「それ」はひどく無力な存在だった。
 「それ」は自身では何もできなかった。
 「それ」は他の力を使う以外に世界へ干渉する能力を持っていなかった。
 「それ」は今までなんども失敗と挫折を繰り返していた。
 だが、
 「それ」は桁外れに大きな耳を持っており、同時にいくらでも待つことができた。
 「それ」は少なくとも五千年、その試みを続けていたのだから……。



 BINDER 第三話





 「繰り返しますが、あなたの復職要求は一〇〇%通りません」
 「なぜ!なぜだ!あれは何かの間違いだったんだ!オレはあんなこと、したくなかったんだ。それなのにお前たちはオレから何もかも奪いやがって!」
 目の前でつばの飛沫とともに叫ぶ「元教師」に学校当局から派遣された精神科医はひそかにため息をついた。
 「あなた、自分が何をやったか分かっているのですか?女子生徒……綾波レイさん……を教官室に監禁して性的暴行をはたらいたんですよ。そんな人間の復職要請が通るわけないじゃないですか」
 「だから、あれをやったのはオレじゃないんだ。オレはあんなこと、やるつもりはなかったんだよ!だいたい、綾波レイに近づくとオレは頭痛がしていたんだ……あ、あのときまでは」
 精神科医は目の前の男への認識を「観察対象」から「診察対象」へと切り替える。
 ……もはや復職要求どころではない。彼に必要なのは適切な治療だ。
 冷ややかな視線にさらされていることも気づかずに、「元体育教師」はしゃべり続けた。
 「いつもなら、あいつのそばに近づくこともできなかったんだ。綾波レイに対してあんな……性的なことを……考えただけで吐き気が止まらなくなったんだ。それが……赤木リツコに絵を見せられた途端、それが起こらなくなって、それどころか……」
 「『赤木リツコ』とは誰です?それから『絵』とは?」
 「保険医で生物の教師だ。絵は……絵は……?」
 「どうしました?」
 「思い出せない」愕然とした口調だった。「思い出せない。見た瞬間に世界の謎が解けたような……何もかもが理解できたような気がしたほどだったのに」
 「落ち着いて思い出してください」精神科医は彼の言葉に職業的な興味を持ち始めていた。「ゆっくりでいいんです。たとえばその絵は、どんな絵でした?油絵?印刷?色は?それとも線画でしたか?」
 元体育教師は指先に視線を落として考え込む。
 「色は……なかった。確か線が描かれていた。いや、あれは絵と言うよりも模様のような……樹のような……・ダメだ、思い出せない」
 「落ち着いてください。では、その絵は何に描かれていましたか?スケッチブック、カンバス?それとも……」
 「ファイルだ!分厚いバインダーに挟まれていた!赤木リツコはそれを、オレに向かってにっこり笑いながら広げたんだ」彼の声は歓喜に溢れていた。「『ちゃんと見てくださいね』ってストッキングを履いた脚を組み替えながら言ったんだ。『きっとあなたは変わりますわ』って言ったんだ……思い出したぞ!」
 「どんな絵でした?」
 「いや……絵は……思い出せない。そうじゃないんだ。そのバインダーの表紙の文字を思い出したんだ。それには確か……『BINDER』と書かれていて……」
 「もう結構です。ご苦労様でした」精神科医はノートを閉じた。あまりにもばかばかしい話だった。バインダーにバインダーと書かれていた。ただそれだけのことだった。「時間も来ましたので今日のところはお引き取りください」
 「ふ、復職要求は……」
 「今日うかがった内容を吟味した上、もう一度会合を開きます。そのときには私以外に教育委員と学校関係者が同席します」

 男が引き上げたあと精神科医は録音データをPCへ流し込み、報告書を手早く書き終えた。それは当然、元体育教師の復職を認めかねる。というしろものだった。
 もちろん、精神科医は赤木リツコに対して「男にどんな絵を見せましたか」と訊ねるつもりはまったくなかった。
 だから、この件はそれで終わりとなった。「会合」は二度と開かれなかった。

 だが、男が作った報告書は彼が予想もしなかった存在の興味を引いた。
 それは電子の海を散策する小さなプログラムで、ある特定のキーワードに反応するように造られていた。
 その小さなプログラムは電子的な叫び声を上げ、それに誘われて別のプログラムが起動された。それはぐるぐるとネットワークを動き回り、その報告書に書かれた街……第三新東京市……関係のアーカイブを積極的に掘り返し、それが探し求めていたもののごくかすかな痕跡を見つけだす。

 「それ」は桁外れに大きな耳を持っており、同時にいくらでも待つことができた。
 「それ」は少なくとも五千年、その試みを続けていたのだから……。

 「それ」はゆっくりと動き始めた……。




◆ ◆ ◆




 「あ、お、お願い……そ、その指……ぬ、抜いて……おねが……い……だ……か……ら……ひぎぃ!」
 やや赤みがかった栗色の髪の美少女は脂汗を流しながら階段を上っていった。だが、その歩調はいつも快活な十四歳の少女のものとは思えないほど遅く、姿勢も不自然に前屈みだった。
 それどころか、一歩足を踏み出すたびにヨーロッパの血を引く少女の唇からは悩ましい吐息が漏れるのだ。
 「アスカ、何をしているの?もっと急がなきゃ。ほら」
 「ひ!あぐぅっ!」
 少女の数段後ろを歩いていた女教師が左手に力を込めたのだった。その瞬間、アスカのペースは女教師の……赤木リツコから逃れるように速くなる。
 しかし、それはできなかった。
 なぜならアスカの短い制服のスカートを後ろからまくり上げたリツコの手は、完全にむき出しになったショーツの中へ後ろから潜り込んでいたからだった。
 いや、それだけではない。
 「アスカ、そっちじゃないわ。目的地は貴方のお家じゃなくて、こっち」
 「ああっ!」
 踊り場を右へ向かおうとした少女が急によろけ、左へ向きを変えた。
 「あまり大きな声を出さない方がいいわよ。パンツを丸出しでよろよろ歩く姿をご近所の方に見られたくないでしょ?それにしても……まるでリモコンみたい」ふふ、とリツコは笑った。「惣流・アスカ・ラングレーの行き先が私の指一本で決まるのね……ほら!ほら!」
 「あ、ああっ……い、いやぁ……お願い!ゆ、指を曲げないでぇっ!」
 廊下を右へ、左へよろめきながら押し殺した声でアスカはリツコに懇願する。
 そうなのだ。
 光沢のあるサテン地のショーツのなかでうごめくリツコの左手、それはアスカの瑞々しい双丘の感触を味わっていただけでなく、その中指が少女の尻穴へ深々と突き刺さっていたのだった。
 だから、リツコが右へ指を曲げれば、アスカは涙をこぼしながら右へと、
 左へ指を曲げれば、アスカも苦鳴を漏らしながら左へと、
 地下駐車場でセダンの助手席から引きずり降ろされてからここまで、たった一本の指に気位の高い少女は支配されていたのだった。
 「お、お願いです、赤木先生、指を、指を抜いて!お、お尻が……壊れちゃう!」
 ずいぶん可愛くなったわね。アスカ。
 ほつれ毛を頬に張り付かせ、潤んだ瞳て哀訴する女生徒にリツコは優しく微笑んだ。
 「大丈夫よ、惣流さん。貴方の締め付けは二〇分まえと全然変わっていないわ。ぜんぜんユルくなってないから安心なさい。それに、私の指なんかよりずっと太いものを保健室でひり出していたでしょ。問題ないわ」
 「い、言わないで……お願いだから……」
 生来のサディスティンである赤木リツコは徹底していた。
 異物など挿入されたこともない少女の後門に指を差し込んだまま、本来なら五分もかからないはずの距離をその数倍の時間をかけて引き回したのだった。
 彼女は自分が住むマンションの地下駐車場をリツコの指に操られながら三周も歩かされた。
 監視カメラの視線に怯え、出入りする車のヘッドライトに照らされるたびに心臓が破裂するのではないかと思うほど彼女は怯えた。完全に露出した臀部をカメラやドライバーの目から隠すために少女はリツコに下半身をすり寄せ、コートで隠してもらわなければならなかった。
 エレベーターホールではリツコに尻穴をくじられたまま、顔見知りの主婦と(いつもアスカの全身をなめ回すようないやらしい目で見るくせに、決して視線を合わせようとしない)二十歳過ぎのその息子に普段通りの溌剌とした口調で「家庭訪問に来た赤木リツコ先生」を紹介することを強制された。
 さらにいつもなら一五階で降りるはずのエレベーターを10階で降ろされ、吐息と苦鳴を漏らしながら震える脚で階段を上らされる。
 気丈な少女は早くも崩壊しつつあった。
 だが、赤木リツコは全く容赦しない。
 長い廊下をわざとゆっくりと進みながら、少女にこの先の運命を想像させてやる。
 「こ、こっちは……ダメ、イヤ……お願い……言うことを聞くから!せめて……せめてアタシの家で……」
 「だめよ、淫乱な貴方は償いが必要だわ」
 「だって……だって……」
 急激に少女の言葉に涙が混じりはじめ、リツコはそれを純粋に美しいと思う。
 やがて二人は灰色の扉の前へ到着していた。
 「ほら、アスカ。ここが目的地よ。分かっていたと思うけど」
 「あ……ああ……ひどい……」
 分かっていた。ここへ連れてこられることは踊り場を左に折れたときに分かっていた。だが、まだ少女はかすかな希望を抱いていた。「冗談よ。馬鹿ね」とリツコが薄く笑ってここから引き返すことを。
 だが、それは儚い願望にすぎなかった。
 ぷしゅ、とロックが外れドアが開く。
 「さ、入るのよ」
 「い、いや!お願い!……おねがぁぁあっ!」
 「わがままは駄目よ。アスカ」
 わずかな躊躇も抵抗も、リツコの中指がアスカの中をかき回すだけで消え失せた。
 アスカはがくがくと身を震わせてそのマンションの一室へ足を踏み入れる。

 その部屋の表札にはローマ字でこう書かれていた。

 「IKARI」と。



 「あらぁ、ずいぶん遅かったのね」
 寝室のドアが開き、ひどく快活な声がアスカとリツコを迎える。
 「カウンセリングのあとに少しアスカを休ませたから……なんなの、その格好は?」その姿を見るなりリツコが顔をしかめる。
 「だって、あれこれ運動したし、これからもするわけだし……ね?」相手はちらりと舌を出す。
 その女性を確かにアスカは知っていた。だが、十四年間の人生で初めて経験した強烈な刺激で麻痺した少女の思考はほんのわずかしかはたらかないのと、その姿……クロスがのぞくひどく襟ぐりの大きなタンクトップは双胸の先端がはっきりと浮き上がり、カットオフジーンズから伸びるむっちりとした太股はぬめぬめと艶やかなそれ……はいつも見慣れているものとかけ離れていたために、その女性が誰か思い出すことができない。
 相手の返事にリツコはきまじめな表情のまま首を振った。
 「あなたが楽しんでどうするの?」
 てへっ、と相手は笑った。「お仕事は楽しくやるべきよ。リツコだって……ずいぶん楽しんだんじゃないの?あの『惣流・アスカ・ラングレー嬢』がこんなにしおらしくなっちゃって。ほら、このとろーんとした顔。あたしが誰かも分かってないみたいよ。リツコぉ、ちょっとやりすぎたんじゃないの?」
 「楽しんだんじゃないわ。努力の結果、こうなっただけよ」
 「ひやぁっ!」
 アスカが悲鳴を上げた。リツコが勢いよくアスカの中から指を引き抜いたのだった。寒気にも似た感覚が背筋を這い上がり、一瞬目の前が真っ白にフラッシュする。がくがくと身を震わせふらつくアスカを後ろからそっとリツコは腕を回して抱き寄せ、さっきまで少女を支配していた中指をわななく口中へ差し入れた。
 「あーあ、アスカ、いくら自分のものだからって……そんなの舐めさせられちゃって」
 「甘いはずよ。グリセリンの味だから」淡々したリツコの言葉に彼女は目を丸くしてみせた。
 「あちゃー、オナカの中まで綺麗にされたの?ずいぶん厳しい『カウンセリング』だったのねぇ。辛かったでしょ?アスカ?」
 知ってるくせに。白々しいわね。リツコは苦笑する。だが、これも「教化」には必要なプロセスなのだ。「被検体」を次のステージに進ませるためにも。
 リツコはアスカの口中から名残惜しげに指を抜いた。顎をつかんで相手へ惚けた表情を向けてやる。唾液に濡れた指が少女の唇をそっとなぞった。
 「お返事なさい。惣流さん。カウンセリングを再開するわ」
 ぐらぐらと顎を掴まれて揺すられるうちにアスカの蒼い瞳に焦点が合い、ようやく状況を認識する。はっと目が見開かれる。
 「ミ、ミサト!ミサト……先生?」
 「こんちは。アスカ」にっこりと微笑む担任教師。「聞いたわよ。トイレでエッチなコトしてたのをリツコに見つかってオシオキされたんだって?」
 「カウンセリング」とむっとするリツコ。
 「いいから黙ってて。ね、アスカ、ちょっとは反省した?」
 「ミ、ミサト!なに、なんなの!?こ、これ?」
 「これ?一応カウンセリング……かな?」
 「な、なに言ってるの!こんなことって異常だわ!こんなの、カウンセリングでも罰でもないじゃない!アンタたちはあたしをオモチャにしようとしているだけじゃない!あ、あなたたちは……ヘ、ヘンタイよ!」
 「……さすがアスカね。一筋縄ではいかないわ」リツコはため息をついた。「ミサト、あなたがお気楽な会話をするから……」
 「いいえ、違うわ。ヘンタイはあ・な・た・な・の。惣流・アスカ・ラングレーさん」リツコの抗議を無視して朗らかにミサトは続ける。「あなたが綾波レイに対して抱いた妄想、あれってすごくない?お姉さんびっくりしちゃった。自分に対してあんないやらしいことをアスカが考えてたなんてレイが知……」
 「やめて!」どきりとするアスカ。「レイには、レイには言わないで、お願いだから……」
 「……アスカが考えてたことをレイが『知って』、涙を流して悲しんでいたわ。アスカ。もう……手・遅・れ」ミサトはにんまりと笑ったままドアを大きく広げる。
 「ごらんなさい。アスカ。あなたのせいなのよ。あなたのせいで、こうなっちゃったのよ」


 開け放たれたドアの向こうに、綾波レイがいた。
 彼女を印象づける紅の瞳は漆黒の布で隠されていても、プラチナブロンドのショートカットにアルビノ特有の透き通るような肌、そして華奢ですらりとした肉体は、それが間違えようもなく彼女であることを物語っていた。
 だが、目の前の光景をアスカの脳は理解することを拒んでいた。
 目の前の光景を淫夢の続きとして処理しようとしていた。

 当然だろう。
 アスカの幼馴染みの従姉妹である綾波レイが一糸もまとわぬ姿に剥かれ、椅子に腰掛けた男にまたがっていることなどあり得ないのだから。
 (お互いにそうだと認めたがらないが)アスカの無二の親友でもある第三新東京市立第壱中学校2−Aの生徒、綾波レイの肉付きの薄い中性的な尻が割り裂かれ、まだ飾り毛も生えそろっていないそこに黒々とした、ゴツゴツとした肉棒が血と粘液にまみれつつ出入りしているなどあり得ないのだから。
 シンジとアスカ、それからユイ以外には滅多に言葉を発しないそのちいさな口いっぱいに白い布が詰め込まれ、意味のないうめき声以外を封じられているなどあり得ないのだから。
 アスカが学校のトイレで自慰したときに抱いた妄想と同じシチュエーションで綾波レイが犯されているなど、あり得ないのだから……。

 「い、いや……いやぁ……」
 「ね?これは、アスカのせいなのよ」
 細い悲鳴を上げる少女にミサトがささやく。
 「あなたがあんないやらしいことを考えなかったら、レイはこんな風に犯されたりはしなかったわ」
 「いやぁぁぁっ!」
 アスカはついに絶叫する。
 だがレイにはその悲鳴は届かない。その耳には大きなヘッドホンが被せられ、なにかが大音量で流れているために彼女の聴覚は完全に閉ざされていたのだった。
 さらにその躰は後ろ手に固く縄がけされて抵抗を封じられていた。バストの上下を横断する黒いロープのおかげでくびり出された乳房は意外なボリュームを持ち、ピンクの乳首が痛々しいほどに立ち上がっている。
 「むぐっ!ふあっ!はぅううん……」
 これ以上ないほど勃起させられた乳首を男は舌を伸ばして左右交互に舐め上げた。
 歯を立てて軽く引っ張ってから物惜しげに解放してやる。
 口いっぱいに柔らかな乳房を含み、舌を回転させて刺激を与える。
 「んふぅっ……ん!ん……んんぁっ!」
 レイは全身を上気させ、ぐらぐらと首を揺すりながらその愛撫を受け入れるしかない。
 そうなのだ。綾波レイは惣流アスカが抱いた幻想をもとに、さらに淫らに卑劣なアレンジを加えた姿で犯されていたのだった。

 「ああっ、お、お願い!レイを、レイを助けて!レイを助けてあげてよぉ!」
 アスカが哀願するあいだにも十四歳の少女は男の上にまたがり、その狭隘な肉壺で、その瑞々しい全身で陵辱者へ快楽を供給していた。
 少女の肉体を思うがままに撫で回し、吸い付くような肌と未成熟な魅力にあふれた曲線を楽しんでいた男の指がゆっくりと下がり、薄い肉付きの尻を滑り降りてやがて彼女のアナルに達する。とんとん、と探るように薄く茶色にすぼまったそれを刺激する。
 「ん!んんん!むぅっ!」
 男の脇腹で揺れていたレイの両脚が大きく跳ね上がり、背中がぐいとたわんだ。大きくなんども首を振って拒絶の意志を示そうとする。
 「ふぐぅぅっ!うぐぅ!んはぁっ!」
 しかし男はなんの躊躇もせずにずぶずぶと指を突き刺し、レイの菊門をかき回す。彼女は口中の白布を噛みしめて絶叫していた。
 だが……。
 綾波レイのあげる声が男の指が出入りするにつれ、やがて鼻にかかったものになるのはなぜだろう。
 その声が時々せっぱ詰まったものになり、そのあとに全身をぶるぶると痙攣させてしまうのはなぜだろう。
 痙攣のあと力無く垂れた両脚が、愛撫が再開されるといつしか男の背中の後ろでしっかりと結び合わされているのは……綾波レイの自身の意志なのだろうか。
 「彼女は前後同時開発でね。だから今は後ろのほうが感じるはずだ」
 レイをむさぼっていた髭の男がにやりと笑い、アナルから勢いよく指を引き抜いて少女をまた痙攣させてから黒眼鏡を直した。
 その男をアスカはよく知っている。
 「……お、おじさま?ゲンドウ……おじさま?そんな、そんな……レイって……家族……なんでしょ……」
 その男は碇ゲンドウ、彼女の幼馴染みの父親であると同時に綾波レイの養父でもある男だった。彼は唇を歪めて笑みの形にする。
 それからレイのおとがいをつかみ、彼女が噛みしめていた白布を取り出して床へ投げ捨てる。ぺしゃり、と音を立てて広がったそれは、間違いなく少女の下着。シンプルでただ清潔なだけのコットン製の「アンタね、それってコドモのパンツじゃない」とアスカがレイをからかっていたもの。

 もう、疑いようがなかった。

 ……あの通りにされたんだ。
 ……気が狂うほど無理矢理感じさせられて、死にたくなるくらいに恥ずかしいことされて……。
 ……自分の下着をくわえさせられて、助けも呼べず、悲鳴も上げられないでバージンを奪われたんだ……。
 ……きっと、お尻の穴にクスリを塗り込まれて、心は嫌でたまらないのに、身体は欲しくてたまらないようにされたのよ。
 ……アタシが想像したとおりに……レイは……この男に、碇ゲンドウに……犯された……。

 アスカは震え始める。気が遠くなりそうだった。
 「レイは芸術品だ」ゲンドウに身体をあずけ、咳き込みながら深呼吸を繰り返すレイを愛おしげに眺めていたゲンドウが不意に言った。「一級の愛玩品だな」だが、その冒涜的な言葉にリツコもミサトも異議を唱えなかった。「あらゆる要素がレイを芸術品たらしめている。たとえば……この透き通るような肌。男をそそる神秘的な表情。華奢な肉体の抱き心地は『その趣味』を持たない男でも即座にやみつきになるだろう」ふっ、とリツコが笑いを漏らしたが、ゲンドウはなにも言わずに続けた「さらにこの締まりとヒダの具合に文句を付ける者はおるまいよ。そして……その音色」
 ゲンドウはレイの滑らかだがまだ控えめなカーブを描く腰に手を回し、引き寄せる。もうレイは逆らわない。男の胸へ上気した頬を寄せた。桜色の唇から溜め息が漏れた。
 そのあとだった。アスカがそれを聞いたのは。
 「……んっ……あぁっ……くぅぅん……」
 かすかなその声をアスカははっきりと聞き取った。それは幻聴ではなかった。
 「……くふっ……んんん、はぁっ……あはぁ……」
 それは押し寄せてくる欲望に抗しきれなくなった「おんな」の肉体から絞り出される吐息だった。
 「あぁっ、あ、熱い……あつ……い、お、おしり……おしりの……あな……あつい……のぉ……あぁ……くぅ」
 それは羞恥と絶望がブレンドされた、聞く者を陶酔させる音色だった。
 「はぁっ、ああっ、あ、お、おじさま……おじさま、ああん……あん!……っはぁ」
 それはゲンドウのペニスと指で前と後ろの穴をふさがれている綾波レイが奏でる快楽の声だった。

 「……レイ……レイ……」
 アスカはそれ以上の言葉を紡ぎ出せない。たとえ出せたとしてもその声が目隠とヘッドホーンで外界から切り離され、性的な刺激で飽和されてしまったレイに届くはずもない。そのうちにも十四歳のアルビノ少女があげる鳴き声はさらに切なく、媚びを含んだものとなる。
 ……とろり。
 「あっ!」アスカが息をのんだ。
 「あら?どうしたの?」彼女を後ろから抱きかかえているリツコに少女はできる限り素っ気なく答える。
 「な、なんでもないわ」
 ショーツの奥が熱を持ち、したたりが下着を汚していることに気が付いたのだった。
 ……触られてもないのに。いじめられているのはアタシじゃなくって、レイなのに……。
 アスカの表情の変化に気が付いたのだろうか。ゲンドウは邪悪な笑みを浮かべつつレイの目隠しをするりと外し、プラチナブロンドをつかんでアスカの方へ振り向かせる。
 「……レイっ」アスカは再び息をのむ。
 レイの紅の瞳はどこか別の世界を見つめていた。
 紅潮した頬に浮かべる笑みはひどく物欲しげだった。
 自慰以外の性的経験がなかったアスカでさえ、綾波レイが快楽の虜になってしまったことは理解できた。
 「いやぁぁぁっ!」
 少女は叫ぶ。アスカの淫夢はもはや現実のものとなっていた。
 「レイ、レイ、お願い、目を覚まして!しっかりするの!レイ!レイ!レイ!」
 自分の声が届かないことを知りつつも、アスカは叫び続けた。叫ばずにはいられなかった。
 「レイ、レイ、お願い。お願い、しっかりしてぇっ!」
 祈りが通じたのか、レイの瞳はゆっくりとアスカに焦点が合った。弱々しくその唇が動いた。
 「あ……あす……か?アスカ……なの?」
 だが、そのあとのレイの反応はアスカの想像を超えていた。
 レイは陶酔しきった表情のままこう言うのだ。
 「あ……アスカ……あなたの……いうとおり……すごく……いいの。はずかしいこと……いうのも……おしりのあなも……すごく……いいの……。クスリをたっぷりぬられて、ごりごりされると……とけちゃい……そうなの……。ねぇ……わたし……これから……どんなイヤラシイこと……されて……して……しまうの?」
 「レ、レイ……しっかりしてよ……レイ、おねがいだから……」
 アスカの呼びかけには全く反応せず、レイは虚ろにほほえみながらうわごとのように続ける。
 「あ、あはっ……そうなんだ……あたし……キモチのいいことで……あたまのなかまでどろどろにされて……おちんちんがだいすきになるのね?……ああ……あたし、せっくすのことしかかんがえられなくなっちゃうんだ……。はぁっ……それって……すごく……すてきなことなのね?」

 「あーあ、レイったらトロトロにされちゃって……よっぽど気持ちよかったのね。だけど、あの鉄面皮な彼女がずいぶん素敵になったでしょ?」
 手を伸ばしてレイのシャギーを弄ぶミサトは朗らかに言った。アスカは言葉を失い、ただ震えているだけだ。
 「これはアスカの功績よねぇ。ね?リツコ」
 「そうね」リツコは苦笑する。
 「ね?アスカ?聞かせてあげようか?レイをメロメロにしちゃった『音楽』を」
 答えを待たずにミサトはレイの頭からヘッドホンを外し、同時にコードをアンプから引き抜く。
 その瞬間、スピーカーから大音量が流れ出す。

 「あああっ!いやぁぁ!」
 ぱしん!
 「痛ぁい!痛いよぉぉっ!」
 ぱしん、ぱしん!
 「お願い!お願いだからぁっ!もう、ぶたないで!お尻は、お尻はいやぁ!」
 ぱしん、ぱしん!
 「あ、あぁぁ……お、おしり、おしり……た、たたかれると……あ……も、漏れちゃう、漏れちゃうよぉ……」
 ぱしん、ぱしん!ぱしん!ぱしん!
 「ひ、ひぎぃ……ぁああ……い、言います。言います。言うからぶたないで!……レ、レイは……そのあと……男の人にハメられながら……こ、腰を前後にぐりぐりう、動かしてました!そ、そうです!クリトリスを男の人のお腹にこすりつけて喜んでたわ!そうよ!レイは嬉しそうに、すごくうれしそうにイヤらしい声を上げてました!」

 最初それが誰の声なのかアスカには分からなかった。
 だが、アスカは震え始める。
 スピーカーから聞こえる奇妙なエコーのかかった声。
 ひどくせっぱ詰まり、媚びるような口調で友人の痴態を「報告」する声。
 それはアスカ自身の声だった。

 「そ、それから、レイはお尻を振りながら腰を上下させて……イヤラシい音を……ぐちゅぐちゅ、って!すごくイヤラシイ音を立てて……うっとりしながらオチンチンを自分で出し入れしてたわ!すごく大きいオチンチンが全部入っちゃうの!言ったでしょ!ね、レイがどんなにヘンタイか言ったでしょ!だから……もうぶたないでぇぇ……」
 「まだよ。まだ。そのとき、レイはどんなことを言っていたの?それも教えてほしいわね。駄目かしら?」
 「あああああぁっ!言います!言いますぅっ!レイは『大好きです。これ、いいです』ってうわごとみたいにつぶやいてました!それから、『センセイのことが大好きです!』ってなんどもなんども言いながらキスしていました……ああ、まだあります!あ、あああ……言います。だ……だ、駄目……そ、それ、抜かないで……お願い、も、漏れちゃう……ぬ、抜かないで!」

 アスカの「告白」はとめどもなく続いた。

 それは欲望に負けてしまった綾波レイがどのように快楽をむさぼり、どんなに破廉恥な行為を行い、それに相手がどう応えたか。
 快楽に支配されたレイが陵辱者にどんな「誓い」の言葉を述べたか。

 その内容はもはや相互に矛盾し、時系列まで狂っていた。
 しかしアスカに告白を促していた声……赤城リツコの声……はそれについて一切口を挟まない。
 だが、彼女が言葉をとぎれさせることは許さなかった。アスカが口ごもると「尋問者」は脅迫と体罰で続きを促す。
 だから、アスカの泣き声混じりの告白の中で、綾波レイはさらに淫らな存在となっていくのだった。

 「……よく教えてくれたわね。惣流さん。とてもよく分かったわ。貴女が綾波レイをどんな女の子だと心の底で考えているか、そして、あの子をどうしたいと思っているかが」
 一〇分以上続いた告白がとぎれたとき、ようやく尋問者はその手を緩める。アスカはただ泣きじゃくっていた。
 「あなたも心が軽くなったんじゃない?アスカ」
 アスカは答えない。ただ嗚咽を漏らすばかりだった。
 「まぁいいわ。じゃ、こっちも楽にしていいわ」
 そのとたん、アスカの声のトーンが変わった。
 「だ、だめ、だめ……いやぁっ!それ駄目、いや、抜かないで!」
 「どうして?楽になりたいでしょ?」笑みを含んだ声に対する少女の叫びが悲痛に響く。
 「やめて、やめて!ト、トイレに行かせてくれる約束は……ああぁっ……うああぁ!」
 「貴女にそんなことを言う権利はないわ。惣流・アスカ・ラングレー。貴女は、いま、ここで、バケツにするの。でも、床を汚したら貴女の口と舌で掃除するのよ」
 「ひ、ひぃあぁぁ……っ!」
 次の瞬間、聞くに堪えない噴出音と、液体混じりの柔らかな固形物が樹脂製バケツの底にぶつかる音、そしてアスカの細く長い悲鳴がスピーカーから大音量で流れる……。

 「すばらしいシナリオ、すばらしい想像力だ。アスカ君」
 まるでレポートの感想を述べるようにゲンドウは言った。打ちのめされたアスカは言葉も出ない。膝の力も抜けてしまってリツコに支えられているような状態だった。
 「ホントにそうね。すばらしいわ。リツコから送られてきたこの音声データを聞いたとたん、碇司令が『この方針で行こう』っておっしゃったのも当然よね」

 ……?しれい?司令?この人は確か「なんとか生物学研究所の所長」だったはずなのに……。
 アスカのなかば麻痺した思考が違和感を感じる。だが、それについて深く考えることはできない。その間にもミサトの楽しげな言葉は続いた。
 「だからね、『眠り姫』プレイ……じゃなくって『計画』は変更。鎮痛剤で眠っていたレイちゃんをわたしと司令でそーっと寝室へ運んで、ユイ夫人のベッドにがっちり大の字に固定してから……」一度声を切り、ゲンドウの上でうつむくレイの頬をそっとなでた。「目を覚まさせて、パニクってるあいだにパンティ以外をぜーんぶ脱がしたわけ」
 アスカは寝室の床にレイのお気に入りの水色のパジャマだったものの切れ端が散らばっていることにようやく気が付く。
 「そうしておいて、アスカ君の『告白』をヘッドホンで彼女に聴かせたわけだ。ああ、レイがもっと集中できるように目隠しも追加してな。いや、それにしてもずいぶん見物だったよ」
 「最初のうちはね、レイも抵抗してたのよ。『こんなことはユイ母さんが悲しみます』とか『私におじさまをケイベツさせないでください』とか叫んでなんとか縄をほどこうとしてたの。だけどね、ヘッドホンから何が聞こえているのか分かってくると、さぁっと青ざめて……『うそ……』とか『どうして……』とかつぶやきながら震え始めたの。見ててホントにゾクゾクしちゃったわ」
 「だが、数分もしないうちにだんだん頬が染まり、表情が色っぽくなってきたのは驚いたな。そのうち指も触れていないのにもじもじし始めるわ、ぽっちりと乳首が立ち上がるわ……じきにアスカ君のことを切れ切れに呼びながら可愛らしくあえぐようになっていたよ」
 「やっぱりアスカの言ってたことは正しかったわ。レイって変態中学生だったのよ」ミサトは断言した。「だって、大股開きのショーツの股間にいやらしいシミが浮かび上がってきて、アソコのかたちが分かるくらいに濡れちゃうまでたったの一〇分よ! 私と司令は指一本触れていないのに」
 「お願いです……葛城先生……もう許して」レイが潤んだ瞳でミサトを見上げる。担任教師は教え子を完全に無視して言葉を続けた。
 「だーかーら、レイの期待に応えるためにあたしと司令とでレイのオッパイをたっぷりいじってあげたの。ちっちゃいけれど柔らかい丘をしっかりマッサージして、指で先っぽをコリコリして、くすぐって……泣き叫んじゃうくらい爪を立てて……あ、軽く噛んでもあげたっけ。そしてお詫びにぺろぺろしてあげて……」
 ああ、とレイが甘い声を上げた。ゲンドウの指がやわやわと彼女の乳首を弄んでいたのだった。たちまちのうちにレイの瞳は焦点を失い、半開きになった唇からは満足げな吐息が漏れた。
 「やっぱり胸が小さい方が感じやすいのかなぁ。もう、いじり始めるとあっという間にレイったらメロメロ。オッパイだけで三回もイっちゃったの……あ、これってアスカの予想通りね。三回目にはね……潮まで吹いちゃって、シーツまでぐっしょり。それにしてもホント、いい声で鳴くのよね。このコって……」


 体育教師によって強引に快楽を教え込まれたとはいえ、まだ蕾だった綾波レイをいかにして開花させたか。
 葛城ミサトと碇ゲンドウはその情景を嬉嬉として語る。


 養父と自分の通う中学校の担任教師の二人がかりで胸の性感を「復習」させられた少女は拘束を解かれたのち、こう命ぜられた。
 惣流・アスカ・ラングレーの「報告」にあったとおり、自分自身で下着を脱ぎ、いっぱい感じたその証拠……濡れそぼったショーツのクロッチを二人に見えるように広げなさい。
 レイは断固拒否した。そもそもそんなことが自分にできるとは思えなかった。
 だが、二人は言った。
 やりなさい。あなたのライバル、あなたのあこがれ、惣流・アスカ・ラングレーもそれを望んでいるのだから。
 あなたも聞いたでしょ?彼女はいやらしいレイを望んでいるのよ。
 レイは首を振る。できるはずがなかった。
 その瞬間、視野が反転した。息が詰まる。
 ベッドに腰掛けている碇ゲンドウの膝にうつぶせに乗せられたのだと気付くよりも早く、重々しい痛みが尻から響いた。
 ゲンドウによるスパンキングだった。
 三回までは我慢できた。
 四回目からは食いしばった歯から悲鳴が漏れた。
 七回目からは泣き叫び、一〇回目にはプライドもなにもかも投げ捨てて養父に慈悲を乞いはじめる。
 十一回、十二回。少女の叫びは通じない。
 打撃と打撃のインターバルがしだいに開き始める。だがその間に尻肌は燃えるように熱くなり、じんじんとする感覚は痛みとは別のもの……どこか切なく……こそばゆい感覚……を少女の脳髄に伝えた。
 十八回、十九回、二〇回……。
 一打ごとにくりくりと動く小振りのヒップが「男を誘う動き」になっていることに少女は気が付かない。
 レイの脳が自己防衛のために大量のエンドルフィンを分泌していることに気が付くはずもない。
 脳内麻薬が痛みを別の感覚にすり替えていることにも気が付かない。
 自分の上げる哀願の声が二人には(いや、その二人以外にも)睦言のような響きを帯びつつあることに綾波レイは気が付かない。
 ……二九回、三〇回。
 折檻は中断された。静寂の中、息を荒げ泣きじゃくる少女へゲンドウはふたたび命じた。
 自分自身で下着を脱ぎ、いっぱい感じたその証拠……濡れそぼったショーツのクロッチを二人に見えるように広げなさい。
 レイはすがるようにゲンドウを、それからミサトを見上げた。
 「返事はどうした?レイ」
 重々しい声が少女の願いを跳ね返す。ゲンドウは汗ひとつかいていなかった。
 「はい……」
 レイは何度も何度もうなずきながらよろめき立ち、涙をぽろぽろとこぼしつつ、少女を守る唯一の布に指をかける。
 碇ゲンドウは自分の膝に目をやり、そして微笑む。そのスラックスの膝の部分、いままでレイの下腹部が押しつけられていたその部分は綾波レイの分泌物で変色していた。
 そう、綾波レイは男に尻を叩かれているうちに、さらに溢れさせてしまったのだった。
 「もう大丈夫だ。彼女は『人形』となるだろう」
 ゲンドウは勝利を宣言した。

 黒眼鏡越しの好色な視線をかわすようにレイは顔を背けた。すっ、とかすかな衣擦れの音と共にレイの下着が……少女を守っていたたった一枚の布きれが……自らの手で下ろされる。前屈みになり、すすり泣きと共に足首から丸まったショーツが抜き取られた。可能な限り男の視線から身を隠したつもりだったが、部屋に置かれた何枚もの大きな鏡は彼女の桜色に染まった尻も、薄い飾り毛が濡れそぼっているさまも映しだしていて、ゲンドウは少女を細部まで堪能できた。
 だが、やはりそこまでだった。レイは前屈みの姿勢のまま身体を抱えてしゃがみ込んでしまう。
 「いや……お願いです……もう、許して……」
 「だめよ、レイ。わがまま言っちゃ」
 ぐい、とプラチナブロンドが掴まれ、少女は無理矢理立たされた。
 「い、痛い!」
 顔をしかめ、なんとか胸と下腹部を隠そうとするレイをミサトは髪を掴んで揺さぶった。
 「レイ?あなた『はい』って言ったでしょ?司令もわたしも、嘘は嫌いなのよ。まだ『お仕置き』が必要なの?優等生のアナタがずいぶん聞き分けの悪いこと」
 赤く染まり、疼くヒップをミサトがなで上げる。
 「ひっ!」
 じんじんする肌に与えられた未体験の感覚に悲鳴を上げるレイ。
 「あらあら、また尻振りダンス?すごくエッチ」ミサトが笑った。その笑みが消えぬ声でレイの耳にルージュを塗った唇を寄せた。
 「どうなの?レイ?」
 一瞬の沈黙。ミサトはレイの尻をふたたびなでた。
 「ひっ!ご、ごめんなさい!お仕置きは……お仕置きは……いや」
 「じゃぁ、見せてくれるのね?レイのぱんつの汚れたところ」
 少女はうなずいた。他に選択肢はなかった。ミサトはレイの耳へ吐息を吹きかけ、甘くささやく。
 「うふっ……いい子ね、レイ。はい、シャイなアナタには先生が逐一どうすればいいか教えてあげる。いい?まず脱いだ下着を裏返して……そうそう、それからショーツの中へ右手と左手を入れて、おマタの部分をぐいっと広げる。……おっけーよ。脚は『休め』の姿勢で肩幅に広げて、両手は前へならえ!って感じに。そうよ、あなたは恥ずかしいところを隠す権利なんてないの。はい!いいわよぉ。じゃ、お養父さまの方を向いてにっこり笑いなさい」
 十四歳の少女の破廉恥なポーズが完成した。涙を流しながらなんとか口元を笑みの形にする教え子に葛城ミサトは命令する。
 それじゃあね、いまから先生が教えてあげるとおりに大きな声で、はっきりと、お養父さまにお願いするのよ。わかった?
 担任教師に火照る尻肌をほっそりとした指でなで回され、さらにそれはときおり谷間へ滑り込んで熱い浅瀬をかき回された。
 「……あ、あ……は、はい……」レイはがくがくとうなずく。もう逆らえなかった。恐怖と羞恥と、皮膚から伝わる感覚は彼女の精神をがんじがらめにしていた。
 だから耳たぶを甘噛みされつつ吹き込まれる台詞がどんなに恥知らずなものなのかを理解しつつ、そして、教えられる告白の内容が自分しか知らない秘密であるにもかかわらず、彼女はまったく疑問を抱けないまま、教わったとおりの言葉で「お願い」をする。

 「……ゲンドウ……おじさま……わたしは、綾波……レイは毎晩、オ、オナニーしないと……我慢できない……くらい……いやら……しい女子中学生です……お風呂が長いのは……こっそり……してるからです……みんながりびんぐに……いるのときに……わたしのおへやで……ど、ドアを細く……開けてしてたことも……あります。一人でお留守番してたとき……ユイママのベッドや……シ、シンジ……く……んのベッドにう、うつぶせになって……匂いをかぎながら慰めたことも、あ、あ、あるんです!ど、どうかそんなわたしの濡れ……ぐあ……い……を確認……してください……」
 養父は唇の端をきゅっとつり上げて養女の秘所を覆っていた布をじっくりと眺めた。
 「後ろの穴のところまで濡れているな。レイ。洗濯しても跡が残るんじゃないか?」
 生真面目な声で碇ゲンドウは少女の分泌物について論評を開始した。染みの形や色、さらに後ろの方にうっすらと付いた茶色い汚れにまで彼の言葉は及んだ。
 その一言ごとに綾波レイの頭の中は白熱していく。
 男の顔が不意に広げられたショーツに近づいた。
 「あ……ああ……そんな……」男がなにをしようとしているのか彼女は理解する。反射的に引っ込めようとした両腕をミサトが背後からしっかりと押さえた。
 「だーめ。終わっていいとは言ってないわ」
 「ああ……お願いです……いや……あ、ああ……」
 いっぱいに息を吸い込み、ゲンドウは言う。
 「まだ乳臭い。いや、小便の臭いもするな。牝の匂いになっていない。まだまだだな」
 彼の目は笑っていた。

 綾波レイにとっての悪夢は続く。
 ゲンドウとミサトが少女に強制する行為はすべて、レイがいままで抱いたことのある淡い性的な妄想やいままで体験した苦痛をはるかに越えるものだった。少女が本来持ち合わせている怜悧な判断力を奪い取ったのはその肉体に与えられた快楽や苦痛よりもむしろ、彼女の目の前に次々と展開する異常なシチュエーションの持つ圧倒的な破壊力のためだった。
 だが、碇ゲンドウが次に取った行動はレイに対して最大級の衝撃を与えることになった。
 綾波レイによって「捧げ持たれた」下着、そのぴんと張られ、粘液が光る股の部分にゲンドウは舌をゆっくりと伸ばしていくのだった。
 彼女の紅の瞳が見開かれた。
 匂いをかがれるだけでも気が狂いそうだったのに、まさか、そんな……。
 「嫌、やめて、おじさま……」
 レイは震えた。なんとかして男の舌から下着を離そうとする。しかしミサトにがっちりと手首を捕まれ、少女は姿勢を崩せない。
 「いやぁぁ……いやぁ、いやぁ……」
 「だーめ。しっかりご賞味いただくのよ」
 じゅるっ
 音を立てながらゲンドウはレイの下着を舐めあげた。
 じゅるっ、じゅるっ、くちゃっ、ずりゅっ。
 男はレイの表情を観察しながら清楚な下着に舌を這わせ、少女の蜜を舐め取り、唇で布地を挟んで吸い上げる。
 ちゅぱちゅぱ、ちゅうぅうっ。
 ひどく美味そうに。
 とてもうれしそうに。
 「あ……あぁぁ……いやぁ……いやぁ……おねがい……やだぁ……」

 それは地獄だった。
 濡れた下着を奪われ、それに付いた粘液を舐めしゃぶられたのであれば、レイはここまでショックを受けなかっただろう。
 だが、違うのだ。
 そうではないのだ。
 彼女は男が味わいやすいように自分自身で下着を広げ、華奢な腕をいっぱいに伸ばしてそれを「捧げて」いるのだった。
 一糸もまとわずに、まだ幼い裸身をさらして、自分の手で男が舐めやすいようしているのだ。
 男の舌が布を這う感覚が、男の満足そうな吐息が、直接自分の手に伝わってくるたびに本来潔癖性の彼女は汚辱感に肌を粟立て、こころの逃げ場を失っていく。
 いつしかミサトは少女から離れても、レイは強制された姿勢をとり続ける。泣きじゃくりながらも魅入られたように男の舌が動くさまを見つめている。
 まっすぐ伸ばされたレイの両手が疲労で震えはじめた。
 そろそろ頃合いと判断した碇ゲンドウはレイのショーツを奪う。少女は放心したように両手をだらりと下げた。
 「ふん、惣流の娘の予想とはちょっと外れたな。レイの『汁』は酸味はそれほどでもない。むしろ、もう少し塩気があった方がいいかもしれん。いや、直接しゃぶれば塩気は付くか」
 湿っていないところの方が少ない白い下着で満足げに口をぬぐうゲンドウにすかさずミサトが相づちを打つ。
 「今もどんどん湧いていますわ。内股づたいに垂れて絨毯を汚すくらいに。こんな格好を強制させられているのに……ああ、強制させられていたからどんどん蜜が出てくるんですね」
 「そのとおり。レイは恥ずかしいことをされるのが好きだからな。見たまえ、乳首もぽっちりと勃起させている」
 おぼつかない足元で立ちつくす養女を眺めつつゲンドウは断言した。
 「だが、我が愛娘はまだ硬いな。まだ口答えが多いし、特に表情がまだまだだ。もう少しほぐしてやらねば」
 半開きの唇に養父の指が突っ込まれ、大きく口を開けられた。
 「あ、あぐぅ!」
 ゲンドウの大きな左手で丸められた下着がレイの口へ押し込まれる。
 「うぐっ、ぐ、ぐ!」ゲンドウから逃れ、口中の布を取り出そうとする彼女の両手はミサトによって後ろへ無理矢理回され、ロープのようなもので手際よく固められる。
 「どうぞ、司令」
 ミサトの手からロープの端が渡された。ゲンドウはさらにそれを使ってたちまちのうちに綾波レイの二の腕を固め、控えめな双乳をくびりでるように縛る。
 「すごぉい。レイってロープがこんなに似合うなんて」
 大げさに驚いてみせるミサト。アルビノの幼い上半身を黒いロープにがっちり拘束されたその姿は、確かに背徳的な美しさに満ちあふれていた。
 「じゃ、ほぐしてあげましょうね。レイ」
 彼女はぶるぶる震えるレイを碇ユイのベッドへと軽く突き飛ばす。
 自由の利かない身体をひねり、ベッドから二人を見上げるレイにミサトは微笑む。「よかったわね。大好きなユイママの匂いをかぎながら、あなたはもっと素直な『人形』になるレッスンを受けられるのよ。自分のお汁をじっくり味わって……」



 「というわけで、綾波レイをリラックスさせるために使ったのがコレ」
 二人が暴露するイメージに押し流されそうになっていた惣流・アスカ・ラングレーを現実世界へ引き戻したのは、葛城ミサトがそう言いながら取り出したチューブだった。
 ミサトがアスカの目の前で振って見せたそのチューブ、それは白地に赤い葉が描かれていた。
 そう、それはアスカが自慰をしながら見た幻夢に出たそれと同じだった。
 妄想の中で綾波レイの尻穴に塗り込められ、彼女をセックスの奴隷に造り替えたそれと同じだった。
 「うそ……うそ……どうして?どうしてそれがここにあるの!あ、あれは夢じゃなかったの?」
 「さぁ、どうかしらねぇ」ミサトはにんまりと笑った。「すくなくともこのクリームの効果はアスカの知っている通りよ。十四歳の夢見がちな処女にペニスを切望させるくらいの」
 恐ろしい言葉だった。快活な美貌で男子生徒はおろか女子生徒にまで人気のある教師の口から出る言葉ではなかった。
 だが、だからアスカは自問する。震えながら、怯えながらも。
 彼女が言っていることは真実だ。ではなぜ自分がそんなことを知っているの?
 あれは夢ではなく、記憶だった……それは違う。レイのバージンを奪ったのは……あの体育教師ではなくて碇……ゲンドウ。だから……あれは現実じゃない。違う。
 無意識の偶然……それも違う。ミサトの口振りから言ってそうじゃない。
 「!」アスカは息を呑む。おぼろげながらなにが起こったのか理解したのだった。
 「『刷り込んだ』のね!アタシの心に!アタシの知らないあいだに!」
 「さすが天才少女」アスカの背後から赤城リツコがため息をついた。「その通りよ。ただ、私達が貴女に与えたのは『自慰に対する嫌悪をなくせ』という暗示だけ。そのために見せたのがレイが風呂場でオナニーをしている映像と、あの薬を霧島マナという少女……弐中の子だから貴女は知らないでしょうけど……に使ったときの映像。たったそれだけ。」
 「それだけであのようなすばらしいシナリオを組み立てたのだ。君の想像力には感心するよ」ゲンドウが冷ややかに言った。
 「う、嘘よ、そんなはず……ない」
 「だめよアスカ。そんな被害者面しても。アナタも加害者の一人よ。あなたは想像の中でレイをめちゃくちゃにレイプしたのよ。どんなに否定してもね。」ミサトは断言する。「ごらんなさい。アスカの言うとおりにしたら、おとなしい内気な十四歳の女の子があんなに淫らになっちゃったのよ。責任、感じなさいな」
 顎で指し示されたその光景はアスカが決してみたくないものだった。
 「ん、んくっ、んん!、あん、お、お養父さまぁ……ん!」
 そこでは綾波レイが碇ゲンドウと舌を絡ませていた。
 それどころか恍惚とした表情を浮かべつつ、積極的に養父の舌をついばんでいた。
 唇が離れたとき糸を引く唾液がアスカには途方もなくいやらしいものに思える。

 「だけど……本当に複雑よねぇ。年頃の女の子の心理って」ミサトは嘆息した。「アスカ、あなたの妄想を解釈する限り、惣流・アスカ・ラングレーは綾波レイを徹底的に貶めたがっているのよ。だけどあなたはその堕ちたレイを愛しいと感じているのよ。心の底からね。本当に複雑。でね、話を戻すけど、司令とわたしでレイにこの薬を……」


 綾波レイが敬愛する碇ユイのベッドで、葛城ミサトと碇ゲンドウによって彼女は新たな快楽を教え込まれる。
 後ろ手に縛られマットレスに沈んだレイの頭上には逆しまになったミサトの笑顔。
 少女は開脚したまま身体を二つ折りにされて、彼女がもっとも隠したい箇所……花芯と菊門……が照明の下に露わにされていた。
 細い足首を押さえているのはミサト、持ち上げられた下半身を抱え込んでいるのはゲンドウ。
 羞恥に染まる表情と、自分さえまともに見たことがない秘所を少女は同時に観察されていた。
 すべすべした尻を心おきなく撫でまわしたあと、もう逃れようもない状態でゲンドウがポケットから取り出したのは白地に赤い葉が描かれたチューブ。
 レイの目の前でゆっくりとキャップをひねり、中身を人差し指に押し出す。
 彼女は青ざめ、子供のように首を振って抵抗の意を表す。惣流・アスカ・ラングレーの「告白」によってレイはそれの恐怖を教えられていた。
 もちろん、その抵抗にはなんの意味もなかった。
 ゲンドウは人差し指に取ったその白いクリームをひとかけらずつレイの左右の乳首に、そして肉裂を押し広げると包皮からひっそりと先端だけを覗かせたクリトリスにのせた。
 綾波レイは泣き叫びながら全身をバネにして暴れる。だが、成人二人にがっちり押さえられた身体はそれほど自由に動けなかったし、少女の恥ずかしい三つの突起にちょこんと乗せられたそれは思ったよりも粘度が高く、その程度の動きでは振り落とすこともできない。
 やがてそれは、火照った少女の体温でゆっくりと溶け始め、敏感な部分に吸収されてゆく。
 「ね、レイ?なんだかあつーく、むず痒くなってこない?」
 ミサトに言われるまでもなかった。ひんやりとした感覚が、今では灼熱のものに変化していた。
 さらに耐え難いのはチリチリとした、ムズムズするような皮膚感覚だった。
 肌を粟立たせ、同時に脂汗で全身を濡らすレイ。
 目をつぶっても、顔を背けても、彼女はむず痒く溶けていくクリームと、それに反応して硬くしこっていく突起を意識してしまう。
 いや、それどころか、自分の心臓の動悸にあわせて乳首とクリトリスが大きくなっていくような気さえしはじめる。
 「レイ、オンナのコに生まれたヨロコビ、たっぷり味わうのよ」
 ミサトの声が遠くから響いていた。
 ゲンドウの両の手が無遠慮に彼女の肉体をいじり回す。しかし男の指は決して乳首とクリトリスには近づかない。
 少女の脚がひくひくと痙攣しはじめる。

 数分がたった。しかし、それはレイにとっては数時間も同じだった。
 ゲンドウの指はレイの反応を楽しむように彼女の肌を這い、ミサトは彼女の顔中にキスの雨を降らせ、レイが顔を背けると耳孔に舌を這わせ、吐息を吹き込む。
 もう限界だった。
 我慢すればするほど、肉体はそれ以上に耐えられなくなってきてしまったのだ。
 レイの全身から力が抜けた。同時にゲンドウとミサトの力も緩まるが、レイはふたりに強制された開脚姿勢を保ち、恥ずかしい部分を彼らの目にさらすことで服従の意志を示す。
 もう、抵抗する気力も残っていなかった。
 とにかく、熱を持った三箇所をいじって欲しいだけだった。
 このむず痒さを鎮めて欲しいだけだった。
 ぽろぽろと涙を流しながら少女は二人を見上げる。

 「ふふ、いい表情。さっきとは別人みたい。とっても綺麗。あ、そう言えば、あたしも十四のときだったかな。このクリームをクリに塗られちゃったのは。両手がふさがってたときだったから、もうどうやって掻きむしろうか。ってそれしか考えられなかったっけ……」
 ミサトの破廉恥な告白もそれがなにを意味しているかも今のレイには理解できない。ただ瞳を潤ませて震えているだけだった。
 「むぅぅぅ!んんっ!」
 抵抗をやめたはずの少女の爪先が跳ね上がった。
 ゲンドウの指が、不意にレイの菊門周辺をなぞりはじめたのだった。もちろんその指にはくだんのクリームがたっぷりと乗せられていて、少女の不浄の箇所に塗り広げられていく。
 ひんやりした感覚はやがて熱を持ち、どくんどくんと鼓動を打つ。
 「んんっ!むぅっ!んん!」
 男の指がしだいに弛みはじめたすぼまりの中へ浅く侵入し、少女は妖しい感触に半狂乱となった。
 「レイの尻穴はずいぶんとろけてきたようだ。ほら、ひくひくしている」レイをなぶっていたゲンドウがふっと笑う。少女が抵抗をやめたからといって、「躾」に手を抜くつもりは一切ないのだった。
 「見たまえ、レイのクリトリスを」
 まぁ可愛い。とミサトが嘆声をあげた。まだ自分でも直接いじったことがないのに、こんなにカチンカチンにしちゃって。
 「初めて皮も剥けたようだ。さっそく慰めてやらねば」
 その言葉と同時にゲンドウは勃起しきったとはいえまだちっぽけな肉真珠を口に含んだ。
 「ふぐぉぅんんん!んぁぁっ!」
 根本から唇でしごかれ、先端をざらついた舌でなぶられた。
 レイの身体は陸にあげられた魚のようにベッドに跳ね、つま先が大きくすぼまった。ショーツを噛みしめながら叫び、そのあとぐったりと弛緩する。
 「まぁ、レイったら、また潮吹き?お養父さまの顔を汚しちゃったわよ。あとできちんとお詫びするのね」
 「いや、いい味だ。やはりレイのジュースは直接味わわないとだめだな」
 妖艶に笑うミサトにゲンドウは答え、綾波レイは屈辱にすすり泣く。
 だが、泣いているひまなどなかった。
 「おごおッ……ッぐぅぅぁ……ッ!」
 ゲンドウのごつごつとした指がアヌスへ深々と突き入れられたのだった。
 灼熱の感覚に一瞬レイの意識は途絶えた。
 もちろん男はなんの躊躇もせずにずぶずぶと指を前後させ、回転させてそのクリームを……数グラムで高級自動車が1台買えるほど高価な合成麻薬と微量の筋弛緩剤がブレンドされたものを……苦悶する十四歳の少女の直腸にたっぷりと塗りつけた。もちろん肉壺を浅く掻き回しながら親指でクリトリスをごりごりとこすりたて、まだ未熟なレイの性感を開発することも忘れない。
 一〇分も待つ必要はなかった。
 少女を猛烈なうねりが襲い、肛門に突き刺したゲンドウの指をキュウキュウと締め上げる。自分の顔に愛液の飛沫を振りかけながらレイはエクスタシーを迎える。
 「あ、お尻でイッたわね。まだ処女なのに」ミサトの揶揄も連続した快感の波にのまれてしまったレイの耳にはもはや入らない。
 尻穴から脊髄をはい上がってくる痒みと熱さに魂まで支配され、全身を火照らせてしまっていたからだった。
 気が狂いそうな感覚から一瞬でも解放してくれる養父の指がごりごりと動くのを彼女は心待ちにしているのだった。
 乳首をミサトの繊細な指でいじられ、前門に入れられた人差し指が裏側から押し上げたクリトリスをゲンドウに音を立てて舐められるとなにも考えられなくなってしまうからだった。。
 敏感な肌を髭でちくちくされながら、アナルから女性器へゆっくりと舌が這う感覚が大好きになってしまったのだった。

 甘えた鼻声を上げ、紅の瞳を期待にどんよりと鈍く輝かせながら、少女はさらなる愛撫をせがむ。
 願いは叶えられた。
 担任教師と養父の舌と指は、残酷なまでに的確に彼女を高みへと連れていく。
 「あーぁ、もう、お鼻まで垂らしちゃって。レイ、ずいぶんだらしない顔よ」
 快楽漬けにされたあげく、立て続けに十回もの絶頂を迎えさせられた少女の顔をハンカチで拭いてやると、ミサトはレイの耳に口を近づける。
 「綾波さん、お養父さまにクンニされて……恥ずかしいところをぺろぺろされて……気持ちよかった?」
 こくり
 なんのためらいもなく彼女は教師の言葉にうなずいた。
 「ふふ、お尻を指でこじられるのはどう?」その言葉にゲンドウの指が同調した。
 「はぐぅっ、んん!」
 がくがくとレイはうなずく。
 「ふーん。じゃぁ前を抜き差しされるのは?」
 軽く曲げた養父の指に肉裂の天井を引っかかれた少女はなんの迷いもなく同意する。
 子犬のように鼻を鳴らして催促する。
 「あははっ、レイったらホントに淫乱に育っちゃったんだから。ね、もっと気持ちよくして欲しいかな?」
 こくこく。
 「素直になったわね。じゃあご褒美にいいこと教えてあげる。オンナのコはねぇ、いまお養父さまに愛していただいている前の穴と後ろの穴、これをペニスで貫いてもらえば、気が狂うほど気持ちよくなれるのよ。指なんかじゃ比べものにならないくらいにね」
 その言葉に対応してゲンドウが前後の穴に差し込んだ指を交互に抜き差しする。レイの肉体はその指を無意識のうちに食い締めてしまった。
 ミサトはあらためて確認する。
 「ね、どうする?レイ?オトコのヒトのチン○で貫いてもらいたい?じゃまっけなバージンを奪ってもらって、ズコズコしてほしい?お尻のアナを奥の方までごりごりして欲しい?」
 こくこくこく。
 快楽に魂の最深部まで支配されてしまった少女にとって、それはもはや愚問でしかない。
 「うーん。でもねぇレイ。ここにあるチンポはあなたのお養父さまのものしかないのよ?あなた、義理とはいえ父親のペニスが欲しいの?」
 ……こくり。
 「あははっ、やっぱりレイってエッチなのねぇ。ホント、恥知らずなんだから。そうなんだ、綾波レイはお養父さまを誘惑するつもりなんだ。ママに内緒でパパを銜え込んで、処女を捧げたいのね?どうなの?」
 こくこくこく、こくこくっ!
 嘲笑されているにもかかわらず、もはや我慢の限界に達している少女は狂ったようにうなずいた。さらに大きく太股を広げ、涙を流して瞳で乞い願う。言葉が封じられていなければ、どんな恥知らずなお願いでも言うつもりだった。
 「司令、どうされます?この変態娘」
 「ふっ、そうだな」眼鏡をずり上げながら彼は言った。「愛娘の我が儘は聞いてやらねばな。かまわないよ、味見してやっても」
 レイの表情が喜色で輝いた。瞳を潤ませ、歓喜に震えて切なげにゲンドウを見つめる。
 それはもう、恋する少女のまなざしだった。
 ゲンドウがベルトを外すかちゃかちゃという金属音がレイには天上の音楽に聞こえる。
 やがて姿を現した肉棒に彼女の視線は吸い寄せられる。

 ……お養父さま、お養父さまのこの、ゴツゴツした太いもの。
 ……わたしは貫いてくれるもの。
 ……わたしをもっと、もっと気持ちよくしてくれるもの。
 ……わたしを支配し、虜にするもの。

 ゲンドウがレイの足首を掴み、伸ばされた脚をぐいと曲げてあぐらを組むような姿勢にした。
 おかげで仰向けのままの少女の恥ずかしい箇所はさらに大きく広げられることになるが、そうでもしないとレイの幼い下の口はゲンドウのものをほおばることはできない。
 左手で少女の足首をひとまとめにし、そそり立った凶器をゲンドウは秘孔に押し当てる。
 「レイ、今日はまず前の処女を味見してあげよう。後ろはもう少しお前をしつけてからだ」
 少女はなんどもうなずいた。
 「よろしい。いま、この一瞬からお前のここは私の専用の孔になる。いいな?」
 魔薬と陵辱と愉悦で理性が麻痺しきった綾波レイにとって、その宣言は愛の告白と同義だった。感涙にむせびながらうなずく。
 なんども、なんども。
 にやりと口元をゆがませるゲンドウ。そして体重をかけながら突貫を開始した。
 「うむぅぅぅん!う、うぐぅっ!」
 くぐもった悲鳴を少女は上げる。
 みりみりと小さな肉壁がこじ開けられ、エラの張った先端が狭口に収まった。
 汗を吹き出し、眉根を寄せて苦悶の表情を浮かべる養女を観察しながら男は腰を押し出し、強引に道を開きながら狭い肉腔をゆっくりと確実に肉棒で埋めていく。
 「う、ぐ、うっ、むうっ、うぅあぁぁ!」
 ついに剛直がレイの中に収まった。灼熱の固まりに身体を引き裂かれる感覚に少女の意識は遠のく。
 「おめでとう。レイ。これであなたはお養父さまのモノよ。たっぷり愛していただきなさい。そして『福音』の……になるの……」
 ゲンドウが自らの快楽を求めて大きく腰を振り始めたため、彼女はミサトの言葉を最後まで聞き取ることができない。
 「ふぁぁっ、うあぅっ、はぁぁっ!」
 男は少女の体温と狭さを味わうようにぐいぐいとペ○スでえぐり、大きく貫く。
 宝石のように涙の粒をまき散らし、痛みと苦痛に悶え泣くレイ。彼の肉棒は圧倒的な存在感で彼女を支配していた。関節が外れるくらいに大きく股を開かされ、荒腰を使う男に翻弄されるしかなかった。
 だが……
 レイの上げる声が苦痛にまみれていたのは僅かなあいだだった。
 苦痛をこらえる表情が押し寄せてくる快感に耐えるものに変わるまで、ほんの数十秒しかかからなかった。
 血管の浮いたゲンドウのものを目一杯広げて受け入れている秘口から鮮血だけでなく白く濁った愛液がにじみ出るようになるころには、少女の性器は男のものを誘い込むように蠕動していた。
 直腸から吸収させられたクリームは十四歳の少女が当然感じるはずの破瓜の痛みさえ快楽へと変換させていたのだった。
 「いいぞ、実にいい。やはり名器だな。やはりな」ゲンドウは満足げにうなずく。「それに熔けてしまいそうなくらい、レイのここは熱いぞ」
 養父はつぶやきながらさらに激しく腰を振る……。


 「……それからはずーっとレイはお養父さまとのセックスに夢中よ。何回イッたかは、数えるのやめちゃったから分かんないわ。ま、途中でまたアスカの『告白』を再開して『レイがみんなから望まれている姿』をさらに自覚してもらったりしたけど」
 ゲンドウとの長いディープキスから解放され、深呼吸を繰り返す綾波レイのプラチナブロンドをくしゃくしゃに撫でつつミサトは告白を終えた。
 さらに熱を持ったアルビノの頬をゆっくりと愛撫してからミサトはくすりと笑い「レイ、舌を吸ってあげるわ」と言った。なんのためらいも見せずにかわいらしく舌をとがらせ突き出し、うっとりと瞳を閉じるレイ。
 それをちゅぱちゅぱと音を立ててしゃぶりあげる女教師。
 惣流・アスカ・ラングレーはその光景に戦慄する。

 碇ゲンドウと葛城ミサトは半日やそこらであのレイを完全にセックスの虜に作り替えてしまったのだ。
 アスカに無理矢理告白させた音声データに何らかの手を加えたもので彼女の深層心理に亀裂を与え……目隠しはきっと、視覚からの刺激を断ち切ることによってその効果を高めるためだろう……さらに麻薬と過剰な性的刺激で飽和状態にして、そして「レイが自ら男を求める」ように仕向けたのだ。おそらくレイがクスリの影響から脱したとしても、「自分が男をせがんだ」事実を有効に使って彼女を隷従させるにちがいない。
 それだけではない。
 碇ゲンドウは少女の胎内になんのためらいもなく精を放っているのだ。
 綾波レイが男の上で姿勢を変えるたびに肉付きの薄い太股の付け根からこぽこぽと泡立ち、溢れる白濁液の量にアスカは恐怖する。
 そのアスカの表情に気がついたのだろうか。レイは友人でありライバルでもあるクォーター少女を見つめ、無邪気に微笑んでみせた。
 まるで自分が幸せであることを知らしめるかのように男の背中に手を回し、「おじさま……」と吐息を漏らしてぎゅっと抱きつくのだ。

 「……悪魔!あんたたちは悪魔よ!」アスカは叫ぶ。「レイをこんなにして!恥知らず!碇ゲンドウ!アンタは人間のクズよ!あんたなん……ああっ!イヤぁっ!」
 アスカの白い手首に黒い革製の手枷が巻き付く。一瞬のうちに彼女の両手首は拘束された。
 「外して……助けて……いやぁ……」
 「どうしたの?急に気弱になって」赤木リツコはアスカの手首を持ちあげた。「ただ手首を拘束されただけでしょ?振り切って逃げたら?」
 「あ、ああぁぁ……」アスカはがたがたと震えていた。リツコにされた「折檻」の記憶が少女の強靱な意志をうち砕いていた。「お、お願い……苛めないで……お願い……」
 「『苛める』ですって?アスカぁ、『悪魔』ですって?あなたにそんなこと言われるなんて意外だわ」ミサトが微笑みつつ近寄ると、すっと手を伸ばす。
 ぎゅうっ。
 アスカの視野が突然閉ざされた。レイがさっきまでされていた目隠しをされたと気が付くのに数瞬かかった。
 「ひっ!やめて!助けて!」
 「親友が犯される姿を妄想してヌルヌルになるような娘が、なにを言うのかしら?」リツコが嘲笑する。
 「レイをえっちな女の子にする『メニュー』を作ったのはあなたでしょ?アスカ」ミサトはくすくす笑った。「絶大だったわよぉ。レイが泣きながら抵抗しているときに耳元で、『だめよ、レイ。これはあの惣流・アスカ・ラングレーが言ったことなのよ。これこそが綾波レイがなるべき姿なの』ってささやいてあげたらね、すごく素直になるのよ。あなたの名前をつぶやきながら、涙をこぼして」
 「……ひどい……ひどい……よ」
 「ホント、アスカってひどい女の子よねぇ」
 アスカのショーツの底に指を這わせていたリツコはミサトに目配せする。
 「ただいまより、レイを犯した変態中学生、惣流・アスカ・ラングレーへの懲罰を開始いたしまーす」
 ミサトの声とともに少女は引き倒された。悲鳴を上げてマットレスの上に少女の躰が弾む。枷で拘束された両手首がぐいと持ちあげられ、ヘッドボードに固定される。
 「いやぁっ、いやぁぁぁ!誰か!助けて!イヤぁぁぁっ!」
 「アスカ、そんなに暴れるとパンツが丸見えよ」ミサトの口調が不意に重々しくなった。「あなたに何が起こるか教えてあげる。あなたは綾波レイが処女を喪ったベッドのうえで、いまから玩具にされるの。たくさんの男の人『たち』にね」
 「そ、そんな……うそ……」
 「どうぞ、お入りなって」リツコが扉の外に呼びかけた。がちゃり、とドアが開き、複数の足音が室内へ侵入する。それらは無言のままアスカが横たわるベッドの周囲を取り囲んだ。
 息を呑む少女、ぶるぶる震えながら周囲を見回す。もちろん彼女の視野は暗黒が支配していた。だが、どちらからも好色な視線が向けられていることははっきりと感じられた。
 ぎしり、ぎしぎし、とベッドが鳴る。男達がベッドの上につぎつぎ乗ってきたのだ。この期に及んでも彼らは無言のままだった。ただ複数の荒い呼吸音だけが室内に響いていた。
 「あ……あ……」
 「アスカ、いま、あなたは男の人に囲まれてるの。見えないでしょうから説明してあげると、全部で五人いて、みーんなハダカ。普段は勝ち気で生意気で、男の子の視線を釘付けなクオーター美少女の無防備な姿にオチンチンはもうギンギン。アスカ、これから起こることに期待していいわよ」
 「ミサト!リツコ!許して、許してよぉ!」
 「ではみなさま、どうぞ。まずは『身体検査』から」
 リツコの宣言と同時に男達の荒い息が少女の肌にかかるほど近づいた。
 「いやぁぁぁっ!」絶叫するアスカ。身体を丸め、自由になる脚を使って盲滅法に近づくものを蹴りつけようとする。
 「近寄らないで!来ないで!来ないで!……きゃあぁっ!」
 その右足首を掴まれた。渾身の力で逆らっても男の力はそれに勝り、アスカの身体はぐいと引き延ばされた。
 左足首もがっちりと握られ、じりじりと広げられていく。
 「放して!いやぁっ!助けて!誰かぁっ!」
 左右の膝をそれぞれ誰かに掴まれて、一気に広げられた。
 「ああぁっ!」
 「人」の字型に大股開きに固定され、もはや体を反らせる以外に抵抗の術をアスカは失っていた。
 男たちの吐息を彼女は全身から感じた。
 ……あ……アタシの回りをオトコたちが群がっている……。
 ……イヤらしい視線でアタシをじっと見つめてるんだ……。
 屈辱と恐怖に頭がくらくらした。
 その身体へ男たちの指が同時に伸びた。

 「あ、あぁぁ……ひぃぃっ!」
 脇腹の左右を無骨な指で撫で上げられた。
 びくん!とアスカの身体が跳ねる。
 はかない抵抗で乱れたスカートから露わになった健康的な太股の上に、ひんやりとした掌が、熱気を帯びた掌が、次々と無造作に置かれた。ミルク色の内腿へ侵入し、少女にか細い悲鳴を上げさせる。
 のけぞる首筋を指が這い、熱を帯びた唇をなぞった。
 「……ぁ!」
 いくつもの掌がアスカのすらりとした生脚を撫で回し、スカートをするすると腰までまくり上げてシルクホワイトの下着を露わにする。
 「すごぉーい!アスカってばお洒落!サテン地なのね」ミサトがわざとらしく驚いている。「つるつるして、手触り良さそうな生地ねー。それに刺繍も凝ってるし。中学生なんだから、ちゃんとオヘソが隠れるぱんつにしなくちゃだめじゃない。ったくもう、いったい誰に見せるつもりだったのかなぁ?アスカちゃん?」
 ミサトの言葉を確かめるように男たちの掌はアスカの尻へ滑り込み、ショーツの感触と弾力を持った肌を味わった。
 ジャンパースカート型の制服をつんと持ちあげる双丘のボリュームと弾力をいくつもの手が交代で確かめにやってきて、そのたびに少女は涙を黒絹の目隠しへ噴きこぼす。

 しかし。
 傍若無人に自分の身体をまさぐられ、なぶられるうちに、自分の身体が熱を帯びていることに少女は気づく。
 いままで異性に触れさせたことのない肌を何十本もの男たちの指に蹂躙されているうちに、自分の身体に変調が起きていることを少女は知る。
 ブラジャーの中で乳首がしこり、ひどく敏感になっているのだった。
 敏感な箇所を指が触れるたびに、お腹の奥の方でなにかがぎゅっと縮まるように感じ、同時に腰ががくがくと動いてしまうのだった。
 ショーツの中で秘裂がほころび、蜜を吐き出し始めているのだった。
 ……どうして!?なぜ?
 だが、少女のとまどいは葛城ミサトと赤木リツコにはお見通しだった。
 「不思議なものね。男を知らなくても、腰を持ち上げてヒクヒクさせるているわ」
 「ほんとねー。でもなんだか、控えめで可愛くない?あっ、リツコ、見て見て。アスカのオ・マ・タ」
 「あぁっ!見ないで!見ないで!見ないでぇっ!」
 「まぁ、アスカの性器の形が分かるくらいびしょ濡れじゃない」
 「やだ……やだ……もう、許して……」
 「ふふっ、よかったわ。アスカも楽しんでくれてるみたいで」

 美少女への痴漢行為をたっぷり楽しんだ男達は次の段階へ突入した。
 首元を飾るリボンが一気にほどかれ、ブラウスのボタンがはじけ飛び、制服のボタンがむしられて、アスカは乱暴に剥かれていく。
 たちまちのうちに滑らかな腹部とショーツと同じ生地の大人びたデザインのブラジャーが露わになった。
 「いやぁぁっ!やめてぇぇっ!やめて!」恐怖に駆られたアスカは赤みがかったロングヘアーを振り乱して必死の抵抗を続けた。それが男たちをさらに楽しませていることに気づかずに。
 やがて息切れした少女の頬にひんやりとした金属が触れた。
 「……!ひっ!」
 「アスカ、あんまり暴れるとけがをするわよ。せっかくの美貌に傷を付けたくないでしょう?」リツコが警告するまでもなく、それの正体を知ったアスカは凍り付く。がたがたと震える少女の頬から喉元へ刃先はそっと滑り降りていく。
 「あ……あ……おねが……い……」
 ……ピリピリィッ!
 ナイフが一閃し、たちまちのうちにアスカの身体に絡まっていたブラウスが切り裂かれ、白い布きれと化した。
 腰のあたりまでまくり上げられていたスカートもたちまちのうちに同じ運命をたどって抜き去られた。
 数秒後、少女が身につけている衣類は大人びたショーツとブラジャーと、白いソックス、さらに目隠しだけとなった。

 「まぁ、アスカ、あなたって本当に『そそる』カラダしてるわねー。オンナのあたしでもドキドキしちゃうわ」
 ミサトが嘆息するほど惣流・アスカ・ラングレーは美しかった。
 つんと立ち上がり、その存在を誇示するバスト、なだらかに引き締まった腰回りはまだまろみが足りないが、そこからヒップにつながる曲線は瑞々しい躍動感に満ちあふれている。さらに純粋な日本人には決して得られないすらりと長い手足。
 綾波レイが美しく可憐な人形だとすれば、惣流・アスカ・ラングレーは名工の手による美しい彫刻だった。
 その肉体は開花する直前の蕾が持つ美しさを発散させていた。
 妖精のような十四歳の肉体が下着姿で拘束され、目隠しされておののくその姿は一瞬、男たちの手を止めるほど蠱惑的だった。
 だが、それも僅かなあいだにすぎない。
 男たちの欲望は再点火された。
 さっきよりも、ずっと、はげしく。

 「!」
 アスカの身体が跳ね上がった。
 火照った敏感な脇腹に熱い、ざらざらしたなにかが触れてきたからだった。
 それは指ではなかった。もっと熱く、ぬるぬるしていた。
 「ひっ!ひぃぃっ!ああぁぁっ!」
 ぞろり、とそれが這い上がる。
 もう、間違えようがなかった。それは男の舌だった。それはアスカの肌を味わうようになんども往復する。
 「あぁっ!やだよぅっ!いやぁぁっ!そこは、そこはやめて!」
 男の舌は二枚に増えた。左右の脇腹を異なるタッチで舐め上げられた。
 少女の悲鳴と汗の味を楽しんだのち、さらにそのうちの一枚はむき出しになった腋下へ、もう一枚は鎖骨の窪みへ進む。ちゅぱちゅぱと音を立てながらアスカの敏感な箇所を舐め回し、征服の証としてキスマークをつけてゆく。
 「ひはぁっ!ひっ!ひっ!ひっ!」
 巧みな責めにアスカはもうまともな言葉を発せない。全身から脂汗を噴き出しながら切れ切れに悲鳴を上げるしかない。
 だが、男たちの愛撫はさらに過酷になった。
 割り開かれた美脚が両方とも高々と持ちあげられて、白いソックスが抜き取られる。それぞれの脚ががっちりと男に抱えられた。
 くちゅぅっ!
 「う、うわぁぁぁっ!ひぃぃっ!」
 少女は絶叫する。桜貝のような足の爪、その左右の小指が男達の口に含まれて、熱いぬめぬめとした舌にしゃぶられたのだった。
 「いやぁぁっ!助けて!ひあぁぁぁ!」
 男たちががっしり掴んでいなければ、痙攣した脚が跳ね上がり彼らの歯はへし折られていただろう。
 しかし、彼らは慣れていた。アスカの渾身の抵抗をあっさり受け止め形のいい足指を一本ずつ執拗にねぶり、谷間まで舌を這わせ、たっぷりと美少女の味とおぞましさに肌を粟立てて悶えるさまを堪能する。
 ちゅばっ、ちゅばっ、じゅるじゅるっ。
 「あぁっ、ひぃ、はひぃ……」
 生暖かな軟体生物に変態的に責め立てられ、勝ち気なはずの美少女は異様な感覚に翻弄されていた。
 カモシカのような脚を抱え上げられ、恥知らずに股間をさらけ出した姿で抵抗する気力も失って息も絶え絶えになっていた。
 もちろん、舌の刺激だけで彼女は屈服したわけではない。
 少女の敏感な素肌を男たちの指が奔放に悪戯していることもその理由だった。
 いきり立ち、先走り汁をしたたらせている固く熱い肉茎が柔らかな肌に押しつけられ、這い回っていることも原因だった。
 異様な感触に悲鳴を上げたアスカへそれがペニスだとリツコが教えた瞬間、十四歳の少女は陵辱の予感に震え、慈悲を乞いはじめた。
 もちろん男たちは彼女の哀願を無視した。
 さらにかさにかかって熱を持った肉棒を押しつけ、ついにはその美しい顔に粘液をなすりつける。紅潮した頬をエラの張った亀頭が這い、嫌悪にゆがむ唇に粘液を塗り広げた。
 美しい髪をひとすくいすると肉棒に巻き付けてしごき、そのつややかな感触を楽しみはじめる。
 奥歯を鳴らし、子供のように泣きじゃくりはじめるアスカ。

 男達は無言のまま、己の欲望に従って彼女の全身を味わっている。
 唾液まみれになった爪先からちろちろと舌が下がり、ナメクジが這ったような筋がふくらはぎへと、さらに太股へつながっていく。
 自慢のロングヘアーをがっちり掴まれ、二人の男に挟まれて左右の耳孔にそれぞれ舌を突っ込まれた。
 贅肉一つない腹部に可愛らしくのぞく縦長の臍を舐めしゃぶられた。
 うなじにキスを浴びせられ、思わず半開きになった唇に男の指が侵入する。
 いつものアスカなら、即座に男の指に歯を立てていただろう。
 怒りに燃えて、不埒な侵入者を食いちぎっていたかもしれない。
 だが、男の手によって無理矢理快楽を教え込まれ、ぐしょぐしょになったショーツの布地越しにもはっきり分かるほど肉芽を立ち上がらせている十四歳の少女は、もはや悲鳴の代わりに悩ましい切れ切れのソプラノがその唇から漏れ出すようになっていたのだった。
 いまのアスカは、仔犬のように鼻を鳴らしながら、男の指による疑似フェラチオを強制されるほかなかった。

 そう。
 アスカはもはや、淫らな操り人形だった。

 ところが。
 アスカの双乳は制服のうえから悪戯されて以来、男の手に触れられていなかった。
 たっぷり感じさせられた快楽に同調してカチンカチンに乳首をしこらせ、さらなる刺激を待ちわびてブラジャーを押し上げていたのだった。
 「良いこと教えてあげる」ミサトが楽しそうにアスカへ呼びかけた。「アスカちゃんはオナニーの時はクリトリスを刺激するのがメインであんまり胸はさわらないみたいだけど、乳首もとっても感じるポイントなのよ。レイちゃんはね、クッションをおマタに挟んで腰をぐりぐり動かしてパンツ越しにクリトリスも刺激してたけど、同時にオッパイをもみもみしながら乳首をいじるのが、お休み前の日課だったの。もちろん毎晩ね。アスカは週に2度だったっけ?」
 絶対の秘密まで公知の事実であることをほのめかしながら、ミサトは続けた。
 「レイ?アスカに教えてあげなさい。オッパイって気持ちいいのよね?」
 沈黙に彼女の眉がつり上がった。
 「……レイ?」
 「……あっ!はぐっ!き、気持ち……いいです。あぁっ!い、痛いッ!お、お養父さまぁっ!噛まないで!ごめんなさい!歯を立てないでえぇっ!き、気持ちいいです。オッパイ……すごく良いですっ!レイはオッパイを弄るのが大好きです!自分でコリコリするのもいいし、弄ってもらったり舐めてもらうと……もっといいんですぅっ!」
 「ほうらね。レイもああ言っているわ。だから、アスカにも教えてあげる。バスト責めの味を」

 ミサトの一言で洒落たハーフカップブラのフロントホックがひとひねりで外され、細いストラップがナイフで断ち切られて抜き去られる。
 重力に逆らってぴんと張りつめた美乳が露わになった。
 文字通りミルク色の膨らみに鮮やかなピンクの乳輪がしっかり自己主張し、さらにその先端は痛々しいほどに立ち上がっている。
 「……あ、あああ……あ」
 熱い視線が自分の胸に注がれていることは目隠しされていても分かった。
 「……あ、あああ……あ」
 少女にとって、異性の視線を感じることは日常茶飯事だった。だがそれは基本的に彼女にとって心地よいもので、不快感を感じることは滅多になかった。感じても勝ち気な少女のひと睨みでそれは消え失せた。
 しかし、いま感じるものはそれとはまったく違っていた。
 男達の視線には質量さえ感じられ、決して彼女の恥ずかしいところから逸らされることはないのだった。
 それにさらされると少女の身体は熱を持ち、特にその視線が集中されているはずの乳首はちりちりと焼けつくように熱く、そしてさらに充血していくのだった。
 全身を汗に濡らし、熱に侵されたようにアスカは震えていた。
 いや、少女は期待に震えていたのかもしれない。
 そこへ、一斉に男達の指が伸びた。
 数十本の指が乳房に、乳首に襲いかかった。
 固い乳首がごりごりとしごかれ、摘みあげられた。
 爪で引っかかれ、押しつぶされ、ねじられた。
 柔らかな丘が強引に揉まれてその形を自在に変えた。
 左右を異なる舌が吸い上げ、舐め、そして甘噛みされた。
 滑らかな丘全体がベタベタに唾液で汚され、味見される。
 いつしかアスカは涙を流しながら叫んでいる。
 「ああん!き、気持ちいいの!ああっ!ああっ!もっと!もっとして!」

 これこそが少女が待ち望んだ瞬間だった。

 ……自分のカラダにこんなに気持ちのいいトコロがあったなんて。
 ……痛いのに。恥ずかしいのに。熱いのに。悔しいのに。乱暴なのに。
 ……すごくいい。すごく素敵。すごくキモチイイ。
 ……お願い!お願いだからもっとして!。
 ……もっといじって!
 ……もっとイジメて!

 男の手から解放されたアスカの両脚はベッドのうえで思いっきり踏ん張って、無意識のうちに華奢な腰を浮かせて股間をつきだし、子宮が命ずるままに男を誘うダンスを踊っていた。
 だが、それをあえて無視した男達は少女の美乳をひたすら責め立てて、舌足らずに奏でられる淫らな楽曲を楽しんでいた。
 やがて、アスカの涙まじりの音色はしだいにせっぱ詰まり、途切れ途切れになっていく。
 「ああぁっ!すごい!すごいのぉ、変になる、アタシ変になる!助けて!ママ、ママ!シ、シンジ!シンジ!シンジィッッ」
 ぷしゅっ。
 サテン地のショーツから液体を振りまきながら、惣流・アスカ・ラングレーは強制的に絶頂を迎えさせられた……。



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Original text:FOXさん