LHS廚さんの王道ハーレム『畜類め、繁りやがれ!』(6)


160 :LHS廚 :05/07/10 00:10 ID:???

お貞さんバージョンのことを考えると、有る意味タイムリー?
外側の男どもの、こう言う悔しがり方もありかな、とおもいまして。


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「その後、いつ気付いたの? 赤木さんのこと」
「実は、泣き黒子、っていうんだっけ。 それで気付いたんだ」


この時電話の音が四号室から響いて、赤木主任が席を外す。

電話は、かなり長かった。

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数十分後。 司令執務室。



「どうした冬月。 白衣を着た姿を見るのは久しぶりだな」
「素体の内、三体の組織崩壊が始まっているのを確認した」

椅子が壊れてしまうほどの勢いで、碇はまた動揺を隠しもせず立ち上がる。
事ここに至ってもなお、自分の計画はゆがんでいないと思っていたのか、此奴は。

「赤木博士は?!」
「彼女がこれからも管理する事を宣言したのは『レイ』だ。 あれらではない。
 それに、言った筈だ。 『レイ自身の『意志』でこの嘘は事実に出来る』と。
 今の生活に執着させた結果だ。

 『ダミー』に使った一体以外は諦めろ。
 恐らく、ほかの素体達にも崩壊は波及するだろう。
 赤木博士も同意見だ。 残りは全て破棄した方が良い。 『レイ』を安定させるためにも」

考えれば判ることなのだ。
レイが自らをモノ、として認識しているのなら、身体が何体合ったとしても問題はない。

『モノは修理や取り替えがきく』のだから。


161 :LHS廚 :05/07/10 00:12 ID:???

だが、シンジ君や例のハーレム参加者達の影響、何よりレイ自身の『選択』として
『人間』としての人生を選ぶのなら、これは最大の矛盾になる。

三人目になることは、同時に二人目のレイの死を意味するしな。

『れい』達の維持を制御し、また『レイ』の記憶のバックアップをしている脊髄状の
あのシステムはこのジオフロントと同じ、誰が作ったのか判らないシステム。
こうなってもおかしくない、と言う予感もあった。

ドッペルゲンガーみたいなものだ。
自分を維持……いや、自分を産みだし、守るために。
システムが『レイ』以外の『れい』を破壊しだしたのだ。


「何故、個性がバックアップ・システムに影響を及ぼすと判らなかった」
「あれは使い方しか判っていないのは知ってるはずだ。 南極であったことと一緒だよ。
 個性を付けてみないことには判断が不能だろうが」


碇のうめき声だけが、部屋に響く。


162 :LHS廚 :05/07/15 01:02 ID:???
「はぁ……暇ねぇ」
「仕方有りませんわ。 リツコさんが居なければ告白に意味はないのですから。
 ……でも、確かに少々時間かかってますわね」

「……ねぇ、皆は「お母さん」のこと、どれだけ覚えてる?」

「はは、ですか?」
「アタシは一度、シンジに言った事あったわよね。
 ママはEVAの実験に無理に参加、発狂したの。
 そう言えば……アタシがチルドレンになった日、目の前で自殺してしまったのは離したっけ?」

ぶふぅぅ!!

「意外ですわね。 そのことを貴女自身の口から聞くとは」
「レイに言われた事があるの。 自分の嫌な部分を受け入れろ、って。
 アタシにとっての『嫌な事』の象徴って、やっぱりあれなのよ……ヒカリは?」
「私の場合は、飛行機の墜落。 フランスに居たお祖母さんの所にお見舞いに行った帰り、
 その飛行機が落ちたわけです。 ……マナちゃんは?」
「私は元々孤児だから……。 次、マユミ」
「私はある意味アスカさんより酷いですね。 目の前で母を……」
「あ………ごめん」
「どうして背格好……容姿の話が出ないの?」
「それはですねアオイさん。 この写真があるからですわ」
「・・・・・・へぇ。 こうして見るとまるで、会うべくしてあったみたいね、みんなは」

163 :LHS廚 :05/07/22 00:00 ID:???
ぐはぁ。
なんか風邪ぶり返してしまったみたいですよ。
すまぬ。


更新も短いし。


(確かアメリカ生まれってこう言うルールありましたよね?)


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「そう言えば、マリイのママの話は? アタシも聞いたこと無かったけど」
「レミット・ビンセンス。 エジプト人の母とフランス人の父のハーフ。
 死別したそうなので父は知りませんがアメリカ滞在中に生まれたので
 国籍はアメリカ。
 わたくしとは ある意味似てもにつかない純黒人的な母でしたわ。
 写真はこれです」

「きれいな人ですね」
「黒人の人で金髪、っていうのは

「母が聞けば嬉しがったと思いますわ。 母は褒められる事がとても嬉しいと
 思う人でしたので」
「確かに、マリイさんは褒められるのがとても嬉しいと感じる人ですし」
「ちょっと……引っかかるような」

164 :PDX. :05/07/22 09:28 ID:???
>>163 LHS廚さん
 お、お大事に(汗)

165 :LHS廚 :05/07/25 22:48 ID:???

え。
まだ微妙に回復してないところもあるですが。
何とかやっていくです。

>棒組スレの方
>二世資料。

大変に感謝です。
どうも有り難う御座いました。

>PDX.さん
体調は注意しませんと(自縛

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訂正。 >>155

「じゃあ、あの時シンジ君に腕枕してもらってたのって」

「じゃあ、あの時シンジ君に寄り添っていた時は、やっぱり?」

追加。 >>163

「黒人の人で金髪、っていうのは




「黒人の方でストレートの金髪、っていうのはすごく映えるんですね。
 ヒカリさんが金髪になっちゃった時も綺麗になったな、と思いましたけど。
 また違う綺麗さがあると思います」


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「もう十分経ちましたね」
「もしかして、自分の部屋に飛び込んであうあうって」
「腹括ってるからそんな事だけはしないわよ」


扉が開いて、リツコさんが帰って来ました。
その表情はかなり疲れているような、その中に何かすっきりしたような、そんな
衣類路な感情が交じり合った感じです。

「あら、アスカ、起きてたの」
「ま、お腹はすいてたから」
「ボクの御飯の匂いが丁度良い目覚ましになったらしいんです」

アスカはまぁ、何というか。
まるで掃除機のように口の中にもぐもぐと飯も、御味噌汁も、漬物も
みんなしっかりと口の中に放り込んで行く。
リツコさんは、それを不思議そうに見つめながらお茶のお代わりを頼んだ。

「アスカってお箸使えないと思ってたのよね、最初は」
「ママがハシだけは使えるようになれ、って何時も言ってたからね。
 あとは、敬語とか、目上の人への態度とか……あ、そう言えばマリイ、
 一度聞いてみたいことがあるんだけどさ?」
「何でしょう?」



「写真の事といい、アンタってママ経由で江戸時代の事詳しかったわよね。
 『ちり紙を口で取った方がいい時もあるって覚えておきなさい』
 ……って、どういう意味?」

「大抵『手が塞がって』いるからですわ……花魁のマナー、と言えばお判りでしょう?
 全く……キョウコさんも何故そのような事を教えてるんでしょうか……」

166 :LHS廚 :05/07/30 23:11 ID:???
取り敢えず……生存報告と修正です。

>棒組スレの方。
心配をおかけしてます。
遅れたリアル生活を処理しつつ、な状態ですので
しばらく週1くらいのペースの状態が続くと思います。

>棒組スレほか。
>使徒XX

……出しません。
取り敢えずの興味は、5番と11番、13番と16番の四体を
どう人間化するのか……。

エロとしては13番は(TSトウジ!?)だったり。


後、最近、個人として気になるところと言えば。


>イーペイコーさんの作品撤収。

丁度ヒカリンが出てきて、と言うところで止まっていたので非常に残念です。


>画像ロダ・頬染めヒカリン。

おおう。
私にはなかなかな燃料ですよ。
ピッチあげられるよう頑張ります。

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訂正 >>150

あの子供達も、アオイも、皆そろって初めてだったのよ。

あの子供達も、サツキも、皆そろって初めてだったのよ。

167 :LHS廚 :05/08/01 21:40 ID:???

その話を突き詰めるのは、とても怖かった。
ユイさんが日本の『歴史』を勉強していた事を知っていたからこそ。
それを残り四人がなんだかんだ言って真似していた事を。
たぐり寄せる思いの果てにある物は、「三回目」を起そうとしている「親」……。

取り敢えず、興味を全員が持ちそうな話は一つしか知らないわけで。



「ま、まぁ、そう言う知識は二人のお陰で手に入る訳だけど……私の告白は?」
「あ! そう言えばそうでしたね」
「…………楽しみ。 シンジ君を悦ばせる知識を、得られそうだし(ずず……)」
「別に、側に居てくれるだけで良いんだけどな……」
「それだけじゃ嫌なんです。 ボク達は」
「ノゾミ達が居ることは、ノゾミ達にしかできないことだけど?」
「……そう言って下さるのは本当に嬉しいのです。 でも、それだけでは嫌なのですよ、シンジさん」
「そーそー。 アタシ達は美しい『想い』だけじゃなく、粘り着くような『欲望』も持っているんだから」
「じゃ、リツコさん。 お願いしまぁす!」

視線が一斉に、最年長を更新した私に集中するのが判る。

「なにかたべるもの、ありますかぁ?」

すっとぼけた反応で緊張を壊してくれたのはふすまの開く音と一緒に現れた、マユミさん。
文字通り素っ裸にタオルを巻いただけな彼女を見てシンジ君が動転したり、
『アンタ、いい加減慣れなさいよ!』とアスカ達がからかったり。

そんな流れに隠れて、マナちゃんはブレスレットを使って定時連絡を入れ、
ノゾミちゃんが早速、彼女の分の夕食を用意するのを眺めつつ。

私の告白が始まった。


168 :LHS廚 :05/08/10 00:51 ID:???
富士TV深夜ニュース・シャトル帰還のお話。

無事帰ってきてくれたのも良かったですが、バック音楽、本当にトレックネタを判ってる人ですなぁ。
ちゃんと基本的トレックテーマ(探検)→DS9(宇宙ステーションシリーズ)→ヴォイジャー(帰還)
の流れでやってくれるとわ。

各シリーズのテーマを考えると実に嬉しかったです。

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「えっと、どこまで話したことになってるのかしら」
「あたしがアオイの胸元に枕を置いたところまでです」
「そう言えばそうだったわね。 シンジ君が私の事、判らなかったあたり」

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シンジ君の反応は、正直言って父親である碇司令とはまったく正反対な感じがしたわ。
真っ青になって私を見つめて、私が誰なのか判らなくて。
サツキが抱きつき魔に枕をあげて沈めた頃には。

「何故、その、染めるの、止めたんですか?」
「……流石、『受け身ハーレム王』。 すぐに気付いたの?」
「その、えっと、ほくろが見えて、その、えっと」

私は私で、どう言ったらシンジ君と付き合って、その先までいけるのかな、って思いつかなかったし。
首筋とかに付いてるアオイの口紅をためらわずにぬぐえるサツキに一寸だけ、嫉妬していたのよ。


169 :LHS廚 :05/08/13 17:39 ID:???
大抵の人は誤解していると想うけど、私は正直なところ化粧するのが大嫌い。
髪を金髪に染めていたのだって、眉毛だけ染めていなかったのだって。
そっち(ギャップ?)に目がいってくれれば、人並以下の化粧でもまぁ
あらが目立つことはそれほどないだろうという気分だった。
かなり長い間、実験、また実験の日々を過ごしていたんだし。

それなりに化粧を覚えよう、と言う気になったのは司令と付き合っていたときだけ。

まぁ、そんなこと気にも留めない人だったけど。


シンジ君の側にいるときは、荒れさえなければ良い、と言う気になってしまうの。
化粧なんて見ようともしない呑気な、でも、肌の荒れだけは健康面を気にする。

………最も、司令と違うのは、ちゃんと化粧していると、ふと気付いて
真っ赤になってくれること……でも、とても嬉しそうに、一寸だけ誇らしげに。
自分だけの為に、努力して化粧をしてると言うことを、判ってくれてるから。


そんな違いが、シンジ君を好きになっていった理由の一つかもしれない。
まぁ……確かに彼は鈍感かもしれないけど、ちゃんと見て、気付いてくれるのは。
私にとって、とてもとても……嬉しいものなのよ、加持君って。
今なら、泣き黒子を突っ込んだ人達に言えそう。

『泣いた意味があったわ』って。

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「そう言えば(もぐもぐ)、手が温かかったのが……っていうのはどうして?」
「最初の使徒の時、私達ってかなり強引にシンジ君をEVAに乗せたの。
 それ以降もしばらく色々あったんだけどね……。

 シンジ君、レイのIDを届けに行ってくれない、って頼んだ時、
 何の躊躇いもなく、カードを私の手から受け取ってくれた」
「……? それが、何故?」

私ってかなり根に持つところがあると思うのよ。
この前のJA騒動の時も。 あの時田って人に色々言われた後、あの人達に貰った
パンフレット、早速ライターで燃やしたし。

そんな私だから、あの時もシンジ君はおそるおそる、っていうか
私の基準では酷く怯えたりしながら、渋々受け取っていくだろうって思ってた。
でも、シンジ君はそんなそぶり無かったの。

想いが生まれる切っ掛けは、そんなものの、積み重ね。


170 :LHS廚 :05/08/14 23:58 ID:b6a71fOY

「へっ?」
「いやだから、俺はその可能性、正直アスカとくっつくより有りだと思ってたよ。
 もっとも、リッちゃんがあのグループに入ってしまう、とはな」
「……何時、気付いたのよっ?!」
「溶岩の中でアスカが戦った使徒のこと、覚えてるよな……。
 あの後、葛城達が泊まったあの旅館であったんだ、切っ掛け。
 俺は直接行かなかったけど、リッちゃんとシンジ君が、そのなんだ。
 かなり良い雰囲気になった所をウチの部下達の何人かが見てるんだよ」


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半分ほど開け放れたふすま。
窓のすぐ下に移動された小さいテーブルと、その周囲に扇状に散乱した書類。

赤みが薄れ、「朝」に移りつつある夜明けの光にさらされているのは。

少しだけ、くまを作った技術主任と、彼女の肩を丁寧に揉む『三人目』。



『本当に、すみません……リツコさん。 僕達だけで宴会やっちゃって。
 一人で、徹夜で、騒がしい僕らの部屋の隣の部屋で、お仕事頑張ってるの、知らなくて……』
『………どうして?』
『はい?』
『私、初めて会った時からシンジ君のこと、一寸だけ、嫌な目で見てた。
 私、シンジ君のお母さん、ユイさんと一寸仲が悪かった時があって。
 その気持ちのまま、何も知らないあなたに当たってた。
 初めて会った時でさえ、シンジ君をEVAの部品としてしか見ないことで。
 君を、嫌いになろうと思ってた』
『……そうだったんですか』

「冷たくない、でもさわやかな何かを感じる」流し目を向ける技術主任。


171 :PDX. :05/08/15 07:28 ID:???
>>LHS廚さん

 加持が「あのグループ」の存在を知ったのはいつだったんでしょうねぇ。
 

172 :LHS廚 :05/08/15 22:25 ID:???
微妙な追加。

正直アスカとくっつくより → 正直、あの頃のアスカより、くっつく可能性は

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「で、その後は?」
「特に何もなかった。 だってもしキスなんぞしてたら間違いなく付き合ってたし、リッちゃんの立場上
 付き合うつもりが無くても、そうしなければならないかも知れなかった訳……知ってるだろ?」

『強制恋愛薬』計画。
年頃の子供なら誰でも憧れ始める『恋愛』を糧に、シンちゃん達の精神にアクセスして暗示をかける。
『恋愛』をしてる職員を守るために戦う、という思考に調整してしまう。

最悪の場合、『恋人』の命と引き替え似、と言う自殺的作戦すら選択させられるほどに、疑えない位に。
計画の中核をなす薬がショタコンとかロリータとかの、皆に危険と言われかねない肉体関係の成立を
前提にしているのも……子供達には、聞くはず。

アスカなんか、もし加持相手となったら「OKの三連呼!」なんて言いかねない。
そうさせる薬自体がまだ未完成だからこそ助かった、計画だった。


「……って。 最後に『お互いに頑張りましょ』って、シンジ君とリッちゃんの握手が感動的だったそうだ」
「………どっちとも、運が良かったわ」
「確かに……言わんとしてる事は判る。 この前の『扉の向こう』といい、NERVには裏がありすぎるしな。
 まぁ結果として、シンジ君とアスカ達の関係は薬抜きで計画の効果を成立させてるし
 俺ではアスカを幸せに出来ないと判ってるのさ。 何より」
「?」
「親代わりの俺が、誰が相手であれ『薬で出来た関係』なんて許す事は出来ないんだ」


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「話は変わって……」

小皿に盛られたクラゲの梅和えをつつきながら、ミサトは呟く。

「アンタ、何時シンジ君に仕込んだ訳? エッチのテクニック」

173 :LHS廚 :05/08/15 23:16 ID:???
「シンジ君の「ブレイク」に俺は関わってないぞ? 少なくとも俺はテクニックなんて持ってるとは考えてないし、
 第一、彼はこの所家事全般で忙しそうだったじゃないか」
「う……でもさ、シンちゃんがどうやって」

そう言いつつ、葛城は指を折り始め……………両手が埋まった。
『関係を持ってる子』だけで埋まってしまった事に、改めて葛城の頬がひくひくと引きつっている。

「全員が男の趣味も感じる所も同じって……知識はアンタかあの二人以外手に入れようがない筈なのよ?」
「単刀直入に言うぞ。 お前が」
「冗談でも言わないで………」
「だが、これは『人が変わる』と言うレベルでは説明できないぞ」

いぶかしむ葛城に、封筒を手渡す。
その写真に写ってるのを知ったときには、もう、遅かった。
望んだ結果の筈だし、本人の意志で遣った事なのに、何故か、どうしても納得がいかない何か。
それが写っている。


葛城は不信感丸出しで封筒の中を取りだし、覗いて、真っ青になり、真っ赤になり、目をこすり……。


「………何時かだけは言っておく。 シンジ君とマユミちゃんが退院した日の午後九時四十五分頃。
 偶然部下共に俺が差し入れに行ったとき、実際に肉眼で見て絶句したよ。
 二人とも、シンジ君と『いた』のは実質数時間の筈。 シンジ君の天賦の才能なのか?!って」

写真には、開かれた扉越しに微笑みあうアスカと洞木さんが写っている。
二人とも、何一つ身にまとっていない。 片方の服は、足下に纏まっている。

これから起きる事に、うっとりとした裸の女が二人。
俺ですらその気になってしまいそうな、『本物』だけが持つ淫靡さがにじみ出ている写真。

「あたしが知ってる限り、二人とも潔癖な思考をするはずなのに……ここまでさせる位に凄いの……」
「……興味持つなよ、シンジ君のテクニックに」

ごくりと鳴る喉が、『それだけは不可能だ』と言っているみたいだった。

177 :LHS廚 :05/08/19 01:06 ID:???

>>176 なーぐるさん。

>マユタンから書くかどうかで気合いがぐんとちがいます。
そですね。 私の場合はヒカリンですが。



>水着は2人、別の格好な他の2人。

ぐはぁ。
やはりヒカリン参戦はなしですかなぁ……。


>末期的?

この数年は仕事が恋人な私。
(強い薬品の臭いが、かなり)




引き続いて、更新。
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セカンドインパクト直後、幾つかの妙な格言的ジョークが一世を風靡した。
子供に威力を持ってはやったその一つに、「バージンロード」がある。

わかりやすく言えばかなり悲惨な話なんだけど、
『結婚もせずに、処女のまま天国への道まっしぐらは嫌!』。

そんな訳で、リツコさんくらいからあたし達の辺りまで、文字通りの即席カップルが
ジョークの発信先である中学から大学一年の辺りでひどく流行った。
適当な相手と痛みさえ我慢できれば、片方は解消できるようになっていたから。

カエデなんかはハッキリとしている。
あの日、『高校の時、一人とだけ』って言ってたしね。

ま、何が言いたいのかと言えば。


純情と言われそうだけど。
微妙に珍しいのだ。 あたしや主任のような存在は。


178 :LHS廚 :05/08/20 23:10 ID:???
はむはむはむ、と動く頬。
時々、薄くて、小さめの唇から見える舌と前歯。

「そんなに、おなか空いていたの?」
「(むぐむぐ)……ふぁい」
「あ、別に尋問とかじゃ無いから、すぐ答えなくても、いいのよ」

肌を合わせ、汗をすり合わせ、お互いに染み込ませていた時にあった
「強さ」をまったく感じさせない、むしろ「弱さ」すら感じるのに。

「……14、なのよねぇ」

ほぼ半分。
自分より少ない人生を送ってきた男の……ううん、男の体。
あの、小さい肉体の一部が、あたしの体をついばんで、つねって、包んで、
切り裂いて、潜り込んで、絡まって、熱い流れを生み出して。

あたしを、『ぬくもりを欲しがるあたし』にしてしまった、おとこ。
今は、そんな部分があるなんて、全く思えない、年相応の『男の子』。


「えっと、リツコさん。 そんなに見つめられると……」
「食べにくい?」
「……はい」


リツコ主任は、さっさと食事を済ませて、いまはシンジ君をじっと見つめてる。
あたしも、時々箸を止めて、それにならうう。


「……?」

時々気付いて微笑を返してくれるだけで。
心が暖かくなるのに、それだけではすまなくなっている自分がいる。

「そうですか。 一月もみんな」
「お風呂にもろくに入らずに、ずっといたの。 小さい部屋に」

我慢できないわけじゃない。
でも、アオイとさっきまで、その、愛し合ってたのよね…………。


そ、そうよね? アオイの体液の臭いがこもってるのが悪いのよ。
リツコ主任だって、シンジ君に判らないようにしているけど、少しそわそわしてる。


「……に……ゅ」
「「わ?!」」

おまけに、時々……本当は起きてるんじゃないかって言うタイミングでアオイの手が
枕から外れて、シンジ君を触っていく。
手とか、足とか、あそことか。



179 :LHS廚 :05/08/23 22:46 ID:???
「………ちょっと待って」


そこまで話した時点で、アスカちゃんがあたしをとめる。

「リツコの経験したところの話、さっきからシンジまで話を引き伸ばしてない? 誤魔化すつもり?
 アタシ達は何時までも待つけど、ノゾミちゃんはそろそろ睡魔に負けちゃうんだから」
「そんなに言いにくい経験、したんですか? シンジさん」

生暖かい、と表現されるタイプの引きつった笑みを交わすあたし達。
この先を話すためには………。


数瞬の後、アスカのきつい視線に耐えかねて、シンジ君が口火を切った。

「実は、ある恥ずかしい経験をした事を、言おうか言わないでいようか迷っていたんだ。
 でも、みんなへ嘘をつくのだけはしないって考えてるから、僕が言うね」

--------

事の発端はあの時、一通りご飯を食べ終えた直後のこと。
彼がいなかった一ヶ月間の話で盛り上がったころ、シンジ君が異様に困り始めたの。
居心地が悪い、って言うか、気持ち悪そう、って言うか。


そのとき、アタシ達の勘は
「あたし達がシンジ君自身と隣にいる「抱きしめ娘」、二人分の臭いを気にしてる」
といっている気がしていたから、それとなくはぐらかしていたの。

リツコ主任が女であると思わせたかったのが一番ね。
あの日の、あたしの気持ちを告白したとき、一番混乱したんだって聞いていたから。
リツコっ主任の気持ちが信じられない、という理由を消しておきたかったしね。


でも、違っていたのよ。
勿論においや気持ちも理由のひとつだったけど、それだけじゃなかったの。

--------------------------------

「実は……その……ある理由があって……きたんだ」
「きた? もしかして、しようと服脱いでいる時に、服司令とか?」


深呼吸ひとつ。

かれはそのまま、蚊が飛ぶ音のような、小さい声で。


「お風呂場に行くのに……りつこさんの、服を、きたの」


大爆笑が、部屋一杯に響いた。


180 :LHS廚 :05/08/24 00:52 ID:???
「……は?」

年相応に真っ赤になりながら、居心地が悪そうにしていたシンジ君は、ついに絞り出すような声で、言った。

『パジャマと下着のの着替え、ありませんか?』

首を捻りながらあたりを見回すこと数瞬。
シンジ君がまとう臭いの発生源に思い当たった。


「「あー、そういうこと」」

アタシ達がこの部屋に入った時、シンジ君はパジャマを着ている。
上半身ははだけて、彼らしい微妙な発達の胸板と、アオイ好みのカラーの花びらが幾つかついていた。
そして、下半身はちょっとずり下がっただけ。

どうやら。
シンジ君の背中はいま、アオイと自身の体液でひどく濡れ、彼にとって気持ち悪い状態になっているらしい。


「下着だけでもいいんです。 着替えは、この部屋に」
「無いわ」

加持さんの正体がばれた結果、諜報活動の出来る人物がNERVに入り込んでいるのを改めて実感した
葛城三佐をはじめ幾人かの上位士官が出した要請もあって、この部屋自体もかなりの下層に位置していた。
何より、この部屋は病室では無いわけで。
ベッドを初めとする最低限のの病室設備をはめ込んだだけの部屋なのだ。

「……と言うわけで、病室用の着替えや下着なんかも無いの」
「取り寄せましょうか?」
「………いや、あの、出来ればお風呂に入っている間に」
「この階は浴槽型があるけど9ブロック先。 80メートルは歩かなければならないわ」

181 :LHS廚 :05/08/24 01:21 ID:???
「……一寸待って。 私が思うに、取りあえずサツキに男子制服とってきて貰うとか」
「あたしもそう思って聞いたんだけど、シンジ君はとっても焦ってて、そんな考えは出てこなかったわ」

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「うわ、うわ、うわわっ」

シンジ君の焦りは頂点に達していたわ………で、唐突に出た言葉は。

「お二人の服、貸してもらえませんか?!」
「は!?」

「じゃ、リツコ主任の白衣を借りたら……」
「そんな下着着てても豚箱一直線なスタイルになりかねないのはいやですっ!」

「あたしの服はワンピースだから無理」
「制服の着替えっ」
「……女子の制服を着るのは、いいの?」
「9ブロックの我慢です!」
「そう……でもごめん。 制服は施設内のクリーニングサービスに出しちゃった。
 明日、あたしは休みの日だからちょうどいい、と思って」

で、さっきの爆笑の原因ね。

「……本当に、いいの?」
「え?」
「私、いつも着ている服、もう一着……このバッグの中に入ってるけど……」
「貸して下さい! 背に腹はかえられないですっ」

数分後、胸の辺りとかが妙にだぼだぼな、妙に魅力的な印象の彼が主任を連れて飛び出していった。

「………しばらく起きないアオイの服を拝借、って言う手でもよかったんじゃないの……?」

自分でもどこか着地点のずれてる意見をつぶやいて。
早速、あたしは被服課に彼のサイズに一番近い下着などを支給してもらいに行ったの。

182 :LHS廚 :05/08/27 00:38 ID:???
「でも、シンジさんが女性の服を着るって言い出したのは……一寸ショックだなぁ」
「……理由はちゃんとわかるんだけどね」
「あね?」
「彼女とした事を、自分で説明するまで私達に知られたく無かったのよ。 それに」
「それに?」
「ノゾミだって一月ぶりにシンジに甘えたかったでしょ?
 そんな時に職権とかを利用して早速抜け駆けした子がいたら?
 私達がその事知ったら、アオイさんをベッドからポイって……早速襲ってたわね」
「『嫉妬半分その気半分』でね」

「アスカさん」

「是が非でもお風呂に行きたかったのよ、あいつ。服脱いで、全身を洗って」
「証拠を消したかった?」
「そうじゃなくて……『匂い』を嗅いでリツコがその気になるのも、嫌だったのよ。
 リツコが自分を好きになってるとは思ってなかったんでしょうね。
 キスはともかく、自分を好きだって言ってくれる子としか、シンジはHをしてない。 リツコが体だけでもその気になって、なし崩しにそのルールを破っちゃったら」

「抱ける女なら誰でもいい、って事になっちゃう。シンジはそれが嫌だった。
 何より、それを認めちゃうと。今度は私達の想いを傷つけてしまうと思った。
 本当は自分だけを愛してほしい、って言う私たちの想いを踏みにじったと
 思ってるシンジにとって、もう一回はどうしても出来なかった……」

「………」

「ま、アタシ達が風呂入ってる間に来ればシンジに抱かれたアオイが寝てる、とか
 男湯にリツコが入ってこないと信じていた、とか……細かい所は穴だらけだけど」



183 :LHS廚 :05/08/30 00:20 ID:???
マユミと経験した真っ白な世界とは逆の真っ暗などこか。

ずきずきと痛む後頭部。


確か僕は、女装した姿を誰にも目撃されなかった事を信じてない神様に感謝して。
男湯に入ったらリツコさんも入ってきて驚いて。
慌てて出てもらって。
通路と繋がってるドアに鍵はかけられない事を思い出して。
脱衣場と浴室の間の扉は掛かるのは同じ型の風呂場をいつも使って知っていたから
着替えからそっちでやろうとして慌てて飛び込んで……。

あれ? と気付いたときには「それ」はもうそこにいた。


目の前に見えたのは、あの時助けてくれた一本の茶色い糸。
顔じゅうに広がる、暖かいもの。
そして、アオイさんのように、僕をちゃんと読んでくれる声。



「良かった、気がついたのね!」

暖かい何かは、リツコさんが流してくれた、涙。



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「えっと、何があったんですか、僕は……」
「慌てて動いたから、私の……シンジ君のウエストより少しだけ広いスカートが
 ひざの辺りまでずり落ちて、それに足をとられて転んで頭を打ったの」


意識が戻るにつれて、僕は上半身がリツコさんの体に包まれているのに気がついた。

ヒカリやアスカの同じ大きさの体とは違う、支えたいノゾミとも違う
サツキさんのような、でも何か違う、懐かしい……。

「少しだけ、覚えてるんです」
「なに?」

あの三十日(僕自身にはたった数十分ぐらいのことだけど)の話を、僕はした。
理由はわからない。
でも、この話はリツコさんに最初にしなければならない気がしてならなかったんだ。


一本のこげ茶の糸の,、『励まし』という暖かさは、彼女がくれた気がしたから。

186 :LHS廚 :05/09/18 23:00 ID:???
ども。
仕事を兼ね、仙台まで行って結婚式に出席してきますた。
……棒組すれの方、心配をおかけしたようで。
最短更新です。


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「実は、その、リツコさんじゃないかな、と思っているんです、けど……」
「なに?」

確かに、リツコさんだ、という確信があったわけでも、無かったよ。
でも、話していくうちに、どんどん真っ赤になって行くリツコさんを見て
後頭部の生え際あたりがちりちりとざわめく感覚にとらわれた。

それは、EVAに乗ったとき、感じるようになったあの感覚。
学校の生物の授業とかで見たことのある。

獲物を狙い打ちに出来そうな、猛獣の、視線。



187 :LHS廚 :05/09/21 00:38 ID:???

「それで、木の下に母さんみたいな人が現れて……」


私が彼に好意を持ち始めたのは、あの朝日の中の握手。
彼の手は、とてもふっくらとして、私達の命を賭けて戦っている手とは思えなかった。

私がそれを隠したくなくなったのは、彼に愛されているサツキを見たとき。
あの『手』が私以外を触っているのに腹が立っている自分に気がついたから。
……もっとも、熱が冷めた後のひと時ははかなり悲惨だったけど。

いよいよ私が気持ちを隠さなくなったのは。
バレンタインデーをきっかけにして、決定打はマリイさんとの話の中で。
一度くらい、正直になってもいいんじゃないか、って思った。
彼に思い出をもらうくらい、ならいいんじゃないかな、って。


「だから、手を伸ばして、あの人を突き飛ばして」


元の世界に帰る切欠が私らしいことを知って。
本当に嬉しかった。

188 :LHS廚 :05/09/22 23:12 ID:???
そこまで気持ちが膨らんだとき。
彼の左手とお風呂場のタイルに挟まれた鈍い輝きが見えた。
多分、サツキが手渡したであろう、あのショッキングな写真が入ったケース。

彼がそれを握り締めたのは無意識だと思うけど、その行動に悔しさがこみ上げてきた。
多分もう、私が入り込む隙間なんか、無いんだろう。

「でも、みんなの気持ちも、糸に例えられていたんです……本当に、うれしかった」

彼には帰る場所が、しっかりと、ある。 今の私にはもう無い、ここでは多分もう持てない絆。

司令に別れを告げた私には、もう買えるところも無い。
戻るつもりは無いけど、加持君のそばには今も、ミサトがいる。

そう思ったとき、私の中で何かが変わった。
あの朝日の中の握手と、『糸』を信じたかったんだと思う。
まだ、赤木リツコと碇シンジの絆は切れてない、と。

それと同じくらい、暗い怒りも,心に広がってきた。
あれ程たくさんの女の子達の気持ちを理解できるようになったくせに。
たった今、目の前にいる、私の気持ちに気が付かない彼に。

「……リツコ、さん?」

ムカムカが更にひどくなっていく。
顔が険しくなって、どこか、暗い気持ちが頭を占めていくのを抑えられない。

「私を、忘れ、ないで……」
「え?」

この先シンジ君の心の中に、私が恐怖と同じ意味で残っても良かった。
彼が私を襲う存在として、『あの日』まで覚えていたとしても、そのときまで、私は彼の中にいられる。

私が襲うようにシンジ君を、その唇を求め、塞いだのは、そんな理由だったわ。

189 :LHS廚 :05/09/25 00:43 ID:???
すいません。

『あの日』まで覚えていた

『あの日』までしか覚えていなかった

-----------------------------------------------------------------


最初の一回目は、ただ唇を私のではさんだだけだった。

「いつっ?!」

でも、シンジ君の唇のはしが私の、ふつうの人よりも一寸大きくて、とがった犬歯に引っかかって。
かなりぶかぶかなわら氏の上着の隙間越しに、流れてく。
私のと、彼の、二人分のしずくが混じって。
私から流れるしずくを想像させた。

「……リツコ、さん?」
「私ね、シンジ君が好き。 アスカやマリイ博士や……ヒカリちゃんと想いでは、負けないと思う」
「ええ!」

胸をはだけさせて、白い、でも、NERVの護身術などの訓練によって、初めて会った時には無かった
『男』を意識させる、筋肉の盛り上がり。

特にあの『影と繭』の辺りから、彼は必死になってトレーニングをし始めていた。
その原因が、あの子達。


「え?! いや、ちょっと!!」
「怪我させたのは、私だもの……」

さっきまで流れていた雫の流れを、舌で拭い取るように、さかのぼる。


190 :LHS廚 :05/09/29 01:56 ID:???

ふと、自分に傷を付けるだけだった『あの人』の性癖を思い出す。
彼はなぜか、自分の体……爪や歯、指などで痣を作ることを好んだ。

それも、細心の注意を払って。 他人の目に触れにくい場所、
他ならぬ私自身でさえ、見ようとしなければ確認できないような所へ。

ユイさんや、しばらく関係のあった母を思い出す限り、特にそういう趣味が
あの人にあった、とは聞かなかったのだけど。



そう言えば、という気持ちで彼の左肩に舌を這わせる。
確か、『猛者』な彼女が鎖骨のすぐ上辺りにつけた、って言ってたわね……。

「やっぱり」
「……え?」

なかった。
ヒカリちゃんがシンジ君との初体験の時に、痛みに耐えかねて付けた、という歯形。
かなりはっきりと付いてしまったので、『流石に一寸気になってしまうんです』と
あの時マリイさんが言っていた、初めてを取っちゃったヒカリちゃんに
メンバー全員の嫉妬心を一寸だけ持つ、本来消えるはずの無い傷痕。

それが無い。
きれいさっぱり、痕跡さえも。


「嫉妬の証明……そこまで真面目にしなくても、いいのにね」
「……『傷』の、事……っ?!」

そう耳元でささやいて、『なぜその事を?!』って驚いたままのシンジ君の。
微妙に開いた唇へ舌を差し込んで、こじ開けて、少し彼の血が混じった唾液を
繋がった所へ貯めて、かき混ぜる。

その音を聞かせるために。

191 :LHS廚 :05/10/03 23:38 ID:???
>棒組スレ
>寝取られた側の対応?

うーん。考えてみたくなりはしますが、誰がいるだろうか。

(やはり、ムサシケイタの二人、モト寝た経由でマヤか)


更新は微妙に短く。

-----------------------------------
訂正。

かなりぶかぶかなわら氏

身長等……体格の違いからかなりぶかぶかになっている私の

==========================


「……シンジが責められっぱなし?」
「なんか、何時もと違いますね」
「でも、あたしが着替えを持ってきたときは、タオルとシンジ君の間で『痛みと初めての幸せ』を噛み締めながら
 シンジ君に手足を絡めてまし」
「きゃーっ!」
「……『きゃあ』?」

----------------------------------------------------------

最初に、その、シンジ君の態度が変わったのは、私がシンジ君の下になったときに
彼がバスタオルを二枚重ねて、私の体の下に敷いて、「本気ですか」って聞いてきたときだったの。


「アスカちゃんは信じたのに?」
「え、嫌、そうじゃなくて。 アスカ本人に聞いたんですけど、その、僕がヒカリと初体験をしたのも、
 その後、目覚めたように、その、慕ってくれる、その……」

「浮いた情、なんかじゃないわ? ずっと前から、レイを助けたあの頃にはもう、小さいけど気持ちはあったと思う。
 だって、あの朝日の中、シンジ君とした握手で、貴方への気持ちがはっきりと自覚できたの」

195 :LHS廚 :05/10/10 00:13 ID:???
ちょい微妙かな>嫉妬

後は、訂正が一箇所。

>>181

「あたしの服はワンピースだから無理」

「あたしの私服は今着てるワンピースだけだから無理」



では更新。
-----------------------------------------------------

私にとって、先輩は人生の目標であり、仕事の師匠であり、恋とは微妙に違う、好意の対象。
恋の対象にはならないと思う。 先輩に対する感情はまず『尊敬』ありき、だから。

何より、先輩自身が望まないと思う。
自分の望むことなら何でも、と言う私と違って、先輩の恋愛に関する感覚は硬いから。

そんな人が、よりによって自分の母と関係があった司令と関係を持ち出した。
しかも、他ならぬナオコ前主任が異様な自殺を人生の終焉に選んだ直後、と言う事実もあって。
私は『自分の大切にしたいものが汚されていく』、と言うイメージを勝手に作っていた。

だから、私は先輩と司令の関係を調べるために、こっそりサーバ・LABOR-011316を立ち上げた。
MAGIの検査プログラムをスルーできるスニッフィング・プログラムと一緒に。

彼女の私生活を一寸だけのぞいてみたい、って言う欲望も、あったけど。
一番の理由は。 司令がもし先輩を傷つけるなら………。

そんな監視が数年続いた頃、先輩に変化が現れた。
原因は、14歳の少年。

-----------------------------------------------------

マグマの中からシンジ君がアスカを助けたあの日以来。
本部勤務の職員が彼に対して持っていた評価は、確実にいいほうへ変化していった。

ただ、私の視線の先によくシンジ君が入るようになるには、もう少しだけ、時間が掛かった。

その日とは。
2015年11月23日。

零号機の第二次稼動延長試験と使徒襲来があった日の、10日位後。

…………先輩の、誕生日。

196 :LHS廚 :05/10/10 00:14 ID:???
すまぬ。

彼女の誕生日は11/21でした。

197 :LHS廚 :05/10/11 01:57 ID:???

最初は、たわいもない話のはずだったのよ。
あのプリズム型使徒がシンジ君を撃ち抜く日の、前日の。

『ねぇ、シンジ君は大人の女性に興味、あるかしら?』
『そりゃぁ、シンジ君はそういう事に興味持ち始める頃ですし、
 レイちゃんと話せる様になるまでの間、葛城さんの毒牙にかかって、とか。
 噂だけなら結構、在りましたから。 事実、酔った葛城さんが日向さんに……ぁ』『何?』
『その……シンちゃんの「おちんちん」のサイズを知れる位に見た……と』

先輩は、自分のオフィスの真向かいにある、作戦部長の部屋へ直行。
『そういうことを他人に漏らすな!』と大喧嘩になった。

その時のしこりは、『それじゃ、役得じゃない!』と言うのが、一寸だけ。

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次のきっかけは、シンジ君とアスカのユニゾン訓練。
二人のシンクロが上手く行き始めるにあわせて、先輩のタバコは根元まで吸われて行くようになった。

----


そして。

『………え?』
『え、えっとですね? 昨日、アスカや綾波の誕生日を、その、知る機会があって。
 それで、あ……の、リツコさん、の誕生日も、判ったんで、す。
 流石に、誕生日パーティーをリツコさんの都合を考えずにやるのは……。
 で、でもっ。 やっぱり感謝の証があの日の肩揉みだけ、って言うのが、どうしても、
 感謝の証とするには足りない気がして、引っかかってて……だからっ!』

彼が差し出したのは。 花麒麟と一緒、先輩の誕生花のひとつである
小さい「かりん」の花があしらわれたペンダント。
それと、たった今みたいに顔を真っ赤にしながら買ったであろう、四つのショート・ケーキ。


『そ、それじゃ! これからもよろしくお願いしますっ!』

そう言って帰ったシンジ君は、おそらく知らない。


先輩が顔を真っ赤にしながら、その場ですぐペンダントをいそいそと首に掛けたことを。
その純情なその行動が、「かりん」の花言葉が……「唯一の恋」だと知っていたから、と言う事も。

……この日から、司令の元へ、行かなくなった事も。

200 :LHS廚 :05/10/15 01:00 ID:???
先輩が、変わっていった。

鋭くて、強くて、美しい刀みたいだった人が。
セカンド・インパクトに消されかけた青春を取り戻す努力を忘れたあの人が。

化粧を、香水を、自然な気持ちを手に入れようと努力していた。

無理に自分の気持ちを理解して欲しい、と願っていた訳ではないけれど。
司令との関係の縁切り。
先輩があの日々の中に置いてきた『青春』の体験も。

全部、シンジ君が持っていってしまう。
それは、私にとって嫉妬を大きく煽るのに、十分だった。



「……それでも、恋じゃないって、自分に言い聞かせてたのね、先輩」

怖かったから。
歳の差、自分がシンジ君に思いを寄せる以前、誰と関係を持っていたか。
臆病にさせる要因は、そろっていたもの。



そんなある日、転機がきた。
アスカに告白する為に、プレゼントを模索していたシンジ君。
私に相談してくれた事に運命を感じ、色々画策した。


サツキから、どう言うプレゼントがいいかと相談されたとき。
先輩を落ち込ませる為に『誕生日の花言葉』を題材にさせた。
少し大きめなブローチを作る事にして。
カエデやアオイも巻き込んで。

アスカの誕生パーティー以降、先輩はかなり落ち込んだ。



201 :LHS廚 :05/10/16 00:04 ID:???


微妙に青みががった映像。

理由は不明だけど、同じ服装をした先輩とシンジ君。


少しだけ、精悍な顔つきになって、戻ってきたシンジ君の膝を包むように
先輩のスカートがくるんでいる。

シンジ君は大人の充実した体の下で脱出すべく必死にもがいているみたいだけど、そうはさせない、とばかりに先輩はスカートのベルトを締め、彼の足の間に両足を突っ込んで。
スカートの形、布が伸びるときに出来る余裕、すべてを使って簡単な拘束具を作り上げている。

「やっぱり、本気なんですね、先輩……」


----------------------------------------------------

私が仕掛けたいたずらは生まれ始めた先輩の気持ちを壊せたはず。
それなのに、先輩が司令の元に帰ることはなかった。

でも、何かにとり付かれたようにふとシンジ君絵の気持ちを見つけてしまうようで、すぐに否定しようとした。
霧島さんが姿を現した一月以降は特に。



「『初号機が殴りたかったのは私』、か……」

シンジ君を無視し、初号機を優先して取り返そうとして、葛城さんに叩かれた時のように。

それ以降は、言うまでもないと思う。

シンジ君は母親の命日に童貞を捨て、その数日間に幾人もの女性と関係を持っていく。
先輩の気持ちは、本人以外に無視され、置いてきぼり。
今度こそ、帰る場所の無くなったひとに手を差し伸べる前に、彼女はあっさりと開き直ってしまった。
松代で、マリイさんが関わっているらしい事だけしか、理由らしい事はわかってない。

202 :LHS廚 :05/10/23 23:23 ID:???
シンジ君の呆然としていた瞳に、しっかりとした意思が宿った。
『オトコ』とも、『タチのオンナ』とも取れる、狩人のような、視線。

その視線に、私も、先輩も、一まとめに呑まれていく。


『本当に、僕の事を………?』
『ええ。 リツコは、シンジが、好きで……?!』


数回想いを込めたキスをされて、愛されて。
想いに応える気持ちが出来たのか。

それからのシンジ君の、『攻撃』は、とても鮮やかで。
あっさりと先輩を組み伏せて、僕のもの、って言う証をやさしさと一緒に。

刻み込んで、いく。

経験豊富な私ですら、うっとりとしてしまうものだったの。

----------------------------------

いつ、攻守が逆転したんだろう。
いつ、私がバスタオルを敷かれたタイルの上で。
彼を受け止めつつ、喘いでいるんだろう。


「どうか、しました?」
「私の気持ち、信じてくれたんだな、って」

真っ赤になる、笑顔。
でも、手は止めてくれない。
司令とは違う、自分の快楽だけに染まらない。
あの日と同じ、あったかくて、私の気持ちをすべて受け止めてくれる、ふっくらとした手。
それに答えていく、私の心と、体。

「本当は、少しだけ、そんな気がしてたんです」
「あの子達から、聞いてたの? バレンタインの事、とか」
「糸が、あの時母さんから僕を助けてくれたあの糸が、励ましてくれたんです。
 まるで、物語に出てくるヒロインみたいに、『シンジ君!』って」

そっと、彼は束ねられた髪を解いて、左右に散らしていく。
『こんな色だったんですよ、リツコさん』とつぶやいて。
髪の毛のひと房を手にとって、そのままつつっ……と私の頭へと手を流す。

「『糸』の付け根、そこにあるのは、頭……こころの入れ物だから。胸にしまった想いが伝わって……」
「きゃうっ?!」

右手によって付けられた、乳首への刺激によってのけぞった私。
少し緩んだ唇は、差し込まれた舌に、すぐさま自分勝手に応えて、すべてを絡めていく。

203 :PDX. :05/10/23 23:38 ID:???
>>202
リツコ弱っw
というかシンジが強すぎなのかw

204 :LHS廚 :05/10/24 00:23 ID:???

一寸訂正(って言うか、追加)。

『シンジ君!』って」

『シンジ君!』って。 アスカ達の話だけじゃ」
「信じられなかった?」
「はい。 ちょっと唐突過ぎて」

-----------------------------

でも、その行動は、本当はの自分の気持ちがしっかりと付いていっているもの。

答えてくれないと思っていた気持ちに、応えてくれた。
自分が求めてやまなかった、気持ちに、応えてくれた。
だから、私か彼のものになるために、全身から抵抗の意思を捨てていく。

覚悟を決めた瞬間からしばらくは、私の体から漏れる声とシンジ君からもたらされる音。
目に映るシンジ君の、やさしさと獣欲の混ざった瞳。
肌に感じる女慣れした手のひらと、司令との時と違ってなぜか落ち着く肌の暖かさが、すべてだった。

シンジ君は、私に体を擦り付けて、においを移すように。
司令との関係で付いてしまった小さい傷跡に嫉妬して、キスマークでそれを覆ってくれる。
そして、程なく気付かれた。


私がまだ、処女である事に。


「……あ」
「やっぱり、判っちゃうんだ。 一寸、悔しいな」

シンジ君の指は、私の体にどこまでも、やさしくて。
体の隅々までなぞってくれる舌は、私をきれいにしていってくれる気がした。

デモ。
程なく、『穢れた処女』である私の欲望は、我慢をあっさりと放棄した。

司令にされていたときには考えもしなかった行動。
両手を広げ、性器を見せ付けて。

「リツコを貴方の女にして」

司令よりも残酷な……自分だけを愛してくれないと判っている男へ。
私は、すべてをさらけ出した。

205 :LHS廚 :05/10/24 00:28 ID:???
ぐはぁ。
レスついでに気付いたミスを訂正。

本当はの自分の気持ちが

本当は自分の気持ちが

---------------------------------

>>203 PDX.さん。

毎度、感想感謝です。


>弱っ

(ユイに仕込まれた)父親と同じ愛し方は、彼女にとても馴染むのではないかな、と。

206 :LHS廚@205の続き。 :05/10/24 00:38 ID:???
ただ。
ひたすら安心したくて受け入れたのと、本心から受け入れようとしているのでは。
少しは出来始めたであろう、『シンジのオリジナルな愛撫技(?)』などをふくめて、
ベースが同じでも感じ方、本人の受け取りようも違うと思うのです。

----------------

すいません。こぴぺミスりました。

207 :LHS廚 :05/10/31 21:42 ID:???

『清い方・汚いほう』

大奥で将軍の手が付きやすいのは中臈(ちゅうろう)と言う位の女性たち。
会社で言えば、さまざまな仕事をこなす重役クラスな方々。

彼女達に使われたという隠語で、将軍との関係を持ったかどうかで決まる。
上様と関係を持っていない人は『清い方』
一度でも褥をともにした中臈は『汚いほう』とよばれるそうな。

===========

「そう言えば、サツキさんは何時からお二人の絡みを覗いてたんですか?」
「か、絡みって……」
「いいのかな……ま、いいか。  えっとね、まさにシンジ君に処女散らされる瞬間あたり」

----------

一応、ちょっと躊躇いはしたのよ?
シンジ君の安全の為に丸ごと閉鎖されてるブロックの中にあるとはいえ、男風呂に入るのは初めてだし
盛り上がったリツコさんがシンジ君と始めてしまってるかもしれないのに。
ここ数ヶ月に想像したいやらしい事は、すべて実現してしまってるのに。

まず女風呂を覗いて、二人が居ない事を確認して、さらに数分間の躊躇の後。
あたしは腹をくくって、扉をくぐった。



「……やっぱり」

シンジ君のやさしさか、二枚重ねのバスタオルと彼の体の板ばさみになったリツコ主任の
30歳の豊満な肉体は、彼のコントロールの元、快感の供給を受け取っていた。
製造を一気に引き受けているシンジ君に手足すべてを絡ませて、半分の年齢の子供から
なりふり構わず、求めるものをすべて吸い取っているように、見えたわ。

208 :LHS廚 :05/11/02 22:57 ID:???
取りあえず、出来てる分まで。


==================


なにより、その表情は、ようやく手に入れた幸せを噛み締めているみたいだった。

今まで手に入れられなかったものを、大切に抱き締めているような。
本当に、ようやく、やっと。
時々噂になっていた碇司令との関係ですら満足できてなかった、と言っているような。
快感と一緒に、どことなく何かに甘えているような……。
とても、満たされてる感じ。

こんな時に、そう感じるのはおかしいとは思うけど。

でも、お父さんに抱っこされているような、そんな気にさせるものが、あったわ。
あの時、快感の間に見えた微笑は。

甘える事をようやく知った、子供みたいだった。



----------------------------------------

主任は少しの間『こども』を楽しんだ後。
そっと、両手を広げて。

「リツコを貴方の女にして」


それが、合図。



209 :LHS廚 :05/11/03 23:14 ID:???
えっと……その先も説明しなきゃ…駄目、だよね、やっぱり。

シンジ君はそっと主任を抱きしめた後、腋の下に手を入れて、肩を抱えて。
やっぱり場数を踏んでるからかな、一寸ずらしただけで入り口を見つけ、
顔中にキスを何度もしながら入って行ったわ。

えっと、アタマの部分が本当に見えなくなった時小さく『ひぎぃ!』って悲鳴を
主任が上げて、シンジ君の背中に爪を立てたの。
それに合わせて征服していく彼のと繋がって行く花弁の辺りから、薄くなった血が漏れて、『ああ、やっぱり処女って血が出るんなんだな』って、変に感動しちゃった。

え? 私? 実は殆ど出なかっ……って。 ま、まぁその辺は一寸後にしましょ。


時間にして三分ぐらい掛かって主任の『開通』は成功。
さっきと違って顔と涙と体全体で痛みを表現するリツコさんを抱きしめて
シンジ君はずっと動かなかった。

ただ抱きしめるだけじゃなくて、涙をキスで拭い取ってあげるとか、脇腹の辺りからそっと乳房を押し上げるように集めて少しだけ色素が付いた乳首をくわえたり。



210 :LHS廚 :05/11/03 23:14 ID:???
一寸だけ感動したのはネックレスね、右腋に垂れてた。
シンジ君がそれに気付いたとき、ちょうどそこに歯型……つまり前のオトコの影が見えちゃったとき。

主任、酷く慌てちゃって。
『あ、その、こ、これは……』って。
まぁ、初めてなのに、そんなところに傷、それも歯型があるって言うのも、ねぇ。
でも、シンジ君は『多少は嫉妬しますけど、そんなに気にしなくても大丈夫ですよ』って。
『それよりも、このペンダント、してくれてるんですね……。こっちのほうが、よっぽど、嬉しいです………それに』
『……え?』
『花言葉のとおりに、なっちゃいましたね?』


「赤木リツコ」と言う花はこの瞬間、満面に咲き誇った気がした。
一瞬にして真紅に染まった表情は、最高にきれいだった。
『この人を選んでよかった』と両手、両足、シンジ君のほほにすり合わせている額。体全部を使って、たった今、自分が感じている幸福を彼に伝えている。


一方のシンジ君は気障な感じもしたけど。
リツコさんと同じくらいに真っ赤な顔をして。
お風呂場の鏡越しに写る、照れたような、満面の笑みは本心からしゃべっている証。
彼女は何時もの主任ではあり得ない素直な感動を体全体で表して。
満面の笑みはシンジ君が主任の中でイクまでそのままだった。



最高の初体験……ちょっと、って言うか……かなり、羨ましかったな。

----------------------------------------

>棒組すれ。
>かわいいっすよ、リッちゃん。

セカンドインパクトによって、本来味わうはずだった『青春』を失って
一番損したのは多分彼女だと思うのです。

(ミサトは加持で何とか取り戻したかな、と思います)

で、それを取り戻そうとしている彼女を想像したら意外に進みました。



211 :LHS廚 :05/11/06 22:51 ID:???
どことなく、恥ずかしかった。
特に意味もなく手渡したペンダントがこんなにも大きな意味を持っていたなんて。
真っ赤になった頬をすり合わせて、精一杯甘えてくるリツコさんが、妙に可愛くて、いとおしくて。

僕を求めて手も、足も、『僕』を覚えようとして必死に締め付けてくるあそこも。
言葉がなくても、気持ちが伝わってくる、って言うのが実感できた。

「汚れた時、初めて判る気持ちは、うれしい物もあるのね」
「え?」
「この前、ミサト達と友達の結婚式に行ったの。
 丁度……あなたが、ヒカリちゃんと初体験をしていた、あの日ね」

話を真剣に聞きたかったから、体重をかけないようにしながらリツコさんと目を合わせる。
潤みきった瞳の奥に、しっかりとした決意を感じる。

「披露宴が終わって……落ち着きたくて三人一緒に喫茶店に行ったの。
 加持君からね、お土産を貰ったけの。 結構良いデザインのアクセサリーだったけど……。
 『残念だけど』っていって、返しちゃった」

そういって、リツコさんは胸に載せたペンダントを心臓に押し付けるしぐさをして。
こんな時の『会話』に……少しなれた僕でも真っ赤になるしかない『告白』をしてくれた。

「その時も、このペンダントは私の首に掛かっていたから。アスカにあなたの心が向いていたとしても。
 アスカに振られて、霧島さんとか、マリイさんとか。 他の人の元へ気持ちが向いていっても。
 この『鎖』で私の心は縛られてたから。 嫉妬は、していたけど」

212 :LHS廚 :05/11/06 23:53 ID:???


「けどね。 それでも良かった。 私は歳とか、さっきの歯形とか、色々あったから。
 嫌われてしまうかもしれないけど、覚悟して言うわ。 あれを付けたの……碇司令なの」
「え?!」

その後の告白は、かなり効いた、と思う。
加持さんへの初恋に、父さんとの馴れ初め。
求めていた気持ちと、母さんしか愛せなかった父さん。
僕に父さんを責める事は出来ないけど、でも。

「……たとえ初恋の人がくれたペンダントでも。 今の私には何よりも大切なものが既にあるから。
 だから、私は、返したの……初めて、私だけの為に贈られたプレゼントだったから」

さっきまでの告白で感じていた気持ち悪さがすっと消えていく。
過去は変えられないけど、彼女は今、加持さんより、父さんよりも、僕を選んでくれた。
僕が好きな女性(ひと)が何人も居る事を承知の上で。
それが、ただ、うれしい。

「だから、私の、今の答えは、あのペンダントを拒んだ時、出たの。

 私の気持ちは今の『赤木リツコ』の全てと、このペンダント、で育ったの。
 胸の中、頭脳(あたま)の中。  ぜんぶを使って。
 あの日、レイのカードを渡した時の、シンジ君の手のぬくもりで生まれて、
 気持ちがこもったペンダントと……ケーキを食べて、おおきくなったの。

 今なら、泣きぼくろの話を加持君が言ってきたとしても、はっきり言えるわ。
 『誇りを持って言えるわ。 今、好きな人が居ます』って」


僕は、ただ、抱きしめる事しか出来なかった。

----------------------------------

もらったけの」……って何だ、私。
……”け”は削除で。

213 :LHS廚 :05/11/13 22:52 ID:h3CWgJ8E
すいません、あげさせて……。

----------------


とある中学の教室。

文章で表せばこんなもののはずの空間。

一応、妙に大きい体格の生徒がいるとか、異常なまでに胸が大きい女子とかは……。
ま、まぁ居るけど……たいした事じゃ、ないな、これは。


ある種の動物が季節ごとに抜け替わるような、そんな風に一人が「金髪に生まれ変わった」結果
どう見ても巨乳な日本人は山岸だけになってしまった……まぁ、それも十分妙だけど。

少なくとも、これが広まる理由があるとすれば。
深夜枠を持っている、お色気OKなバラエティー番組の製作者たちを喜ばせるだけ。
あるいは、俺が撮っていた写真を元に、自分用の彼女達を創って想像を広げてきた連中。
いずれにせよ、女性に対する下心以外に、このクラスに興味をもつ男は居ないだろう。



……ここ最近、あいつに起きている事を、除けば。


特に美形って訳でも無ければ、性格が良かった、という訳でもなし。
正直に言えば、洞木と霧島以外の面子があそこに居るのは、妙といえば、妙。
特に惣流は、某無精ヒゲ男が目指す相手だったはず。


「あーん」
「………本当に、やるの? アスカぁ」
「シンジ……もしかして、いや?」
「そ、そうじゃなくって。 僕がアスカから受け取るってことは」
「もちろん、わたくし達も」
「やらせてもらう事になっているの……シンジ君」


だから、屋上で、こんな騒ぎに発展することなんて、無いはずだったのに。

214 :PDX. :05/11/13 23:00 ID:???
>>213 LHS廚さん

 おや、また新しい視点ですか?w

215 :LHS廚 :05/11/14 00:33 ID:+M4xN7Yo
昨日までとは違う、一日。
いや……違う、という台詞ではすまない。

シンジはこの一月に学校であったことを聞くたびに真っ青になったり真っ赤になったり。


綾波がよく微笑むようになったとか。
惣流がげた箱に入っている手紙の送り主にシンジが好きなの、といって回ったとか。
残りのメンバーがとばっちりを食って――手紙だのが届くようになったこと。


山岸に振られた奴が言ってたっけ。

――鈍感な奴って言われてたんだから、最後まで鈍感なままでいてくれよ――



そんな連中に嫌気がさしたのか、それともシンジの元へ行く気になったのか。
次第に皆、登校して来なくなったこと……。


シンジはしゃべらない。
複雑な心境、というやつではなく……鳥の餌付けのように、はしが彼の口に運ばれていくからではあるが。
トウジは、ちょっと複雑な顔で、輝くような笑顔の綾波を、眺めている。

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>>214 PDX.さん。

ハーレムメンバーしか書いてなかったもので、半分は気分転換です。


216 :LHS廚 :05/11/19 23:02 ID:???
「ま、ひがみ根性みたいな、……っておい、気を失ってないだろうな!?」

シンジの唇から海老の尻尾が飛び出し、レタスらしい葉だのが見え隠れ。
それでも咀嚼している所を見せないように、文字通り必死に噛み、飲み下していた。

そんなこいつに気づいていないのか、箸の先にはさまれた次なるおかずが迫っている。
こりゃまさに餌付けだ。 箸が親鳥のくちばしに見える気もする。


「あんな、惣流」
「何か変なの?」

「気持ちは判らんでも無いけど、せめて前の奴が放り込んだのセンセが飲み込んでからな、次のを入れたらどうや?
 正直な話、今まで見境無くぶち込んだせいで……センセの口の中、みんなの料理が混じり合って
 味わってたべれる状態やなさそうやし、マズイとはいわんがウマイとも判断でけへんのとちゃうか?」


トウジの反応にうーん、と考え込む一同。


「やっぱり変わったよ、惣流は特に」
「なによぉ」
「いい意味で、っていってるつもりなんだからとんがるなよ。
 トウジの今言った台詞。 以前の惣流なら内容が正しかったとしても噛み付きまくってたぜ。
 余計な事を言わないでよ、この馬鹿ジャージとか言って」

217 :LHS廚 :05/11/19 23:49 ID:???
>棒組すれ。
>なーぐるさん……。

まぁ、意欲あってこそ、と言う事で。

……そういえば、こういうんまんさんは……?

218 :LHS廚 :05/11/20 22:34 ID:???
別所・コースケさんへ。

期待させていだだきますです。

>絵版・リツコさん画

寝たとして、ありがたいっす。
さっそく、さっそく。

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ほぼ同じ時間。

ジオフロント内・第二発令所。


部長のたっての願いを聞いてくれたシンジ君のお手製重箱弁当(三佐の分も込みで四人分)。
依然聞いた話の通り、無数に伸びてくるハシ、はし、箸。

「今回はちゃんと私達の好みに」
「って言うか、サツキ達の好みなのよ」

そしてゾロゾロと現れるにわか批評家。
まひるとかミナモあたりならまぁ、この前巻き込んだから良いとしても、何でこんなに群がってくるのだろう。
箸がくちばしの様についばんでいくのを三佐込みで眺めてるしかないのかしら。

「多分違いますよ? サツキさんはもう少し濃いほうが好みのはずです」
「あ、そうか。 小鈴ちゃん達付き合い長いもんね」

と、いうことわぁ、と妙なにっこり顔で一同の視線が一点に注がれる。
つまり、私の隣の主任に。

「うらやましいですぅ」
「!?!(&&%&☆=〜−0gwsmt+*(;゚Д゚)◎■△☆★!!!」

葛城さんが出した妙な猫なで声に技術部長が珈琲を噴く。
妙な水芸と咳き込む音。 カスミの『大丈夫ですか?!』が続くことしばし。

「あなたは加持くんと結婚するつもりなんでしょうが!」

リツコさんの渾身の仕返しは十二分に効果を発揮し。
彼女が女子職員の羨望と、一人の寂しげな視線から開放されるまで、しばらくかかる事になる。


でも、葛城さん自身、あまり嬉しく無かったみたいだけど、どうしたんだろう……。

219 :LHS廚 :05/11/21 19:42 ID:???

直前分、微妙にリツコ的言い回しになってる気がするので修正。

依然聞いた話の通り、無数に

あの時のように、一斉に無数の



今日は平日だけど根性入れて更新してしまうでしょうっ。


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「酷く、もまれちゃいましたね」
「幸せ、ってこういうものなのかしら」

あたしの苦笑に力なく答える三佐。
疲労と羨望とかすかな興味をごっちゃにしたような表情は、今までの葛城さんとは違う。
まるで、別れ話を切り出されてしまった女のよう。


「ねぇ、サツキちゃんもシンちゃんとその、した事あるのよね?」
「……ええ」

「どうして、シンちゃんはあんなにモテるの? とくに」
「あたし達が、彼をいい男へ『育て上げよう』としているから、かも知れません」
「そだてる?」



シンジ君は、初めての彼女としてヒカリちゃんと結ばれる前から。
何より、この数週間で成長しようと努力している。

体術ではアスカちゃんにマナちゃん。
基礎学習にはマリイちゃん、あたし達。
食事などのサポートは洞木姉妹の役目。

シンジ君が与えるものは? SEXの快感だけ?
違うと思う。

リツコさんのような、恋する淑女?
それだけじゃない。


全員の気持ちにこたえるべく努力しているシンジ君。
以前あたし自身が言った。 『貴方にはちゃんと勇気もあるし決断も出来る』って。

シンジ君は成長できるし、今、恋人達の為に、確実な努力をしてくれている。
勿論、自分の為でもある――あたし達は彼をメイドみたいにしたいとは思っていない――し。

220 :LHS廚 :05/11/23 21:48 ID:???
まず。

大まかに纏まってるとはいえ、これで良いのかと思いつつ。

不安だ。

(彼女の場合、レイ亜梵後のあれが頭にこびりついてるのです)


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「でも、シンジ君の周りにたくさんの女性がいるのに」
「それ、本人にも言われちゃいましたよ」
「なんですって?!」
「今の僕は、ベッドの上以外で愛してる、なんて言えない男なんですよ?良いんですか? って」

口を大きく開けた三佐にあたしのほうから打ち明ける。


シンジ君のほうから増やしていった訳では、無いこと。
あたしにいたっては、みんなの承認をもらって参加したこと。
何より、望んでこの関係に加わった人が全てであって、それが厭な人は誰もいないこと。


葛城さんは、何も言わない。


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ショックだった。


『ここは貴方の家なの』

あの時、初めて家に来たシンジ君に言ったのは、嘘じゃなかった。
本気だった。




あの時、車を飛ばして送還されかかっていたシンジ君の元に行ったのも。
シンジ君に言ったのも。
本気だった。


JAの時も、アスカが家で暮らすようななったときも、三佐へ昇進したトキも。
隠したいことや隠さなければならない事が幾つかあったにせよ、本気で接していた。


デモ、オイテキボリニサレタキガスル。




221 :LHS廚 :05/11/23 22:11 ID:???
吹雪の中、整然と並ぶエントリープラグ。
ボロボロになりながら、それでも娘を助けてくれたお父さん。

JAの中。  紅いライト。
用意された奇跡を知らず、あたしを心配してくれた彼。

次は、外から見た脱出カプセル。
今度は逆。 扉が開くことが、絶望への入り口。
開いた扉。

青くなって何もできなかった自分と。
あたしと違って気持ちを隠さずに、初号機にぶつけて行ったリツ……?




あ、あたし、いま、何を考えたの?!


------------------

取り敢えず、ここまで。
さてさて、納得のいく決着をつけられるかな、私。

222 :LHS廚 :05/11/25 21:00 ID:???
業務連絡。

>棒組スレの方々。
>タイトルあれに決めたん?

取り敢えず借タイトルが無いと困るだろう、と言う事で『あれ』にしてもらいましたが、完結した後で
もう一度募集をかけることを考えてみたい、というところです。
最初の募集でちゃんと考えてくれた方々に、この結果は済まないと思いますし。

>(非シンジ)ハーレムすれ。
>『アスカ〜』を期待されている(?)方。

済みません、ちゃんと書いてはいるのですが、シナリオの中核部で一つ悩みまくっている所が在るのです。
スレがDAT落ちしているのに気付かなかったのも、情けないところです。





223 :LHS廚 :05/11/27 00:43 ID:???
>棒組すれ。
>変な名前やなぁ。

書かれると、答えてしまうのが私なので。
(新しい読者の方が方がもしいらっしゃったら、というわけで最初から説明)

以前より、この作品の題を決めてくれんね? とお願いしたところ。
完結してから決める、という意見がちらほらと。
で、取り敢えず下記のようにしました。

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仕方ないので、例によって資料から模索………。

丁度良いのがあったので、ちと長いですが仮タイとします。

(つまり、まだ募集はしてます)


仮タイは……『畜類め、繁りやがれ!』とします。

江戸のスラングで、モテない人がモテる男へのいやみな台詞だそうです。

意味は
『ウマくやりやがって……発情したケモノのようにいちゃつきやがれ!』
大体こんなものらしいです。

------------------------------

まぁ、こんなタイトルなら目立つだろう、というのが一つ。
私が根っからの江戸好き、というのが一つ。
>>222 に書いたとおり募集停めてないっすよ、というのも。

224 :LHS廚 :05/11/27 21:32 ID:???
すいません、再編中につき更新はちょっち短縮版……。

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あれから数日が過ぎた。

あたしの内心の動揺と寝不足を余所に、他の面々はシンちゃんとの逢瀬を愉しんでいる。
ヒカリちゃんとご飯を造ったり、リツコとお茶を飲んだり、マナちゃんと屋上で護身術の訓練をしてみたり。

シンちゃん自身は何かと気にしてくれるけど、それがある事実を鮮明にさせてくれる。
自分が何時の間にか、自分の家でよそ者的な立場になっていっていることを。

特に、夜は酷く寂しい。
あたしが寝静まったと思ってる時間帯に、こっそりドアが開く。
シンちゃんの配慮か、他の誰かが決めたのか。
いずれにせよ、あたしが邪魔するはずの無い事で、こうも遠慮されることも。

あたしに嫌な気持ちをさせる事に気付いていないのだろうか。
事実、あの日からシンちゃんとの関係以上に加持君との関係はギクシャクしている。



ううん、多分違う。

身も心も大人になろうと努力するシンちゃんが、今のあたしには、とても、眩しく見えるんだ。
229 :LHS廚 :05/12/06 02:00 ID:???
>納得出来るネタか?

そーなんですよねぇ。
果たして、皆さん納得してくれるかどうか。
取り合えず、ミサトはどっちとも取れる展開で書くことにしてみます。
(多分彼女も得ろありになるのだけは、ご勘弁)

うまく描けるかしらん。

----------------------------
父にマヤの頼みを(微妙に自分の想いの分を足した)日の夜。


あの日を思い出す。

母と一緒に山に居たはずだった。
今は、海の傍にいる。

私を助けてくれていた母の体は、もう体温なんか無くなっていた。

その内、助けに来てくれた人達によって、私は運ばれていった。
母は、そのままにされた。
そのときの状況を考えたら、そうされるのは当たり前だった。
けど、私は泣き叫んで、必死になって、母の亡骸に手を伸ばす。

そのとき、初めて日がさして。

流された木に引っかかっていた……シンジ君を私の瞳に映させた。

--------------------

ジオフロント内・仮眠室。
私はまた、あの夢を見ていた。


230 :LHS廚 :05/12/11 22:15 ID:???
棒組スレより抜粋。
>使い捨て?

いや、加わったかどうかだけ、ぼかそうと思ってただけです。
大前提として『家事亜梵』だけは絶対しない、って宣言してますから。

>オパーイ要員は定員オーバー

子供組三人、大人組二人。
確かに多いっす。


それとは別に。
>某別スレに投下されたメイドシンちゃん。

燃料っすよ。
極上の。


さてさて。
今日の更新で、惹かれ寝たとしてはモロばれになるかも知れへんなぁ……。
(微妙にギャグチックなのは、わざとです)

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真実や嘘の在り処…………私には見えない―――。


チェーホフ・『櫻の園』より。



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正直な言い方をすれば、碇シンジに君に対して恋愛感情と呼べるものを最初、持っていなかった。
いや、もっと広げて好意、と言うレベルにすれば……全く持っていないとは思わない……けど、
私が相手にするには、彼は年下だし、何よりも身も心も弱かった。


少しだけ、みんなが見直したと言う綾波さんとのコミュニケーションも、私には当たり前にしか見えなかったのだから。


いずれにせよ、私が彼に対して持っていた気持ちがへんに変わっていくきっかけを作ったのは、
アスカ達の誕生日にシンジ君が仕掛けた、告白の失敗だったのかも、知れない。


----------------


あの小さなパーティーに参加した理由は、二人に対する義理以外は、大したことではなかった。
積極的に行く理由となったのも、日向君が誘ってくれたせいでしかなかった。
招待されたとはいえミサトさんの家に一人で行くのが、ちょっと尻込みするせいだったのだろう。

意外だったのは、出鱈目な食生活をしていると思っていた彼女は、本気を出せば料理はかなり上のレベルだったことだ。


231 :LHS廚 :05/12/11 22:16 ID:???

主任の話によると、葛城さんの食生活とお酒には、父親ゆずりの頑固とした拘りがあるという。
すなわち、『食べる事と呑む事は楽しく。 でも喋り以外の音は静かに』。

だから、ご飯以外の食べ物――要するにおかず――には、噛む音がしない冷奴に始まってお味噌汁やお刺身など、
和、洋、中……とにかく静かに食べるものだったという。
(何も知らなかったからこそ、葛城さんが包丁でタイを手早くさばき、お皿に盛って行くのには驚いたの)




そんな中、私は目の前に広がる倒錯的な現実に固まることになる。

夏しかない今の日本にはかなりの違和感を感じさせる長いスカート。
白と黒のツートンカラー。
長袖の先やえりを飾るレースの模様。
おそらく葛城さんとマヤが仕組んだのだろう、化粧が施された顔と、唇に淡く塗られたルージュ。
頭にちょこんと乗っけられた、彼の黒髪に映えるレースのプリム。

葛城さんの料理を運ぶ、小さな掌につながる、きれいに磨かれたお盆。



他の人たちは、『メイド』というべき格好をした彼に固まっているだろう。


私の事情は少しだけ違う。
母の仕事は、間違いなく、メイドだったからだ。

そして、少しだけ髪を伸ばせば。
母と瓜二つだったからだ。




ちなみに、アスカへの『告白』はその格好のせいなのか……失敗することになる。

232 :LHS廚 :05/12/16 00:00 ID:???
そんな日々が続き。

ある日のこと。

私はあの日の自分に会った。


------------------------------

ボクは憂鬱だった。
特に理由も無く、というわけじゃない。
あの日以来、シンジさんがボクに触れていないからだ。

冬月さんと言う偉い人が、ボクのためにD級勤務者という資格を用意してくれたお陰で、
あのひとが今いる初号機、と言うEVAに手を触れられるところまで近づくことは出来る。
でも、それだけ。

アスカさんや姉、マリイねえ達より、ボクは遠いところにいる。
触れられただけ、だから。
シンジさんの温もりは体の表面にしか、しみこんでいないから。

だから、今、ボクはここにいる。
シンジさんの傍にいる事が、どうしても出来ないときがある時、ボクはここに来る。
誰が作っているのかは知らないけど、大きく実ったスイカや、大根などの野菜が並ぶ畑。

今日は、そこに先客が一人、いた。

「えっと、洞木さんの妹さん……」
「はい、ノゾミです。 阿賀野カエデさん、ですよね?」

彼女は根掘り葉掘り、シンジさんとボクの事を聞いていた。
なれ初め、姉と一緒にした再会。
ヒカリ姉が彼を受け入れた日の、あの翌日の真剣そうな顔。

『単刀直入に言いますわ。 「子供」か「好きな女性」。 どちらの意味でシンジさんの傍に居たいですか?』
『好きな人という意味では、姉がいます……シンジさんの傍にはいられないと思うんです』
『奪い取れ、とは言いませんが。 彼のそばに居たくないのですか?』

『………いたい、です。 もう一度、誰かを好きになれるときま』
『違います。 シンジさんの傍にずっと、居たくありませんか? たとえ世間がそう簡単に認めない関係でも。
 勿論、他の誰かを好きになるのも貴女の自由ですが。 そう簡単に諦めますの?』

『姉さんに……「姉、負けない」……って、言って良いんですか?』
『決めるのは、貴女です』

マリイさんとかわした、あの電話も、全部。

233 :LHS廚 :05/12/18 23:48 ID:???
何打かんだいって……増やしまくってますね、私。
再構成してると、何度か最後の一人、って書いてる端から増やしてるんですよ……。


>棒組すれ。
>重婚ニュース

四人までOK……なるほどイスラム。

---------------------


あの日から、お昼をあの畑の前にあるベンチでカエデさんと過ごすようになった。

カエデさんのシンジさんへの気持ちが聞けたのは、3日目のとき。

カエデさんのお母さんが本物のメイドさんだったことには驚いたし、セカンドインパクトの被害で
家族を失った人の話をTVのニュースとかじゃなく、体験した人から生で聞いたのも、初めてだった。

お母さんの冷たくなった体から引き離されたことを聞いた時、流石に泣いちゃって。
カエデさんを酷く困らせたことは、一寸恥ずかしい思い出になった。

一寸だけ後悔した、と言う処女喪失の話とか、伊吹さんの勧めでNERVに入った事も聞いたりもした。



今日は、シンジさんのことを気になりだした理由を聞いてる。

「えっと、シンジさんがあのメイド服を着た理由は……ミサトさんの復讐、だそうです」
「あれが?」

ミサトさんがメイド服を持っていた理由そのものは聞けなかったけど、マヤさんと二人で
シンジさんを着飾った理由は、聞いてるの。

アスカさんにプレゼントする筈のブローチがあと一寸のところで出来上がらなかったこととか、
製作に集中していたせいでケーキとかを忘れてたり、ミサトさんの誕生日を祝わないのもおかしい、
と言うマヤさんの話もあって8日に一緒に祝うことになった。

そうしたら今度は、パーティーの直前にミサトさんへのプレゼントを忘れてしまっていたみたいで。

『じゃあ、今決めちゃうわよん。 あたしの誕生日プレゼントは……これに仮装したシンちゃん!』

彼女の気紛れが、あのメイド姿のシンジさんを生み出した原因だって、本人が話してくれたの。

234 :LHS廚 :05/12/25 22:12 ID:tyNL291c

『引っ込みかむろ』

吉原においてとても上級の花魁になると思われる子供のこと。
引き取られた(七歳から九歳)頃から才能あり、と認められると普通の色町の生活から離れ
習字を始めとする芸事を一流の師匠の下でならい、大名クラスとも対等に付合える存在に育て上げる。
教育に付いて行けずに脱落した者も多いが、その教育の結果として上位の花魁には非常に博識な者が数多くいた。


---------------------------------------


この日も、ボク達はお弁当を食べる。

目の前の大人はこの数日で一気に喋らなくなった。

誰かに似ている、というのは恋の出発点としては、おかしくないと思うけど
その対象になった理由が問題だといえるかもしれない。

自分を助けてなくなったお母さん――女性にそっくりと言われるのはシンジさん自身一寸困るだろうけど――
お母さんに対する想いと恋を取り違えてる、と思われても仕方が無いのかもしれない。

でも、一寸意外と思っていたのも本当。
ここにはマヤさんがリーダーという女性同性愛のグループが存在すると言われるくらいに
性に関することがオープンに語られている場所なのに。



翌日。


「おや、意外な取り合わせだね」
「あ、冬月のおじさま」
「ふっ、副司令っ!」

この日、ボクはおじ様に恋の話を聞いてみたのは、興味だけだったんだけど。
ちょっと、嫌な話になってしまった。
おじ様が好きだった人は、シンジさんのお母さんだったから。

「まぁ……恋、というのとは違うかもしれんのだけどね」

そういって始まったおじ様の告白はすごかった。

一通の「刺激的な」レポートから始まった興味。
もしかしたら、と言う気持ちになった時に言われた、シンジさんのお父さんと付き合っているという告白。
ミサトさんを助けた頃に受け取ったという、結婚したという事実。


複雑な気分になっちゃった。
誰かの恋路をきいたのは、これで三人目だから。

235 :LHS廚 :06/01/03 17:55 ID:???
今日はマヤさんがボクの隣にいる。

「えっとね、もし男の人が出そうに成って、それが嫌なら」
「嫌なら?」

マヤさんは実にリアルな手つきであそこの形に合わせて手を丸めて、おちんちんの付け根を
裏側から、もうすくし強くしたら潰れちゃうんじゃないかなと思えるぎりぎりのラインで

「ここをきゅっと押さえるの。 多少強めにやらないといけないけどね」
「うわぁぁぁ。 なんかリアルですねぇ……」
「それは、経験者だもの」

その何気ない一言は、しっかりとボクの気持ちに小さい穴を作っていく。



またある日。

「お? 最近ここに居る子って君のことだったのか?」
「あ、加持さん」

「シンジ君は、優しくしてくれたかい?」
「どうなんでしょうか。 他の人と比べた事なんて、無いですし、何より出来ませんから」
「じゃあ俺と……」

直後、ミサトさんの拳骨を食らった加持さんはぐらつく首を撫でながら連行されていった。
かなり羨ましかったのを覚えてる。
大人になっても、ボクがシンジさんにじゃれ合い以上の意味で叩いたりするのは無理だとおもうから。
その程度の絆も、彼とボクにはまだなさそうだから。

236 :LHS廚 :06/01/15 23:05 ID:???
その日の混乱の最初は、大した理由もなく始まった。

「ミサト。 加持君はどこ」
「知らないわよ。 この数日、あいつアタシが機嫌悪いのを知って近付きもしないもの」
「本当に?」
「……何かやったの?あいつ」

赤木リツコは親友の問いに事実のみを使って答えていった。

「冬月副司令が拉致されたわ。 本部外に昼食を食べに出掛けた先で。
 ああ、保安部は何をしてたの、とか言わないでね。 最近話し相手になってもらったお礼、って理由で
 連れて行ったノゾミちゃんを人質にされた上に、加持君のテクニックがあれば不可能じゃないわ」

苦々しげにゆがむ表情。
デスクの上におかれる拳銃。

「あたしは関わっていない、と言っても信じて貰えないのは判ってるわ。 何処へでもどうぞ」
「御免なさい、でも今回のやり方だけは許せないの。 ……丁重に連れて行って」

-----------------------------------------------------------------

ドアの傍で起きた音に瞼を開けると、加持さんがトレーを持ってお食事を持ってきてくれていた。

「巻き込んでしまったのは済まないと思ってる」

その言葉に合わせるように、思い出す。


加持さんともう一人の黒人の保安部員の人と、ボクとおじ様、四人で本部を出て。
車を降りた先にあったのは、以前アスカさんが加持さんに振られた場所と同じ名前のレストラン。
後ろで聞こえた「成る程、ここが『出入り口』か」と言うおじ様の声。
レストランに入った途端に崩れ落ちる保安部の人。
外からドアを壊す勢いで叩く男の人達の怒号と、ボクの口に押し付けられた、臭うハンカチ。
気を失う寸前に聞こえたのは、『この子の安全さえ保障すれば何処へでも……』という声だった。

「なぜ、こんな事をしたんですか?」
「知りたい事があるからさ。 ミサトに嫌われても。 でも、後悔はしまくりなんだけどね」


237 :PDX. :06/01/15 23:18 ID:???
>>236 LHS廚さん

 ひええ、なんか予想外な展開に。
 冬月、加持が登場してきたのはこれの伏線でしたか。

238 :LHS廚@微妙にすらんぷ。 :06/01/22 23:37 ID:/cJFTTT+
だー、煮詰まってるし得ろがかけないよぅ。

==============================================

真っ暗と言ってもいい部屋。

「リツコのやつ。 あたしがこういう部屋苦手にしているのを知っているくせに……」

赤い、自分が所属している組織のマーキングを振り返って眺めて。
容疑をかけられている者の一人は、呟く。

「知っているから、かもね」

--------------------------------------------------------------------

青味がかったクリーム色の壁に囲まれた空間。
その中心にぽつん、とある椅子に座って。

躊躇もせずに加持さんが持ってきたお昼をもくもくと口を動かし食べているボクに、
加持さんは驚いているようだった。

「心配してないのかい? 毒とかそういう薬の類をまぜた、とか」

軽く首を振って、ボクは違うと答える。
冬月のおじ様が言った言葉がこの人に言ったものなら、多分加持さんはちゃんと守ってくれる。
そう信じたい。

「加持さんのことは信じてます。 それに」

ほかの人がボクを攻撃したり強姦しても、僕はシンジさんの元に帰りたい。
帰れると信じてる。 何の根拠もないけど。
だから。



以前どこかで読んだ本の一節をそのまま彼にぶつける。

「『信じる』って、そういう事だと思いますから」

ボクの心に詰まった、たった一つのノゾミを信じて。

239 :LHS廚@微妙にすらんぷ。 :06/01/23 00:18 ID:???
腕の中に眠る女は、つい数日前まで乙女……子供だったはず。
それが、たった数日で痛みを振り切り、自分の中にある気持ちいいところを見つけ、
今では、十年来の恋人のように、俺に抱きついて扇風機なんか意味の無い暑さと熱さを与えてくる。

彼女はもし、俺も初めてだったことを知ったらどんな顔をするだろう。

夕立の雨に濡れて、淡くて薄い紺のブラウスが透けてなかったら。
長い間我慢していた理性が、ぷつりと途切れて。

その先は、今まで知らなかった事ばかりで、よく覚えてない。

「初体験は、忘れないもんだと思ってたんだけどなぁ……」
「………お父さん………」

そのときの寝言は、大した意味を持ってないと思っていた。

-----------------------------------------------------------

>>237 PDX.さん
>予想外な展開。

加持をぬっ殺さずに何とかする方法を模索してるので、非常に難産してます。

240 :LHS廚@微妙にすらんぷ。 :06/01/29 23:40 ID:???

ある日の深夜にならんとする、そんな時間。

よくしゃべる親戚の家から、二人の娘を自家用車に乗せて帰宅していた洞木シズナは
車のガラス越しに、見慣れた背格好の少女が傘をくるくる回しながら同じ方向へ向かっているのを発見した。
失った妻の面影が一番色濃く残っている、中学生の次女だ。

彼は父親として、十四歳の娘が出歩いてはいけない時間であることを注意しつつ、車に乗せて一緒に帰ろうとした。



確かに、彼女は自分の娘だった。

顔には傷もないし、娘を預けた男の子、シンジ君と喧嘩したような跡も無い。
ふとした事でとれた、というボタンの代わりに安全ピンを使って胸元を留めている事以外には、変な事は無い、はず。
父親の顔を見て、『彼の家に雨宿りさせてもらった』という説明に後部座席で退屈そうにしていた長女は
さまざまな言葉を駆使して、妹をからかっている。

でも、簡単な小言以上のせりふを彼は言えなかった。

人は時として、「変ったね」と他人に形容されてしまうほどに変化することがある事は知っていた。
けど。

その変化が、どうしようも無く,『色』を彼女に与えていたことは。
その『色』が亡くなった妻をどうしようも無く思い出させることは、言えなかった。



『失色』などという言葉は、無いのだから。

-----------------------------------------------------------------------------------


とある酒場のカウンターで行われた会話。

「ほほう。 私との付き合いを無視した挙句、一週間も雲隠れして何をしていたのかと思えば、文字通り」
「はい、何だったのです」
「そんなこと自慢しない! にたにたした顔で、それも絆創膏なんて張りまくって!」
「いや、やってみたかったのよ、この隠し方。 でさ」
「いやよ?」
「な、何を言おうとしているか「休んでた間の講義分のノート貸してくれないか、でしょ?」……う」

発生した沈黙は、焼き鳥の焼ける音とビールが注がれる音、何より他人の喧騒で掻き消える。

241 :LHS廚@微妙にすらんぷ。 :06/01/29 23:41 ID:???

先に折れたのは、金髪に染めたほう。

「良いわ。 但し、その男を紹介しなさい」
「いいわよん。 今日、アイツと会う約束してるし……獲らないでよ」
「獲らないわよ。 今のところ、恋に興味、それほどないから……でも、ひとつ教えて」
「?」
「その人を選んだ理由、って、何?」

人肌程度に暖まった冷酒を飲み干すもう一人。

「見た事ある懐かしさ、って言うか。 匂いっていうか……ま、そんなのよ」
「懐かしさ? あの日以来いまだに顔が思い出せないお父さん、って感じ?」
「多分違うわ。 だってアイツ、無精ひげだもの」
「は?」

--------------------------------------------------------------------------------


とある一日の始まり。

彼女は、自分が始めてみる姉の姿にポカン、としていた。
一枚の絆創膏を、貼ろうか貼るまいか悩んでいる姉の姿である。

幾度か軽く内出血の跡にあてては戻し、また貼ってみる、という行為を繰り返していた彼女の指が止まって
鏡に映った唇がしっかりと声なき声を刻んだ瞬間、黒いカーテンが一気にそれをかき消していく。
何年もつけていた母の形見、飾り珠の付いたゴムによって出来たウェーブと、、
いつの間にか自分と同じ色、金色が混じり始めていた髪が、妙なアクセントになっているカーテン。

『うん。 彼が変ってくれるのなら……変わらなきゃ、私も』

年の近い姉の瞳は、揺るがない自身を手に入れたようで、鏡越しの妹を見つけても驚かなかった。
そのまま、いつも通りの朝食を作っていく。

いつもと同じ朝食。
いつもと変らない、母さんの味に最も近いらしい朝食。
でも。

一度も使われた事が無いとわかる、新しいお弁当箱がその日から、増えていた。

242 :LHS廚@微妙にすらんぷ。 :06/02/08 21:00 ID:???
>棒組スレ552氏

ちょいPCの調子が悪気味なのと、リアルが厳しかったのと。
ちょいシナリオ的に未遂でも黒なことやろうとした直前に荒れちゃったのと。
まあ、三重苦なのですな。

PCその他はOKになりましたので、今日明日にでもあげたいと思うです。

243 :LHS廚@微妙にすらんぷ。 :06/02/08 21:28 ID:???
実際にこういう銃があるかは不明です。

--------------------------

そもそもの発端は、チルドレンの自衛力の確保だった。

第九使徒戦の時、人間の手によって壊された本部の異常事態の『反省会』は
途中から、日向二尉が選挙カーを半ばジャックして進入したことに意見が集中した。
チルドレンが彼の声をちゃんと聞いていたことも、それを後押ししていく。

『自衛目的限定でチルドレンを武装』させるという議題に。

紆余曲折の話し合いの後、この騒動は第十一使徒戦直後に終結した。

当初、保安部は特に反対した――自分達が無能と言われてるようなものだからだ――。
葛城三佐も反対した。
しかし、霧島嬢の件が、彼女達の口をふさぐこととなる。

実弾を撃たせる気がない事では碇や私、加持君等も一致した意見を持っていた事と、
暴発などによる負傷を考慮に入れ、また大した射撃技術もなしに銃を使わせられない事から
圧搾空気で帯電したピンポン玉大のボールを撃ち出す『スタン・ランチャー』を急遽開発することになった。

冬月メモ・会議ナンバー2016-0015より。
247 :LHS廚@本編 :06/02/15 23:33 ID:???
彼は『無能』だ。 そう明言されるには、一寸だけ状況が不幸だった。

どうせ直ぐ殺すのだ、という考え方から『情報搬入口』で拉致していた少女に
男を教えてやるのも面白いか、と手を出してみたところで。 破けたシャツ越しに見えた
別の『男』を意味するキスマークに目を奪われた隙に後ろから殴り倒され。

名誉回復のため、と追跡工に志願したものの、彼の頭には怒りと言う感情の揺らぎしかなかった。
自分が犯そうとした暴行と強姦は棚に上げられ、自分を少女から奪い取った加持リョウジに対する
怒りが、彼を動かしていた。

直後、上司から『年老いた学者』と『何の能力も無い子供』が足枷としてくっついている事を
知った彼は、暴行犯射殺許可と一緒に狂喜した。
彼の楽しみを奪った男を大手を振って殺せるし、少女に本当の男の味を教えてやれそうだからだ。

それからの彼は有能な能力を遺憾なく発揮し、ある廃工場のファンの傍まで一気に追い詰め、
銃弾一発で彼の能力を押さえ込んだ。

いよいよ殺せる、と血に飢え、頭に十分以上の量を昇らせた彼は。



目の前の標的が発した「よう、遅かったじゃないか」という声の意味に全く気づく暇も無く。


真上から重力以上の加速で撃ち出され、振ってきた弾によるショックをもろに受け、意識を失った。
249 :LHS廚@本編 :06/02/27 00:01 ID:???
午後6時50分。
第八階層の喫茶室「ひやしんす」。



アスカがキレている。
いや、もう可愛いとか綺麗とか憧れとか、同世代の男の子の妄想をこま切れ以下にぶち壊せるほどに。

「シンジだけが居ないのなら判るわよっ! なんか最近アタシ達に隠れて訓練をしてるらしいから」
「だ、だったらそれで」
「アタシが言いたいのは! ノゾミちゃんとマリイが居ないこと! ヒカリが建てたルールじゃない」
「んー。 確かに『デートしたいのなら他メンバーに一声かけて』、でしたね」

赤毛な暴力魔女は鮭の切り身を箸で切り、もくもくと食べていく。
一つだけ救いなのは、口の中に入ってる食べ物を残した状態で話さないこと。
大声でしゃべった結果は、大抵恐ろしい結末が待っている。


「でも変ですね、外でノゾミちゃんとは合流できるとして。 マリイさんまで消えるなんて」
「『今日は帰れないかもしれない』って漏らしてたらしいし」
「抜け駆けしやがったわねぇ」
「それは無いんじゃないかな。 ノゾミはそんな事出来る子じゃないし」

葱抜きのお蕎麦をツルツルとすするお姉さんの言葉はすぐ、大人の声で修正される。
私のトルコライス・セットからウインナーをちょっと失敬しつつ。

「貴女達、本当に恋する乙女なの? ホワイトデーよ」
「あ、ようやく来たわねリツコ……ほわいとでぇ?」
「シンジ君からの、お返しの日……でも3月14日はもう、過ぎてる」

確かにそう。
レイちゃんの頭越しに見える日めくりカレンダーは、今日が3月26日であることを示してる。

「そう。 彼がまだエヴァの中で解けていた頃に過ぎちゃったあの日よ」
「過ぎてるのに?」
「要らないの?」


私を含め、全員の頭が横に振られる。
彼を独占できない代わりって訳じゃないけど、彼がくれる物を取りこぼす気は、私達には無いわ。
彼の全てを、私達のものにしたいんだから。

「ここまで来たら種明かしをするわ。 シンジ君はマリイちゃん達と一緒に居るの。
 場所は、教えない。 二人とクッキーとかを作ってることだけは明かしておくわ」
「じゃ、何でアタシ達の家にしないの?」
「なんだかんだ言って邪魔するでしょ? つまみ食いも十分な邪魔になるのよ、アスカ。
 あの子達が傍に居るのはもっと簡単。 今日は二人の日でしょう? 丁度いいじゃない」

250 :LHS廚 :06/02/27 00:01 ID:???
ちょっち更新が遅れたのは短編をこさえてるからです。


あ、そうそう。
トルコライスは大好きです、私。

251 :PDX. :06/03/02 18:00 ID:???
>>250 LHS廚さん

 トルコライスではなくて、トルコ料理、結構好きだったりします。

252 :LHS廚@本編 :06/03/04 22:00 ID:???
人は女に生まれない。女になるのだ。

ボーヴォワール

-----------------

「それでは、今日はカエデさんとわたくしの監督下、ということでいいんですのね」
『ええ。 明日の昼までに出頭してくれればいいわ。 ノゾミちゃんは必ず出頭させて。 被害があったのなら知っておきたいし
 もしかしたら、今日、彼女は……ね』
「了解しましたわ。 それでは」


わたくしが部屋に入ると、生地が焼きあがった匂いに混じって彼の汗も感じます。
今回の事がある以上、わたくしに任せてもいいのに、彼は自分が作ることに拘ってしまう。
誰かに作らせたくはない、なんて……本当に、律儀なんですから。

-----------------

ゴム弾、バッテリー弾に続いた三発目……実弾には、彼も驚いていたようでした。


「う、撃てるのかい、シンジ君」
「EVAが思考操作によって動くのを忘れてましたね、加持さん。 人に向かって撃てるかは
 まず僕の覚悟しだいですが、発砲のコツは判ってるんです。 経験で」

「僕の大切な」
「大丈夫だよ、シンジ君。 彼女は犯されていない。 私が保証する。
 それと、もし良かったらでいいが……このまま彼を行かせてやってはくれないか?」
「それは妙ですわ! 彼は拉致をした犯罪者なのですよ」
「判っている。だが、彼は我々を連れ帰してもくれたのだ。 それに」


-----------------

「葛城君に逢えなくなった、という事実の方がよっぽど効いている、ですか……」

彼は三佐に何かしらの真実を教えたくて、こんな行動をしていたらしい。
彼女の心の中にある、使徒と言う鎖に何らかの答えを出して、開放してあげたかったのだと思います。
ですが、人は一人では生きられないのです。

何より、彼女の意思を無視してまで、答えを性急に求める必要が、彼にあったのでしょうか。
258 :LHS廚@本編 :06/03/13 00:39 ID:???
「やぁ」
「私は副司令のお願いを聞いているだけ。 そんなに愛想をふらなくても良いわ」
「きついなぁ」
「これが着替えとかが入ってるバッグ。 で、こっちがお金。 1000万円あるそうよ」
「退職金、か」
「もし」
「?」
「行くアテが無いなら沖縄に行け。 石津ヨウカという人が協力してくれるだろう、って」
「そうか」
「最後に一つだけ。 知ってた? 大学生の頃、私が急にコーヒー好きになった訳」
「え?」
「二日酔いの痛みはカフェインで抑えられるの。 つまり、ウワバミの飲酒に付き合って、二日酔いで苦しんでた誰かさんのためだったのよ」
「……あ」

ぺちん。

「私は要らないけど。 もし、償う気があるのなら、必ず帰ってきなさい」
「帰る場所、アイツの隣にあるかな? そろそろ思い出してもいい頃だと思うんだけど」



-------------------------------------


彼の側を通り過ぎて、小さい部屋の戸を叩く。

「なにかしら」
「マリイです。 宜しいですか?」

部屋の襖が開いて、少し憔悴した表情のカエデさんが私を出迎えた。
その頭越しに、ぐっすりと眠っているノゾミさんが見える。


話の口火を切ったのは、カエデさん。

「あの銃、見た事ない形だけど、貴女の?」
「ええ。 アメリカ支部の保安主任……カイル、と言うのですが、彼の見立てです。
 小さい私に合わせて、CZ75……とか言う銃をベースに向こうの技術部とチタン合金まで使って一から造ってくれた物です。
 最も、銃に関しては全く素人ですからモデルの銃からどう変化したか、なんて聞かれても、全く判りませんけどね」
「私も見てたけど……撃てるって、思ってた?」

259 :LHS廚 :06/03/13 00:40 ID:???
>>257 pdx.さん。

食ってるのはマナですから。
彼女だけはトウジ相手に大食い対決やっても勝てる気がします。

260 :PDX. :06/03/13 08:07 ID:???
>>259 LHS廚さん

 あ〜マナですかw
 戦自時代の悲惨な食生活の反動で喰いまくっていそうですねぇ。
 でも筋トレとか欠かさないから太らない、と。

261 :LHS廚@本編 :06/03/22 01:13 ID:???

雇用記録 : 2016年
雇用者: 冬月コウゾウ

 洞木ノゾミ(11)。 市民ID 1A20--8155-4331
 チルドレンの生活およびメンタル面の管理補助として参加。

 特記事項。
 緊急時において、あらゆる苦難を超えてでも安全な場所まで退避させることが必要。
 使徒が確認された時点で、彼女は最優先でジオフロントを含め、その時点で危険と
 判断されるあらゆる場所から移動させられたし。

 給料はC―03表を基に算定………。


------------------------

漆黒に近いような、近くないような。
赤い目の紋様が照らす嫌な光の中。

扉が開いた。

加持さんかと思った視線は嫌な意味でそらせなくて。

白人の男性がいやらしい顔でつぶやく。
顔も覚えてない母と同じ故郷を持つ言葉で。

「本当の男を――」

-----------------------

多分、車の中。

気が付いた時、抱きしめられていた。
叩かれたらしい左の頬と、右の歯の辺りから、血の味がする。
手のひらを包むように、感触の違う四つの掌。

目の前の視線がぼやけなくなった時みえた。 大切な人の声と一緒に。


「気が付いた?」

安心感しか、覚えてない。


262 :LHS廚@本編 :06/03/29 00:03 ID:???
また夢を見ている。

ボクが入っていたシェルターを直撃したレイさんのEVAの頭。
前もって渡されていた発信機を頼りに来てくれた加持さん。

地下とは思えない林の中、片足を失ってもがく紫の巨人。
パチンコの玉みたいに、怪物の咆哮とともに飛び出してくる赤いおに。

左腕を失って、それでも必死に牛のような巨像を叩きのめそうとする赤い巨人。
疲れてしまったのか、いきなり停まる。

直接見えない光線が二人の巨人の胸に直接当たったらしくて、爆発があたりを赤くした。
二本の反物の様な腕が二つの赤い珠をたたいて。


-----------------------------------

三度目の目覚めは、知らない天井で覆われた部屋。
少女趣味とは違うけど、落ち着いた大人の女性とも、ちょっと違う部屋。
お菓子を連想させる、焦げたような匂い。

ボクを背にして話し合う、二人の影。

「……らどう変化したか、なんて聞かれても、全く判りませんけどね」
「私も見てたけど……撃てるって、思ってた?」
「で、どうなの?」
「多分、彼は撃てました。 強くなってますよ、本当に」
「そう?」
「だって、あんな台詞言えたんですから」
「あんな台詞?」

「……『僕が好きになっていいのなら、僕に貴女をください』でしたよね」

263 :LHS廚@本編 :06/04/09 23:14 ID:???
私がここにやって来たのは加持君から彼女に関してきた事に少し恐怖を感じたからだ。
正解しても、大してうれしくは無いけど。

「い、いたたた」
「まったく、微妙な所で抜けてるわね、シンジ君は」

今、私の手は彼の腕に刻まれた傷の手当てに集中している。
払いのける様に、必死に暴れたせいで付いた、真っ赤な流れ。

「えっと、どうして……」
「左の脇、多分撃ったばかりの銃を仕舞ったんじゃないかしら……硝煙の匂いがするわ、微かに」
「……御免なさい」
「仕方が無いと言うか、なんと言うか……確かに、あの諜報員さんの印象が強かったんでしようね。
 彼が来る直前にMr.加持の左足を撃っていますから。 硝煙の匂いは初めての筈ですし」

呼び鈴を押そうとして悲鳴に気が付いた私があわててドアを開け、見たのは。
半狂乱になりながら必死になって暴れる小学生を抱きしめる「私の男」と。
援護とばかりに手を離そうとしながら、やっぱり彼女に引っかかれて行くふたり。

恐怖は十分に、彼女の心にトラウマを仕込んでいったようだった。

264 :LHS廚 :06/04/09 23:21 ID:???
すいませんでした、少し間が空いてしまって。
仕事が忙しかったのと食事関係に引っ掛かって仕舞った結果、体調を悪くしてました。


……いやはや。

>棒組スレ
>抽象的過ぎ

うーむ。
気絶を何回も繰り返した為もろに朦朧としていた、としたかったんです。
こういう時ってマトモに考えられるようになるまで時間かかるでしょうし。

265 :LHS廚@本編 :06/04/23 00:44 ID:???
「ほ、本当にごめんね。 僕が」
「い、いえっ。 そんな事ないですっ。 シンジさんはボクを助けに来てくれたのに……」


しょんぼりとしている彼女を見るにつれ、一度だけ見たあの映像が蘇ってくる。

-----------------------

母が死んで、司令が新たな手駒としての私を取り込むのに必死になっていた頃。
いきなり強化された権限を試してみて。  結果後悔した。

あまりにも、同じ頃の自分が恵まれている気がしたから。

冗談交じりでこの時の自分を教えてくれた彼女が、ここまでひどい状態だったとは。


ぼろぼろになったミサトが椅子の上に座っているだけの映像。
救出された直後ではないにせよ、どう考えても私の知っている彼女ではなかった。


小さい部屋。 真ん中にある椅子の上。
誰にも心を開こうともしない、ただの存在と化した彼女は、とても痛々しかった。



睡眠薬だけは使いたくないと言う点で一致していた私達は、お風呂に入って、改めてにおいを消した彼の元で
体にたまっている筈の疲労が睡魔を呼び込んでくれるまで好きに甘えさせてあげようと決めて、巻き込む原因を作った私達は、
彼女のわがままに全てこたえて、最後まで付き合ってあげることにした。

――お肌の曲がり角には、一寸厳しいものがあったけど。


そして、彼女は暴発した、再び。

266 :LHS廚@本編 :06/04/23 00:45 ID:???

ようやく環境復旧。
またしても引っ張ってしまいました。


ペース上げないといけないし、過去分をまとめるのも……。
もう少し、こんな状況が続きそうです。

267 :LHS廚@本編 :06/04/25 01:23 ID:???
彼女がその願いを精一杯の意思の塊として言い出したのは特に不思議ではありませんでした。

ただ、それが覚悟と年齢が最もつりあわない願いであることも。
わたくしを含め、年長者達が大きく壁となって停めなければならなかったことも。
本来なら、議論の余地を与えること自体が間違っている事も、知っていました。

でも、一方でわたくし達は彼女を止められない、いいえ、とめたく無かったのも事実なのです。


あの日、使徒の血をたらした口を大きく開けて、叫ぶ猛獣を見てしまったあの時から。
たった一枚のハッチが一つの命を壊しかけたのを見たわたくし達は。
何より、彼女の中の想いが偽りの無い真実だと知っている私たちが、どうして止める事が出来るんでしょうか。


------------------------------

「本当に、良いんだね?」
「御免なさい、我侭であの時の約束をっ!?」

いい加減な気持ちでは、彼女は気持ちよくなってくれない。
あの日から数回、僕達は気持ちよさを共有してきたけど、それを気持ちよさとして受け止めるには幼すぎる――たとえ、僕自身も性的に成熟さが足りない……つまり「小さい」としても――。
だから、すぐ入れて仕舞ったら気持ちよさを感じる以前で終わってしまう。
でも、僕が努力すれば嫌なあの思い出を意味の無いものに出来るかもしれない。

それだけが今の僕を支える原動力だった。
不愉快だった『思いつき』の中を必死に探って、利用して。

「ひゃ、はぅ、だめぇ!」

ノゾミの背中には、いくつかの蒼痣が残っていた。
多分、副司令と一緒にさらわれてから、かなり乱暴な目にあったんだ。

ためらいも無く、小さな傷の色を消そうと舌をあてて、癒していく。
それだけで、小さい背中は仰け反って、黒い影を纏った白金がそれを覆っていこうとする。

268 :LHS廚 :06/04/25 01:25 ID:???
あうち。
前回@外さないまま入れてました、すいません。

269 :LHS廚@本編 :06/04/30 00:32 ID:lhRFJQKo

小さい体はもう心に刻まれた痛みなんかどうでも良くなってしまってるみたいだった。

ほんの少ししか違わないのに、非情な陵辱者になってしまったかのような、
恐怖と背徳的な興奮に混乱しながら染めていこうとする僕の下で。

右の手の甲を額に乗せて、左腕を僕の心臓の辺りに当てて、押し離すでもなく、ただ、僕の鼓動をしっかり捉えられる位に押し付けてくる。

何時もなら、興味と僕への信頼に輝く瞳も、求めてくれてる、と言うぼんやりとしか意思のような……。

苦しさと紙一重の感覚の鼓動に震えてるだろう、硬い乳房の間に耳を当てた時、ふと。
小さい熟女を抱きしめるようになってから、「イメージが」ほとんど沸いてこないのに気が付いた。
多分、初めての、ヒカリとのがむしゃらなあの時以来の感覚で。
ちょっとした感動が、


「ダメ、ですわ」
「え?」
「そうよ、何も考えちゃ駄目。 ただ、単純に、優しく、受け止めてあげるの」

そっと後ろから絡み付いてくる二対の腕。
後ろ暗い感覚に包まれたからだがぴったりと、左右からそっと、でも残酷なまでに確実に。
僕たちの逃げ場を、かき消してく。

270 :LHS廚@本編 :06/05/02 00:53 ID:???
そして、僕自身が気付いてさえいなかった変化、最年少の拘束を果たしている。
最も硬いものとして、抗いがたい物として。

露骨な言いかたをすれば、僕はまさに……「ベテラン」になっていた。
ふるりと震える小さな体にも、その中で目覚め始めたオンナの扱いにも。


多分一月の間に覚えたんだと判る、他と反応が違ういくつかの部分。
痛いと言う気持ちを必死に押さえながらも、快感にすがり付こうとしていた初めての時と違って、ほら。

「あふっ!」

初めてのときは、ただくすぐったいとだけ感じる筈だった首筋。

ほらまた。

「んぁ……?」

今度は、まだハッキリとすらしていない乳房の裾野。

特定のところに近づくたびに体が少し柔らかくなる。
そこが、彼女にとって触って、舐めて欲しいところ。 「成長」したところなんだ。


「どうして、こんなにエッチになっちゃったの?」
「……へぁ?」

ちょっとだけ、強く。 でも、痛くならないように。
少しだけ窪みに入れた指で、それをまねる様に、くいっと押し上げる。
幼い体はそれだけで跳ね上がって、僕の手に危うい体勢のまま、座った。
彼女がやっていたことを思い出させつつ、窪みに指先を押し込んで。

「ヤ、だぁ……?!」

多分彼女のオナニーは、小さい生地を引き上げる事から始まったんだと。
跳ね回る下半身は、あの頃とは大きく変わった、気持ちよさに怯えない「オンナ」の体になったんだと。

「イメージ」の助けなしに、僕の全てが、読み取っていった。

271 :LHS廚 :06/05/02 00:56 ID:???
あ、修正。 最初の所ですが。

「変化」→「変化も」でぃす。

>棒組すれ。
>二本(三本?)。

「造られた」のって萎えなさそうですからねぇ……。

272 :LHS廚@本編 :06/05/05 22:06 ID:???

一寸、面白くない。
不貞腐れるカエデにお金渡して飲んで来て、って言ってまで場所を用意したのは私。
最初だけは彼女の望むがまま、って決めたのも、私。

でも、私達二人揃って微妙に蚊帳の外、って言うのは、やっぱり面白くない。


「いや、そこ、そんなぁ」
「僕が居ない間……小さい布に恋してたんだ」
「ち、ちが、きゃふ」

ベッドに寄り添うように用意されたテーブルにしがみ付いて喘ぐ彼女はずるい位に大人。
小さいお尻のすぼまりには右手の、花開くことを覚えた方には未発達なスジを覆いつくすようにもう一本、オトコの人差し指が当てられて、
そこから味わう全てを手に入れたくて、必死に隠そうと努力してるのに、本当の気持ちに素直な下半身はしっかり動いてる。

動いていた指の方が、彼の意思に従って動かなくなってすぐ、彼女の下のシーツは染み
とささやかな泡で濡れて、唇はだらしなく開いて唾液をたっぷりまとった舌がたどたどしく、意味の無い言葉と一緒に漏れて。

まだ形にすらなっていない乳房のあたりを愉悦で痙攣させている。



「仕方ないって、判ってますけど……失敗したって気分になるのは、マユミさんに送った『お塩』以来ですわ」


273 :LHS廚@本編 :06/05/20 21:35 ID:pafgtOe+
彼は混乱していた。

別に蒼銀の髪の少女に告白しに来たわけじゃない。
当人を見て、ちょっとは自信が付いた。 自分は彼女に対する想いは振り切ったと。

転校生がまた来た頃のギスギス感をあっさり修復してしまった惣流や委員長に乗り換える気も、取り合えず無い。
その山岸と霧島、マリイは誰が見てもハッキリ好意を向けているのだから、特にそんな気にはならなかった。

だから、自分が知っている限りは、五人。
冴えない親友がもし、全員を『喰って』ハーレムを形成していたとして――小さい面子をさらに一人巻き込んでいたとしても――
一人増えただけ、つまり六人のはずだ。


ただ、本を返しに来たついで。 一寸の暇が彼にあれば、女性と付き合う極意を聞いて見たかった気はあったが。

お下げ髪の友人から「一人分余ってるの。 食事どう?」と誘われたのは嬉しかった。
本当は誰に食べさせたかったのかを無視しても、それ以上の見返りはあるからだ。

274 :LHS廚@本編 :06/05/20 21:35 ID:???
委員長の飯が旨いのは小学校の遠足などでお裾分けされたのを食べた経験から
知っていたし、地下で仕事をして帰ってこない父と退院まであと少しとなった妹の居ない、
ひっそりと静かな家で一人する食事よりは、と思っていた。



だから、困っている。

「一寸、しょっぱいかしら」
「サツキもアオイも料理、出来るのね。 一寸ショック」


不可能ではないことは、判る。 判ってはいるのだ。
ミサトを初めとして地下の怪しい面々は全員大人だってことも判ってる。


「まぁ、一人暮らしは自炊が出来なきゃね」
「ミサトが出来ると知った時はショックだったわ。 あれだけ妙なの作ったって聞いてたのに」


(何で増えてるんやぁーっ?!)

彼が今までかいだことの無い女のにおいに妄想を掻き立てられたのは言うまでも無い。


275 :LHS廚@本編 :06/05/24 23:03 ID:???
わたくしが初体験をした時も、こうだったのか。
小さいノゾミちゃんの性器に突き刺さろうとしているシンジさんのペニス。

「壊れちゃ、っても、良いんですよ?」
「そんな事言っちゃ駄目。 貴女は私達の中で、一番時間があるんだから」


当初シンジさんが予定していたらしい挿入を避ける逃げ道、つまりお尻への道は「いやです」の一言であっさりと消えてしまっている。


初めての緊張と未成熟な体であるからこその硬さのある肌。
でも気のせいかもしれないのですが、一寸ひきつったりしながら必死に広がって、ようやく与えられようとしている男の凶器を求めるヴァギナ。
儀式に参加するように、眺める姿はやっぱりというか、一寸だけ滑稽で。

(ある意味結婚……ポトラッチをさせられてるみたいですわ)


「そんなに、みたいですか?」

シンジさんに言われるまでも無く。
何時しか二人して、綺麗な赤に染まって、花開いたつぼみは蜜と芳香――勿論、乙女には似つかわしくない物――を振りまいてる彼女のを、はっきりと覗き込んでいた。
でも、不安はぬぐいきれない。
本当に小さいここに、わたくしでも一杯になってると思えるシンジさんのアレ、が、入るの?

そんな想像で盛り上る二つの頭の前に突き出されたのは。

「濡らして、くれる?」

幾人もの処女を散らす『実績』を重ねてきた、持ち主の性格と正反対な凶器と。

「やっぱり、今の彼女にとってこれは、十分に凶器なのよね」

息を呑みつつ、それでもそそり立つペニスに憧れるリツコさんの声と。

「そこ、お尻のぉ……。  あなぁ………」

離さないように指示されたわたくし達の指に少しづつ拡張され始めてるアナルを晒す花嫁の姿……。


276 :PDX. :06/05/28 23:24 ID:???
>>275 LHS廚さん

「処女のままアナルを捧げたのはノゾミが最初」とか言いくるめて……ってわけにはいかないか(笑)

277 :LHS廚@本編 :06/06/06 22:18 ID:???
「濡らしてくれる?」なんて言ったけど、彼女の中心にある小さい孔は
たくさんの経験をつんだ僕にとって、も通過点としては細すぎる気がした。

そして、もう一つ怖い。 彼女が僕よりも明らかに年下であること。

アスカとかヒカリとか、一年以内の差――つまり同級生――なら、まだ良かったかもしれないけど……彼女はそれ以下。
カルチャーショックだと思う。 ロリコンの範囲に居る子供がロリコンを気にするなんて。
ハッキリ言えば、ランドセルをまだ背負ってるんだよ、ね。
いまも。




快楽をしっかりと教え込んだ僕に言える話じゃないけど、ロリータは僕達にも当てはまる。
僕達以前、つまりアルバイトも認められない、バスとかの運賃も……って。

「えうっ?!」

小さい熱さが股間を襲って、小さく、でもしっかりと跳ねてしまう。
それも二つ、ううん、二枚。
ひざ立ちの僕と彼女の間に挟まったマリイとリツコさんがたっぷりと唾液の乗った舌で


「ボケッとしちゃ、駄目ですわ」
「私も覚悟を決めたわ。 だから、次は貴方の番よ。 他の男にやらせる気なんて無いでしょ?」

278 :LHS廚 :06/06/06 22:20 ID:???
ご免、もう一寸かけたら投下したです。
せっかくの日に……。

>PDX.さん
>ごまかし

その手は考えて無かったです。

279 :LHS廚@本編 :06/06/06 23:15 ID:???
湿った僕の肌にオンナ二人の熱気と唾液が加わって、小さい孔に収まる気がしてきたせいもあって
僕は意を決してそろそろと挿入を開始した。

「ひゃぐぅ?!」

奇跡はやっぱり無くて。
それなりに解したつもりでも、僕のが入るにはやっぱり成熟していない場所は狭すぎた。
でも、僕はそれ以上に混乱してしまう状態になって。

(うわぁぁあぁぁ?)

小さいだけじゃないと思うけど、小さいからこその締め付けは僕の想像を超えていた。
まだ、一寸だけしか入ってないのに、誰よりもきつい。
ヒカリのならふわっと締めるし、アスカのなら丁度自分でしてる時の、凹凸みたいな段々を
感じる事もあったりした。 けど、この締まりかたは彼女の……って。


気が付いた時にはもう、僕の我慢は限界をとっくに超えてしまって。

「ふぁっ?!」


「……え?」
「うそ?」
「そんなに気持ち良かったんですか、ボクのって……」


初めての経験だった。
入れる前に、出しちゃったのは。

280 :LHS廚@本編 :06/06/06 23:49 ID:???
え、っと思った時にはもう熱かった。

ぼうっとした頭が何時もの感じにそまる。
それはボクをシンジさんが愛してくれた証拠で、とってもうれしいことだけど。
今日はその先へ進むことを誓ってくれたはずだった。

「そんなに気持ち良かったんですか、ボクのって……」

目の前にシンジさんは、ひざ立ちのまま困った表情。
僕にとって右手側のリツコさんも、左手側のマリイさんも揃って。

ぽかん、としてしまってる。

「あ、あれ?」

シンジさんはすぐに自分を奮い立たせようとして、ごそごそと蠢き始めた。
マリイさんたちも何かに気付いたみたいで、「え」とか「あれ?」とか。


何かがおかしいと思った。
そして、その不安はある気持ちを心の底から引っ張りあげて来た。

シンジさんは、もしかしたらボクを抱くのが嫌になったのかもしれない。
いくら加持さんに阻止されたとしても、自分以外の男にもてあそばれかけた体なんて。
見向きもしたくなくなったのかもしれない。
それだけが、頭を占めてく。
不満が怒りを大きくして。
爆発した。


281 :LHS廚@本編 :06/07/07 00:08 ID:???
自分の我侭だってことはわかってる。
始めてシンジさんとした時、『そーにゅうしなくても、いいですよ』って言ったのに。
コダマ姉に『自分を……自分も、でいいから、大切にするのを忘れない事』って言われてるのに。
もし何時かシンジさんとの子供を産めるかもしれないとなった時に、つらい事になるかも知れないのに。


手が勝手に動く。

「え? あ、ちょ?!」

始めてあった頃とは比べ物にならないくらい締まったからだの男性の体。
でも、マナさんの言ったとおりシンジさんの体は締まっただけで、まだ筋肉は付いてない。
だから、同じくマナさんに一寸だけ教わったテクニックでも、組み伏せるようにベッドへ押し付けることができた。

「うわ、大胆ですねぇ」


どこか開き直った感じのするマリイさんの声が聞こえたような気もするけど、全部無視っ。


後は、本能の思うまま。
シンジさんの上にまたがって。
状況の急変に対応し切れていない彼に精一杯の微笑を見せて。
妙にやわらかいシンジさんのを掴んで、一息に潜り込ませたの。

それはボクにとって、変な意味で忘れられない初体験になった。

282 :LHS廚 :06/07/07 00:08 ID:???
すまぬ、一月音沙汰なしで。
これから先はペース上げられそうなんで、もう少し頑張るです。

283 :LHS廚@本編 :06/07/29 01:20 ID:???
自分の知っている限りの知識では、さまざまな予測が飛び交ってる。


医学的な知識。
大人として手に入れてきた常識や法律。
万が一のときのための対処法。

必死に目を閉じて、ゆっくりと自分の内側に入り込んだものから与えられる痛みを堪えながら、それでも。
この小さい『女』は………。

今までの自分の何かを否定されたような気持ち。
嫉妬とかとも、体を気遣うのとも、一寸違う気持ち。

こんな気持ちになったのは、あの時以来だった。
たった一人の母が意味の判らない自殺をした、あの時と。


――――――――――――

上からでは小さく見える金属の塊に、べったりとくっついた血痕。
白い線で囲われた、命の残り香。
それがまだ残っているときに、私は彼を求めた。

『私を、抱けますか?』
『なに?』
『私、母さんと貴方がキスしているの、みました』
『それで? 従わせたいなら無理やりでも自分の物にしろ、とでも言うつもりか?』



どう読んでいいのか判らない表情のままで、彼はMAGIを安定させる事を選んだらしい。
無理矢理に引き寄せた男の手。

そのまま、カスパーの制御卓に据え付けられた椅子に、私を座らせた。
私を押し付けるように。


『少なくとも、今の私は、貴方に対してどう反応していいのかわかりません。 好意は持っていますが、それは有能な上司に対して持っているようなものですから』


母とキスをしていたときも目を開けていた彼は、その先にいた私を見つけていたんだ。
だから、今の、この状況を演出したんだわ。
ずるい男。
そうでなきゃ、あの時自分が座っていた椅子に、私を座らせる必要は、無いわ。


『私の心を満たしているのが何なのか知っていて、それでもと言う事か?』
『私が欲しいのは、いま、前に進む力です。 それを与える事ができると言うなら』
『なら?』
『智恵の実を渡すつもりで、私を堕落させてください』

結局、私は彼に堕落した。

284 :LHS廚 :06/07/29 01:21 ID:???
なんかエロから遠くなっていくような。
幼女ネタは難しい。

285 :PDX. :06/07/30 09:51 ID:???
>>284 LHS廚さん

 おつかれさまです。
 幼女ネタとは言っても、ノゾミちゃん(10〜12?)あたりであれば異性というものを意識しているでしょうし、恥じらいもあるでしょうから話をエロい方向に持っていくことは可能かと思います。
 もっと幼かったりするとただ痛々しいだけでエロくするのが困難になりますゆえ(^_^;

286 :LHS廚@本編 :06/08/28 00:08 ID:???

手のひらに血が付いていた。
初めて人に怪我をさせた。

自分のはっきりとした意思で。
大切なものを、守るために。


---------------------------


『最近……私の日常に加わった変な日課に、下心が見えみえの男子生徒からの告白を
 丁寧にお断りする、というのが増えたのは以前日記にも書きました』

彼女が書いているのは日記。
小さい仲間に感化されて。
変わっていける自分を見つけられた証にしたくて。
今日も日々を綴ってる。

『今日のは極めつけ。 マナさんの言った通りにしただけなのに。
 襲い掛かられたから、言われた通りにしたら……宙を舞った。 私が、この手で、投げたの。
 手のひらに、彼の頬を引っかいたのか、爪の先から流れるように、一筋の赤。
 彼を投げたのも、シンジさんにだけ愛されたい自分。  それは、すべて私が選んだこと』



彼女はじっと手を見つめる。
今はペンを握っている手。 本の世界に行くための、小さな鍵。
それが自分の中に一つ、大切なものができただけで。
簡単に凶器にできた。 それも、数ヶ月前には思いもつかなかったこと。



『……正直に書けば、自分の中で彼の存在がここまで大きくなるとは思いませんでした。
 小さい頃から外の世界を見るのに臆病になっていたはずの私が。
 男の人の頬に頬を摺り寄せて、汗と(以下数文字塗りつぶし)を私の』

ふうん、という声に振り向くと。
何人もの視線が日記と私に向いていた。
今までとは違う自分を知っている、大切な人ができた事を知っている、いとしい仲間。

「強烈な文章ね」
「日記に書くには少し変かも」
「………音読しないでください、マナさん、アスカさん」

287 :LHS廚 :06/08/28 00:09 ID:oXlJt+cQ
済みませぬ、エロから外れたままで。
アイデアをまとめてました。
ミサト編、ようやく取り掛かれそうでつ。


>ノゾミ編って鬼門?
確かにあれで止まってるなぁ……。


288 :LHS廚@本編 :06/08/29 01:27 ID:???
繋がったところに添えた手のひらには、もっとも小さい子の血がついていた。
誤解から生まれてしまった、最悪に近い形で繋がった初めては、今まで以上に締め付けてる。
それは、僕自身の始めてを受け取って貰った相手でもあるお姉さんの痛みに耐える表情と同じで締まった僕は。

情けないけど、あわてて謝った。

「本当にごめんっ。 その、自惚れかも知れないけど、その、ノゾミのちっちゃいでしょ?」

「え?」と真ん丸に見開いた目と口を閉じないリツコさんと。
どう表現して良いのか判らない、困ったような表情のままのマリイに挟まれながら。
情けない説明は続く。


「だから、入れようとは思ったけど、その、僕ので奥までつ、つ、突き破っちゃうかも知れないって考えたら、急に怖くなっちゃって」
「……一寸待って下さいな。 もしかして、ノゾミちゃんのあそこに挿入するのを渋っていたのは捕まってた時に悪戯……とか言うものでは、無いんですの?」

あわてて僕は首を振る。

289 :LHS廚@本編 :06/08/29 01:27 ID:???


「それだけは無いよ。 ノゾミちゃんに拒絶されたらどうしよう、と思ったよ? 確かに」

僕は怖かった。
どんなに求めても、僕を慕ってくれた蒼い目は僕を見てくれないんじゃないかって。
汚れちゃったとか自分はもう、僕にとって相応しくないとか。
………僕はもう、必要ない、要らないって言われるんじゃないかって思いが、どっかにあった。
それで心が一杯だったから。

トウジたちに見送りに来て貰ったときのような気持ちの告白をしたとき。
妹から恋人になった小さい手が僕のほほを包む。

「誰にもボクを譲れないと思ってくれるなら、ボクのすべて、受け止めて下さい」

コダマさんに会ったら確実に殴られるなぁ、と頭の端に浮かべつつ。
誓いの口付けを、僕は彼女にささげた

290 :LHS廚 :06/08/29 01:28 ID:???
>>285 PDXさん。
感想どうもです。


>はじらい
BGM代わりに聞いていたTV内にあった銭湯の話では。
今の子供は男女とも小3でも結構気にするそうで………。
よしっ(ナニがだ

291 :PDX. :06/08/29 02:08 ID:???
>>290 LHS廚さん

 このあたりは個々人の性知識とか精神的成長にも依存しますしね。
 ノゾミたんはおマセな子、ってことでもいいんじゃないかと思いますw

292 :LHS廚@本編 :06/08/30 00:58 ID:???
本部内にある拘束室。 あの時と同じ闇の中。
あたしは自分を見つめなおしていた。
体と心、様々な疲れから体が逃げ出そうとしているのを抑えながら。

『乗りなさい』
何故、初めて会ったばかりの彼に手のひらを返して言えたんだろう。
直前まで、どちらかと言えば乗せたくない……反対の立場に立とうとしていたのに。
初号機を誰よりも動かせる気がしたから?

『迷惑なのよっ』
戦いという重圧に耐え、友達候補を守るため彼なりに判断した行動を。
使徒を倒したのは事実だったのに、アスカと違ってろくな経験もない筈の彼に。
なぜ、あそこまで腹が立ったんだろう。

あの時も。
『同情や仕事なんかで―――』
気に入らないなら、言うとおりにならないのなら、手放せばよかったのに。
何故、あたしは彼を引きとめたの?
シンジ君が自分と同じ、一人ぼっちだったから?
EVAのチルドレンを新たに見つけるのが、面倒だったから?

………多分、全部違う。
それだけだったら。 あたしはあんな写真送らない。
がっつきそうな子供の前で下着同然のだらしない姿なんてさらせない。
返り討ちに出来る自信があるから?

どうして見せようとするの?
加持以外に見せようとも思わなかった、自分の「地」なんて。

なぜ?
何故、あたしはあんなに自然に、だらしない自分を彼にさらせているの?

293 :LHS廚 :06/08/30 00:58 ID:???
すいません、彼女を先に片付けます。

294 :PDX. :06/08/30 08:08 ID:???
>>292 LHS廚さん

 ミサトの露出癖?(違
 あるいはショタ願望なのか。
 加持への思いの裏返しで、「加持らしくない」人物であるシンジへの逃避行動なのかも。

295 :LHS廚@本編 :06/08/31 01:27 ID:???
あたしの頭の中でぐるぐると思いが巡っていく。

お墓参りを――ついでに童貞喪失も――済ませたあの日以来、彼は変わった。
「僕はここにいてもいい」と言えるようになったから。
小さい一歩を重ねて、確実に成長している。

洞木さん、アスカ、マユミさん、マナちゃん………。
自分の中の想いを隠そうともせず、細身の少年に甘える彼女たちに。
何故か嫉妬を感じてるのに気がついたのはこの数日のことだった。


どっちかといえば、あたしにもシンちゃんに対する恋心、あるのかもしれない。
でも其れだけで、葛城ミサトが惚れる男の条件を満たしてるかって言うと、そうじゃないはず。
あたしが求めているのは、あたしだけを見てる男だからだ。

恋愛のスタンスだけなら、彼は加持よりひどい男になっていってる。
胸にあれだけの傷を負ったリツコを受け入れちゃったのはすごいと思ったけど
来るもの拒まず、って言うか……自分で選ばないと決めてしまってるんだから。

296 :LHS廚 :06/08/31 01:29 ID:???
えー。
たぶん一番強引で出鱈目だと思います、ミサト編。



297 :LHS廚@本編 :06/09/08 23:55 ID:???

『葛城 タツオ』  (写真はインパクト災害の結果消失したため、存在せず)

南極調査団・日本葛城隊の責任者。
セカンドインパクト発生時、隕石着弾点に最も近い場所にいたと思われる人物。

 ・
 ・
 ・
 ・
もっとも近しい地点で生き残った人間、葛城ミサトの父親としても有名。

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南極にいた頃の夢を、最近よく見る。
窓越に吹雪をみながら、缶ビールを美味しそうに飲む、父の姿だ。

でも、父の顔は、覚えていない。
あの日以来、私の頭の中から消えてしまった。


日本に帰ってから、自分を取り戻してから。
様々に手を尽くしても、父の写真は見つからなかった。
NERVに入ったときも、少しだけ期待してた所は有ったけど、結局だめで。
今でもあたしにとっての父の顔は、のっぺらぼう。



「最近思うわ」
「なにが」
「ずっと。 加持君と別れてから付き合おうとした男の人達を見てた私にはそう思えてねぇ」
「つまり?」
「ミサトが好きになる人って、たいていアルコール……って言うか、ビールが好きな人なのよ」



298 :LHS廚 :06/10/21 23:55 ID:???
>棒組の方々
すまぬ。
私事(ノット仕事)で混乱中なのです。
レス程度なら出来るのですが……。

今週ぐらいで整理がつきそうなんで、この先は何とかなるかと。

299 :LHS廚@本編 :06/10/24 23:40 ID:???
それは、私が初めて見た、『話す』レイちゃんだった。

あの事故から数日が過ぎ、とりあえずの危機を脱したレイちゃんを見舞う司令がいた。
少女が負うには間違いなく大変な傷を負っていたのに、それが当り前の気がしていた。
誰も彼女にお見舞いにいかなかった。 なぜか、私もそうだった。

でも、司令は彼女に会いに行った。

「いかり、司令」
「……なんだ?」
「助けてくださったときに壊れてしまったという眼鏡ですが」
「気にするな。 それほど惜しいものではない」
「もしよかったら……頂けませんか」
「壊れているのだぞ?」
「構いません。 そこにそれがある、ということが大切だと思います」

月のものが重くなければ、私自身、知らなかったであろう光景。
司令とレイちゃんの心の繋がりができたような、恋ができたような、そんな瞬間。
その時の私は、絆は美しい、という感想を抱いたんだっけ。


-------------------------------------


あるタイプの人にとって、自分に出会う前の恋人が誰かを好きだった、思い出という証拠を自分の知らないところで大切に残されるのは、とても辛いことだという。
その手のものを見せられるだけで、百年の恋もついえると言い切る人もいる。

手紙、写真、アクセサリー……別れてしまった相手との間に居る子供とか。
多分、どうしようも無い嫉妬を掻き立てる、もの。

300 :LHS廚@本編 :06/10/24 23:40 ID:???


もちろん、私達が愛する少年のように、全く――少なくとも表に出しにくい――人もいる。

だから彼女の行動は、そんな事を現実に起こしたくないから、と思う。
小さい箱の中に入ったそれは、間違いなく彼女の中に何かを作ったものだから。

--------------------------------

「ん?」

相手にされない、というのはちょっとどころでは無い寂しさを私達に与えていた。
だからと言うべきなのかな、葛城さんの部屋からヤケ酒用のお酒を失敬しに行った私とサツキは、小さくしゃがみ込んで何かを燃えないゴミ袋に放り込んで、捨ててしまおうとしてるレイちゃんを見つけたの。

それは、彼女が持つ者としては珍しくて、少しだけ、手の跡が残っていて。
何度も開けたことが、何と無くだけどわかるもの。
碇司令の壊れた眼鏡が入っていると思う、眼鏡ケース。
私が始めて、美しいと思った絆。

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「怖くなったんです。 シンジ君が帰ってこなかった時を想像したら」

彼女にとって、碇司令を見ていたときは、ある意味楽だったんだと思う。
司令以外と話そうとする事自体、お仕事以外はなし。としてなかった。
学校の中でも、無関心ちおいうか、超然としているというか。
とにかく、接点を持たなかった。  興味以前の問題としてなかったといっていい。

301 :LHS廚 :06/10/24 23:41 ID:???
とりあえず、リハビリ。

302 :LHS廚@本編 :06/11/11 00:34 ID:???
勿論、当時の彼女にとっては、それでも良かったと言えたんだと思うわ。
でも今は。
司令以外の人には興味を持たなかったと言うことは、負の遺産でしかない。

自分色に染める、と言う言い方もあるけど、それまでの自分を壊す力になりかねないときもある。
司令にウソをついた、と言うことは彼女にとって間違いなく、今までの自分の否定。

そして、それを理解した時、次に来るのはそれが自分に向けられるかもしれない、と言う恐怖。


ファースト・チルドレンと言う事を含めても、レイちゃんの代わりは誰もいない。
だけど、シンジ君の女は、彼女だけじゃ無い。
彼女にとっての男が、ひ弱な少年一人になってしまったのと違って。


「難しく考え過ぎなのかも知れません。 でも、私のは司令がある意味全てだったので……」
「レイちゃんってさ、飛行機に乗ったことあるよね?」

サツキが妙に自信満々に聞いてきた。
そりゃ、司令と一緒にジェットVTOL機に乗っていく二人を見送ったリ、したんだけど。

303 :LHS廚@本編 :06/11/11 00:34 ID:???

「前に本で読んで成程、と思った話なんだけど。
 自動車で時速100キロの移動とか、飛行機に乗れる……と言うか空を飛べる事に至ってはそれ自体が、生き物としてのヒトの生活ではあり得ないことなんだよね。
 外国から葛城さんがお酒を取り寄せる、とかも。 他の生き物にとって、あたし達がやってるのは一寸異常なこと。 ご飯はその場で調達、と言うのが当り前なのに。
 でも、今のあたし達の価値観、っていうか常識かな。 そんな異常を当り前だと思ってる」

よく判らない、変な例えだった。

「それと同じでさ、生物にとっての近親相姦とかも異常って言えるのはヒトの価値観なんだよ。
 遺伝子異常とか、そんな事全く知らない生物にとって近親関係をやるかどうかは繁殖意思とある意味時の運。
 愛し合ってしまったからやる、と理由を言うのはやっぱり人間だけ」


言いたい事はそれなりに分かるけど、やっぱり、変なたとえ。
でも、どう言う訳かレイちゃんには覿面に効いた。
自分の中の何かがさっぱり取れたような、そんな笑み。

「つまり、全ては私とシンジ君が決めること」
「そ。 こんなに長々と言っても、核心はそれだけ。
 多分、としか言えないけど。 根拠もないけど。そもそもシンジ君自身、そんなこと、いい意味で考えてないんじゃないかな」

304 :LHS廚 :06/11/11 00:36 ID:???
レイの悩み(近親とか)は取りあえずこれでクリア?

305 :LHS廚@本編 :06/12/10 00:50 ID:???
唐突だが、私は、お蕎麦が大好きだ。
特に、清酒と一緒に笊蕎麦を食べるのが大好きだ。

と言う訳で、今、私は繁華街の端、「雲丹酒」と言うお蕎麦屋にいる。
おまけを一人連れて。

「ねぇ、呑んでるぅ?」
「はいはい」

葛城さんと出会ったのは30分ほど前。
『一部部署と確執が酷くなった。だから加持さんはメンツより与太郎的遊軍扱いを取った。 野菜とかをいじってるふりをして、こっそり仕事をしている』
それが、D級勤務者あたりから丁度、私達のレベルまでの面々に広がっていたイメージだった。
私はマヤと仲が良かったから、『アルバイト』の噂は緘口令とセットで聞いていた。

306 :LHS廚@本編 :06/12/10 00:51 ID:???

でも。
彼女の愚痴の百鬼夜行を整理して行くうち、彼女がぼろぼろと零している情報が既に。
オペレータである私が知っていいレベルの話でない事を理解してしまっている。
副司令の誘拐、巻き添えになった少女、未確認ながらシンジ君が発砲した……。
そう、多分あんな風に酷く動揺してるは……。

「って、え!?」

目の前をシンジ君が、歩いて行く。
べろべろに酔った葛城さんが捕まえたのは、その一分後。

---------------------------------------

「え?」
「で、ですから、その……初潮、です」

シンジ君が話を――葛城さんの絡みに耐えつつ――してくれたのは、またもや。
私が知っていいレベルの話でない内容だった。

シンジ君がノゾミちゃんの相手を本番までやってしまった事。
快感でごまかせる程度にすら痛みがひかなくて。
無理を避けるため、射精で(彼自身にその発想は全くないけど)納得してもらった。
彼女がシャワーを浴びている間に多少マリイちゃん達と盛り上がってしまったが。
シャワー室で血が止まらない事から……初潮が始まってしまった事に気がついた。

「かくして、僕は『ちょっと外をぶらついて、落ち着いてらっしゃい』と」
「リツコにおいだられちゃったんだぁ〜」

葛城さん、酔いすぎ。



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From:はーれむすれ@西院版