「其処にいたのか」
掛ける声に、微笑んだのは貴方だったか。
半透明の印象。
今にも透けて融けるかと思った。
ガシャン
一瞬の出来事。
手を伸ばしてみたが、間に合うわけもなく。
貴方は唯笑っていた。驚愕の表情を浮かべる事もなく、哀しい顔をするわけでもなく。
穏やかで。
唇が微かに
「ごめんな」
そう象った気がした。
一瞬の永遠。
貴方の寄りかかっていたフェンスは外れて
ガシャン
宙を切った手。届かない手。
「もう、抱き締められない」
ただ。その事だけが唯。
胸が軋むように痛い。心臓があるだけなのに。そこには臓器が収められているだけだというのに。
痛い。
これの所在を、どう言ったらよいのだろう。貴方が教えてくれた。
そこには心臓以外のものが詰まっている。
教えてくれたのは、教えてくれたのは。
その貴方がいないのは何故?
ふと、気が遠くなった。
貴方のそれは、自らの死だったのだろうか。
貴方が微笑む。
ガシャン・・・・・・・・・
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