Phantasmagoric

Original text:引き気味


『 未練妻嬲り、肉玩具志望夢幻泡影 』


 B世界における碇シンジである彼は、シャワールームから出てきたばかりで早速バスローブの前をはだけてみせたレイに、目を丸くしていた。
「えーと、ホントに失礼な言い方だとは思うんですけど」
 レイの知る碇シンジにそっくりな――しかし何処かがやはり決定的に違う顔で食い入るようにしつつ、一応は断りをいれて、
「陰キャ人生まっしぐら、みたいな感じのあの綾波も変わるもんなんだなぁ……」
 『あれ、でも綾波サンって呼ぶべきですかね?』と今更のことを言いながら、学生ズボンの前をこんもりと膨らませている。
 ホテルの部屋に入って支度を済ませてから早々、要求されるがまま帯を解き。隠しもしない乳房や、蒼銀を思わせる恥毛を頂いた陰阜の小高い盛り上がりを晒してみせた、そんな彼女に。なによりも、一周り上になった年齢差から妙齢の美女と呼ぶに相応しくなった女らしい肢体が、未だ2015年の時間流に生きる中学生の少年でしかないその目に、どのように映るか。そのことを重々承知で、年若い牡が興奮に駆られるのを歓ぶようピンクに上気した頬を緩めてみせた、その表情が、
「すっげエロいんですけど……」
 生唾を飲み、思わずといった手をレイのバストに向かって伸ばしてくる。
「綾波、でいいわ。そう呼んでくれると……嬉しいの」
 熱いシャワーを浴びて磨き上げたばかりの裸身を、左右にバスローブを開いて披露してみせているその姿勢の時点で、誰が今さら否を返すだろうか。レイは自分からもそっと胸を反らし、差し出し、少年の手を誘ってやった。
「うっお!?」
「あぁ……」
 握りしめれば容易く指先が沈まんとするその完全に成熟した女性ならではの、柔らかで豊満な母性の象徴。感嘆する彼が、女慣れしない無遠慮さで強く乳首も摘んできてやっと、レイは自分がどれだけ興奮してその場所を固くしこり勃たせていたのかに気付いた。
「あっ、ああン――」
 事実上初対面でしかない歳下の少年を前にして、緊張で知らず強張っていた怜貌に切なげなさざなみが走る。
 強く揉まれ、潰すぐらいにされれば、電流が爆ぜるのと変わらない鋭い快感が。
「アアッ、あぅっ……!」
 身悶えした拍子に頭を巻いていたタオルが外れ、背中を腰に届くまで伸ばした長いシルバーブロンドがうねった。
「すっげ、相変わらず体弱そうな顔色だなとか思っちゃってたんだけど、発育満点のデカパイじゃないスか! 十四年後の綾波スゲぇっ、人妻の綾波スゲえっ!」
「あはぁ……ぁ、あぁ……ぁッ。はぁぁぁ――ぁ……」
 技術も何も無い、拙いだけでただ勢いに任せる手指の動きが、乱暴すぎるぐらいに自分の胸を嬲り、揉みしだき、尖りきった先端の敏感さにハァハァと熱い息を吹きかけてくるものだから、
「吸っても……いいわ。はぁぁっ……そこっ、吸いたくなるの……でしょう?」
 男の人とはそういうものなのだろうと、先んじて理解と許しを示されて躊躇する中学生男子など居るはずもない。
「ああっ、もうっ。レイさんっ!!」
 ――違う。そうではない。『綾波』と、その声で呼ぶのを忘れないで欲しい。
 僅かに眉間を皺寄せてしまったレイの勝手な思いなど、知る由もない。勢いよくむしゃぶりついてきた少年と一塊になって、彼女はベッドへ倒れ込んだのだった。


◆ ◆ ◆


 最初の精を少年がレイの膣内でしぶかせた後。彼女はまだ腕に絡まっていたバスローブを脱ぎ捨て、豊満な肢体の甘美な抱き心地から引き抜かれたばかりでねっとりと汚れている若茎に唇を寄せると、それを優しく咥えてやった。
「うっぁ、レイさんの口ン中――!」
「んぅふ……」
 アルビノの真っ白な肌を淫蕩なピンクに変えて、頬に張り付く髪をかき上げながら自分の股間でお掃除フェラをしてくれている美しい歳上の女性だ。
「んっ、んっ、ンっ……。じっと、していて……」
 お腹にくすぐったく髪の先を触れさせつつ、可愛らしくすら聞こえる吐息を鼻で漏らし、もごもごと口元を動かす。ぱっくりと咥えられた勃起の根本を支えているのは、マリッジリングをはめた白魚のような指。
 少年もたちまち腰をわななかせながら息を切らしはじめ、やがて呆気なく二度目の射精を遂げたのだった。

「あの綾波がかぁ……」
 エロすぎだろ、と度肝を抜かれたほど絶技の舌技だったように少年には思われる。
 だが、折り重ねたティッシュを口元に寄せ、壁の方を向いて咥内射精までさせてやった後始末をしている女性の、ごく自然に背中を伸ばして座っている後ろ姿はとても上品で。こんなことをしている時なのに、儚げなぐらい楚々して見えたのだった。
「ン、あっ……?」
「ね、レイさん」
 背中から抱きつき、いくらでもこのたおやかな女性の中に突き入れてやれそうな気がする漲りの復活を、そのすべすべとした背中に擦り付けることで伝えて、
「今度はさ、レイさんのイクところ、見たいんだ。どうすれば良いか教えてくれよ」
 甘えて頬にちゅっちゅっとキスを重ね、胸元にも手を回して乳房へのいたずらを始める。
 色素の薄い乳房の頂上に、そこだけ目を引く赤さのツンと飛び出した乳首。いじくり回そうとしてくる少年の指を、澄まし顔をしていればいかにもクールな性格のように見えるこの女性は、拒みはしなかった。
 目元をうっとりと蕩かし、長い睫毛を恍惚の吐息と共に震わせる。それだけで、印象は正反対になって見えるのだ。
「はぁぁ、ぁ、ああん……。そんな、あなたのしたいようにすれば……」
「レイさんの、俺に一番して欲しかったこと。リクエストがあったりするんじゃない?」
 レイの記憶にある十四年前の少年そのままの声こそが、彼女の願いだった。

 自分たちの生きる世界以外の、また別の世界。
 そっくりでいて何処かが異なる世界の幻影が、現実の景色と入り交じるというオカルトめいた現象。そんなものが各地で起こり始め、その混乱すらもが落ち着いた今。未解明、未確定の危険を警戒するよう政府が訴えるのとは裏腹に、人々は容易く誘惑に駆られるようになっていた。
 誰しもそこに別の可能性を歩んだ自分や知人が居て、好奇心や、諦めた筈の再会を一時でも望めると思う気持ちがあれば――幻影に近付こうとすることを止められなかったのだ。
 やがて、まことしやかな噂が流れた。
 幻影の世界との交信ができる。もう使われていない筈の番号に電話が繋がる。それはとうに無くなった昔の家に住む、失った家族だった。故人となった筈の旧い友人の声だった。もしもの選択をした別の自分だった。
 自分たちから見た過去のような世界。自分たちが過去のように見られる世界。その住人達とコンタクトが取れる。
 噂は加速した。遂には、幻影とやはり幻影である自分たちとが共に実体となって手を触れ合うことの出来る、「架け橋の世界」に行く手段だとする真偽不明の情報までが非公式に、公然と語られるようになった。
 28歳になり、夫を持つ身になったレイから見た14年前に酷似する、B世界。
 そこに見た少年はレイが失った碇シンジではないが、よく似ていて。そして、間違いなくその世界のシンジなのだろうという人生を生きていた。
 誘惑したのはレイの方。
 既に少年の世界においても、14年後の未来を思わせるA世界の住人との交流については噂話に事欠かないでいたらしいから、彼がその動機を推測してのけるのは簡単なことだったろう。
 首尾よく架け橋たるC世界で落ち合えた後は、レイのぽつぽつともどかしい言葉にも喜々として頷いて、すんなり二人して夕闇迫るホテル街に滑り込んだのだった。

「ね、……綾波」
 よく似た、本当によく似た声で囁かれて。
「ぁ、ぁぁッ……。碇、くん……」
 レイは抱きしめられた背筋をぞくりと震わせ、女の源泉を潤ませたのだった。


◆ ◆ ◆


 シーツの上に仰臥した麗女はそのまま体を回転させ、寝そべった姿勢から高々とヒップを掲げてみせた。
「それがレイさんの一番好きなポーズなんだ? 後ろから突っ込んで欲しいの?」
「……え、ええ」
 最高潮の興奮と、最高潮の羞恥に駆られているのだろう。
 腋の下から見える豊かな乳房がシーツに押し付けられているのを、肩ごと上下させるのにシンクロした身じろぎ。その度に、背中に広がった長い癖っ毛の髪がざわざわと動く。
 隙間から覗く背中は肌を情交の汗で濡らし、そして欲情の色に火照っているのだ。
 膝立ちになった少年も堪らないと息を呑み、差し出すように腰の高さに持ち上げられた豊満なヒップを掴むと、撫ぜ回しながら左右へ押し開いていく。
(こんな、格好……)
 本当にレイの知るシンジ相手にであったら、とても出来やしなかったに違いない。
 ああ――と後悔すら覚えつつうち震えるレイの胸にあるのは、それでもこの思いも寄らなかった機会を得た、今を逃してはという積極さ、大胆さだった。
 現にシンジにしてみせているのだと、男性が一番見たがるのだと知っている自分のその場所を晒してしまっている、シンジに見せているのだと思うだけで、女の芯が熱くなる一方なのである。
 積年の想いを遂げることが出来た。そんな錯覚だった。
「あぁぁ、ぁ……」
 尻肉のあわいから暴かれていく、レイの濡れそぼった肉秘唇。濃いピンクをした粘膜が震えるその奥底までを割り拡げられ、きゅっと瞼を閉じた怜貌の人妻は、乙女の頃に戻ったかのように羞じらった。
 身じろぎだけで垂れ落ちた淫蜜が、一筋になって内腿を伝う。
「レイさんのマンコの穴が見えてるよ。ヒクヒクしてる。いやらしいヨダレ一杯で、俺のさっきの精液と一緒になって」
 わざと羞恥心を煽る言葉を次々と重ねながら、その場所に指先を潜らせてかき回す。
 少年の声も興奮に上擦っていた。
 股間では屹立したペニスが生白い肉茎の先端に亀頭を完全に露出させ、若々しい鮮紅色で膨らませているのだ。
「結婚してるんでしょ? 今のレイさんは」
 左手の薬指に付けているのを御魔化そうともしていなかったのだから、今になっていいえの答えはそもそもあり得ない。
 夫を裏切っているという罪悪感には、見て見ぬ振りをしているだけだ。
「…………」
「昼休みも一人で本を読んでるおとなしい子だと思ってたから、ビックリだけど。その旦那さんに教えてもらったの? こんな、動物みたいな格好でするやり方」
 ケンスケの持ってくる雑誌とかビデオでぐらいでしか見たことなかったなぁと、思わずと言った声で少年が漏らす。
「ぁあ、ぁ、ああっ……。そんな……そんなこと……」
「大好物になっちゃってるから、ここのエッチな穴の方も涎ダラダラでおねだりなんかするんだもんね」
 熱くなった秘肉を指に絡みつかせて歓迎する自身の女の貪欲さ。それをまた揶揄されて、頬が火を放つ思い。ああっ――と、レイは幾度も身を捩らねばならなかった。
 その度ごと、裏腹に淫蕩な滴りが幾筋も幾筋も、真っ白な内股に伝い流れていく。
「あぁぁア、アアッ、ぁうン――っ。……もう、もう、早くっ」
 年端も行かない、女性経験も録に無いだろう少年に向かってだ。肩越しに振り返り、涙を浮かべた瞳で哀願せねばと思い切ってしまうまでに、追い詰められて。
「でもなんか違うよね。“僕”にして欲しかったんだったら、旦那さんじゃ満足してないってことだし。そっか、結婚してるのは俺とじゃないんだ。そりゃ中学の時の同級生ぐらいじゃねぇ……。でも随分引きずって拗らせてたみたいだし、結婚したのは割と後になってから?」
 今日までのレイが辿ってきた異性との関係、性編歴が。たったそれだけの反応からで、容易く推測されていく。
 分かっていてそれでも、次々に暴かれていく為の材料をひとつひとつレイは提供し、告白していかねばならなかった。
「……レイさんって、今の旦那さんが何人目?」
「何人目、だなんて……。私が結婚したのは、あのひとだけ……」
「違うよぉ。惚けちゃってさー。俺が聞きたいのは、何人オトコを知ってるんですかってことですぅ」
 答えを躊躇う。そうすると喜んで少年は、今や早く早くと待ちきれない様子を露骨にさせてしてしまっているレイの――羞じらいの中心である場所に、牝の本能そのものの器官に、ねちゃねちゃ粘ついた音を立てさせるのだ。
 激しく、もっと激しくと。三十路前女の綻んだクレヴァスを飛沫を散らしつつ上下になぞったり。蜜壺の入り口を盛んに出入りさせる指の動きを、緩急交えて加速させながら。
「やあっ……アッ、ぁひぃぃ――!」
 二十八の年齢よりは随分と初々しい色を保っているとはいえ、それでも爛熟した薔薇のごとく肉襞がぼってり充血して重なりあった、熟れた女の花びら。その内側にぱくぱくと口を開いたはしたない肉穴の中で、しなやかな指を楽器を奏でるように使ってくる。くすぐり責めにしてくるのである。
 求めているものには届かないまでも、与えられるのは女性器その場所を刺激される喜悦に他ならない。少年の愛撫におもねって、一回り以上歳上のレイが鼻ですんすんと啼いて涙をこぼす程に。その可愛がり方は彼女の好みに当たっていた。――当たってきていた。
 訊かれるまま、なにもかもを吐露してしまう。
「ふたっ、二人……男のひとは、二人目だったの……」
「それじゃ、俺がレイさんのここに突っ込んだ三人目か〜」
 そこまで心の貫抜を外された状態にさせられてしまった頃には、もう息も絶え絶え。
 腰の真下にあたるシーツの場所には大小幾つものシミ。会陰から蒼銀の草叢までもの一帯がもうそこら中、べったりと発情した蜜汁にまみれてしまっていた。
 ベッドに振り撒かれている熟れきった牝香がムッとむせ返りそうな程。
「はぁぁ……ぁ、ぁ、あぁぁぁ……」
 そして、こちらも興奮しきって目尻を引き攣らせるような笑い方をしている少年が、下に向かってぷくりと包皮から膨らんでいたレイのクリトリスを、直接で摘んで、揉みこねてくる。くにゅ、くにゅり、くにゅっ、ギュッ――と。
「アアッ! ぁああアアンッ! そこっ……そこはぁぁ。ンぁぁアアッ! アッ、直にだなんてっ……ッッ」
 それがとてもこの女性には効くのだと、たった一度の交わりでもう見破られていたのだ。
 ヒィッと喉を晒して喘ぐ、舌を突き出しての悲鳴で大きく唇を慄かせる麗女とは、攻守が完全に逆転してしまっているのだった。

「すっごい大洪水だよ? そんなに俺のおちんちんが欲しい? ……子供の頃のただの思い出じゃないんだ。綾波にとって」
 これだけしとどに愛蜜を分泌しているのだから、いざ挿入となれば中学生のペニスぐらい根本まで一瞬で嵌りきってしまうだろうという、貪欲さを煽られきった女の入り口に。ずりずりと厭らしく切っ先を擦り付けてくる。
「ひょっとして中学の頃からだった? 俺の教室の窓際の席で、いっつもつまんなさそうに外とか見てる綾波も、本当は俺のことばかり頭の中で考えててさ。こうやってビンビン起ちのをくっ付けるだけでマンコぱくぱくさせてるレイさんみたいに、シたいって思ってたり?」
「……ダメっ。ダメ……っッ! アッ、アアッ、だめ……だわっ。あの頃のっ……わたし、あの頃のわたしに……こんな、なんてっ」
「でも、嫌じゃあ――ないんだよね?」
「それは、それは……ぁ、ああああっ……!」
 ポタポタ顎の先から汗を垂らし、それ以上にたらたらと股間から興奮の蜜を滴らせる歳上の美女は、激しく顔を振りたくっていた。
「俺って、綾波にとってそんなに忘れられない相手だったんだって思うと、ちょっと今度からどんな顔しようかなって思っちゃうよね」
 秘め続けていた心の奥底と、開発されきった肉体における官能のウィークポイントを同時に、変声期前の幼い声をした少年に暴かれていく。これが現実の事とはとても思えない。そんなセックスをしてしまっているのだという、異常な動悸の高まりに、レイの頭の中はどうにかなりそうにグチャグチャになっていくのだ。
「言わないで、言わないで……! そんな……ことは、いいのっ。そんなことより、もう私は、わたしはぁ……ぁぁ。アア……っッ!」
 まだ子供であっても背中に一人完全に乗ってきてしまえば、レイはお尻を突き出したその格好のため、膝をガクガクとさせて頑張らねばならない。
 少年は密着させた下半身を盛んに振り立てながら、背中からレイの全身を撫ぜ回す。
 身長の違いで顔が届く限界の肩甲骨のあたりに、ざわめく髪を鼻先で掻き分けてのキスを雨と降らし、水蜜桃の乳房を揉みしだき、喘ぎに波打つお腹をさすり、
「もう綾波、結婚してるのに。旦那さん放ってわざわざ浮気しに来るぐらい……俺とセックスしたくて、我慢出来なかったんだよね?」
「それは、わたしはっ。ぃ、碇君と……。あなたとじゃなくて、碇君を。わたしは碇くんを……。ああっ、ああっ! どうしてそこだけ、擦り付けてばかりだなんて……!」
 彼女の知るシンジによく似たその声が、あの少年の引っ込み思案さとはまるで正反対の強引さで覆い被さり、調子に乗りきったことを耳元で囁いてきても。もうレイには、まともな判断で区別を付けることが出来なくなっていた。
「あうっ……ンッ……フッ……あっ、ああぅ……。あっ、あっ、あっ……!」
 膣口から僅か、浅いところばかりだけを刺激するに留められる淫唇へのアプローチ。そちらだってもう先走りの汁を噴きこぼして、白く濁ったあぶくをレイとの間にニチャニチヤと立てているのに。決してそれ以上を熱くなった膣奥に味わせてはくれないのだ。
「――ぉ、お願い。碇君! 早く、はやくっ、挿れて……っッ!」
 中学の制服を着ていた頃の綾波レイからは出てくることが無かったのに違いない。それは男に抱かれる悦びを覚えたからこその、女になったレイが露呈させた願望、欲望であった。
 明らかに正気を失っているのだと、そう見て取れる目の色をして振り返り。掲げたヒップの真下に花咲いた自分の淫花を指で開いて、左右に引っ張ってみせて。もうほんの少し、少年が腰をしゃくってくれるだけで突き刺さってくるのに違いない、その屹立した肉の杭を、
「ああっ、アアッ、ぁあああっッ」
 はしたなくヒップを揺すり、必死に求めるのである。
 十四年越しで愛して貰うことが出来たのだと甘ったるい夢に幻惑されるまま、底なし沼じみたドロドロの官能に溺れていくだけ。
「なら、さっ……!」
 そうやって、決してレイにとって充分な太さとはいえないカリ首が女の門戸をくぐり抜けて、下腹部を内側から突き上げつつ押し入ってきた時。『――はぅ』と掠れた喘ぎを漏らした不倫妻は、それだけで。
(……っ、っッッ! っッ――……!!)
 ぎゅっと瞼をつむったその下では目を裏返らせそうになって、歓喜に打ちのめされていたのだった。

「ンンッ、いきなり締め付けてきて……! ああっ、駄目だっ」
 焦らしに焦らし、暴発寸前になっていたのは少年も同じだったのだろう。
 待ちに待った挿入と同時に全身の筋肉を痙攣させて、突っ伏したシーツにオーガズムの呻きをくぐもらせたレイと殆ど遅れることなく。彼もまたびゅくびゅくとペニスの幹をのたうたせて、アルビノ美女の熟れた媚肉からすっぽ抜けた先端で盛大に放精をはじめてしまったのだった。
「あっ、あっ、そんな……」
「ぁぁあッ、ぁ、熱いのが――」
 ドロリと白濁した飛沫が宙にぶち撒けられ、赤くはっきりと手形の付いたレイの尻朶や、生々しい粘膜の色を露呈した肉花びらの上に振り撒かれていく。
 幾ばくかの入り混じった呻きと喘ぎが交錯し。灯りを仄暗くしたラブホテルの部屋に残されたのは、昂りの収まりきらない目の輝きで見詰めあう少年と、女と。
 今度こそ子宮近くの深い部分で少年の精を飲み干したいと願うレイと、今度こそすっきりするまで歳上の女性の胎に注ぎ込んでやりたいと息巻く彼とがもう一度の肉交に挑むのに、確認の言葉などは必要なかったのだ。
「来て――!」
「レイ、さんっ!!」
 寝返りを打つようにしてお腹の側を向け直し、大きく足を開いてみせたレイを再び貫き、強く抱きしめ合って激しく腰を動かした彼は、四回目だったからなのか随分と長持ちしてみせた。
 それでも、願った通りにその美しく儚げな人妻から理性を奪い、悦がり果てての『あふっ、あふぅぅっ……。もう、もう……イク、わっ――!』と羞恥をかなぐり捨てた宣言を引き出すことに成功したのは、一度結合を解いた後、彼女にまた後背位の姿勢を取らせてからのことだった。
「……ほんとにこの犬みたいな格好、好きなんだね」
「んぁ、ァ、あっ、あっ……」
 絶頂に次ぐ絶頂から夢見心地に留まったままになり、トロンと美貌を緩ませるレイの胸に顔を埋めて、少年は自分の世界に帰ってからのことを思い浮かべるのだった。
 寡黙で、自己主張のない、整った顔立ちのわりに今一つどんな性格をしているかだのの印象は薄いあのクラスメイトの女の子も。尻を向けさせて犯してやったら、我を忘れたような大声で喘いでみせるのかな――と。
 はじめからすると見違えるぐらい異性に対する自信を付けたらしく、不敵な笑みさえ浮かべて。
「あの子もきっと、俺と初体験して、俺にこのお尻からずぽずぽヤられる良さっての教えて貰った方が、嬉しいだろうしね。……でしょ? レイさん」
「……ぁ、ぁ、碇くん……。わたし、いかりくんに……抱いてほしい、の……」
「ンッ。ふふふっ、ホントいやらしい人だよねぇ」
 新たな欲望に力強く脈打った若茎を、まだ指を絡めさせていたレイの手のひらが無意識にやわやわと刺激していた。
 こんな風に拗らせたりしないように。聞き出しただけに留まっている内容のセックスの仕方だって、一通りあの子にも試してみて。
 同じぐらいに欲求の強い、同じぐらい淫乱な女の子になるのか。一から染め上げていこうという未来絵図に、胸を踊らせていたのだった。





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From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(6)