家出アスカ

313 名前: 引き気味 投稿日: 2003/11/28(金) 22:42
シンクロ率、ゼロ。
その数字だけを抱えてアタシは家を――いいや、ミサトの部屋を出た。

――出て、歩いて、そしてどこへ行こう?

(誰も、誰も、誰もアタシを見てはくれない……)

ただっ広い無人の交差点に立ち尽くす。
エヴァンゲリオンという巨人が闊歩するためのこの街の、広い広い、無闇に幅を取った道路の真ん中。
ここは確か、本部への工事車両入り口トンネルがあったところか。
このまま真っ直ぐ市の中心部、0エリアに進めば電源ビルが立っていた筈だと、叩き込まれた市街地図が脳裏に浮かんだ。

「ハッ、なにを今更……。バッカじゃないの……」

じりじりと真昼間の日差しが照り付ける道には、アタシとアタシの影しか動くものはいなかった。
車道のど真ん中に案山子のように立ちんぼでいても、誰もクラクションを鳴らして注意はしないし、用済みのアタシを楽にふっ飛ばしてくれるような、素敵なスピードのダンプカーも突っ込んではこない。
ただ、戦いが始まってもまだ街を修理し続けていた名残が、真新しいアスファルトの塗られたスクランブル交差点。
それも俯いた目線を道路から引き上げるだけで、辺りにはガレキだけが広がる変わり果てた風景だ。
街はもう、空っぽ。本当の廃墟だった。
折角の道路も誰も使いやしない。

無駄。役立たず。何の意味も無い、存在価値も無い。ただ、そこにあるだけのだだっ広い道路。

歩いても歩いても、最近の気紛れに雑誌の立ち読みばかりを続けていたコンビニにも、ゲームセンターにも、ざわめきに満ちた雑踏にも、今はどこにも行けやしない。
アタシのカラダ、見掛けだけにしか興味は無いくせに、猫撫で声で近付いてきて、勝手にあれこれ勘繰って、慰めてあげようだなんて口先だけ優しくしようとする、それでも近付きもしないバカシンジよりはよっぽどマシな、軽薄な暇潰し相手ももうどこの路地裏にも見付からない。

生熱い風が吹くと砂埃が舞った。
ガシャ……ン! と、傾いた電柱から電線に吊り下がっていた変圧機が地面に落ちる。
数日前は変圧機だったそのガラクタは、ビルが崩れ落ちたコンクリート片の山に混ざって、瞬きを何度かしている内にもう辺りと区別が付かない、ガラクタの山の一部になった。

『あれ?』と思った。
その山に連なったガレキの隙間からその時、アタシは小さな女の子が一人、向こうを駆けていくのが見えたような気がした。

(みんな疎開したんじゃ……。え? 女の子? なんで……残ってるの?)

誰も居ない筈なのに、どうしてあんな小さな子が一人でいるのだろう。
この頃良く寝れていない頭は上手く疑問の答えを見付けてくれない。
どうにも気になるものを振り払えなくて、アタシは後を追い掛けた。

後姿は五歳くらいの、黒い洋服。
手にぬいぐるみを持っていて、それはどこかで見たような形をしていた。

314 名前: 引き気味 投稿日: 2003/11/28(金) 22:43
◆ ◆ ◆

(なによっ……やたらに足が速いじゃない!)

灰色の野原のように、爆風がコンクリートを引き剥がし、微塵にして振り撒いた商店街の跡を駆けてゆく。
林のように、地面に何本も鉄骨が突き刺さったアーケードの跡を抜けてゆく。
森の茂みをくぐるように、互いが寄り掛かり崩れたビルの、斜めの壁の隙間に身を屈めてゆく。

「ちょっと……どこに行ったのよ……。ねえっ!」

見失ったの? そんな筈は――と、確かにあの子が入っていたように見えた建物は、比較的受けた被害は少なかったらしい、少し通りの裏に入ったラブホテルだった。
エントランスホールは、人が居なくなってほんの数日でやけ埃っぽく塵が積もっているのを除けば、今にもそのエレベーターからけばけばしい服装の男女が弛んだ笑顔を交わしながら降りてきそうな、そんな日常を留めていた。

(いやだ……)

客の中には、家出中の当所も無い自棄心を抱えた女の子を夜の繁華街で上手く引っ掛けた、そんな中年男も居ただろう。

(……!!)

アルコール臭い息を吐く、ヤニ下がった顔が思い浮かぶ。
自分の胸ほどの背丈の華奢な女の子を肩抱きに、選んだ個室にさぁ行こうかとエレベーターに乗るその小太りの男。

『おやおや、まぁ……』
『あら、いやだ』

乗り合わせた、いかにもホスト然とした優男と連れの化粧の濃い女は、まだ中学生にしか見えない少女をホテルに連れ込んだ男に囃すような声を上げる。
そして、少女が異国の血を引いているらしい白い肌と、染めたものではない本物の艶やかさを持った淡い髪色をしているのに目敏く、『どれ……』と顔を覗き込もうとする。
無言のまま顔を背けるようした少女だが、伏せた目元に前髪が垂れて隠していても容易く分かる、すっきりと通った鼻筋、ふっくらとした桜色の唇、綺麗な顎のかたち。
結構な別嬪じゃないかと優男は口笛を吹く。
少女がまたその無遠慮な視線を嫌がるように、結果的に中年男の贅肉の多い胸にその美貌を埋めるようにしたのは、まるで甘える姿にも似て見えて、中年男は押し付けられたやわらかい感触に赤ら顔をデレデレと一層崩す。

このくたびれたサラリーマン風の男のこれまでに、こんな良い目を見たことはあったのか。
肩を抱いて引き寄せる、たまたま拾っただけのその願っても無い宝物を、中年男は二人連れがエレベーターを降りた途端、確かめるような手付きで早速にまさぐり出す。

315 名前: 引き気味 投稿日: 2003/11/28(金) 22:44
『んっ、んんっ……』

肩から背中へサワサワと這い回らせ下ろし、スカート越しの小さなヒップを掴み、もう片手は逸るように胸の膨らみを手のひらに収めて揉み解し――、

『やあっ……あっ、あっ、待ってよ……まだっ、アタシ……』

少女が、よれたネクタイのぶら下がった胸に手を突き押し退けようとしても、そこはもう大人と子供の体格の差。
太い指に捕まえられてしまった乳房は粘土細工のように好きに捏ねくり遊ばれ、すぐに見つけ出された頂の蕾も、いかにも興味深そうにコリコリといじられてしまう。

『あくっ、ハッ、アッ……!』

若い肢体への劣情を露に乗せた手付きでねちっこく撫で回される幼い尻肉を、いじましい程の緊張でキュッと力を込めた状態にしている。その白桃のようなまろみがスカートの下、ショーツが薄く覆う太股との境目に盛り上がってはみ出している部分。
裾をくぐって侵入した手のひらが、汗ばみを刷り込む勢いで性急に撫ぜ込む。
すぐにそのまま、薄布の守りに足を通す為に空いた縁を越えてじかに柔尻をモミモミ、モミモミと味わい、

『ハッ、ア! はやい……はやすぎっ、まって……ああ、待って……ったらぁ、ぁ、ああん!』

部屋に入ってからなのだと何の保証も無く思い込んでいた少女は、心構えも出来ぬままにガクガクと膝を震わせ、男が両手を回して左右の尻たぶの触り心地を貪っているのに任せるまま。
そうやって『ああ、ああ……』と声を上擦らせている姿勢は、抱え込む腕の中に図らずも、男と股間を擦り付け合わせている卑猥な動きになっていく。

『やだッ……ぁ、もうっ、もうこんなに大きくなってるの……? あ、ああ……やあっ、アタシのあそこにっ、イッ、ヒィッ、離して……! つかっ、突かないでッ、いぁあ、はぁぁァッ!!』

衝動に突き動かされる中年男がそうと意識してからは、いよいよ数枚の布を隔てた互いの――やがて結合されると承知してホテルに誘い、誘われた性器同士、前哨戦とも言える擬似的な立位の性交体勢にしっかり密着が成立。
シュッ、シュッ……グイッグイッと、少女の未熟の性を秘めた翳りの丘は、生堅い勃起の先で思う様に突きほぐされ、嬲られ続ける。
嫌悪か緊張か、筋肉の引き攣りを浮かべて少女が男との間の突っかえ棒にしようとしていた華奢な腕も終いにはだらんと力が抜けて、後はもう、縋りつく格好で鳴かされて――。

チン……と目当ての階に着いたと知らせるベル。
自動的に開いたドアが漸く男にそのがむしゃらさを一時押し留めさせ、その分は、辿り着いた個室のドアの閉まり切る音もせぬ内に再び奔流となって少女もろともにベッドに飛び込むようにさせる。

『あっ……!』

もがく少女をシーツの上に這わせ、抑え込み、後ろから上質な輝きを持った生地のショーツを引き下ろす、我慢も限界のじっとり脂を浮かせた手。
仔鹿を思わせるようにすらりとした太股を慌てて閉じて隠そうとした、その隙間に見せてしまっていたのは、剥いた卵にも等しくツルリとした白いヒップの下に割れる、幼いデルタゾーン。

『ヤっ、ア……見ないで! いや、いや……』

すっと通った切れ目が今から中年男のペニスを胎奥へと迎え入れる約束の秘口で、そのクレヴァスの最後の恥じらいかの如く薄くけぶる淫毛。
髪と同じ紅茶色のそのヘアは、ズボンとスカートを間に置いて加えられたグラインドであってもの感度の良さを見せて、早くも愛露を含んだ淫らな佇まいだ。

316 名前: 引き気味 投稿日: 2003/11/28(金) 22:44
中年男にとっては、これは夢かと思うほど。想像したこともなく幸運な淫らな妖精との出会い。
歓喜の雄叫びを上げるともどかしくズボンと下着を脱ぎ捨て、ヌラヌラと先走りを滲ませた亀頭で無我夢中にピンク色の秘唇を突いていく。

『はぁあああ! ああっ、やだっ、やっ、やぁぁー!』

中途半端に脱がされたショーツは、ぐちゅぐちゅと敏感な割れ目に男の先端のアタックを受ける少女にとって、膝の上で足の動きを縛る拘束具。
幼い声で喘ぎ喘ぎ、この期に及んで逃げ惑おうとする切羽詰った藻掻きを見れば、この美しい少女が所謂援助交際等に手馴れてなど決してない――むしろ、性に臆病な、不慣れな娘と知れるのだが。

『あっ、ああっ、ハッ、アアッ! アーッ!』

ベッドの端まで追い詰められて、不完全に先を入り込ませ――抜かせとしていたセックスも、とうとう深く、『あうう……!』と一際高く啼いて完成されれば、後はもう、ぐったりとシーツに顔を伏せて観念したように。
抵抗をやめたヒップを潤滑の蜜の音を引っ切り無しに突かれて、突かれて、突きまくられて、

『あうっ……あうっ、はァあう……! あ、あぅッ、うっ、あうっ、あうっ、あうン、んッ』

規則正しい喘ぎを刻んで腰を揺さぶり、ひんひんという泣き悦がりを涎と一緒にベッドに染み込ませていく。

そうして少女は何度も何度もの射精を膣に注がれる。それが一晩の寝床の代価。
そればかりか、精を放つ度、男は次の準備を少女の可憐な唇に繰り返し強いて。

『んぷぅ……んん、んぁん……』

今やとっくに魅力も褪せた自らの妻には、求めようとも思わない性器吸引の奉仕。
それを成すのは、金髪を上気した頬に散らした眩い美貌の少女だ。
恍惚と小さな舌が不潔な亀頭からカリまで絡まる感触を堪能しながら、望まれもしないのにお返しとばかりにグミの実のように透き通った赤色の乳首を舐め転がす。
赤子に吸わせる成熟の未来が訪れるにはまだまだ遠い、硬さの残った乳房をチュウチュウと吸うのは、男にはまたとない回春の役を果たしたのだろう。
肉竿にこびりついたザーメンと自身の愛液のカクテルを穢れない舌に清めさせることによって、欲望は飽くこと無くまた鎌首を持ち上げさせるのである。

そして中年男がついに勃たせることが出来なくなった時まで来ても、まだ貪り足りないとベッドの上に大の字に開かせたヌードを表も裏も隅々まで探検していく前に、少女は息も絶え絶えに任せるまま。

『あ、ああ……もうっ、もうっ……ふわぁ、ぁ……ぁ、そんな……ところまでぇ……』

いかにも濃密に精子を含んだような白濁がトロリと花色の溝粘膜から零れ落ちてきている。その様子を間近に鼻息荒く眺められる。
陰唇の奥を芋虫のような指にほじくり探られ、羞恥のあまりにしゃくり上げてしまうのにも耐え続けた挙句、アヌスのすぼまりをも弄ばれてしまう。
そこまで肉体を投げ売りにして男を満足させ、漸くの休息が訪れる。
少女がまた願っていたのかもしれない、泥のような疲れのもたらす夢も見ない眠りが、次の夜を考えねばならない一時が来るまでの僅かな慰めと訪れるのである――。

317 名前: 引き気味 投稿日: 2003/11/28(金) 22:44
「……チクショウ」

脳裏に奔流となって溢れ出た一連の淫らなイメージに、アタシは胃のむかつきが抑えられなかった。
もうこれ以上ここに居たくは無い。
踵を返して戻ろうとした、その後ろ髪をワシ掴みにして無理矢理アタシを振り向かせたのは、ふと視界の端に過ぎったものだった。
黒い服を着た女の子だった。
ホテルの繋がった向かいの棟への渡り廊下から、あの女の子がアタシを見ていたのだ。

「……う、そ……」

女の子はどこかにアタシが忘れていた面影を持っていた。
女の子はどこかに捨ててきた親しみを覚える、サルの形をしたぬいぐるみを抱いていた。
女の子のその青い瞳には、確かに見詰められるアタシの青い瞳が映っていた。

「――!? っ、ッツ……嘘よッ!!」

叫んだ時にはもう、そこへと走るべく、脚は階段を駆け上がっていた。

◆ ◆ ◆

「ハッ、ハッ、ハッ……」

一気に二階分を駆け上がり駆け付けた息は荒い。が、それ以上に押し止める術も思いよらぬ鼓動のパニックが、確かにここだった筈の渡り廊下に立つアタシの足を重く、鉛のように重く、立ち竦ませていた。

目の前にドアを開け放った部屋の中、そこにはもう一枚のドアがあった。
あの女の子がアタシを待っていたように、必死に階段を上がってきたその目の前でくるりと身を翻し、その向こうに消えて行ったドア。
パタンとあの子の肩を掴もうとした寸前で閉められた木製のそのドアが、アタシにはどうしてか――まるでアタシが続いてくぐるのを待っているように見えてならない。
おびき寄せられたかのような印象が不安に過ぎる。
そして、なによりも。

318 名前: 引き気味 投稿日: 2003/11/28(金) 22:44
「見間違えよ……」

そうよ、そうに違いないわと頭を振る。
しかし裏腹に、鼓動の奏でる狂ったビートは収まらない。

「アレが……アタシの筈無いじゃない。これが……あのドアのわけが、ないじゃないのよ……!」

今にも吹き飛びそうな理性が、錯覚だと全力で喚き続けてはいた。

「……あり得ないわ。偶然……それから、目の錯覚だわ……」

震える手は、いつの間にかドアのノブを握っていた。
安物仕上げのラブホテルに似つかわしくない、多くの人の手に磨かれてきた木の、温かみのある握り心地。
アタシはそれを知っている。朧な記憶に遠く、でも確かに覚えている。

「……ま、ママぁ……?」

確かな現実というものがアタシを引き止めるのも及ばなかった。
理性が支配する領域よりももっと奥深くの部分からこぼれた、泣き出しそうな感覚が、アタシを突き動かしていた。
ガチャリ。ノブを回して――、


























「……いやん。ノック無しだなんて、破廉恥なしと」
「…………。失礼しますた」

-----------------------------------------------------------

嘘です。ジョークです。(;´∀`)
投下したスレがある種のネタバレですが、ちゃんと「○×で触手」な内容にする筈だったのに、書き進めていたら変なノリになってしまったので一旦停止の小休止ですじょ。
どうにも幻のエッチシーンがまずかった様なので、見直し次第では削らにゃならんかもしれない――それが勿体無いと、折角だから投下。
……我ながらセコっ!

319 名前: PDX. 投稿日: 2003/11/29(土) 12:43
>>313-318 引き気味さん

 お。オチが(汗)

320 名前: 引き気味 投稿日: 2003/11/29(土) 12:48
>>319

いやもう。なんと言いますか(;´∀`)
最初狙ってたのは某アリスっぽくセンスオブワンダーに誘われて不思議な〜であふあふにされてしまうアスカちゃん。
オチはバスタブの中で呆けモードがちょっとイタいかしらん? ってなもんだったんですが。

――眠い時に適当に書くもんじゃないですね。
筆がノッてくるには良いんですけど。

321 名前: PDX. 投稿日: 2003/12/01(月) 00:51
>>320 引き気味さん

 いっそドアを開け違う部屋を覗く度に違う相手と違う淫戯に耽る自分自身を幻視してしまうとかw
 いや、さすがにそこまであれこれ記憶はしてはいないか(^_^;

322 名前: ST 投稿日: 2003/12/01(月) 11:10
>>313-318 引き気味さん

>>(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
と出たので「ここ」を押したのですが・・・(泣

引き気味さんひどいw

323 名前: 引き気味 投稿日: 2003/12/01(月) 14:10
なんと言いますか、無理に触手を出さなくても、この時点ですっかりアスカの精神状態は擦り切れっぽいですしねぇ。
後付け的に、これはアラエルの残滓(実は今回予定していた触手)がそうさせたのだった、としておけば捨て鉢に身を売ったのも納得の解説になるかもしれませんが(;´∀`)

324 名前: 引き気味 投稿日: 2003/12/01(月) 14:12
>>322 STさん

省略で隠れるようにしてやったわけでつ(笑
このやり方はスレ別にブックマークしていたり、2chブラウザを使っている人には通じないんですけどね。

325 名前: なーぐる@現実逃避 投稿日: 2003/12/01(月) 20:19
(ノ∀`) タハー
宿題多すぎー。それはともかく、イヤンな落ちに笑いましたじょ。
職種じゃない虫とかはここの括りではどうなるでしょう。いえ、ちっと澤田もといクモ魔物に
チョメチョメされる巫女マユタンとかそういったのが。あ、それとも引き気味さんが書いた巫女マユタン
につなげるって事で、巫女ヒカリンとか巫女アスカを襲うクモ魔物とか。



index

From:触手のある風景