僕は今とてつもなく危機的状況に置かれている。
 いや、正しくは僕と綾波の2人がと言い直すべきだろう。
 今の自分たちの状況を一言で説明することは難しい。敢えて比喩的な文法を用いて語れば、第三者に見つかると退学確定、隣りご近所に後ろ指指される晒し者。さらには友人達も僕の味方をしてくれるどころか離れていってしまう。それは空に太陽と月と星が浮かんでいるのと同じくらい確実だ。

 つまり、このまま人前に姿を晒すのは、色々な物を無くす覚悟をしていないと出来ないことになる。
 そして一方、今すぐに飛び出すか、あるいは今ここに自分たちがいることを主張しないと、僕たちではないがとても親しい人が大変なことになってしまう。その人の性格を考えると…最悪、自殺を考えてしまいかねない危機的状況だ。

 ぶっちゃけると山岸さんがドキドキするほど大ピンチだ。今、彼女は使徒に寄生されたときより、ある意味危険極まりない。
 僕が…5分以内に決断しなければ、取り返しがつかないことになる。

 どうする? どうすれば?

 綾波の意見は参考にならない。
 彼女は【碇君の言うことに従うわ】とはなはだ主体性のないことしか言わないから。
 僕を立ててくれてるのかも知れないけど、さすがに、彼女の忌憚ない意見を聞きたいんだけれど。でも、この状況で無理に彼女の意見を引き出すことは…さすがに出来ない。決めるのはあくまで僕だ。

 だが、それより何より問題なのは。
 今の状況を楽しんでいる自分自身の気持ちだ。この高ぶりは…一体何なんだろう?
 そして股間を貫く、普通のセックスでは味わえない快感は…。










─ 図書室にて 前編 ─
あるいは可哀想な処女と卑屈な暴漢、どうしようもない2人の天使



書いたの.ナーグル










 その日、僕は朝から言いようのない焦燥感に襲われていた。
 朝、目を覚ます前から感じていたその感覚に、僕は一日中翻弄されていた。退屈な授業中、理科の実験中、体育の時までも。トイレに行くたびに悩ましげな溜息をはく僕を、トウジが眉をひそめて見ていた気がした。



 綾波レイ…。

 彼女のことを想うだけで、その物憂げな横顔を目にとめただけで心拍が早くなる。
 彼女の髪の毛、瞳、唇、染み一つ黒子一つない肌、柔らかい体、年齢以上に豊かな胸、安産型のお尻、ふともも、ふくらはぎ…。

 目を閉じれば彼女の肢体が脳裏に浮かぶ。
 彼女と正式に付き合うようになってもう半年を過ぎている。彼女の全身で、僕が見ていないところや唇と指が触れていないか所はない。
 戦自突入寸前、実は生きていた加持さんが父さんと組んで世界中に情報を発信して、同時に世界各国の首脳をとかなんとかそう言うことはどうでも良い。
 要するに今僕と綾波が深い関係にあることだけ分かればいい。
 それはもう、毎日猿のように愛し合っていた。

 当初は痛がっていた(処女だった! 父さんに手を出されていたかと思っていた。後にリツコさんに『司令とレイが肉体関係にある? それはあり得ないわ。あの人はねEDなのよ』という言葉を聞くまでずっと謎だったのは全くの余談だ)綾波だったが、1週間を過ぎた辺りから積極的に求めてくるようになり、僕も彼女の期待に存分に応えてきた。遂に彼女の口から甘い吐息と喘ぎを漏らさせ、全身をくねらせて羞恥の表情を浮かばせたときは神になった気分だった。


 だが、連日そんな感じで愛し合った反動だろうか。
 近頃二人してセックスに喜びを見いだせなくなってきていた。それよりもたわいない話や、土日に映画館に行くと言ったごく普通な異性交遊の方に喜びを見いだすくらいになっていた。勿論、全くないわけではないけど、週に一回、おざなりにセックスをするだけだ。

 だが、その倦怠期のカップル状態は過去の話だ。
 3週間前のことだけれど、偶然、保健室で2時間ほど2人きりになると言うことがあった。
 なんとなくキスをしている内に、どうしたことか僕は綾波をベッドに押し倒し、制服の上から乱暴に胸を愛撫していた。さすがにいつ人が来るか分からない学校の保険室内は彼女の想定外だったのだろう。うーうー呻きながら抵抗をしたのだ。だが、その抵抗もすぐに形だけとなり、たちまち鼻にかかった甘い啜り泣きを漏らし、僕の下で淫らな肉の花を開花させたのだった。

 誰かに見られるかもというスリル
 いつもと違う環境(普段は僕の部屋か綾波の家で)
 抵抗する綾波を僕が押さえつけるというあり得ないシチュエーション

 それらが僕たちの心を高ぶらせたことは想像に難くない。

 以来、僕たちは色々シチュエーションを変えてセックスを楽しんでいる。かつてと同じくらいに、いやかつて以上にのめり込んでいる。勿論、成績を落としたりしないように勉強とかも頑張っているし、普段の生活にそう言ったことは出していない。でも、やっぱりばれてしまうものなのか。

 綾波を見るケンスケやトウジ、クラスメート達はいつも前屈みになる。
 いつもみたいに机に肘をついて窓の外を見ているだけなのに。彼女は事情を知っている僕が見ても、今すぐ押し倒したくなるほどの色気を放っていた。



 ともあれ、僕たちは今日も刺激的な状況を求めて新たなる模索をしている。
 そして今日…正しく夢の中で…壁一枚向こうに知った人がいるという状況でセックスすることを思いついた。
 僕の今朝から続く焦燥感の原因はそれだ。早く放課後になれ、なれと必死に念じ続ける。
 とは言っても、隣にいる人や状況はしっかり吟味しないと行けない。アスカやミサトさんとかの場合、見つかる可能性がかなり高い上、さらし者にされる。勿論、公にはしないで秘密にはしてくれると思うけれど、引き替えに卒業まで綾波とセックスをしてはいけないと確約させられかねない。
 洞木さんは…言い訳する以前に大騒ぎになる。勿論晒し者だな。
 トウジやケンスケは論外だ。綾波の裸を、僕以外の男が目にする可能性なんて…。

 必然的に、隣にいる人は山岸さんに決まった。
 言っては何だけどのんびりしていて勘が鋭い感じではないし、見つかったとしても、内々に済ませてくれる可能性が高い。軽蔑はされるだろうけれど。


 そして放課後。
 時刻は5時20分。

「もう誰もいませんねー?」

 少し間延びする山岸さんの声が図書室内で微かに響く。5時半に閉めてしまうため、それまでに本を借りる者は借り、本を読んでいたり勉強していた者は退室しないと行けない。いわばその猶予時間というわけだ。

 ほとんど利用者のいない図書室からぞろぞろと人が出て行く。残っている者は誰もいない。図書委員長である山岸さんと、本棚の影に隠れて彼女をやり過ごした僕と綾波以外は誰も…。
 やがて、山岸さんが図書カードの利用のまとめをしている微かな音が聞こえるだけになる。

「……本当に、ここで?」

 怖じけづいたように綾波が僕に聞いてくる。本の隙間から遠くに見える山岸さんを、ちらちらと盗み見ている。彼女の不安が手に取るように分かる。当初の予定では、壁で隔てられるはずだったのに、現実では幾層もある本棚で遮られてるだけなのだから。

「大丈夫だよ。図書室は大きな音が響きにくくなるように、色んな所に吸音素材が使われてるから。それに、ここから山岸さんのいるところまで結構離れてるでしょ?」

 バスケットコート二面分くらいの広さがある図書室だ。よほどの大声でも出さない限り、山岸さんに聞こえるとは思えない。そりゃあ勿論、ちゃんと壁に遮られてるわけではないから不安だと言うことは僕も同意するけど。

「碇君がそう言うなら…」

 頬を染めながら綾波がすり寄ってくる。なんだかんだ言って、彼女も興奮しているらしい。その猫みたいな目は潤み、頬は早速上気している。制服のファスナーやブラウスのボタンを外すのももどかしいのか、半ば引きちぎるように制服を脱いでいく。

「おっと、ストップ」
「え…」
「全部脱いだら、色々面倒でしょ?」

 戸惑う綾波はとても可愛い。そして、なんだかちょっといじめたくなってくる。

「とっさの時、何とかごまかせるように半脱ぎで、ね」
「わかったわ」

 素直に頷くと、綾波は制服を全部脱がず、ブラウスの胸ボタンだけを外して胸を露出させる。最近の成長著しい胸が白いブラジャーに窮屈そうに包まれながらもまろびでる。汗が浮いた肌に産毛が立っている。外気に触れてヒンヤリとしたのか、それとも状況に酔っているからか。

「下も…なの?」
「ああ、そうだね。スカートは脱がないで、ショーツだけを脱いで。ああ、待って待って。完全に脱ぐんじゃなくて、片足だけ抜いて膝か足首の所で引っかけて」

 今思ったけど、僕ってかなり親父臭いかも知れない。
 コレも全部父さんが悪いんだ!

 それにしても、綾波は可愛い。以前の綾波なら無表情を保ったまま、僕の言うことに従っただろうけれど、今の彼女は羞恥心を知っているだけに、とても恥ずかしそうにショーツを片足だけ脱いでいる。
 股間がスースーするからか、僕の顔と股間をと交互に見返している。あのブリーツスカートの下では、綾波の全てがさらけ出されている。そう思った瞬間、僕の股間が痛いほど硬くなっていることに気がついた。

「……………い、碇君。これで、良いの?」
「うん、綾波。今の君はとっても綺麗だよ」
「…碇君」

 雑誌で読んだ歯の浮く台詞を言ってみたけど、綾波は余りお気に召さなかったらしい。きょとんとした顔のまま、僕の顔をじっと見ている。

「うん、まあいいか。それより、まずはこれをちょっと大人しくさせてよ」

 山岸さんを横目で気にしながら、ベルトを外し、ジッパーを下ろすと、パンツごとズボンを脱ぎ捨てる。露出した股間の5.5インチ砲は隆々と天を指し、今この場に山岸さんが来たら卒倒するかも知れないな、なんて事を思った。
 でも(銭湯で見た)加持さんや副司令の8インチ砲のレベルにはまだまだだけどね。



 ウットリした目で綾波が僕の前に跪く。そっと吹きかけられる彼女の吐息がこそばゆい。

「わかったわ。ああ、碇君碇君、碇くん…」

 躊躇うことなく綾波が僕のモノを口に含む。フェラチオと言うんだよ、と教えてやったときのことは今でも鮮明に思い出せる。あの時は本当に何も分かっていなかったけれど、でも今は…。

「うおっ!?」

 ねっとりした生暖かい感触に僕は息を呑んだ。股間から背筋に走る電流は絶え間なく体を痺れさせる。

(く、ううっ、なんて凄い! 綾波、無茶苦茶気分入ってるし!)

 チュプ、クチュ、ズチュ

 舌が亀頭を舐め、唇が竿の部分を前後にしごきあげる。そして白魚のような指先が熟した果物を扱うように紅顔を撫でさすった。

「う、ううん。じゅ、ずちゅちゅ、ちゅる、ちゅう」
「うああ、あ、綾波…」

 ぬめった唇は肉棒を優しく擦り上げ、口に含んだままで舌先が亀頭のカリ部分をこさぐように舐る。腰を前後させるたびにほどよい快感が全身を貫く。途端に尿道口から先走りの汁があふれ出すが、綾波は…はそれすらも愛おしそうに舐め取っていく。彼女には甘露のように感じているのだろう。

「んっ、んぐんぐ、んぐっ、んっ、んんっ」

 きゅうきゅうとした唇の締め付け、舌の弾力に僕の意識は飛びそうだ。

「んっ、んふ、ちゅ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、あふっ、ずちゅ、ちゅる、ちゅっ、んん、ちゅ、んぐぅっ」

 懸命になって綾波はフェラをし続ける。瞳を閉じ、汗を流している綾波を見ている内に、僕の中で満足感がこみ上げてくる。

 ああ、綾波…綾波…愛してる。

 彼女に対する愛おしさがこみ上げてくる、そう思った瞬間、僕の中で使徒の爆発にも似た圧倒的な快感が巻き起こってきた。足がガクガクと震え、このままだと真っ直ぐに立っていられそうにない。
 体に力が入らなくなるのは射精の前兆だ。

「ふぅっ、ふぅん、うん、ふぅ、はぶ、ちゅば、ちゅ、ちゅっ、ん、んんっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んんん〜〜っ!」
「あ、綾波、出る…でるよ」

 堰を切ったように粘ついた粘液が、綾波の口の中にはき出される…。

「うっ、うぶっ、ぐ、っう」

 次から次へと吐き出される精液に、苦しそうに綾波がむせ、喘ぐ。
 くわえたままの口の端から、涎と混じった精液がつーっとこぼれ落ちるのが目に入った。

「んぐっ…んぐっ…んぐっ…んぐっ…っく、んっ」

 苦しいはずなのに、綾波は苦悶の表情を浮かべながらも、一滴もこぼすまいと必死になって喉を鳴らし、精液を飲み込んでいく。それどころか、更に精液を求めようとするみたいにチュウチュウと肉棒を吸い上げていく。
 やがて、粘ついた唾液の糸を引かせながら綾波は僕の肉棒から口を離した。

「あ、はぁ…い、碇君、今日のは、とっても濃くて…でも、まだ、元気」

 執拗な愛撫で紫色に充血した僕の肉棒は、射精したにもかかわらず堅さと大きさを維持している。このまま、次の段階に移行しても問題なさそうだ。

「ふふ、綾波もいつにも増してとっても情熱的だったよ」
「そんなこと、ない…」
「情熱的だったよ。やっぱり、すぐ向こうに山岸さんがいるからかな?」

 思い出したようにちらりと視線を向けると…山岸さんは黙々と作業を続けていた。こっちでこんな刺激的なことが起こっているなんて夢にも思っていないらしい。

「それじゃあ綾波立って」
「はぅ、わかったわ」

 のろのろと立ち上がる綾波。そっと彼女の体を回転させ、本棚に手をつくように指示する。僕の意図が最初分からなかったようだけど、すぐに言われるまま綾波は腰を曲げ、本棚に手をつくと期待するように肩越しに僕の方を振り返った。

「こんな格好で、後ろから…なのね」
「そうだよ。綾波、その格好なら本の隙間から山岸さんが見えるでしょう?」
「う、ううん。や、山岸さん…」

 スカートをまくり上げ、後ろからのぞき込むと、もう何もしなくても良いほど綾波の秘所は濡れている。でも、僕は意地悪するようにそこに口を近づけた。

「あ、ああっ。い、碇くん…っ」

 しっとりとしていて弾力があり、太股を伝ってこぼれるくらいに愛液が溢れている。
 秘裂全体を口に含むようにして、僕は先程のお返しとばかりにちゅうちゅうと音を立てて吸い上げた。ビクン、びくんと綾波の体が震える。

「あ、あっ、あはぁ、い、碇君、だめっ。声、声が…で、出ちゃう」

 綾波って声が大きいし良く通るからなぁ…。
 さすがにそれはまずい。
 いったん舐めるのをやめると、僕はポケットからハンカチを取り出した。まだ一度も使っていない清潔なハンカチだ。もっとも、綾波だったら喩え大をした手を拭いた後であっても、嬉々としてくわえただろう。

「さ、綾波。これを噛んで」
「あ、ん、ん…はむっ」
「それで声を出せないよね? じゃあ、改めて」

 ちゅぷ

「ふぅ、んんんーっ!」

 舌先をとがらせ、つんつんとクリトリスを突き、全体を刺激して上げるとぷっくりと肉芽が盛り上がってきた。

「――――っ! ――――っ! ん――――っっ!」

 声を出せない分、余計に体をブルブルと震わせる。クリトリスを包皮の上から唇でつまむと、痛くならないように優しく、でもコリコリと弾力を楽しむように噛んでみた。

「っ、む――――っ! う、うう――――っ!
 う、うううぅぅぅっ」

 声にならない呻き声を漏らしながら、綾波は身もだえる。右に左に、大きなお尻が忙しない。でも必死に逃げようとする綾波のお尻を捕らえたまま、僕は溢れる愛液で口元をベショベショに濡らし続けた。したたる愛液がのど元を過ぎ、シャツどころか下着までも濡らすけど、一切気にしない。

 今までのセックスとは比べものにならない高ぶりが僕たちを支配していた。

「ふぅ、うう……うっ、うう………」

 やがて逃げ疲れたのか、綾波のお尻は左右に揺れることをやめ、ブルブルと小刻みに震えながら愛液を滴らせるだけになった。

「ねぇ、綾波。逃げないの?」
「ふぅ、ううううっ」

 恨めしそうに綾波が僕の顔を見る。律儀にハンカチをくわえたままだから、抗議をしたくても出来ないでいる。でも、目を見て彼女の言いたいことは分かった。

「うん、そうだね。僕も、もう我慢できない」
「ふぅん」

 嬉しそうに綾波が頷く。首に鈴を付けたら、山岸さんはおろか遠くローマ法王にだって聞こえかねない勢いだ。でも、そこまで嬉しがられると、ちょっと意地悪したくなるのが複雑な男心というわけで。
 背中から抱きしめると、激しく綾波の胸を揉んだ。きめの細かいしっとりした肌が心地よく指先に吸い付く。

「う、ふぅ、ううっ」

 指に力を込め、そろそろ手に余る大きさに育ち始めた胸をこねくり回す。ほどよい弾力は指を跳ね返そうと足掻き、それがたまらない。グミを舌先で弄ぶのに似た感触を指先で感じる…と言えばいいだろうか。

「あふ、ううふぅ。うう、ううぅ」

 乳首をつまみ上げると、指の腹で挟んでグニグニと転がしてみる。

「うっ、ふぁっ…はふぁっ…」

 たまらず一瞬口を開いて綾波が喘ぐ。桜色の乳首の感度は抜群だ。それも今の状況に酔っているからだろうか、声を出してはいけない、音を立ててはいけないという縛りのためかより一層敏感になっている感じがする。

「良い感じだよ綾波。おっぱいも大きくて感度が良くて…クラスのみんなも、羨ましがってるんじゃない?」
「ん、んふ……」

 そんなことない、と言いたげに綾波が呻いた。肩越しに振り返る顔も心なしか、今の無神経な言葉をたしなめているようにも見える。

「ごめん」

 くいっ♪

「ふぁ、うぅぅ、んんん――――っ!」

 謝りながら豊かな胸を丹念に揉みしだいた。綾波もそんな僕の気持ちを分かってくれたからか、先程の怒った雰囲気は形をひそめ、たちまち甘い鼻息を漏らして体を震わせる。

「ふっ、んんっ! ん、ふぅ……んん」

 量感たっぷりな綾波の胸。それを揉みながら、ちらりと視線を山岸さんに向けると、彼女は黙々と作業を続けていた。
 今まで綾波が隠そうとして、かなり隠しきれなかった呻き声だが、どうも完全に聞こえてはいないらしい。うん、これなら大丈夫そうだ。

「ん、それじゃあ綾波、そろそろ行くよ」
「はぅ、う、ううん!」

 より肌と肌を密着させると、乗り出すようにして綾波の体を抱きしめる。

「うふぅん!」

 耳元に息を吹きかけながら、亀頭を綾波の秘裂に探り当てるように押しつける。ねっとりとした感触は、綾波の愛液か、それとも僕自身の先走りによるものか。

「ふぅうん、うん、ううっ」

 更に身を乗り出す。綾波の胸を揉みながら、ぐいぐいと腰を押しつける。

 ぐちゅり

 亀頭はたやすく綾波の中に飲み込まれ、たちまち熱くそれでいて甘美な快感の渦に僕の全ては飲み込まれていく。

「あ、あああっ。このまま、い、行くよ。綾波ぃ…」
「ふぅ、うっ、うっ、ふぅっ!」

 涎でぐっしょりと湿ったハンカチをきつくきつく噛みしめ、綾波が何度も何度も頷き返す。

「うあっ、入る、入るよ。ああ、飲み込まれていく、綾波!」
「む、んん――――――――っ!!」

 苦もなく綾波の秘所は僕の肉棒を受け入れ、亀頭に続き、竿の部分も全て飲み込まれていく。

「ほら、入ったよ綾波…」
「あむ、う、うううううぅぅっ」

 返事をする余裕もないのか、目を白黒させて綾波は喘ぐ。首を仰け反らせ、握りしめんばかりに本棚を掴んで、必死になって体が崩れ落ちないように支えている。崩れ落ちたら、音がして山岸さんは気づいてしまう。

「ふぅむ、う、ううっ。ふーっ、ふっ、ふぅ。ふーっ、ふーっ、はふぅ」

 最初の衝撃が少し薄らいだからか、僅かに息を整えて出来る限り深く長い息をする綾波。股間は疼くような痺れに包まれ、足先までたれそうな愛液の感触に息も絶え絶えだ。僕の肉棒のサイズは僅かに、ほんの僅かに綾波のサイズよりも小さいんだけど、それでもその圧迫感は相当なものらしい。
 恨めしそうに、愛おしそうに僕を見る綾波の目はすっかりと色に溺れた牝の目をしていた。

「きつかった?」
「うふぅ」

 コクリと、可愛らしく頷いた綾波に少し意地悪したくなる。
 密着していた体を起こすと、優しく、それでいてしっかりと綾波の横腹を左右から掴む。脇腹を触った瞬間、ビクリと体をすくませるが構わず僕は撫でさする。

「う、ふぅ、ふっ、うぶっ、ふぅ〜〜〜」
「くすぐったい?」
「ふぅん」

 ぴくぴく震える白い背中を見下ろしながら、ゆっくりと腰を前後させる。
 優しく、きつく、全方位から綾波は締め付けてくる。押し込むときは排出するようなきつさで、抜くときは逃すまいと吸い込むような圧迫感で。亀頭のカリ部分は容赦なく綾波の粘膜を刺激し、たまらず悲鳴のような呻き声を漏らした。

「う、ううううっ、うっ、うっ、ふぅ、っふ、ふぅぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ」
「辛い?」
「うふぅぅ」

 綾波はこくこくと反射的に何度も頭を上下させる。それがある意味、彼女の本心ではないことはよく分かっている。だからまたいじわるしたくなった。

「じゃあ、やめようか。抜くね」
「う、ふぅーっ!」

 いやいやと首を振って怒った目をする。彼女が抗議で体を揺すると、玉の滴となった汗がぽたぽたと音を立てて周囲にこぼれ落ちた。うーん、これなら半脱ぎとか言わないで、全部抜いておけば良かったかも知れない。綾波の足首で引っかかったショーツは勿論、靴下と上履きがヌメヌメと濡れ光っていた。
 そう言えば、空調が切られた室内は蒸し暑く汗が滝のように流れ落ちてぬるぬるする。深い極まりないと感じるところだけど、今はそのおかげでお互いの肌のなめらかさを砂粒をなぞるように感じ取ることが出来る。

「わかってる。ちょっと言ってみただけだよ」
「はぅ……も、もう、そんな意地悪は言わないで」
「言わないよ。綾波、愛してる」
「私、私も」

 いったん取ったハンカチを再び噛みしめると、綾波は眉を開いて豊かなヒップを左右に振った。その大胆な行動に、根本まで差し入れられた肉棒は蜜壺をかき回し、くちゅくちゅと粘ついた水音を奏でる。

「ううううっ」
「ふぅ、ふぅん、うん、ううんっ! うっ、うっ、うっ、はうう〜〜っ」

 喜悦と共に綾波の肢体が痙攣する。病的なまでに白い肌はすっかりと朱に染まり、彼女の細胞が一つ残らず火照りきっていることが容易に見て取れた。

「ほらほら、そんな声を出してると山岸さんに気づかれちゃうよ」
「あうう、う、ふ、ふっ!? うぶうううぅぅぅ」

 僕の言葉にすっかり忘れていた山岸さんを思い出したんだろう。
 その存在を思い出した綾波は目を見開いてビクリと体を痙攣させる。と、同時に膣がきゅうとすぼまって僕の肉棒を締め付けた。その甘美な極上のワインを飲んだような陶酔感と快感に危うく射精しそうになった。

「う、ううっ。綾波、なんて良いんだ。こんなの、こんな」
「……………っ、っ、っ、うう………………うっ」

 やられっぱなしと言うのも尺なので、浅く早いピストン運動から気が狂いそうなほどゆっくりとした動きで『の』の字を書いてみる。

「う、ううううっ!」

 『の』の字を書いてズンと奥までつき込む。
 そのまま激しく、ズンズンと音がしそうなくらい勢いよく突く。
 ぐっちゅぐっちゅと花弁をかき回される水音が響き、滴り落ち、その度に背中を反らせて綾波は呻き声を漏らした。

「ふぅむ、うっ、うふぅ――――っ!」

 瞬間、ガクリと綾波の体が手で本棚を掴んでいなければそのまま顔を地面に付けそうな勢いで崩れ落ち、爪先だった足がビクビクと震えた。ぽたぽたと愛液が2人の結合部から滴り落ち、小さな水たまりを作っていく。こむら返りでも起こしたような激しい足の痙攣に、僕は驚くと共に満足感を味わっていた。
 イったんだ…と実感するまでもなく、繋がったままぐったりと脱力する彼女の体の重さと体温を味わう。

(このシチュエーション、凄いよ! 綾波がここまで大胆な反応をするなんて)

「うっ、うっ、ううっ……………………うん?」

 と、ぐったりとしていた綾波がふと何事かに反応する。
 一瞬、僕の背筋が強ばり、全身の毛が逆立った。
 山岸さんに気づかれた…!?

 いや、違う。見たところ山岸さんは立ち上がり、何かに反応しているがそれは僕たちに対してではない。
 出入り口の所にいる人影にだ。

 ケンスケ…?
 どうしてここに? 図書室とケンスケ、およそあり得ない組み合わせだという気持ちが先に立つ。勿論、ケンスケだってジェーン年鑑とか読むことだってあるだろう。その手の本を借りて帰るつもりなのかも知れない。
 既に図書利用時間は過ぎているが、優しい山岸さんなら多少の無理は聞いてくれる…とケンスケなりに判断して来たのだろう。もっとも、意外に決まり事に厳しい彼女は絶対許してくれないことを僕は知っていたけど。
 だが、続いて起こったことは僕の予想は遙かに超えていた。




後編へ




初出2004/10/13

[Back] [Menu] [Next]