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2009/03/31 (火) 佐吉の電池
トヨタ自動車の全身、豊田自動織機の創始者豊田佐吉は、80年も前に「ガソリンを超えるエネルギー密度をもつ電池」の発明に100万円(今の価値で20億くらい)の賞金を賭けたといわれています。もっとも当時の状況としてまだまともなパワーをもった内燃機関は存在せず、車の動力源として電気モーターがまだまだいい勝負してた頃、言い換えればバスではなく路面電車が全盛期だったころ、もとよりパワーのあるモーターを駆動するエネルギー源である電池を開発することが、性能のいい内燃機関を発明するより簡単に思われただけかもしれません。ガソリンが使いにくくなってきた現代とは異なるのですが、それでもその考え方が21世紀にも適応され、そして未だにその1/100の性能も実現できていないことを考えると、当時の佐吉の先見力には驚かされるばかりです。 ほとんどの人は、そして私を含めて電気化学をやっている人でも、燃料電池や二次電池の将来に懐疑的になってしまうことがあります。電極材料が思い通りには働かず、界面は悪魔がつくったといわれたり、こんなデータがでたけど何が起こってるのかわからない・・・なんて研究発表や論文は山ほどあるわけです。そしてそれらは決して手を抜いてるわけではなく、液体と固体、または液体と液体という2つの違う相が接しあう場所のほんの十数ナノメートルという狭い範囲で起こる化学反応を、人間がつくった光やX線をあやつる数々の装置で調べていくわけですが、そんな一筋縄でいくはずもなく、個々の現象の解明には相当な時間を要するのです。電極、溶媒、電解質。無数の組み合わせがある中で、二千何十年までにどんな電池を・・・なんて楽観視できるような状況にはないのだと思います。そして、ここ最近脚光を浴びているリチウム二次電池や、ニッケル水素電池といった、比較的新しく優れた特性を持つ電池は、何十万という組み合わせの中から安全性や耐久性という面も含めて実用テストをクリアしたわずかな組み合わせなのだということです。だからケータイの電池のもちがちょっと悪いからといって責めないでやってください(笑)
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