< 注意 >



この話には痛い描写が含まれています。
烏賊同文。






─ 異種遭遇 ─

「PHAZE4」



書いたの.ナーグル







 ぬちゅ…ねと…くにゅ…。

 淫猥な指先の動きと共に、マナの胸はささやかならばささやかなりに様々な形を形作る。手の平全体が吸盤ででもあるように、しっとりとマナの胸に張り付き、人の腕からは決して味わうことのできない快楽がマナを襲う。こみ上げる性感に耐えるマナの口から、『はぁ…』とピンク色に染まっているような甘い吐息がこぼれた。大きくなるようにと、自分で揉んだことは勿論、自慰行為で揉んだこともある。しかし、ここまで強烈な愛撫は初めての経験だ。

(違う…違いすぎる。自分でするより、もっと、もっと…すごい)

 それよりなにより、先ほどレイにまさぐられた時よりも、恋人であるシンジに愛撫されたときよりも体が痺れる。だが、それは決して認めることはできない事柄だ。

(そんなことない! シンジより、気持ちいいなんて、そんなこと、そんなことっ!)

 皮肉なことに、シンジのことを考えるだけ余計に体が高ぶる。だが彼のことを考えなければ、すがる物をなくせば、心は野花のように無下に手折られてしまう。矛盾した葛藤だ。
 そんな彼女の心の葛藤がわかっているかのように、背中越しに彼女の横顔を見つめる生物の口が笑うように引きつった。
 本当に楽しいおもちゃだ。そう言うように。





 はっ…はっ…はっ…はっ…。

 指と指の間に乳首を挟まれ、転がすように愛撫されてマナの口から断続的な息が漏れる。一度中断してから再開された胸への愛撫は、最初の時より神経が敏感になっている分、数割り増しで快感をマナに感じさせるのだ。

「ふっ、うっ! うむっ! あぐっ!」

 そこが弱いと悟ったのだろうか、生物は執拗にマナの乳首を愛撫しはじめた。つまみ、転がし、舐め、しゃぶり、噛む。
 ピンク色の小梅のような乳首は思う様になぶられ、マナはすすり泣きに似た悲鳴を上げる。事実、彼女は胸が、特に乳首を優しくつままれるとそれだけで濡れてしまうくらいに弱い。
 たちまち嫌悪感以上の快感に翻弄され、ポロポロと涙を流しながらマナは朦朧とした意識の中で甘い啼き声をあげる。

「うう、くっ、かはっ、はあ…はあ…あああぁぁぁぁ〜〜〜。そんなの…ひ、ひぃぃ! んんっん───!
 うっうああっ、いい、くひっ!」

 奈落に堕ちていくような力無い悲鳴を伴奏に、べとべとになった乳房に指がめり込み、絞り出すように乳首がつままれる。

「ん、ふぁぁああっ」

 充血し堅くなった乳首が弄ばれるそのたびに、かろうじて引っかかっているだけの鎧の一部がゆさゆさと揺れ、甘く切ない声を漏らしてマナの体がビクリと跳ねた。居眠りしたように意識が途切れていた事実に愕然としつつ、整った顔を涙で彩り弱々しく首を振って拒絶の言葉に代えた。

「あああ、あはぁ…。気持ち…ぃ…よく、なんかっ」

 もうシンジのことを考えることはできなかった。
 眉根を寄せて、正気という小舟が快楽という奔流に飲み込まれないように、必死に堪えることが彼女にできる唯一の抵抗だ。悲しいかな、ささやかな抵抗はかえって彼女の体を彩る淫蕩な化粧にしかならないの。心はどんなに拒絶したとしても、生物の催淫作用のある体液に狂わされた体は、獣のような行為を喜んで受け入れ、まだ犯されているわけでもないのに淫らに高ぶり、愛液と涎を絶え間なく溢れさせる。

「あ、ああっ、いやぁ、や、痺れる、あぁっ…狂いそう、くぅっ、くる、くるひぃ…はひぃ」

 最上級とも言えるマナの反応と、しなやかな体の感触に満足げに生物を唸り声をあげる。彼女の素晴らしさは、表面を指で撫でただけではっきりとわかる…。その上、舌で直にマナを味わうのだ。ねっとりとした唾液が、鈍く光ながらマナの体の上に汚れた帯となってまとわりついていく。

「ひぃぃん、っや、だめ、そんな風に、舐めないで! あんっ! そんな風に吸わ……あぐっ、くぅぅ!」

 声に出して拒絶しようとするが、すぐにその言葉は飲み込まれてしまう。口を開けたら、その瞬間喜びの声を漏らしてしまいそうだ。だからマナは堅く口を閉ざし、激しく首を振った。
 わかりやすい彼女の反応をほくそ笑むように、生物の闇色の目が細められる。

【【うぐおぉぉおぉっ】】

 もう我慢ができない…とでも言うように、生物はマナの腰を改めてつかみなおし、密着するように引き寄せた。生えている全ての突起物を棘のように堅く盛り上げ、苦瓜のような形状になった肉杭全体からぶじゅぶじゅと粘液をこぼれおちる。
 赤黒い肉杭はたちまち白濁し、犬が食べ物を舐めとるように、ぐじゅりと湿った音を立ててマナの股の間に押しつけられた。
 刹那、悲しみと快楽の波に身を任せていたマナの体に力が戻り、無垢な瞳が大きく見開かれた。生物の意図することは明白だ。抵抗することのできないマナを、徹底的に、犬のように陵辱し尽くす。


「い、いやぁぁぁぁぁっ! やめてぇ───!
 お願い、お願いよ! 誰か、誰でも良いからっ! 助けて、助けてぇ!! 助けて、こんなのはいやぁぁぁ!
 助けて、助けてぇ! シンジ、シンジぃ───!!」

 今までで一番の悲鳴をマナは上げる。疲れ切った汗みずくの体のどこにそんな体力があったのか不思議に思うくらい手足を振り回し、体をよじって抵抗する。無駄な抵抗とわかってはいても、マナはそうするしかなかった。それくらい彼女は追いつめられていたのだ。
「う、うぐっ、離してっ! ふぐっ、シンジ以外は見るのも、触るのも不許可なのよ! だから、離してっ! こんなことされたなんて知られたら、私、私! …嫌われちゃう」

 びちゃびちゃと床に溜まった粘液を蹴り、同じく生物の足を執拗に蹴る。
 多少体をいじられたり、愛撫でイかされるくらいならまだ耐えられるし我慢もできる。堅く目を閉じて、唇を噛みしめて一時の悪夢に耐えればいいのだ。愛しい男も許してくれるだろう。
 だが、やはりこれだけは彼女は堪えることはできない。単なる粘膜の接触ではないのだ。一時の悪夢で終わるはずがない。シンジだって…たとえ陵辱されたことを許してくれたとしても、自分を見る目は確実に変わってしまう。

(犯される…!)

 それだけは許すわけにはいかない。

「イヤッ、やだ、やだよ!」

 注射を恐れる子供のように体を堅くし、マナはそれこそ子供のように泣き叫んだ。

 だが、歯医者の治療や注射は、子供がどんなに泣きわめいてもやめられないのと同じように、生物もまたマナの抵抗をあっさり押さえ込んだ。暴れた弾みでぶるんと揺れる控えめな胸の膨らみに、目を細めて生物は嗜虐心を奮わせるのだ。

【【うぶぉう、おぅ】】
「やめてぇ―――――!」

 堅く閉じられようとしていた足の間に膝を差し入れ、強引に左右に押し広げる。そうしてできた隙間に、蛇のしなやかさを失った代わりに鋼鉄の堅さと炎の熱さをもった肉杭の一本が差し入れられる。スカートのようにまとわりついていたプラグスーツの残骸をめくりあげ、ふるふると震える敏感な部分探り当てようともぞもぞと蠢く。
 焼串のように熱く逞しい肉杭の感触に、マナの体が一瞬硬直する。
 先ほどとはレベルが違う、あまりに熱く堅く濡めつく肉の感覚。処女ではないマナは、一瞬それがもたらすであろう快楽を想像し、息をすることを忘れた。噛みついてくるような肉棒に全てを奪われる。

「は、はぅ。たすけ、助けて…」

 生物はそのまま躊躇することなくマナの腰を持ち上げ、腰の上に乗せるように引き寄せた。乱暴な動きにマナの臀部が重そうに揺れる。先端部分が割れ目を押し割り、粘膜どうしが接触する、ぞわりとした悪寒がマナの背中を集団で走った。
 ただの強姦とはモノが違う嫌悪感と無意識の期待に体の震えが止まらない。
 噂話で犬などの動物との行為、いわゆる獣姦という行為の意味と言葉は知っていたが、なにが楽しいのだろうと部分的に潔癖なところを持つマナは考えていた。獣姦なんてするのは間違った行いだ、自分は死んでもそんなことはしない…そう考えていた。そんな自分が、今これからされようとしていることはまさしく、異種族姦、言葉を乱暴に変換すれば獣姦だ。

「あっ…やっ…そんな、だめぇっ! 入れないで、入れないでぇっ!」

 犯される…挿入される…。
 自分が最低最悪と軽蔑する類の男に強姦されるより、殺されるよりも恐ろしい。これに比べれば先のレイとの愛撫など、霧雨みたいな物だ。心臓が止まりそうな恐怖が今これから自分に…。そして、それをまず間違いなく快感として受け止めてしまいそうな自分自身が悲しい。

「いやぁぁぁぁ───────────!!!」

 熱情が醒め、顔を青くして震えるマナだが、予想した圧迫感は襲ってこなかった。
 代わりに、美しく花開いた淫唇の表面に、ごつごつした堅い物が擦り付けられる。粘液でぬるりと滑りながら、いくつもの突起が敏感な肉芽の上を通り過ぎていった。
 目を見開きマナは息を詰まらせる。

「あぐぅ」

 惜しいところで狙いをはずし、ぬめぬめした粘液が内股にこれでもかと塗りたくられていく。続いて、挿入のそれとは違うが、今のマナにはそれに匹敵するような快感の波が全身を揺さぶった。

「ああぁぁっ!!」

 包皮をはねのけ、ぷっくりと盛り上がっている淫核が軟らかい肉の嘴についばまれる。

「……………ひっ!
 え…? え、あ、なに? なにを、ふぁぁぁっ!? や、やん! いやぁ。んはぁぁっ!
 舐められて…? ソーセージ? ううん、なに、なになに!? 腕なの? まさかうそ、大きい…ぅあん!」

 先ほどまでの愛撫でもまだ満足がいかないのか、それとも犯すまでに徹底的に嬲り尽くしたいのか。まことに底なしの生物の性欲だ。あるいはただのサドか。
 執拗に性器と性器同士が擦られ、互いに愛撫しあう。コロコロと転がされ、たちまちの内に大きさが数割り増しになっていく。

「なん…うあっ、あああっ。擦り付けてきて…る! はぁぁ、痺れちゃう…よぉ。
 そんなのいやぁ…ああっ! ああっ、溶けちゃう!
 ああ、でも…こんなのはいやっ。殺し…っ。殺されるっ! 助けて、誰か…あああっ」

 挿入したわけではない…俗に言うスマタの状態にして、生物はへこへこと腰を前後に振った。生物の腰とマナの臀部がぶつかる、ぺちぺちと軽い平手打ちのような音が響き、それに混じるぬちゅる、ぐちょ、と粘ついた音が執拗にマナの鼓膜を震わせた。トロリトロリとマナの秘所から愛液があふれ出している。

「あふ、きゃぅっ…くうっ、うああっ! ふあうっ!!」


 その間も生物の指はマナの胸を愛撫し、淡い茂みの奥の敏感な部分を擦り続ける。柔らかい肉だけでなく、茂み自体にも愛液が染み込み、べったりと生物の指先に張り付いてきた。そしてすっかり堅くなって顔をのぞかせようとしている、ちんまりとした淫核の周囲をぶよぶよした指がなぞる。
 腫れ上がったヴァギナの周辺は生物の体液と、マナの愛液が混じり合い、白く泡だっている。泡だった粘液に擦り付けるように、生物はよりいっそう激しさを増しながら腰を振った。

 ぐっちょぐっちょと、自分の性器が奏でているとは思えない淫猥な音が、マナの正気を壊していく。
 自分は本当に嫌なのだろうか、と自分で自分が信じられなくなっていく。生物の行動は、マナを無力化していくという面だけで見れば、実に巧妙と言っていいだろう。

(こんな、こんなの! な、なにも…! 考えられない…! い、イっちゃう)

 耳を覆いたくなるようなイヤらしい音が、さらにマナの心と体を責めあげる。
 だが、その嫌悪感は最悪の効果をマナの体にもたらしていく。
 最低な存在に…最低なことをされている。
 しかし、肉の喜びに体は悶え、そのもだえは生物を喜ばせている。

「くはっ、はっ、こんな…んんあっ、きひぃ!」

 その思いは彼女自身の意志に反し、徐々にマナの全身を支配していく。決して心は認めはしないが、体は正直だ。全身を汗みずくにし、ぱっくりと開いた秘所からは愛液がとめどなく溢れる。明らかに体はシンジとの性交以上に快楽に身悶え、より深く快楽を求めていく。そしてマナの口から、抑えきれない甘い吐息が漏れた。
 自分には、強姦願望でもあったのだろうか…。そういえば、あの女、母親はずいぶんと淫乱な女だった。政略結婚で愛がなかったとはいえ…頻繁に父の目を盗み、若い男相手に逢い引きをしていた。自分より10歳も若い男に乳を吸われ、陶然と女の顔をする母…。

(…私、やっぱり…あの女の娘なのかな…ああ、もうなにがなんだかわからない。とぶ、とんじゃうの、どこかに…)

 こんな状況になって、自分は喜んでいるのかも知れない…。さっきのレイとしていたときだって。
 首を振って否定したいが、そんな余裕は既になかった。

 そしてそれから5分ほど、抵抗できなくなったマナの秘唇と、痛々しく変貌した隠核を執拗に生物は肉杭で擦り続けた。淫らな女のそれは、生物の漏らす白濁した粘液と泡に包まれ、まるで違う何かのようにも見える。

「はっ、ぐく、ぎっ。あっ………ぁああっ」

 全身の感覚がぼやけ、内側からの熱でとろけそうになりながら、きりきりと奥歯を噛みしめてマナは溜息のような息をもらした。後ろ手にひねられた腕で、唯一自由に動く指が何かを掴むように空を掻き、爪が食い込むほど強く握りしめられた。

(私、私………わ、わたしっ!?)


 唐突にマナの体が震えた。
 ビクンビクンと病人のように激しく震え、体の一部は石になったように硬直する。

(い、今のは…う、ぐあっ)

 頭では必死になって否定しようとするが体は正直だ。ひくひくっとした震えがまた走り、快感の渦の中に投げ入れられたように体の自由が利かなくなってくる。知らぬ間に腰を押しつけるように膝を曲げて、爪先立ちになった足がつま先まで小刻みに震えた。

(く、来るっ! 来ちゃう! おかしくなっちゃう!)

 我慢の限界がすぐそこに迫っていた。自分が『牝』であることを嫌でも思い知らされてしまう、彼女の嫌悪する…だが辛いことも悲しいことも、何もかも忘れることができる大好きな瞬間。愛するシンジに抱かれているときにだけ感じることができた瞬間。

「い、いやぁっ凄すぎる! でも! ああっ! きゃっ、あ、ああん、あん、あん!
 っああぁぁぁっっんっ!」

 そしてマナの体は激しく震えて絶頂を迎える。官能の波は意図も容易く彼女を翻弄する。小振りな乳房やその頂の薄桃色の乳首までも高ぶりで一杯に満たし、溢れた高ぶりが官能の叫びとなって口から漏れる。
 体の中心がぼやけたような、重い固まりが転がるような鈍い感触が身体全体を駆けめぐっていく中、マナははっきりと自分の体が痙攣し、なま暖かい体液が潮を吹くように吹き出るのを感じた。乳房全体がぬめっているのは、もしかしたら本当に母乳が出たのかも知れない。

「ふぁぁぁ…あっ、あふんっ、むぅ……」

 最初の内こそ絶対に絶頂を迎えるものかと考えたが、そんな考えを軽く吹き飛ばし、生物をマナを昇天させた。それも今までマナが絶頂と思っていたものは、耳に息を吹きかけた程度でしかなかったかのような快楽の波が何度も何度も揺りあげていく。
 そして魂まで痺れさせるような甘ったるい快感の渦の中、一瞬彼女は何に絶頂を迎えさせられたのかを忘れていた。

(あああ、あん、ああんっ…気持ち…いい…。こんなこと…はぁぁっ………はっ…シンジ…………ごめん)

【【ぐふぉぉっ、ふぉっ、うほっ】】

 マナの体が痙攣した直後、遅れて生物の体が突っ張った。指の跡がつくほどきつく強くマナの乳房と腰を掴み、押し出された腰の筋肉が引きつる。

 どぴゅる、ぐぷっ、じゅる…。

「あ、熱い…多い…こんなの初めて…」

 異様に粘ついた音と共に、2本の肉杭から同時に大量の精液が迸った。毒液の熱を感じた瞬間、マナの体がぶるっと震えた。
 力無く首を曲げると、大きく波打つ下腹や太股に白濁した液がこびり付き、やがて重力に惹かれてゆっくりと地面に白濁した濁りを作るのが目に入った。
 そして、一度射精してなお力が衰えぬ2本の肉杭が。
 先ほどのとは違う、グロテスクな肉杭が股の間に挟まれるのをマナは見た。息が詰まるような重たい呻きを漏らし、マナはがっくりと項垂れた。熱いごつごつしたモノが太股に触れる感触に息をのむ。

(ああ、やめてぇ)

 考えまいとしても、どうしてもシンジと比べてしまう。明らかにシンジとは大きさもタフさも、精液の濃さも熱さも比べものにならない。

 嫌悪している自分がいる…だが期待している自分も。













「んく………んく………んく………」

 器用に自分の足に腰掛けた生物の前に、匂うような色気を纏ったレイが跪いていた。ほぼ全裸という姿になった彼女は、礼拝するように頭を垂れ、生物の股間に顔を埋めて何度も頭を上下させている。
 嫌悪、屈辱、苦悶に顔を歪め、堅く目を閉じたレイの姿は美しささえも感じさせる。
 美しい聖なる娼婦は、赤く紅潮した顔にべっとりと黄ばんだ半透明の粘液と、白濁した糊のような粘液をこびり付かせたまま、隆々とそそり立った生物の長い肉棒に舌を這わせていた。

 ごつごつした竿の部分にたっぷりと涎を擦り付けるように舌を這わせ、肉腫のようなものが幾つも浮き出た亀頭部分にキスをする。そして両腕はどろどろの粘液をたっぷりとすくい取り、もう一本の肉棒を左右から優しく掴んで一定のリズムで何度も上下に擦りあげていた。

「………ああっ…ううっ…ぐぶっ」

 愛撫の手を休め、苦しそうに眉根を寄せてレイは呻いた。舌戯を一瞬忘れてしまうような、甘ったるい感覚が重く広がる。官能という名の粉薬が、綾波レイという名のプールに溶かし込まれたような感覚。

 ぐに、ぐに、ぐに、むに…。


「あ……あふぅ、ぅぅう」
【【ぐぐふぅ、うふうふぅ】】

 異様に長い生物の腕が、重力に引かれて重そうに揺れる乳房を掴み、なんどもなんども執拗に揉み続けている。痛々しいほどに隆起し、あざやかに赤くなった乳首が特にお気に入りなのか、特に念入りに生物は愛撫を繰り返す。

「ん、んふぅぅ、あうっ」

 そのたびにレイは体をビクリとすくませ、色っぽく艶のあるくぐもった声を漏らすのだ。もっとも、喉の奥まで肉棒を差し入れられ、口腔全体を犯されてはハッキリした言葉にはならないのだが。
 だが、手を止めることは生物の気に召さない。苛立たしげに唸り声をあげて赤く跡が残るほど強くレイの胸を握りしめる。指の隙間から乳房が漏れ、そのままだと破裂してしまうのではないかと思うくらい情け容赦がない。

「…………ぎっ! いああっ!」

 悲鳴を上げるレイ。慌てて許しを請うように生物を見上げ、それから再び愛撫を繰り返す。意を決したように大きく口を開き、亀頭全体をそのかわいらしい口一杯に飲み込む。肺にまで届く腐敗臭にも似た生臭い臭いに一瞬顔をしかめるが、すぐに舌を亀頭に絡めると口腔全体で愛撫するように、懸命に舌を動かす。

「んんっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ…」

【【……ぉぉおおおおおおん】】

 満足げに生物は唸り声をあげ、ご褒美とでも言うように痺れが残っているレイの胸を今度は優しく揉みしだく。

「ふぅぅ………んんっ」

 背筋を弓なりにそらせ、再び愛撫の手と口を止めそうになるレイだが、まだ痛みが残っていたからかかろうじて愛撫を続けることができた。

(………気が短いから…あまりいつまでもこうしていられない…)

「ん、ちゅぅ。んっ、ふぅ…ちゅっ、れろ」

 確信があったわけではないが、とりあえず両方の生殖器で射精させればこの忌まわしい奉仕は終わるはずだとレイは考えていた。あまり時間が掛かるようだと自分も体力を失うだろうし、生物は生物で自分に危害を加えようとするかも知れない。少なくとも、また潰れそうなほど強く胸を掴まれるのは嫌だ。

(なら………)

 そうだとすれれば成すべき事はただ一つ。
 全身全霊で奉仕して、生物に射精させればよいのだ。吐きそうなほどに嫌だけれど。

「んちゅ…ちゅっ…ぴちゅ…あふ…んぅ」

 相手がシンジだったなら…。同じ事をしろと言われても、まるで違った態度を示したのだろう。自分でもやる気を感じないこの行為にも、もっと気持ちを込められるかも知れない。なら、せめて相手がシンジだったらと自分を誤魔化そう。

(碇…くん)

 いったん肉棒から口を離し、涎まみれの亀頭部分に軽くキスする。それから張り出したカリの部分の沿って舌を這わせるレイ。途端にだらしなく生物が呻き声を上げる。
 あの男に教え込まれた、忘れ去りたい技術。忌々しいが、なにがどう役立つかわからないなとレイは思う。ちらりと盗み見た生物は、口元から涎を垂らし、天井を見上げて首を揺らしていた。上手くいってるようだと判断したレイは、鈴口の部分を飴でも舐めるように舌を伸ばしてぺろぺろと舐めた。僅かに苦みのある先走りが舌にまとわりつき、唾液に混じってレイの喉に流れ込んでいく。

「あぅ、ん、ちゅる……ぺちょ…ん…………ああっ!?」

 唐突に、なにか柔らかくざらざらしたものが股間を貫いてきた。太股がガクガクと震え、肛門までひくつかせてレイは全身を痙攣させる。予想外のタイミングで、予想外の位置から伝わった刺激は思った以上の官能をレイの体にもたらしたようだ。
 ギクリとした目をして、首だけを動かしてレイは背後を振り仰いだ。直後驚きのあまり口の中のモノを吐き出しそうになる。

 ぴちゅり、ぺちょりと猫が水を舐めるような音を立てて、既に人間の原形をとどめていない生物首から伸びた舌が、レイの愛液で潤んだヴァギナに舌を這わせていた。レイに奉仕させている生物の首ではない、マナに背後から覆い被さっている生物の首だ。

(な、なんで……………ぐっ!?)

 一瞬手が止まったため、胸を掴む生物の腕に力が入った。殴られたような鋭い痛みに顔をしかめ、レイは慌てて口の中一杯の肉棒に舌を這わせる。また先走りの粘液が迸り、口腔内にムッとした臭いとえぐみ混じりの塩味が広がる。

(くぅっ、なんで…このクリーチャーまで…)

 奉仕させられてるだけならまだなんとかなったが、敏感な部分を舌で愛撫されてはいつ忘我の状態に陥るか知れたものではない。その時、胸を揉みながら奉仕を強要している生物はどう出るだろう?
 正直なところ、自分に手を出さないでマナ1人に集中していて欲しいとレイは思ってしまう。それでなくとも手一杯口一杯なのに。

「……ん、ん、んふぅ〜〜〜!!」

 再び膣奥から響く快感にレイは震える。生物が舌を堅くして奥に挿入してきたのだ。

「はっ……はぅ……あっ、んく、ぺろ、くちゅ」

 敏感になっていた淫裂に熱い舌が潜り込み、再び愛撫の手が止まりそうになるレイ。

「んうっ……ふ……あっ、んぷっ…く、ちゅぷ、じゅちゅ」

 必死になって胸全体と股間から体中を犯す快感の波を堪えた。柔らかい肌と腐った皮の擦れ合う音と共に、飽きることなく胸を優しく愛撫する生物の腕と、愛液を貪るように前後する生物の舌は、疲れると言うことがないのだろうか。秘所は言うに及ばず、既に痛みが引いてしまった胸は、擦ったように赤く染まり隠しようもない快楽を生じさせて体中を貫いていく。
 つつっ…と粘つく糸が濡れた淫華からこぼれ落ちる。こんな状態だというのに、心から拒絶しているはずなのに、濡れてしまう自分の体が信じられない。

(わ……私は、あっ……こんなに、はぁ……感じやすかった……はずが)

「あああっ、や、あぁぁっ」

 快感のためだけでなく、先ほどから繰り返し動作を続けている両腕は感覚が怪しくなるほどだるくなってきている。そろそろ限界だ。だが、だからといって手を止めれば、生物は容赦なくいたぶり始めるだろう。

(それは…いや)

「はぁ……………ん。
 ちゅ、ちゅる…ちゅぅ、ちゅっ」

 涙目になったレイは喉の奥まで肉棒を飲み込むと、ちゅうちゅうと赤子が母乳を飲むように吸った。気持ちが悪くなるし息苦しくなるからレイはしたいとも思わなかったが、だが事がこうなったらそうも言ってられない。

「んちゅ、ちゅっ、ぺろ、あふ」

 冷静な美女が目に涙を浮かべ、涎まみれになって自分のモノに奉仕する。人間でない生物ではあるが、レイの姿はいたく気に入ったようだ。欲望をかき立てられたように彼女の頭をつかみ、さらに喉の奥までくわえ込むようにと押しつける。

「あぅ、んんんんっ〜〜〜〜〜〜〜!」

 乱雑に刈られた銀色の髪を更にくしゃくしゃにかき乱され、目を大きく見開いてレイは声にならない悲鳴を上げた。あまりにも無体な行動に困惑し、新鮮な空気を求めて口の中のモノを吐き出そうとするが、頭を押さえられてはそうはいかない。
 恨めしそうに見上げるレイの目を、鮫の目に似た冷たい生物の目が見下ろした。

(続けろ…ってことなの? …そう、そうなのね)

 しかたなく、レイは口全体でもって奉仕を続けた。舌で、唇で、歯で…。ごつごつした亀頭が上顎を擦りながら喉の奥に突き当たる。
 口全体を犯されているような屈辱。
 その一方、心地よいものも感じてしまう。口を伝わり背中から腰まで痺れたように感じる。

「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ」

 顎が痛くなってくるが、とろんとした目をしてレイはフェラチオを続ける。歯をたてないように喉を動かし、舌で舐め続ける。それが余計に男を喜ばせるテクニックだとはレイは勿論知る由もない。
 胸と口から広がる快感が体全体を包んでいく。

 ぐちゅ…にちゅ、ちゅる、じゅぽ。

 淫靡な音のピッチがやがて早くなってきた。生物の息も荒い。我慢ができなくなってきたのだろう。レイの口を出入りするスピードが速くなり、同時にレイも腕を動かす速度を早くする。2つの肉棒は、先ほどから先端部分が一回り大きくなり、今にもはじけそうになっている。

【【ぐぉぉぉ…】】

 レイの喉の奥まで突きこみ、生物の腰が震えた。
 同じく、レイの腰も小さく左右に揺れる。少し弱いが、執拗に胸を揉まれ、クンニリングスを行われたことで軽いアクメを迎えたのだ。
 喉の奥に粘ついた精液のほとばしりを受け、レイは目を見開く。

(!!…………なんて凄い…量なの。のめ…ない)

「げ……うぐ、ぇぇぇっ」

 反射的にえずき、首を仰け反らせて肉棒を吐き出そうとするレイだったが、依然頭は押さえられている。飲み込めなかった精液の一部が、口の端からこぼれ、べとべとと床に白い水たまりを作る。
 僅かに遅れて、レイの腕の中の肉棒が震えた。反り返っていた肉棒全体が震え、爆発したように大量の精液が吹き上がった。

「きゃっ…ああっ。はぁぁ…」

 顔や髪、豊かな双丘にたっぷりと白濁した精液が飛び散り、惚けたような顔をしてレイは呻き声を漏らした。顔全体に白濁した液体をこびり付かせ、ようやく解放されて力無く崩れ落ちるレイ。
 だが、宴はまだ終わったわけではない。ひくひくと震えるレイの秘所を見つめながら、生物はまた肉棒をそそり立たせた。













(あ、あああ、また…また…。もう許して、勘弁して…)

 すでに何度絶頂を迎えただろう。
 3回までは数えたが、そこから先は覚えていない。対して生物は二本の肉杭それぞれで一度だけだ。
 生物は挿入しないまま、愛撫だけでなんどもマナに絶頂を迎えさせていた。
 それも激烈だが、決してマナを満足させることのない緩慢な快楽をだ。最初の内こそ、こんな凄い快楽を感じたことはないと思っていたが…。

(い、イかせて…助けて…お願い…誰か…)

 絶頂は絶頂だが、実際はマナの本当に期待していたそれとはまるで違う。体の芯に決して消えることのない、もどかしい痼りが残っている。
 奇しくも先ほどマナが呟いたとおり、生殺しと言うにふさわしい愛撫が繰り返されていく。そして痼りは次第に大きくなる。
 山の頂上寸前まで持ち上げられ、谷底寸前にまで落とされる。その繰り返し。
 けっして決定的な快楽を与えない。ギリギリまでマナを持ち上げ、一歩一歩追いつめる。真綿で首を絞めるように。

(死ぬ…殺される…、気持ちよすぎて…殺される)


 ふと、目を開けると…レイが自分と同じように生物に床に組み伏せられているのが目に入った。誰かが助けてくれる可能性は…限りなくない。













 横向きに倒れ込んだレイの足首を掴むと、生物を無造作に持ち上げた。糸の切れた人形のようなレイの体は一切の抵抗をせず、無防備に足を開いてひくひくと震えるヴァギナを見せつけた。生唾モノの光景に、生物は嬉しそうに目を細める。
 これまでにしつこいくらいに愛撫を繰り返してきたが、奥から愛液を尽きぬ泉のように溢れさせる秘所は、準備が整ったことをこれ以上ないくらいに主張していた。

【【ぐるぅぅ】】

 レイの足首を掴むと、ずるずるとどこかに引きずっていく。ぬるぬるした泥が床を覆っているため、背中を擦られて痛いと思うことはないが、どこにつれて行かれるのかさすがに不安に思う。

(どこに…。あれは)

 ほんの10秒ほどで生物は足を止めた。巨大生物の見下ろす、ほぼ真下…大木の根に酷似した太い触手が転がっているところに生物とレイはいた。何をされるかわからないと言う不安に加え、巨大生物の影に言いしれぬ不安を覚える。

【【おう…ぐぐっ】】
「……………あ」

 生物は足をつかんで引っ張り、レイの臀部を触手の上に乗り上げるように引きずりあげる。直径40cm弱ほどもあろうかという触手は、見た目の柔らかさとは裏腹に、意外にしっかりとした弾力でレイの体重を支えた。
 ぽよんぽよんとエアマットに酷似した感触にレイはとまどう。
 懐かしいと思いたくもない感触と、人間みたいな事をする生物の行動にレイは眉をひそめた。嫌なことを思い出させてくれた生物を、半分無意識のうちに睨み付けるが、当然ながら生物は涼しい顔をしていた。




 あの男もよくこのようにして自分を犯していた。
 腰の下にクッションを敷いて背筋が弓なりにそるようにし、挿入しやすい姿勢を無理矢理とらせる。その上で何度も犯された。下にクッションがあると反動があるため、腰を痛めたあの男でもあまり無理せずとも楽に犯せるのだそうだ。喜々としながら話してくれた。

 ガラス玉のように虚ろな目をしてピクリともしない自分を見下ろしながら、あの男はにやにや笑いながら言っていた。







 生物は足を掲げるようにして自分の両肩に引っかける。肩幅で開かれたレイの足…その間で淡く咲き誇る花びらは、今も匂い立つような女の芳香を撒きながら、ひくひくと震えている。
 のろのろとレイは足を閉じようとするが、生物の太い首が邪魔になり足を閉じることはできない。体の奥まで覗かれてるような気がして、悔しそうにレイは唇を噛んだ。

「…………くっ」








 数年の実験が終わり…実際は8歳だが肉体年齢は14歳になっていた。
 結局自分はATフィールドを展開する能力はなく、生き残ったほか2人の姉妹達は結局長生きはできなかった。同じ年齢とは思えないほどにしなび、衰え…。遠からず自分もそうなるはずだった。



『ユイ…。いや、違うな。今はまだ』
「?」
『今日からおまえは綾波レイだ』
「あやなみ…れい?」
『そうだ。そして私はおまえの…家族だ。おまえを心から愛し慈しむ…唯一の、な』




 だが、使用済みの実験体として処分されるはずだった自分、素体0と呼ばれていた彼女は、突然『綾波レイ』という名前を与えられて、あの男…碇ゲンドウの遠縁の娘という立場を与えられた。

 状況の変化を理解する間もなく、そもそも理解できるはずもなく…戸惑っている間に彼女は碇ゲンドウの住む邸宅に同居することになっていた。彼の姪として。どういう心境の変化か、その時は考えることもできなかった。そんな余裕がなかったと言えば無かったが、それ以上に彼女は周囲の物事に心を奪われていたからだ。

 全てが初めて見るもので、初めて感じるもの…。
 花、絵画、草木、空、湖、山、太陽…。
 生まれて初めての感情。

 そしてもう一つの生まれて初めての感情…。



『ユイ…ユイ…』



 あの男は、柔らかいベッドに寝付かれなかった彼女の寝所に入り込み、服を引き裂いて強引に犯した。生まれて初めて恐ろしさに泣き叫んだ。
 体を貫かれる激しい痛み、シーツにこびり付く赤い鮮血、裏切られたと感じた悔しさ、悲しみ。その時、レイの心は完膚無きまでに凍り付いた。
 翌日…何事もなかったかのように自分に接するゲンドウの態度から、自分がどういう目的で引き取られたのか悟った。

『おはよう、ユイ』

 結局、自分は誰からも望まれていないのだ。
 あの人…碇ユイ博士が三ヶ月前に死亡したと知ったのは、それから間もなくだった。
 そして1年後、寄宿校に行っていたゲンドウの息子、碇シンジが全てに気づいて葛城ミサトや加持リョウジ、赤木リツコといった人間の協力で自分を解放してくれる日まで、ずっと弄ばれ続けた。







 物思いは突然破られる。細かい汗を浮き上がらせた白い乳房を、握りしめるように生物の腕が掴んだ。吸い付くような乳肉に、スポンジを絞るように指をめり込ませ、柔らかさを確かめるながら痛さを感じるギリギリのレベルまで揉む。
 レイが顔をしかめてる間に、程良い高さを確かめるように肉棒が秘所をつつく。黒い炎であぶられたようになっていたレイの体は、意志がどうあれ稲妻のように激しく反応してしまった。

「あ……っや、いやなの。いや」

 嫌と言いつつ、体は覚悟を決めたのか無意識のうちに深く息を吐き出し、堅く強ばっていた体から力が抜け、挿入しやすいように自分から足を開いて腰をずらす。ぱっくりと息づく秘所が口を開く。生物の亀頭が隙間に飲み込まれた。歪な形をした亀頭が、愛液をこそぎだし、性感帯を刺激する。

「あ、あああっ。待って…私は。だめ、碇…くん」

 この船に来て初めて見せる戸惑い、焦ったレイの表情。覚悟を決めたとしても、嫌な物は嫌なのだ。それはレイであっても変わらない。
 生物がレイの動作をどう受け取ったのかはわからない。だが、たとえどうあろうと生物の目的と行動は一つだ。そのまま、重力に身を任せるように生物は腰を沈めた。

「あっ、はぁぁぁぁぁぁぁ……」

 ぐちゅぐちゅと湿った音をさせて怒張が挿入される。文字通り、充血した秘裂は生物の肉棒を飲み込んでいった。

「はふっ、ふぅ、ふぅぅぅ…。ああぁ、はぁぁ」

 目を見開き、小さく長い息を漏らすレイ。痙攣したように小刻みに体を震わせ、経験したことの無い快感に翻弄される。予想を遙かに超えるすさまじい快楽。犯される寸前までは心の中でどんなことをされても平気だろうと、反応するまいと考えていたが、隙間無く胎内に埋め込まれた肉棒が上下するたびに、体が勝手に反応してしまう。それほどに圧倒的だった。

「あう……っ」

 ズブズブと音を立てて肉棒が動く。硬く張ったえらが、緩んだ肉の入り口をしっかりと擦っていくたび、愛液が溢れ、レイの口から歓喜の声が漏れる。誘うように尻を振り、太腿に力を込めていく。

【【おぐぅっ…!】】

 きゅうと締め付けられ、生物の口から呻き声が漏れる。だがこれは嬉しい不意打ちだ。レイの意志ではなく、肢体の期待に応えるべく、激しく突きこみ始めた。

「ひ……ひっ、ひぃっ! あ、あ………あんっ」

 レイの口から、押さえようのない鋭い悲鳴が溢れる。ふくよかな乳房が激しく揺れて汗を飛び散らせ、生物の指で何度も何度も弄ばれて面白いように形を変える。そのたびにレイは悲鳴を漏らし、ぎゅうぎゅうと潤んだヴァギナで生物の肉棒を締め上げた。

【【おぅっ…! おぅおぅ!】】
「あ、ぁぁ……っ、うふ……っ、ん───っ」

 それに応えるように強烈な突きを生物は繰り出す。
 生物もまた、本能を遙かに越えるレイの秘裂の食いつきに、射精してしまいそうな衝動を必死に堪えての激しい動き。余裕のなさが生み出した生物自身にも制御できない動きが、よりいっそうレイと生物二人の心と体を責め刻む。

「ん、くう……っ! はぁん、ああぁ…ふぁ……ひぃ、おあああっ」

 白く美しい首が、激しく強烈な感覚に弓なりに反った。体が自分のものじゃないように激しく震える。熱く滾った膣内の媚肉は、拒絶する心と裏腹に、生物の醜く歪な肉棒を、搾り潰すかの様に締め上げている。

(あ……ああっ、わ、わたし……)

 濡れた粘膜がこすれ合う音に薄く目を開けると、鯨が海に潜るように太い肉棒が出入りするのが網膜に飛び込んできた。自分の普段知っているそれとはあまりにも様子の変わったヴァギナは、淫蕩な香りを放ちながら戦慄くように醜い肉棒をくわえ込んでいた。腹が破裂するようなすさまじい圧迫感と、心が砕けてしまいそうな快感に、レイは意識を失いそうだ。

「あ、あう……っ、ひっ、あっ、あふうっ! そ、そんなに…ああっ」

 頭の上に伸ばされた腕は切なく床をかきむしり、背筋を弓なりにそらす。絶望的な快楽に頭の中が真っ白になっていく。攻め寄せる快感の波を拒絶するように激しく首を振り、レイはなにかに縋るように胸を揉み続ける生物の腕を掴んだ。床が無くなり、そのままだと奈落の底に落ちていくのではないかという錯覚と恐怖が心を捕らえて離さない。
 堕ちていかないためには…何かに縋り付くほかないのだ。

「ふあっ、あっ、ああ〜〜〜っ! 碇君、碇君、碇くんっ! い、かり…」

 レイの頭の中で白い光が弾け、躍動する身体はピンと反り返った。反射的に起きあがり、押しつけられた乳房の形が変わるほどきつく強く生物にしがみついて、生物の肉棒から熱い迸りが胎内の奥の奥に吐き出されるのを耐える。遅れて生物の体が堅く硬直した。

「あふぁ、ふっ。あうう、うううぅ…」

 ほどなく、滑りを更に良くしてピストン運動を再開した生物の動きと、胎内の濃いぬめりに、レイは生物が射精したことを悟った。涙のにじむ目を堅く閉じたまま、レイは無言で生物の上半身にしがみつく。

「……………くっ。う、ううっ」

 白く美しい蝶が、黒くよじれた蜘蛛に囚われているような、グロテスクな…だがどこか心引かれる一個の彫像のように1人と一体は絡み合った。
 子宮の奥に刺激を感じた瞬間、レイは白い光がはじけるのを確かに感じた。ガクガクと震えながら肉棒の突き刺さった隙間から愛液が漏れるの見届けるレイ。

(ああ、ああ……もう、なにも…わからない。
 でも………でも………いかり…くん)

 全身から一気に力が抜け、バタリと泥の上に身体を落とした。
 「はぁはぁ」と肩で息をし、甘ったるい感触の中でゆっくりと生物が肉棒を引き抜くのを遠くのことのように感じる。

 じゅぽっ

(ふぁうっ!)

 引き抜かれた瞬間の甘美な感覚に、またオルガスムスを与えられ、再び突っ伏してしまった。

「はぁ、は、はぁ………あ、はぁ」

 そのまま、レイの意識は闇の奥に沈んでいく。
 数秒後、愛液と精液でぐちょぐちょになった秘唇ではなく、その後ろの菊座に苦痛と共に何かが差し込まれるのを感じるまで。













 気がつくと、マナは両腕に刺すような痛みを感じた。肩と肘の関節部分が氷の針でも刺されたようにきりきりと痛む、どうもまた意識を失い、間接が抜けそうなくらい勢いよく前のめりに倒れこんだらしい。顔をしかめて身を起こそうとするが、どうしても力が入らない。

「ふぅー、ふぅー、ふぁあっ!?」

 ふいにねじりあげるように両腕を後方に引っ張られてマナは苦痛に顔を歪ませた。のろのろと体を動かすが、生物の腕はしっかりとマナの腰を両脇から掴んでいる。しかも横から伸ばされた別の生物の腕が、レイのそれとは違う大きさ、柔らかさの胸を楽しむように手の平全体を使って揉みしだいていた。
 眉根を寄せてマナは苦しそうに鼻で息をする。口を開けたら、声が漏れてしまいそうだ。


(今度は…何を)

 息も絶え絶えなマナの疑問には程なく答えが出た。
 そこだけ異様に熱い蛇の鎌首が、今までとは違う角度でマナの秘所に押し当てられたのだ。先ほどより硬度を数段増した肉杭が、緩く息づくヴァギナに先端を潜り込ませ、襞を押し割るように強く押しつけられてくる。複雑に絡み合った襞をかき分けかき分け、圧倒的な存在感でもってマナを蹂躙していく。
 異様に熱い。砂漠の日差しのように熱い。
 マナは生物の意図を悟った。

 ついに自分は犯されるのだ。
 恋人のシンジとするような愛に満たされた優しいSEXではない。荒々しい、人外の生物による強姦だ。そこに喜びは一切ない。ただ、絶望だけが暗い姿をかいま見せている。



【【うほっ、うほっ!】】
「いやっ、誰か…お願い、助けて。えぐっ、お願い、これ以上はやめて…」

 既に体力は付きかけていたが、それでも口から生まれたとアスカに表された彼女の口からは、とめどなく哀願の言葉が漏れる。しかし自分が何を言っているのか、わかっていないのだろう。冷静だったら決して口にはできないような言葉が繰り返し、繰り返し漏れる。

「離して…あふ…やだっ、綾波さん…綾波さん。 
 ひっ、ああ、いやよ。私じゃなくても良いじゃない…なんで、なんで私なの?
 私より綾波さんの方が、スタイルいいし、美人じゃない…。それでないならマユミでも、アスカさんでも良いじゃない。やめてよぉ」

 正気に返ったとき、彼女は自分の漏らした言葉におののき、死すら考えるかも知れない。
 尤もそれは杞憂というものだ。今は欠片もそんなことを考える余裕もないまま、彼女は迫り来るその時を震えて待つことしかできないのだ。

「やめてぇ、もう、もうっ…やだっ…よ。う、うええっ、シンジ、シンジぃ…。ムサシ、ケイタ…誰でも良いから……いいから………助けて」

 ぴったりと生物の腰に押しつけられ、恐怖と興奮に秘所が震える。心がどんなに拒絶したとしても、十分に下拵えのすんだ体は受け入れる準備は万全だ。ぴたり、ぺたりと生物の性器…いや、肉の凶器が内股や尻たぶ、赤く充血してピンク色の肉をかいま見せるヴァギナの輪郭を撫でつける。

「…ひっ」

 瞬間、威勢良く悪口暴言をばらまいていた口が閉じる。
 恐怖で震える瞳が、肩越しに振り返って生物の顔を見つめる。生物の2つの頭は合わせ鏡のように口から涎をした垂らせ、マナの背中の窪みにたっぷりとこぼす。マナの哀願を聞く理性もなければ、情けや知性というものはない。背中に感じる生ぬるい熱や感触を感じるまでもなく、そのことはわかった。

「やぁ……だっ……なんで、なんで……。
 助けて、助けて…」

 その時はすぐそこまで迫っていた。
 だがマナはとうてい覚悟はできない。
 力の入らない体で最後までじたばたと暴れ、逃れようとする。
 それは生物の嗜虐心を満たすだけ。

「お願いだから…お願いだから…………やめてぇ!!」

 肉棒の一本が鎌首をもたげ、狙いを定める。ひたりと押しつけられた先端部分は、自らが漏らした愛液で濡れるマナの肉の割れ目を探り当てた。そこは淫らに濡れそぼっていた。待ちわびるようにヒクヒクと蠢く。心がどんなに拒絶しても、ここまで執拗に守りを砕かれれば…。

「うっ、うぁぁっ」

 ゆっくりと生物の腕に力が込められていき、痙攣までして抵抗するマナの体がじりじりと生物の体へ密着していく。折れそうなほどに背骨を仰け反らせ、舌を見えるほどに大きく開けられた口から、悲鳴じみたうめきが漏れる。
 その間も肉杭は肉を割り、絡みついていく。生物の腰が静かにマナの体内に沈んでいくと共に、見開かれた瞳から止めどなく涙があふれた。様々な考えが彼女の脳裏を駆け抜け、一瞬、一人の青年の顔が浮かんだ。

「シンジぃ……いやぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 耳が痛くなるほどの悲鳴がマナの口から漏れたのと同時に、生物とマナの腰は一部の隙間無くぴったりと密着していた。後悔、嫌悪、屈辱、怒り、悲しみ、様々な感情がせめぎ合うが、業火のような熱はすべてをのみこみ、いずれも一瞬の内に消えてしまう。
 今はただ、中心を貫く熱い肉杭しか考えられない。

「いやっ、いやっ、いやぁぁぁっ!
 やだ、やだ、やだ、やっ…だっ……はぅっ。あ、あふ、あうう、ん、おねがい……あん、あん…やぁ。こわれるぅ、こわれちゃう! ああああっ、壊れる! 壊れるぅ───!!」

 激しく頭を振り、拒絶の言葉を吐き散らすマナの意志に反し、熱く湿った粘膜は優しく、しかしきつく肉杭を締め付ける。鍛えられた彼女の肉体は、小柄な見た目以上のきつさで締め上げるのだ。
 たった一人の男にしか許していない、いわばその男以外は指一本触れてはいけないマナの体は、容赦なく蹂躙されていく。重く長い息を吐き、ぽたぽたと涙をこぼしてマナは泣いた。

「やだぁ、やだぁ、やだぁ…やだよぉ。ひっく、ふぁあああっ!!」

 その間にも容赦なく肉杭は膣内に進入していく。一部の隙もなく膣全てを堪能するように肉の壁を押し広げ、弾力を楽しみながら。

「ごめん…ごめんなさい…あん、ああっ。あああああっ────────!!
 あはぁぁ───────────!! ひいいっ! こんなっ!!
 助けて助けてっ!! 私は、私はっこんなの、絶対! いやぁっ! 助けてぇ! 誰か、あああ、お願いやめさせてっ!!」

 けたたましい悲鳴を上げ、呆然とした表情で涙を流す彼女の頬と肩口を、生物の紫色をした舌がべろりと舐めた。
 なすがままで、ひっくひっくとしゃくり上げるマナ。
 極太の肉杭は痛々しくヴァギナとラビアを押し広げ、全てがマナの胎内にのみこまれていた。


「ひっ、ひっく、えぐっ、こんな、こんなの…うううっ」

 どれくらいそうしていただろう。奥まで挿入した姿勢のまま、生物はしばらくじっとしていた。しゃくり上げるマナの小さな動きと、幼女のような泣き声だけが小さく響く。
 忘我の表情と言って良いような顔をした生物の口の端から、つーっ…と、蜘蛛が地面に降りるように唾液がマナの背中にこぼれる。びくっとマナの体が震えた。

「許して、許してよ…。…え…………や…やっ、だっ。そ、そんな、んっ………んんっ!
 だ、だめ…ああぁっ」

 マナの嗚咽の中、生物は動きはじめた。腰を掴んでいた手がゆっくりと下がり、白く張った太股に新しい粘液の跡を付けていく。
 最高の感覚を楽しむように、生物は奥までつき入れた姿勢のまま、せりあがってくる射精感を味わう。このままがむしゃらに腰を突き動かしたいという考えと、快楽を少しでも長く味わいたいという考えがせめぎ合い、その妥協から生まれた行動だ。
 少しでも早く屈辱の責めを終わらせたいと考えているマナにとっては堪ったものではない。

「くう、んっ……うん、んふっ……んっ! んんんんんっっ!」

 ゆっくりゆっくりと最奥まで押し込まれていた肉杭が引き抜かれていく。凶悪なエラが、全体に生えた絨毛がマナの内側の粘膜をかき回していく。

「ひい、ひいぃぃ、いいっ! う、うあっ……んんっ! はぁっ、っく、くはっ、あああっ」

 マナの口から官能の声が漏れ、生物の耳を喜ばす。悲しみの泣き声はいつの間にかなりを潜め、生物の腰の動き一回ごとに下半身が重くなってくるような妖しい声をあげる。

「あぅ…あぅ、あぅ、ううぅ」

 生物の体が小刻みに震えた。できる限りゆっくりゆっくりと動いているのだが、予想を超える湿りと締め付け、それによる快感によってすぐにでも射精してしまいそうなのだ。その震えがまたマナに予想外の官能を呼ぶ。

 みち、みち…みちみち。

 通常の性交ではとうていあり得ない、堅い物に張り付けたゴムテープを剥がすような音が結合部から響く。一面に毛糸ほどの太さの絨毛を生やし、たっぷりとした粘液を絡ませた肉杭のためだ。
 恐ろしいまでの快楽は苦痛と変わらない。全身に冷や汗を浮かび上がらせ、ぽたぽたと床にこぼしてマナは身悶えた。心臓が暴れ馬のように激しく鼓動を撃つ。

「…っ…っ…っ! …おっ、ぐっ…ごあっ!
 くっ……! かはっ、はっ…はぁっ! あ、ああっ、あああぁぁぁぁぁっ」

 絡み合っていたものが、生物が腰を引くことにより引き剥がされていく。それは決して強く結びついていたわけではないが、これ以上ないほど敏感になっていたマナに発狂寸前の刺激を与える。我を忘れてマナは黒い炎に身を焼いた。焼かずにはいられない。
 息をすることもできず、気を失うこともできず、文字通りの生き地獄の中、マナは叫び声をあげた。

「死ぬ…死んじゃう! こんな、こんなぁ! いやぁぁ────っ!」

(身も心も、魂も! なにもかも、砕けちゃう!」

 追い打つ様に生物は腰を押しつけてきた。全てを巻き込みながら肉杭がまた暖かいマナの体内に埋まる。衝撃が体全体を痺れさせる。凄まじい快楽に翻弄され、自分が女であることが呪わしくなる。
 今度は先ほどのような亀の歩みではなく、小さく早い動きでだ。長大な肉杭は三分の二ほど入ったところで先端が何かに当たる。その感覚を感じた瞬間、生物は腰を引いて亀頭部分だけを残して全て引き抜く。同じリズムはひとつとなく、常にマナの意識を鮮明に保つ。

「ひいぃっ!! うあ、うあああっ! やっ!? いやあぁっ!!」

 小さく早く、螺旋を描くように腰を回す。同じく、軽々と抱え上げたマナの体を腰の動きにあわせて前後させる。生物のピストン運動は前後左右、上か下かどこから刺激が来るかとてもわからない。蹂躙されると言うのは、こういうことを言うのだろうか。

 ぐっちゅぐっちゅぐっちゅ…。

 そのたびにマナ自身から溢れる愛液により、水音が変化する。ぐちゅりぐちゅりと音が響き、大量の愛液が2人の足を伝って床に滴った。

「んぐううっ、ん、くぅ! はうっ、あうっ! もう、もうだめ、…助け…て。吐く…吐いちゃう、ぐ、ぐえっ、うくっ」

 全身がぶるぶると瘧に罹ったようにふるえ、粘つく白濁液がこびり付いたままの下腹部が波打つように揺れる。その内部で、生物の肉杭はどんなことになっているのだろう。マナにはもう考える余裕はない。突き抜けた快感は彼女に嘔吐寸前の吐き気を催させ、顔色を青くした彼女はなされるがままに突き上げられる。
 口から胃液の混じった涎を大量に吐きながら、マナは静かに目を閉じた。

(シンジ、私…がんばったけど…がんばったけど…! だめ、もうダメ。ごめん、ごめんね。でも、許して。私こんな凄いの…耐えられない!)


「はっ、あ…大きい!大きい!!
 こんなの初めて! ああっ凄いっ!!」

 最後までかろうじて残っていたマナの正気の糸が、この時ぷっつりと切れた。
 彼女の決定的な敗北の瞬間だった。
 瞬間、食いちぎらんばかりに強烈な締め付けが生物の肉杭を襲った。同時に生物もまた耐えられなくなったのか、奥の奥まで肉杭を挿入した。そして彼女の体内で全てが当初からそうであったように絡まりあう。
 全身の関節がバラバラになり、激流のような快感の渦の中で弄ばれている。

「あああっ! いく、いっちゃう! あ、んんあああぁぁぁぁ──っ!!」

 生物の拘束を振り払い、股間に伸ばすように腕を突っ張らせ、前のめりに崩れ落ちながらもマナのヴァギナは生物の肉杭を離そうとしなかった。そこでしがみつくように腰の一点だけで密着しあう。
 長い長い拒絶から解き放たれ、その反動からエクスタシーへの坂を駆け上る。

「はあっ、はあっ……は、あ……あ、くう、うんっ!」

 全身を小刻みに痙攣させ、マナは絶頂に達した。
 意識を失ったマナは白い体を痙攣させ、マナと同じく異常に発達した睾丸からかけ登る快楽と性の迸りに、生物の体がふるえる。
 ぶしゅぶしゅと噴水のように生物の肉杭から精液が吹き出し、ぴったりと蓋をされているため全てがマナの膣奥に注ぎ込まれていく。数秒遅れて、収まりきれない精液が泡を吹きながら結合部から外に溢れた。



【【うぉぉぉぉぉ…んんっ】】

 遠吠えをあげるように、生物の2つの頭が叫び声をあげる。
 それはまさに勝利の雄叫びだ。マナを征服したことを、本能で悟ったのだ。


 しかし…。
 生物の陵辱の宴は、これで終わったわけではない。マナはまだ悪夢の中に沈み込むことは許されていない。
 頭から床に突っ伏すマナの上半身を抱え上げ、背後から抱きしめるように抱え直す生物。前後反対にくっついた足となぜか生えている腕の上に腰を下ろさせ、すっかり脱力した彼女の体から、まだしつこく残っていたボディ・アーマーの残骸が抜け落ちた。
 しなだれかかるように頭を生物の胸に預け、さらけ出された乳房に、改めて生物が手を伸ばすがマナは全くの無反応だ。目は開いているが既に意識はなくなっている。緩く開いた口の端から呻きが漏れた。

「う…………………」






 それはつまらない。

 そんな具合に生物の目が細められた。白目の全くない、磨かれた黒曜石のような目が、淫猥な汚液で彩られたマナの体を上から下まで見つめる。やがて何かを思いついたかのように、生物本体が小さく頷いた。

 マナと生物の結合部分に変化が起こる。
 未だ突き刺されたままの肉杭とは別の肉杭が、鎌首をもたげるように動き始めた。あまり豊かでないマナの尻肉を押しのけながら、何かを探し求めるように這いずり回る。それは人間の性器と言うより、極太の蛭か何かのように黒ずみ、先細りの形状をしていた。
 焦らすように嬲るように、黒い凶器は尻たぶを叩き、その割れ目に潜り込もうとする。

 目指しているのは、彼女の恋人ですらまだ触れたことのない場所。アブノーマルな趣味のない彼女の恋人は、ほとんどまったく興味を持たなかった。好奇心が旺盛の彼女は、多少の興味は持ち合わせていたのだが…。
 波打つ体に合わせるようにひくひくと動く菊座を、舐めるように肉杭が触れた。意識が半ば失われていたマナの瞳に、ハッキリとした光が宿る。さすがにそこまで嬲られるのはショッキングだ。嫌悪や恐怖より、驚きが強い声を漏らして生物の手から逃れようと激しく暴れる。だが、その抵抗は唐突に止まった。

「え…? そこは…ちょ、ちょっと…冗談でぇぇっ!?」

 最後までマナは言い終わることができなかった。肉杭の尿道口から生えるストローほどの太さの触手が、つるりと滑り込むように菊座に進入を果たしたからだ。

「あ、あうんっ!」

 体内に進入した触手部分が、そこだけ独立した生き物のようにぶるぶると動いて腸の中をかき回す。マナの体が小さなオーガズムに襲われる。
 再び艶を帯びてくるマナの声に、満足そうに生物は聞いていた。

「やめてよぅ、そこは…そこは、シンジにだって……………まだ………ああっ。
 感じてる、感じちゃう…。なんで、どうしてっ、お尻を、お尻なのに…ふぁぁっ!」

 明らかに前を犯されたときよりも強く早い反応だ。前より後ろの方が感じるのかも知れない。我知らず、甘い声が漏れた。

「あぁ……………………お尻は………」

 それ以上何も言えるはずが無かった。もうなにもかもどうでもよかった。
 すがるように生物と指を絡ませた。胸の奥底から全ての空気を吐き出し、すぐに潜り込んで来るだろう肉杭を待ち受けて体から力を抜く。菊座が受け入れるように息づく。

 刹那ずぶりと音を立てるように、肉杭が差し込まれた。

「うぐぁっっ! きゃぁああっ!」

 だがマナが力を抜ききっているため、それは抵抗らしい抵抗にあうことなく、ずぶずぶと内部へ進入していく。膣とは違う、柔らかい腸の内部を泳ぐように肉杭は蹂躙していく。
 マナの尻を抱え込み、揺するように何度も上下させる。

 全身を弓なりにそらし、マナは汗をまき散らして鼻にかかった甘ったるい媚声をあげた。子犬の鳴き声に似た声を漏らし、体をくねらせてマナは人外の生物との性交に没頭した。足の指まで何かを求めるように動かし、生物の動きに合わせるように腰を上下させる。自分から貪欲に快楽を貪る。

「くぅぅっ…あん、あんあぅんっ、うそぉ」

 ふと気がつくと、二本差しに刺されていたはずの肉杭が今は一本しか挿さっていなかった。だが、そんなこと問題にならないほど、後ろに挿入された肉杭はマナの中で熱く溶け合い、官能の渦で翻弄する。快楽は毒の蜜のように体の中に染み渡っていく。

 生物の片手が絞り上げられた乳房の上で勃起した乳首をつまみあげ、汗の浮いたうなじを長く伸びた舌が舐めた。別の頭部が首を伸ばし、赤子のように片方の乳房を口に含み、ピンク色の乳首を吸う。しつこく、執拗に。黄ばんだ歯が乳首を甘噛みし、挟まれてぷっくりと突き出た乳首を転がすように舌で舐め回す。右に左に前に後ろに、乳首が倒れるたびにマナの首が跳ね上がり、むせび泣くようなマナの悲鳴が木霊する。

「いい…すごくいい、なんで、なんでこんなぁ。おっぱい、ああっ、吸って! もっと、もっとぉ…………あっ?」

 ふと気がつくと、目の前に…それもすぐ目の前にレイがいた。
 正しくは自分と同じく全裸で悶えているレイの姿があった。自分のより大きくたっぷりとした乳房が重そうに揺れている。ゴクリと生物の体液もろとも唾を飲み込み、レイの裸身を凝視する。初めて見る艶っぽいレイの顔に、マナは今の状況も忘れて惚けたように口を開く。

「あ、綾波…さん?」

 一瞬、何が起こったのかマナにはわからなかった。生物の腕から逃げることができたのだろうか。そう考えそうになったが、すぐにそうではないことがマナにはわかった。レイの脇から伸びた腕が、下からすくい上げるようにレイの両胸を揉みしだいた。

 細雪のように白いレイと対照的な赤黒い肉塊がレイの背後で蠢く。その生物はレイを背後から抱きすくめ、お互い立ったままの姿勢でレイを後ろから貫いている。
 それも愛液と精液でしとどに濡れたヴァギナではなく、その後ろ、レイの菊座をだ。そしてそれとは別の肉杭が、レイの股の間からまるでレイ自身から生えているかのように顔をのぞかせている。
 生物の意図を悟り、狼狽してマナは顔を引きつらせた。だがすぐに自身を貫いている肉杭がもたらす快楽に言葉を失う。

「え…まさか…あうん」

 いつの間にか、自分の股の間から同じように生物の片方の肉杭が隆々と猛り狂ってそそり立っていた。
 どんどんレイの姿が近づいてくる。
 胸と胸がぶつかった。思いの外、柔らかいレイの乳房がマナの胸に当たってふにゃりと形を変えた。同時に自身の秘所に熱い熱を感じる。呆然としていたレイの表情がふとはっきりしたから、恐らくそれはレイもまた感じているのだろう。

「はっ、はっ、はっ、はぁっ。いや…」
「ダメ、綾波さん。逃げて…お願いだから、逃げてぇ…」

 腹から息を吐きだし、身体中の力を抜いてマナはその瞬間を覚悟した。レイは…そこまで考えが回らないのか、尻穴を貪る肉棒の苦痛に顔を歪め、そして戸惑った顔をしてマナの顔を凝視している。その怯えた…そう、初めて見るレイの怯えた顔に、マナは自分自身がレイを犯そうとしているような、そんな目眩がしそうな考えに囚われた。

「き、霧島さん…」

 どうすればいいかわからないのだろう。
 先ほどとはまるで違う怯えた童女のような目をして、上目遣いでレイはマナを見上げた。普段は意識をしないしそうは見えないが、こうしてみればレイはとても幼い顔をしている。こうして気弱な様子だと、それがいっそう意識される。ぞくりとしたものが背筋を走り、マナはゴクリと唾を飲み込んだ。

(う、うそ…なによ、この粘ついたような妙な気分は。それに、綾波さん、別人みたいに)

 セメントの海の中で泳がされてるようなた奇妙な気分だ。再び膣内に肉棒を埋め込まれたように腹の奥がずんと重くなり、一度意識するとそれに囚われて他のことが考えられない。人外の生物に犯されているから生じた感触だと思いたい。しかし、赤い瞳を大きく見開き、目の端に涙を一杯にためたレイを見ていると…。
 抱きしめて頭を撫でてやるか…。あるいはいじめて、もっと弱々しい顔を見たくなってくる。自分はどっちだろう。

「あ、ああっ! 綾波さん、ご、ごめんなさい、はぁぁ」
「霧島さん、こんなの………あ、ふぅ、ぅぅぅぅぅ…………」

 じわりと…潤みきった門扉に圧力を感じ、マナは反射的にレイの首筋に顔を埋めた。戸惑った顔のレイだったが、同じく圧力を感じたのか泣きそうだった顔をよりいっそう歪め、腹の底から絞り出すような呻き声を漏らす。

「ふっ、ふぐぅ! あぅあぅあぅ!
 あああっ、かはっ、はっ!? ぁ――――っ!
 ううっ! うっ……」
「綾波さん、綾波さんっ!」

 そろそろと伸ばされたマナの腕が…既に生物の拘束は解かれている…同じく所在なさげにしていたレイの腕を掴み、指と指を絡め合う。おずおずと、レイの指もまた握り返してきた。
 それだけが、今の2人が感じることのできるお互いの絆、人の感触だった。

「んんっ…………きっ、かっ、あっ、ああっ! ――――っ! っ!」
「あっ、はぁ! ひ、酷い、酷いよ…。こんなの…酷すぎる。ひゃうっ」

 緩慢な動きで肉杭が再び自分の胎内に潜り込んでくる。先ほどの肉杭より細いが長い。例えるなら槍だ。今更犯されることで大騒ぎをするつもりはないが、それでもマナは涙を流した。
 自分自身への涙を一滴、そしてレイのことを思って泣いた。今更白々しいと思う、けれど、さっき一瞬見たレイの顔は紛れもなく、自分のような大人が庇護しなければいけない子供の顔だった。
 今、レイは断末魔の声を上げるように泣き叫んでいる。体の反応を止めることもできず、それが意味していることもわからない。

(こんな、こんなので犯されたのね…)


 静かにマナは目をつぶった。
 腰を沈めたマナの体内に、先ほどまでレイを刺し貫いていた肉棒が深々と突き刺さる。

「…やっ、はぁ、あっ。あぅあぅあぅ、おあっ。
 ぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜」

 マナの漏らす小さく長い悲鳴と共に、ぎしっと軋むような音がする。圧倒的な肉杭の存在感と灼熱の滾りに、たまらずレイが体を弓なりに反らせたのだろう。先ほどまで自分を犯していた肉杭がレイの体を穿ったことを悟り、マナはまた涙を流した。同時に自分自身も奥の奥まで生物の肉棒が達したことを悟った。うずく子宮の奥で何かが蠢き、流れ出るような感触を感じ、マナは大きく口を開いて喘いだ。
 そのとき、レイが仰け反ったことで姿勢が崩れ、跳ね上がった胸がマナの顔にぶつかる。柔らかく白い胸がマナの顔を挟み込むように揺れる。

「…っ! っ、ぁ……………………んっ、んっ、んっ!」
「んんっ!? ふぅ、息が…ちょっ…あんんっ」

 レイの体が何度も跳ね上がり、マナはその胸の間に顔を挟んだ態勢になる。顔をぴったりと挟まれ、僅かな隙間を求めて苦しい息をするマナ。それでなくとも酸素不足なのに、二体の生物が執拗に腰を動かすため、どうしても体は酸素を求めてしまう。

「…………………………………ぷあっ、はぁ、あん! ああん、あっ、やぁっ。
 あ、くるし…ひ、あああっ」

 どうにかこうにか顔を上げ、空気を求めてマナは喘ぐが、はたしてそれはどういう意味での喘ぎなのか。酸素を求めての喘ぎか…それとも。

「ふっ、ん、あ………えぐられる。おなかの中で、あ、あああっ」
「ひぃあああっ!! いかりくん! ああっ、いかり…きぃあああっ!」

 細い分、動きの余裕があるのか生物の肉棒は縦横無尽に暴れる。じゅぼじゅぼと泡のような音を立てて、愛液と精液で一杯の子宮をかき回して淫靡な音を立てる。そして変わらず腸を蹂躙する生物の肉杭。荒々しく、精緻に長けた動きで何度も何度もマナの弱いところを執拗に刺激してくる。

「ひっ、はぁっ、あぁぁ……やぁぁ」
「あはぁぁぁぁ、凄い…奥まで、あああっ、一杯…」

 レイの悲鳴混じりの嗚咽も聞いていられない。自分が何を言ってるかわからない。

 これ以上は耐えられない。

 たとえ助かったとしても、もう自分は幸せだと思っていた昨日に帰ることはできない。
 たとえシンジの腕にまた抱かれることがあったとしても、自分はその時…。
 すさまじい快楽の渦に翻弄されながら、マナは自分が壊れていくことを悟っていた。遠からず、自分は壊れてしまう。狂う。縋るものも何もなく、惨めに、誰からも省みられず…。












「あっ……! くぅ、はっ、あ、ああっ―!」

 レイは水を吸って重くなった髪を振り乱して喘いでいた。自分が何をどうしていたのか、一体何を叫んでいたのか。自分は一体どれくらい長い間こうして犯されているのか。それすらもわからない。

「はふっ、んっ…や」

 堪えきれない悲痛な喘ぎが、煩悶するレイのか細い咽喉から漏れ出でる。先ほどの生物の肉棒とは違い、より太いそれは軟体生物の吸盤か、あるいは両生類の吸盤のように、膣内に張り付いてくるような感触でレイの急所を責め立てた。
 一部の隙もなく、全ての襞を見逃さないでエクスタシーの渦に放り込む。意志に反して白い腹を波打たせながら、レイはマナのことを考えた。

(霧…島…さんも、これで………こんなのに…)

 自分はまだ良い。ずっと前から汚らわしいあの男の慰み者にされていたのだから。いまさら生物に蹂躙されても、大して変わる物ではない。
 だが、マナは最近シンジとつき合うようになり、幸せの極みだったはずだ。そしてシンジが初めての相手だったはず。惚気話を聞いていて、ふと拳を握りしめていたこともあったが…それでも。たとえ先ほど自分を生物に向かって突き飛ばしたとしても。
 それがこんな所でこんなことに…。幸せだった分、自分よりも彼女が感じる屈辱と悲しみは大きいだろう。それはマナを壊してしまうかも知れない。いや、確実にマナを壊してしまう。もしかしたら自分たちは助かるかも知れないが、その時壊れていたら…。

「あ、ううっ…………あんんっ!」

 慰めてあげたい…とレイは思う。勿論、本当の意味でマナを癒すことは、慰めることはできないだろうけれど、それでもかすかな正気の糸を繋ぐことはできるはずだ。それはかえってマナを終わりのない地獄に居続けさせることになるのかも知れないけれど、それでもレイはマナに、マナ自身で居続けてほしかった。裏切られたことはどうでもいい。
 1人は嫌だからかも知れないけど、命の危険に遭遇し、同族を求めた本能的行動だったかも知れないけれど、その時レイはハッキリ思った。

 マナが必要だと。

 マナがレイが望んでも手に入れられなかったものを手に入れたから、あるいは彼女の理想とする母親像に最も似ていたからかも知れない。煩わしいと思いつつも、いつも笑顔と笑いを絶やさないマナがいない生活を、考えられなくなっていたのかもしれない。
 いま、レイは普段意識しないでいたことを強く感じている。
 ついに一度も甘えることのできなかった母に縋る幼子のような思い。

(霧島さん…あなたが…………………)






 マナと向かい合わせで抱き合い、前後から貫かれるこの姿は、まるでマナに犯されているような、倒錯した錯覚を感じさせる。それは逆にマナもレイに犯されているように感じていると言うことでもある。この倒錯した感情の中で、今の体勢は好都合だ。

 快楽にぶるぶると震える弱気な目で、揺らぐ決意に懊悩しつつマナの目を見つめる。マナの意識をとどめる試みをするより先に、彼女自身の心の糸がちぎれてしまいそうだ。

(は、はやく…だめ)

「ひぅっ、んぐぐっ…! き、き、きり…ひま…さんっ」
「んあぁぁ…お腹、お腹…が。ああ、ひくひくしてる。いや、やっ、や…っ」

 マナの目は既にどこかここではない遠くを見ていた。今こうしている間も、膣奥と腸をえぐられ全身を愛撫されて意識を飴のように溶かされているのだ。
 彼女が壊れるのも時間の問題。しかし、握りしめあう手にはまだ力が残っている。
 レイはより強くマナの手を掴んだ。
 体の芯から感じる空虚を満たす肉杭の感触を堪えつつ、荒い息を吐きながらも、マナの耳元でそっと呟く。そしてじっとその目を見つめた。

「霧島…さん」

 のろのろと頭を上げると、虚ろな目をしたままマナはレイと目を合わせた。レイ以上に人外の性交に反応していたが、僅かに正気を取り戻したのか僅かに光の戻った目をしてレイの瞳を見つめ返す。

「綾波…さ」

 最後まで言い終えることはできなかった。緩く開いた口を、むしゃぶりつくようにレイの唇が塞いだからだ。本格的な驚きに目を白黒させるマナをよそに、レイは胸の先端を擦り合わるように、体を寄せた。

「ん…! んんっ」

 レイの唇は柔らかく、暖かい。生物は勿論、シンジとのキスよりももっと鮮烈で新鮮な感覚がマナの意識を満たしていく。そしてレイの口腔に放たれた生物の精液の苦みを感じ、僅かに顔をしかめる。ほんの一瞬だが、マナは今の状況を忘れた。

(綾波さん、いったいなにを…!?)

 畳みかけるようにレイの舌がマナの舌に絡められる。

「ちゅっ、すちゅ、ちゅ、ふんっ、ふっ、くちゅっ」
「ふぅぅ〜〜〜っ!? ふぅっ、んんんんっ!」

 狂ったのか。

 最初はそう思ったマナだったが、じっと見上げるレイの瞳はハッキリとした意識をとどめていた。みっともなく前髪や顔に乾きかけた精液を張り付かせ、快楽に歪んだ顔をしているが、その目は正気だ。

(なっ!? まさか、正気!? だったらなんでこんな)

 先ほどと違い、心の底から何かを求めてすがりついているだけ?
 まさか、本気で…。

 怖気を感じ、弱々しく首を振って唇を離すマナ。唾液の糸を引きながら名残惜しそうに唇は離れ、怯えたような目をしてレイはマナの顔を見た。それは怒られることを恐れる幼児の顔だ。体を貫く快感に身を震わせながら、おどおどと目を伏せる。

(!! 綾波…さん)

 胸がキュンと高鳴る。
 縋っている。立場はほとんど同じでも、明らかに自分より弱い存在が自分を、助けを求めている。助けを求められてるのに、諦めて良いのだろうか?

(ダメだよ。このまま、狂っちゃう訳には…いかない。そうすれば楽だけど、楽だけど)

 弱々しい、怯えきった目が自分を見つめる。
 その目はよく知っている。守るべき対象の目だ。

 快楽と言う名の奈落に落ちようとしていたマナの意志が、崖っぷちでかろうじて踏みとどまった。自分より弱い存在が、レイの助けを求める瞳が自分を正気でいさせる。涙を拭い、マナはレイの肩を掴んで引き寄せた。どのみち、運命は同じかも知れないけれど、それでも、最後までしっかりしていよう。

 自分が壊れたら、きっと生物は興味を無くしてしまう。そしてまだ正気でいるレイを余計に弄ぶだろう。そう、この生物は人の心を、感情の波を関知するのだ。だから狂えない。狂うわけには行かない。
 そしてレイもまた、マナのために狂うわけには行かない。
 互いに正気を断つギロチンの刃の紐を掴んだ状態だ。だから、狂えない。

「ぺろ…」

 舌を伸ばし、うつむいたままのレイの頬をマナは舐める。こびり付いた精液を舐めとりながら、あやすように優しくレイに言葉をかける。

「だ、だいじょぶ、大丈夫…だから。ああ…うん、一緒…いっしょに……いて、いる…から。
 こわ、あっ、ああっ! こわく、ないよ」
「ふぅぅ、ふぅぅん。き、きりし…あ、ま……さん。き、汚い、わ。
 わたし、汚れてる…ひっ、から」
「あん、ああっ。動かないでっ…! 今、大事な、話をっ…きひぃっ!
 ……あやな……レイは、汚れて、なんか…ない! こんなの、すぐっ、綺麗に…!」
「きりし……マナ…はあっ、マナ…。つらい、つらいの」
「がまん、しなくても、いいよ。ああっ、感じるままに、声を出して…変に我慢しなくて、良いのよ。出して、声。もっと、もっとあなたの声を、聞かせて」
「まなっ、マナ…。あぁっ、声を…声が、出る…。勝手に、止められない。止めなくても、我慢、抵抗しなくても…いいの? わたし、わ、わた、し。  あああ〜〜〜っ、ああっ! ひぃぃ――――っ! 声が、勝手に!
 きゃあああ―――――――――――――っ!」

 震える舌で互いの顔についた汚れを一心に舐めあう2人。その姿は淫靡である一方、とても美しい。汗と粘液まみれの体をお互いに擦り付け合い、抱きしめ合う。そして子猫か子犬の挨拶のようにぺろぺろと顔を舐め合い、ついばむようにキスを繰り返す。

「レイ…レイ…レイ…」
「…マナ…マナ…」

 奇しくも2人は互いに助け合い、狂うことはないだろう。
 だが、それは何度も何度も犯され続け、エクスタシーの中で乱れると言うことでもある。

 そのことにまで2人は覚悟を決められたわけではなかった。
 そして2人はその波に耐えられるはずがない。

「ひあ……っ! あうっ……はああっ! ひぃ―――――っ!
 だ、だめっ! あああっ、そんなの、はぁっ!!
 来ちゃう! レイ、私、私…っ」
「助けて、マナ、助けてっ。
 うあぁん、がっ、くぁぁっ! ―――――――っ! くっ!
 くっ……………あ………、はぁっ! あっ、あはぁぁぁ、あ、あああ〜〜」

 サンドイッチのように挟み込まれた2人が淫らに体をくねらせ、なんども杭を打ち込まれるたびに声に帯びる淫靡な艶を増していく。2人の魅力的な肢体は、いやらしく際限がないように生物の動きに反応し続ける。突かれれば堅さを感じる寸前まで押し返し、引かれれば離すまいとするように締め付けしがみつく。

「あっ、あっ、あっ、あっ……! きひぃっ!
 うあああっ、あっ、あ―――っ! やぁ――――っ!
 ふかっ、あぐああぁっ!? ひぃぃぃ――――っ!」
「あああっ! やめて……、やめぇ……お願いよ。もうっ、やめてぇ!
 私達2人をほっておいて!」

 2人の声が似ていることもあるが、一体どちらがどちらの声なのか音だけでは判断が付かない。それほど絶え間なく、2人は声を上げ続けている。そして声を上げ続けながら、互いを愛撫し合う。たぷたぷと揺れる乳房同士がぶつかり合い、しがみつき体を撫でるお互いの腕が全身を愛撫し合う。そうしなければ、とても正気を保っていられない。

「うっうっ……あぅ……ん……………ぁっ…ぁぁぁ」
「ふぁん、わ、たし……もうっ、もう……っ!」

 人体を元に作られた巨大な肉の華、あるいは人蜘蛛にからめ取られた生け贄。
 喘ぎの中で2人はその時が来ていることを悟った。
 2人とももう耐えられなかった。
 生物も気配を感じているのか、その動きがいっそう早く執拗になっている。生物も限界なのだろう。生物がイくと同時、いやそれよりも早く2人は達してしまう。心に反し、生殖本能に突き動かされた体は精液を一滴洩らさず受け止めようと、最大限にくねり、奥の奥で受け止めようとしている。膣は熱くとろけ、精液を絞り上げるため意志を持った別個の生物のように蠢き続けていた。

【【【【うぐおぅ、おぅ、おぅ、おぅ】】】】

 生物の口から一斉に呻き声が漏れる。
 同時に儚くもがいていた2人は嗚咽を漏らし、胎内でさらに膨らんだ生物の肉杭に慄然とし、体の奥底から浮かび上がる絶頂を呼ぶ痺れに体を震わせた。もう、何も考えられない。閉じられた瞼の奥で、現実のものとは違う別の光が何度も瞬く。

「あっ!!!」
「イっちゃう! わたし、イっちゃう! 私イかされちゃう! でも、でも気持ちいいの! 凄く良いの!
 ごめんなさい、ごめんなさい! あああっ、ごめんなさいっ!
 あうっ、くうううぅーっ!!」

 全身が痺れ、体全体が性感体になってしまったような、甘いと言うにはあまりにも刺激の強い感触が全身を包む。ストロボのフラッシュのような光が脳内で瞬く中、胎内の肉杭をきつく、きつく締め付け、淫靡な愛液を迸らせて2人は同時に絶頂を迎えた。
 弓なりに反ろうとする体を抱きしめ合い、食いつくように断続的なリズムで生物の肉杭を締め付ける。少し遅れて、膨らんだ生物の肉杭から大量の精液が迸った。混ざり合った互いの愛液が、どろりとこぼれ落ちる。

「あああ…」
「熱い、それに…溢れる。溢れちゃう…凄い」

 また小さく体を痙攣させ、2人は未だ固さと太さを失わない肉杭に呻き声を上げた。未練を残しながら、両方の穴から肉杭が引き抜かれたとき小さく声が漏れる。同時に瞼が閉ざされ、2人の意識は深い闇に落ちていく。ようやく責め苦が…とりあえず…終わったことで緊張の糸が切れてしまったのだ。
 生物は背後からそれぞれの獲物を抱きしめたまま、喘息もちのように荒く低い息をはき続けていたが、やがてのろのろと身を起こすと巨大生物の方へと歩を進めた。
 生物の腕に抱えられたまま、全身に汗を浮かべてぐったりと荒い息をはき続ける2人は、これから何が待ち受けているのか気にすることもできない。
 自分が生物の子供を身ごもったのか、死ぬまで犯され続けるなど将来の苦難を考えるのは、次に目を覚ましたとき。今はただ、別の悪夢の世界に沈み込むことだけが彼女達にできることだった。

 意識を失う寸前、レイの目の端に、著しく形が違うが…生物の一体らしい姿が目に入った。それがなんなのか、どこに行こうとしているのか…考える前にレイの意識は暗闇の中に消えた。




そして話はそれぞれへと続く




後書き

 えっと、色々あって今頃になって3話目の後半です。まあなんて言いますか、予想外に長くなりまして。さすが二人分。でも、まだ見てみるとレイらしさ、マナらしさってのが希薄化もしれません。書き直したいかも。
 しかし、笑えるのが過去書いたのと今書いたのを見返すと、だいぶ文体が変わってること。はてさて、これも成長と言うべきなのか。
 んで、某氏。嬉しいか嬉しいか!?
 レイとマナが同時にあふんあふんで嬉しいか嬉しいかっ!? これがあなたの望んだ世界かっ!? 問題ないかっ!? それはとてもとても気持ちがいいことなのかっ!? 碇君が呼んでるかっ!?

 (゚∀゚) 期待したのはあーなーたーナーリー。

 さて、次回はようやっとマユミ嬢だ。さて、どれくらいの量書きつづることになるやら。
 非エロ部分が5割、エロ部分が5割くらいを考えてるけど、そう巧くいかないだろうなぁ。エロ部分の割合が多すぎ。

2003/10/30 Vol1.02