Back Seat

Original text:半引退状態


01

行き交う車の流れ。
片側6車線の都市大動脈は、次期首都の名に相応しい活気と忙しなさに満ちていた。
信号が赤から青へ変わる。
滑るように走り出したその黒塗りのリムジンを見れば、ハンドルを握る者がまさしく主人へと快適なドライブを捧げる事のみに徹した日々を送る、本物のプロであることが分かる。
そしてその高級車の代名詞共々の主人が、並外れたVIPであることも。
感嘆と好奇の眼差しを冷ややかに跳ね返して、防弾と、そして遮光加工を施されたウィンドゥはあくまで車中を高価な別世界に保つ。
しかしこの時、冷たいガラスの役目は街の喧騒から主人を守ることではなかった。

―― それは檻である。

隣り合うドライバーの誰もが想像だにしない、街中を行く淫らな檻。

16年ぶりに終わりを迎えようとする夏の日差しが照りつけるアスファルトを踏んで、リムジンの冷ややかなガラスウィンドゥは全てを静かに遮る。
鏡のように見通せぬその内側に押し付けられた、涙に濡れた少女の横顔も。
薄く一枚を隔てただけで誰の耳にも届かぬ悲痛な叫びも――



「ああっ……。や、やめて下さい!」

何度目になるだろう。
耳を堅く押えても遮れぬバックシートの親友の悲鳴に、惣流・アスカ・ラングレーは俯かせた顔をまた深くして奥歯をかみ締めた。

「お願いです! やめて、やめてください……ッ!? ああっ!」

ビリリと布の裂ける音が聞こえた。
分厚い革のシート越しにさえも、必死に抵抗する振動が伝わってくる。
だが、もう全ては無駄なのだ。

「おや、なんとも可愛らしい下着じゃないかね? 洞木君」
「やだっ! 触らないでください!!」

上がる悲鳴が、そこに込められた嫌悪の色を一層強くする。

「ああ。いや、いやぁっ……!」

触られて―― いや、揉み解されているのだ。
あの厭らしい年寄りから、少女のささやかな膨らみを守るにあまりに貧弱な学校制服のブラウスは、力任せにボタンを弾け飛ばされ広げられてしまっている。
『ひぃ』と細い喉を喘がせる気配に、アスカは分かってしまった。
皴だらけの手を少女の胸元に差し入れて、あの老人が未熟の乳房を撫でさすり、揉みあげて、下着越しにじわじわと味わっている。

―― いつも自分がされている事だ。

「ふふ、懐かしいねぇ……。近頃はシルクだなんだとお洒落の内らしいが、やはり女の子の下着はこういう素っ気無い生地が一番だよ。贅沢はいかん」

いかにも舌なめずりをしていそうな、厭らしく崩れた顔が目に浮かぶ。
いつもは紳士面をしているくせに……!

「ああ、日向の匂いだ。ネルフのコインランドリーとは違うねぇ……」
「き、きゃああ! 離してくださいッ! 離して、アスカぁ……!!」

シートとドアの間に押し付け組み伏せてられて、年寄りの皴面を胸元にすり寄せられたヒカリが泣き叫ぶ。
手のひらばかりでは満足できなくなったのだろう、咲き始めたばかりの少女の香りを鼻腔深く吸い込んで、今度はあの黄ばんだ歯と舌がヒカリの乳房を蹂躙するのだ。

「は! ひ……っ!! いやぁ……助けて、ううっ……助けて……」

まだ誰にも触らせた事は無いというのに、その小ぶりな双丘を今日まで知りもしなかった老人に良いように弄くられて、今やその舌が白いブラを唾液で汚しながらヒルのように這いずり回っている。
嫌悪感に鳥肌が立ち、縮み上がった乳首をついにぬめりに捕らえられて、ヒカリは半狂乱で助けを求めた。

「いや! いやぁ、気持ち悪い……気持ち悪いよ、アスカぁ……!!」
「ああ、よしよし……。今だけだよ。今だけ。すぐに蕩けさせてあげるから……」
「……ああっ!」

ぶつん、ふわさっ……とホックを外され、抜き取られたブラジャーがシートの頭を越えてアスカの膝に落ちた。
老人が執拗に舌を這わせた跡が、ブラジャーの左右の中心に汚らわしい染みを付けている。
―― わざとだ。
こういった真似を好んでしてみせる、あの年寄りの陰湿な厭らしさがどこまでも憎らしい。
軋むほど歯を食いしばり、怒りに歪められたサファイアの目じりからくやし涙を零しても、アスカに覆い被さる絶望感がそれ以上を許さない。

「ううっ、ううっ……。ひ、ひぃ……いやぁ……」

泣き声に混じって、ちゅぱちゅぱと年寄りがヒカリの真白い乳房を舐めしゃぶり、桜色の頂を吸いたてる淫らな音が否応無くアスカを責め立てる。
それでもアスカには、震えながら身を堅くしていることしか出来ない。
助けられるものならそうしたい。
だが、とっくの昔に老人の手の内に囚われて、誇り高く振舞うための翼をへし折られた、今の自分に何が出来る?
打ち捨てられた、この汚し尽くされた布切れと同じだ。
あの老人の持つ力に、自分たちのような小娘の抵抗など儚いばかり。
このリムジンに乗り込んでしまった時が、ヒカリが自分と同じ地獄に囚われた瞬間だったのだ。
泣いても、叫んでも。
服を奪われ、唇を穢され、押さえつけられて躯をこじ開けられ、汚濁を流し込まれるのだ。
あの時、まだ戦いの傷も癒えぬ自分が、ネルフ本部の最上階に呼び出され、薄暗い床の上で純潔を破られたように―― ヒカリも奪われるのだ。
まだ想い人に気持ちを伝える事すらしていないのに。
脅され逆らえない身を跪かされ、自分から唇を捧げて老人の股間をしゃぶらされたように――
ヒカリもまた、キスも知らぬその唇での奉仕を強いられるのだ。

―― 自分と同じように。

あっという間に、その躯の裏も表も、隅々まで全てを穢しつくされる。
口も、胸も、ヴァギナも、……アヌスさえも。
怪しげな薬物を打ち込まれ、縛り上げられた不自由な躯で必死に尻を振って、泣き叫びながら自分で陵辱をねだることさえする―― そんな惨めさを教え込まされてしまうのだ。
あの……、純粋なヒカリが……!



「ああ、いやぁ……」
「大分 硬くなってきたじゃないか……そろそろ気持ち良くはなってきたかね、うん?」
「そんなっ……あっ! い、痛い。やめてください! ぅああッ、いやぁ……」

いつものように汚い歯で挟んで引っ張っているのだろう。
そうしながら、乳首の頭を舌先でくじるのだ。
はじめはただ気持ち悪かっただけなのに……。

「……いやよ。いやぁ……あ、あぁ。どうしてぇ……」

今の私は、泣き咽ぶヒカリの声の中に、微かに芽生えた自分への戸惑いが分かってしまう。
―― アタシと同じ。
寒さや嫌悪感からだってニプルは硬くなる。
女の子の体が、好きでもない相手にそう易々と閂(かんぬき)を開けてたまるものかと、そう言えればどんなにヒカリも幸せだろう?
でも、ヒカリももうあの薬を飲まされている。
あの子は本当に普通の子だから、はじめて乗るようなリムジンで、備え付けのクーラーから冷たい物を薦められれば、単純に嬉しかったのだろう。
外は暑かったのだし、この年寄りも親切さを装うのは本当に上手だ。
でも、もうダメ。
自分の心を躯が裏切る恐ろしさに泣きながら快楽の歌をさえずり出すのも、もうすぐ――



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From:「EVA」アスカ&レイのエロエロ統合スレ