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周遊券の統合は5年ほど前から噂されていましたが、予想通りというか、東日本・北海道地区で発売されている「ゾーン周遊きっぷ」のような形になりました。
新設の「周遊きっぷ」は有効日数が短くなり(往復分の有効日数+5日(ゾーン券)−2日(重複分))となるため、長期の旅行が困難になり、この点では利用者にとって不便になります。何しろ一般周遊券は有効期限が1ヶ月もありましたから。
周遊ゾーンは67個所と、従来のワイド・ミニ周遊券と比べると増えているので、従来ミニ周遊券が利用できなかったような場所へ行くのに、便利になる場合が結構あります。
ミニ周遊券の周遊区間については、そのまま置き換わる(あるいは多少の分割・統合)感じのゾーンが多くなりそうです。ところが、従来はワイド周遊券の自由周遊区間として設定されているところでも、それに代わる周遊ゾーンが設定されていない地区が本州内に多くあります(東北ワイド、北陸ワイド、信州ワイド、山陰ワイドなど)。なお、北海道、四国、九州については各々「北海道ゾーン」「四国ゾーン」「九州ゾーン」があるのでそのまま置き換わる形になりました。
そのため、本州内での長期旅行をするのはとても困難になります。東北地区へはウイークエンドフリーきっぷなどを用いる方法もあります(少し割高だが)が、フリーきっぷの設定がない山陰への長期旅行は、やはり困難になるでしょう。
なお東京ミニや京阪神ミニは、「東京ゾーン」「京阪神ゾーン」への周遊きっぷに取って代わるものになるでしょう。しかしねだんはかなり割高になっています。
往復に急行が使えなくなったので追加料金なしで「八甲田」「はまなす」「ちくま」「だいせん」「たかやま」などを利用できなくなり、今まで急行を利用していた人にとっては、ゾーン区間までの出費はかさみます。
一方、周遊ゾーン内では特急も利用できることになるのは大きな改善だと思います。ミニ周遊券で別料金払って特急に乗っていた人は得するでしょう。
また「東京ゾーン」や「京阪神ゾーン」でも特急が使えることになるので、「東海」「踊り子」や房総特急、「サンダーバード」「雷鳥」「白鳥」「オーシャンアロー」「くろしお」「北近畿」なども利用できて便利になりそうです。
しかし東海道新幹線を利用する場合、片道600kmまでのゆき・かえり券は5%引(学割20%引)となるので、京阪神や名古屋から東京へ往復する場合、学割の場合は従来の東京ミニ周遊券より高くなります。一般の場合でも5%しか引かないのなら、現在の東京ミニより安くはならないでしょう。
大阪市内から往復新幹線で「東京ゾーン」の周遊きっぷを買う場合の値段(学割)を試算しますと、ゆき・かえり券が各6,800円ですから、往復だけでも13,600円かかってしまいます(東京ゾーンは、「東京ミニ周遊券」の自由周遊区間から東海道新幹線が除かれたものですので、東海道新幹線での入口は東京になります)。また一般なら各8,080円なので、往復で16,160円となります。
なお、朝霧以西から出発する場合には600kmを超える(垂水、舞子からでも東京までは600kmを超えるのですが、この両駅だと神戸市内発着となるので600km以内として計算される)ので2割引(学割3割引)となります。朝霧発で計算すると学割の場合はゆき・かえり券が各6540円ですから往復で13,080円(一般なら各7,480円で、往復14,960円)となり、少し安くなります。
もっとも、これにゾーン券の値段が加わる(4,520円)ので、学割の場合は最低でも17,600円必要になります。この値段だと新幹線特急料金を加えると28,080円(指定席・通常期)は必要になるので、東京へ往復するには金券ショップでエコノミーきっぷの方が安くなります。もっとも、全体での有効日数は大阪市内発だと9日間、朝霧発なら11日間と従来より延びますが、この値段なら東京で動き回るのでなければエコノミーきっぷの方がいいでしょうね。
また東京へ行くのに在来線で行くなら20%引(学割30%引)となり、ゾーン入口も大船となりますので、同じ「東京ゾーン」の周遊きっぷでも、新幹線経由と在来線経由で値段が異なることになります。在来線の場合は一般で20%引きですから、「ムーンライトながら」や「銀河」「瀬戸」などを利用する場合には、かなり安く上げることができそうです。
しかし「ゆき・かえり券」が600kmまでなら途中で新幹線に変更するということができなくなる分、不便を被ります。
もっとも、在来線使用で東京へ行く場合は、新たに新設される「湘南・熱海ゾーン」を使うと安く行けます。このゾーンは熱海以東・横浜線以西を網羅しております(ただし東海道新幹線熱海−新横浜間はゾーン外)。
このきっぷで東京へ行くことを考えると
大人 | 学割 | |
---|---|---|
「ゆき・かえり券」 大阪市内−熱海(往復) | 11,480円 | 9,980円 |
「ゾーン券」(熱海−東神奈川間で使用) | 2,970円 | 2,970円 |
乗車券(東京−東神奈川・往復) | 900円 | 900円 |
合計 | 15,350円 | 13,850円 |
なお夜行バスについては、「ドリーム名古屋」「ドリーム京都(ドリーム奈良の東京−京都間も含む)」「ドリーム大阪」は従来通り使えるほか、「ドリーム高松」「ドリーム松山」「ドリーム高知」も利用できるようになります。「ドリーム周遊利用券」の制度がどうなるかは分かりませんが、四国へ夜行バスで行けるようになるのは朗報です。
また、出発地や入口までの経路などは自由なので、大阪発でも大回りすれば京阪神ゾーンの周遊きっぷが買えるなど、メリットも結構ありそうです。
参考:JTB時刻表98年3月号
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