トルソのアスカ


206 :引き気味 :05/01/25 01:08 ID:???
「やぁ、アスカ。おはよう」

灰色の顔をした男が間近に彼女を覗き込んでいた。
ペンライトを持って動かす強い光が、まぶしいよりも痛いと感じる。
突然の目覚めだった。
自分が寝ていたのだという自覚もそこにはなく、今にわかに目と脳の回路にスイッチを入れられでもしたかの如くだ。
前触れ無く向き合わされた世界に、アスカは目を瞬かせた。

(本部の病棟とは少し違うみたいだけど、いったい……。それに、誰なの……?)

混乱の靄が一向に晴れてくれない彼女を他所に、白衣をまとった男は手早く周囲に置かれていた雑多な装置を片付けさせていく。
無表情すぎるほど無表情な看護婦たちが黙ったまま指示に従い、全てを運び出して、部屋には男だけが残された。
真っ白な髪。端正なと言って良い顔立ちを裏切るように、眉間には皺が深く刻まれ、落ち窪んだ眼窩の周りにも乾いた大地さながらに皹が走っている。
まだそれほどの歳だとは見えなかったが、陰鬱な目付きをしていた。
アスカが過去に見てきた人間達の分類によれば、それは自分以外の誰も彼もを軽蔑して生きてきたような老人のするものだ。
たとえば、人形と実の子との区別が付かなくなったアスカの母親を見て、一言でこれはダメだなと言ってのけた、ドイツ支部の医者のように。

「おっと、口は閉じたままだよ。いきなり喚くと酷く喉が痛むからね。ベッドから跳ね起きようとするのも止めておいた方が良い」

そんな男が無遠慮に腕を掴み上げようとするものだから、咄嗟にアスカは払い除けようとしたのだ。

207 :引き気味 :05/01/25 01:08 ID:???

「……ぅぅあ、あんは! ……っぁ? うああ……!?」

しかし、鋭く叩き付ける筈だった制止は、締め上げられた鶏のようなしゃがれ声。
そして手加減無しのスナップを効かせたつもりの拳も軽々と――まるで正確に見切っていたのかと思うほどに易々と、男の大きな掌の中に受け止められていて、

「ふふん、相も変わらずの反応か。言ったってしようが無いけど、バリエーションに欠けるね」

だからアスカは、やはり唐突に悟ったのだった。
そのつまらなさそうに見下ろしてきている男は、シンジなのだ、と。

 ◆ ◆ ◆

――もう25年だよ。
男は、シンジは言い放った。

「でもま、君には関係無いことだけどね?」

事態がまるで掴めないアスカに、未だ自分の身に何が起きたのかの解答は与えられていない。
点滴に睡眠剤でも入れられていたらしく、あの後直ぐにもう一度アスカは眠らされていた。

208 :引き気味 :05/01/25 01:09 ID:???
一晩なのか、ひょっとするとそれ以上だったのか。
次にシンジが病室に入ってきた時には、極当たり前の目覚めが彼女を待っていて、体力も大方が回復していた。
であっても、喉だけは未だ引き攣れたような痛みを伴い、言葉を自由にはさせてくれないでいる。

「…………。うぁ、あ……」

手で声の出ない喉を示す。

「それね、LCLに浸かりっ放しだったからだろ。暫くは喉に負担をかけない方が懸命だと思うけど、何さ?」

先に立ってさっさと行くどこか酷薄な長身は、そこで漸くアスカに振り返り、視線を窓にと横向けた。
静まり返った通路には他に人影は無い。

「ああ、外か。……25年経ったからって、そんなに珍しいもんかねぇ?」

病棟からの景色に見入るアスカに、いちいち足を止めがちなことを咎める表情でシンジは並ぶ。
では、今は2031年になるというのだろうか?
信じられない。だって自分はまだ……まだ、少女のままなのに。
そうは思ってみても、アスカ自身が間違いなくシンジだと判断するその男の顔は、今や彼女の頭二つ高い位置にあるのだ。
四半世紀と言うなら、この男は40になろうという辺りか。

209 :引き気味 :05/01/25 01:09 ID:???
流れたという時の隔たりに軽い眩暈を覚えつつも、アスカはそのもはや同い年には見えない男の態度に反感を覚えずにはいられなかった。

(……相変わらず、人の気持ちの分からない男ね)

自分はさながらリップ・ヴァン・ウィンクルだ。
変わり果てた景色に驚いて当然だろう、と。

それでもその後のシンジは、道すがら、足さえ止めなければアスカの疑問に説明を寄越してきてはくれた。
言葉数すら惜しむように淡白にではあるが、実に的確に。
――そもそも、質問の言葉さえも必要とせず。
怪訝に首を傾げ、いつぞやのシンクロ訓練の名残かと思い当たった気がしたそれは、アスカに大きく顔を歪めさせていた。
記憶に残る最後の時期へ深く刻まれていた嫌悪を刺激したのだ。
だが、わだかまりはともかく、傾聴に値する説明ではある。

病棟の通路に並んだ窓から眺める風景は、見慣れたジオフロント。
しかし、ジオフロントはかつてのままではなかった。
森も木々も無く、地底湖は干上がり、そしてビルが逆さにぶら下がっていた天井都市の辺りは青い空が覗く大穴に。
かと言ってそこに、アスカにとってはついの昨日にも感じられる、かつての戦火の跡が残っているわけではない。
彼女の知らぬ間に為されたらしい、再建された巨大研究施設群の姿がそこにあった。
見覚えの無いビルが増え、以前は緑が占めていた裸の土地にコンクリートとアスファルトの触手を伸ばすように、四方へ無秩序に規模を拡大させている。

210 :引き気味 :05/01/25 01:09 ID:???
馴染みの筈の病棟に感じた違和感も、重ねられた年輪の分のくたびれだったのだろう。
ネルフ本部の建物も、元々のピラミッド型からは随分と見掛けを変えているらしかった。
アスカの昨日は2016年のまま。翼を持った白いエヴァンゲリオンと戦い、敗北した日のままなのに。

「……それで、今や僕がここの主ってわけさ」

通り過ぎながら耳に違和感を残した、その言葉が、はっと思考に沈むアスカの顔を上げさせた。

(……え、なに?)

あからさまにセキュリティの高そうな方向へ、方向へと足を進めながら、シンジが語っていた。
突き当たりのエレベーターフロアにも人気は無い。
インジケーターランプを見れば、作動しているのはシンジが呼んだ一基だけ。
さしての間も置かずしてドアは恭しく開かれ、男とその客を招き入れる。

「驚くには当たらないだろう? あのままいけば僕も君も、ネルフのかなり上の方まで押し上げてもらえるのは分かってた。ただ違うのは、僕がお飾りでいるつもりを無くしたってことさ」

薄い唇が引き攣れるように悪相を刻み、彼女の反応を観察していた。
アスカはその手元、エレベーターに行き先を指示する前にセキュリティを従えさせたカード・キーに目を奪われて動けない。

211 :引き気味 :05/01/25 01:09 ID:???
ひらひらと見せびらかす仕草で胸元に仕舞われる前、カードに刻印されていたのは最高位のレベル表示。
不覚と思いはしても、動揺を示さずにおける驚きではなかった。

「――勿論苦労はしたけどね。もともと僕は人付き合いの得意な方じゃなかったし。政治をやるにも向いてない、つもりだった」

くくっと愉快そうに。
いつの間にか男は饒舌になっていた。
壁に背を持たせかけ、開いた年の差が余計に小柄に見えさせる少女を前に、大きく腕を広げる。
どうだい? と。

「これがネルフの総司令サマってやつだよ」

思わず浮かべてしまった渋面に、シンジは期待通りの手応えを得たとばかりに一人で頷いていた。

(……いやなヤツ)

上背は伸びて見掛けも老けはしても、中身はガキそのままか。幼稚なひけらかしだと思う。
白けた視線の意味は、男にも伝わった筈だ。

「アスカには感謝しているからね。やる気を出させてくれた恩人だと思えば……少しばかり自慢たらしくなるのも理解して貰えるだろう? ――ふふふ、悪趣味だと自覚もしているんだけど、何度やってもこればっかりは飽きるってことがないねぇ……」

212 :引き気味 :05/01/25 01:10 ID:???
エレベーターはいつまでも潜り続けているが、シンジもまた延々と自慢話を続けていた。
その中には冬月コウゾウや伊吹マヤといったアスカの知っている名前もあったが、より多くのアスカの知らない登場人物たちとのエピソード――早い話が政争だ――の方に、シンジは重きを置いていると見える。
意識して聞き流そうとするにしても、不快なBGMだった。

(どこまで連れて行くつもりよ……)

インジケーターに顔を向けたままで、もう大分になるのだ。
しかし一向にアスカを乗せた箱は止まる気配を見せず、ランプの表示はエヴァンゲリオン・ケイジのあった深さを越えて、未知の領域にまで達しようとしていた。
息詰まりを覚えるのは、どこまでも地の底へと連れて行かれそうだとさえ感じてしまう、それだけが理由ではない。
そもそも、アスカの最大の疑問は何ら解消されていなかった。

――何故自分は25年が経過したという今に目覚めたのだろう?
――使徒との戦いはどうなったのか?
――ネルフに攻めて来ていた軍隊はどうしたのか?

(アタシは……なんで助かったの?)

病院着のだぶだぶの袖から己が右腕を摩ってみても、そこには何の傷痕も無い、綺麗な肌があるばかり。
槍に貫かれ、血を溢れさせた痛みもまだ記憶に新しい右目にも、異常は感じられない。
手足の動きも十全にして、感じられるのは、鍛えられ、磨かれたあの14歳の自慢の肉体だ。
本来ならば喜ぶべきだろうそれらのことがあまりに異様じみて、今は不吉に思えてならなかった。

213 :引き気味 :05/01/25 01:10 ID:???
「うん? どこか身体におかしなところでもあったのかな? 僕としては、今度こそ満を持して、完璧な再生に成功したつもりなんだけど」

再生、と。何気なく男は口にする。
治療でもなく、漠然とアスカが考えていたような長期治療目的の人口冬眠であっても、そんな言葉は使わないのではないか?
それとももっとアバウトな捉え方でこの言葉は捉えておけば良いのか。
不安と苛立ちから少し神経質になっているのではないかと、内面に漣を揺らすアスカに向かって、シンジは続ける。

「肌はツルツルで贅肉も無し。バストサイズに不満はあるかもしれないけどさ、何と言ってもキズモノ以前。これは大きいだろ?」

感激してくれるんじゃないかとさえ思ったんだけど、と。

「MAGIに一番多くデータが残ってた頃を選んだ結果だから、まぁ副産的に過ぎないんだけどね。14の頃と言えば、君も割と自慢できた頃じゃないか」

今更ながらに、男の着込む白衣が目に付いた。
どんな経歴を積んでネルフの総司令に上り詰めたかは知らないが、意識を取り戻すまでの間、この陰鬱な目をした男は身なりに相応しく医者の図々しさで自分の身体をいじくっていたのに違いないのだ。
軽い身震いに、アスカのうなじが鳥肌立つ。

「……なに、礼は要らないよ。今回のことは僕から君への、言ってみれば――」

嫌悪の記憶こそが今まざまざと蘇る、あの少年。
その面影を確かに宿したいやらしい笑顔が、高い身長からアスカを見下して『感謝の気持ちだからねぇ』と、嬲っていた。

214 :引き気味 :05/01/25 01:11 ID:???
「――っッ、さいっ!」

ことさらに親愛を装って見せた言葉はサインだ。
とうにアスカには“呪わしい”と冠すべきだと見切られた因縁により、シンジのその意思は明瞭に理解することが出来たのだ。

「おっと」
「……っな、ぁ……ない、ぃ、なにが……礼、よっ!!」

だが、侮辱を贖わせるべき拳はことごとく男の意外なほど俊敏な、そして洗練された防御にあしらわれ続けている。
狭いエレベータの中に、すぐにみっともない息切れをぜいぜいと聞かせる羽目になった。

「ぅあんたなんかに……っ、んなぁ、あ、言われる筋合い! 無いわよっ!!」
「ああ、ああ、分かったから。そんなに喉に無理をさせなくてもさ、僕らの仲だろう? 伝わるって」

くふふと、また押さえきれないように笑う。

「煩い! いちいちアンタ、いやらしいのよ! 四十になるって言うくせに、全ッ然ガキ以下じゃないの!」
「――はぁ?」
「もう良い加減にして。アンタの自慢話なんか聞きたくもない。お礼? 感謝? 知らないわよ!! それよりも……!」

215 :引き気味 :05/01/25 01:11 ID:???
何があったのかをさっさと教えろ。
使徒は、軍隊は、サードインパクトはどうしたのか?
とにかく早く、説明を――。
と、そこまでまくし立てた、その時だった。

「……は? 何言ってんのさ、アスカ」

男の顔からは、俄にごっそりと、表情というものが抜け落ちてしまっていた。

「だから、白いエヴァが襲ってきてから、どうなったのよっ、て……」
「白い――量産タイプ? 今更、いったい何時の話をしてんの、君」
「何時って……な、なによ!」

男が見測るように目を細める。
子供じみた軽薄さを纏い付かせた雰囲気は消え、まがりなりにも陽性のものであった雰囲気が一変していた。

――機嫌を損ねてしまったのか。
浮かべてしまった思考がおもねる弱者のそれであることにショックを受けつつも、だが、アスカが感じている息詰まるような圧迫感はそのままだ。
シンジが、目の前の男が恐ろしく見えてしまう。

「……なんだ、ひょっとしてまたぬか喜びってやつ?」
「痛いっ。は、放してよ!」

何時の間にかエレベーターは止まっていた。
急に黙り込んだ男はアスカの抗議にも耳を貸さず、引きずり出す勢いでどこかへと連れて行こうとする。

「――もう十年分だよ」

最後に一度だけ顔を向けたシンジの声が、高い足音に混じって、先も見えない薄暗い道に響いた。

「十年分、足りない。それをアスカが思い出せないんじゃ……、君は用無しだね」

 ◆ ◆ ◆

216 :引き気味 :05/01/25 01:16 ID:???
ここまでです。

次のシーンからエロ素材の開陳、そしてエロ、となるのですが……。
今回用に妄想したエロ絵はちょっと倒錯的と言いますか、スカやネクロ、獣ではないものの、引かれる絵じゃなかろうかという気がしてます。
今更ですが、ここはそういう逝っちゃった変態サンもありの場所だということで、生温い目で見て下さいな。

それとFOXさん、日曜の分の投下ですが、タイトルはどんなんでしょう?
例によってさくっとHtmlにするつもりでおりますので。
それと、絵板の分も、ですかね?
あちらはもう一つ、一応名無しさんの分も含めて絵とネタ振りとセットでという感じでもありますが。

217 :PDX. :05/01/25 22:40 ID:???
>>206-215 引き気味さん

 うみゅ。
 年齢差アスシン、そして再生アスカ(?)は10年分の記憶喪失?
 一体二人の間に何があったのやら。
 続きを期待しております。


218 :FOX :05/01/25 23:22 ID:QK3sGAHc
>>216 引き気味さま

 おお、確かに断罪&病棟ものだ。
 それも、刺激的な「ほのめかし」がいくつも。

 「何度やってもこればっかりは」とか、
 「相も変わらずの反応か」とか、

 ああ、ひょっとしたらひょっとして「ぷかぷかアスカちゃん」で「小悪魔なアスカちゃん」や「なんでも言うことをきくお人形アスカちゃん」や「ろりろりえっちなアスカちゃん」なんかが12人ばっかり出てきてしまうとか……。

 「スペアと交換」されることを宣言されると、屈辱に泣きながら必死に媚態を示して「彼」におねだりしちゃうアスカたんとかとか……。


 すみません。また暴走してしまいました。
 お気になさらずに進めてください。


>日曜の投下分
 タイトルは「聖隷病棟」とさせてください。
 内容についてはちょっと手を入れましたので、メールにて発射いたします。

 それから、絵BBSの方へ書かせて頂いた文は「BBS抽出ログ」の方へまとめて頂けないでしょうか。あれはあくまでも電シさまのCGにこちらが勝手に付けさせて頂いたものなので。

219 :引き気味 :05/01/26 19:10 ID:???
>>217 PDX.さん

思い付きで、適当なオッサン→老けシンジ→老け断罪シンジ と変遷しますた。
適当です。
適当すぎて書き進めるごとに設定に矛盾がポロポロ出てくる始末でナニです。

>>218 FOXさん

思いついたエロ絵から逆算的にキャラを決め、シチュを決めていっているので、少しばかり無理矢理臭さが気になるところです。
書き進めながら注意して前半部分に矛盾が出ないよう修正しているのですが――と、今更言っても仕方ありませんね。
そこら辺は最後にhtmlにする時に調整するつもりですが、

> 「何度やってもこればっかりは」とか、
> 「相も変わらずの反応か」とか、

ここらのセリフも二転三転したり (;´∀`)

>いろいろ12人ばかり

多分設定的に可能でしょうね(まだネタバレまで書いてませんけど、どうせエヴァネタのバレバレ定番ですし)。
あまり贅沢して膨らませると長くなるので、そこらはまた拡張性というか、外伝の隙間ということで取っておこうかと思いますが。

しかし、断罪モノで断罪の理由描写をすっ飛ばしていきなり断罪シーンに、それも被断罪側から書きますと、殆ど苛めにしか見えない辺りが弱りものです。
断罪のカタルシスってものが感じられませんからね……。
その点、失敗かもと思いつつ、書いてます。

>投稿

うpさせて頂きますた。
絵板の方は抽出ログの方へ。
ちなみ、前回までに頂いております「BINDER」の煽りですが、もう大分前から好きだった思い入れのあるシリーズだけに、梃子摺ってます。
も少し準備中ということでお願いします。

220 :FOX :05/01/28 00:07 ID:???
>>219 引き気味さま

 upありがとうございました。
 あと、読んでいて(書いたこっちがそそられてしまう)惹句もありがとうございました。
 今回はあの惹句を読んでいて、「あ、もうちょっとアスカとシンジが仲良くなっていくシーンを書いておけば……」と歯がみしてしまいました。

 「Binder」については……
 ええと、そう言って頂けると非常に光栄ですm(_ _)m。楽しみに待たせて頂きます。
 それに負けないくらいえろえろえっちな第四話を書かせて頂きますよう努力しますです。


>しかし、断罪モノで断罪の理由描写をすっ飛ばしていきなり断罪シーンに

 腑に落ちます。すごく。
 恨み辛みが蓄積し、責任転嫁が人格のバランスを崩していく過程をすっ飛ばしての逆襲(断罪)だと、破壊力が下がっちゃうような気がするんです。
 せっかく皆さん酷い目に遭っているのにカタルシスを感じられないというか。

 楽しみにしてます。

221 :引き気味 :05/01/28 00:13 ID:???
>惹き句

含めていくって何やねん!
深めていくやないけー!!

と言うことで、見直してアホだったので修正しました。

取り急ぎこれだけレスです。

222 :引き気味 :05/01/29 21:20 ID:???

――三日分の時間が過ぎていた。
だが既に、男によってとある部屋の中に監禁された身の少女からは、それからどれだけが経ったかを数える余裕は失われていた。

「嘘よ……こんなこと、ありえない……。嫌な夢、いつもよりサイアクに嫌な夢。夢なんだから、だから、だから! さっさと終わりなさいよぉ……」

頭から毛布を被り、うわ言のように唱えながら震え続ける。
解放をだけ、願い続ける。
これは悪夢なのだと、夢よ醒めよと。
指の色が変わるほど力をこめて、毛布の上から耳を必死に覆い守っていた。
その寝床代わりに投げ与えられたたった一枚の外に少女を取り囲む、発狂しそうな悪意から自分を守るために、である。

「……渡さない」
「黙って――黙りなさいよ……」
「アナタ……に、コレ、これはぜったいに……ワタサな、ない」

手のひらを通し、毛布を通し、彼女に遮断させない敵意の声がそこにあったからだった。
か細く拙くも、三日に渡り虜の彼女を苛み続ける声の源を、すっかり精神を磨り減らした少女は目に入れることが出来ない。

「黙りなさいよぉ……!!」

追い詰められていたのだ。
いやいやと激しく頭を振り乱しても、毛布は決して放そうとはせず。
ヒステリックな痙攣に喉を使った刹那、うかと取りこぼしかけた布の端を『ヒッ、や、やぁぁっ』と慌てふためき掴み直す。
他人の目がある場所でのその無様さは、アスカのプライドの高さが決して許さなかった類のものではある。
が、最後の防壁と呼ぶにはあまりに粗末なその外に、声の一人に怯えるよりも尚、尚一層、気が狂いそうな現実が取り囲んでいると思えば、取り繕おうという気すら、起きる筈がなかった。
助けてと、母を保護役だった男を求め続けるだけになっていた。

「……渡さない。あなたは、チガウもの。これは私のもの。……わたし、ワタシが……」

声は尚止まない。
照明の控えめすぎる光がぼんやりと届くだけの部屋の隅に、少女を睨むようにして蹲るいま一つの影があった。

223 :引き気味 :05/01/29 21:21 ID:???
暗がりに浮かび上がるのは、白い裸身。
国際機関でありながらアスカの知るネルフ本部には珍しかった、白人種の持つその肌の白さだ。
目覚めたばかりの少女を連れた短い地下迷宮ツアーの末、2041年だという今や、与えるそれまでへの説明全てに向けた疑いを打ち砕いてみせた男の足元に、ペットさながらに飛び寄って媚びてみせた“そいつ”のそれは、アスカには見覚えさえある美しい白磁の輝きを放つ。
そして更に忌まわしく、一目見れば己が自身の誇りと見紛うほどに艶やかな、蜜色のウェーブをなびかせていた。

ここまでの通路にも、放棄されたという施設にしては必要以上に思えるほど保守の行き届いていた空調が、この部屋では特に神経を細やかにしているのだろう。
素肌をあられもなく晒し、僅かな面積を卑猥な意匠の黒皮生地で覆うばかりのその女は、寒さに震えるでもなく、この薄暗い住処に適応しきっている。
――ばかりでなく。
物も言わずただ居並ぶ顔、顔、顔、顔、また顔。

「……消えて、消えて、消えて、消えて……! 皆々みんな、消えてったらぁ……ッッ!!」

部屋の、きっと本来の、“そいつ”に比べれば大人し過ぎる住人達に対しても同じく、設備は環境を最適に維持し管理していた。
三日72時間で少女の精神の糸を断ち切れる寸前にまで鑢掛け、発狂の縁まで追いやった、取り囲む“そいつ”の仲間達が居るのだ。
ぐるりと壁に沿って設置された水槽の内によく似通った四肢を浮かべて。
そしてこれほどの大きさの水槽であっても足らぬとばかり、そこかしこに記念碑さながらに建て並べられた透明なベークライト板に半ば封じ込められた、生き標本の姿で。
こんな誰も知らないような、見捨てられた地の底の部屋で、男の操るまま人知れず黙々と機能を働かせ続ける機械達に抱かれ、彼女らは生きていた。


224 :引き気味 :05/01/29 21:21 ID:???
少女は知らない。
かつて35年前の使徒との戦いの最中、この部屋の壁一面に誂えられた水槽には浮かぶ綾波レイ達が居たことを。
本来はそこは、アスカを閉じ込める牢などとしてではなく、扉の脇のプレートに記される「人口進化」という禁忌の響きを纏い付かせる目的の為に用意された部屋であった。
ただ少女の心を動揺に大きく穿ったのは、惣流アスカの歩んだその後の十年を語った最後を、シンジが『死んだのさ』と締めくくったことだった。
嘘よと力なく首を振った少女に応えて、彼が自身も納得してはいないからこそと指し示したのが、この部屋の中身だったことだった
次いで、老いた風貌にそぐわぬ機敏な動きの腕は床に崩れた彼女へと指先を変え、だからの君だと、突き付けたのだ。

――君も彼女らも同じさ

血の気を失った唇は、グルグルと回る脳裏からでたらめに浮かび上がる反駁の半分も言葉に出来はしなかった。
自分は、自分こそが惣流・アスカ・ラングレーだと、ただ言いたかった。
その、知らず涙を滲ませていた目に映ったのが、男の足に裸身を摺り寄せていた自分と良く似た――しかし、片目を眼帯に覆った――少女の頭に光る、赤いヘッドセットだった。
無意識に髪へとやった手に返る感触には、良く馴染んだあの二つはなかった。

 ◆ ◆ ◆

225 :引き気味 :05/01/29 21:23 ID:???
ホラーっぽい描写も勉強してみたいと思った今日ですた。
多分、エロと相性は良い筈。

でも、エロにグロが隣接してる上にいぢめぽな断罪はな〜 ('A`)

226 :FOX :05/01/30 23:58 ID:eHj4u+CM
>>222-224 引き気味さま

 ああ、立て続けに最悪の形でアスカが真実を知らされてしまってますねぇ。
 「みな同じ肢体」というのがシンジの歪みきった愛情を(というか、「あのころのアスカを求める」心理を)覗かせてくれます。
 しかしわざわざ眼帯付きにしちゃうというのも……確かにホラーだ。

 それはそうと「標本にされているアスカ」のくだりを読んで、私は「エイリアン4」のリプリー標本を思い出してしまいました。
 こっちのアスカはみな(一応は)綺麗なのが救いですけど。

 続きを激しく楽しみにしてます。

227 :引き気味 :05/01/31 00:09 ID:???
>>226 FOXさん

うーん……。
どうも言葉選びに難渋しておりまして、そこの「同じ肢体」ってとこも選択ミスの部分ですね (;´w`)
面倒な部分が重なると書き進める意欲がモリモリ減って行く近頃ですが、とにかくエロまで頑張ります

>リプリー標本

レイ’sの浮かんでいたダミープラントを背景に持ってくるのがEVAとしては一番説明し易いのですが、持って行きたいエロシチュにとっては却って説明に不利になるところでして、折衷として標本も混ぜました。
ここもまた描写が足りないような、適切でないような気がしているのですが――。
とりあえず、少しずつでも先に進めます。

一瞬浮気しそうになった巨乳モノとか、そーゆー誘惑は置いておいて (;´∀`)

228 :引き気味 :05/01/31 01:27 ID:???
「さて、時間はたっぷりあったろう?」

再び部屋を訪れた足音と共に毛布を剥ぎ取られた彼女に、男が『思い出せたか?』と訊ねていた。

「……あ、アタシが……」

表情も青く強張ったままだ。
その小さな唇の、喋り方を忘れてしまったかのような有様に自分で軽い恐慌を起こしかけさえしてしまう。
喉に張り付いた緊張を慌てて無理に飲み下そうとした音は、やけに響いて聞こえた。
些細な事のはずが、血の気が引く思い。

「……アタシがっ、あたし以外の誰だって言うのよ!」

自分こそが惣流・アスカ・ラングレー。エヴァンゲリオン弐号機のパイロットたる、セカンドチルドレンなのだと。
男はすぐには答えなかった。
アスカには圧迫感さえ感じさせた静けさに、モーターの低い唸りだけが混ざっている。

「ふぅん?」

沈黙を経て、『……つまり』と男は唇の端に皮肉げな笑みを過ぎらせた。

「すっかり思い出してくれたってことかな、奥さん」
「誰がっ、誰があんたの奥さんよ! このアタシが、あんたみたいな下衆をだなんて冗談じゃないわ。……いやらしい」

アスカの目の前で、男は足元にもう一人の少女をまとわり付かせていた。
うっとりと瞳を潤ませ、しがみ付いたズボンの足に剥き出しの胸を擦り付けて甘える仕草のなんと直視し難いことか。
気を引こうとばかりに鼻を鳴らし媚び、白衣の裾を引く。
その度に、よしよしとあやし付ける手が頭を撫ぜてやっている。
人の振る舞いではない。愛玩されるペットの姿か、さもなくば箍の外れた淫売だ。
しゃがむ姿勢では真正面にあまりに露な股間に、てらてらとぬめりが覆っている理由を彼女は考えたくはなかった。
何より“それ”が同じ似姿を持つことに、顔を背けずにはいられない。

「吐き気がするわ」

まして愛していたなどと、ある筈がないと。
吐き捨てたアスカに、男は鼻で笑い返して『そりゃあ、僕もさ』と、無造作に蹴りを放ったのだった。

「――!? ッ、ぐぅ……!!」
「いやいや、こちらこそ冗談ごとじゃない。僕がアスカを愛してる? あり得ないね」

229 :引き気味 :05/01/31 02:52 ID:???
痛みに呻き、入院服の腹を押さえ蹲る。
その横へ、嘲笑と共にひらと紙切れが落とされた。

「ぁ、あ……」

涙に滲んだ視界でも、一時の虚勢を吹き飛ばされた怯えが走っているだけにそれを無視できない。
放り捨てるように寄越されたのは、一枚の写真。
男自身のタキシードを着込んだ若い姿と並んで映る、ウェディングドレスの――その女性が生前に使っていた研究室だと、監禁までに連れ回された途中のそこで見せられたものだった。

――惣流・アスカ・ラングレーは碇シンジと結婚して、そして碇アスカになった。20になって直ぐのことだった、と。

「思い出してもらえないと、非常につまらないんだよね。こっちも気分が悪いのを我慢して昔の部屋に連れて行ってやったり、そいつを見せてやったりしたんだからさ」
「……しらっ、知らないわよ!」
「アスカなのに?」

『へぇ?』と睨みつける目を背中に感じるアスカは、凍り付いたように動けない。

「君、アスカなんだろう?」
「知らないわよっ! アタシはっ、……そんなの知らない。結婚なんて知らない! アタシは、まだ14なのよ。結婚なんて出来るわけがないじゃない」
「14のわけがないだろう? 生きていれば僕と同じ婆ァだったろうけど、少なくとも君は25までは生きたんだ」

そらと指し示す一角。震えるまま蹲り続け、顔を向けようとしないアスカは『見ろって』と頬を踏んだ靴裏で従わされて、

「三日もあればたっぷりと拝んだだろ。あれがその頃をそのままサルベージしようとした最初の君だよ」

230 :引き気味 :05/01/31 02:58 ID:???
薄いオレンジに透けるベークライトに、磔のレリーフ状に固定された“アスカ”だった。
無残な傷痕を片腕に腹部に残すものの、少女の身体つきから完全に脱したオンナを見せる裸身を半ば埋めて。
うなだれた瞳に意思の煌きを見出すことの出来ない彼女が、ゆっくりと見事な隆起の胸を上下させつつ、そこに居た。

「い、いやっ、いやぁぁー!!」

自己の存在を根本から揺さぶられる存在だ。
アスカには、男の足の下で必死に目を瞑り、叫び声で耳を塞ごうとするしか出来なかった。

「弐号機なんかに逃げ込んでくれるから、苦労したよ。20年近く掛けて引き摺り出せたと思えば、ガワばっかり出て来るものだからねぇ?」
「嘘よっ、あんなの偽者よ……!!」
「偽とはこれまた陳腐な言い草だが、自分の体を見てから言って欲しいものだねぇ。そのキレイな肌はどうだい? たっぷり可愛がってくれた量産シリーズのことは覚えてるんだろう?」
「知らない! そんなこと、アタシは知らない!!」
「アタシ、何にも知らないエリート中学生なのぉ……、かい? ハハハッ、笑わせてくれる。だったら、余程この子の方が本物だろうよ」

男はアスカから足を退けると、背後でやはり怯えたように見上げていた奴隷衣装の少女を招き寄せた。

「そら、見ろ。……見るんだ!」

涙をこぼして首を振るアスカに怒鳴り付け、胸に抱いた少女の裸に瞳を凝らせと。
標本にされた彼女とは裏腹に幼い乳房を揉み潰す反対の手で、細い腰に巻かれた黒皮のコルセットを剥がし、その下から現われた腹部を、全てを男に預けた様子で脇に投げ出している腕を、それら白い肌に走る傷痕を撫で回して見せ、

「――偽者ならね、要らないんだよ」

無情に突き付けて、言い放った。

「是が非でも聞いておかないと気が済まない事があるんでね。僕は、アスカに! 用があるんだ……!!」

231 :PDX. :05/02/02 12:36 ID:???
>>228-230 引き気味さん

 またずいぶん酷いシンジですなぁ。
 過去にどんなことがあったのか未だにわからないので、彼の行為が正当なものかどうか、まだなんとも言えませんが。
 

232 :引き気味 :05/02/02 14:06 ID:???
書いてて自分でまた少しヤな気分になったり。
惨くて、キチ入った責め役じゃないと無理なシチュだからとこのシチュ、配役にしたのですが、素直に名無しの悪人か脇キャラか、そこらにしといた方がすんなりとエロにいけた気がします。
エロに断罪分ですとか混ぜたのはやはり微妙だったんでしょうねぇ。

233 :引き気味 :05/02/03 00:22 ID:???
飽きた! てか、疲れてるから断罪をされる側視点で書くの無理! 欝ンなってくるからー!!

てか、エロスレでのアドバイスに素直に従って超展開!
色々と台無しだったり回収できなかったりって部分は、後で価値が感じられたら調整するってことで。

234 :PDX. :05/02/03 13:20 ID:???
>>232-233 引き気味さん

 ありゃりゃ(汗)
 まぁこのネタはしばらく寝かせておいて、以前言っていたように黒くないエロを目指してみては?

235 :コウイに値する名無しさん :05/02/03 17:00 ID:X+BKl9PI
アスカやレイが小学生に犯されるというシチュにハァハァ・・・

236 :引き気味@さっさとエロ :05/02/03 19:11 ID:???
――分からない。
混乱するアスカは、目覚めを境に一変した境遇への理解の乖離を思う。

「だから、やめろって言って――ッ、や、いやっ、いやぁあアああぁ……!」

衣服を奪われ、代わりに要所要所に絡む黒バンド拘束によって自由を無くした手足。
男の鑑賞に、羞恥をまとうのみの頭の天辺からつま先までを供されている屈辱。
裸の背中にコンクリート床もゴツゴツと酷く痛む。
かてて加えて、内腿の間に陣取られ、淫堕の狂人としか思えぬ同性に女と生まれた後悔を刻まれ続ける――悪夢であった。

「いやだ、やだっ、気持ちっ悪ッ……いぃいイヤァァアアアー!」

舐め荒らされている。一番大事な部分を。
目の前で揺れているのは、ピチャピチャと猫がミルクを飲むような音を立てて臍の下に伏せる、女の後頭部。同じ容姿を奴隷衣装に包んだ、男の手先。
視線を遮られたそこでの淫猥な舌音と、他人のものである温く濡れた蠕動物の感触によって思い知らされる、何をされてしまっているのか。

「あ、ああ……! あああっ」

また舐められた。潜り込まれている。
ぞろりと、ぬるりと、おぞましい。
アンタは気持ち悪くないのか? キタナイのに、キモチワルイのに。
いやだ、襞の隙間まで何てしつこく念の入った……。
やめて止めてヤメテ――そんな舐めほじくり返しながら進まれたらそのままじゃ次は、あ、ああっ、されてしまう――!!

「ひっ、いっ……そこは……ッア、あううぅゥウウ……!!」

また、と。塗り込められた唾液にすっかりふやかされた秘核へ襲う快感に、瞼の裏を白くする。
次の刹那訪れるのは、この街の蒸し暑い寝床に密かに覚えたものを上回るハレーションだ。
敏感になんてものじゃなく感じ易く尖らされたルビーの雛突を、瓜二つの唇に銜えられる快絶。
包皮も舌先にとうに剥かれ、甘く残酷にしごかれる感覚をダイレクトに受け止めねばならないなんて。耐えられる筈が、無い。
大きくMの字に割り広げられたアスカの腿に、びくびくと痙攣が走る。
いよいよ追い詰められたと悟って、ベルトで足首に繋がれた手が結び目のリングを無駄にガチャガチャと騒がせた。

237 :引き気味@さっさとエロ :05/02/03 19:12 ID:???
「しんっ、しんじゃう……っッ」

意識が、侵攻するレズクンニの快楽に幾度目になるかまたしても敗北し、蒸発させられる瞬間だった。

「上手いぞ、アスカ。その調子で丁寧に“準備”を仕上げてやれ」
「ンァ……ァ、ハイ」

水槽の制御装置の前に置かれていた回転椅子を引っ張ってきた男は、軋みの酷い背もたれに寛ぐ。
そのお褒めを与えられて、「アスカ」と自分を呼んで貰えて、こくりと女は片目だけで喜悦を浮かべて見せた。

(……もうっ、いっ、嫌ぁぁ)

やっぱりペットだ。最低男に飼われて悦ぶ、犬畜生オンナだ……!!
主への媚びを忘れない返事にさえ満足な口を聞けぬ不具に、反発が倍化させる蔑視感情がもたげたが、向き直って見下す青い瞳の前に、『ヒッ』と悔しさが萎れた。

「ほらほら、そんな固い顔なんかしてないで。君も素直に悦がらせて貰っとけよ。どうせ自分のためなんだから、遠慮はいらない」
「――!! またっ、っっあんんあああ!」

吸い付かれて、あえなく啼かされる。
むしゃぶり付きながら上目に窺っている表情は、そちらこその侮蔑だ。
どれほど唇を噛もうと、現にその“ペットの知恵足らずオンナ”に屈服させられている事実が全てを打ち負かす。
憎々しい目に、いい気味だとはっきり浮かんでいる。

(悔しい、悔しい、悔しい……っ)

閉じようと死に物狂いになる両膝は、それぞれ左右の手首と括り付ける細皮バンドによって如何ともならず。
思いとは真逆の大股に固定され、羞恥の源泉は敵の思うがまま。
あはと、笑われた。
アンタなんかに――! 屈辱に、涙がまた滲む。
それも再開される愛撫に首をのけぞらせる内、『あ、あ、あ』と哀れっぽく息を切らす痴態の添え物に成り果てるのだから救いが無い。
気持ち良いの身悶えに乗って揺さぶられる双丘。勃ちっぱなしの乳首。

238 :引き気味@さっさとエロ :05/02/03 19:12 ID:???
オールヌードの全身はふつふつと汗粒を浮かせ、セックス・フラッシュに紅潮していた。
ヒクヒクと痙攣のように足の指もよじらせる、泥沼の強制官能だ。
女の淫らなベーゼがじゅるじゅると、股の間を焦らしの縁で遊び回る。

「いひ、いいぃぃ……!」

勝手に腰が浮き、秘唇に女の舌を求めてしまう。
花泉の底にぱくぱくと喘ぐ膣口へ、熱い細杭を打ち込んで欲しいと、蜜涙が泣くのである。

「……インラン」

『んちゅっ、ちゅっ』と押さえ付けた雪肌の下腹部に、恥毛をかき分けながらのレスボスキスをねっちり見舞っていた愛奴少女は、主の口を真似てそう嘲った。
舌を使わぬ合間も責め手は休めず、細い指をしなやかに使って、濡れ濡れのピンク花弁をヌルヌルとなぞり続けている。
充分に滲み出した愛液を掬い、次はその下のアヌスにも塗り込めるために。

「ううっ、うっ、うっ……黙りなさ、いよぉ……」

情けなさと悔しさに、声は震えた。
牝奴隷のコスチュームに揃いの黒皮製アイパッチを付ける女は、その顔の敗北感の滲みをこそ確かめて、満足げな唸りに喉を鳴らす。
首や二の腕に装飾としての革ベルトを巻く彼女には、ポジション変えの拍子に揺れたバストの先にこれもまた主への隷属の誓いとして、金のリングピアスが二つ、輝いていた。
そして、自分のその奴隷乳首とは裏腹に無垢に尖るいじらしい桜色二つへ、交互にコリコリと苛むよう歯を立てるのだ。

「痛っ、ああっ、あああっ!」

たちまち涙を新たに、『痛いのやぁっ、噛むの、噛むのゆるしてぇぇ』と、哀れを請う拘束美少女。
じたばたと藻掻かせる細い手足は圧し掛かる幼いサキュバスと殆ど同じではあるが、戒められた虜囚の身が災いして、あえなく腹を折り曲げられてヒップを、陰部を持ち上げられてじっくり覗き込まれてしまう。
勿論それは、淫楽責めに泣くウィークポイントの確認の目的であって、また踊りだす白い指に、喜悦と恥辱の涙を絞られることになる。

「――ひぃっ? あ、ちょっ!? そ、そこはっ、あっ、触らないで……!!」
「……ダメ。ここに、いれるから」
「うっ、うう……うぁああ! あっ! あ、あ、あううっ」

239 :引き気味@さっさとエロ :05/02/03 19:13 ID:???
ひんやりとした指が、アヌスの窄まりを侵す感触。
ゆるゆるとほぐされ、真上で垂らす蜜を何度も何度も塗り込められる。
ある種、処女のスリットをまさぐられてしまう以上の汚辱を覚えさせられる仕打ちに、例えエリートパイロットとしての自負の記憶があったにせよ、ただの少女の身に立ち戻って頬を濡らすしかないのだ。

「痛がるようだと可愛そうだろう? 繋ぐ前にまず自前の潤滑油をな」

示し合わせる言葉に、嫌が応にも目に入ってくる傍らの器具類だった。
繋ぐと予告されたそれ、長いホースのような物も異様な存在感に目立ち見える。
散々に嬲って挿れ易くされてしまったら……その後は。
それが信じられない。どうしてこう悪夢めいた陵辱を受けねばならないのか、現実に心が追い付けない。
何故の一言。
昨日までのアスカの世界と、この今日が地続きだとは到底承服できない。
だが、その昨日の存在こそが幻なのだと冷たく突き付けられれば、拠って立つ足下すら無かった。
――アスカは、「アスカ」では無いのだというのだから。

「はぅっ、うぅぅっ……。うっ、ううっ、ふンぅううう! う゛、あう゛う゛ぅっ!! ひぃっ……ひっ、酷い……」

身も世も無い嗚咽に至るまで幾ばくも置かず。
それでも男の指示は、二本、三本と指を増やして、フインガーピストンをその小さなアヌスに受け入れられるようになるまで続けられた。

「……どうだ?」
「はい、い。もう、もうダイジョウブ、です。わたしのゆび、入れてへいき、なってますから」
「三本揃えて根元まで、だな?」

ニヤニヤと確認する男の声に、忠実な僕が、アスカの恥に窮まった有様を克明に述べ上げていく。

「ああ、あ、アタシ……」

今や、しゃくり上げるよりも、混ざる切なげな呼吸の方が目立つばかりになっていた。
揃えられた指先が緩急を付けてつぷぷと潜り込み、菊花のすぼまりを拡張するほどに、びくん、びくんとアスカは身を躍らせるのだ。

240 :引き気味@さっさとエロ :05/02/03 19:13 ID:???
そして興奮の色を隻眼に露に陶然と溜息を漏らし、双子かと見紛う姿の相手を巧みに追い詰めていくもう一人の少女。
アスカと、アスカの。二人の責められ、攻める「アスカ」の絡み合い。

「……ヌルヌル」
「ははっ、そうか、ヌルヌルになったか。だが、お前も随分と涎を垂らしてるようじゃないか?」

背後からにんまりと眺める男の目には、嫌よいやよと首を振りつつも自分から尻を振り出しているアスカの性器と、これに圧し掛かって弄ぶ一方、やはりじゅくじゅくと蜜を滴らせるもう一人のアスカが、片手に自ら慰めだしている――二つの果肉の爛熟ぶりが、特等席で眺められる。

「いやあ……あっ、あ……ッ。ふァんっ」
「そんな気持ち良さそうな声出して泣いちゃって、まぁ……。意外に可愛いく見えるもんだね。いや、驚いた」

どんなに狂った嬌声を上げさせせられても、突き刺さる視線の存在を始終意識せずにはいられぬものだから、死にそうに恥じらいながらイキ狂うしかないのだ。

「だっ。だめ……ッあ、はひっ、イッ! どうして……ぇ」
「やっぱり君はアスカだったかな? あの売女にそっくりだと言えば、実にそっくりだしねぇ」
「アタシっ! アタシっ! あああ、おしりっ、だめぇぇ……!」

そんな易々と性感の暴走に呑まれ、己を裏切るその躯が信じられない。
いっそ殺せと喚いていられたのも最初の内。

『――僕はそんな残酷な男には中々なれなくてね。いくら失敗作とはいえ、無碍に処分したりはしないさ。殺すなんてそれこそとんでもない』

薄ら寒い目をした男に狂気の匂いを嗅ぎ取りつつも、言われるように妻であったなどとは信じられぬ、まして「碇アスカ」は、夫の不在に他の男を家に上げて不貞に浸る、尻軽の色狂いだったなどと到底認められるはずが無い――そう叫び通した。
故に、失敗作。求めた「碇アスカ」の復活ではないかと烙印を押された結果が、

『君には生憎だろうけど、また自殺でもされちゃ堪らない。死んで逃げを打たれるなんてムカツク真似、そうそう繰り返される気はないからね。大事に大事に保存しといてあげるよ』

241 :引き気味@さっさとエロ :05/02/03 19:13 ID:???
部屋を埋め尽くす他の「アスカ」達と同様の、生き標本にされるという恐ろしい宣告だった。

「どれ、もう良いだろうかね?」
「や。やめて……。あああっ」

老い顔に昏い愉悦を湛えたシンジの成れの果て。
その確認に、従順な隻眼の少女は、しどけない裸身を晒して放心するアスカの後肛を指先でぱっくり開いて見せる。
片手には、今からこれを挿し込んであげると言わんばかりに構える長い管が。
彼女はこれを、やれと言われれば躊躇い無くアスカのアヌスに繋ぎ、スリットには尿道カテーテルをと、ベークライトプレートに半身を埋められて固定される下拵えを済ませてしまうつもりなのだ。

この少女は、三日より以前は、部屋に並ぶサルベージ体の女たちの中でも最も新しい「アスカ」だった。
繰り返された失敗の果てにはじめて14歳の固体として設定され、弐号機コアより浮上させられた彼女は、意識を取り戻していたが為にそれまでとは一線を画す半成功体だとされた。
しかしその華奢な頭蓋の裡にシンジの求める碇アスカの記憶は宿らず、更なる試みが行われたのである。
故に、少女の身は白いエヴァに刻まれた傷痕が残る15のアスカの肢体。
14歳までの記憶までを復活させ、無残に荒らされるより前の美肌を与えられたアスカを、憎むのだ。

アスカでは無いと見切られたことが却って愛玩物として生きる余地を与え、無地未着色の自我を創造主の寵愛を求める一心で満たして、己を得た。
そして今、奪われるかと怯えた「アスカ」の名を主から確かにされて。シンジが戯れに与えたヘッドセットも取り上げられることは無い。
それらは彼女の宝物。

――彼女はその未発達の心に、言わば残酷な凱歌をあげている。
勝利の美酒に酔うように、愛奴少女は生贄の悲鳴を確かめるのだった。

242 :目黒腹蔵 :05/02/03 20:18 ID:???
うおおお何やらドエロそうなのキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!

時間が開いてじっくり読める週末を楽しみにしとります(つД`)コンナトキニ

243 :引き気味 :05/02/03 20:30 ID:???
(;´∀`) …………。

絵を思いついた時はエロいと思ったんですが、文章付けてきますとどうもナンなんですよねぇ。
ここまで行けば先はバレバレですから書きますが、ネタを纏めているメモ帳のファイル名は「トルソのアスカ」とかなっとるんですね。
別に切ったりはしませんけど。
そんなわけでかなり倒錯分とかイヂメ分の高いこれ、そこに断罪ネタだとか入れてしかもアスカ視点。
ハァハァするには邪魔な要素ばかりな気がしますが――ま、トライはしてみたということで。

244 :FOX :05/02/03 22:46 ID:l7VNMues
>>236-241 引き気味さま

 生きたまま彫像とされてしまう運命を宣言されても、自分そっくりの邪悪な生物に与えられる屈辱的な快楽に圧倒されてしまうしかない「彼女」。
 「彼女と同じ痛み」を与えられた、中身はまったく違うペットの歪んだ視点。

 相当苦労されてると思いますが、読んでいる方は「おお、いい感じで回転数上がってきた」って感じですね。

>>標本
 先の投下分でもふと思ったのですが「銀河鉄道999」の初期エピソードにあった「人間の剥製」を想像してしまいました。

 それにしても、シンジはその半完成品の彼女に、「彼女と同じ痛み」を与えることで、「彼女の記憶を取り戻す」ことを、あるいは「彼女と同じ存在になる」ことを期待していたのではないか、とか深読みしてしまいました。

 さて、美しい鑑賞物とされてしまう運命をアスカはどう感じてしまうのか、ひょっとして諦観と甘美な死の快楽にとらわれてしまうのか……などなど、すごく楽しみにしてます。

245 :PDX. :05/02/03 23:35 ID:???
>>236-241 引き気味さん

 なんだかんだ言って続いてるしw

 犯され、怪我される汚辱感に耐えるアスカ、マッハ堕ちにはない良さがありますね。
 そして白痴アスカの無垢ゆえの残酷さが恐いですな(汗)



246 :引き気味 :05/02/03 23:51 ID:???
白痴アスカの造形が適当です。
口調とか、外見は海賊ルックでも通る眼帯子ちゃんになっちゃったのに、なんとなくレイと某ラピスラズリの間の子の様な――見切り発車ですた。
他も色々、もう少し勿体つけて出した方が風情があったろう「生前アスカは浮気DQN」設定とか、適当ですね。
>>233で言ったのは、そういう意味での省略化でありました。

主役アスカのエロに関しましても、自分がアスカだと認めるととんでもない淫乱浮気女だということになる、でも認めないでアスカではないとはとても言えない、なんて板挟みで煩悶しつつ、ベークライト板に背中とか塗り込められちゃうのは恐ろしいから、シンジの前に這い蹲って媚びて、白痴アスカと競うようにしたり――とかも案にあったのです。
構成がややこしくなりそうだったり、またエロ以外のテキストが増えそうなんで断念しましたが。
この、自己存在に疑問を突きつけられるアスカというガジェットは、あの強気且つ脆いキャラには面白いフィットのような気がしまして、今回に限らず色々と煮詰めてみたいネタではあります。

そんなわけでまだ書き終ってませんけど、気分としては後書きな感じ (;´∀`)

247 :引き気味 :05/02/03 23:56 ID:???
>>244 FOXさん

エロ部分も随分平坦なんで、正式版にした時に余裕があればもちょっと凝ってみたいですね。
本命のこの後のシーンで満足できれば、このままかもしれませんが。

>「銀河鉄道999」の初期エピソードにあった「人間の剥製」

イメージとしてはこれよりも「ぬりかべ」ですかねぇ……。
壁に腕を、床に足を塗り込められて、もうそのまま部屋にやってくる悪漢に好きにまさぐられてしまうのも抵抗できずに涙をこぼす少女の図とか、そんな拘束系のより逃げ出せない感強めなやつを想定してました。

248 :PDX. :05/02/04 14:16 ID:???
>人間の剥製

 999だと、化石化ガス雲で住民が皆化石になってしまった惑星のエピソードで、化石化した美少女というのがありましたっけ。
 化石というか石像ですが。

 ガリアンのジョジョの母親も、マーダルの部屋に飾られていましたな。
 あれは剥製ではなくてコールドスリープのようなものでしたが。
 だから意識とかが無いのでエロ度は低め。
 似たようなものでは天空戦記シュラトの、石像化された女神様?(笑)

 意識も感覚もある「生きた彫刻」というのを強いられるのは辛いでしょうなぁ。
 すえひろがりの作品で、生きた彫刻を演じる少女がヒロインのお話がありましたが。
 所属している芸能プロが、お偉いさん相手に催すパーティの会場で全裸でポーズをとり続け、視姦されまくるというやつ。
(一定以上年齢が上の女の子たちは売春もさせられていた)


249 :引き気味 :05/02/04 23:45 ID:???
>>248 PDX.さん

>化石化ガスに襲われた星のお話

たしか、残された恋人がそのままにしておけずに守りをしているお話でしたね。
磨いているうちに薄い服の部分が割れて剥がれ、いつしか裸婦像になってしまった恋人の像。
出来の良い彫像として狙ってくる他所の星の与太者から、たった一人で恋人の亡骸を守っている戦士、でしたか。

新作を書こうとしてさえくれなければ、松本センセのお話はどれも思い出深いんですがねぇ……。
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