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2016/05/23 (月) DC扇風機の魅力
数年前から扇風機の高級化が進んでます。安い納涼用具の代表格だった扇風機コーナーに、2万円を超える機種が複数陳列される・・・この様子を誰が想像したでしょうか?
高級機の中には、某イタリアのD社のように羽根がない(見えない)突拍子もない形状をしたものから、従来型の扇風機に見せかけながら、流体力学を踏まえた羽根の形状、首振り角の3次元化など様々。よくも風を送る扇風機という限定された機能の中からここまでバリエーションが出せるなぁと、日本や世界のメーカー技術者の苦悩を想像すると恐ろしくもなってくるのですが、高級機に共通する「スペック」としては、メインファンモーターが直流(DC)ブラシレスモーターであるという点でしょう。
従来型のAC扇風機は、価格を極限まで下げた影響もあって、そのほとんどが「くまとりモーター」という誘導モーターの一種である安い単相交流モーターを使用しています。交流の電気でモーターを回そうと思うと、普通は三相交流が必要です。家庭の2極端子から来る単相だとそのまま回転運動を得られないので、コンデンサーを使って位相の変化を作り出すのですが、そのコンデンサー代も出せないよ!という極限状態に置かれた場合、簡単な補助コイルによるインダクタンスで位相の遅れた磁界を作り出し、回転運動を得ます。ところがこれ、めちゃめちゃ効率が悪い。効率というのは使った電力を、回転運動の運動エネルギーに変換する効率です。例えば風を最強にしても45W、最弱にしても35〜40Wと、風しか送らないくせに近年省エネ化が進むインバーターエアコンの低能力運転時(100〜200W)に迫る勢い。
基本的にモーターは永久磁石を使い、与えられた磁界の中で回転力を得る方が効率が高いようです。非専門なので理由はよく知りません。誘導モーターより同期モーターが効率いいから、世のハイブリッド車はすべて永久磁石同期モーターだし、電車もこのタイプが増えてきています。しかし、たかが扇風機のファンのために三相交流を作るのは大袈裟なので、かわりに回転位相を検知して電流の方向を切り替える、DCブラシレスモーターというのが使われます。ちょうど、昔のミニ四駆に入っていたタミヤのモーターの、電磁石である回転子と永久磁石の関係が逆転したもので、整流子(ブラシ)の代わりに電子回路を使って、電磁石に流れる電流をタイミング良く反転させるわけです。まあ、摩擦で削られていき、いつかは故障するブラシがなくなったんだから、世の中進歩したもんです。
DCブラシレスは、PCの冷却ファンとしてはかなり以前から普通に使われています。電圧や電流パルスによって回転数が変えられるので、静音と高負荷運転の両方をカバーできるから。そこがDC扇風機の魅力で、「そよ風」が作れるのです。AC扇風機に長く当たってられないのは、風が強すぎるからです。ACモーターならではの大きさの下限もあるんでしょう。DCモーターだと、5W程度の低電力で、低速でファンを回すなんて朝飯前。これが何とも心地よい風を送りだします。残暑の秋の夜に、さーっと窓から入ってくる風。それを作れるのがDC扇風機の魅力です!ほとんどの機種が1万円超えてますが、たかが扇風機と考えず、是非ご検討ください。
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