...プロローグ

いつも思っていた。彼はどうして此処にいるのか。僕はどうしてそれを許して いるのか。ただ、ずっと・・・・そう、思っていた・・・・・。



何時からだったろう、彼が僕の部屋を訪れるようになったのは。
開け放された窓。
まだ冷たい風が吹く頃。
僕はまだ何も知らずに、ただその光景を眺めていた。

(死体・・・・?)

窓の前には、両手を組んで横たわる彼の姿があった。
ピクリとも動かない体。瞳は閉じられたままで、青白い顔が月明かりに照らさ れて更に白く見える。少し長めの髪。仰向けになった死体は、今僕の部屋に侵入 して、僕の存在を拒否している。
(まさか。でも・・・でも、何故ハイソサエティの彼がこんなとこにいるんだ。)

全寮制のこの学校は、前時代的な校風の学校だった。一般人の僕とは違い、 区別されたハイソサエティの人々。そのうちの一人の彼。
僕が彼の存在を知っていたのは、彼が僕を見るからだった。ハイソサエティの 彼と僕では、クラスから教室のある棟から、全てが違っている。それでも移動時 に廊下ですれ違う事くらいはある。それは、そんな時だ。
僕とすれ違うその前から、僕を僕と認識できる距離から。彼は、僕に視線を投 げる。その時だけは、伏せがちな長い睫を上げ、真摯な瞳で僕を見る。
その瞳はブルーライト。
宝石にも似たそれが、透明な水のように僕を捉える。彼の瞳に僕が映る。すれ 違うその一瞬まで。
それはずっと続いていた。何時から僕を見ていたのかは知らない。ふと気付い た時には、既に彼は僕を瞳に宿していた。
気にはなっていたが、僕は彼に話し掛ける権限を与えられていなかった。
そういう学校なのだ。僕は彼と言葉を交わしてはいけない・・・そういう立場の 人間なのだ。
馬鹿らしい校風。
でも、それを世間は黙認している。そういう前時代的なものを残したいという、 大人の懐古主義的な一面なのか。それとも世の中が狂信的に過去を崇拝してでも いるのか。
現実に対する不満からの、抑圧された感情が過去の幻影でも夢見るのだろうか・・・。


彼は目の前にいた。
(死んでるわけはないよな・・・・。)
僕はそっと近寄る。彼の前で立ち止まると、膝を着く。顔を覗きこむ・・・・・。
突然瞳が開かれる。
僕は驚いて、身を反らした。
宝石の瞳が僕を映す。

彼は笑った。

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前置きです。そんな感じのモノ。実はコレ、一度書いたものなんです。それを思い出し つつ、かつ内容はちょっと(かなり?)変わってます。何故かというと!
データの入っているワープロ故障!!!!!・・・私の書き溜めた小説は全抹消をくらった も同じです・・・。