それはさだめ、さだめは……


Original text:FOXさん


 【本映像は地球外由来と思われる侵略生物(Extraterrestrial Valence Arthropod)による「誘因・増殖」の詳細な記録である。
 内容は酸鼻たるものであるが、この資料の重要性を鑑みて機密クラスA2以上のものへの閲覧を許可するものである。その点を理解いただきたい。
 本映像はF12層より回収されたビデオカメラのデータを再編集したものである。
 撮影されているのは第三新東京市立第弐中学校の林間学校に参加した生徒たちおよび教師である。撮影者もその中のひとりと思われる。
 記録自身がかなりダメージを受けていた箇所、あるいはなにが映っているか判別できない部分は収録しなかった。】


 波の音。
 ざくざくと砂を踏みしめる音。
 揺れる画面には真っ青な空。

 「アスカ!ちゃんと撮ってる?」屈託のない元気な声。
 ぐるりと画面が動いたのち、そこに現れたのはにこにことほほえむショートカットの少女。
 パーカーの下にのぞく白いビキニの水着は、少女のスレンダーな肢体の瑞々しさを際だたせている。
 「撮ってるわよー」
 「うー、元気なくない?アスカぁ」麦わら帽子を傾けてカメラをのぞき込む。栗色の瞳がきらきらと輝いていた。
 「元気よ……元気」もちろん、その言葉が嘘であることは明らかだった。
 「なんだか機嫌悪そうなんだけどぉ」小麦色に日焼けした少女はカメラに一歩近づく。
 「んなことない。霧島マナさんのちょー色っぽい水着姿を撮れて、アタシとってもハッピー」撮影者の語調は心そこにあらずを通り越してもはや棒読みだった。
 「ああもう」マナが手を伸ばす。ぐらりと画面が揺れた。
 「あ、こらぁ」
 真っ白な砂と真っ青な空ののち画面に現れたのは赤毛の少女。
 ブルーの瞳にかすかに困惑の色を残し、レンズに向かって叫ぶその表情ははっとするほど美しい。
 黄色いワンピース水着から伸びるすらりとした脚は日焼けの跡などまったくなく、それは少女が自身の魅力を完全に理解し、その美しさに「磨き」をかけていることを意味していた。
 「ふっふっふー。惣流・アスカ・ラングレーさんはちょっと憂鬱ですねー。誰かさんとケンカしちゃったからかなぁ」
 「ケンカじゃない!ったくグータラなのよ!『浜辺で寝てる方が絶対いい』って言うのよ。美少女アスカさまのお誘いを蹴るなんて!」
 「……自分で言いますか……だいたいアスカが一晩中寝かせなかったからでしょ」
 「一晩中!まぁ、惣流さんったらダイタンなのねー。だーい好きな男の子とナニしてたのかなぁ」笑みを含んだ声がかけられて、アスカの視線とレンズがそちらを向いた。
 笑っているのは黒髪をポニーテールに結んだ二十代後半の女性だった。そのタンクトップとジーンズのショートパンツというラフな姿は彼女のグラビアモデル顔負けのプロポーションをさらに魅力的なものにしていた。
 「星空の下で二人っきりの少年少女……尽きぬ思いを語り合っているうちに……」芝居がかった、どこかうっとりした表情でつぶやく女性ににヨーロッパの血を引いているらしい美少女がかみついた。
 「な、な、なに言ってるのよ!ミサト!……先生。ちょっと眠れなかったから雑談してただけだって、そ、それにアイツは、碇シンジはただの幼馴染みのクラスメイト!」
 「ふーん。そうなんだー。なんでもないんだー」ミサトと呼ばれた女性の表情は教職らしい厳格さはかけらも存在していないが、そこには生徒たちへの純粋な好意があった。「ですって、綾波さん。あなたにもチャンスがあるってことね。分かった?」
 ミサトの後に付いてきたプラチナブロンドの少女は声をかけられてきょとんとしていた。
 しばらくしてからその白磁の頬が赤く染まる。もじもじと手のひらをねじり合わせるとぷいと背中を向けた。競泳用水着からのぞく少女の背中は透き通るように白かった。
 「すごい。ミサト先生ったら転校生とすっかり仲良くなってる」アスカがつぶやいた。
 「そうよ。先生はレイちゃんと仲良しなんだもの。ねー?」真っ赤になったままの少女に教師はぎゅっと抱きつき、そのままぐるりとカメラへ向く。「先生もね、昨日は綾波さんと一晩中お話ししたのよ。そうしたら分かっちゃった。綾波さん……ううん、レイちゃんは内気で取っつきにくいところがあるけど、とってもいいコなんだってこと」
 「せんせい……重い」グラマラスな美教師に抱きしめられたそのアルビノ少女はぼそりとつぶやくが、その表情はミサトを拒絶するものではまったくなく、身を振りほどこうともしなかった。ただ頬を染め、担任教師に身体を預けていた。
 「アスカ、第二の……いや、第三かな?ライバル出現よ」レイと頬をくっつけたままでミサトは言った。「『クラスの男の子のなかでは、碇君が一番気になる』んですって。教科書貸してくれたのがポイント高かったみたい」
 「か、関係ないもん!別に好きにすればいいのよ、あのバカシンジなんて」
 「ふーん、そうなんだー。知らないよー。ほら、マナちゃんの目もいま、『きらーん』って光ったしぃ」
 「え?」アスカがレンズを睨みつけた。
 「い、いや、その、あ、あはは……あ、そうだ。マヤちゃん……じゃなかった伊吹先生、見つかりました?」同級生の鋭い視線に耐えきれなくなったマナは話題を変えた。
 「まだよ。でも、車も駐車場に残っているし、この海岸にいるのは間違いないのよね」ミサトは少し表情を陰らせて答えた。
 「大丈夫よ、だってヒカリもマユミもいっしょなんだから、マヤ先生ひとりだったらちょっと心配だけど」アスカが断言してミサトが吹き出す。
 「どこ行ったのかなぁ。お昼に帰ってこないなんて……あたしだったら我慢できないけどなぁ」つぶやくマナ。
 「……あの、あれ……山岸さん?」
 プラチナブロンドの少女がつぶやき、ついと指さした。
 そちらを向いた少女たちの口から驚きの声が漏れる。
 「ねぇ、あのコ、紺のワンピースじゃなかったっけ?」アスカがだれとなく訊ねた。
 「うん、そのはず」とマナ。
 「でも……なんだか白く……見えない?マユミ、白の水着に着替えたのかな」
 映像がぶれながらズームする。
 入り組んだ海岸線の崖下、重なり合った岩の亀裂の辺りに髪の長い少女が立っていた。
 「あ、あ……ウソだ……」ファインダーを覗いていたマナが悲鳴を上げた。
 彼女は紺の水着など着ていなかった。
 クラスの副担任である伊吹マヤが秘かにうらやむほどの豊かなバストを陽光にさらし、愛らしいお臍も青白い下腹部までもあらわにしていた。
 にもかかわらず彼女は微笑んでいた。
 満面の笑みを浮かべてゆっくりとこちらに向かって手を振っていた。
 艶やかな唇からとろとろと唾液をこぼしていることも気付かないようだった。
 そうして彼女……山岸マユミ……は手を振りながらゆっくりと後じさり、岩の割れ目へと姿を消した。
 身体の向きを変えた際、マユミの首筋と下腹部に奇妙な紐のようなものが絡みついているさまが映る。
 「い、行くわよ!あのコを連れ帰らないと」アスカがせっぱ詰まった声を上げて走り出す。
 「まさか……乱暴されて……許さない、絶対犯人捕まえてやる!」ミサトが怒りもあらわにしてそれに続いた。
 綾波レイも霧島マナもそのあとを追い、ビデオの映像はそのあと数分にわたって揺れる地面のみが記録されている。


【データトラックの記録によると、そのあと数時間の中断があったものと思われる。なお撮影再開が撮影者の意志によるものかどうかは不明。その後の撮影状況から鑑みて、録画ボタンは振動などの外力によって押されているものと思われる】


 「あ、ああ……いや、いやぁ……」
 「誰か……誰かたすけて!」
 「ママ!ママ!シンジ!シンジィィっ!」
 燐光を放つ壁明かりだけが頼りの薄暗い映像の中には少女たちの裸身が映っている。
 そこでは西洋人形のような少女が泣き叫んでいた。
 アルビノ少女がプラチナブロンドを振り乱して泣いていた。
 そして、彼女たちの担任教師も悲鳴を上げ、懇願し、助けを求めている。
 「いやぁ!ゆるしてぇ……加持君!加持君……あ、あ、ひぁ……あ、また、あ、ああっ!は!あン、あ、ああっ」
 少女たちも、その担任も奇妙なことにみな四つん這いだった。
 「撮影者」も同じ姿勢を取らされているらしく、その首に掛かったままらしいカメラの映像はときにひどく揺れるが、それゆえに周辺の状況が分かるのだった。
 だから、囚われの女性たちの奇妙な姿勢の理由もじきに判明する。
 彼女たちはすべて、背後から奇怪な生物にのしかかられていたのだった。
 それは四対八本の昆虫様の脚を持ち、複数の体節に別れていた。
 そう、それは巨大な節足生物だった。
 全身が三メートル近くあり、足を地面につけたときの体高も優に一メートルを超えていた。
 それらは二対の脚で女性たちをしっかり抱え込んで抵抗を封じ、残りの四本脚でちくちくと洞窟内を歩んでいたのだった。
 もちろん彼女たちも抵抗しようとしていた。しかしがっきと抱えられて自分の手や脚は地面に触れるか触れないかの高さまで持ち上げられるとどうにもならなかった。
 それだけではない。彼女たちの抵抗はさらに残酷な手段によって封じられていた。
 「あ、あ、みんなぁ、がんばるのよ。ぜったい、ぜったいたすけがくるから、たすけが、みんなたすかるから、がんばって、がんばって……おおぉ!いやぁ、だめ、だめ、どうして、どうして気持ちいいのぉ!だめよ、こんな化け物に、あ、ああ、感じちゃ、感じちゃ……」
 ぶぅぅぅぅん、という響きとともに美しい女教師の唇から淫らな悲鳴がほとばしる。
 ショートパンツを剥ぎ取られ、下着も許されていない葛城ミサトの太股は、彼女の背後から覆い被さっている異生物の脚にがっちり拘束されて無惨な開脚姿勢を余儀なくされていた。そして剥き出しにされた女教師の陰花には節足動物の尾部が……ジバチの産卵管を思わせる半透明の長くよじれた器官が……深々とねじ込まれていたのだった。
 そしてそのおぞましい生物は、くるりと曲げた尾部を残像でぼやけるほど高速に振動させてミサトの肉洞を掻き回していた。
 そう、第三新東京市立第弐中学校の女教師は、引率する少女たちの目の前で異形の生命体にレイプされていたのだった。
 いや、それだけではなかった。
 「あ、だめぇ、これ、これのおちんちん、だめ、だめ、あ、ああ、ああっ、ああ、とけちゃう、とけちゃうのぉ、ごめん、ごめんなさい、かじくん、かじくん、かじくぅん……」
 ぶうううんとその怪物が尾部を痙攣させると、ミサトの成熟し発達した花弁からは白濁した大量の雌汁が泡立ちつつ飛び散って、彼女の肉体がそのあり得ない刺激を素晴らしいものとして受け入れてしまっていることを明らかにしていた。
 「あ、ああ、とけちゃう、せんせいバカになっちゃうぅっ、ああ、もうだめ、せんせい、これがすきになっちゃう、すごいの、すごいの、すごいのぉ……ああ、これ、すてきぃ、ああ、ああ、ああ……」
 艶やかな黒髪を振り乱して泣き、四肢を痙攣させて悦楽を表現し、少女たちの保護者としての義務感も矜持も砕け散らせてしまったことを明らかにしていた。
 ミサトを拘束していた怪物が彼女を抱えたままひょこりひょこりと洞窟の中を徘徊しはじめると、もうじき結婚する予定の美人教師は子宮の奥までゆすられる感覚に驚喜し、「もっともっとぉ」と舌足らずにおねだりをはじめたばかりか、生徒たちに「ね、これ、すごいよね、ね、もう、もう、どうなってもいいよね?こんなに気持ちよくなれるんだったらもう、なんにもいらないよね」とつぶやきはじめて生徒たちに悲痛な声をあげさせたのだった。

 やがてミサトを抱えた蟲はひょこりひょこりと洞窟の奥へと消えてゆく。
 美教師がエクスタシーを迎えるたびに発する艶やかな断末魔の声と、さらなる刺激に感謝し、異形の生殖器を讃える甘い声が次第次第に遠ざかっていくものの、それはけっしてやむことはなかった。


 【A-05のコードが割り当てられたこの生物の役目は被害者を確保し、搬送するものと考えられている。この映像のように二対の脚で被害者を拘束し、残り二対の脚で巣の中を移動するらしい。
 尾部の突起は本来産卵管だったと思われるが、産卵機能は退化し、いまでは被害者の抵抗を削ぐための麻薬および人間の男性フェロモン様物質の分泌器官として機能しているらしい】


 残された少女たちもまた、ゆっくりと追いつめられてゆく。
 「あ、あつい、アソコ、アソコあついよぉ……」
 ビデオカメラにはか細いあえぎ声が記録されていた。水着すら剥ぎ取られたものの首に掛けたカメラは奪われなかったらしい少女の哀しいつぶやきだった。
 「ああ、あつくて、かゆくて、むずむずするぅ、あ、だめ、うごがしたらだめぇ」
 ぶううううぅん。
 「ふ、ふああぁぁぁ!」持ち主が全身を痙攣させたらしくカメラが大きく揺れた。
 ぶぶぶ。
 「ひ、ひあぁ!あ、あ、アソコ、アソコがじんじんするぅぅぅッ!」
 「マナ!マナ!しっかりするの、負けちゃダメ!アタシみたいに奥歯をぎゅっと噛みしめてガマンすれば……」
 ぶぶぶぶ、ぶぅうううう。
 「お、おおおおお!あ、ああ、あはぁ……」レンズに向かって健気に友人を励ましていた赤毛の少女の表情が甘くとろけた。スレンダーな全身をがくがくと震わせて肉体は与えられた快楽がいかに素晴らしいものであったかを表現した。
 そして彼女の精神も快楽にねじ伏せられてゆく。
 「はじめてなのにぃ、はじめてなのにぃ、どうしてこんなに気持ちよくなっちゃうのよぉ!やだぁ!やだぁ!おなにぃよりもずっとイイよぉっ!」
 まだまん丸い未完成なミドルティーンバストの先端を屹立させて泣く少女の蒼い瞳には屈服の悦びと快楽への感謝が確かにあった。
 「アスカ!アスカ!ダメだよ!さっきアタシに負けちゃいけないって言ったじゃないの!」
 ぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶぶぅ。
 「ひ、ひああああ!あ、ああ、ああ、らめぇ、らめぇ」
 カメラの間際で聞こえる悲痛でしかしまぎれもない悦楽にまみれた声。
 そしてそれはしだいにせっぱ詰まったものになってゆく。
 「じんじんして、ごりごりして、あたし、あたしダメになるぅ!ムサシ、ムサシ、ケイタぁ、ケ、ケイ……タ……あ、ああ、あン!ふ、ふあぁぁぁ、らめ、らめ、あたしの、あたしのオマンコ熔けちゃうよぉ!もう、もうだめ、かきまわされておかしくらっちゃう……」
 「ああ、ああ!アタシ、アタシ、どうしてガマンできないのよぉ!あ、ああ、いいいいいッ!」
 「う、お、奥まで、おくまではいってる……。あ、お、お、お腹の中、お腹の中が震えてるぅぅぅッ!イイ、イイ、これ、これいい!マナ、マナこれ大好きになっちゃうよぉぉ!」
 不気味な羽音とともに少女たちの切なく甘い悲鳴のコーラスが始まった。
 それはたびたび強引な絶頂を迎えさせられることで中断するが、数秒の休止ののちに再開したときに上げる少女たちの声はさらに艶やかで、素直で、少女たちを奪いむさぼるものたちへの感謝の音色で充ちているのだった。
 やがて、哀しくも愛らしい二重奏は三重奏へと進化した。
 唇を噛みしめ、ぎゅっと拳を握って凌辱に耐えてきたアルビノ少女がついに陥落したのだった。
 処女の証の鮮血の雫を滑らかな太股に残しつつも、まだ複雑な構造を得ていない肉裂からねっとりとした蜜をとろとろこぼして少女は鳴いた。
 「あ、ああ、あー、はぁ、あ……あ……」
 悔し涙をこぼし、伸ばした脚をなんとか地面に踏ん張って拘束から逃れようとしながら、結果的にはまだ硬いおしりをくりくり振ってさらなる快楽を得てしまっていた。
 「だ……め……もう……きもちが……よすぎて……」
 内気だった少女はプラチナブロンドのシャギーを汗ばみ、上気した頬に張り付かせて歓喜の声を上げてしまっていた。
 紅の瞳にはさきほどまでの神秘的な光はなく、どんよりと濁った獣欲のみがあった。
 「あ、ああっ、だめ……また……」
 「ああ、シンジ、シンジ、ごめん、ごめんね!もう、もうアタシ戻れない!この、コイツのおちんちんが大好きになっちゃった……ごめん、ごめん……く、くぅぅぅッ!」
 「あ、あは、これ、コレすごくイイ!ね?ね?アスカ、レイちゃん、あたしたち、ここに来て大正解だったね!あ、お、おおおお……」


【約百三十四時間の空白】


 「あっ!来てくれたんだ!はやくぅ、はやくアスカにゴハンとオチンチンちょうだいよぉ」
 「……来てくれたのね。嬉しい。どうか……私に……ください」
 「あっ!『黄色頭』クンだ!ね、ね、ね、マナのお腹の中を今度もごりごりってコスってくれるんだよね?」
 ビデオカメラはここで撮影者から奪われて投げ捨てられたようだった。
 俯瞰された映像には三人の少女……惣流・アスカ・ラングレー、綾波レイ、霧島マナ……が映っていた。
 彼女たちは壁面いっぱいを覆う触手に手足を拘束された状態で磔にされていた。
 もちろん全裸のままで、そればかりか直径四センチほどの触手に肛門を貫かれていた。
 全身を這い回る触手に粘液を塗りつけられても少女たちは快楽に身を震わせはするが、けしてそれを嫌がらなかった。
 そして目の前に彼女たちを誘拐し、処女を奪った節足動物が現れると、少女たちはそれとの再会を頬を染めて歓迎するのだ。
 「飼育係」たちはその口吻からどろどろとした液体を口移しで美少女たちに与え、彼女たちはまるで恋する乙女のように頬を染めてそれを飲み下す。
 食餌が終わっても彼女たちはその生物の口吻を開放しようとしない。ねっとりと舌を絡め、友人たちよりももっともっと積極的だと思ってもらえるようにサービスに努めていた。
 そのあとに待っているのは異生物とのまじわり。
 壁に手をついた節足動物がきゅっと尾部を持ち上げて「尖り」をしゅるりと伸ばしてみせると、女子中学生たちはそれぞれ甘い溜息を漏らした。
 「ああ、はやくぅ、はやくアスカにソレ、ください!」
 「もう、もう、おしりのなかでぬるぬる動くコレだけじゃ、マナはガマンできません!」
 「どうか……いっぱい……愛してください……」
 可憐な表情を淫らに染めた「お願い」は叶えられた。
 ずぶりっと奥まで貫かれた三人の美少女たち、アスカ、レイ、マナはのけぞり、全身を震わせて歓喜の声を上げた。
 不自然な下半身をくいくいと振ってさらなる快楽をむさぼりつつ、半熟の子宮をゆすられる感覚に感涙する。
 最初の映像よりも明らかにひとまわりボリュームの増えたバストをA-05の第一機能肢の先端で絞り上げられると少女たちの歌声はさらに一オクターブ上がった。
 可憐な女子中学生たちは二重に囚われていた。
 まずはこの邪悪な異生物に、そして友人たちに。
 異生物に拘束されて与えられる食餌と快楽で家畜として心を造り替えられた少女たちは、さらに彼らに「構ってもらえるよう」同じ境遇の女の子たちよりもさらに「彼らに好意を抱いている」ことを明らかにせざるを得なくなっているようだった。
 だから少女たちは素直にその節足動物とのまじわりを受け入れ、自身に「担当」となったそれに名前を付けて愛するようになる。
 それとのセックスがどんなに素晴らしいものかを声を上げて隣の家畜少女に自慢し、讃えるようになる。
 友人たちの上げる声に自らを昂ぶらせ、さらに素直に快楽を表現するようになる。
 「ああ、ああ、子宮をぶるぶるされながら、うんち吸われるのってすごくイイのぉ」教師による考査表に「プライドが高すぎるのも善し悪しです」と書かれていた惣流・アスカ・ラングレーが強制排泄の悦びを叫ぶほどにまで、彼女たちは自分自身を追いつめていたのだった。


【約六十時間の空白】


 「あ、アタシ……アタシもヒカリやマヤせんせいみたいになるんだぁ」
 「ミサトせんせい、とても素敵だわ……私も……」
 「マユミぃ……ああ、とっても気持ちよさそう。あは、すっごくすてき」
 アスカ、レイ、マナの三人の少女たちは拘束を解かれ、「飼育係」に再び抱えられていた。
 少女たちの肢体は囚われる前とは大きく変わっていた。
 節足動物により胎内にたっぷりと粘液を注がれたためか、少女たちの「からだ」はオンナとして大きく成長していた。
 ひとまわり大きくなり、まろみを帯びたヒップ。
 それとは対照的にきゅっと締まったウエスト。
 たっぷりとした量感をもったバスト。
 そして、花弁と柔らかくぬるぬるとした肉襞を持ち、雄を迎え入れ、楽しませることができるようになった雌花。
 そう、彼女は少女から「牝」とされたのだった。
 彼女たちを抱えた節足動物は洞窟の中央へと足を進めてゆく。
 偶然だろうか、カメラのそばを通ったそれの脚が当たったビデオカメラはくるりと壁から洞窟の中央へと向きを変えた。

 そこには拉致された女性たちがいた。
 最初に行方不明となった山岸マユミに洞木ヒカリ、副担任の伊吹マヤがいた。
 さらに少女たちと同時にさらわれ、途中でアスカ達と別れさせられた葛城ミサトがいた。

 彼女たちは奇妙なプールの中にいた。
 血管の浮いた太い触手に四肢を絡みとられて操り人形のようにちからなく、直径が三メートルほどのプール、いや、ゼリー状の塊のなかにそれぞれ漂っていた。
 肛門も太い触手に貫かれているのは強制排泄用だろうか。
 その液体の中にはミトコンドリアや巨大なミジンコを思わせる生物がいくつも漂っており、ときに彼女たちの肉体にまとわりついてはなにかを注入し、あるいは吸い出しているようだった。
 ちかちか光る細い触手に支えられて、うっとりとした表情を浮かべた首だけを外に出した格好で、彼女たちはスライムのなかに囚われていたのだった。
 その中のひとり……お下げとそばかすが特徴の少女……ただしそのバストはCカップにまで育っていた……のところへ節足動物が何体か近づいてゆく。
 触手に彼女は持ち上げられ、大きく開いた両脚がつぷりとゼリーから飛び出した。
 そのまま押し出されてひくつく女陰を露わにする。
 ヒカリの表情に嫌悪はなかった。
 それどころか「ああ……やっと、わたしも種付けしてもらえるんだぁ」と頬を染めてつぶやくのだった。
 「よかったわね……洞木さん」壊れたような口調で祝ったのは伊吹マヤ。ゼリーのなかでたゆたう彼女の腹部は通常の妊婦よりもさらに大きく膨らんでいた。「種付けのためのおちんちんが奥まで入ってくるときはすごく気持ちいいの」
 「そうよぉ、すごいの、ヒカリちゃんのだいすきな、アレも素晴らしいけどマックスさまの『ぶーん』っていうおちんちんよりもずっと」葛城ミサトも夢見る口調で言った。彼女の腹部もまた、大きく膨らんでいた。
 「え……いつもの……よりも?そうなんだぁ」ヒカリがほほえんだ。「でも、でも、これは浮気じゃありませんよね?わたしが悪いんじゃないんですよね?」
 「そうよ、あなたは悪くないわ」マヤが言った。「奥までずぶっと入れていただいて、孕ませていただくのがあたしたちのお仕事ですから……ああ、ほら、いらっしゃったわ」
 「ああ……」満足そうに吐息を漏らすヒカリのところ現れたのはいつもの節足動物より二回りは大きな怪物だった。
 鎧を着た蛙とでも表現すべきそれは、「捧げられた」洞木ヒカリの淫唇を舐めあげて歓喜の声を迸らせ、準備ができていることを確認すると細く長く、自在に動く生殖器官で彼女を貫き、奥まで侵入するのだ。
 「ああ、ああ、頭の中がしびれるぅぅ!オマンコがひくひくするたびに、頭の中が真っ白になるぅぅぅッ!」
 こじ拡げられ、侵入される感覚にクラス委員長は嬉し泣きした。
 そして彼女は受胎させられる。
 その生き物にたっぷり注ぎ込まれた彼女の花弁にはぬるりと伸びてきた触手で栓を施され、再びずぶずぶとゼリーの中へ戻ってゆくのだった。
 「あ、ああ……すごくいい……わたし……しあわせ……」怪物のための孵卵器とされているにも関わらず、クラス委員長の表情は満ち足りていて、ほかの女性たちも声を揃えて祝福するのだった。
 「でもね、タマゴが育っていく間はもっともっと幸せなの。お腹の中で育っていくタマゴはあなたをもっと気持ちよくしてくれるわ」頬を上気させたミサトが断言する。
 「あ、でも……産むときはもっと素敵なんですよ。ごりごりって出て行く最中は、もう……気が狂っちゃうんじゃないかしらって思うくらいなんです」ほっそりとした腹部の山岸マユミが言った。「ああ、はやくまた、種付けしてくださらないんでしょうか……」
 「羨ましいな……マユミは……わたし……よりもはやく二回も経験しているのね」
 「大丈夫よ。人それぞれなんだから。『彼ら』はあなたの成熟ぐあいを調べて判断しているのよ。だから不満を言っちゃダメですよ」教育者の口調で諭す伊吹マヤの瞳にははっきりとした狂気が宿っていた。しかしそれを指摘するものは誰もいない。
 「マヤ先生は……いつ……産卵ですか」まだ呼吸が収まらないヒカリが訊ねる。その瞳には羨望の色がありありとあった。
 「う……もうじき……よ。お腹の中でごりごり動いてるもの……ああ、タマゴがね、一個ずつ出ていく感じ、あなたも一度知ったら分かるわ。こんなに素晴らしいものはないわ。自分が生きていてよかったって思ってしまうもの。ね、葛城先生?」
 「……そうよ……そう。もう、この悦びのためならどんなことでもしてしまうくらい」授業中に婚約者自慢をはじめてクラス中のひんしゅくを買った美人教師は婉然と微笑む。
 ミサトがついと視線を外へ向けた。
 「ほら、補習授業を終えたコたちが来たわ。ふふ、あの子たち、これからもっとキレイになるのね」
 「あ……マナ……来てくれたのね」マユミがにっこりと笑う。「この悦びをあなたにも絶対知って欲しかったのよ」
 呼びかけられたマナは涙をこぼしていた。もちろんそれは、再会の悦びと、親切心に溢れた友人への感謝の涙だった。
 「うん、もう……すごいよね。でもでも、もっと素晴らしいんでしょ?アタシアタシ、すっごく楽しみ……う、あはぁっ!『黄色頭』クン、ひょっとしてマナに嫉妬してるのかな?」
 「飼育係」に貫かれて運ばれていた霧島マナは友人の前で絶頂を迎えさせられる。もちろんそれを恥ずかしく、辛いと思う心は数日前になくしていた。
 いまの霧島マナは異界の生物に孕まされることこそが己の存在理由だと知ってしまった幸福な少女だった。
 彼女たちは洞木ヒカリの隣の「空きプール」へと連れて行かれた。
 切なげな表情を浮かべ「飼育係」とのしばしの別れを告げる少女たちの頸椎に微細な針のついた触手が伸び、軽く接触するとそのまま同化した。
 少女たちはなにが起きたかを知る暇もなく、【Aシステム】の端末となった。
 神経経由で入力されるパルスと快楽の両方によって、女性たちは操られることになる。
 必要に応じて、その「リモコンケーブル」を伸ばされて、山岸マユミのように「巣」の外へ出て行っては誰かを誘う場合もある。
 まるで誘漁灯か、あるいは鴨撃ちの囮のように。
 もちろん彼女が罪悪感を感じることなどない。
 人類の敵を文字通り生産するプラントとなっていることを恐れることもなく、ただ悦びに満ちあふれているだけだ。
 惣流・アスカ・ラングレーの手足にそっと触手が絡みついて、プールへと引き込まれる。
 作業用と思われる細い触手に菊門をほぐされて、排泄物処理用の「プラグ」をつながれる。
 そのあいだも少女はうっとりと満ち足りた表情でコロイド内をたゆたっていた。
 そのあとに与えられる「ご褒美」のことを想像して、軽いアクメに陥っていた。
 霧島マナも同様に孵卵器としてセットされる。
 もちろん拒絶も抵抗もない。
 物心つくころから姉弟同然に育った二人の少年のことなど、彼女の記憶からはすっぽり抜け落ちていた。
 そしてレイにも措置が施された。
 液体内に全身を沈めた彼女の瞳は、どこか虚ろで、そして哀しげだった。
 ゆっくりと少女の唇が動く。
 音声は届かないがなにを言っているかは明らかだった。
 彼女はこう言ったのだ。
 「ごめんなさい」と。

 そして画面は白熱し、録画は途絶えた。


 【レイ(Remoto Explosion Implant)ユニットを「彼ら」の元へ送り込み、中枢で起爆させるという作戦は一応の成功を見た。現在某所にて同様の生体爆弾細胞をもったクローン体を量産中である。
 「A」による侵略を阻止できる日は近いであろう。
 本作戦に巻き込まれた第弐中学関係者の魂に安らぎあらんことを。
 犠牲はこれが初めてでもないし、終わりでもないが】




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