黒AR

342 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 15:42
>>338
ぼくのぎんいろはうす…。
はーれむかくめいというのもあったか。

それはそれとして、なんか話の流れには著しくそぐってはいないのですが、なんとなく過去のネタを処理したくなったので。


 黒AR

「――やりすぎた、かしらね?」
 ミサトの言葉と声には、なんの苦悩も感じられない。そのことに憤りを感じてしまう自分が救いようのない偽善者のように感じられて、リツコは口にしていたタバコを灰皿乱暴に押し付けた。
「条件づけが曖昧だったことは認めるわ」
「こうなってしまっては、しゃーないか」
 笑いさえした。
 ぞっとした。
 リツコの記憶にあるミサトは、冷徹な思考と激烈な感情の両輪で走る、不安定極まりない大型バイクのようだった。一度倒れたら簡単なことでは持ち上げることすら困難だ。不良品のタイヤによって支えられる車体は復習心と使命感。それはあまりにも重過ぎる。
(……それを悟らせないための仮面が――まさか、本物の顔になったとでも……)
「とりあえず、問題は多々あれど、チームワークの確立はなんとかなりそうね」
「ええ」
 一応、同意した。
「予定通り、というわけではないけどね……」
「問題あり、か」
 また、笑った。

343 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 16:05
「アスカが――」
 二人がその報告を受けたのは、彼女に“処置”を施したまさにその日だった。
 早い内に効果はでるとは予想されていたが、それにしてもたった数時間で、しかも予想を遥かに超えた形で現れていた。
「はい」
 レイは、二人の前で無表情という仮面をつけて報告の続きを口にする。わずかにも寄せられていた眉根が、彼女が不快感を押さえ込んでいることの証明だ。レツコもミサトも、そのことを察している。察しては、いた。
「まさか、そういう態度にでるとはねー」
 ミサトは頭をかき、リツコへと顔を向ける。
「ええ、予想外だわ……」
「――どういうことでしょうか?」
 素朴ではあるが、強く切実な問いかけ。
 誤魔化すのは容易ではないし――そもそも、二人はことここに至っては正直にことの次第を説明するほかはないと悟っていた。
 問題は、どちらが「それ」を説明するかだが……。
 二人の視線は空中で絡み合い、同時に溜め息がもれた。


 ……綾波レイが惣流アスカ・ラングレーに口付けをされたのは、ほんの三時間前である。
 いつものように実験にきていたレイは、同じく(別の)実験に参加するために本部にきていたアスカと、トイレで鉢合わせた。
 同僚同士がそこで顔を合わせて何かが問題になるはずもない。本来は。ただ、二人の関係は出会って以来最悪といえるまでに険悪なものとなっていた。特定人物意外との関係はあまり気にも留めないレイであるが、アスカとのやりとりは珍しく彼女に不快感を覚えさせるには充分であった。
 だから、さっさと離れようとして――

 口付けされた。

 いくらなんでも、彼女だってその行為がどういうものかは知っている。
 親愛のための、愛情を示すための行為だ。
 古今東西、文化が違っても、程度の差異はあっても、それは変わらない普遍的な行動のはずである。専門的に人類学を学んだことのないレイの知識では断定することはできないが、少なくともドイツでは嫌いな人間に対してそのような行動をする、などという話は聞いたことがない。
(彼女は、異常だわ)
 同性愛の存在だって知ってはいる。そのような嗜好があるのは世間的には少数派ではあるが、確かにあるということも理解している。ししかしアスカがそうであるとは思えなかった。そもそも彼女に好かれるような覚えはレイにはない。何か通常ではない……異常な事態なのだと判断する。
 そうして相談をもちかけたのがリツコとミサトである。
 まさか、この二人がことの元凶であろうとは、彼女も想ってもみなかった。

344 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 16:45
 ……綾波レイが惣流アスカ・ラングレーに口付けをされたのは、ほんの三時間前である。
 いつものように実験にきていたレイは、同じく(別の)実験に参加するために本部にきていたアスカと、トイレで鉢合わせた。
 同僚同士がそこで顔を合わせて何かが問題になるはずもない。本来は。ただ、二人の関係は出会って以来最悪といえるまでに険悪なものとなっていた。特定人物意外との関係はあまり気にも留めないレイであるが、アスカとのやりとりは珍しく彼女に不快感を覚えさせるには充分であった。
 だから、さっさと離れようとして――

 口付けされた。

 いくらなんでも、彼女だってその行為がどういうものかは知っている。
 親愛のための、愛情を示すための行為だ。
 古今東西、文化が違っても、程度の差異はあっても、それは変わらない普遍的な行動のはずである。専門的に人類学を学んだことのないレイの知識では断定することはできないが、少なくともドイツでは嫌いな人間に対してそのような行動をする、などという話は聞いたことがない。
(彼女は、異常だわ)
 同性愛の存在だって知ってはいる。そのような嗜好があるのは世間的には少数派ではあるが、確かにあるということも理解している。ししかしアスカがそうであるとは思えなかった。そもそも彼女に好かれるような覚えはレイにはない。何か通常ではない……異常な事態なのだと判断する。
 そうして相談をもちかけたのがリツコとミサトである。
 まさか、この二人がことの元凶であろうとは、彼女も想ってもみなかった。


「……つまり、ね。アスカはあなたに対して反発できないように――好意を抱くようにやってみた訳なんだけど――」
「了解しました」
 話は半ばで、大方のことは把握できた。
 つまり惣流アスカ・ラングレーは、組織の規律を乱すものとして「教育」された、ということなのだと理解する。そのやり方が普通にみられるものではなくて、未だデータが揃っていなくて、結果としては予期せぬものとなってしまった……そういうことだ。とりあえず、まったく何も解らない状況ではなくなって、レイはわずかにも安堵した。何も解らないということに人は恐怖する。全てを受け入れることができる人間は恐怖を感じないのかも知れないが、生憎とレイはそうではない。それでも理由が解れば、判断の一つの指針にはなる。
「とにかく、以後は彼女との関係の改善につとめなさい」
 ミサトは、腕を組んで「軍人」としての厳しい表情でレイに「命令」した。
「彼女に施された“処置”はそう簡単には解けないものだし、今のアスカにはとにかくあなたに逆らうことができなくなっているはずだから。本来の意図したものとは違っていても、目的の支障となるようなものではないはずよ。――あなた次第だけどね」
「はい」
 彼女――アスカが、自分に対して刺々しい態度ではなくなるというのなら、こちらとしても歩み寄りようはある。まだ何か胸の中にわだかまりが残っているが、そんなことは「命令」の前では大した意味を持たない。充分に抑えきれるし、このまま「正しい関係」が確立できたのならば、それもいつかはなくなるだろう。何よりも使徒撃退のためには必要なのだから、彼女に異論のあるはずがない。

345 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 16:46
 しかし。
「でも、油断はしないでね」
 リツコは言い添えた。
「アスカが好意を持っているとしても、それはあなたの対応次第では以前より遥かに強い憎悪に転換される可能性もあるから」
「……それは、どういうことです?」
「好きということは、そういうことよ。可愛さ余って憎さ百倍――今のアスカは、よかれ悪しかれ、あなたの言葉に過剰な反応を示すはずよ。そのことは念頭においてね」
「はい」
「……ま、いきなりキスまでせがんじゃうほどにあんたにメロメロになっちゃってるんだものねー。なんかあっても、キスとかしたげるだけですーぐにシアワセになっちゃうと思うけど」
「ミサト、混ぜっ返さないで……というより、態度を一貫させて、お願いだから」
「解ってるわよ。ただ、あんまり深刻な顔で言えることでもないでしょ? “彼女が不機嫌になったらキスしてしまえ”――なんてさ」
「……どこのジゴロかナンパ男か……レイにそんな真似させようっていうの? まさかあなたがそうされて誤魔化されていたわけじゃないでしょうね」
「……一般論よ」
「……あまり普遍的な一般論ではないと思うわ。それに――そう。キスって、とても大切なものよ。気軽にしていいものじゃないわよ」
 その言葉に、ミサトは目を丸くした。
 レイは無表情に――しかし、かすかに瞼を閉じた。
 リツコは二人の反応を見てから、急に苦虫を噛み潰したかのような顔になり、俯いた。
「――そうね。だから、好きな人にされたら、何もいえなくなるっていうのは、正しいのかもね……程度にもよるけど……」
 何やら重い空気になってしまったが――
 レイはその後で一通りのことを二人と相談し、でていった。
 アスカとの交流計画(仮)は、とりあえず明日から開始するということだ。
 少し間を空けた方が、お互いに冷静になれるだろうと、そう判断されたからだった。


 続きは九時くらいに投下します。

346 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 16:47
あら、>>344ってば、前半分が余計だ……。

347 名前: PDX. 投稿日: 2004/04/13(火) 17:18
>>我乱堂さん

 おぉ、ここからどう展開するのか。
 後半が掲載されてから感想を書きますね〜。
(続き、であって「後半」ではないかもしれないけど(^_^;)

348 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 19:14
>>347 PDX.さん

えーと……。
とりあえずは前半の完、かな?
(つーか、自分でもよく解らないです(汗)

349 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 19:35
 惣流アスカ・ラングレーが綾波レイに会いに行ったのは、その日の夜のことだ。


(……なんでわたし……あんなことしたのかしら……)
 何をどう考えても、そこにいきつく。
 自分にはあんな趣味もなかったはずだし、そもそもからしてファーストのことを嫌っていたはずだ。あんな冷血の人形おんなのことなんか……。
 瞼の裏に浮かんだ綾波レイの顔を、とくに表情というものがなくて。
 胸が痛んだ。
「なんでよ……こんなの……」
 腰の奥で何かが疼いている。太ももをもじもじとすり合わせてしまったのはどうしてなのか。かきこむように胸に丸め込んだ拳がブラジヤー越しに乳首を刺激した時、全身にかつてない衝撃と痺れが走った。
(やだ……こんなの……)
「は……あん……」
 喘ぐような――ではない、喘ぐ声が口からもれた。無意識のうちに右手は股間に伸び、左手は制服の裾をまくりあげて胸に触れた。そして。動く。かつて恐る恐る試したことが一度あるだけなのに、その時のアスカは最初から乱暴とも言える手つきだった。乳房を絞るように掴み、ショーツの下の割れ目に穿るように中指を詰め込んだ。すぐさま綻んで熱い蜜を溢れさせたのは、彼女の体がそれを切実に要求していたという証明であった。
「おおっ! やぁっ!」
 声は抑え切れなかった。
 寸秒ごとに火照っていく体の熱さに耐えかねるように、上着も下着も全てを脱ぎ捨ててしまった。脱ぎながら指を動かし、声をもらした。そうして枕に顔を押さえ込んだまま、尻を高々と突き上げる。
 いつしか股間をいじくっていた指は蜜で塗らしたままに唇に咥え、舐めしゃぶっていた。
 それは。
 そこでレイの唇に触れたから。
 そこにレイの唇の感触がまだ残っているような気がしたから。

 アスカは一心にその瞬間のことだけを思い起こし、それだけで身体を熱く滾らせていくのだった。

「ああっ! あああああッッッッ!」

 そして絶頂に至った。
 ここが完全に隔離されたドイツNERVのプライベートルームではないということなど、その時のアスカの頭からは消え去っていた。
 だから。

「アスカ! 何があったんだ!?」

 何事があったのかとシンジが部屋に飛び込んできても、それは無理からぬことであった。

「――って、あ、ごめんっ!」
「………………………………………」

 慌てて顔を真っ赤にして部屋から飛び出るシンジを、アスカは霞がかった視界で見ていた。
 この上ない痴態を見られたというのに――
 それを正確に認識する程度の思考力が戻るのは、もう十数分たってからだ。
 

……前かいたパートだけど。
順番の変更とやや修正。
そしてちょっとだけ続き。

まだ続く。

350 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 22:26
(我慢――できない)
 ひとたび絶頂に至った後は、アスカの中から理性という楔は抜け落ちたかのようだった。
 とりあえず落ち着いてからシンジをぶん殴り、制服に着替えて家を出る。
 すでに時間は午後八時を回っていた。
 この時間にはファーストはあの廃墟じみたマンションに帰っているだろう――そう判断した彼女は、迷うことなくそこに向かった。
 以前に一度だけいったことがある。
 そこは、陽の光の中にありながら死と闇の領域に属しているかのように見えた。
 アスカは二度とこんな場所にくるものか――そう思ってから、ここに住むレイもまた恐怖の対象になっていた。死と闇の領域に住む女とは、それはもはや人間とはいうまい。冥府の住人の類ではないかと。
 そう思ったのだ。
 ――それが、今となっては逆転した。
(ここに、ファーストがいる……)
 そうと考えれば、ここは永遠の国であるかのようにすら感じられる。夜の闇の帳がかかってなお。
 コンクリートの階段を上る足取りも軽く。
 夢見るかのように、彼女はレイの部屋の扉の前に立った。
 そして。
 我に返った。
(どうしよう……あたし)
 どうして――。
 どうして、自分はこんなところにまできてしまったのか。
 あんな真似をしてしまったのに。
 あんな真似されて、わたしを許してくれるはずなどないのに。
 アスカは震えた。
 それは恐怖による震えだった。
 もしも――ではない。おそらくは確実にくる未来、自分を拒絶する綾波レイの姿を、拒絶されてしまった自分の姿を、彼女は思い浮かべて恐怖したのだ。
「あ……ああっ……」
 嗚咽がもれた。もれたそれが聞こえないようにと口を押さえ、なおそれは塞がりきらずに夜の空気に溶け出た。
 膝をつき、埃だらけの床に顔を押し付けて、埃塗れになってもなおそれは続いた。

 その時。

「何をしているの?」

 コンビニの買い物袋を片手にぶら下げて、綾波レイがそこに立っていた。

351 名前: 黒太陽神の司祭・我乱堂 投稿日: 2004/04/13(火) 22:49
予定ではあとちょっと書くはずだったけど、忙しくなったのでまた明日。
つーか、明日で考えていたエピソードは全部消化する予定です。


エロくはないですが(爆)

352 名前: PDX. 投稿日: 2004/04/14(水) 00:32
>>我乱堂さん

 おや、寸止め(笑)
 なんか色情狂になりつつあるアスカがらぶりー(爆)

 しかしシンジが哀れだ(笑)



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