Beautiful Party

7話B-3ルート



著者.ナーグル














 言うまでもなく、オークの族長のお気に入りは初恋のグーデンヤシュ(人間雌)によく似ているマユミだ。
 原始的で平等主義者のオークが序列を付けると言うことは本来ないのだが、事実上マユミは第1夫人の地位にいる。能力の優劣がない場合、子供達の諍いがあったとき優遇されるのはマユミの子供だ。
 しかし、もう一つの序列ではアスカは倍以上の差を付けてトップの位置にいる。これはマユミやマナ、ヒカリ、レイも遠く及ばない。
 いじめて、啼かせて、屈服させてやりたい序列の1位だ。

 族長の行動はシンプルだ。

 まず、彼女の友人達を目の前でたっぷりと可愛がってやる。奴隷妻達のアクメ顔はアスカの精神を大いに細らせる。そしてアスカは太股に跨らせて精々股間をいじくるだけでペニスを挿入せず、肉体を焦らして焦らして焦らし尽くす。妻達を犯し、堪能し、堪能させる肉欲の大渦だ。その手練手管は冴え渡り、妻達は拒絶しつつも最終的には屈服の嬌声をあげて気絶した。趣味と実益を兼ねた有意義な時間だ。

 マユミを犯した後、今度はレイを正常位でみっちりと犯し、次いでヒカリを騎乗位、ナディアを対面座位、マナを後背位と異なった体位で犯した。妻達の呪い言と拒絶を押さえ込み、子宮を精液で溢れかえらせた。
 その後は二人まとめて犯した。組み合わせを変えてレイとマユミ、ナディアとマナ、ヒカリとマユミ…とよく覚えていないがそうやって相手を替えつつ10回ほど射精したと思う。勿論、妻達も2回以上はイかせた。
 それから…? そう、それから今度はアスカ以外をみんなまとめて相手してやった。
 散々に太股の触手で可愛がりつつもペニスはお預けだったアスカは、髪に触っただけでイってしまいそうな状態で直ちに押し倒してやりたくなるくらい良い状態だったが、敢えて我慢して太股から下ろし、他の5人を同時に犯した。股間の2本のペニスでマユミとナディアを、左右の太股でレイとマナを、そして舌ペニスでヒカリを同時に絶頂に達しさせた。

 素晴らしい一時だった。

 その頃にはおこぼれを期待していた部下達も、絶倫な族長に諦めて(呆れて)部屋に引っ込み、宴の間には族長達以外誰もいなくなっていて、消えかけた松明が蛇の舌のように頼りない火を揺らめかせていた。
 そこでようやく、族長はアスカをちゃんと犯すことを思い出した。
 贅沢な話だが、他の妻達との行為に没頭するあまり、アスカを完全に屈服させるための焦らし作戦を忘れてしまっていたらしい。そして思い出した以上、初志は貫徹しなくてはならない。
 さすがに明け方が近いことを悟った族長は場所を変えることにした。妻達の鎖の束を握りしめると、犬の散歩よろしく彼女達を洞窟の奥までいざなっていく。初めて連れて行かれる場所にアスカは不安を隠せず、他の妻達は疲労からそれどころではない。四つん這い故に遅々とした歩みを怒鳴られ、馬鹿にされつつアスカ達は洞窟の最深部にまで連れて行かれた。
 そこがどこか知っているナディアは「ふぁ」と小さく息を漏らし、他の娘達は想像以上に広く、そして雄大な光景に一瞬目を疑った。

「温泉…?」
「お風呂、なの?」

 こんな状態にもかかわらず、ヒカリが嬉しそうに呟く。
 地面からコポコポと湧きあがり、湯気を立ち上らせている幾つもの池、いや湯溜まりが彼女達を誘う。熱そう、いや熱くてもかまわない。一秒でも早く、全身にこびりついたオークの汚れを洗い落としたい。強烈な欲求に美女達はめまいを覚え始めている。
 オークの巣には場違いな施設だが、もともとこの洞窟は古代魔法文明期につくられた保養施設、平たく言えば会員制の高級スパだったのだ。こういった施設が残っていてもおかしくはない。
 『永遠の光』の魔法が掛けられた球体が天井付近にあり、室内を照らしている。壁の一部は湯気で白く濡れ光る鍾乳石で、部屋の中心にあるのは建造されてから1000年以上経過してもなお役目を忘れず、温水を噴きだし続ける天子像と噴水だ。

 妻達の様子に族長もご満悦だ。
 ここは部下達にも使用を許していない、族長とその妻だけの特権だ。貧弱な生き物である人間の女は時折、こういった風呂に入れて養生させないとすぐダメになってしまうのだ。その点、この部屋は理想的だ。壁の亀裂からは夕焼けを眺めることができる絶好の展望スポットであり、不足しがちな太陽の光を逃亡の心配なく妻達に浴びさせることもできる。尤も、族長自身は太陽の光は苦手なのでその機会はそう多くはないのだが…。

 ともあれ、ここで族長はアスカを犯すことに決めている。
 他の妻達に適当に体を洗うように『命令』し、充分に彼女達が体を洗ったと見て取ると、アスカを一人この場に残して彼女達を連れて姿を消した。











 部屋にアスカ以外の娘達を連れ戻したのだろう。この隙に逃れてやろうか、とアスカは思ったが首輪が蛍の光のように淡く明滅した瞬間、その考えを捨てた。
 10分ほどして族長が戻ってくるまで、アスカは噴水の彫像に鎖を結ばれて待たされていた。為す術もなく。

 そして、その後は? 族長が戻ってきたら?

 そう言えば捕らわれてから、いや、レイ達とパーティを組むようになってから一人だけになるのは初めてだということをアスカは思いだしていた。

(…これから、私、どうなるのかしら?)

 殺されることはないだろうが、それでもなぜ自分だけが特別扱いをされるのか、それが不思議で仕方がない。まさかその屈服をしない目が、決して諦めようとしない不貞不貞しい態度が原因だとは思いもよらず、不安に声もないアスカだった。
 やがて族長が何を目指していたのか彼女にもわかる。
 濃い緑色のペースト状をした泥?を満々と湛える小さな風呂が、うっすらと湯気をあげてたゆとうている。

『いいあんばいだオーク』

 嬉しそうに族長は泥の中に足を突っ込み、無造作に頭まで湯船に潜り込む。10秒ほど泥の中に潜っていたが、やがて泥を滴らせながら、というより全身に薄く張り付かせて泥の上に顔を出した。
 ほんのりと、泥と言うより青菜などの植物の煮汁のような臭いがアスカの鼻をさす。厳密には泥そのものではなく、温水に耐性を持った珪藻やクロレロに近いものが、ペースト状になるくらい大量に繁殖している。勿論、そんなものが普通に繁殖しているわけはないから、これも魔法で作られた魔法生物の一種なのだろう。飲み込んだりしても、人体に害はない。

 だが正体のわからないアスカにとっては、緑色をした泥以外の何物でもない。
 ましてやオークが全身で浸かってるような泥なのだ。
 アスカの目には、それは泥ではなく黄鎔病患者が吹き出した卵の黄身に似た泡混じりの体液と同じに見えた。毒だ。

「い………や……」

 目に虞が浮かんだのを族長は見逃さない。

『こっちに来いオーク』

 命令を拒絶しようとするアスカ。だが、首輪の魔力がそれを許さない。服従の首輪の仕事は速やかに行われる。

(――――――っ!!)

 瞳孔が一瞬開くような強い衝撃が囚われのアスカの心を走る。
 苦痛かと思うほどの焦慮がアスカの心を焼け萎ませる。平衡感覚が失われ、世界がグルグルと渦を巻いている。吐き気がした。恐ろしかった。楽な方に、すなわち命令に従わないといけないという気持ちがどうしようもなく強くなった。それはとても抵抗できるようなものではなかった。

「あ…あ…あ…」

 アスカの精神はそれでも抵抗した。こんな泥に触れるくらいなら、いっそ死んだ方がマシだ。本気でそう思ったアスカだったが、爪先から始まり踝、脹ら脛、太股と順を追って感じる泥の温もりを感じて目を見開いて絶句する。

(うそ…でしょ)

 熱湯に触れた手が条件反射で跳ね上がるように、アスカの体は族長の言葉に無条件で従ってしまうようになっていた。滑稽な話だ、とみぞおちに凝りを感じながらアスカは思った。心が苦しんでいる一方で、体の方が先に屈服してしまっているのだから。

「あぁぁ……なんでよぉ」

 項垂れながらアスカは族長の言葉に従う。そんな命令に従ってしまう自分を認めるのが嫌で、アスカはきつく目を閉じた。
 冒険者として師匠であり、先輩でもあるミサトは、この世界にはアスカの知らない面白いことが充ち満ちている。他人を愚民呼ばわりして、馴れ合いの友達なんかいらないと拒絶したりしないで、もっと人生を楽しみなさい。と言っていたけれど…。

(こんな、経験…したくなかった。こんなこと、知りたくなかった)

 生ぬるいと言うより熱い泥に太股が、淡い恥毛が生えたヴァギナが、引き締まった下腹が、順に熱泥の下に沈んでいく。ヌルヌルとして、その一方でざらざらとした泥が素肌にまとわりついていく得も言われぬ感触にアスカは息をのんだ。

「はっ……ああぁ」
『もっとこいオーク。そう、そして自分で腰をおろせオーク』

 泥をかき分けるようにアスカは身を横たえる族長に歩み寄る。不可視の泥の中で族長の膨らんだ下腹を感じる。彼の胴体を挟み込むように両足を開き、ゆっくりとしゃがみこんだ。

「うう、なによ、これ…」

 泥の中で蠢くナニかを感じる。嬲るようにそれはアスカの内股に触れてくる。密生する繊毛を蠢かせて、泥の中を泳いでいる。背筋をゾッとさせながら、さらにアスカは身をかがめる。みぞおちが、白い双丘とその先端のピンク色の乳首が泥に沈み、背中の中程まである金髪が泥の上に扇状に広がり、ゆっくりと染みこむように泥に呑まれていった。

「はぅ、あぅ、はぅ」

 股間に触れてくる何かの正体を察し、アスカは息を呑んだ。
 族長の生殖器…。そうと思い至った瞬間、またゾッと背筋が寒くなる。縦や横に柔軟に蠢く生き物のような生殖器が敏感な部分に触れてきている。つつき、戯れにヴァギナをこじ開けようと押しつけ、吸盤状の柔突起が吸い付いてきて、やおら離れていく。焦らすように、狂わせるように。

「う、ううぅ…」

 無意識のうちに、族長の両肩に置いていた手に、泥底の石畳に触れていた爪先に力がこもる。疾走寸前の肉食獣さながらに緊張するアスカの身体を、族長の腕が撫でさする。ビク、ビクッと限界まで敏感になったアスカの身体が震えた。

「ひっ、ひぅぅぅ…。あ、馬鹿…さわら、ないでよ」

 お高くとまった女戦士様もこんなものだ。族長は内心で快哉をあげた。口ではどんなに嫌がっても、結局、抗うこともできずに犯されてしまうのだ。そして泣きわめき、最後にはこれなしでは生きていけなくなる。
 この女はどこまで持つだろう。族長は真っ赤な顔を背けているアスカを見ながら思った。
 1週間? 2週間?
 いや、もっともっと、子供を産んでもなお諦めきれずに、抵抗する気持ちを無くさないでいて欲しい。そうでないと、征服した意味がない。

『そろそろいい思いさせてやるオーク』

 耳元で囁くと、泥の中でアスカの尻たぶをしっかとつかんで引き寄せる。ビクリと大きく震えると、アスカの青い瞳から涙がつぅ…と流れ落ちた。

「ああ、あ…くそ、野郎…お、覚えて、なさい、よ…。あ、ああああぁぁ」

 しっかりと捕らえられ、逃れられないアスカに圧力を強めて変異ペニスが迫る。泥よりも熱いウジペニスを、下腹に力を入れて拒もうとするアスカだったが、圧倒的な暴虐の前には陽炎の揺らぎよりも意味がない。

「う、うあ」

 散々に焦らされた身体はオークオーラや首輪の影響がなくとも、間近に迫った雄の気配に敏感に反応していた。されるがままに両足を開き、腰を落として受け入れやすいように体勢を整える。泥を巻き込みながら、異形のペニスがアスカのヴァギナを押し開いた。そのまま前後左右に動かして、族長はいやらしく口元を歪めた。

「あああぁっ! あ…はぁ、っん…はっ、くぁっ」

 甘く熱い毒が血管に流れ込み、全身を駆けめぐる。甲高い悲鳴を上げてアスカは全身を震わせた。猥らな欲望が沸々と湧きあがることに慄然とする。
 そんなつついたり擦ったりするだけじゃなく、杭のようなペニスで貫いて欲しい。私という存在を殺して欲しい。
 猥らにくねりながらのアスカの嫌がり顔は興奮させるのか、族長は鼻息を荒くして腰を突きあげる。

「きゃあああっ! あっ、だ、ばっ……そん、なっ、あああぁぁっ!」

 ズブズブ、ヌルヌルと泥とアスカの内から滴る蜜を潤滑液にしてペニスはアスカの秘所を穿ち、最奥まで挿入される。大きく背中を仰け反らせてアスカはイヤイヤと啼き声をあげる。

「やめ、やっ、やだぁ! あ、ああぁ、いや、いや、ダメぇ!」
『やめちゃイヤってことだなオーク』
「ち、違う、違うぅっ! あっ! そんな、馬鹿ぁ!」

 族長は腹に力を込めると大きくアスカを上下させる。大きく泥が波打ち、びちゃびちゃと粘ついた音を立てた。空気中より、泥の中こそが異形に変わったペニスの住処なのだろう。あり得ないスムーズさで動き、突き、かき回してアスカをよがり狂わせる。亀頭が子宮口に当たり、ウジがざわざわと蠢く。そこに僅かにざらざらとした泥の感触が混じり、アスカは背を逸らして叫んだ。

「うぁ…あっ、あ、いや、イタイっ! あ、ぐ、ぬい、て…ぇ」
『しめつけてはなさないぞオーク』

 奥までくわえ込んでいるのが苦しいのか、アスカは眉根を寄せる。下腹から足先までが痺れたように疼き、自分の身体がどうにかなっているような感覚にアスカは苛まされた。

『この欲しがりやめオーク』
「あうぅぅぅ、違う、違う…ぅっ。あなたが、勝手に、動いてる、だけじゃないっ!」
『う、うぐう、我慢できないオーク!』

 この期に及んでまだ強がるアスカ。反抗のご褒美にもっともっと深く繋がりたい。
 族長は心底嬉しそうに口元を歪めると、しっかりとアスカの手足を掴んだ。脇の第2肢は泥の中で太股を掴み、本来の腕はアスカの手をしっかりと押さえ、のし掛かるように立ち上がる。

「え、あ…うそ、ちょっ」

 それはつまり、押さえ込まれたアスカは後転途中のような姿勢のまま、頭から泥の中に沈み込むことを意味する。さすがに目を見開き、抗議の悲鳴を上げ掛けたアスカだったが、一瞬の停止の後、容赦なく族長は立ち上がった。

「畜生っ!」

 頭が沈み込む寸前、息を吸い込み、アスカは硬く目を閉じる。
 頭の横で泥水が渦を巻く。時間にしてほんの数秒でアスカの後頭部が床の石畳に触れた。ざらざらとした硬い感触がアスカの背中に触れる。
 渦を巻く泥はアスカの髪にまとわりつき、メデューサの蛇髪のようにうねらせている。髪を引っ張られ、かき回されてるような感触が何とも言えず焦れったい。
 濡れ髪がアスカの身体に張り付いてきて、髪の毛が幕となって耳への泥の進入を防いでいるのは幸いだった。この泥が耳の中に入れば、最悪中耳炎は避けられなかったはずだ。さらに肺に力を入れて泡が出ない程度に空気を押し出すことで、鼻への進入もかろうじて阻止することができる。
 大丈夫、こんな事で溺れたりはしない。

(このまま、この馬鹿が、また私を引き上げるまでやりすごして…)

 あるいはこの熱泥が首輪を腐食させる効果があったりするかもしれない。期待薄だが、ここは我慢だ。
 そう思った瞬間、族長は打ち込むように腰をたたきつけた。肉越しに骨と骨がぶつかり合ってゴツリと響き、ジーンと股間が痺れた。腰骨が砕けるかと思うような強い衝撃にアスカは我を忘れた。
 強い快感がシンバルを打ち鳴らしたようにアスカの全身を震えさせる。

 目を見開き、叫び声を上げた。

(………!?)

 ガボ、ゴボッ。ブク、ボコッ。

 粘ついた音を立てて、族長の眼前に小さな泡が浮かび上がり、割れて消えた。泥を割ってアスカの両足が跳ね上がるように水面に姿を現し、爪先をくっと曲げたままブルブルと震えた。
 見なくても、手触りと振動でアスカが激しく身を捩って暴れているのが感じられる。戯れに小刻みに腰をピストン運動させると、アスカの抵抗がやみ、ビクビク、ヒクヒクと身体がその都度震えるのが感じられる。

(トロトロだオーク)

 ヘヘヘ、と下品に族長は笑った。
 窒息の恐怖と合わせて、胎内の異物感を死ぬほど感じているのだろう。被虐的な喜びで片目を光らせると、そのまま族長はピストン運動を再開した。ツルハシを打ち込むように強く、激しく。最深部にぶつかる瞬間、尻を締めて硬い打撃でアスカを打ち据える。
 ばたばたと激しくアスカの両足が暴れる。
 腰が浮き上がったのか、ほとんど垂直になったアスカの足を両肩にのせて族長はリズミカルに身体を上下させた。
 泥のべたつく音が浴槽内を埋め尽くしていく。

『おっ、おっ、おっ、おっ、おおおぉぉぉ………くっ』

 1〜2分ほどそうしていただろうか。
 ハァハァと息を荒げていた族長は唐突に動きを止めると、ふぅ…とつっかえがとれたように爽やかな顔で長いため息を漏らした。ドクドクと白濁した精液がアスカの胎内に射精されていくのを感じる。
 息だけでなく、色んなものが身体から排出されていく。アスカの膣内に射精して腰が溶けていく快感にうっとりしながら、危険なまでに激しくばたつくアスカの足を「これなんだっけ?」と言わんばかりにじっと見つめる。

 あんまりにも良い締まりだったからすっかり呆けているらしい。

『おっといかんオーク』

 あ、そうだった。と少し焦りながら族長はアスカは引き上げる。ザバっと破裂音のような大きな音が響く。緑の泥を全身に纏わせて、人と言うよりは苔人間のような有様でアスカは姿を現した。

「ぐはっ、がっ、げはっ、はっ、はひゅ、ひゅう、はっ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

 まさに溺れる寸前だったアスカは、空気中に顔を出した瞬間から、鼻や口から大量の泥を吐き出しながら苦しみに身体を折り曲げてえづいた。とても人が、それも女性が出しているとは思えない低い呻き声を立てる。大きく背中が上下し、空気を求めて喘ぎながら、同時に泥を吐き出している。

「く、くそ……げほっ、ごほっ、おげぇ」

 気管に泥が流れ込まなかったのは幸いだった。本当に溺れる寸前だったアスカは、涙を流して苦しみながら、同時に族長をにらみつける。小麦粘土のような泥の味は一生好きにはなれない。

『泣くほどよかったかオーク』
「げふっ、そん……な、わけ。はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

 いまだ挿入されたままのペニスから感じるもの以上に、アスカの鋼鉄の刃のような鋭い視線に薄ら寒い興奮を背筋に感じる。どうしようもなく弱っちくて惨めなのに、意志ばかり強くて負けを認めない敗残者。そいつに現実を教え込むのは、本当に楽しい。特に人間はオークよりも上等な生き物と思いこんでいる節があるから、その認識諸共に心をへし折るのは最高だ。
 あまりこんなおふざけをしていると、せっかくの美人妻を殺してしまうかもしれない。だが、彼女のこの視線を見られるのなら、感じられるのなら、またやるかもしれない。

『おお、おお。泥だらけだオーク』

 舌なめずりをしながら、族長はアスカの乳房に指を這わせた。緑色の泥が、指が通った後からこすり取られ、白い肌が露わにされる。

「……うぅ」

 ビクン、とアスカの上半身が震えた。溺れかけたことで力の入らないアスカはされるがままだ。
 ゴツゴツした指先で右の乳房から泥を拭うと、族長は子牛が母牛の乳に吸い付くような勢いでアスカの乳首にむしゃぶりついた。

「あぁ、はっ、はっ…ん…。ふ……ん」

 ちゅぅ〜っと吸い付く音がして、アスカがビクビクと身体を震わせる。むしゃぶりついた口の中で、乳首が良いように弄ばれている。舌先がしこった乳首を転がし、産毛を逆立てるようにして泥をこそぎ取っていく。

「ぁ……あぁ、もう、良いでしょ、もう、満足したでしょう…あ…あ…ああぁ…っ」

 首を仰け反らせて喘ぎ声を漏らすアスカ。もともと人の肌には馴染みにくいのか、そんな動きだけで泥がぼとぼととこぼれ落ちていく。

「あ、あひ、ああぁぁ〜〜〜」

 チュバ、チュバと赤子とはまるで違う淫靡な音を立てて族長は吸い立てる。欲情してふっくらと膨らみを増したアスカのおっぱいはプリプリとした手応え、口応えだ。

(これはたまらないオーク)

 口で愛撫しているはずの自分の方がイかされそうだ。特に硬くなった乳首が舌先に当たるたびに、自分の方もゾクゾクした痺れが背筋を走り、腰骨の当たりに溜まっていく。こしゃくなおっぱいだ、と族長は思う。このままでは、乳責めでアスカをイかせるより先に、こっちがイかされてしまうかもしれない。

「ああ、あっ、ああっ、や、あ、ああぁっ! やぁっ! やっ、やっ、もう、や、めっ! あ、ああ……あっ!」

 右手で背中を撫でさすり、左手で左の乳房を揉みしだく。右の乳首は自在に動く舌先で可愛がってやる。2日前まで処女だったアスカには到底耐えられない驚異の三点責めだ。

「いや、やっ、やぁぁっ! あああぁぁ、あああっ! はぅ、あぅぅ…!」

 悲痛な声を出してアスカは身を捩るが、勿論、族長は責めの手を緩めたりはしない。繋がったままの腰を突き上げ、よりいっそう深く結合させる。異形のペニスがアスカの胎内で暴れ踊る。

「ひっ、ひぃ―――っ! ぃゃぁああああああっ!!」

 天井を仰ぎ、目を見開いたアスカが断末魔じみた悲鳴を上げる。伸ばした爪先がまた快楽にうちふるえ、反射的にアスカは族長の身体にしがみつき、身体と魂を狂わせる官能の痺れをやり過ごそうとすがりつく。
 長く痛切な啼き声は、浴場内に大きく響き、やがてかすれるような吐息が替わって響き渡った。

「ひぃ、ひっ、は、はひっ。ひぃ、ひふ、ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ、はぁ、はっ、はぁ…」

 泥とは明らかに違う、濃くて粘つく精液を胎内に感じる。身じろぎすると、極太のペニスで敏感な膣内で精液がかき回され、くちゅりくちゅりと猥らな音を立てている。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はっ、はっ、はぁ…」

 肩で息をしているアスカは今の自分の状態を顧みる余裕もないようだ。流れ出す大量の汗は泥を洗い落とし、まだら模様を描いている。疲れ切った目でアスカは族長の顔を見つめた。

(これで、終わり…?)

 視線を受け止めた族長はニヤニヤと、奇妙に人間じみた笑みを張り付かせる。
 終わりなわけないだろう。
 まだ本気を出していない。今までの単に形状の違いによる快楽でしかないのだ。本番はこれからだ。分泌される媚薬淫液、昂ぶらせる神経毒、ペニスに密生した吸盤状の器官やウジ状器官による人外の快楽を本格的に味合わせてはいない。

「あ、ああぁ…」

 泥に濡れた髪の隙間から見える耳を真っ赤にさせて、アスカは認めないと言わんばかりに頭を振った。族長が考えていることが、嫌になるほどわかってしまった。
 まだ彼は本気の半分も出していない。レイやマユミ達が先に受けた快楽地獄の半分も自分はわかっていないのだ。
 現実逃避するようにアスカはきつく目を閉じ、唇を噛みしめた。

(無理、無理よ…。私、本当は違う…から…)

 糸の切れた操り人形のように脱力したアスカの顔を無理矢理上げさせる。血が滲んだ唇に、族長はむしゃぶりついた。舌がアスカの口腔内に遠慮なく進入し、歯茎をなぞり、顎や舌に絡んでたっぷりと唾液を流し込んでいく。

「んっ……ん、んっ………んっ、んんっ」

 嫌がっていても、ぐりぐりとペニスで中を抉ってやると拒絶は肯定に、悲鳴は嬌声に取って代わる。

「あ、あああっ、ん、ああぁっ! あ、ああ…っふ、や、んっ。はぁ、はぶ、ああぁ。
 や、やら、だめ、やぁ、あっ、あああぁ〜〜〜〜〜っ!」

 泥風呂の中でどっかりと胡座をかき、アスカをしがみつかせて族長はいよいよ本気を出してアスカを責めて責めて責め立てる。混沌の変異が生んだウジ状の器官を暴れさせながら、肉襞をかきわけ、擦りつけ、アスカの熱さを楽しんでいる。

「ああぁ〜〜〜〜っ、あ、あっ、ダメ…ダメ…ぇっ。ああああぁぁ〜〜〜〜っ!」

 対面座位で貫かれながら、アスカは泣き叫んだ。

(ダメ、ダメぇ! 無理、無理よこんなの! ああ、だめ、私、みんなを、でも、ああっ、ママぁ)

 ペニスが届いていないはずの子宮の奥にまで感じている。
 もう今は服従の時だとか、仲間のためにと言った最初の覚悟は消え失せていた。今はただ、どうすればこの地獄をくぐり抜けられるのか。ヒリヒリと熱くて手で触れるような快感を耐え、堪えることしか考えられなかった。
 ペニスのウジは蠢き、イソギンチャクのようにアスカの胎内で揺れ踊っている。小さな小さなルーペで拡大してもわからないくらい小さな口が膣壁や襞に噛みつき、顕微鏡でも見えないくらい小さくて細い刺胞毒を注入していく。
 それは直接神経に生体電流を流し、ゼロの状態から一瞬でトップギアにまでアスカの意識を持っていく効果があった。

「ああ、あ、あ、ああっ! みん、な…ごめんっ! わたし、わたしっ」

 熱くて、硬くて、一杯で、溶けていく。意識と一緒に、身体が溶けていくような快感にアスカは友のことも忘れていた。仮にこの凌辱が永遠に続くかわりに、仲間達の安全を保証すると言われても、アスカは選ぶことができなかっただろう。
 レイ達と自分を天秤に掛けたからではなく、応えることができない、考えることもできない快楽に攻め立てられているから。

「んんっ………くっ、ぅ、あ……あっ、ああぁ、んっ」

 族長が再びアスカの唇を求めると、おずおずとピンク色の舌を伸ばして受け入れる。

『おっ、おっ、おおっ。ヤーム、ヤーム』

 アスカが絶頂に狂わされている一方で、族長もまたアスカの体に溺れていた。がむしゃらに腰を振り、背骨を折ろうとしてるのかと思うほど強くアスカにしがみついている。鍛え上げられたアスカの身体は時として痛みを覚えるほど、きつく締め付けてくる。それがたまらなく良い。

『だ、出すぞ、また出すぞオーク! おまえの、中に、出すオーク!』
「やだ、やっ、やっ、いや、や、や、イヤぁぁ――――――っ!!」

 身体の奥底から絞りだそうとするように族長が全身に力を込め、アスカの最奥にまでペニスを挿入した。アスカの奥からじわりと愛液がしみ出し、強く膨れあがったペニスを締め付ける。

『ブヒ、ブヒ、ブヒヒイィ―――っ!!』

「んっ、んんんんん――――――っ!! あっ、ひぅっ、んんっ、うくぅ――――――っ!!」

 族長の嘶きと共に三度、精液の迸りがアスカの胎内に注がれたとき、アスカもまた声にならない悲鳴を上げて全身を震えさせた。











 それからどれくらい経っただろう。
 アスカには何時間にも感じられた ――― 実際にはほんの数分 ――― の後。しっかりと抱き合って身じろぎ一つしなかった二人はゆっくりと、お互いの束縛を解いていった。脱力し、肩で息をするアスカの髪を、族長が戯れに指で梳いている。触れられること嫌がってアスカは首を振るが、手で払うほどの体力は勿論、気力もない。

「あ………………あっ、ああぁ………ひ、くっ、あ、あんた、私に、こんな、こと…」

 精々、オークオーラの影響でおっかなびっくり、恐る恐る口答えするのが精一杯だ。
 それでも、口答えできただけでも驚異的なことなのだが。

 しかし、それはオークを喜ばせるだけ。
 口元を歪めて族長は再びアスカの唇を貪った。目をぎょっと見開き、逃れようと身体を捩るが、たくましい腕に捕らわれていては結局逃れることはできない。ほどなく唾液を呑まされ、舌をしゃぶられてとろんとした目をするアスカに、族長は巨獣のようなたくましさでのし掛かっていった。

 明け方かもしれない。だが、日の出までにはまだ時間がある。たっぷり、ゆっくりと小生意気なアスカの身体を楽しもう。族長は今は亡き父親の霊に誓った。

『おい、おまえ』
「ふぁ、あっ、ひぁ! あ、ああっ!」

 まだ奥に光を残したままのアスカの瞳を正面から睨みながら族長が問いかける。

『おまえ、名前なんだっけオーク?』

 一瞬、ハッとした顔をするアスカ。今まで散々犯されながら、互いに助けを求めて名前を言い合ったりした。だけど、今まで名前を聞かれたこともなかったし、敢えて名前を答えてもいなかった。

 答えたらダメ…。内側から声がする。
 今まで仲間同士でお互いを労り、あるいはお互いに助けを求めて名前を言ったりしたので、目端の利くものならとっくに彼女の名前を知っているだろう。だから、ここで名前を言っても言わなくても、なにも変わらない気もする。

 でも、でも…。

 背筋に怖気が走り、うなじの毛が逆立っていく。ゾクゾクと感情が腹の底から湧きあがり、熱泥の中にいるのに急に身体が冷えていく。
 言っちゃダメ、言ったらダメ。
 でも、オークは、征服者は言えと『命令』している。オークオーラが心に影響を与えているのを感じる。
 言っちゃダメだけど、でも、答えたらからってなにが変わるわけでもない…はず。言え、言っちゃえ。言って楽になればいい。でも、ママはきっと、良くないことだって怒る。
 眩暈がした。

「あ…アスカ…」

 あれ? と思ったとき、いつの間にか答えていた。心が塗りつぶされていくのを感じる。ブラインドを下ろしたように目の前が真っ暗に…。

『あすか? アスカかオーク!』
「は、い。アスカ…」
『そうか、そうか! アスカ! アスカだなオーク!』

 目を輝かして族長はアスカを犯し続ける。身体をガクガクと揺さぶられながら、全部ではないにしろ、また魂の一部を征服されてしまったことを悟ってアスカは悔し涙を流していた。

「あ、ああああっ。いや、イヤぁ…。なんで、こんな。どこまで、私、堕ちて…ああ、ママぁ」
『アスカ、アスカ! おれの子をうむ女の名前はアスカだオーク!』

 再び、絶頂の痺れにアスカの身体が震える。

「イヤぁぁぁぁ――――――っ!!」

 薄暗い浴場内に悲しみに満ちた女の子の絶叫が響き渡った。深く、切なく、洞窟の外にも聞こえるような声が。











 今までの、ただ形の違う生殖器で敏感な部分をかき回されているのとは違う、本気の凌辱がアスカを狂わせていく。

「ぐぁあああっ! あぎっ、ぎぁあああああっ!!」

 最初、本気になった変異オークの異形ペニスを同時にヴァギナとアヌスにねじ込まれたとき、アスカが感じたのは苦痛…そう錯覚してしまうほど強烈な快感だった。

「ひぎぃぃぃ! いっ、いっ、いっ、うぁ、おお〜〜〜〜!!!」

 真っ赤に焼けた鉄串を刺され、かき回され、湯気の立つ内臓をかき出されてるような快楽。
 断末魔じみた苦呻がアスカの喉から迸る。

「あっ、ああああっ、あっ、ああああ、うううぅ……」

 やがて『痛み』は『熱』に変わった。腹の中に溶鉱炉ができたんじゃないかと思うほどの熱。それだけが全てを満たしていく。頭をのぞいて、腹も背中も、手も足も胸も、全部全部溶けて消え去っていく。細胞一つ一つがばらけ、坩堝の中でかき回されていく。
 苦痛の悲鳴は強制労働に従事させられている労働奴隷が漏らすような、重苦しい呻きに変わる。
 息をするだけで喉が張り付き、血が噴き出していく。骨がきしみ、酷使された筋肉は動くだけで痛みに痙攣する。汗が流れ、流れ、流れて…。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、あっ、ああぁ…。はっ、はっ、はっ、は…あぅぅ。なによ、これぇ」

 そして、なにより恐ろしいのはこの苦痛や疲労すらも、いずれは変わっていくことだ。
 まだ焼けるような熱に全身を犯されているけれど、アスカは考えることができるようになっていた。
 痛みが徐々に引いていく…いや、耐えきれるようになっていく。鋭かったのが鈍く、熱いだけだったものがどこか心地よくなっていく。
 オークの精液の持つ回復作用は彼女を癒す。そして最低最悪の精神状態に陥らせるオークオーラは彼女を苛み続ける。…現時点から一定量マイナスするのではなく、(個人差はあるが)決まった値にしてしまい、それを維持する。仮に0以下が発狂とするなら、オーラは1〜5程度の値を維持し続ける。今のアスカが発狂確実の精神攻撃を受けても、絶対にそれに抵抗してしまうのだ。

 気絶も許されない。
 発狂することもできない。
 疲労して死ぬこともできない。





 甘ったるい…媚びたような喘ぎ声が浴場内に響いている。

「ああっ、あんっ! あんっ、あっ、ああっ、あんっ! いやっ、あん、ああぁっ!」

 声の発生元は泥風呂から場所を変え、浴場の中心近くに移動している。
 壊れた噴水から湯が噴き上がり、雨のようにまき散らされる下で、アスカは族長に組み敷かれて眉間に皺を寄せて喘いでいる。無理矢理四つん這いにされたアスカは犬のように後背位で犯され、身を削るような凌辱に犬のように泣きわめく。
 アスカの白い身体は徹底的に蹂躙されていた。肉付きの良い肩も、形良く盛り上がっている両の乳房も、きりっと締まった胴のくびれと贅肉の少ない下腹も。
 泥をかぶった肌は噴水で洗われオークの愛撫で拭われて艶々と輝き、生まれたての赤子のようだ。ほぐすように胸を揉まれ、硬く凝った乳首を指でつねられるむず痒いような快感にゾクゾクと背筋を震わせる。

「はっ、はひっ、ひぐっ!? あ、ひいいいいぃ〜〜〜〜っ! んあっ、ああっ、やっ、あんっ! ああっ、イヤぁぁっ!」

 背中の中程まである緩くウェーブがかった蜂蜜色の髪からも泥は洗われ、黄金の輝きを放っている。そして髪の間にかいま見える、彼女に残された首輪以外の装身具である髪飾りが赤く、角…というより犬の耳のように見えた。

「きゃうっ! くっ、ああっ、あっ、あああっ!」

 一片の曇りもなく彼女は美しい。悶えて猟犬のようなシルエットの体をくねらせると、汗と水滴が光となって飛び散っていく。
 美の化身を犯す汚物の塊…族長の二本の異形ペニスはしっかりとアスカの前の穴と後ろの穴に食い込み、腰使いに合わせて勢いよく注挿を繰り返している。ゆさゆさとCカップの乳房が揺れた。

 ジュブボボ、ボジュブブブッ

「んぐっ、ひぃっ! ひぃあああああっ! あん、やっ、やぁっ! イヤだって、言ってるのにっ! あうう、はううっ、おううっ!  はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、くっ! ひぃぃぃっ! 胸が、くるし…いっ」

 吸盤状の器官や無数の柔突起が一面に密生したペニスが出入りすると、人間で決してあり得ない異様な音をさせ、アスカを人外の快感で責め狂わせていく。なんども射精され、何度も絶頂に喘いで愛液を漏らしたアスカのヴァギナは煮えたぎる蜜壺だ。餌をねだる雛鳥の口のように大きくこじ開けられたヴァギナとアヌスを押し割り、二本のペニスが抉りこんでいる。
 喉から内臓を吐きそうなくらいの圧迫感。ぎちぎちに押し広げられたラヴィアはいっそ清々しいほどグロテスクに膨れあがり、様々な粘液で濡れて光るそれは、長時間に及ぶ凌辱を嫌でも感じさせた。
「あううぅっ! う、うう、うっ、ああぁ、オークの、汚いのが、入ってる、擦られて…。感じ、たく、ないのに、どうしてなのよぉ…?」

 口でどんなに拒絶しようとも、官能の電流で痺れた身体は貪欲に憎悪の対象を飲み込んで離さない。

「はひ、ひっ、ひっ、ひっ、ひぃぃぃっ! 壊れる、壊れる…っ。あ、ダメ、ダメ、ダメぇ! これ以上、は、あ、ああぁ…ん、もう、そんな、ああ、嘘ぉ」

 まるで治まることのない暴風雨そのものの凌辱だった。
 暴虐の腕に囚われ、アスカは舞い散る木の葉のように翻弄される。
 逃れようとするアスカを四本の腕がしっかりと押さえつけ、より深く秘部を密着させ、長大なペニスを沈み込ませていく。愛液と精液のミックジュースが泡立ち、ジャムのように滴り落ちていく。あまりの惨めさ、猥らさにアスカは身震いをして嫌がった。爵位を授与され、将来は領土持ちにだってなろうかという自分が、こうして惨めにオークの慰み者になるなんて…。

「ひぐっ、ひっ、あひぃぃぃっ! 違う、違うのに! 感じ、感じてないっ! 感じちゃ、ダメぇ! あ、あっ、あ、ああっ、あっ、あっ、はっ、はぁっ!?
 や………や、やめて、やめてぇっ! やめ……て、やめなさい、よぉ」

 最初の頃のけたたましい拒絶の叫び声は、今は弱々しい。
 元戦乙女の胸肉がオークの雑な腕でぎゅっ、と強く下から絞り上げるように強く握りしめられる。硬く尖った先端からポタポタと汗の滴をしたたらせ、火照った肌がブルブルと震える。

「あああぁぁぁ…っ。あ、あ、あ、はぁぁぁぁ」

 イヤでイヤでたまらないのに、乱暴すぎて痛いくらいなのに。痛みを受容するマゾヒスティックな喜びが混じった快感で、押し殺そうとしても押さえられない甘い官能の呻きを漏らしてしまう。

「はぁ、はっ、はっ、はぁ、はぁ、はっ、はっ、はぁっ、あああぁっ! しんじゃ、う。死んじゃう…。い、イヤぁっ!」

 族長はずっと無言だった。
 軽薄な軽口を言うこともなく、奇天烈な方法でアスカを苦しめるでもなく。彼もアスカという極上の女体から得られる快楽に狂ってしまったのか、野獣同然に単純で、だが執拗な動きでアスカを犯していく。

『ぶひっ、ぶひっ、ぶひっ、ぶひっ、ぶひっ、ぶひっ、ぶひっ、ぶひっ、ぶひっ、ぶひっ』
「いや、いや、や、やぁ、イヤぁ。ばっ…馬鹿っ! バカぁ! んん、ああぁ、激しい、奥に、あっ、あん、あっ、あん、ああっ、あひぃぃっ!」

 息を荒げ、ただひたすらにアスカの胸を揉み、身体を擦りつけ、歯形が付くほど強く肩に噛みついたりしている。手足を絡ませ、アスカの全身を指で愛撫し、舌で舐めてオークの手垢と涎で塗りつぶしていく。ヒクヒク震える背中のくぼみに、涎が溜まっていく。
 罵り喘ぐアスカの濡れた金髪は乱れてほつれ、背中や二の腕に張り付いている。白い肌は興奮で桜色に染まり、青い瞳は涙を流し続けたために充血してくすんだ紫色に見えた。

「ひぐっ、ひっ、はひっ、ひぃっ! い、いい、く……そこっ、はっ、ついちゃ…あぁっ! ひぃっ」

 やおらアスカは目を限界まで見開き、息を詰まらせて小刻みに身体を震わせはじめた。タイルに爪を立て、両足を突っ張らせて官能の大波を堪えようとするアスカ。

(こ、こんなの、こんな! お、堕ちちゃう! 感じたく、ないのにっ! いや、なのに…!)

「くっ、んんっ……あぐっ! ぎぃ……っ」

 アスカの頭が後方に仰け反り、ぎゅう…っと強くアスカの腰と族長の腰が密着する。濡れた髪がこすれて、衣擦れのような音を立てる。
 族長の尻に力が入り、彼の身体もアスカにシンクロするように小刻みにブルブルと震え、アスカの胎内でペニスが限界まで膨れあがり、やがて、弾けるように一斉に精液が噴きだした。

「んんん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!! んっ、んっ、んんっ! うっ、うううぅぅぅ〜〜〜〜っ!」

 アスカの口から押し殺した呻き声が長く、切なく響く。同時に、二人の結合部の隙間から勢いよく精液が噴きこぼれた。粘性の強い液体が敏感な部分に触れ、内股を伝い流れる感触だけで、達してしまいそうな快感にアスカは震えた。

「うぐっ、くぅ、は、はっ…ひっ、はっ、ん…あ…」

 達すると同時に、「はぁ…」と熱い吐息を漏らしてアスカはグッタリと脱力した。上半身を支えることを放棄した腕から力が抜け、頬を地面に付けてピクリとも動けない。汗みずくになり、大きく肩で息をするアスカの見開いた目から、枯れたはずの涙の滴が流れ落ちた。

(これで、何度? 何度目なの? 何回、こうして、中でだされて…。こいつ、いったい何回するつもりなの?)

 族長が1回達するたびに、アスカは数回はイかされてしまってる。そして族長は何回射精しただろう。
 屈辱だった。
 だが、なにより屈辱なのは、今の状況を、支配されていくことを受け入れようとしていること。

「ああ、ああぁ…………はぁ…はぁ」

 真っ赤に染まっていく。身体も、ハートも。

 敗残者アスカの愛液と精液で濡れ光るペニスを軍旗のように誇示しながら、族長が仁王立ちしている。
 彼は何も言わない。言ったわけではない。

(そう、そういう、ことね。良い、わよ。そのつもりなら、最後まで、つきあってあげるわよ)

 何をすればいいのか悟ったアスカは力の入らなくなった身体をどうにか起こすと、恭しくペニスを手に取り、両手で包み込むように擦り始めた。ぺたんと尻を地面に付けて座り込んだアスカの鼻先で、異臭を放つペニス。ヌルヌルとした粘液を潤滑剤にして、異形のペニスの表面を手の平が滑っていく。プツプツ、プチプチ、異様な手触り。

「ん、んん…変な、感じ」
『お、ウオォォ……』

 アスカの手淫で族長が呻き出すと、アスカはゆっくりと口を開き、淫らな舌をそっとつきだした。頬が赤く染まり、逡巡したアスカの全身に後悔と躊躇いの鳥肌が浮かび上がる。だが、そうしなければいつまでたっても終わらない。拒絶しても、首輪の力で結局良いなりにされてしまうだけ。
 それに言い訳なら既に用意してある。

 従っているふりをしているだけ。今は言いなりになってやるけど、いつか機会を見つけて、絶対に逆襲してやる…。その時までは。


「あ……はっ、ん、ちゅ、ちゅぶ、ちゅ、ちゅ、ちゅる、ちゅ、ちゅぷ」

 覚悟を決めたアスカは、唾をたっぷりと貯めて、ピチャピチャと控えめに、やがて大胆に音を立てて舐め始める。啜りこみ、喉を伝う液体は苦くて酸っぱくてしょっぱい、敗北の味がした。
 心の中で何度も恨み言を呟き、オークを罵り、睨み付けながらも…。支配される暗い喜びに、アスカは歓喜の呻きと喘ぎを漏らし続けるのだった。







初出訂2010/08/19 改訂2010/08/25

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