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2017/10/09 (月) ちょっと考えてみると
おかしな電気自動車ブーム再来です。でもヨーロッパのメーカーや政府が言ってるのはすべての車に「何らかの電動化技術を搭載する」と言ってるだけで、何もピュア・EVにするとは言ってません。どうせ、48V電源規格なんてのを策定して、スターター・モーターの代わりにスターター兼発電機のISGを付けて、「マイルドハイブリッド」なんて言いだすに違いないのです。日本だと90年代にトヨタがクラウンに初めて搭載して、最近はエネチャージとかいうスズキの軽のほとんどにも搭載されてるメジャーな方式です。
確かに電気自動車は魅力的な商品です。多気筒エンジンの褒め言葉だった「モーターのような」フィーリングが得られるし、CVTや電子スロットル制御で失われた「ダイレクト感」に至っては、内燃エンジンが叶うはずもありません。ハイブリッドでも踏んだ瞬間のふわっと背中を押されるような加速感は、街中の走行を楽しくしてくれます。でも、電池の進歩だけは化学の領域で、いくら開発費をかけようと、人数を投入しようと、できないときにはできない。現行のリチウム電池も、巨大プロジェクトではなく最初は個々の研究者の偶然の発見によって作られたといえます。化学の世界では偶然の発見が全てを覆してしまうことも少なくなく、逆にそれがないとほとんど進まないため、特定の実験と探索を終えたら自ずと容量が増加するロードマップが描けるものでは本来ありません。
仮に後部座席の下にすっきり収納できる、容量100kWhの電池ができたとします。素晴らしい充放電特性で、ガソリンスタンドで給油するように、10分足らずで満充電にできたとします。小さな町一個分または通勤電車並のおよそ1,000kWの電力、どこから持ってくるんでしょう!?充電器5機を備えるスタンドを作った場合、その地域の送電系統を見直さないといけないかもしれません。
そしていくら電気でクリーンに走っても、発電所からはCO2が排出されます。モード"電費"8km/kWhの車があったとして、最近の火力メインの電力構成では0.6kgCO2/kWh、最も排出量の多い石炭火力の場合は0.95kgCO2/kWhに達します。0.6であったとしても、CO21kgあたりに走れる距離は13.3km。ガソリン(2.3kg/L)換算すると、30.6km/Lになり、この時点でどこぞのハイブリッド車を下回ってしまいます。EV化すると本当にCO2が削減できるのは、原子力でほとんどの電力をまかなえるフランス、水力資源が豊富なスウェーデン、ノルウェー、カナダ、地熱のアイスランド、あとは風力が使える南米の一部と南アフリカ、ってとこで、アメリカや、原子力反対な日本でトントン、そもそも古い石炭火力がほとんどの割合を占める中国では、ガソリンで走ってるときよりも確実にCO2が増加するという体たらく。もう、イーロン・マスク氏が地球環境のことなんて考えてないの丸わかりでそれに呼応しているお金持ちの人とか、「日本は出遅れた!」と盛んに報じるマスコミとか、お金使ってどこをどう取材してるんだって思っちゃいますね。・・・きっと政治も国際情勢のニュースもこんなクオリティなんでしょう。そして同時にこれ(EV)が主流になる未来は恐らく来ないので、電池の研究に無限にお金を費やすのも考え物かもですね。
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