北陸新幹線富山開業による利便性を考えているか?

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北陸新幹線は富山開業にむけて着工中であるが、その経済効果や運営については試算されているものの、消費者側から見た効果がどうも不足しているように感じる。そこで新幹線の主役である乗客側の立場から、運賃、料金に関して考察する。
富山開業後の運賃及び料金はどうなるかは未定であるが、営業キロから推測できる。現在、北陸新幹線は長野まで開業しているが、現在開業している区間のキロ当たりの料金は東北・上越新幹線と同じであることから、富山まで開業した場合も同様にキロ当たりの運賃は東北・上越新幹線と同じとなることが予想される。
一方、北陸新幹線の営業キロは並行在来線が転換されたりしていることから、他の新幹線のように在来線の営業キロにあわせたものではなく、実キロを採用している(高崎−安中榛名は在来線が存続しているが、安中榛名に対応した駅は信越本線には設けられていない)事から、長野以北についても同様になると予想される。よって、長野−富山間の営業キロは162.1km(実キロ)となることが想定される。同様にスーパー特急で建設中の石動−金沢間についても23.6km(実キロ)が採用されると予想される。
新幹線はトンネルなどで短絡することから意外と短く、東京−富山間は長野開業前の東北・高崎・信越・北陸本線経由よりも30.7kmも短くなり、ほくほく線経由よりも16.7km短い。 また、富山−金沢間については乗り換えとなるが、同区間から少なくとも現在の「はくたか」の代わりに「雷鳥」「加越」の金沢−富山間延長が考えられ、「北越」「サンダーバード」「しらさぎ」と合わせて毎時2本程度の特急が走るものと見込まれる(早朝・深夜のみ富山−金沢間の快速(車両は特急の間合い)の運転、福井発着の「はくたか」は富山−福井間で存続と予想する)。 以上の前提条件から、東京と富山、金沢、福井への値段を、現状、富山開業後、南越開業後の3パターンで比較する。
・東京−富山
 現在(越後湯沢経由)
  所要時間 3時間10分(最速)
  ねだん  10,740円(乗車券6,730円、特急券2,720円+1,290円)
 北陸新幹線富山開業後
  所要時間 2時間07分(最速予想)
  ねだん  10,600円(乗車券6,300円、特急券4,300円)

・東京−金沢
 現在(越後湯沢経由)
  所要時間 3時間44分(最速)
  ねだん  11,840円(乗車券7,570円、特急券2,720円+1,550円)
 北陸新幹線富山開業後
  所要時間 2時間45分(最速予想)
  ねだん  12,010円(乗車券7,140円、特急券4,300円+570円)
 北陸新幹線南越開業後
  所要時間 2時間22分(最速予想)
  ねだん  11,960円(乗車券7,140円、特急券4,820円)

・東京−福井
 現在(越後湯沢経由)
  所要時間 4時間47分(福井始発のはくたかの場合)
  ねだん  12,570円(乗車券8,300円、特急券2,720円+1,550円)
 現在(米原経由)
  所要時間 3時間39分(最速)
  ねだん  13,490円(乗車券8,510円、特急券4,410円+570円)
 北陸新幹線富山開業後
  所要時間 3時間35分(最速予想)
  ねだん  13,170円(乗車券7,980円、特急券4,300円+890円)
 北陸新幹線南越開業後
  所要時間 2時間49分(最速予想)
  ねだん  13,120円(乗車券7,980円、特急券5,140円)

条件:
・すべてのパターンにおいて新幹線か特急自由席を利用する。
・北陸新幹線の最高速度は500系同様、300km/hまで出せるものとし、速達タイプの停車駅は長野、富山、金沢のみとする。
・富山開業後については、富山−福井間は在来線特急(但し、石動−金沢間はスーパー特急)とする。
・新幹線富山以西の実キロが不明であることから営業キロ=実キロとして計算。
以上から、速達性で見るといずれも1時間以上の短縮効果が予想される反面、ねだんは富山では安くなるものの、金沢では現状よりも高くなることが予想される。福井の場合は、米原経由との比較では運賃は安くなるが、富山開業では所要時間的に大差がなく、南越までの開業が前提となることが分かる。

富山、金沢については北陸新幹線が通ることによって多少なりともメリットがあると予想される。金沢の場合は若干値上げとなるが、割引きっぷ類の値段が据え置くなどして対応することが想定される。
福井については、米原周りの所要時間は現在は3時間39分であるが、東海道新幹線では近く「のぞみ」主体のダイヤに改正される予定であり、米原停車の「のぞみ」が登場すると予想される。また、「しらさぎ」に新型車両投入の予定もあり、こうなれば現状よりも30分程度の短縮効果が見込まれるため、米原周りでも所要時間的には3時間強となる。
3時間強では富山開業では太刀打ちできないことが想定される。南越開業としても、所要時間的に有利な速達列車がどれだけ走るかによると利用価値は変わってくる。現在、北陸(長野)新幹線では速達列車は1日数往復のみの設定であることから、富山延長後も設定本数は同程度と予想される。残りの列車はこれよりも20〜30分は余分に時間がかかるものと予想される。福井の場合は、南越開業後であっても、本数的には米原周りに軍配があがることも考えられる。
しかし、いずれにせよ現状でも飛行機との比較における「4時間」のラインを切っていることから、整備新幹線を作らなくてもフリーゲージトレインによって「直通」を行うだけでも整備は十分ではなかろうか。
(2002年9月15日)

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