肉体決済 〜レイが全てを売り渡した放課後〜



14.摩耗過程、切り売りの貞操

「だいたいのとこは、同じだったぜ」
 写真部室から一歩踏み出しかけた位置で、廊下のガラス窓に映った反射を通し背後のケンスケを見据えていたアスカは、『何がよ?』とは聞き返さなかった。
「何を売って貰ったかの、そっちの方の内容は別だったけどな」
 つまり先ほどの問いへの答え。
 レイの様子を見ていれば容易く想像が付くことでもあったから、ケンスケも秘密厳守を気取るのが馬鹿らしくなったのだろう。
 早い話がレイも、第2新東京市の国連本部へ連れて行かれたっきり、いつの間にか所属も変えられていたシンジとコンタクトをとる伝手を、確保できていたわけだ。
 
「……あんたの教えてくれた回線は、掛けるだけでも最大で月に三度のタイミングでだけ。それも、すぐに出てもらえるわけじゃない。あいつの方で条件が整っていなければ掛け直してきてもらえない、要するに繋がりやしないってシロモノだわ」
 スポーツバックと鞄を足下に置き、スカートの後ろを腰までめくり上げたその状態で。アスカが口にしたのは、やっとの思いで久し振りに声を聞けてもまだ満足には程遠く、たまに長電話出来た程度ですら幸運を感謝せねばならない、確実性の欠如についてだった。
「そこら辺は俺に言われてもねぇ」
 デスクの上からカメラのピントを合わせ、思う存分にシャッターを切りながらケンスケが答える。
 丸出しにされた美少女同級生の可愛いお尻は、白地に薄いブルーのストライプ柄ショーツ。覆い守る下着としての役目より、剥き下ろされることを前提にした、男の目を喜ばせる包装としてのコーディネイトだ。
 客層の好みを統計から量って、ケンスケが買わせた。
 すらりと伸びた足の長さと、つんと小生意気なヒップの形良さで、この下半身写真だけでも彼女は人気者である。
 ケンスケの運営するアフィリエイトサイトの良い看板になってくれているが、週替わり下着を履き変えるそれを目当てで通う訪問者達は、まさか画像の主が本当に本物の14歳、日独米の血が奇跡的な美に混じり合ったクォーターJC―― 中学生だとは思っていまい。
「……そもそもさ、碇の今の身の上が微妙だってなら、古巣の人間との接触にあちらさん方が敏感になるのも当然だし。そこを無理して、なんとかあいつも連絡付けてくれてるんだろ? なんとか出来る隙があんまり見つからないって言うなら、我慢するしかないじゃん」
 窓の向こうに鏡映しに浮かぶ明るい部屋の中で、眼鏡の少年が肩を竦めていた。

 外はとっぷりと陽が暮れている。
 暗くなった分、電灯の点いている部室はドアを開けていれば丸見えになっていよう。
 学校の廊下にカーテンなんて気の利いた物は付いていないから、尚更だ。
 外を誰か歩いてきて、校舎の窓にちらとでも目を向けたりすれば、後光のごとく背中からフラッシュの閃光を浴びている変な女子生徒が目に留まるはず。
 そうしたら、彼女のとっているポーズの意味もすぐに気付かれてしまう。
 ケンスケもそこは承知しつつ、けれどアスカが反抗的な態度をみせてきた直後だけに、面白くなって何となく止められずにいた。
 おろしたての縞パンヒップも悪くない素材だが、生地を透かし、漏れ出す膣内射精跡対策に付けたらしいナプキンがくっきり見えているのだ。
「マニアックな連中向けだな」
 ケンスケがぽつりとつぶやいてみせる度、一度は矛を収めようとしていたアスカの口調は殊更平坦になっていく一方だった。

「俺は依頼分はきっちり果たしたと思うがね。説明不足ってことも無かったろ? 碇が身動きとれない状況らしいって言ってなかったなら別だけど」
「今になってクレームを付けたいわけじゃないわよ」
「じゃ、何さ。特に意味もなく言ってみただけ? 帰るとか言ってご機嫌斜めだったわりに、実は俺の気を引いてみたかっただけだとか。だったら話題は選ぼうぜ。あたし、やっとアソコでバナナが切れるようになったのぉ〜、とかさ」
 クックッといやらしい笑い方をして、ケンスケはからかった。
「そしたら、そんなとこで変な時間稼ぎしなくたって、いくらでも延長してやるよ。俺達二人の時間ってやつをさぁ」
「クレームって程じゃないけど、思うところはあるわね」
 アスカは取り合わなかった。
 外から見付かりかねない場所に突っ立って。生理用品を付けた下半身をもっと突き出すようにしろと注文されれば、言われた通りにして。
 それでも、表情にはそのどちらについても意に介していないような能面を貼り付けたまま。
「アンタ、私に売った後で同じ商品を他のやつにもばら撒いてたわけでしょ。最低でも、三人に。あの人形女には殆ど同じでって、今言ったわよね」
「あれ? それって誘導尋問のつもり? 三人って言われても、さぁ〜て、誰のことやら」
「おかげでその商品の価値、ガタ落ちじゃないのかしら?」
 舌で唇を一度湿し、アスカは淡々とした調子を続けた。
「ただでさえ、繋がるチャンスが少ない。繋がっても、あいつの電話に出られる持ち時間はほんのちょっと。―― 足りないわ。全然足りてない」
 私は欲張りで我が儘なのと、平然と、なんら恥じることなく言ってのける。
「足りてない上にあんた、元から少ないチャンスと時間をあいつらと奪い合うみたいな羽目にしてくれちゃって、どうしてくれんのよ」
「どうするもなにも、それこそ俺の知ったことじゃないよ。誰の電話に出てやるのか、誰とどれくらいおしゃべり楽しもうかって、決めてるのはシンジだろ」
「ええ、それはね。シンジが決めることなら、仕方無いわ」

 ケンスケの言葉通りだった。
 とどの詰まりは、これもまた闘争。
 一人の男の関心を巡って、恋敵達と虎視眈々隙を窺い相争う。
 結果手に入れられる物が今はささやかに過ぎるだとか。だからと言って未来に願いを望むには、彼、彼女たちを取り巻く事情が個人にはどうにもならない域にあるとか。
 そもそも、恋を叶えようとして自分たちが手を出した手段それ自体が、恋心を踏み躙っているのではないかとか。
 付随する一切を切り捨てて単純にしてしまえば、話の焦点はそこに尽きよう。
 そしてアスカは、狩猟民族の裔だった。
 既に乙女の身でもなく、想いすらを欲望の一つなのだと割り切って捉える、女だった。
 彼女は、闘争を肯定する。己が欲の深さを肯定する。
 自分をもう、綺麗な存在だとは考えない。
 『汚されちゃった』のも、とうにの事だと。
 
「言っちゃなんだけど、惣流が最初からあいつのことしっかり捕まえとけばさぁ、別に綾波だろうが誰だろうが、どいつが電話掛けようとしてたって気にする必要なかっただろ? いちいち文句とか垂れるくらいならって、思っちゃうよね。多分、俺でなくても」
 こうなる前から精々アピールに励んどけば良かったのにだの何だのと、ぐだぐだとした口を叩いているケンスケを遮って、
「正式なオーダーよ」
「……?」
「その、アピールのための手段を都合して頂戴」
 アスカは、旧態依然とした音声のみのやり取りに限られている現在の一段上を、情報屋を自称する少年に要求した。
 続けて、てらいもなく嘯く。
「私の最大の武器はこの美貌なの。あいつが出てってからもうどれくらいかしら? 折角、また一段と完成に近付いて美しさが増してるっていうのに、お洒落した格好の一つも見せてやれないんじゃね」
「ああ、そうね。そりゃ確かにかもね。なにしろ俺がたっぷりモミモミしてやってるおかげで、惣流のオッパイも育っちゃってるもんな。オトナになったって言うなら、まず俺に感謝しろよ」
 文字通り、子供時代を卒業させてやったんだしと、下卑た揶揄。
 お互いの間でわざわざ口に出すまでもなく、アスカの処女を奪った男もやはりケンスケだ。
 しかし、これもアスカは『そうかもね』とだけで受け流した。
「……動画通信とか絶対無理だからな」
 ケンスケも面白く無さそうに手をひらひら振って、交渉に相応しい説明を始める。
「こっちからの分はともかく、あっちがよ。昔のネルフ本部の中からそんな真似できたかとか考えりゃ、分かるだろ」
「ビデオレターは?」
「立場を考えてくれ、エヴァンゲリオンパイロットさん。外部からアクセスしてくるサイズがでかくなるだけ、向こうのチェックも厳しくなるんだ。良いとこ、一度に画像ファイルを何枚かってとこだが―― そいつも途中にバイパス役いくつか噛まさないと厳しい感じかねぇ。アナログなやり方のがマシって気がしてくるよ」
「具体的な手段はアンタの方で勝手に手配すれば良いわ。ご自慢の人脈でも何でも使って。……私はただ、出来るか出来ないかだけ聞きたいの」

 彼女はもう、ケンスケを窓ガラスの反射越しに見てなどいなかった。
 部室の奥からようやくまともに応じだした彼にしたって、シャッターを切る手は止めている。
 めくり上げていたスカートを放して振り向くと、アスカは足を使って床の荷物を部屋の中に戻し、そして後ろ手で入り口を閉めた。
「払いは高くつくぜ?」
 その間ケンスケは、構えていたカメラと、デスクの上に投げ出されていた他のノート型端末やらを、端の方に押しのけていた。
 卓上に腰掛けたまま、左右の後ろに両腕を突くスペースを確保。
 そうやって体を支えふんぞり返る少年の前に進み出て、アスカは着直したばかりの制服の首元から、しゅるりと赤いリボンを抜き取る。
「ぶっちゃけ、惣流がまだ売らずに残してる分でどれだけの払いになるかっていうとね……。リクエストに応えようと思うと、あちこちに鼻薬も嗅がせないといけないしさ」
「……こっちから念を押すのは、いつも通り身元の保護だけよ」
「へえ? 惣流だってバレなければ何でもして良いって?」
『ヒュウ』と下手な口笛。
「覚悟決まっちゃってるじゃん。いつもと同じ程度じゃ済まないよって、言ったのにねぇ」
 自分では軽くだけ両脚を開けて待つケンスケに跪き、ブラウスのボタンを殆ど外したアスカは、そのままブラジャーのフロントホックを外した手で、彼の学生ズボンの両膝を丁度良い広さまで押し開けた。
 そうっと、まばゆい純白の乳房を揺らしながら、まるでこのいやらしい少年に対して含むところなど無いというくらいの丁寧な所作で。
 頭をこじ入れる余裕を作ってから、一呼吸、軽い覚悟の吐息。目を瞑って、口元を少年の膨らんだ股間に近付けていく。
「ンッ……」
 かすかな呻きは、牡の性臭をむっと立ち上らせる勃起を取り出すため、ズボンのファスナーに歯を使う手間取りから。
 欧風ファンタジー映画に登場するお姫様もかくやのノーブルな美貌が、男子中学生の太股に埋もれて長い睫毛を震わせる。
 ケンスケが同学年の勝ち気少女に仕込んだ隷従奉仕の作法は、手を使わずに一通りを唇だけで済ませるこの挨拶フェラチオによって始まるのだ。
「んんっ、んっ、んむぅン、ン……」
 金具を噛んでファスナーを引き下げ、ケンスケが最早習慣になったレベルでわざとボタンを“留め忘れていた”トランクスの前開きから、膨らんだ肉棒を舐めまさぐる。
 ズボンの外に出し易く用意され済みとはいえ、手を使わないそれは中々の手間だ。
 少年の下腹部を半日覆って汗や汚れを吸った布地に舌遣いのみで隙間を探り、そこに伸ばした舌先をねじ込んで、屹立の先端近くを確保。今度は舌をスプーンのように丸く曲げて引っかけて、外へと導くのである。
「ンゥ……ぅ、ンッ……っッ、ンッ、ンム、ムゥぅ――
 当然、そんなこみ入った仕事を手指ならぬ口を使って行おうとするのは難しい。アスカは舌を少しでも長く突き出そうと口を大きく大きく開け、必死にならねばならない。
 もごもごと顔自体も右に左に傾けつつ、まるで地中海の恋人同士が交わす熱烈なベーゼ中のような横顔を、尊大に座るケンスケの股間で晒さねばならないのだ。
 これ位なんてことはない。そういう澄まし顔で片付けてしまうのが、常に最悪の恥辱にまみれた選択肢ばかりから選ぶ羽目になっている彼女にとり、まだしもマシなところなのだが。
 当然、何度も録画されているこの姿を、アスカはことに嫌っていた。
 なんてことない風の澄まし顔どころか、腹を空かせた犬がやっとの餌にむしゃぶりついている姿にそっくりだとさえ、感じてしまうが故に。
 加えて、椅子に座ってもらってであればともかく、机の上になぞ腰を下ろす相手への口舌愛戯は、普通に跪いてでは顔と高さが合わせ難い。
 おかげでアスカには、いつものフェラ奉仕に増しての負荷が掛かっている。中腰に近いお尻を上げた姿勢で自分もデスクの縁に両手を掛け、傾けた上半身を支えながらという格好だ。
 じきに額に汗が浮かんでくれば、いよいよ「夢中でペニスを貪るフェラ女の図」の出来上がり。
 ―― ならもう、ちょっとでも早く済ましてしまうしか。
 そう考えて『んんっ』と吸い咥え、えぐい味がぬるぬるこびりついた亀頭の丸みを唇に保持し、やっと引っ張り出した馴染みの肉棒器官。
 それはさすがにこの時、完全な勃起状態とまではなっていなかった。
 ケンスケが放課後だけで立て続けにアスカとレイの二人を相手にしていたおかげでの、半勃ちだ。
(この私が、咥えてやってるっていうのに……)
 やはりと、半ば予見の内にあったことなのだけれども。アスカは眉間に皺刻まずにはいられない。
 
「ンッ、っ、ぷはっ、はぁっ……。時間は?」
「追い出しの先生が見回りに来るまで、30分無いかな」
 一度顔を起こしたアスカの美しいブロンドを、飼い犬にする主人の手付きで優しく撫でてやるついでで、ケンスケが腕時計を示してやった。
「あんたと暗くなるまで二人っきりでした、なんてとこ見られるのは、ぞっとしないわね」
「じゃあ頑張ってさ、惣流の大人のテクってもんを見せてくれよ。契約用のインクの半分なら、そこの引き出しにこの前使った時のまんま、あのやたら高かった赤のが入ってるんだし」
 ケンスケがいかにもな余裕を演出して、ぽんぽんと軽く彼女の頭を叩いてくる。
(少し素直な顔見せてやったら、随分と好き勝手言ってくれるわよね)
 正直を言えば即座に払いのけたい馴れ馴れしさだ。耐えて、アスカは軽く唇を噛んだ。
「ンッ、ん、んぅ……」
 噛んだ姿はすぐ股ぐらの影で俯かせて、ケンスケには隠す。
 ぐにゃりと鼻の横に押し当てられていた半勃ちペニスにさっさとしゃぶり付きなおしたから、苦々しさを露わにした一瞬の息遣いをすら悟らせてはいまい。
 そうしてアスカは、思い浮かべた。
「あぁむ、む、フッ、ふむぅ―― ふ、ンぅぅむム」
 横笛のようにして歯を立てず食む硬さのない竿肉の感触に、口紅を唇に押し当てた時のあの感触を。
 
 何度目の取り引きからだったか。
 雑然と置かれた撮影器具だの、中身がぱんぱんに詰まったダンボール箱の塔だので、この部屋は狭っ苦しく倉庫めいてしまっている。そこに到底不似合いな、ブランド物のリップカラー。ブランド物ではあってもアスカの趣味とはかけ離れたけばけばしい赤の、それを。アスカはケンスケの手から受け取り、現像室に改造された洗面台の鏡を使って、塗るようになっていた。
 ―― 多大な嘔吐感を堪えつつ。
 アスカがケンスケと結ぶ契約書へのサインは、朱肉代わりにその口紅を使ったキスマーク。それも、相田ケンスケの肉奴隷に相応しい“独特のインク”を混色させてということに、なっていたのである。
 つまりは、噴出させたばかりの新鮮なザーメンを咥内に含んだまま口紅を塗り、次に書類のアスカが押印すべき場所へキスを残すのだ。
 綾波レイが強いられた精液まみれの胸やヒップの拓本とは、このアスカへの仕打ちに連なる発想だった。

 しかし、それにしても。
(ああもう、こいつッ……!)
 アスカがいくら懸命に舌を這わせ、朱唇にしごいてやっても、一向にケンスケのモノがそそり立つ気配は無い。
「悪いねぇ」
 全然そうは思っていない調子で少年が言い訳してみせる中身も噴飯モノだった。
 やれ『綾波の尻に興奮し過ぎちゃったものだから』だの、やれ『そういや、惣流のマンコにも無駄に出しちゃってたもんな』だのと。
「実を言うと、昼休みにもね」
「んっ、っンンゥ―― ぅ、っぷはっ。はっ、はっ、はぁっ……。……ヒカリ、ヒカリね? あの子を呼び出してたんでしょう。昼休みの後で見かけた時、様子がおかしいと思ってたら!」
 喉奥まで誘わんと深く吸い込んでいた肉塊を一旦解き放ち、やはりぐにゃりとしたままの姿を睨みながら、吐き捨てる。
「えへへ。そこは言わぬが花ってやつだよ」
 つまり、登校してから合計、何度放っていたということか。
 普通の男子が一日に上限として何度の射精を行えるかなど、アスカの知識には無いことだが。歯噛みをしても、実際こうやって仕込まれた技術を駆使してもの手応えの無さから、時間内にケンスケを満足まで導くことは到底無理と、アスカには想像が付いてしまった。
「無駄な時間だったってことかしらね。……一応、取り引きには応じてくれるって考えて良いのよね? だったら、」
 また、明日にでも。
 そう口元を拭って立ち上がりかけていたアスカを、今度はケンスケが遮った。
「そこで惣流にこっちからオーダー、っていうか、真面目な提案なんだけどさ。惣流が『何でも』って覚悟決めてくれてるなら、一回分に限ってだけど、今日すぐにでも片付くやつにしてあげようか?」
 怪訝に見上げるアスカの顔を、両手で左右から挟んで捕まえて。にやぁっといやらしい笑みを浮かべ、ケンスケは言った。『思い出してくれよ』と。
「前に、一度断られちゃってる話なんだけど」
 ケンスケが持ち出してきた話。確かにそれは、一度アスカが拒んだ取り引きだった。
 まだアスカが、その肌にどの男の手も許していなかった頃を、今になって思い出させる――



◆ ◆ ◆



―― ハメドリ?」
「そ、今日はハメ撮りで写しとこうかと思ってね」

 ハメドリとは何か。どうせ碌なものではないでしょうけどと、アスカは怪訝な顔でオウム返しに問うた。
 ケンスケとの取引きの結果として既に何回もの“写真モデル”をさせられている、その写真部部室で言われたことだ。
 いずれ良からぬ、そして淫猥な意味合いを帯びていることは想像に難くない。
「ハッ」
 その通りだとばかりにヘラッと、ケンスケはアスカがもう見慣れてしまったいやらしい笑いを浮かべて見せる。
「惣流がハメ撮りなんて口にしてるのを聞いたら、それだけでウチの男子連中じゃチンポコおっ勃てちまうよな」
 少女には生々しすぎる台詞でアスカの顔を顰めさせつつ、傍らの棚に据え付けのモニタへ一枚の画像を呼び出す。
 校内の盗撮システムの制御室をも兼ね、そして大っぴらに出来ないような写真の撮影ブースにも使っている暗室の中は狭い。
 故意か意図せずか、そうせねば覗き込むことが出来ない位置のモニタを使ったケンスケに更に嫌な気分にさせられながら、アスカは渋々肩を寄せた。
 途端、
「……な、なぁぁ!?」
 まともに男と女の生々しい情交の風景を見てしまった、思春期の少女の裏返った悲鳴が響いたのだった。
 
「いい加減、この程度のなんかさんざん見せてやったってのに、初々しいねぇ」
「だっ、あ、アンタ! いきなりこんな―― 見せられたらっ。あたり前でしょ!」
 どうせその類だろうと身構えていても、アスカの目に飛び込んできたのはまさに交接の部分の大写し。
 海外アングラ由来と思しきブロンド美女が男の上で汗みずくに腰を振っているのを、真下から捉えている。
 画像の真ん中いっぱいに引き延ばされた部分から色々な汁液が飛び散っているのが、あたかもこちらにも掛かって来そうな―― そんな異様な迫力を備えた一枚だったのだ。
「い、いやらしい! 信じらんないわ!」
 いきり立ち、『なにもこんな!』と、さも汚らわしそうに。
「こんな……き、汚い場所なんか撮らなくったって。アンタ達が嬉しいのは女のハダカでしょ! なのに何よコレ、変な撮り方して。女の人は碌に顔も写ってないじゃない」
「まあね。そりゃ普通にモデルさんを撮ろうって時の定石からしたらアングルもムチャクチャな写真だけどさ。これがハメ撮りってやつなんだよ。分かる?」
「……なんですって?」
「見ろよ」
 目にするだけで視神経から穢されてしまいそうだと思うアスカだが、
「説明してるんだからさ、理解してからじゃないとモデルなんて出来ないだろ」
 今の不本意な立場では、単純に否とは言えない。それをきっちり思い出させられる。
 それにだ。取引を楯に今日まで散々、下着姿からシンジにさえまともに見せた事の無い全裸まで、“相田ケンスケ専属モデル”としての撮影に応じさせられてきた苦い経験が、相手が今度は何をさせようというつもりなのか、確認しておかねば危ういと警告していた。
「この写真、目線が男から見てのものだろ? ハメ撮りってのはさ、要するにモデルさんとヤりながら撮ることで迫力を出してんだよ。この際、多少のブレがあったり、ベストアングルちょっと外してたりしてても、ドエロい迫力さえあればオッケーなんだよな」
 ケンスケの説明はあまりに赤裸々で、身も蓋もない。
 頬はおろか、耳朶まで熱くする羞恥と共に、ようやくアスカも理解出来ていた。
「アンタっ、ふざけんじゃないわよ!!」
「何がさ?」
「アタシがそんな写真撮らせるわけないでしょう!? 何がハメ……っッ、は、迫力よ。冗談じゃないわ!」
「はぁ? そりゃ困るよなぁ〜。惣流は俺の専属モデルなんだぜ? それも裏用の。ちゃんと取引の時に確かめただろ? ヌードも有りで、アソコも隠さないエロ写真中心。どんな注文にも無制限で応えてもらうよってさぁ」
「……ええ、言ったわよ。だから……だからアンタがどんな恥知らずなポーズをとれって言ったり、いやらしい格好をさせたりしても、約束通りモデルになってやったわよ!」
 機材の並べられた机に『ダン!』と強く手のひらを叩きつけて、怒鳴るようにアスカは言う。
 反対の手はブルブルと震えるほどに拳を固め、怒りで目元をこれ以上なく鋭くさせつつ、『でも!』と。
「でも、ルールは決めてあった筈よ。アンタは私の体に指一本触れない。モデルは引き受けたから、だからカメラはいくら向けても良いけど、手を伸ばしてくるのダメ。触らせないわよって。アタシの躯を好き勝手にさせてやるなんて言ったわけじゃないわ。アンタのオモチャになった覚えは無いの!!」

 元を言えば、さんざんに見下し、盗撮魔呼ばわりで馬鹿にしていた少年だった。
 たまたま同級生になったからといって、軽々しく口を利くのは許さない。エリート中のエリートである自分に比べればアンタは取るに足らない只のバカガキなんだから、立場を弁えなさいよと、蔑んで。
 そんな相手に、今は力関係が完全に逆転。意趣返しのようにエリートとりして誇りをさんざん踏み躙られてきた屈辱。
 その傷だらけのプライドが、決してこれ以上越えさせぬとの意地を漲らせる一線が、そこだった。

「分かってるって。そう興奮すんなよ。商売は信用第一だぜ? 俺だって当然、ルール違反はしないさ。契約は神聖にして絶対、侵すべからずってね」
 アスカの激高を浴びて尚、ケンスケはニヤニヤと余裕を崩さずにいる。
 この美しい少女に対する己が優位が、強まりさえすれ、最早失われることはないとの自信が態度から透けて見えていた。
 言下に強調しているのは、だからアスカは定められた範囲に於いては逆らえない―― 逆らうなよ、ということだろう。

「分かってんなら話は早いわ。アンタの今日のリクエストは却下よ!」
「いいや、今日はハメ撮り写真のモデル、やってもらうよ」
「アンタ、今自分で言ったことを―― !」
「だから最後まで聞けってさ。誰も本当にエッチしながら撮るなんて言ってないだろ? それらしく見えれば良いのさ。偽だよ、ニセ。でも、写真を見る相手がそうだと思いこんでくれりゃ、それで立派なハメ撮りだからな。そういう写真に仕上げるつもりで今日は撮らせてもらうんだよ。……分かった?」
「…………。最初からそう言いなさいよ」
「説明してやるってのに、聞きもしないでキレてたのは惣流だろ? それ、悪い癖だと思うぜ?」
「うるさいわね……」
 アスカは不貞腐れたように言ってそっぽを向いた。
 正直、「それらしく」で良いのだと聞かされて、ほっとしていた。
 じゃあ、さっさと準備をと、誤魔化すようにして言う。無意識の内にか、その―― そんなセリフを、自然に口にしてしまっている。これが拭い難いアスカの隙、アスカの油断だった。
 或いは慣れと、言うべきか。
(へへ、分かってるのかねぇ、惣流のやつ。準備、準備ってさぁ)
 要するに。  気を許した相手でもない男子を前にパンツを下ろし、髪と同じ色の、まだ生え揃わぬ恥毛をジロジロと眺められる。露出趣味に目覚めでもしていなければ、ただの屈辱でしかない目に繰り返し、繰り返し遭い。
 その度ごとまた新たに寄越される過激な注文で、毎回毎回ガツンという衝撃に意識を、羞恥心を揺さぶられ続ける日々。
 それが結果的に、アスカの乙女としてのガードを低くさせていたのだろうか。
(準備。アタシのハダカを撮る準備をしなさいよって、この俺にねぇ……)
 ケンスケにとっては、愉快でならないことだった。
 一応は着替え中は見るなと暗幕の外に出していても。そもそも、男が直ぐ傍にいると承知していて服を脱いでしまえる、その時点で、普通の女の子なら一大決心をしてもようよう追い着けない境地である筈だ。
 しかも、ストリップ写真を着衣から全裸まで連続で撮る時などは、レンズ越しにケンスケが見詰めている前でやってみせているのだ。
 確かに、いつも耳まで火照らせる恥じらいようを思えば、決してアスカが羞恥心に欠乏を来たしているということではあるまい。
 だが、まさしく初々しい限りだった最初の頃を思い出して比べれば、ほくそ笑むばかりなのは事実だった。

「……それで、どう撮影するのよ?」
 説明されたハメ撮り写真とは、前提として行為の最中でなければならないらしい。
 では、“それらしく見えるような”撮影とは……?
 あらかたの服を脱いでしまい、カメラの前に立つ段になって今更に思い至ったのか。
 素肌の上に制服のベストスカートだけを残し、心許ない胸の辺りを腕で隠すアスカが、部室の一角に張ったバック紙の前でセッテイングを進めるケンスケに訊く。
 モデルをさせられる時にはいつもそうあるよう自分に言い聞かせているのか、教室で見せているのと同じ強気を装って見せているが。声色は微かに不安の色を帯びている。
 陰湿な性癖のケンスケとっては、ますます愉快でならない。
「どう構図を工夫するのか知らないけど。アンタ、あたしの100cm以内に手を入れてきでもしたら、容赦しないからね?」
「100cmね……。ふふん。でも、ま、ハメ撮り写すのに相手役の男が必要だってのは理解してくれたわけかな? さっすが、飲み込み良くって助かるよ」
「良いから、どうやってそれらしく撮るつもりなのか教えなさいよ」
「心配すんなってさ」
 ニヤリと、俯き加減の眼鏡にライトの光を反射させたような不吉な上目遣いを、アスカは見た。
「口の堅いやつ呼んでやるから」

―― は?」
「惣流はさ、そいつにさっきの写真みたいに跨ってくれれば良いから」
「ちょ……、ま、待ちな―― 待ちなさいよ!」
「勿論、本気で突っ込んでもらう必要はないぜ。俺がやるわけじゃないんだし、ギリギリルール以内って気もするけど」
 愕然と表情を強ばらせたアスカを置き去りに、『そこまでして貰っちゃうのも、ちょっと悪いからな』なんて親切めかして、ケンスケは一人うんうんと頷く。
「惣流の綺麗ぇ〜なピンク色した処女マ×コはさ、履いたままにして貰っといたそのスカートで隠しとけば良いから。かえって全部脱いじゃうより受けも良いんだよね」
 第一中の制服だって分かる材料があった方が良いのだと、それこそ看過出来ないことを次々と口にするが。アスカはただ、「他の誰かを」というその意味に意識を凍り付かされて、真っ青になっていた。
 看過出来よう、言葉ではない。
「だから待ちなさいって……、待ってよ!」
「……うん? 何だよ、惣流。さっさと済ませちまおうぜ。惣流にとっちゃ嫌な時間なんだろうし、その方が良いだろう?」
「アンタ……今、何を呼ぶって……。この事は、誰にも知られないようにって!」
「ああ。だって仕方ないじゃん。契約上、俺じゃ相方を務めさせてもらう訳にもいかないんだからさ。秘密については安心していいぜ。当然、撮るのが惣流だなんて教えてないし、撮影中も相手が分からないように目隠ししてもらうから」
 後は名前を呼ばないようにして、声を出しさえしなければ良いよねと、勝手に合点顔。
「それでルールはばっちりクリアだよな?」
「な……イヤよっ! イヤっ!! 何でアタシが……直接触ってくるなんてルール違反だって、言ったでしょう!」
「そいつはさ、俺はって話だったろ? 俺以外の男についてはダメなんて書いてなかったし、秘密がバレないようにやるなら全然オッケーってことじゃん」
「そんなことアタシは認めてない! 認めないわ!!」
「じゃあ、契約のどこに引っかかってダメなのか、教えてくれよ。契約守れって、たしかそう言ったばっかりだよなぁ?」
「そ、それは……」
「どうする、惣流?」
「あ、ああ……」
 言い募ろうにも上手い言葉は見付からず、アスカは呻いていた。
「だって……。目隠ししても……バレないって、気付かれないって保証なんか、無いじゃない……」

 追い詰められている。それがはっきり分かってしまう。
 何とか抗おうと巡らせる頭も、焦れば焦るほど上手くは働かず。意識の内にのみ響く自分の声が、(嵌められた、嵌められたんだわ……!)とばかり、木霊し続けていた。
「こっちは気付かれたりしないよう万全を尽くすって言ってるじゃん。後は惣流の問題だろ? 契約がある以上、モデルをやらないって選択肢は無いぜ」
「そんな……」
 今のアスカの、たった一枚をまとうだけで肩を剥き出しに、胸元大きく開いたブルーのベストスカートでは、真正面以外には乳房を隠す役さえ果たせずにいる。
 だのに、思わず彷徨わせた手の下から柔らかな膨らみの形が丸見えになってしまっていても、気付けずの、そんな弱々しい有様。
 はじめて出会った時は太平洋上の空母でだったか。あの時からそう背も伸びていない気がするケンスケの、アスカと比べてさえも貧弱なその矮躯を前に。敵を多くしがちな気位の高さを担保してきほどの格闘訓練経験を持つ彼女が、飲まれてしまっていた。
 なまじ頭の回転が良いばかりに、ケンスケの持ち出した理屈を否定するべき所が逆に、妥当性の方を認めてしまっていたのだ。

 ―― ああ、確かに。確かにその通りだ。
 惣流・アスカ・ラングレーは、契約という鎖でぎりぎりと縛り上げられた哀れな女の子は、これでは言うとおりにするしかない。
 なにしろ、だって、相田ケンスケに直接何かされることばかりを警戒して、他の誰かを連れて来るという可能性を、すっかり軽視してしまっていた。
 事をお互い以外の誰にも明かさぬ秘密にするという条件だけで、その可能性は封じたものと思って安心していた自分が迂闊。愚かだったのだから!

「……どうする?」
 自分の肩を抱いて震える彼女にケンスケが迫る。
 油断した。取り返しの付かないミスを犯してしまった。
 あの取り引き以来、何度目かになる暗澹たる思いに囚われ、アスカは立ち竦んでいた。
「どうしても嫌だって言うならさ、俺も血も涙も無いってわけじゃないし、ちょっとは譲歩しても良いぜ?」
 口元を吊り上げるように緩めて、それは親切さを装っているつもりなのだろうか。
 アスカには、悪魔がまた自分を罠に掛けようとしているのだとしか見えない。
 見えないながらも、分かっていながらも、そこにおずおずと手を伸ばしてみるしか道は残ってはいなかったのだけれども。
「これはもうお互い譲歩してさ、歩み寄れる妥協点を見付けなきゃって思うんだよな」
 いやらしい口調で持ち掛けてくる距離は目と鼻の先。ケンスケはわざとらしく両手を後ろ手に組んでいるが、既にそれはアスカがあれだけ頑なに拒否していた間合いだ。100cmどころか、30cmも無い。
 嫌な臭いの息が直接吹き掛かってきそうな、まだ誰にも、ただの一人にも許したことの無い胸の美麗な発育を、ケンスケの気まぐれ次第では簡単に鷲掴みにされそうな、そこまでににじり寄られ。気付いてはいないだろうがいかにも弱々しく青ざめて、後退りして。
「俺に触られるのは絶対イヤ。じゃ、俺じゃなければ嫌も絶対じゃないんだろうし、我慢出来ちゃうんだろうなぁ〜って考えるしかないだろ? もしかすると俺達以外のやつに惣流がこんなことしてるってバレちゃうかもだけど、その手のヤバさ込みでも『絶対イヤ』よりマシなんだろうなってさ」
 鼻先までニキビ面を突き付け、『じゃ、選んでくれよ』と。

「あ、あたしは……」
 いつの間にか口の中がカラカラに乾いていた。
 選ぶしかないのだと、アスカは必死になって答えを探す。
 どちらがまだしもベターであるのか。それだけで頭をいっぱいに、窮して眉根を捩じらせてしまっているアスカは、本来の能力を思えば容易く突破出来た筈の陥穽にまんまと捕えられてしまっているのだ。
 乙女であればこその恐怖を、逆手に取られてしまっていたが故に。
「呼んでこよっか? そいつに相手をして貰う方を選ぶ?」
―― そうなれば、最悪アスカは相田ケンスケに続く二人目の恐怖を生活の中に抱え込むことになる。
「それとも、俺と撮ろうか? 契約から一行削ってさ」
―― その時、アスカはこの卑怯な少年に、格好だけとはいえ抱かれて見せねばならない。
「シンジ以外にはって思ってんだろ? それは分かるけどさ、今日のモデルはどっちにせよ男と絡んでもらうぜ。欲しいのは他のじゃなくて、ハメ撮り写真なんだからさ」
「そんな……」
「格好だけだって。深く考えるなよ」

 ああ……、とアスカは喘いだ。
 既にもう、真っ暗な絶望の内に包まれていた。
 許されているのは―― 正しくは“そう思い込んでいる”のは―― いずれの選択がより苦痛を少なく済ませられるか、だけ。
 いずれにせよ、浅からぬ傷を負わねばならない。

「脅かすわけじゃないけど。まぁ、撮影の趣旨とか契約とか、惣流の気持ちとか。ちゃんと把握してる俺の方が安全だと思うぜ。……分かるだろう? 悪いようにはしないよ」
 誰かを連れてきたとしても、自分と裸で手足を絡めてポーズを取っているのが“あの”惣流アスカだとは決して分からないように手配はする。
 だが、一番異性への興味を強くする年代の少年が、アスカのような極上の肢体を持つ女の子と裸で密着して、衝動に駆られずに済むだろうか。
 最悪に至る暴走は防ぐと請合われはしても、ポーズ次第では撮影にかこつけた悪戯を仕掛けられない保証は無い。
 寧ろ、そうせずにはいられないのが普通だろうなと、ケンスケは脅すのだ。

 胸を揉まれる? アイツにだって触らせたことは無いのに。
 見せられた写真のような構図で撮られるなら、もしかするとだ。スカートで隠した下で、見も知らない男のアレが……自分のそこにくっ付きそうになるのを我慢せねばならないのだろうか?

「言っとくけど、俺は撮影の邪魔にならなければ却って写真にリアリティーが出るのは歓迎するよ? 守る義務があるのは約束した範囲のことだけだからね」
「そんなのって……、む、無責任だわ」
「だから、責任は負うよって。契約の範囲内でね。……ま、どっちに決めるにしても急いでくれると嬉しいね。俺も脱がなきゃならないんなら、早めに準備させて欲しいからさ」
 わざとらしくスボンのベルトに手を掛けて見せるケンスケ。
 その突き出すように誇示する股間のこんもりとした膨らみに、貧血のような眩暈さえ覚えつつ、アスカはどうにか答えを選ぼうとしていた。
 いつの間にか舌は強張り、ぎこちなくしか動いてくれなくなっていた。

 ―― それが結局、ケンスケの手に素肌を許してしまった日の話。




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Original text:引き気味
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(4)