Back Seat

Original text:引き気味


18

この夜も、肉獄に囚われたアスカは老人に為されるがまま、浅ましい性を剥き出しにして女の肉を堪能されていた。

「ああ……ああっ!」

静まり返った夜のケイジに響く甲高い―― まだ少女の音質を残した、悦がり声。
背後に立った老人に尻を差し出し、貫かれ、母親の見ている前でとめどなく涎を垂れ流す。

(ま、ママ……ぁッ!)

膣内の感覚鋭く開拓された一帯を強く突かれ、フラッシュが瞬く瞼の裏、アスカは思った。

(ごめんなさい……ごめんなさいっ! アタシ……もうダメっ。だめなのよ……)

抱かれている相手は、見るからに老醜の痩せ枯れ木。歳の差は祖父と孫ほどもある。
そんな男を相手にして、衣装の上からごと淫猥な模様に縄で縛り上げられ、しかも喉元には隷従の証の首輪までも。
正しく性奴隷の仕打ちに遭いながら、

「くくっ、犯してやればやるほどに君のいやらしい本性が出てくるな、アスカ君。今晩もいったい何度気をやれば満足するのかな?」
「そんな、仰らないでくだ……ぁ、恥ずかし―― ッン、ふぁ、あひぃぃい!」
「そら、そら、そらっ。また締め付けが増したぞ? 可愛い顔をして底無しよなぁ」

結合は、逞しく感じてしまう胸に背を包まれる、背面立位。
片脚を膝で持ち上げられて、もう片足も背の高さの差で危うい爪先立ち。
体重は全て、敏感すぎる一箇所に。抽送の激しい振動を受け止める幼い膣は底を破られんばかりだ。

「深っ、あっ、ああアタシっ、こんな、串刺しにっ……ひぃぐ! いっ、死んじゃうっ、あおおっ!!」

奥底を抉られて感じる、感じすぎると、がくがくと細い首を揺さぶって甘い悲鳴を張り上げる。

「あいっ、ひ、ぅいぃいい、っひあああ!」
「もっとだ。もっと尻を振れよアスカ君。それで足りなければ掴んでやっておるこの脚で弾みもとるがいい。それ、淫乱娘のバレエだよ。踊れ、踊れ。ふははは」
「はいっ、いっ、いぁはぁあああー! あぅぐ、ふっ、ふぁああ!!」

喉奥から内臓が飛び出しそうなほどに貫いてくる肉杭の太さ巨きさを感じ、ふつふつと汗を吹いた美少女の顔に浮かべるのは、歳に似つかわしくない婀娜とした悦がり様だ。

「そうれ、大きい声で言いたまえよ。ワシの逸物が堪らんと、君の可愛そうな母親になぁ」
「そおぉ……ッ、っ。そのっ、とおり……です。あ、ああアスカは! あ、ご主人様のがぁああ!」

いい、良いのだと。どんなにか嵌められたその具合が素晴らしいのか、可憐な唇はそれだけを訴える器官と化していた。
慎みも恥じらいも無く、ああん、ああん、と鼻がかった声が引っ切り無し。
沸き湯にふやけんばかりの秘肉器官をピストンされる一突きごと、『そこっ! あああ、そこも感じ―― っ、ヒッ、そこぉぉぉ!!』と破廉恥な報告をする。それも眉根をクナクナとだらしなくした、嬉々の顔で。
母は決して、こんな商売女のような真似をさせるために自分を産んで、そして育てたわけでもあるまいに。

「ああ、あぁヒィィ……ィ!! 深いのぉぉっ! アタシのっ、子宮まで……ぇ、来てる。きてる、きてる、きてる! ぶっといの、キテるのぉぉおお!!」

しかし最早逃れられぬと自覚する肉の歓びだ。
アスカは麻薬患者とも同然の卑しさで、溺れていた。

「もっと……ゴリゴリって、なか、なかぁあ……、アタシの膣をぅッ、ウーッ!」
「くくく、一生懸命に振りたくりおって……いやらしい尻をしているな」
「ハッ、ふ、フーッ、ふぅア! あっ、ああっ! 恥ずかしっ、ひぃいいいんンン!」

母への愛ゆえに、今の自らへ絶望を感じもする。
いっそ死んで詫びてしまえとアスカの裡には自分を罵る声もあった。
―― だが、快楽は辛さの程にいや増すのだ。
魂の苦痛すら、この身に目覚めさせられたおぞましい性嗜好が快楽の燃料にしてしまう。

「いんっ! イ……いい、イキますっ! ああん、んっ、アスカはまたっ……! あ、ああぁぁあ゛あ゛あ゛〜〜〜!!」

老人が嘲る通り、既に自分は一匹のケモノ。
とうに自分に愛想は尽きている。
マゾ快楽に嬉し啼きする首輪が似合いの牝犬女なのだと、見切りを付けていた。

―― そうよ、変態なのよ、アタシは!)

ひひっ、と顔をぐちゃぐちゃに崩して、アスカは老人にねだるしかなかった。
もっとと、もっとご主人様のモノでアスカを突いて下さいと、手はドレスの胸元が引き下げられたそこを自分で浅ましく揉みしだいて。

「おぅおぅ、すまんな。胸が寂しかったか。先も随分尖らせてなぁ」
「はっ、はっ、はぁぁ……あんン……」
「よしよし、ワシが許してやろうからな、そうやって好きなだけ尻を振るが良いぞ?」
「は、はひっ……ぃ、いうンッ、ン、……あはぁぁ! 感じます。感じますっ。アスカのお尻の奥に、ご主人様のご立派なおちんちんを……いっぱいっ、いっぱいぃぃ!!」
「そうだ、ふはははは。この年寄りにアスカ君の愛らしい声をたんと聞かせてくれたまえよ」

老人はネルフ高官の服を着たまま、ズボンのファスナーだけを下ろしてアスカと繋がっていた。
少し背は斜め気味で、腰に乗せるように美少女の桃尻を引き寄せていた筋張った手の、その片方を前へ回し、アスカのスカートを大胆以上にめくった裾からすべすべの下腹を撫でさする。

「はぅっ、うっ、おなか……ぁ、今触られたら……ぁ、あぁああ〜」

そこにぽっこりと、まだアスカの躰が小さく出来上がっていないが為に浮かび上がった己の剛直のかたちを確かめるように。

―― ッんんん、うぅぅんン、ゴリゴリってぇ!」

そして下へ流れ、濡れた恥毛をわしゃわしゃと掻き分け、隠されていた奥の雛尖をくりゅくりゅと苛めることに執心を見せだす。

「ひぃんンンーッ!!」

アスカがおとがいを跳ね上げ甲高く啼くと、感じ過ぎてしまって手足を暴れさせるのに合わせ、縄で衣装の上から縛られたそこかしこから布の引き裂かれる音がした。
アスカが身にまとっていたのは、シンジを見舞った時に綺麗だったと褒めていた、その数日前の夜会で着たあの緋色のドレスだ。
それが、老人は殊更に少年とアスカの間に通じたものを汚すのが愉しいのか、

『今晩の支度はその衣装だよ、アスカ君。さ、支度したまえ』
『これ……は……』
『そうだよ。彼も昼に随分と褒めてくれていただろう? 随分な気に入りようを聞いていたらな、わしもまたあの夜の美しいアスカ君を愛でてみたくなってねぇ』
『…………。はい。わかり……ました』

全体に滲んだ汗とその他の汁液。滑らかなシルク素材ごとに縦横に14歳の輝く肉体を踏みにじる無骨な縄文様。
わざわざハリウッド女優に衣装を提供しているようなイタリアのトップデザイナーに仕立てさせた豪華なドレスも、今や見る影無い襤褸と成り果てている。
両の乳房をそれぞれくびり出され、淫猥な緊縛に絞り上げられ、下半身もスカートを裂かれて丸出しに。
下着は履かせてもらってすらいない。
綺麗な逆三角に手入れされた赤の叢を、ずっぷずっぷと出入りする老人ごと、

「あん、アスカのおツユ、おじいさまのお汁と一緒になって甘ぁいのぁ……」
「あああ、ヒカリぃ! ぃいいひぃぃいんンン!!」
「あは、もっとアスカ。もっと……うんンン! 舐めてあげる。みんな舐めてあげるから、アスカ――

金属床に裸で這い蹲ったヒカリが、ぴちゅりぴちゅりと唇を寄せて舐め上げてくれていて、

「そこぉっ、あ! ひ、ヒカリの舌、感じちゃうぅぅぅ!!」
「おぅ、おっ、良く締まる……! いいぞ、ヒカリ君」

老人の高い位置の腰に合わせるため爪先立った不安定な身で、くねくねと身をよじって喜んでいた。

そうやって首輪に息苦しい喉を荒く喘がせ、どろどろのセックスに窒息しそうな真っ赤な顔で溺れていた時、ケイジの鉄扉が、轟音を立てて砕け散ったのだった。



◆ ◆ ◆

例え戦自の兵でも、個人で持ち運べる兵装の限りでは破ることも叶わない分厚い扉。
そこを大穴開けてぶち抜いて、非常灯さえ消えてしまっているらしい暗がりの向こう側から、よろりと姿を。

―― シンジだった。

血塗れで、裸で、ぜいぜいと肩で息を吐いていた。
そこに瞳が爛々と赤く輝いて魔物のような―― 最初に大きく見開いたまま、瞬きも忘れたかのように凝視してきていた。

「あ、あ……」

唇がぱくぱくと、打ち上げられた魚の口の動きなのは、自分の名を呼んでいるのだなとアスカには分かることが出来た。

「アスっ……あ、ああ……あぁああ……!!」

塗り潰す驚愕、ただ一色で凍り付いた赫眼。
アスカにとり決して無視できぬ存在だったあの儚げな少女と同じに変じた双眸には、間違いなく自分の一番みっともない表情が映っているのだ。

「あはぁあ、シンジぃ……?」

それでもひぃひぃと、喘ぎ混じりに零れたのが、悦と蕩けた声。

「な、アスカ……!」

ぎょっと、却ってヒカリが色を失った風で親友に振り向く。叫びは殆ど悲鳴だった。

「んんっ、うんン……」

老人さえもシンジの異様に動きを止めていながら、アスカは尚、股に銜え込んだ感覚に溺れている。
焦点の合わぬ碧玉は焦がれ求めた少年の姿を見詰めているようで、見えてはいない。
アスカの為に友が上げた悲鳴もきっと聞こえていないのだ。

「んぁ、あ、あはぁ……ぁ」

一瞬でも止めていたくないと細腰をうねらせ、絶え絶えの息で悦びを表すばかり。
ざわざわと髪も振り乱してセックスを味わう顔が、何故ここにシンジが居るのかという、それすら疑問に思わぬ壊れた微笑みを向けていた。

「見て、見てよシンジぃ……。あぁ、アタシ……今日も……あははぁ、今日もご主人様に犯して頂いてるの……!」

淫肉を乱暴に貫いていてくれた筈の腰が止まっているせいか、アスカは肩越しに老人の首にぶら下がる腕に力を入れて、ゆっさと自分を持ち上げ揺らしてまでして、膣肉に摩擦の刺激を求めようとする。

ぐじゅっ

「……ンあん!」

浅く抜けそうになったエラが花びらの裏を引っ掻き、シンジも見ている前で、アスカのそこから白濁した汁液が飛び散った。
つつぅと、器官のピンク色をした溝の縁から内腿にも垂れ流れる。

「ああん、もっとぉ……」

後ろへと寄り掛かりながら、更に結合を深くしようとお腹で身をひねらぜ、大きく持ち上げた左肢を老人に絡めている―― その所為で、その卑猥な性器周辺の全てはあからさまだ。
交接の擦過で赤く腫れぼったい恥丘の様子も、肌が白いだけに荒淫の程が知れて余計に目立つ。
秘唇が老人の肉棒を大口開けて含まされているのも、髪と同じ色をした恥毛がべったりとこれまでの白濁にまみれているのも、何もかも隠すものなく露出しているのである。

「ね、動いて……動いてくださっ―― ああ、アタシを、もっともっと……エッチに犯して下さらなきゃあ!」
「あ、あ、アスカ……。そんな……だめでしょう? ねえ、ねえってば……」

アスカを止めねばならない。少なくとも、絶対に、あの少年の前では。

「アスカぁ……」

ヒカリは、正気に返れと親友を叱咤したい友情を抱きながら、しかし、まだ動きを見せぬこの場の絶対者、老人の存在への恐怖心の間に挟まれていた。
突如姿を表したシンジ自身の異様にも怯えずにはいられない。
結果として床の上から落ち着き無く怯えたウサギの様に、ただ傍らと向こうとの様子を窺うばかりでしかいられずなのは、責めることの出来る臆病だったろうか。

「ああん、ご主人さまぁ。あふっ、ふっ、アスカの……アスカのいやらしいオマ×コを、もっと可愛がって……ぇんンン」

アスカは一向に狂態から立ち戻る素振りを見せない。
『見て、見て見て見て、見てぇぇえ!』と引っ切り無しにシンジに目撃されることを喘ぎ求め、その愕然とした視線を肌でゾクゾクと感じている。
苦と悦と、望むのと恐怖するのと、倒錯してしまっているのだ。

「ア……ああッ」

見せ付けるように更に開脚した足を高くして、深く浅く、深く浅く。ずっぷずっぷと、秘唇が生々しく飲み込んでは蜜をたっぷり絡めてやって吐き出す様を、執拗なまでに演じてみせる。

「ああ、あ〜〜。すて、きぃ……ン、ンーッ!」

そんな別の牡との交尾絵図。
求めた女が裏切る姿を見て、あの少年だって一人の男だ。導かれる感情が、アスカの恋に破滅をもたらさずに済むとは到底思えない。

(どうしてなの、アスカ……?)

絶対に隠し通し続けねばならかった筈の秘密の破綻に、この強かった戦乙女のアスカですら耐えられず自棄に飲まれたのか。
自ら幕を下ろそうとでもいうのか。

―― しかし、その実、意識中枢を麻薬的な快楽で占められていたアスカにとって、それは馴染みの悪夢のつもりでしかなかったのだ。



◆ ◆ ◆

(あ、ああ……シンジ! シンジが……シンジがっ!!)

そこにシンジが居る。
シンジが現れて、こっちを見ている。
『アスカ!』と、驚愕を叫んで。

そら、愛しい彼が見ているぞと、またいつものように老人が言うのだろう。

(そしてアタシは……シンジの前なのに、シンジに見られてるのに、また恥ずかしくイッちゃう―― いいえ、違うわ。あの恥知らずなイキ顔を見て貰うの。見て貰わなきゃいけないの)

でなければご、主人様に可愛がって頂けないのだから。

「いぃ……ひ、ひぁっ、は、ははぁああ」

笑った。
見て、アタシを見てと、狂気の笑顔で少女は呼び掛けた。

「あ、ああアタシ……気持ち良いのっ! ごしゅじんさまに……ずっぷじゅっぷって、お腹の中いっぱいに出してもらって―― !!」



◆ ◆ ◆

アスカは醒めない悪夢の中に居る。

囚われの美しい姫が、悪い魔術師にその無垢な躯を汚され尽くされる悪夢だ。
姫の幼い頃から続く戦いが漸く終わる時が来たのに、物語はハッピーエンドで幕を下ろさなかった。
姫にぴったりの王子と出会い、手に手を取り合って戦い抜いたのに、姫の城に仕える魔術師が最後の最後で裏切った酷い物語。
王子は死病に囚われて、姫は悲痛な決心を。
王子の命を買うために、魔術師のねぐらで毎夜身を売る辛い暮らし。

それでどんなに悲しくても、王子の命が助かるならば――
震える手で魔術師の差し出す首輪を受け取り、契約を。王子でさえ触れたことのなかった眩い裸身を弄ばれるがままに、ただ耐える。
かさついた皮膚に醜い染みと皺と、すえた老廃物の臭いをまといつかせた獣に組み伏せられ、姫の純潔は永遠に穢された。

そして夜と夜と夜が過ぎる。
王子の病は治らない。
城中の誰もが見放した。
それでも姫はあきらめない。
誰に助けてもらえずとも、たった一人諦めず、耐え続ける。

王子のために。王子のために。王子のために。
身体は売り渡してしまおうとも、心は大好きな王子を想い続けましょう。

そんな涙で枕を幾たび濡らしたか。
どれだけおぞましい目に遭わされても、それでも王子に捧げた心だけは守り抜くつもりであったのに。
終わりが見えぬほどに繰り返される魔術師との狂気の夜に、姫の心も磨耗せずにはいられなかったのだ。

姫の肉体を奪うに飽き足らず、心をも穢そうという悪辣な魔術師だった。
唇を噛んで戦い続ける姫の想像すら遥かに越えて、悪賢かった。
辱めの度、たっぷりと注ぎ込まれる毒に抗おうとして―― 抗おうとしていて、どうして姫は、大切な友人まで蹂躙されるのを黙って見過ごしてしまったのだろう。
いつの間にか毒が回りきっていたのだろうか。気付かぬ内に、心は折れてしまっていたのだろうか。

―― そうら、愛しい彼が見ておるぞ?

浸された薬液に浮かぶ王子の前で、高々と差し上げた尻を犯される。
見ないで、姫の姿を見ないでと泣き咽びながら。

―― ははは、そんなに声を上げては彼が目を醒ましてしまうのではないかな?

王子の枕元で組み伏せられて、ああ、ああと啼きながら涙をこぼす。
どうか眠ったそのままでいて。恥ずかしいこの姿を見てくれないでと、悦楽に苛まれる顔で。

姫のなによりの悪夢は王子に全てを知られる事だった。
何よりもそれを怖れるが故に、毎夜見る悪夢は常にそれ。
姫の心は、いつしか悪夢に慣れていく。
魔術師の毒を受け入れはじめていく。
その侵される程に、姫が悪夢に魘される顔は、歪んだ笑顔のようにも見えていって――

アスカは狂おしい悪夢の中に居る。
悪夢の中では恥辱も肉の悦びで、心のどんな激痛も甘い疼きに変えられてしまう。それはきっと悪夢。
悪夢でなければ耐えられない。
もしも目覚めて、目蓋開けたその景色がまだ悪夢の中ならば、きっとアスカは耐えられやしない。

だから、シンジ、アタシを見て! と。
立ち尽くす少年に浅ましく叫んでいた。



◆ ◆ ◆

「あす、か……」

ひび割れた唇がぽろと零した。
かつて一度だけ、あの懐かしい葛城ミサトのマンションで口付けた唇は真っ青だ。
見るからに冷たそうなあの唇だけれども、惣流アスカが交わした大切なファースト・キッスの時は暖かだった筈。
あの日のシンジの唇の感触は……、ああ、どんなだったかしら……?

どうして? 大切にしまっておいた記憶なのに、どこを探しても見つからない。
ごしゅじんさまの下さるキスはいくらでも思い出せるのに。

「あす……か」

うるさいわね、ちょっと待ってよ。アタシは大切な探し物をしているの。

「あす、かぁ?」

あれ? なんだかおかしいわね。
なに死にそうな顔してんのよ、アンタ。

「ああ、ああぁぁぁ……!」
「あ……、え……?」

あれれ? ねぇ、ちょっと……おかしくない?
待ちなさいよ。これって……うそ、嘘でしょう!?

「あ、ああ……うそよ……こんなの嘘よね? し、しんじぃ……」

ねぇと、潤みを帯びたままの瞳が誰にともなく問う。
縋る声に、どこからも応えは返らなかった。
ケイジに立ち込めるのは痛いほどの沈黙。
少年の形をした暴風が突き破った扉からか。吹き付けた冷たい一陣が霞を吹き飛ばし、最悪に直面させられた青い瞳孔がきゅっと縮まった。

「待ってよ。ねぇ……こんなの、いやよ……」

いやいやと、視線から逃げ出す様に、剥き出しの肩をよじらせる。
老人の首に回されていた腕がぎこちなく己を引き剥がそうとしていたが、まるで動かし方を一時的に忘れてしまった様な、そんなぎこちなさ。
慄きがさざなみ立たせた露わの素肌は、ツンと淫らに立ち上がった胸の先から縦横の縄目にたっぷりと汗を吸わせた下腹部まで、今や全て彼の少年の知るところだ。
少年に今まではそれを目撃した経験などまるで無かったとはいえ、アスカの秘めやかな恥毛ではとても隠しきれていない性器の割れ目に黒々と老人が埋め込まれているその意味を、理解できぬはずが無い。

―― アスカは、少年に優しかった美しい女の子は、冬月という老人と今までセックスをしていたのだ。

二人共に決して望みはしなかった形だったろうが、もう秘密は暴かれ、暴いてしまった。
ケイジの入り口からエヴァの眼前の桟橋までの二人の距離は、決してすぐ傍という程ではない。それでも、お互いを凝視し合うアスカもシンジも、相手の瞳から心を覗き込むことが出来た。
あの子も、アイツも、怯えているのだと分かってしまったのだ。
こんな時に通じ合っても辛いだけなのに。

「あ、あ、あ、ああぁ……」

ひゅぅううっと、がらんどうの肺からシンジが吐いた嘆きの息が、凝固していた一瞬の最後。
凍り付いていた時は動き出す。

「……ぁ、嘘だぁあああああ!!」
「やっ、いやあっ! いやぁあああああ!!」

絶叫に引き裂かれながら、たちまちにしてシンジの目が死んでいくのをアスカは見た。
この場所に現れるまでに何が彼に起きていたのかは分からないが、一目見たときから死に掛けていると分かったほどに傷ついていたシンジは、今、アスカによって身体の内側からも致命的な傷を受けたのだ。

(ああっ、シンジ……!)

ぐらりと身が傾ぎ、血塗れの傷口から白く骨まで覗かせた少年の腕が辛うじて背後の扉の名残を引っ掛け、支えた。

「ふふっ、ふふふ……」
―― ヒッ!?」

忘れていた老人の含み笑い。響きはすぐに哄笑に変わった。

「どうしたのかね? 君は病人なのだよ。寝床でおとなしくしていなければいかんぞ?」
「……あっ、やぁっ!」

後ろから腕を回してわし掴み、ゆっくりとアスカの胸を揉みこねだす。

「……は、離して!」
「ほぅれ、アスカ君が恥ずかしがっておるではないか。いかんなぁ、大人同士の夜の楽しみはな? 子供が邪魔をするものではないぞ」

見せ付ける腹積もりでいるのは明らかだった。
そんなと、違うのよと、シンジに伝えようとするアスカを耳元に口寄せ牽制を囁きしもする。
契約を果たせと。
即ち、アスカの身は老人に隷属するもの。抗いは選択肢として与えられていないぞと。

「でもっ!」

シンジが死んでしまう。今や泣き叫ぶ寸前で訴える。

「病人が医者の言い付けも聞かずに歩き回るからだな。だがまぁ……心配はいらんよ」

なにしろもう半分くらいは使徒の体だからなぁ……と、これは少女には伝えぬ腹の底。
老人は、有り得ぬことだと一瞬は自失にあったシンジの登場から漸く冷静さを取り戻していた。
胸に抱いて逃がさぬアスカを玩びながら、既に古狐の眼はシンジの現状を推し量る。
見逃せぬのはケイジの強固な扉をどうやってか破壊してのけたこと。
それ以前にも、やはり少年ごときの腕力では本来破壊できる筈の無いLCL水槽と、ここまでの通路の何枚もの扉をどうやって打ち破ってきたのか。
砕けた拳が破城槌として振るわれたのだろう。見れば急速に復元しつつある。
侮るべきではないのは、その使徒化した身体の秘めた可能性だろうが、

(それも碇の息子のこの惰弱ではな)

今にも膝を突こうという、シンジの心折れた姿だ。

「なぁに、急くことは無いぞ。折角だから彼にも見て行って貰えばどうだね」

『ワシらの仲睦まじいところをなぁ』と笑う。
その回復力だ。見た目ほどに容易く死にはすまいが、どうせ後は実験材料としてネルフが研究し尽くす体。
ここらで心の方を砕いておけば、何かと扱い易くなるだろう。
老人が見たシンジの姿は、奮い立って女を奪い取る気概すらなく、勝手に心を閉じようとする負け犬のもの。
背中をもう一押ししてやれば、後は自閉の穴倉へ一人で転がり落ちていくに違いない。
そのためにこの少女を目の前で犯してやるのは実に効果的だなと、そう思えた。

何より、愉快だ。
碇ゲンドウの血を引く小僧に、恋心を寄せた娘がとっくに手の届かぬところに奪われ、純潔も手折られた後。今やこの自分の性の奴隷となって喘がされる姿を見せ付けてやろうというのは、久しく無かった良い余興になる。

「……ククク。そうら、アスカ君」

老人はアスカの頬を振り向かせ、シンジの目に余さず全てが映るよう、その戦慄く唇を奪った。


    ・「ああ……」 絶望が少女の胸を冷たく満たしていく。後はもう、口の中を蹂躙する舌に好きにされるまま……。

     ・「イヤッ、離して!!」 アスカは死に物狂いで抵抗した。




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