自己引用?
 自己循環?
 それともジョーク?
 いや、……そんなはずはない。ここのユーモア感覚はそんなものではない。
 末端に属する要員達は作戦名が書かれたファイルを見て首を傾げた。
 開封するのに指紋認証を必要とし、非常時には無線で焼却トリガが引かれるはずの、そのえらく頑丈なケース型バインダーの表紙にはただ一行、こう書かれていたからだった。
 「BINDER」と。



 BINDER 第一話





 ひどく危険なゲームのはずが、それはいつかとても楽しい遊びになっていた。

 「先生はな、特定の生徒を特別扱いするつもりはないんだ。な?分かるよな」
 耳元の体育教師の口調が突然なれなれしくなった。だが逆に少女はさらに身体を固くする。
 なぜならば、華奢な彼女の両肩を押さえていた分厚い掌がゆっくりと移動し、その身体を撫で回しはじめたからだった。
 「なぁ、いくら赤木センセイがお前を評価しているからと言って、オレはお前を特別扱いなんかしないぞ。オレは公平な男だからな」
 男の指が少女の肩から脇腹へ、そして腰へといやらしく滑りおりる。拒絶の声を上げようとするけれど、彼女の桜色の唇はその意志とは裏腹に言葉を紡ぎ出せない。その間にもやわやわと指は動き、ついにそれはスカート越しに太股を愛撫する。
 「なぁ、オレの授業を勝手に抜け出されちゃ困るんだ。しめし、ってものがつかないんだよ。他の生徒にも、先生方にもな。な?分かるよな。お前くらい頭のいい生徒だったら」

 さらに身を固くしながら目を伏せる女子生徒の態度を体育教師は意外に思う。
 ……この美少女は噂されるほど強い意志を持っているわけでも、他人や外界に無関心なわけでもないでは?
 ただ内気で、他人との口の利き方が分からないのではないか?
 それが並はずれた美しさのためにそうと見えないのでは?
 ならば、ここは……試してみるべきでは?
 男は、小心者であった。
 もし、彼女が噂されているとおりの冷淡でかつ冷静な反応を返したのであれば、これ以上の行為は出来るはずがなかった。
 それどころか、いままでのセクハラ行為を糊塗するためなら、少女に土下座さえしただろう。
 だが、体育教師は先ほどの小心なほど繊細な痴漢行為をエスカレートさせ、ほとんど抱きかかえんばかりに身体を密着させるとスカートの腰に当てた右手をゆっくりと前に回し、ジャンパースカート型の制服に護られたバストに手を添えた。
 「……いや……いやぁ」
 ようやく上がったかすかな拒絶の声。
 彼の疑念は確信へと変わった。
 こいつは単に大人を、いや、オトコを舐めていただけだ!
 この少女に雄の怖さと偉大さを「教育」し、そして自分が、女であることがどんなに弱いものであるかを思い知らせてやれば……。
 堕とせる!
 この少女をオレの、オレの人形に、愛玩物にできる!
 可能だ!
 このアルビノの神秘的な肉体を俺の好きにできる!
 教師は欲望に完全に支配されていた。
 男を無言のままにらみつけ、身体をよじって抵抗する少女を後ろから抱き寄せる。
 「くっ……」少女は肘を突っ張って、彼女に覆い被さる一回り以上大きな肉体から逃れようとする。しかしするりと制服の下へ掌が侵入し、まだ発育途上の乳房の感触を楽しまれてしまう。
 「っ……!や、いや!やめて!」
 少女の抵抗が激しくなった。なんとか男の抱擁から逃れようと全身の力を込めて暴れる。だが、それすらも男にとっては欲情を高める行為にすぎない。むしろ暴れれば暴れるほど、少女の肉体は男にからめとられていく。スカートと上衣を止めるボタンが外され、リボンに飾られた純白のブラウスがあらわになった。さらにもう一方の手はなんの躊躇もなくボックススカートの中へと入り込む。
 「助けて……ぁぁっ、いや、いやぁ!い、いかり……くん!」
 滅多に上げることのない悲鳴を、ただし室外の誰も聞き取れないほどの小さな悲鳴を彼女は上げる。だが、それさえも男にとってはおのれの計画を保証する要素にすぎない。
 「怜悧にして冷淡な天才であるはずの彼女」が他人に助けを求めることなど、あり得ないのだから。だからこれは、本当の「彼女」だ。内気で気弱で、他人とコミュニケーションが取れない、そして男の暴虐に逆らうすべを持たない少女だ。

 するりとリボンが襟から引き抜かれた。ブラウスのボタンが一つ、また一つと無骨な指に外されていく。


 「放して!助けて!だめ!……ひ!」
 少女の続けるはかない抵抗を男は心底楽しんでいた。クラスで、いや学年でもトップクラスの美少女、綾波レイが自分の玩具になっているのだ。
 男がその指を淫らに動かすたびに、レイはその整った美貌をゆがめて吐息とも、悲鳴ともとれる声を上げ、プラチナブロンドのショートカットを振り乱しながらその肉体をびくびくと震わせる。
 自分の反応がこの教師をただ悦ばせるだけだと知っていても、性的に未成熟な彼女の肉体は淫らな刺激を無視することはできない。
 「あ、あぁっ。はぁっ!さわら……ないで!」
 この若鮎のような肉体を蹂躙するのは今やとても容易なことだった。華奢な足首を黒いハイソックスごと片手でつかみ、まだそれほどまろみはないがすらりとした太股をおおきく割り開き、スポーティなデザインの下着(そう、この手触りは高級感もなにもない、ただ清潔なことが取り柄のコットンだ)を剥ぎ取るのは、体育教師の筋力をもってすればなんの造作もないことだった。
 そして、まだ未発達の肉体に限界まで勃起しているおのれの肉杭を打ち込むことも。
 だが、それはあまりにももったいなかった。
 もうすこし、いやもっと、楽しんでいたかった。
 この常に冷静で、男子生徒のみならず男性教員すら冷たい視線であしらう美少女をもてあそぶ機会は滅多にないのだから。
 そうだ、こいつはオレを完全に舐めきっていたのだ。
 少女の肉体を撫で回しながら彼は思い起こす。体育実技への欠席があまりにも多いので単位をやれない。それについて話をしたい。と持ちかけると少女は、綾波レイはいつものように冷ややかな表情のままうなずき、教官室へやってきたのだった。
 それは、完全にいつもの、評判通りの「綾波レイ」だった。
 彼が椅子を勧めてもそれに応じず、男の冗談にくすりともしない。ただ、冷ややかに彼をまっすぐ見つめているだけだった。
 無表情で無関心。
 質問にも、必要最低限でしか答えようとしなかった。
 ……はい。先生。
 ……いいえ、違います。
 ……それは、お答えする必要はないと思います。
 教師の問いかけに無表情のままの少女の様子に変化が現れたのは、男がわざと足音をたてながら彼女の背中へ回り込み、扉に鍵をかけてからだった。
 はっと振り向き、レイは体育教師を見つめる。そのアルビノ特有の赤い瞳に浮かんでいる表情は、それまで彼が見たこともないもの、そう、恐怖だった。
 そのとき、レイが扉へ向かって駆けだしていたら、状況は変わっていたかもしれない。
 だが、学年テストで常にベスト3以上をキープしていた天才少女は動揺を押し殺し、機械のように正確に回れ右をすると規則的な歩調で去ろうとした。
 そう、
 それが、いけなかった。
 それが、男の獣欲に火をつけた。
 そして、少女は捕らえられた……。


 「あ、あぁっ、ひっ、や!あ……」
 そこにいるのは職員室で常に話題になる「天才美少女」や「氷の姫君」ではなかった。
 玩具だった。
 はかなく、被虐美にあふれた人形だった。
 綾波レイは両手首を頭上にまとめて壁に押しつけられ、前のめりの姿勢で男の愛撫を受け入れている。
 ブラウスの前ボタンはすべて外され、かわいらしい臍も、滑らかな腹部もあらわとなっていた。小さなリボンがアクセントに入っているだけのシンプルなAカップブラは完全にずり上げられ、少女の上半身を護るのは、はだけたブラウスのみだった。
 「おいおい。綾波ぃ」体育教師は掌で、そして熊のように毛に覆われた手の甲で、少女のすべすべした肌の感覚を味わいながら、ねっとりとした口調でささやきかけた。「お前、全然日焼けの跡がないぞ。シミひとつないじゃないか。ん?これはどういうことかな?これは水泳をサボった決定的な証拠だよなぁ?」
 「そ、それは、日焼け止めを塗ったから……私、紫外線に弱いか……ひぃっ!」レイの歯を食いしばっての反論は簡単に中断させられた。男の指先が彼女の脇腹をすぅっと撫でたからだった。
 「ふつうならな、そんなモノ塗っていても、水着のカットに合わせて脇腹のこういうところにちゃぁんと跡がつくんだよ。お前のところの委員長。あいつも色白だがちゃぁんと跡がついてるぞ」
 「う、嘘、そんなの言いがかり……それに、どうしてそんなこと……知ってるの……ひっ!」敏感な脇腹が、一つ増えた少女の弱点が教師に撫で上げられ、レイの思考はフラッシュする。
 「そうだなぁ。この証拠はきちんと残す必要があるなぁ。そうそう、写真撮影しなくちゃな」
 「や、やめて!そんなの駄目!」
 「お前、まだオレを舐めてるだろ?」
 教師は不意にレイのお椀型をした乳房の頂点をつまみ上げた。
 「あぁっ!!」
 米粒よりもやや大きめの敏感な蕾に激痛が走り、少女の口から悲鳴が吹きこぼれた。
 「やめて!痛い!痛い!痛い!」
 ぐりぐりと指先に力を込められ、レイは叫ぶ。男は満面に笑みを浮かべたまま、彼女の耳に吐息を吹きかけた。
 「本当にやめてほしいのなら、教師に向かってそんな言葉遣いはやめな。綾波レイ」
 まだ芯の残る乳首にぎりぎりと力を込める。少女は苦痛のあまり声も出ない。脚ががくがくと痙攣した。
 「あ、ああっ、う、うう……」
 わずかに圧力が減り、少女は荒い息をついた。
 「ひどい……ひどい……」
 「ひどくなんかないぞ。教師に対する口の利き方を教えてやっているだけだ」
 一転してソフトな指使いで先端が転がされる。再び痙攣する少女。
 じんじんとした乳首を巧みに愛撫される。それも一種の拷問だった。
 「ほら、どう言えばいいか。分かるだろ?天才少女綾波レイ?」
 耳たぶを舐めんばかりの距離でささやかれる猫なで声。
 そして……、
 「ひぎぃっ!ふわぁぁっ!」
 強烈な刺激。
 今度は爪を立てられた。
 ソフトな愛撫のあとだけに痛みは強烈だった。
 閉じた瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちる。ぱくぱくと開いた唇からはよだれさえあふれた。
 そしてやわやわと、こりこりとソフトな指遣い。
 そしてちぎれんばかりの痛み。
 それが十数回繰り返されたとき、ついに少女は、綾波レイは屈服する。
 「お、お願いです。もう……やめて!痛いのいや……ひぃッ!ご、ごめんなさい。間違えました!あぁぁっ!つ、つままないでぇっ!!痛い!痛い!……あっ……い、いいい痛い……ママ、ママァ……ユ、ユイママァッ……んッ!……痛ぁいッ!痛い……ちゃ、ちゃんと言います。言いますったら!……あぁ、あっ!……いいい痛いんです!すごく痛いんですぅ!やめてください。お願いです!どうか許して……ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさいっ!センセイっ……どうか許して……ゆるして……どうか……ゆるし……て……くだ……さい……あ……ぁっ……」
 少ない肺活量をいっぱいに使い切り、少女は泣き叫び、懇願し、嗚咽混じりに敗北を認める……。


 「うれしいなぁ。あの無口な綾波が、オレにこんなに心を開いてくれるとは。教師冥利に尽きるぞ」
 もうレイの身体を抱きかかえて拘束する必要はなかった。
 両手を壁へ押さえつける必要すらなかった。
 「壁に手をついて脚を開け」
 そう告げるだけでしゃくり上げつつも少女は命令に従った。男は椅子を引っ張ってくるとそれに腰掛け、両手を使って思い存分にレイの肉体を味わうことができた。
 それはとてもすばらしいものだった。
 特に、乳房とその先端をいじり回したときの反応は男を狂喜させた。
 まだそれは貧弱という方が正しいふくらみだったが、お椀型を保ち続けるそれは十分な弾力と絹のような手触りを持っていた。
 そして乳首。
 先ほどの「教育」がよほどこたえたのだろう。男の指がそれをつまむたびに、レイは切ない悲鳴を上げ、身を固くする。
 「おいおい。あまり緊張しちゃ駄目だぞ」
 含み笑いを浮かべつつ、もちろん教師は生徒の期待に応えた。一瞬の痛みと、その数倍の甘い刺激を与えてやる。丹念に、丹念に。
 大きさはまだまだの蕾が、左右ともかちかちになって立ち上がるまで。
 「あはぁ……っ」
 レイがぐらぐらと首を揺らしながら吐息を漏らした。頬は上気し、瞳はついに焦点を失っていた。
 おや?
 指で軽くはじいてみる。ひっ!と少女は叫び声をあげる。
 だが、それは悲鳴ではなかった。
 快楽を押し殺した声だった。
 ……なるほど、そういうことか。
 教師は納得した。
 さらに十数分、丹念に丹念に彼は女生徒の乳房をいじくり回す。もちろんその間には学年トップクラスの女生徒の尊厳をおとしめる会話をちりばめる。
 「レイ、お前、従兄の家に引き取られてるんだってな?」
 「……ふぁ、はい、そうです」
 「碇シンジ……だったっけ?」確認するまでもない。チェロだけがうまいへなちょこ小僧だ。一部の女生徒に妙に人気がある奴だ。
 「そ、そうです……あ、あぁっ、や、やめて……」
 「じゃぁいつも、風呂上がりとか着替えのときには同学年の男のチ○ポを見てるわけだ」
 「み、見てなんて……いません!あぁっぅ」
 「嘘ついてるんじゃねぇぞ」
 「嘘じゃありませ……ひぎぃっ!い、痛いぃっ!」
 「ほら、嘘つきレイにはお仕置きだ」
 「……嘘じゃ……ぁくぅっ……う、嘘です。ご、ごめんなさい……嘘です。わた……し、い、イカリクンの……見まし……た」
 「うん、正直な生徒にはご褒美だ」やわやわと爪で軽く果実をくすぐってやる。びくっ、と少女の青い肉体が震えた。ため息混じりの吐息が漏れる。「でもな、何を見たのかちゃんと言わなくちゃ」ちょんと軽くつつくだけで、青ざめた綾波レイは真実ではなく、淫らな教師がほしがっている答えを叫ぶ。
 「あっ、ペ、ペニスを……です」
 「さすが優等生。保健体育の授業はちゃんと出てるんだな。でもな、ペニスじゃぁない。チンポだ。それに『誰のモノ』かも言ってないな。……五〇点」
 右の乳首を捻られ、左を優しくつまみ上げられ、レイはいままで出したこともない甲高い声を上げる。
 「じゃぁ、最初からだ」
 レイは大粒の涙を吹きこぼしながら叫ぶ。
 「あ、あたし、家ではい……碇くんのチ、チン……チンポ見てますぅっ」
 「そうか、レイはエッチな同居人だな」ご褒美に教師は果実の最先端に刺激を与えた。必死に少女は声を抑える。耳の先まで真っ赤になっている。にやりとして男は次の質問を放った。
 「じゃぁ、碇のチンポってデカいのか?見てるんだったら分かるよな」
 答えようのない問いにもかかわらず、刺激で思考がとろけはじめた彼女は、条件反射的に言葉を紡いでいく。
 「あ、あ……碇、碇くんのチンポ、お、大きいですっ!い、言いました。言いましたから意地悪しないで!痛いぃっ!」
 「でかいのかよ、気にいらねぇなぁ……」
 「……ひ、非道い……く、くぅ……」
 「レイ。こっちを向け」
  涙を浮かべ、しゃくり上げる少女に男は重々しい口調で命じる。
 ゆらり、と少女がこちらを向いた。部屋に入ってきたときとは全く雰囲気が変わっていた。幼い性感は飽和状態となり、腰を支えてやらないとそのまま崩れ落ちてしまいそうだった。
 「返事がないぞ」
 「……はい」もう、脅しの必要はなかった。苦痛ではない何かに綾波レイは支配されていた。
 「両手を頭の後ろに組め。そして、脚は『休め』の姿勢だ」
 「……はい」
 それはとても扇情的な光景だった。
 男の目の前にアルビノの美少女がスレンダーな肉体を全くの無防備な……いや、身を守ることすら放棄し、屈辱的な姿勢でその肉体に愛撫が加えられるのを待ちかまえているのだ。
 だが、男は落ち着き払っていた。
 「レイ。お前、オナニーするだろ。いや、オナニー大好きだろ」
 「……!!」
 少女の顔に赤みが増した、その瞳がわずかに光を取り戻す。
 だが、男は落ち着き払っていた。
 「レイ、お前、自分でオッパイ揉むのが大好きだろ。乳首がカチンカチンに堅くなるまでいじくり回して死ぬほど感じてるだろ?きっと毎日やってるだろ?ええ?」
 「あ、ああっ……」
 「返事は?」
 「あ、い、いやぁ……ひっ」
 「脚を閉じるな」男の手が、今度は両手が、再びスカートの中に侵入したのだった。その手は膝上一〇センチの裾をかき分けると内股を左右からゆっくりとはい上がり、その途中でぴたりと止まった。
 「レイ。もう一度聞くぞ」男の声には隠しきれない勝利の響きがあった「お前、オナニー大好きだろ?乳首を自分で触っているだけでパンツがぐしょぐしょに濡れてしまうんだろ?あ、そうか。そんときゃパンツ脱いでるのか?」
 「ああ、そんな、そんな……ああ……」何度も首を振り少女は淫らな質問を否定する。男は口元をゆがめた。
 「嘘はいかんなぁ」男の両手がするりとスカートから抜け出す。その指先には粘っこい液体が糸を引いていた。「こんなにスカートの中をヌルヌルするくらい溢れせておいてよく言うぜ。」
 体育教師は左手をレイの背中へ回しそっと引き寄せ、右手の親指でゆっくりとその紅の先端をこねくり回す。「そうかぁ、寡黙な優等生、綾波レイちゃんはおっぱいの先をコリコリやられると頭の中が真っ白になって、大嫌いな先生の言うことも全部聞いちゃうんだよな?乳首が感じる女子中学生なんだな?」
 愛撫の指は二本になる。親指と人差し指で小さな果実を軽く摘んでは引っ張り、さわさわとしごいてやる。
 少女の内股を伝った粘液がふくらはぎに沿ってゆっくりと流れ、黒いソックスに吸い込まれていく。
 綾波レイは何度も口を開き、何か言おうとする。だが、そこから漏れるのは切ない吐息だけだった。
 愛撫の指は三本になった。引っ張る動きにさらに、ころころと転がす動作が加わった。
 「ひっ、あっ……あぁ……駄目……あ、気持ち……くすぐったい……熱い、熱いの……」
 少女の言葉は次第に支離滅裂になっていく。
 なるほどねぇ。スイッチが入っちゃったワケだ。
 きっと下手くそな人間関係が苦痛だったり、周囲の視線に耐えられなくなって始めた「いけないストレス解消」だったんだろうなぁ。
 体育教師はほくそ笑む。そして、その笑みは突然に冷酷なものに変わった。
 「綾波!返事!」
 「はぁぁぁっ!」
 ぐい、と先端が粘液まみれの指に押しつぶされた。レイは悲鳴にならない声を上げて痙攣する。ついに自分では立っていられなくなった少女は自分を罠にはめた上、恥辱にまみれさせた中年男に引き寄せられ、抱きしめられる。
 「こんな感覚は初めてか?」
 とろんとした表情で男を見上げたあと、彼女はうなずく。まったく腰が立たなかった。
 完全に囚われてしまった。少女は絶望する。
 だが、それはどこか甘い感情だった。
 「あ、あはっ……そ、そうです……こ、こんなの……」
 「よろしい。素直な生徒にはご褒美だ」
 荒い呼吸を続ける桜色の唇が教師にふさがれ、唾液を流し込まれた。
 そして、彼女は男に抱きかかえられたままねっとりと口腔を舌で犯される。
 そう、それはまさしく舌を使った性交だった。
 男の舌はレイの整った歯列をなぶり尽くし、歯茎を味わい、口蓋を舐め上げた。少女の口腔のあらゆる場所を生物のように男の舌は這い回り、舐め、しゃぶり、そして吸った。無意識にその異物を追い出そうとしたレイは逆に舌を絡め取られ、吸い上げられて念入りにその敏感な先端をしゃぶられる。気が狂いそうな感触はそのまま少女のくすぶっていた被虐心に火をつける。
 数分にも及ぶディープキスの後、綾波レイは生まれて二度目の絶頂を迎えた。

 やった。ついにやった。
 彼は獰猛な笑みを浮かべ、少女の耳元でささやいて決め打ちの暗示をかける。
 「いいか。綾波レイ。よく覚えておくんだ。お前は大嫌いな大嫌いな先生に、学校で胸をいじり回されて一四歳の人生で生まれて初めてイッちまったんだな?そのうえディープキスの最中にまたイッたんだな。このことをよーく覚えておくんだぞ」
 時には耳たぶを甘噛みし、時には耳孔をなめ回しながら男は淫らな言葉を、都合のよくねじ曲げた事実をレイの頭脳へ直接入力する。
 「ほら、コリコリされると気持ちいいだろ?でも、握りしめられたあとのじんじんする感覚も……でもな、お前の肉体にはもっと気持ちよくなる部分があるんだ。どうだ?そこをいじくって欲しいか?気持ちよくして欲しいか?」
 「う、うぅぅ……ッ、はひぃ……きもち……よく……なり……たい……」
 もちろん、その間も快楽と、それと表裏をなす苦痛の供給は忘れない。
 まもなく、綾波レイは三度目の絶頂を迎える。

 さぁ、これからどう楽しもうか。

 彼の腕のなかでぐったりと横たわる美少女のプラチナブロンドをいじりつつ、男は楽しい計画を練る。
 綾波レイはコットンショーツとソックス、それにローファー以外を身につけることを許されずに、快楽と絶望にスレンダーな肉体を震わせながら体育教師に抱かれていた。
 未知の快楽と屈辱に翻弄されてしまった少女は、抗うすべを持ち得なかった。
 淫行教師に促されるままに「気をつけ」の姿勢を取らされた半裸の彼女は、男によってブラウスも、ブラジャーも、スカートも剥ぎ取られてしまったのだった。
 もちろん、抵抗など許されない。
 男の命じるままに、幼児のように「ばんざい」させられて純白のブラウスを抜き取られ、部屋の隅に乱暴に放り投げられても無言のままだった。
 腰のホックを外され、するりと落ちたスカートを手に取られ「おい、レイ、このスカートの丈は長すぎるぞ。そうだなぁ……膝上、いや、股下五センチにするんだ。そうすればお前、超人気者になれるぞ。お前が階段を上ったりすると、そのすぐあとに学校中のガキどもがぞろぞろついてくるようになるんだ。どうだ?え?明日から『パンチラレイちゃん』って呼ばれるんだ、どうだ、え?」とねちねちといたぶられても涙するしかない。
 なぜなら彼女は知られてしまったからだ。
 少女も知らなかった彼女の本性を。
 いじめられ、いたぶられ、恥ずかしい言葉を投げつけられ、さらに絹のような肌を撫で回されると身体を熱くしてしまう本性を。
 コンプレックスを抱いている双胸をやわやわといじめられ、ピンク色の尖りを刺激されると、相手が大嫌いな男性教諭であっても頬を染め、甘い吐息を漏らしてしまうことを。
 だから彼女は男の命ずるままの姿勢を取ってしまう。
 言われたとおりに腰に手を当て、体育の準備体操のときのように後ろへ身体を倒し、ぐっしょり濡れたショーツの股間を男の視線にさらしてしまう。
 少女に密着するように寄り添った体育教師に、後屈姿勢のまま滑らかなお腹を、つんと立ち上がった胸をさわさわと撫で回されると学校の誰も聞いたことのない可愛らしい声でひんひんと泣きむせぶ。
 そうして下着の濡れた布地越しでも分かるほど、ぷっくりとクリトリスを立ち上がらせた少女は、忌むべき相手に甘え声とともに身体を預けてしまったのだ。

 征服者の笑みを浮かべて彼は思う。
 胸をいじくり回しただけでこれならば、クリをいじったらどうなることやら。いや、なめしゃぶって快楽を教え込んだら、そのためにはどんなことでもやる、淫乱女子中学生になるだろうな。
 うん、わるくないな。
 多少のリスクは……まぁいいだろう。
 この手の内気な生徒はいい奴隷になるからな。前もそうだった。
 それに……この調子なら「おしゃぶりをするだけでイッちまう」フェラ娘にもできそうだ。そうそう、あれは確か……マナ、霧島マナとかいう小娘だった。あれの舌使いは絶品だったな……。
 それにこいつの前の孔、そして後ろの孔。
 未開なうえ、キツキツなのは間違いないし……。

 人生、楽しくなりそうだ……。



 だが、彼は知らない。
 気も付かない。
 彼は、いままで暗示など使ったこともなければ、(まるで女生徒に人気がなかったものの)生徒を歯牙にもかけなかったことを。
 これだけの美少女を蹂躙しつつ、一度も精を放出しようなどと思わなかったことに。
 教官室の各所には高性能マイクとカメラが仕掛けてあり、絶妙なカメラワークで一部始終が撮影されていたことに。

 彼が思い浮かべた「これから計画」を彼自身が決行できる訳ではないことに。
 いや、その計画そのものを彼自身が思いついたわけではないことを……。

 「シンジ!鍵は?」
 「あったよアスカ。で、でも……早くしなくっちゃ!綾波が!ひ、ひどいことに!」
 「ひ、ひ、ひどい……って……もう!」少女は頭を振って妄想と恐怖を追い払う。自分自身を元気づけるために少年の脇腹に勢いよく肘鉄を食らわせた。
 「アンタねぇ、そ、そういう心配は後からしなさいよ。それよりも……行くわよ?」
 「……うん」
 たった一つしかないはずの、体育教師のジャージのポケットに入っているそれが唯一のはずの鍵が、チェロ奏者を目指す少年から、その幼なじみである赤毛の美少女の手にわたったことを……。


 この「シナリオ」の結末は、すでに決定されていることを……。



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Original text:FOXさん