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2017/03/19 (日) 環境基準とか
豊洲にベンゼンが環境基準の100倍とか騒がれてますが、確かベンゼンの地下水基準は0.01 mg/Lつまり10ppbなのでありまして、その100倍となると1ppmが検出されたわけです。これは、だいたいお風呂(200L)の中にベンゼンを1滴(200uL)落とした感じです。たぶん、その程度ベンゼンが含まれる水で、しかも地下に封じ込めてあるやつで何らかの中毒が出るんだったら、蓋はしているものの試薬としてベンゼンが置いてある化学の研究室に、毎日10時間以上、十年以上居る私とか友人とかはとっくに何らかの中毒になっていると思いますが、小学生の頃から一貫して最大の敵はスギ花粉と、状態の悪いサバやカツオに多く(1,000ppm)含まれるヒスタミンです。むしろそのくらいの微量物質が検出できてしまうことこそ驚きなのですが、放射性同位体を使用した方法以外では最も感度が高い質量分析法、中でもガスクロマトグラムと質量分析が一緒になったGC/MSという装置を使います。
この質量分析法ってのは、化学でも物質の評価にしばしば使うんですけど、感度が良すぎて大変。気化室が汚れていたり、サンプルを入れる容器に少しでも指を触れようものなら、あっという間に目的物質とは別のピークが出てしまいます。公定法を見ると、水の環境分析は測定対象物を気化させて吸着材で捕捉するなど、複数段階を経るということですが、測定結果がばらつくとか、ほんとに検査機関って大丈夫なの?って思ってしまいます。複数の検査機関に送ったら、値がばらばらだったとかいうことないんでしょうか。定量分析は無機物しかやったことないですが、ICP発光を使ったppmレベルの分析でも、ピペットを含むガラス器具を全て酸に浸したりと大変気を遣います。他所の研究室の学生の面倒を見る機会がしばしばありますが、大概最初は有りえないイオンが検出されてわけわからんことになります。そこから初めて水道水にはいろんなイオンが含まれてて、生半可な脱イオン水でリンスしたガラス器具には大量の金属が付いていることとか、それの落とし方とか指導します。専門じゃないですけど。分析関係の学会発表で、非熟練者の再現性が云々とか発表聞いたことあるし、これらに比べて圧倒的に難易度の高いppbレベルの有機物の分析、ほんとにちゃんとできてるんですかね(笑)
それと、2年くらい前に実験排水の基準がかなり厳しくなって、調べてみると上水道と同じ基準になっていました。もちろん排水には最大限注意を払ってますし、それなりの対策を講じました。でも時々含ハロゲン有機物などで警告がきます。というか、カドミウム10ppbなんて、お店で販売が許可されているお米(最大400ppb)の研ぎ汁くらいでアウトなんじゃないかなぁ・・・と思ってしまいます。別に、中国みたいに環境ぐちゃぐちゃにしてとは言わないんですけど、もうちょっと排出量とか希釈率とか実際の生態系への影響とか考えて、現実的な値にしてくれないかなぁ・・・と思う今日この頃です。
% = percent (百分の一) ppm = parts per million (百万分の一) ppb = parts per billion (十憶分の一)
1ppm = 0.0001% 1ppb = 0.0000001%
ただし、水分析業界ではmg/Lをppm、ug/Lをppbとして扱います
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