「肉体決済」ネタ・軽蔑の顔

713 名前:引き気味 投稿日: 2010/02/07(日) 01:29:53 [ nne8xXKs ]
>>712までとは無関係に、『肉体決済』ネタを唐突に書き出してみたテスト。

「――な? 変態極まってるだろ?」
 ニヤニヤとしながらケンスケが指し示す液晶画面には、たしかに顔を背けたくなるような凄惨なセックスの現場が映し出されていた。
「…………」
 男女のことに疎く、疎いまま極端な性知識を植え付けられたレイでも分かる。これは異常だ。普通の女性がしたがるセックスの形とはかけ離れているに違いない。
 照明の用意など見受けられない全体的な薄暗さと、手ぶれの残る画面。アマチュア撮影によるものだとは分かるが、イコールでケンスケの撮影だかは判断が付けづらかった。
 女の子を立たせたまま、得意顔で写真部室一番の席でふんぞり返っているこの少年は、ネット上から自分と同等以上の変態仲間による作品を見つけ出してくることにも、随分と長けているのだから。
 ただ、それがケンスケ自身の手になるものでなくとも、趣味に合致していることだけは確実だろう。
 こうやって有頂天になって見せびらかしてくる――となると、下手をすると“自分でも撮ってみたくなった”のか。
 思わず、顔背けていたノート型端末にまた目を戻して、レイは薄ら寒さを首筋に覚えた。
 確認し直さずにはいられなかったのは、それが自分に関わってくるかどうか。画面の中で鷲掴みに揉みこねられて形を変え続けている乳房か、或いは派手に振りたくられているヒップか。どちらかに加えられている仕打ちをケンスケが気に入っているのであれば、話が自身に降りかかってくることをレイは避けられない。
 分かっていても、どうしようもない。この暗澹たる思いも何度目か。
 今日はまだ今のところは清潔なブラウスの下で、ちゃんとブラジャーに包まれているバストと、そしてスカートの中のヒップ。二つの場所は、レイ自身の肉体の一部でありながら、契約によってケンスケが所有権を握っているのだ。
 レイにはせめて、苛立たしさを胸にわき上がってきたまま吐き捨てるしか出来なかった。
「……悪趣味だわ」

「クッ、くくくっ、……っく、くっ、くっくっく」
 同じクラスに所属しているだけという以前の関係を越えて、はるかに越えてしまって。行き過ぎた近さで接し、その性根、本性を知れば知るほどに。レイは相田ケンスケを軽蔑していた。
 心底に嫌悪し、蔑んでいる。
 なによりもその事実を雄弁に物語る冷え冷えとした眼差しを、こうも怜悧に顔立ち整った少女から向けられて。ところがケンスケの反応は、堪えきれないという笑い声であった。
「それだよ、それ」
 拍手も打ち鳴らさんばかりに喜んで、素早く机の上に投げ出されていたカメラを椅子の脇に立つレイとの間に構える。
 シャッター音と、眩いフラッシュ。
 ケンスケが格好の一瞬に抜け目なく切り取ったショットには、かすかに目を瞑りかけながらも、そのいきなりの不作法ゆえに余計に増して不快げな、そんなレイの表情が収められていた。
 どこまでもの手際の良さで、撮影されたばかりのそれが先ほどの動画の代わりに画面に大写しに呼び出される。モニタの中からあたかも、レイ自身を睨む格好だ。
「良ぃ〜い顔してんよなぁ」
 とんとんとモニターの表面、紅い瞳が眉間に皺を寄せている辺りを指先に小突きながらケンスケは言った。

714 名前:引き気味 投稿日: 2010/02/07(日) 01:30:15 [ nne8xXKs ]
「何が言いたいの?」
 また、意味の分からないことを言い出している。レイはケンスケの話の切り出し方というものを知るが故に、警戒で身を固くしていた。
 自然、表情も硬くなるのだが――。そこでまたケンスケが嬉しそうにシャッターを切るのである。
「いやさ、綾波のそういう顔、やっぱ魅力的だぜって話。……別段、俺実はマゾっ気あるんだとか言い出すつもりじゃないぜ?」
 肩を竦めるケンスケは、くるりと椅子ごと向き直った腹の辺りでカメラを弄びながら、レイの友人の名前を持ちだしてみせる。
「惣流は間違い無く女王様だったろ? クラスの。高ビーでさぁ、俺ら男子にゃいちいちキツいのなんのって」
 ととん、とモニター上から動いた指先がキーボードを走り、クローズアップされていたレイの表情を覆うように、今度はアスカの幾枚もの写真が並べられた。
 ケンスケが口にしているアスカの学校生活中での振る舞いを示す通り、こちらもレイに負けず険悪な表情を浮かべて、カメラを持つ者を拒絶しているショットばかり。
 それが画面の上半分を埋める枚数になったあたりで、次の名前、次の被写体の顔写真が。
「で、霧島」
 アスカの蒼い瞳が睨み付ける下に並んだのは、鳶色の瞳をした、これもまた同様の親しみの欠片も感じさせないピンナップ揃いと来ているのだから、レイはますます分からない。
「あいつも普段の外っ面は大した猫の被りようだけど、こいつ要らねとか見切ってくれると凄いよな。周りの目の無いとことか行くと、すげーぞんざいなのなんのって」
 たしかに、霧島マナがカメラマンであるケンスケに向けている顔はいかにも無関心なといったものだ。
 実に白けた目付き。
 日頃、クラスメイト達が雑談にはしゃいでいる中心などでくりくりと躍動的に表情を変えているのと同じ目が、ごっそり感情のそげ落ちた色合いでちらりと見やってきているのだから、落差は人を驚かすだろう。
 一方で、そこへ敢えて不機嫌さの粒子を織り交ぜさせた写真を撮り足していっているのである。
 撮影時のケンスケのしつこさが窺えた。

「――惣流とかまだこっち見て嫌ってた分救いがあったぜ。霧島の場合、ゴミか石ころかよって感じで適当に流してくれてたからなぁ」
 レイが半ば聞き流している間もケンスケはとくとくと解説を並べ立てて、そして最後に、そこはいやらしくニヤニヤと付け足して、『今は別人みたいだけどさ』と。
「…………」
 改めて指摘して貰わずとも、レイもすぐに気付いていたことだ。それは。
 ケンスケがレイに続けて画像を表示してみせた二人、合わせて三人は、写真趣味持ち格好のモデルである学園きっての美少女揃いという他にも、共通点を持つ。 今や全ての一中女子生徒の敵とも呼べる脅迫レイプ魔、相田ケンスケの毒牙に掛かった犠牲者にして、日々肉奴隷扱いをされ続けているメンバーの内という共通点だ。
 中でも霧島マナなどは、年頃の少女には辛すぎる状況から心を守ろうとした挙げ句なのか、今や錯乱したとしか言いようのない傾倒ぶりでセックスに溺れている。 たとえ脅されずとも、逆に喜んで調教まがいの仕打ちをねだるまでの――あまりの変貌。
 今となっては、こういった表情の写真を撮ることの方が難しいだろう。
 その意味では、これらはある種貴重性を持った画像と言えるのか。
 レイは、何度となく記録画像や写真の形で見せつけられたこのマナの、肉欲に爛れ崩れた浅ましい表情を重ね見て、人を哀れむという心持ちを突きつけられた気さえしていた。

 しかし、あえてここまでして同種の表情ばかり揃えているのだから、言葉通り相田ケンスケにとってはこれが価値のある画像ということになるのか。
 いやらしい写真ばかりが興味の先というわけでもないのか。
 レイには分からない価値観だ。だが、問題はそれがどう自分に関わってくるのか、だった。



index

From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(4) - 裏死海悶所(藁