゆがませつつも、惣流・アスカ・ラングレーは強制的に発情させられていた。
 「どうだ?だいぶほぐれてきただか?」
 「ああ、いい感じになってきた」アスカの下半身を味わっていた男が顔を上げる。
 ……だめ、だめ!レイプされる!男たちに乱暴されて、バージンを奪われてしまう!
 すすり泣く少女を見上げていた男は皮肉な笑みを浮かべつつ、スーツの内懐からケースを取り出して開いた。
 その中にあるのは奇妙なスティックだった。
 ステンレスの本体に黄色がかった緑色のアンプルが接合され、その先端一〇センチは太さ五ミリほどのシリコン製となっていた。
 「なんだと思う?」アスカの耳元で男はささやく。「コレはキミを別の『モノ』にするんだ」
 少女は声も出せず、まるで科学者のような手つきで扱われる器具を恐怖のまなざしで見つめているだけだった。
 「ここで犯されると思っただろ?」男の声は続いていた。「でも、そうじゃない。むしろ……」思わせぶりに言葉を切る。「そうなっていたほうがよかったと思うだろうな」
 少女の腰が持ち上げられ、位置と角度が慎重に合わせられた。恐怖と快楽で飽和させられてしまったアスカはもう身動きすらできない。
 「よしよしよし、じっとしてるんだよ。痛くないからねー。タンポンと同じでじっとしていればマクが破れてバージンなくしたりしないからね……」つぶやきながら、男は細いシリコン管を少女の秘所へそっと挿入していく。
 「ああ、ああ、ああ……ゆるして……こわいよ、こわいよぉ……」
 惣流・アスカ・ラングレーはもはや、涙を流すことしかできない。



◆ ◆ ◆



 「どうだ?ちょっとは反省したか?」
 細いすすり泣きがその答えだった。しかし、「彼ら」は納得しない。
 瑞々しい肌を打擲する音が三回立て続けに響いた。
 「まだ反省しないつもりかい?」
 「んんんッ!むぅぅぅぅッ」
 言語とは呼べない苦鳴が室内に響く。どっとわき起こる哄笑。
 「ああ、そうだったな。声が出ないんだったな」くすくすと男は笑った。
 「んむむぅっ!うううん」
 彼女はなんどもなんどもうなずいた。プラチナブロンドの髪が踊るほどに。
 「最初っからそれくらい素直になればいいのに。つまらない意地を張るからこんな目に遭うんだぜ」
 「そうそう。涎ばかりか鼻水まで垂れ流して、コンテスト最終予選通過者がこんなブサイクな面にならずにすんだのに」
 「んんっ……ううぁ……」
 「じゃあ、外してやるから、ちゃんとお詫びするんだぞ」
 「んっんっんっ……ぷはぁ」柔らかな唇を割っていた黒いギャグが外され、細い嗚咽が漏れだした。
 「おら、ちゃんとお詫びしないか」
 紅く腫れ、まだ硬い臀部をぴしゃぴしゃとはたかれる。
 その下半身はスカートを巻き上げられて剥き出しであるばかりか、すらりとした右脚を高々と持ち上げさせられて、乙女の部分も排泄のための小さな孔も隠すことができない。
 その哀れな犠牲者は華奢な両手首と、ショーツの絡まった細い右足首をまとめてロープで縛られ、天井の梁から吊されていたのだった。
 だから彼女は乱暴な男たちの掌から逃れられない。
 侵入者の掌で打擲されたり、太いごつごつした指でまだ無毛の秘所を弄られるたびに、爪先立ちにされた左脚でなんとかバランスを取っていた美少女は泣きながら屈辱的な舞を披露させられてしまう。
 「おい、お詫びしないのか?」
 くりっとしたお尻に無骨な掌が叩きつけられた。
 「赦して……お願ぃ……お願い……だからぁ!」少女はめったに上げたことのない声で泣き叫ぶ。そして唇を震わせて「……ごめんなさ……い。もう、もう逆らいません。言うことをききます……言うとおりにします……もう、もう虐めないで、痛いこと、痛いことしないで……お願いだから……ひくっ……うぅっ……」と泣きながら乞い願ってしまったのだ。
 これ以上の恐怖と苦痛から逃れるために、アルビノの美少女は卑劣漢たちに涙をこぼしながら謝罪の言葉を述べてしまったのだ。
 そう、理不尽な性的暴力にさらされていたのは惣流・アスカ・ラングレーだけではなかった。
 綾波レイにもまた、陵辱者たちの魔手が伸びていたのだった。
 「よしよし。やっと素直になれたねぇ」
 紅の瞳に涙を浮かべ、ゆっくりとうなずく。
 「じゃぁ、従順な女の子になれたか確認してあげよう」少女の表情を観察しつつ男は言った。
 「あ、あああ……かはぁぁぁっ!」泣きじゃくりつつも、もう彼女は抵抗しようとしなかった。
 「いい娘だ。とてもいい娘だね」男はレイのちっぽけな肉芽をこりこりと弄びながら微笑む。
 「お、おおおおお……ああううぅッ」
 レイの美貌が苦痛にゆがむ。背後から迫った男が人差し指をゆっくりと菊門へねじ込んだのだった。
 「ほーら、我慢するんだよ。素直になると誓ったのなら。でも、暴れても構わないぜ。こっちはもっとお仕置きしたくてうずうずしているんだからな」
 こめかみに乾いた血がこびりついたままの男が歪んだ笑みを浮かべつつ、ゆっくりと指を動かしてアナルをいたぶる。
 「く、くううううぅん……ゆ、ゆるしてぇ……ッ」
 「おやおや、粘っこいお汁がどんどん出てきたぜ」
 少女の下半身をのぞき上げるようなアングルでカメラを覗いていた男が揶揄する。
 しかしもう、綾波レイはそれを否定できない。
 恐怖と苦痛と屈辱と、そして初めて与えられた快楽で我を忘れさせられてしまった彼女には。


 綾波レイの抵抗ぶりは惣流・アスカ・ラングレーのそれよりも激しく、徹底していた。
 化粧台の前で少女らしい夢想に浸っていたレイは、細い肩を掴まれたとたん我に返った。
 誰何もせず足下の椅子を転がし、背後の男の脛にぶつけた。
 悲鳴を上げて男が後じさったところへ、まったく逡巡することなく椅子を叩きつける。破片とともに黒ずくめの男は絨毯に突っ伏した。
 少女は走る。
 ドアへではなく、火災報知器へと。
 ボタンを押す。
 なにも起こらない。
 「……!!!」
 なんども押した。
 しかし、警報は鳴らなかった。
 いつの間にか、彼女の頬を涙が伝っていた。それでもボタンを押し続けている少女の両肩ががっしりと掴まれる。
 「残念だったね」穏やかで恫喝の色彩を含んだ声だった。「キミを助けに来るものはいないよ。綾波レイ君」
 「そんな…たすけ……て」
 つぶやく少女のつややかな唇に黒いゴム製のギャグが噛まされ、両手首にロープが巻かれた。ぐいと引かれてよろけてしまう。眼鏡が飛び、だれかが踏みつけてそれは粉々に砕けた。
 「このガキ、『処置』の前にきっちり躾てやるからな」
 レイに打ち倒された男が唇を歪めて言った。
 「まったく構わない。『無垢な綾波レイがマゾに開眼する様子を撮るように』とのことだしね」ビデオカメラを取り出した男が哄笑する。
 控え室の中央に引きずられていくあいだ、抵抗の意志も示せずに、人形のように従順に綾波レイはぽろぽろと涙をこぼしていた。
 小柄な躯が梁を通したロープにつながれ、苦鳴とともに爪先立ちになった。
 問答無用の打擲がスカートに守られているお尻に浴びせかけられた。
 「むぅっぅッ!んんん!んんんッ!」泣き叫ぶレイ。
 十数回のスパンキングが終わると背後の男がしゃがみ込む。すべらかな太股を手が這い下着に指がかかっても、彼女はもう抵抗せずにか細い声を上げるだけだ。
 可愛らしいレースのフリルで飾られたショーツがするりと引き下ろされ、ぞんざいに剥ぎ取られた。男たちの手から手へまだぬくもりを帯びたそれは回され、デザインと汚れについて論評されてしまうと、レイは肩を震わせて泣きじゃくった。
 スカートを持ち上げられ、カメラの前で若草すら生えていない秘部を晒されたときには、少女はもはや絶望してしまっていた。
 「んんぅぅ……むううぅっ!」
 下腹部を撫で回していた指がゆっくりと降りてゆき、細い足首を掴んで強引に持ち上げる。
 反抗すらできなかった。その兆しを見せただけで、レイのぷっくりとしたお尻に男たちの掌が叩きつけられたのだから。
 だからレイは男たちの望みの通りに屈辱的なポーズを取ってしまう。
 すらりとした脚を高く上げ、隠しておかねばならない場所を好奇の視線に晒すポーズを。
 さらに黒いソックスをはいたままの足首に「アクセント」として彼女の白下着を絡ませられ、手首と一緒に拘束された。
 「よし、いい格好だ」
 少女はすすり泣くことしかできない。
 めったにしないおねだりを養母ユイにしてまで自室に付けてもらった大きな鏡の前、そこで秘かに練習したのは、こんな卑猥で屈辱的なポーズを完成させるためではないのに。
 絶対にそんなはずではなかったのに……。
 綾波レイはビデオカメラの前で、彼女自身が決して望まないポーズを取らされてしまっているのだ。
 「じゃぁ、始めますか」
 その言葉にレイは恐怖する。
 ……まだ、まだ、始まってもいないの?
 ……これから、どんなことをこの人達はわたしにするつもりなの?
 恐怖に震える紅の瞳を、レンズはじっと眺めていた。
 そして、男たちは綾波レイを指と掌と、舌とそして言葉でいたぶり、貶めてゆくのだ。
 絹のようななめらかな脚を撫で回され、まだ制服に護られている胸の膨らみをやわやわと揉み込まれ、「ケも生えていないのにけっこうあるじゃないか」とささやかれて涙してしまう。
 サーモンピンクの幼裂に男が口付けたときには気が遠くなった。熱くぬめぬめした舌に襞をこじ開けられると口枷の中で絶叫してしまう。
 「処女特有の匂いと恥垢の風味」をげらげら笑いながら賞賛されると意識が遠くなった。
 ゼリーを付けた指で排泄口を悪戯されると嫌悪と背筋を這い上がる妖しい感覚に、レイは全身をバネにして暴れてしまった。
 だがそんなことをしてもなんの役にも立たないのだった。
 レイの抵抗は即座に懲罰の理由とされ、愛らしいお尻にスパンキングが炸裂する。
 泣き声も上げられないほど消耗してしまうと、今度は淫らな虐待が再開する。
 下着越しの素朴な自慰体験しかない少女は淫虐に翻弄されるしかない。
 そのさまをビデオカメラは克明に写しとっていくのだった。

 やがて、口枷を外された少女が涙ながらの追随と謝罪と、そして美しくも淫らな歌声をあげるようになると、男たちは少女の唇を代わる代わるに味わうのだ。当然暖かで柔らかな舌をねぶり、自分たちの唾液を流し込むことも忘れない。
 完全に屈服し、ステージで見せた凛とした表情をかけらも見せられなくなると、男たちはうなずき合って「処置」を開始した。
 惣流・アスカ・ラングレーがそうされたのと同じように、処女膜を傷つけないように奇妙で奇怪な器具を下半身へ挿入される。
 「これは君を目覚めさせるための道具だよ。楽しみにしているんだよ」
 耳元でそうささやかれながらゆっくりとプランジャーが押し込まれ、黄色がかった緑色の液体が躰の奥へと流し込まれていく。
 「なに……なんなの……クスリ?お願い、お願い、ゆるして、そんなこと、そんなこと……」うわごとのようにつぶやくレイに男たちはうってかわって穏やかな口調にで言った。
 大丈夫だよ。これは君にとって、とても素敵なクスリなんだから。
 泣きじゃくる少女に目隠しが当てられ、さらに耳はヘッドホンで塞がれた。

 かちりと言う音が耳元で鳴った。
 そして、低く、高く、レイには聞き取れない声が彼女の聴覚を満たしはじめた。
 しかし少女には聞こえた。
 自分の名前を呼ぶ声を、複数の人々の声を。
 その中には彼女がよく知る勝ち気な美少女が「レイ!」と呼びかけるものもあった……。



◆ ◆ ◆



 「そうか。ふたりとも本選の結果にかかわらずデビュー確定か」
 「もっとも本選でも間違いなくグランプリでしょう」
 「それも同票でな」
 「まったくもって粒ぞろいの美少女ですから」
 「よかったねぇ。キミたち、望み通りデビューできそうだよ」
 五人の男たちが一斉に少女達へと振り向いた。
 アスカとレイは彼らが誰か知っていた。
 プロデューサー、タレント事務所の社長、放送局とレコード会社の重役達。
 彼らは審査員として少女達に接していた男たちだった。
 だがいまの彼らの表情には共通した要素……欲望、卑劣さ、冷酷さ……を隠そうともしていない。
 男たちは微笑しつつ、黒い革張りのソファーに肩を寄せ合い、手をつないだまま震えている少女達を眺めていた。
 「いやぁ、いい眺めだ」でっぷりと太った作詞家が微笑む。「タイプのまったく異なる美少女が二人、恐怖と快楽に震えているんだから」
 「……あ、アタシたちに……なにを……したの」アスカは叫ぶ。しかしその声は細く震えていた。
 「麻薬を使ったのね。許さない」冷静を保とうとするアルビノ少女の声も、甘く媚びるような響きを帯びていた。
 「麻薬ではない。もっと素晴らしいものだよ。『綾波レイ君』」
 「!!!」プラチナブロンドの頭がのけぞり、細い腰が跳ね上がる。スカートでかろうじて護られていた太股があらわになり、その奥までも男達の視線にさらけだしてしまった。
 「……あ、あああ……おぉ……」
 「お漏らしですかね?」プロデューサーが尋ねかけ、自ら訂正する。「いや、これは潮吹きですな。しかしまぁ、ケも生えていないのにたいしたイきっぷりだ。形が分かるほど濡らしてしまって」
 「見られているからでしょう。この手のコンテストに出たがるオンナはだいたい露出願望がありますから。なぁ、そうだろう?『綾波レイ君』」
 「……ひ、ひぎぃぃぃっ!あああっ!」
 レイの腰がさらに持ち上げられる。少女の意志とは関わりなく張りつめた太股はストリッパーさながらに淫らなポーズと動きを彼女の下半身に強制する。
 「いや、いや、いやぁ……助けて……」電池が切れたかのように少女は弱々しく黒革ソファーへ崩れ落ちる。乱れた下半身を直そうともせずにレイはソファーの背もたれへ涙をこぼしてすすり泣く。だがその表情は弛緩し、半開きになった口元からは唾液さえこぼれている。さらに意志の輝きを失ったその瞳には白痴めいた歓喜の色さえあるのだ。
 「どういうことか分かったかね?君は?」
 「……なまえ……名前を呼ばれると……エクスタシーを……コレ、なんなの……アタシたちになにを……」
 アスカは心の底から怯えていた。
 「さすがだね。しかしちょっと違う。『今回は』キーワードをキミたちの名前にしただけなんだよ。惣流・アスカ・ラングレー君」
 「やぁぁぁっ!やめて……ぇぇ」
 アスカが身体をくの字に折る。肉体の暴走を押さえようとスカートの裾を掴み、唇を噛みしめる。
 なんの役にも立たなかった。
 少女はうつぶせの姿勢でぐしょぐしょに濡らしてアヌスまではっきり見えてしまっているまんまるのお尻を突き出し、卑猥な尻振りダンスを男達に披露してしまったのだ。
 それも「イク、イク、だめ、また、また、キモチよくなっちゃう、だめ、らめ、らめぇえ、またイクぅぅッ!」と破廉恥きわまりない声を同時に上げながら。

 「さて、そろそろ種明かしをしてあげよう。イき狂ってしまう前にちゃんと理解させておかないと楽しみも半減してしまうからな」人形のように無抵抗になった二人の少女を椅子に行儀良くすわらせたレコード会社の重役が言った。「キミたちに注入したのは麻薬ではない。ましてや媚薬などではない」

 それは分子レベルの悪魔だった。
 少女達の肉体に注入されたそれがやったことはふたつ、いや、正確には三つだった。

 ひとつめは、浸透した粘膜にある化学物質にたいする受容体を作ることだった。
 ふたつめは神経系に入り込むと脊髄を進み、脳関門を通過してA10神経、すなわち快楽を司る神経へ言語野から干渉できる回路をひとつ作り上げることだった。
 そして最後に、その分子レベルの悪魔は受容体と干渉回路を化学的に結合した。

 「そう。キミたちの脳と身体は改造されてしまったんだよ」得意げに語る男(彼は説明を十数回受けないと犠牲者に何が起きるのか理解できなかったのだが)を見つめている少女たちは衝撃のあまり言葉も出ない。
 自慰以外に快楽を知らなかった一四歳の少女達は、言葉ひとつでエクスタシーに達してしまう肉体に変えられてしまったのだ。
 「感謝するんだよ。二人とも。キミたちが味わっている快楽。普通の女性はそれの一割も感じることはできないのだから。それをキミたちはキーワードを囁かれるだけで何度でも感じることができるのだぞ」
 ……あれがそうだったのだ。意識を失う前にヘッドホンで聴かされた「声」がキーワードになってしまったのだ。
 レイは絶望していた。自分が完全完璧な囚われの身になってしまったことが理解できてしまったのだ。
 ……もし、誰かに名前を呼ばれたら、わたしはいつでも、どこでも……恥知らずに絶頂を迎えてしまうのだ。学校でも、街でも、電車のなかでも……そ、それに、おうちでも……。
 ……もう、会えない。こんなケモノみたいになってしまえば、あたし、碇……くんに……会えない……。
 「……お願い。お願い。アタシたちを元に戻して。こんなの……酷すぎる……よ」レイの隣で気丈なはずのアスカが涙をこぼしながら懇願していた。
 「もちろん『まいくろましん』の機能を阻止する方法はある。その仕組みはきちんとキミたちの身体で機能しているはずだ」芸能事務所の会長が言葉を継いだ。
 「それが流し込まれたところから特定の化学物質を注入すればいいのだ。粘膜に作られた受容体は化学物質を検出すると、A10神経の暴走をブロックする物質を放出する。つまり『キーワード』を解除するのだから」
 「……卑怯……もの」アスカが歯を食いしばって大人達をののしった。この卑怯者達はアスカとレイの秘蕾を蹂躙しようとするのだ。それが少女達のためだとおためごかしを言いながら。
 だが、アスカは分かっていなかった。
 男達はさらにさらに、卑劣で下劣で恥知らずだったのだ。
 「いったい何をキミたちのワレメに塗りつければいいか分かるかい?」背後から少女たちの肩を抱いた男は彼女たちの艶やかな髪を撫でながらささやいた。
 「Y染色体だよ。特定の人物たちのね」理解にたどり着けないでいる二人を見て、彼は心の底から楽しそうに微笑む。「ああ、それだけじゃないな。『Y染色体を含む精子』だった。ごめんごめん」
 レイとアスカの二人は息を呑む。
 「……卑怯……もの」レイが絶句する。
 「しんじ……シンジ……助けてよぉ……やだ、やだぁ。こんなのやだ……シンジぃ……」
 夢見ていた未来を奪われたことを知ったアスカが泣きじゃくる。
 そうなのだ。つまりそういうことなのだ。

 彼女たちは純潔を卑劣漢たちに捧げ、さらにその獣液を胎内に満たしてもらわねば、快楽の檻から逃れることができないのだ……。



◆ ◆ ◆



 「さぁ、どうすればいいのか分かるよね。二人とも」
 「そうそう。二人とも可愛らしいだけではなく、優秀な頭脳をお持ちなんだから」
 「ほら、急がないとオジサン達、帰っちゃうよー」
 ソファーに腰掛けたままの美少女達を取り囲む声は残酷なものばかりだった。
 ……ひどい。ひどい。でも、でも、いまは選択肢がない……の……。だから……。
 「やだ……やだよ……」紺碧の瞳から涙を溢れさせているアスカの肩をぎゅっと抱きしめ、そしてレイが立ち上がる。
 どよめきがあがった。
 「そうか、レイちゃんは見かけによらずお姉さんタイプだったんだなぁ」
 「……好きに……すれば?もう逆らわない……から」可能な限り平静を保ちつつ綾波レイは言った。しかしその言葉は震え、つっかえていた。
 立て続けに二度、レイの頬が鳴った。
 「いったい何様のつもりだ?レイ?」頬を打たれて呆然としている少女にプロデューサーが低い声で言う。「ここにいらっしゃる皆様は大変多忙で、そのうえ重要な地位の方々ばかりだぞ。それに対して『好きにすれば』だと?小娘風情がなにをふざけたことを言っているんだ?あぁ?」
 今まで他人に暴力をふるわれたことのなかったレイの決意は、恫喝と暴力によって見る影もなくしぼんでしまう。
 「そんな……」唇を噛みしめて男たちを睨みつける少女。
 しかし男たちにはお見通しなのだ。その紅の瞳には恐怖と嬌態が現れてしまっていることを。
 「だめですよ。そんなに叱っちゃ。ほら、君ももっと具体的なお願いができないかなぁ。そうしないと皆さんには分かるはずがないじゃないか。だろ?賢いキミには分かるよね?……『綾波レイ君』」
 「ひ、ひぃぁっ!」
 絨毯にぺたんと腰を落とし、彼女は声も出せずに身を震わせる。
 逃げ場などもはやないことを思い知らされたレイ。でも、彼女はまだ一四歳の少女にすぎない。性的な知識など、保健体育の教科書と、やたらいかめしく語られる「女子だけを集めての講義」、それに教室で興味本位で語られるひそひそ話を盗み聞きして、想像を膨らませることしかできなかった彼女なのだから。
 だから、彼女がなんとか口にした言葉は男達を爆笑させるだけだった。
 「いいよ。キミの『お願い』、聞いてあげるよ」そういうと審査員のひとりが少女をぎゅっと抱きしめて頭をぽんぽんと叩く。
 「ほら、『抱いて』あげたよ。これでいいかい?そうか、レイちゃんはおじさん達にハグして欲しかったのか」
 どっと上がる哄笑。
 「……ひどい……わたし……」
 意識をほとんどショートさせながら口にした「わたしを抱いてください」という言葉をあしらわれたレイは目の前が真っ暗になる。
 そこに差し出される卑劣きわまりない救いの手。
 「ほら、もっと具体的に言うんだよ。『ドコ』に『ナニ』をして欲しいか、みんなに見えるようにして、ちゃんと言葉にするんだ。できるだろ?オマエ、頭いいんだから。な?『綾波レイ君』」
 「あ……あ……」
 少女はもはやまともに思考できない。快楽で惚けさせられ、恐怖で凍りつき、羞恥で焼け付きそうな精神は決してしてはいけない判断を下してしまう。
 ゆらりと彼女は立ち上がる。
 「わ、わたしの……」
 レイの指がスカートの裾にかかり、ゆっくりと持ち上げられていく。
 もはやその用をなさないほど濡れそぼったショーツを自分から男達の視線に曝してしまう。
 おへそが見えるほどスカートが持ち上げられ、おずおずともじもじと腰が前へせり出した。
 「わたしの……ここ……に……くださ……い……くだ……さい」
 ……わたし、わたし、こんな恥ずかしくて、いやらしい格好を自分から……。
 ……でも、こうしないとわたしはマイクロマシンの影響から逃れられないのだから。
 ……そう、しかたないの。しかたないことなの……。
 だが、少女の言葉は男達に受け入れられない。
 それどころか、「パンツなんか見せて、なにしてるのかなぁ?『綾波レイ君』」と言われてしまって、立ったまま絶頂を向かえさせられてしまうのだ。

 だから、綾波レイは泣きながら「お願い」の方法をエスカレートさせるしかないのだった。
 「よく見えない」と言われるとガラス製の応接テーブルの上に乗り、肩幅よりも大きく脚を拡げて、肉付きの薄い下半身を前も後ろも男たちの視線に晒すことになった。
 テーブルの下に新たにビデオカメラが置かれても、レイの唇からは拒絶の声は漏れなかった。それどころかさらに大きく脚を拡げ、腰をもじもじと振ってしまう。
 快楽を逃れるはずの方便のはずの行為に、快楽と陶酔を得てしまっていることを綾波レイはもはや気づかない。
 いつしか少女の理性は麻痺してしまっていたのだ。
 さらに「『ココ』がどこか分かるように指さしてよ」といわれると、絶え間ないオルガスムスにさらされ続けた彼女は必死に考えたあげく、泣きながらスカートを口でくわえ、自由になった両手で震えながら恥ずかしいところを指さしてしまう。
 だが、男たちの要求はエスカレートするばかりだ。
 「ちゃんと言葉にしないと分からないよ」と言われてレイは躊躇する。
 ……そんな……わたし……スカートの裾、口でくわえているから……しゃべれないのに。
 しかし「お願い」を始めてからはや四回もの絶頂を向かえさせられてしまった綾波レイの思考はぐずぐずになってしまっている。
 ……はやく……してもらわないと……わたし、もう、だめになって……。はやく……わたしの中にその……精液を……出してもらわないと……もう……。
 だから少女は上衣と一体となったジャンパースカートを震えながら脱ぎ落とす。
 ……まるで、まるで、ストリッパーみたい。
 わたし……もう……だめなのね……。
 悲壮で甘美な決意とともに、ブラウスと下着だけになった少女は再び男たちへ「お願い」をする。
 「お願いです……わたしの……ここに……ください」
 涙をこぼしながら濡れそぼった下着のクロッチの部分を指さすのだ。
 もちろん、そんな「具体性に欠けたお願い」では男たちは納得しない。
 「それじゃぁだめだね。『綾波レイ君』」だれかが下卑た声で呼びかけて、少女の唇から卑猥な歌声をほとばしらせる。
 完全に理性を蒸発させられてしまったレイは「お願い」を再開する。
 男たちにおもねるような、うっとりとした表情を浮かべて。
 とても淫らで、過激な「おねだり」を。
 テーブルの上で男たちの視線を浴びながらレイはショーツを下ろした。熱い吐息とともになめらかな太股をレースのフリルで飾られた下着が滑り降り、膝小僧をくぐる。
 しゃがんだ姿勢で黒ソックスから抜かれたそれは請われるままに男の掌に渡った。
 熱病に冒されたかのように少女が震えていたのは恐怖のせいだろうか、それとも期待のためだろうか。
 そして、ついに綾波レイは超えてはならない一線を越えてしまった。
 しゃがんだ姿勢から男たちに挑発されるまま、左右の膝を掴んで大きく開いてしまったのだ。
 「ここ……ここ……なんで……す」ピンク色の肉裂が蜜でたっぷり潤ってしまっているさまを、憎むべき男たちに披露するレイの声にはもはや陶酔の色すらうかがえた。
 「こ、ここに……お、おちんちんを……」
 自分がどんなにはしたないポーズを取っているのか、どんなに下品な言葉を口にしているのかレイははっきりと理解していた。
 わたし……わたし……じぶんから……こんなこと……どうし……て。
 だが男たちの視線と声が彼女をさらに高ぶらせてしまう。
 「ここ……に、くださ……い。ここ……に、ぺにす……を……入れて、ほしいん……です」
 ……言ってしまった。もう、わたし……戻れない……。
 絶望が少女の心をよぎった。が、男たちに「よく言えたね。偉いよ」と言われると、「これでレイちゃんがなにをしてほしいかようやく分かったよ」と言われると、綾波レイは安堵して、にっこりと微笑んでしまったのだ。
 「彼」とその家族、そして家族同然でありレイにとっての闖入者であるヨーロッパの血を引く少女にしか見せたことのない微笑みを見せてしまったのだ。

 安堵のあまり彼女の全身から力が抜け、バランスを崩してガラスの天板に腰を落としてしまう。
 しかし堕ちてしまったアルビノの天使は、さらに過激なポーズを披露してしまうのだ。
 「ちゃんと……言ったから……おねがい……です。この、ここに……」
 さらに大きく脚を開き、青白い太股の内側から、べたべたになった花弁まで、さらにひくつく後門までカメラの前にさらしておねだりをしてしまう。
 男たちに求められると、ブラウスを細い肩からするりと落とし、最近きつくなってきたブラジャーのホックをぷつりと外す。
 「ね?言われたとおりに……言うとおりに……素直に……なりました……から……」
 黒いソックスをのぞくすべての衣服を自らの手で脱ぎ捨てて、綾波レイは牡たちに望むのだ。
 「わたしと……せっくす……して……くださ……い。そして、せ、せいえきを……だして……ください」と。
 陵辱者たちは顔を見合わせて微笑み、事前の打ち合わせ通りにプロデューサーがレイの前に仁王立ちになる。
 一四歳のアルビノ美少女はガラステーブルの上に横たわり、命ぜられたとおりに膝裏に手を回して性交の姿勢を取らされた。
 そのままの姿勢でレイは、男がズボンと下着を下ろしていくさまをじっと見つめることを強制される。
 処女を捧げることになる凶器を目の前に突きつけられ、醜悪に膨れあがったその形と、その先端からじくじくとにじみ出る液体の匂いについて、彼女自身の言葉で述べるよう命じられる。
 もちろん彼女は、従順に素直に従うのだ。
 澄んだやや舌足らずの声で、瘤を思わせるほどカリ高な肉棒の色と形について述べ、粘度の高いカウパー氏液を頬に唇に塗りたくられても、嫌な顔一つ浮かべない。
 夢見がちな虚ろな笑みを浮かべて「そのとき」を待ち望むのだった。
 極太で硬いペニスが、狭隘な若裂に侵入するまでは。

 「あああっ!痛いぃぃっ!ゆるして……ゆるしてぇぇぇ」
 処女膜がこそぎ落とされるのではないかと思われるほど硬くエラの張った肉茎に、なんの遠慮もなくごりごりと動き回られて、綾波レイは泣き叫んでいた。
 ガラステーブルに白濁した愛液と、処女の証である鮮血をぽたぽたと落としながら。
 「痛いか?」
 「痛い!痛いですぅぅッ!お願い!お願い!もっと、やさしく、やさしく……いぎぃぃぃっ!」
 「自分でお願いしておいてなにを甘えているんだ?あぁ?」
 破瓜の苦痛にゆがむ少女の表情を、強引なピストンでさらに歪めさせながら、プロデューサーは狭く熱い少女の肉洞を思うまま楽しんだ。
 「痛い、痛い……ゆるして。ゆるして……助けて、たすけて……いかり……く……ん」
 うわごとのようにつぶやきながらも、命じられたとおり自らM字のかたちに股を拡げた姿勢を維持するために、少女は両手に力を込める。
 男たちは残酷だった。
 性的経験のほとんどない少女の心をダイレクトな快楽で狂わせておきながら、未通の肉体に太い杭を打ち込まれる苦痛をも少女には与えていたのだった。
 どすどすと突き込まれるたびに、がくがくと足首を揺らし、最近異性の視線が注がれることが多い育ち盛りの柔らかな双乳を震わせながら、男なら誰もが獣欲を高ぶらせる音色でレイはいっさいの抵抗を捨て、どこか甘い口調で泣き叫んでいるのだ。

 少女は心の底から思い知らされていた。
 快楽も、苦痛も、「彼ら」の思いのままであることを。
 この自分の躰も、心も、「彼ら」の思いのままとされてしまうことを。
 泣き叫びながら、男に組み伏せられながら、一四歳の美少女は思い知らされてしまう。
 自分がもはや肉人形に過ぎないことを。

 「おい!レイ!」泣きじゃくる少女へ男はぞんざいな口調で呼びかけた。「お前が欲しがったんじゃないのか?お前が『してください』って言ったんじゃないのか?あぁ?」
 「言い……ました。言いました。でも、でもぉぉっ……」紅の瞳から雫をこぼしつつレイは泣きじゃくる。
 「中出ししてほしいんじゃないのか?このエロガキ。そんなに嫌なら止めてやろうか?」
 実のところ、男は腰の動きを制御できなくなりつつあることを自覚していた。この華奢な美少女の、開通したばかりの若孔から与えられる快楽に逆らえなくなっていた。
 襞全体の締め付けはまだ未熟なものの、入り口の部分の締め付けは強く、さらに涙をこぼすたびにリング状の入り口はひくひくと痙攣して無意識のうちに牡の射精を促しているのだ。
 だが十数人の美少女を毒牙にかけ、淫人形に仕上げてきた彼は、その邪悪なプライドにかけて欲望をなんとか抑え込む。
 にやりと笑ってこう言うのだ。
 「じゃ、止めてやろうな」
 子宮口をノックするほど奥深くまで突き込んだペニスをゆっくりと後退させる。
 レイの瞳をのぞき込みながら。その行為がなにを意味するのか少女が理解していく様子を観察しながら。
 「あ……だ、だめ!だめ!だめ、だめ……!」
 膝の後ろに回っていた両手が解け、少女の足首が男の腰に絡みつく。しなやかな両腕も広い肩と背中に巻き付き、レイは自身の意志で男に密着してしまう。
 果てしない快楽の地獄から逃れるために、日常の世界へ戻るために、綾波レイは尊厳をかなぐり捨てて煉獄へ堕ちる道を選んでしまう。
 「だめ、だめ、お願いです。お願いです。なかに、なかにだしてください。出してもらわないと……」
 うわごとのようにつぶやいて、彼女は悪魔たちに哀訴するのだ。
 プロデューサーはにやりと笑う。
 「やっと素直になったな?」少女の耳元に彼はささやく。「ステージで見たときから分かってたんだ。澄ました顔をしているが、男を銜え込んだら放さないタイプのガキだってな」
 「酷い……」頬を染めてつぶやくレイに、男はとどめを刺すのだ。
 「自分から男にしがみついているくせに。『酷い』はないだろ?『綾波レイ君』」
 「ひぃはぁ……ッ」少女の表情がだらしなく惚け、さらに憎むべき男を強く抱きしめた。
 細い腰がくいくいと動きながら、陵辱者の下半身に押しつけられた。
 かちかちに硬く屹立した可愛らしい乳首を男の毛むくじゃらな胸にこすりつけてしまう。
 「ほら、チンポが大好きになってきただろ?『綾波レイ君』」
 苦痛をたっぷり味わわされたのちに、脳髄に響く快楽を与えられた女子中学生はがくがくと身を震わせながら、鰓の張ったシャフトを熱い膣壁できゅうきゅうと締め付けてしまう。
 そして男は放出を目指し、残酷なまでに激しいピストンを開始する。
 「いいぞ、いい締まりだぞ。『綾波レイ君』」とささやきながら。
 「もっとエロイ顔してみせな、『綾波レイ君』」と揶揄しながら。
 綾波レイはもう逆らわない。
 「あー、あはーぁ、はーっ」
 随喜の涙をこぼしつつ、桜色の唇を唾液でぬめ光らせながら、もはや言語ではない嬌声をあげていた。
 さらに男が顔を寄せるとうっとりと目を閉じてキスをねだりさえするのだ。

 満足げなうめきを上げつつ、男がゆっくりと身を起こす。
 ぐったりと肢体を投げ出したレイのあわいから、恐ろしいほど濃い白濁液と鮮血が混ざり合ってガラステーブルの上へ広がっていくさまをアスカは声も出せずに見つめていた。
 「レイちゃん」審査員の一人が呼びかけた。「レイちゃんの『魔法』を解くためにはここにいる人全員に中出ししてもらわなくちゃいけないんだよ。さ、どうしたらいいか考えようね」
 「ひど……い」つぶやくレイ。しかしその口元には笑みが浮いているように思えたのは、アスカの勘違いだったのだろうか。
 ゆっくりと綾波レイの脚が開き、テーブルの左右の縁いっぱいまで拡げられた。床に落ちた踵で絨毯を踏みしめて細い腰が浮き上がる。
 白く細い手がすっと下腹部に伸びた。
 くちゅっ、と濡れた音ともにほっそりとした指が開通したばかりの秘所をほころばせた。
 「お願い……です。レイのここに……おちんちん……ください……なかに……いっぱい……出して……ください。お願い……しま……すぅ」
 紅の瞳をどんよりと淫らに輝かせ、アスカのライバルであった美少女は牡たちにセックスをねだるのだ。

 「……い……やぁ……だめ、ダメ、ダメ……」ライバルの堕落ぶりを見せつけられた惣流・アスカ・ラングレーはソファーの上で震えていた。あまりの恐怖に歯の根が合わない。
 左右から着衣を脱ぎ捨てた審査員たちに挟まれていた少女の細い肩に馴れ馴れしく手が回される。
 「さ、キミもどうしたらいいか、分かるよね?」
 耳たぶを舐めんばかりにささやかれ、別の手が伸びてくると制服の上から形のよい胸を撫で回される。
 「やだ、やだ、言わないもん、言わないもん……」アスカはすすり泣いた。クールで凛としたライバルの敗北ぶりを見せつけられた少女はおびえ、幼女のようにいやいやをする。
 気丈で勝ち気な少女はもはやそこにはいなかった。
 しかしそれさえも、男たちにとっては愉しみのひとつにすぎないのだ。
 「駄々こねちゃだめだよぉ。アスカちゃん」粘着質な声で彼らは少女をいたぶる。「もう逃げられないことは分かってるくせに」
 「やだ、やだもん、返して、アタシたちを返してよぉ……」
 「これはもう、ちゃんと理解できるまで教えてあげるしかないですねぇ」誰かが嬉しそうに言い、震えるアスカの両手が後ろに拘束され、唇を黒いギャグボールでふさがれる。
 「あ……お……あぁ……」
 さらに大きなヘッドフォンがアスカの頭に装着された。
 「あー!んんー!あー!」
 男たちが自分になにをしようとしているのか理解した彼女は全身をばたつかせて抵抗する。
 しかしそれも、人差し指ほどのミュージックプレイヤーの再生ボタンが押されるまでのことだった。
 「んんぐぅぅふぅッ!」蒼い瞳が見開かれた。男たちに挟まれたしなやかな身体が跳ね上がり、その後ぐったりと脱力する。
 「ほら、お行儀よくしなくちゃ」剥き出しになったミルク色の太股を撫で回されても、少女はされるがままとなっていた。
 「あ、ああぁ!あああっ!」数十秒後、再びアスカは肉体を震わせた。
 「もうちょっと我慢しないとバカになっちゃうよ」男たちは笑いながら、脳髄に直接作用する絶頂の余韻に翻弄されている少女の肉体を好き放題にいじくり回す。
 「んんんんー!むんんー」
 ……助けて!死んじゃうよ!アタシ、気が狂っちゃうよ!
 ギャグの中で彼女は絶叫していた。それが誰の耳にも届かないことを知りながらも。しかしその叫びも、ヘッドホンからそれが聞こえたとたんに獣じみた悲鳴へと変わるのだ。

 「『貴女』なんかに……まけたくないから」
 「『貴女』が知るわけないわ」
 「ピアノのレッスンの件、碇君にわがままを言いすぎると思うの……『貴女』は」

 それは、美しく魅力的なライバルの声。
 それは、アスカの目の前で、「二人目の」男に犯されている少女の声。
 それは、二つ折りにされてペニスを抜き差しされているアルビノ少女がコンテストの楽屋でアスカと小声でやり合ったときの声。
 「『貴女』なんてキモチ悪いじゃない!アンタもアタシのこと、『アスカ』って呼びなさいよ。アタシだって『レイ』って呼んでるんだし」とアスカが強く求めても、顔を真っ赤にしてぶんぶんと首を横に振った内気な少女の声。

 惣流・アスカ・ラングレーに設定された「キーワード」には、綾波レイが彼女を呼ぶときの声も含まれていたのだった。

 そしてアスカは、「二人目の」男がレイの上で腰を振る姿を注視させられながら、エクスタシーになんども震えることになったのだった。
 男がレイの幼い子宮に樹液を放出するまでのあいだ、アスカは泣き叫びつつ屈辱的な絶頂を迎えさせられていたのだった。
 やがて少女は男たちに挟まれたまま黒革のソファーに失禁してしまう。
 生暖かな液体が下半身に広がり、そして冷えてゆく感覚に、ヘッドフォン越しにくぐもって聞こえる男たちの哄笑に、それでも感じてしまう快感と幸福感に、惣流・アスカ・ラングレーの精神は浸食されていく。
 唇からギャグが外されると、「だめ、だめぇ、気持ちいいのぉぉぉッ!許して、ゆるしてぇ……バカになっちゃう。バカになっちゃうよぉ」とうわごとのようにつぶやくようになっていた。
 左右の男たちに唇を奪われると、甘え泣きしながら濃厚なディープキスを始めてしまっていた。

 「もういい頃合いだな」
 男の肩にしどけなくもたれかかっているアスカの拘束が外された。
 涎がだらしなく垂れていても少女はそれを拭おうともせず、両手をだらりと投げ出したままだった。
 「さ、もう言えるよね?」
 こっくりとアスカはうなずいた。瞳をどろりと濁らせて。
 そこには溌剌とした躍動感にあふれた少女はもういない。
 あやうげな、不健全なエロスを発散させるロリータがいるだけだった。
 ゆらりと立ち上がる。
 しかし、その手を引っ張られて再びソファーに引き戻される。
 「本当に分かってるかい?」
 「分かってる……もん。分かって……る」アスカは男たちに微笑んでみせる。「分かってる。『せっくすしてください』って言えばいいんでしょ?『せーえきちょうだい』って言えばいいのよね?ね?ね?」
 「ふーん」男は皮肉っぽく笑った。「アスカはどうしてセックスしてほしいのかな?」
 「え……え……っとぉ」アスカは愛らしく首をかしげる。思考がまったくまとまらなかった。しばらく考えたのち、ぱっと微笑む。
 「ま、『まいくろましん』のせいなの!『まいくろましん』でヘンタイにされちゃわないためなの!」
 「よしよし。アスカは賢いなぁ」もう一人の男に馴れ馴れしく頭を撫でられた。「アスカはヘンタイになりたくないからおちんちんが欲しくてしょうがないんだね?」
 「う、うん!そうなの、そうなのぉ!」
 あどけないと表現してもいいほどの口調でしゃべると少女は立ち上がり、レイがそうしたようにスカートを脱ぎ落とそうとする。
 しかし、またもやソファーに引き戻される。
 「分かってないなぁ。やっぱり」
 「そうですか?ずいぶん素直になってますが」腰回りに脂肪を付けた男の言葉に、もう一人は首を振る。
 「いえいえ、ぜんぜんだめですよ」レコード会社の宣伝担当者はにやりと微笑むとアスカへこう言うのだ。
 「アスカ君、君は分かっていませんよ。私たちはいまから素直で愛らしいレイ君に精液を注いであげないといけないんです。あなたの番はそのあとなんですよ」
 首をかしげるアスカ。
 「やっぱり分かっていませんね。君はね、私たちがたっぷりセックスを愉しんだ『あと』にお願いしなくてはいけないんですよ。それをおざなりな『お願い』で済ませられては意欲なんて沸きませんよ」
 「そ、そうですね。まったくもってそうだ」相手の意図を理解した男は嬉しそうにうなずく。
 「アスカ君、君はレイちゃんよりももっといやらしーくお願いをしないとだめなんですよ。分かってますか?そうしないと、私たちのやる気が出ないんですよねぇ」
 「そんな……そんな……」アスカは青ざめる。しかしそれは、男たちの言葉に尊厳を傷つけられたためではない。

 ……れいよりもえっちなおねがいしないとだめなの?ふつうにおねがいするだけだったらイレてくれないの?
 ……ひどいよ、そんなのひどいよ。

 「ほら、そんなに悲しそうな顔をしないで。アスカちゃんは頭がいいんだから、よーく考えてごらん。自分がレイちゃんよりも魅力的だと思っているところを強調してお願いすればいいんだから」
 優しく諭されて、アスカは思わず涙ぐんでしまう。それほどまでに彼女の理性は麻痺してしまっているのだ。
 だから、彼女は言われるままに一心に考えてしまう。
 自分が「どうすれば魅力的に、いやらしく見えるか」を。

 にっこりと牡たちに微笑んでみせてから、ふらりと少女は立ち上がった。
 今度は邪魔をされなかった。
 スカートを脱ぎ落とし、ブラウスのボタンを外す。スポーティなブラジャーのフロントホックをひねり外すあいだも彼女は笑みを忘れない。
 少女は男たちに背を向け、大きく脚を開いた。
 ぐいと前屈する。
 腰高なプロポーションと日本人離れした脚の長さを強調するポーズと、きゅっと持ち上がったヒップが男たちの目にさらされた。
 淫裂のかたちから、くっきり立ち上がった肉芽まではっきりみえてしまうほどの染みを付けてしまったショーツにくるまれたお尻を突きだし、蠱惑的にエロティックに振ってみせた。
 脚のあいだから男たちに無邪気に笑顔を振りまく。
 「んふっ、んー。んんっ」
 少女の指がショーツのゴムにかかるとくるりと布地が剥かれ、染み一つない尻肉が現れた。
 もちろん大きく脚を開いているから、ぐずぐずに濡れた花裂とココア色のすぼまりも男たちにたっぷり鑑賞されてしまう。
 「ああっ……は……くぅぅ……ん」
 悩ましい声を上げながらくりくりとお尻を振りつつアスカは下着を下ろしていく。
 ごくり、と男たちの喉が鳴った。
 糸を引きつつ膝のところまでショーツが下りたところで、アスカは両手でぴったりと閉じている肉裂を拡げ、処女の証を男たちに披露する。
 そして言うのだ。
 「アタシの……ここ……ぷ、ぷっしぃに……おちんちんを入れて掻き回してください……それから、いっぱい、いっぱいすぺるまください……。アスカを犯してください……あ、あたしでどうかキモチよくなってください……アスカをおちんちんでイかせてください……」

 快楽で麻痺させられ、手段と目的が完全に入れ替わってしまった少女は、男たちの視線を浴びつつ確信する。

 ……レイ!レイ!アタシ、勝ったわ!
 ……アンタなんかより、アタシのほうが脚が長いもん!プロポーションだってずっといいもん。お、おっぱいはアンタのほうがちょっと大きいけど。
 ……だけど、だけどね。アタシのほうがえっちなこと、詳しいもん。アンタなんて、ヒカリとアタシがひそひそ話しているエッチなことを、じーっと聞いているだけだもんね。
 ……だから、だから、アタシの勝ちだもん。

 「あの、あの……お、おくちでもしますから……ふぇ、ふぇ、ふぇらちお……だって、やりますから!それ以外のコトも……言われたとおりに、なんでもやりますからぁ!」

 ……ほら!優等生のアンタなんかに、こんなお願い、できるわけないでしょ!
 ……だーかーら、アタシの勝ちなのよ!

 ヨーロッパの血を引く一四歳の少女は淫らきわまりない表情で逆しまに微笑み、男たちを誘惑するのだった。

 「合格ですな」
 「合格です」
 審査員達はにやにや笑いながらうなずく。それからアスカの両手を掴み、部屋の中央へと引きずっていく。
 ガラスのテーブルの前へ。
 テーブルの上で「三人目」に両手首を握られてぐいぐいと腰を使われ、泣きながらも悩ましくあえぐレイの前へ。
 「あ……そんな……」
 「あ、見ないで……見ないで……」
 ガラステーブルにアスカは手をつかされた。目の前にはシャギーを頬に張り付かせてよがる上下逆のレイの表情があった。
 背後に立った男に細い腰を掴まれ、姿勢を整えられた。
 「あぁ……」
 お尻を突き出し、少し反り返った姿勢でアスカはその瞬間を待ちわびる。
 硬く熱い剛棒が内腿に沿って這い上がった。まだ硬い尻肉が男の指でぐいと開かれる。リズミカルにクリトリスを擦り上げられた。
 「あは……ぁ」
 硬い牡のペニスがジュースをこんこんと湧き出させている秘裂にこすりつけられた。
 「あぁん、はやく……ぅ。おねがいですぅ」
 アスカは甘えた声で泣きせがむ。
 「このメス餓鬼め。そんなにしてほしいのか」
 「だってぇ……だってぇ」
 「ケツ振って、男誘って、プライドってものがないのか?」
 「あぁ……ひどい」そうは言うものの、少女はもう、その瞬間のことしか考えられないのだ。男のペニスに貫かれるその瞬間を待ちわびてしまっているのだ。
 「好きな男だっているだろうに」
 「あ……」一瞬の躊躇を男たちは見逃さなかった。
 「ほら、いるんだろ」
 こりこりこり。クリトリスを転がされる。
 「い、い、いますぅっ!」
 「名前は?」浅く進入した人差し指が熱泥を掻き回す。
 「し、しんじ、シンジっていうのぉぉぉっ!いかり、碇シンジっていうの!」
 「そうか。羨ましいなぁ、こんな可愛い娘に好きになってもらえて」歪んだ微笑みを浮かべ、男たちはさらに質問を重ねていく。

 少年とはいつからの付き合いなのか。
 少年のどんなところが好きなのか。
 「告白」は済ませたのか、それともされたのか。
 「でーと」はどうしているのか。
 「体験」はどこまで進んでいるのか。

 とても個人的で、決してこんな卑劣漢には答えてはならない質問に、アスカはなんのためらいもなく答えていく。
 セックスへの期待を餌にされ、ペニスへの渇望を餌にされて。
 ごつごつとした指で与えられる快楽を「ご褒美」にされて。
 「そうか。まだまだコドモなんだなぁ。その『シンジ君』ってのは」
 「だって、だってぇ」
 「『彼』はこんなコトしてくれないだろ?」
 しこるクリトリスを指先で摘まれて微振動させられた。
 「ひぁぁぁ……んふっ」
 涎がこぼれ、レイの泣き顔にぽたぽたと降り注ぐ。
 「い、あ……」
 「レイ、口を開けて飲み干すんだ。お前の親友の出してくれたジュースだぞ」
 そう言われるとレイは大きく口を開け、舌を伸ばして堕落してしまったライバルの唾液を受け入れようとする。
 アスカももう我慢できなかった。
 彼女は内気なアルビノ少女の柔らかな唇にむしゃぶりつくようなキスを始めていた。
 卑劣な男どもにそうされたように、歯茎を舐め、柔らかな舌をねぶり、唇のラインに沿ってルージュを塗るように自分の唾液を塗りたくった。
 「いいよ、レイ」レイの両手が自由にされた。
 「んっ、んんんー」
 美少女同士のキスはさらに熱を帯びた。レイの両手はアスカの背中に回り、紅茶色の髪の毛を掻き回しつつ喉を鳴らしてライバルの唾液を味わっていた。少女もまた、転落してしまったライバルに欲情してしまったのだった。

 「……むぅぅぅッ!」
 うっとりとした表情のアスカの瞳が見開かれた。
 「いやぁぁぁぁっ!痛いよぉ!痛いよぉぉぉ!」
 レイの唇との間に唾液の糸を引きながら、アスカは泣き叫んだ。
 綾波レイにうっとりと見上げられながら。
 「痛い!助けて!ママ!助けて!ママぁ!ままぁ!しんじ!しんじィッ!」
 髪を振り乱し、涙の粒を振りまきながら。
 テーブルに手をつき、ケモノのように後ろから犯されて、惣流・アスカ・ラングレーは純潔を奪われたのだった。
 さらに、陵辱者に腰を使われて好き放題に突きまくられる。
 自慢にしていた「きゅっとあがったヒップ」にぱんぱんと肉があたる音を耳にしながら、アスカは絶望してしまうのだった。
 「ああン!ママ!ママ!シンジ!シンジぃ!」
 決して現れるはずのない人々へ助けを求めていたアスカの唇がレイによって塞がれた。
 アルビノ少女は「愛おしいライバルを甘いキッス」で苦痛を和らげるよう命じられたのだった。
 ライバルを非難するアスカのくぐもった声も長くは続かない。
 彼女もまた、辛い現実から逃れるために、可憐な少女との舌戯に没頭することを選んでしまったからだった。
 陵辱者がアスカの狭隘な感触や体温について堪能し、そのさまを仲間達に逐一報告するころには、アスカの表情からは生来の勝ち気さも、快活さも消え失せていた。
 そこには鼻を鳴らして同性の唇をむさぼる美しい少女奴隷がいるだけだった。

 そうして、アスカは次の「課程」へと進まされてしまう。
 乳首をぎりぎりと摘まれて、キスを中断させられたレイに男たちは「キーワード」をアスカに対して言うように求めた。
 躊躇するレイ。しかしそれも腰を送り込まれながらクリトリスと乳首を無骨な指で摘まれると瞬時に消え失せた。
 レイは泣きながらアスカへ呼びかけるのだ。
 「ごめん……なさい。あす……か……『貴女』」と。
 効果は劇的だった。
 「ひはぁン!」細身の躰がぐいと反り返る。同時に憎むべき男の肉茎をぐいぐいと締め上げた。
 自堕落な、幸福な表情で「あはぁ……ん」と啼いてしまう。
 「ひぃぃっ!だめぇ!気持ちよすぎるの!おちんちんがダイスキになっちゃう!いっぱいの人に犯されるのがスキになっちゃう!こんなのダメ……だめ、だめ、だめぇぇ」と叫びながらエクスタシーを迎えてしまう。
 男の腰の動きに合わせ、さらには微妙にタイミングをずらして、腰をくいくいと振りはじめてしまう。
 さらには「この締まりは……レイ以上だな」と樹液をアスカの体内に注ぎ込み終えた男が漏らすのを聞いて、勝利の笑みを浮かべてしまっていた。
 後ろからずんずん突かれながら、ガラステーブルによじ登り、ごつごつとしたペニスが出し入れされる様子をレイに見えるような姿勢を取らされると、さらに激しい嬌声をあげるようになっていた。
 さらにレイをピストンする男にしがみつき、発育途上の柔らかな双乳を押しつけて、鼻声を上げながらキスをしてしまっていた。

 惣流・アスカ・ラングレーは、自分が淫らなペットに過ぎないことを、もはや完全に理解していたのだった。


 「いやぁ、いっぱい出しましたねぇ」
 「ひさしぶりですよ。ここまでやったのは」
 「私、三回出しちゃいましたよ」

 ……終わったんだ。
 獣たちが容赦なく放った精液を股間から垂らし、四肢を力無く絨毯に投げ出してアスカは思う。
 ……帰れる。これで帰れるんだ……。
 でも、でも……アタシ、なんてことを……。
 マイクロマシンの影響を脱したアスカは、自分が失ってしまったものの大きさにおののいていた。

 ……アタシ、アタシは、自分からセックスをねだってしまったんだ。
 ……あのおぞましい肉棒を望まれるまま指で愛撫し、それの熱さと堅さに胸をときめかせていたのだ。さらにそれが硬く、大きくなると歓声すら上げていた。
 ……アイツとの、アイツとのキスもまだなのに……自分の処女を奪う予定の性器に口づけをし、舌を伸ばして透明な苦い液を舐めてしまった。そのうえ、「美味しいです。もっとぺろぺろさせてください」なんて……。
 ……喉の奥までペニスを銜えさせられても、「ちゃんと下の口に出してあげるから」と言われると熱心に舌をからめ、頬をすぼませて恥ずかしい音を立てながら、フェラチオ奉仕に没頭してしまったのだ。
 ……「レイなんかよりもアタシの中に出して!おじさま!」なんて台詞を口走ってしまっていたのだ。たとえそれが彼らにあの娘とのライバル意識を巧みに煽られたためではあっても。

 ……アタシ、変態になっちゃった。レイよりもずっとずっと恥ずかしくて下品な女の子になってしまった。

 絨毯に涙をこぼしてアスカはすすり泣く。
 しかし、遠くから聞こえる男たちの会話は彼女の想像を超えていた。
 「次回は、レッスンの時ですかね?」
 「契約のあとに連れ込んでもいいですけどね」
 「これで、これで終わりじゃ……」レイの血の吐くような悲鳴。男たちは馬鹿笑いする。
 「終わるわけないじゃないか。こんなに素晴らしい素材を手に入れたのに」
 「あのナノマシン、これくらいでペイできるわけがないでしょ?」
 「嫌、絶対に嫌」レイは身を起こして男たちを睨みつけた。「わたし、警察に行きます」
 だが綾波レイの宣言に男たちはまったく動じないのだ。
 「やっぱりもう一押し必要なんですねぇ」
 「アスカ君よりもレイちゃんが要注意ってのは本当だったんだ」
 「わたし、本気よ」レイの声は震えていたが、その響きには先ほどのような媚びや甘えた雰囲気は全くなかった。
 「……ですって」
 「甘いなぁ」
 「甘いですねぇ」
 男たちは笑い合う。そして、その中の一人が言うのだ。
 「ダメだよ。そんなわがままは。『綾波レイ君』」
 アルビノ少女が痙攣し、決意に満ちた表情が欲情にまみれたそれに一変する。
 「なぜ……全員の……されたのに」
 絨毯に横たわったまま涙を流すレイに、陵辱者たちは穏やかに言うのだった。

 コンテストでの言動や、襲撃者に対する態度からして、レイは他人や自身が思う以上に芯の強い少女なのだと彼らは考えたのだと。
 だから彼らは「保険」をかけたのだ。
 綾波レイがあの「薬品」を、「ナノマシン」を塗り込められたのは、まだ未通だった膣壁だけではなかったのだと。
 綾波レイの柔らかで小さな舌にもそれは塗り込めておいたのだと。

 「……ひどい……ひどい……」
 レイはすすり泣く。彼女は理解してしまったのだ。
 「さ、どうすればいいかなー。『綾波レイ君』」
 「ゆるさ……ない。許さない……わ」紅の瞳を怒りと決意に溢れさせたレイの両手が自らの粘膜へ伸び、ひくつくたびに吐き出される陵辱者たちの牡汁をすくう。
 泣きながらもそれを口に含もうとする。
 「!」
 手首を掴まれて後ろ手に固定された。
 「ダメダメ、それはルール違反だよ『綾波レイ君』」男たちがげらげらと笑う。
 「卑怯者、ひきょう……もの」レイは歯を食いしばった。膝をつき、股間から絨毯の上へぽたぽたと垂れる白濁液を躰を丸めて舐めようとする。
 「だめだよ。それもダメだね。『綾波レイ君』」
 「い、いやぁッ!」
 細い足首を掴まれて引きずられた。敏感にされてしまった乳首を絨毯でごりごり刺激されてレイは悲鳴を上げる。
 「さぁ、どうしよう?『イきっぱなし地獄』からどうやれば脱出できるのかなぁ?」
 「うっ……ううっ……ひどい……ひどい……」
 レイはもう言葉を続けられない。男たちは少女に口唇奉仕を要求していることを理解してしまったのだ。
 ……逃げられないのね。もう、だめなんだ……わ。
 哀しみと屈辱と被虐に彩られた表情で男たちを見上げる。それこそが彼らが少女に求め、同時にそれが少女をもっとも魅力的に見せる表情であることを知らずに。

 ……わたし、あの娘がした……みたいに口を使ってせっくすしなくてはいけない……の……ね。
 ……あの穢らわしいモノを……舌で舐めなければならないのね。
 ……精液を出されたら、それを舌で味わい、飲み干すことを要求されてしまうのだわ……。

 もちろん、彼女は知らない。
 運命を自分自身に理解させようと努力しているうちに、ぺたんと絨毯に落とした可憐なヒップをもじもじと前後させてしまっていることを。
 毛足の長い高級絨毯に、敏感な粘膜をこすりつけて白濁した粘液を分泌させてしまっていることを。
 無意識の腰の動きを男たちすべてに見抜かれて、にやにや笑われてしまっていることを。

 「やり……ます」血を吐くような声で綾波レイは言う。「ペニスを、銜えさせて……くだ……さい。精液を口にくださ……い」
 だが、男たちの真の卑劣さを彼女は知らないのだ。

 「いやぁ、もう十分に出しちゃったから、レイたんの『お口』の分はもうないよ」
 「具合よかったからねぇ。レイ君もアスカ君も」
 「もうぴくりともしないね。残念だったね」
 「あ……あ……ひど……い」彼女は涙をこらえることができない。同時に、泣いてしまう自分がどうしようもなく淫らで屈辱的であることにも気づき、さらに涙をこぼしてしまう。
 そこへ、下劣な提案がなされるのだ。
 「ああ、そう言えば、さっき出たモノだったらあるね。もちろん『自分の中に出されたモノ』を口にするのはルール違反だけどね」
 「「うそ……」」
 ふたりの美少女は同時に絶句する。
 「さ、アスカちゃん、オマタ開きましょうねー」
 「そんな!そんな……」アスカの表情が歪んだ。彼らの求めていることはアスカにとっては恥辱であり、レイにとっては屈辱以外のなにものでもない行為なのだ。
 「どうして?そうしないとレイちゃんがぺろぺろできないじゃないか?」
 そうなのだ。
 男たちはレイにアスカの秘口から垂れる陵辱の名残を舌で清めさせるつもりなのだ。
 「そんな……」
 「だってさ。キミのお友達はとても不親切みたいだよ。『綾波レイ君』」
 「ひ、ひ、ひぁ……!」アルビノ少女は唇を噛みしめる。
 しかし、耐えられるはずがない。微細な悪魔の仕業から逃れられるはずがない。
 「キーワード」を数回唱えられると、快楽地獄にどっぷりとはまりこんでいたレイはあっさりと陥落してしまう。
 「ね……、ね……」アスカが見たこともない表情で、決して見たくない淫らで惚けきった表情で、レイは彼女におねだりをするのだ。
 「貴女の、貴女の……舐めさせ……て。お願い。そうしないと、わたし、気が……狂っちゃう」
 「……レイ」アスカはつぶやく。その言葉がレイをさらに追いつめてしまうことなど、もう気がつかない。
 「お願い。お願いなのぉ」綾波レイは繰り返す。「舐めさせて。ザーメンを舐めさせて。代わりに、代わりに気持ちよくしてあげるから、ね?お願いなの、おねがいなの……」
 芋虫のように絨毯を這いながら、アスカの足下ににじり寄ってくるのだ。
 「や、お願い……お願い……」
 泣き歪むアスカの肩ががっしりと押さえられた。
 ぎゅっと両脚を絡め、全身に力を込め、なんとか抵抗しようとする。
 「お願い!お願いだからぁ!」涙をこぼす美少女。そのくるぶしにレイは口付ける。にっこりと淫靡な上目遣いで、舌を伸ばしてゆっくりと這い上がる。
 「ダメ!ダメ!だめよ!レイ!……あ!ダメ、ダメだったら!」
 ふくらはぎに唾液の線を残し、膝裏を舐められる。内腿に沿ってちゅっ、ちゅっとキスマークを付けられた。
 必死で閉じるデルタゾーンにレイが顔を近づける。ふうっと熱い吐息を吹きかけられ、アスカは細い悲鳴を上げた。
 「お願い!お願い!やだ、こんなのやだ!こんなの……」
 舌を伸ばしてなんとかアスカの秘裂を舐めようとしていたレイが顔を上げてくすくすと笑った。
 「貴女の……ふふ……ほっぺ……くすぐったい」
 コンプレックスを抱いていた飾り毛を揶揄されて、かあっと体温が上がった。さらに男たちの「アスカちゃんって友達の気が狂っても構わないんだ。ずいぶん冷酷なんだ」と揶揄されると彼女の意志は大きく揺らいでしまうのだ。
 その間も、アルビノ少女は子猫がミルク皿を舐めるような音を立てて、彼女自身が憧憬の視線で見つめることもあったクオーター少女の美脚を味わっていた。
 やがてついに、しゃくり上げながらアスカの膝の力が抜ける。レイの甘え声に、内腿に付けられるキスの感覚に、彼女はもう抵抗できなくなっていた。
 歓喜のつぶやきとともに、レイが音を立ててライバルの股間をしゃぶり始める。
 「ありがと……貴女……アスカぁ……んん……」
 涙を流しながら綾波レイは惣流・アスカ・ラングレーの花芯を、そこから漏れ出る精液と愛液を舐め取り、さらに深く舌を伸ばして肉襞へねじ込むのだ。
 「あああ、レイ!レイ!よすぎる!気持ちよすぎる!」
 「あす……かぁ。ん……アスカ。美味しいわ。舐めても、舐めてもどんどん出てくるあすかのざーめん、とっても美味しいの」
 少女達は気づかない。
 レイの呼びかけがいつしか変わっていることも、アスカのアルビノ少女への呼びかけに、親愛の情以上のものがこもっていることも。
 「アスカ!お尻のアナも舐めてあげる。だから、もっと大きく拡げて。ね?いいでしょ?」
 「うん!うん!あ、すごくいい!レイ、アンタすごく上手!ああ、大好き、レイ!大好き……」



◆ ◆ ◆



 「アスカ……長いね。うちの母さんとアスカのママのふたりでもこんなに時間がかかるなんて」
 「和装だから。時間がかかるのは当然」
 綾波レイはソファーに並んで座る少年へ素っ気なく応えた。しかし、その口元には微笑みがあった。
 「でも、いいの。時間がかかってもいいの」わずかに体重を移動し、隣の少年へ、同い年の義理の家族の肩に頬を乗せた。満足げに喉を鳴らす。
 「レッスン、大変みたいだね」少年に、碇シンジに心配そうに尋ねられ、レイの心は温かくなる。「毎晩帰りが遅いし、それに……ときどき泣いてるだろ?」
 はっとレイは頭を上げた。
 「ママも?ユイママも知ってるの?」
 シンジは曖昧に首を振った。レイは溜息を漏らす。
 「そんなに大変なの?アイドルのレッスンって」
 うん。とアルビノ少女はうなずく。偽りの表情を浮かべて。

 ……違うの。辛いのはそうじゃないの。辛いのは……。

 「ヘイ!お待たせ……ってこら!レイ!アンタひっつきすぎ!不純異性行為!!」
 振り袖を身につけたアスカが腰に手を当てて、少年少女に警告する。
 「……アスカ、その格好でそのポーズはぜんぜん似合わないよ」
 少年はあきれ顔だった。
 「うるさい!アンタも猫かぶりオンナにくっつかれたくらいでデレデレしない!もっとしゃんとする!」
 はぁっ、と溜息をつく少年。
 でも、いまのアスカにはその表情でさえとても愛おしいのだ。
 決して言葉にはしないし、できないことが分かっていても。
 「さ、アンタも支度できたみたいだし、お礼参りよ!」
 「……ただのお参り。初詣と言うべき」
 レイは優雅に立ち上り、テーブルの上に置いてあったロシア風の帽子を頭に乗せた。
 「行きましょ。碇君」
 カメラの前でも見せない笑みを浮かべてみせる。
 そこにいるのは完璧なまでの美少女だった。
 ファーで縁取りされた白いコートに同じく白のミニスカート。そこから覗く染み一つない美白色の膝にふくらはぎ。さらにいまかぶった帽子が少女の紅の瞳をさらに神秘的に見せるのだ。
 レイは少年が自分の姿に視線を奪われていることを痛いくらいに意識していた。
 「うわ、白ウサギ」アスカがつぶやく。
 「トータルコーディネイト」レイがやり返した。「アスカこそ、カレンダー撮影に使った晴れ着で……近所のお寺に行くだけなのに?」
 「ちょっと気合いを入れただけよ。年の始まりだし」髪留めに手をやり、悩殺的(と本人が考えている)ポーズを取ってアスカは笑う。
 「どう?どう?どう?綺麗でしょ?」
 「えと、あの、うん」彼はうなずく。それは紅茶色の髪の毛をした少女に「うんと言わないとコロスわよ」と目顔で脅迫されていたからではなかった。
 ミルク色の肌に紺碧の瞳と、金糸の刺繍がふんだんに使われた晴れ着が驚くほどに似合っていたからだった。同時にそれは、少女の快活な魅力をまったく削ぐこともなく「よそ行きの美少女」に仕立て上げていたからだった。
 にんまりと笑ってからアスカは宣言する。
 「では、しゅっぱーつ」


 ふたりとも、楽しそうでよかった。
 碇シンジは心の中でつぶやく。
 幼馴染みと家族同然の少女とこのような時間をもてたのは何ヶ月ぶりなのか彼には思い出せなかった。
 それほどまでに彼女たちの生活は激変していた。
 学園生活はさほど変化はなかったが、休み時間になってもふたりは一心にスクリプトを読みふけっていていままで通りの「夫婦げんか」や「ボケツッコミ」も少なくなった。
 そして放課後になると、ふたりは事務所差し回しの車に乗ってレッスンに、撮影に、イベントへと出かけていくのだ。
 休日にしても同様だった。
 二人は夜遅くに事務所差し回しの車で帰ってくると、そのままベッドに倒れ込んで眠ってしまうのだ(事務所でシャワーは浴びてくるようで、石けんの匂いをいつもさせていたが)。
 だから、この「デートとは言えないようなデート」を少女達が楽しみにしてくれたことが純粋に彼には嬉しい。
 「普通の雑誌やテレビ」に載るような写真や映像以外に、「お宝映像」として彼女たちのきわどい姿勢や、盗撮写真、さらには人格をも否定するいやらしいコラージュ画像の存在に傷ついて人間不信に陥りかけている彼女たちが、少年と会話するときだけは過去のママでいてくれることがとても誇らしい。
 彼女たちがそれを望んでいる限り、アイドルとしての成功をバックアップしてあげなければと心から思うのだ。

 だから、仲の悪いようで実はとても親密な会話を交わしていたアスカとレイのすぐ横に、大きな高級車が止まり、馴れ馴れしい口調でその「事務所関係者」が呼びかけてきても不快な表情を極力押さえ込んだのだ。
 たとえそれが「家族」のプライバシーに土足で踏み込むように感じられたとしても。

 「どう?まだ我慢できる?」
 高級車のパワーウインドウが開くとマネージャーが馴れ馴れしい口調で呼びかけた。
 硬い表情ながらも笑みを浮かべていたのは、二人の立場に配慮して、声が届かないところまで離れた少年を気遣ってのことだった。
 「そう。よかった。でも、我慢も夕方までだからね。『綾波レイ君』、『惣流・アスカ・ラングレー君』」
 「「!!!」」
 奥歯を噛みしめて、車に手をかけて少女たちは快楽と戦う。
 「夜になったら『ゲスト』の方々がキミタチのアソコをザーメンでいっぱいにしてくれるから。ああ、レイ君はお口にもちゃんと出してもらえるよ。アスカ君はオシリのアナにもね。分かったかい?」
 「……はい」二人は笑顔を浮かべてうなずく。心が張り裂けそうだった。だが従うよりほかはないのだった。
 碇シンジの声を「キーワード」に設定する。と脅された彼女たちは、驚くほど従順に「レッスン」への参加を受け入れていた。
 好意以上のものを抱いている少年に名前を呼ばれただけで、牝の悦びに達してしまう身体にされることを、あるいは快楽とは逆に苦痛を味わうようにされてしまうことを想像しただけで、惣流・アスカ・ラングレーと綾波レイの心は折れてしまったのだ。
 「よろしい。あ、そうだ。二人ともその格好のままがいいそうだ。さっき画像を送ったらそういうリクエストがあったよ。特に『センセイ』がアスカ君のその姿を気に入ってねぇ。あ、そうそう。レイ君のためにはロケバスが用意してあるそうだよ」
 マネージャーの残酷な言葉に、ああ。と二人は溜息を漏らす。

 ……アタシ、アタシ、晴れ着のままで犯されるんだ。
 アスカは自分の未来を哀しく想像してしまう。

 高級旅館の離れ家で、高級布団の横で正座をしてそのときを待たねばならないのだ。
 やがて現れた相手に晴れの姿を視姦されつつお酌をし、口移しでアルコールを含まされてしまうのだ。
 さらにぴんと張った布地の上からお尻を撫で回され、襟から侵入された指で下着を着けていない乳首をこりこりと弄ばれるのだ。
 耳元で「キーワード」をささやかれながら。絶頂に身を震わせながら。
 そうして絹の布団の上で乱暴に裾を拡げられ、胸をあらわにされ、大事な晴れ着を身につけたままでずんずんとシャフトされてしまうのだろう。
 隣室に控えているらしい宿の「担当係」を気にしてこらえていた淫歌を、泣きながら絶唱してしまうようになるのだろう。
 そのあと、なにもかも剥かれてしまうと、手を引かれ(いや、ひょっとすると首に浴衣の紐をかけられてかもしれない)て露天風呂へ導かれ、そこで一夜の恋人の身体をソープ嬢よろしく清めさせられるに違いない。
 きっと、アナルでセックスするのはお風呂にちがいない。
 身体の中を清めてきたか確認され、「はい」と答えても浣腸が待っているのだ。男は「担当係」を大声で呼ぶと準備を整えさせ、アスカの腸内に邪悪な液体を注ぎ込むのだ。
 道具や指で栓をされ、泣きわめきながら慈悲を請う表情や、悶える姿を楽しまれてしまうのは確実だ。
 「お赦し」をもらって感謝の言葉を声の限りに叫びながら排泄させられ、それからアナルを犯されるのだ。
 自分でも聞くに堪えない歓喜の声を上げながら、マイクロマシンなどなくても自分がセックス大好き少女であることを自覚しながら犯されるのだ。
 そして、最後の屈辱が待っている。
 自分では着ることのできない晴れ着を「担当者」に着付けしてもらわねばならないのだ。
 「ずいぶん、激しい声でせがんではりましたなぁ。きっと、宿じゅうに響いてたにちがいありまへんわ」
 「まだ若いのに、ずいぶんお上手なようで。先生『方』の評判も大変よろしいですえ」
 と揶揄されて涙をこぼしてしまうのだ。


 ……わたし、わたしは確か「五人」を相手に……
 レイは予感に震えてしまう。

 きっとバスの中(それはいつものロケバスなどと違い、ソファーに近い座席が用意された豪華なものに違いない)で彼女は男たちに全身を弄り回されてしまうのだ。
 少女の周りを男たちがぐるりと取り囲み、痴漢遊戯をはじめられてしまうのだろう。お気に入りのミニの下から指が侵入し、ショーツの上からさんざんなぶられ、最近評判になるほど成長しつつある胸を後ろから悪戯されるのだ。
 そうして一回絶頂に至るたびに衣服を一枚ずつ脱がされて、一時間も経たないうちに全裸に剥かれてしまうのだろう。
 そうしてたっぷり気をやらされたあと、ソファーに戻った男たちの股間に顔を埋めフェラチオ奉仕をさせられるのだ。
 バスが街を離れ、郊外の目的地に着くまでの間、彼女はお腹がたぷたぷになるまでザーメンを飲まされるに違いない。
 もちろん「おしゃぶりしているだけで綾波レイがどれくらい感じているか」を背後からじっくりと観察されながらだ。
 バスを降りるときは、レイはもう「人」とはみなされなくなっている。
 首輪と口枷をはめられ、場合によってはアナルプラグを兼ねた「しっぽ」を付けられて、犬のように四つ足でバスを降りることを強いられる。
 夜風に素肌を吹かれながら、「選ばれた者達だけが使うことができる山荘」までの数十メートルをリードを引かれて進むのだ。
 山荘の周囲を数回めぐるころには彼女の体の芯まで冷え切っている。
 そんなペットの健康を気遣って、「優しい御主人様」たちは門柱の前で膀胱をからにする「許可」を与えるのだ。
 数秒の躊躇ののち、一四歳のセックスペットは犬のように左脚をあげて放尿する。男たちの視線に頬を染めつつ、うっとりとした表情でどこか彼方を見つめつつ。
 マゾの悦びに開眼してしまった綾波レイ、その脳裏によぎった「みなさまにくすくす笑われながら、犬みたいに片脚をあげたポーズでおしっこをする自分」というイメージは、人としての尊厳を捨てさせるのに十分なのだ。
 アルビノの堕天使は男たちの哄笑に意識をスパークさせながら、熱い液体をほとばしらせるにちがいない。
 その後連れ込まれた室内では、彼女の地位はわずかに向上する。
 「奴隷給仕」として肌もあらわなメイド服を着せられて、御主人様たちの膝の上に乗ると、口移しでアルコールを飲んでいただくのだ。
 頬を上気させ、ろれつの回らなくなった少女が「粗相」でもしでかせば彼らは大喜びだ。再び「人以下」へ転落し、たちまち天井から吊されてお仕置きの鞭が待っているのだから。
 表向きには「クールでシャープ」なアイドル予備生として人気沸騰中の綾波レイ。彼女が涙をこぼして澄んだ声で慈悲を請い願う姿に、男たちの獣欲は融点を超えてしまう。
 被虐の快楽に目覚めてしまった綾波レイについても同じこと。
 ブラウン管では決して見られない甘え声でセックスをねだりはじめてしまうのだから。
 そんないやらしい美少女に、寛大なご主人達は望み通りに肉棒をくれてやる。
 綾波レイは言われるがままにフローリングの上に這い、後ろ向きにゆっくり進んで腰の位置を調整しながら、柔らかで熱く、狭隘な秘所に御主人様のモノを収めようと努力するのだろう。
 そうして華奢で贅肉一つないその肉体は、男たちの思うがままの姿勢で剛棒を受け入れる。
 男たちの膝の上で。天井から吊されて。ベッドの上で細い足首を掴まれてぐいぐいと揺すられて。あるいは立ったままの男にうっとりとしがみつきながら。
 帰りのバスの中でも、彼女は男たちの玩具となる運命なのだ。
 シャワーを浴びたことを理由に、性交を断る少女には代案として口唇性交が求められる。もちろん拒絶できるはずもない。
 「早く抜いてしまいたい」の一心で少女の舌は熱心に動き回るが、結局それは彼女の肉体を高ぶらせてしまうだけのこと。
 新たに履き直したショーツに染みを発見され、哀しい性に涙をこぼしてしまう。
 さらに時間短縮のためにほっそりとした両手指をも使って三人同時に欲棒へ奉仕するも、結局残りの人間に後ろから貫かれ、甘泣きしながらその整った顔に欲汁をぶちまけられるのがオチなのだから。
 だから、彼女は直接家へは帰れない。留守担当者に事務所のシャワー室を使わせてくださいと涙ながらにお願いし、許可を得るためにもう一度の「ご奉仕」が必要となってしまうのだ。


 「おいおい。ふたりともえらくエロい顔してないか」
 マネージャーに低く哄笑されて、ようやくアスカとレイは妄想から抜け出す。
 だがその身体は熱を持ち、股のあいだにぬるぬるとした液体が分泌していることをお互いに隠すことはできないのだった。
 「じゃ、そういうことで。ごめんね、急で。夕方五時に迎えに来るからねー」マネージャーは周囲に、いやシンジに聞こえるように叫ぶと手を振った。
 「「お疲れ様でした」」
 遮光ガラスのパワーウィンドウに向かって、少女たちはそろってお辞儀をする。
 涙をこぼさぬよう努力しながら、期待に胸を震わせながら。


 そんな二人を碇シンジは眩しそうに、誇らしそうに見つめている。




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