-MODEL- モデル


Original text:FOXさん
Illust:目黒腹蔵さん



 「疲れましたか?」
 「うーん、ちょっとね。こんなポーズは『おばさん』には辛いかもね」

 彼女は言葉とは裏腹にすこし悪戯っぽい表情を浮かべながら、スレンダーな上半身を少し反らし気味にしたポーズで浅く腰掛けていたスツールから体重がないかのように降り立ち、腰をとんとんと叩いてみせた。

 「ご謙遜を。とてもすばらしいボディラインですよ。それに表情もすばらしい。ご覧になりますか?」

 とてもコドモととは思えない口の利き方ね。彼女は思った。とても私の息子と同い年とは思えないわ。

 だが、苦笑しながら「彼」の画架をのぞきこんだ彼女の鼓動は急に早くなる。
 そこにあるのは芸術品と呼んでもいいスケッチだった。
 プリント柄のワンピースを着たスレンダーな女性が、その双つの膨らみを控えめに強調するように身を反らし、アトリエ中央に置かれたスツールに体を預けていた。
 膝上ぎりぎりのスカートからのぞく素足の両脚は形よく、ぴんと床にのばした姿勢は緊張感と同時に微妙なエロスさえ感じられる。
 そして躰の線を強調する横向きの姿勢から振り返ったその表情。


イラスト:目黒腹蔵さん「MODEL 〜腰掛ける淑女の構図〜」


 ……やだ。わたし、こんな表情(かお)してたのね。
 それには羞恥と誇らしさがブレンドされてこちらを見つめている彼女がいた。
 ……なんだか、「わたしを見て」って言ってるみたい。いやだ、恥ずかしいわ。それになんだかちょっとえっちっぽい顔じゃない?もう、なんて表情しているのかしら。それにこんな顔してこんなポーズってその、なんだか……誘ってる……みたいで……。

 「傑作になりそうですよ」「彼」はまっすぐ彼女を見て微笑んだ。
 天使みたいな笑顔ね、この子。このまま見つめられたら融けちゃいそう。
 ……え?なにを考えているの?わたしったら。馬鹿じゃないかしら。
 「もう!おばさんをつかまえて何を言っているの!」彼女は眉をつり上げて叱ってみせる。だが、動悸はさっきよりも速くなっていた。

 ……しっかりしなさい。碇ユイ。
 「あんまり大人をからかうものじゃないわよ」手を上げて軽く叩くふりをした彼女に、「彼」は言った。

 「では、次のポーズに移ってください」
 「え?次?」
 「そうですよ。いつもの通りに」
 「いつもって……いつもここで終わり……」
 「違いますよ」「彼」は断固とした口調で、しかしそのほほえみは崩さずに言った。「これはウォーミングアップにすぎませんよ。思い出してください」
 「……そ、そうかし……ら?」彼女の瞳が虚ろになる。何かにすがるような声になる。
 「ええ、そうです。さ、ぐずぐずしないで次のポーズを。覚えているでしょう?」女は「彼」の瞳から視線を離せなかった。

 いつしか、「彼」の言葉は耳から聞こえてくるのではなく、彼女の心の中で響き渡る強制力となっていた。



◆ ◆ ◆



 ……その一週間前。


 「あ、シンジ」エプロン姿の母親が息子に呼びかける。「お母さんは今日は夕方まで少し家を空けるけど、いいわね?」
 「ん?うん。かまわない……けど」

 朝食のパンをコーヒーで飲み下しつつ碇シンジはうなずいた。まだ頭の中がぼーっとしていて、母親である碇ユイの言っていることが今ひとつ理解できていない。

 それよりもなによりも、自分の隣にちゃっかり座ってコーヒーなど飲んでいる赤毛の幼なじみが無言で発する「とっとと食って、さっさと学校に行く!アタシをこれ以上待たせたるつもり?毎日毎日起こしに来てやってるのにぜんぜん進歩しないわね。分かってるのアンタ!」というメッセージが気になってしょうがないのだ。

 「寄り合いか?」新聞から目を離さないまま古くさいことを言う夫にユイは微笑む。

 「いいえ、違いますわ」くすりと笑って彼女は続けた。「モデルですのよ」

 「信じられない。あの『渚カヲル』が絵を描くなんて」
 「カヲル君、すごく上手いんだよ。びっくりするくらいに」通学路を肩を並べて歩きながら、好奇心を剥き出しにしている惣流・アスカ・ラングレーにシンジは説明する。

 転校直後に知り合い、碇家にカヲルを呼んだこと。そこですらすらと碇ユイをスケッチして見せたこと。そのできばえに驚いたユイがそのスケッチを額に入れてキッチンに飾っていること。

 「え!あれ、『渚カヲル』の作品だったの?」碇家のことなら我が家のごとく知っている(シンジのタンスの中まで知っている)アスカは絶句した。

 「そうなんだ。アタシ、あの絵のユイおばさま、好きだな」アスカは微笑んだ。「すごく綺麗で、なんだか謎めいていて」

 「……そう?似てるとは思うけど……い、痛いじゃないか」
 「だーかーらーアンタはコドモなのっ。ったく、審美眼ってモノがないのかしら」アスカはこぶしを振り回す。


 ……それから三日後。


 「見なさい!馬鹿シンジ!」
 惣流・アスカ・ラングレーが勝ち誇った表情で碇シンジの前にスケッチブックを差し出した。
 「!」息を呑むシンジ。
 そこに描かれているの目の前の少女、アスカだった。
 「うん、あの渚カヲルってのは人を見る目があるわね」アスカは満足げだった。「ね!そっくりでしょ!」

 「う、うん」シンジはうなずく、だが何か違和感を感じていた。そこに描かれているのはまさしく惣流・アスカ・ラングレーだったが、スケッチブックからこちらを見つめるその瞳はどこか虚ろで濁っていて、そしてその口元の笑みは少年の心拍数を跳ね上げるなにかがあった。

 しかし、少年がそれについて深く考える余裕は与えられない。

 「どれどれ、見せてみ」関西弁の親友がスケッチブックをのぞき込むや否や「なんや、サルの絵が描いてあると思っとったのに」と言い出して大騒ぎになったからだった。

 だが、彼は考えておくべきだった。

 その絵の意味と、渚カヲルが彼に向けて浮かべた笑みの意味を。



◆ ◆ ◆



 ……そして、時間は戻る。


 「覚えていますよね?忘れられるはずなどないのだから」
 渚カヲルはユイの瞳をのぞき込み、穏やかな口調で宣言する。
 「あっ」彼女はぐらりと揺らめいた。床の上に崩れ落ちる。同時にスケッチが床へ舞った。
 「ほら。次のポーズを」

 立ち上がった「彼」に腰を支えられ、抱き寄せられて耳元でささやかれる。
 「時間がありませんよ。ユイさん」
 「そ、そうね。ごめんなさい。わたし……」
 ……どうしたのかしら、わたし、記憶が……。
 思考にもやがかかり始めていることを碇ユイは気づく。しかし、
 「思い出しました?」
 「彼」の言葉で違和感がなぜか消え、そして記憶がよみがえる。
 そう、そうなのだ。いつも二枚ずつ描いてもらうことになっていたのだ。ごくふつうのものと、少し、ほんの少しだけ大胆なものを。
 「え、ええ。……ごめんなさいね」
 ……そう、大胆なものを。
 「じゃあ準備してください」
 ……そう、とても大胆で、恥ずかしいものを。
 「は……い……」

 彼女は「彼」に背中を向け、ワンピースのホックを外した。
 ……いやらしくて、淫らなものを描いてもらうことになっていたのだ。
 そのままなめらかな動作でジッパーを引き下ろす。
 磁器のように白く、ぬめりを帯びた背中が現れ、ワンピースは床に落ちた。
 ……「彼」が望むものを描いてもらうのだ。

 「今日はいやらしい下着なんですね」
 「……ああ……言わないで」ハーフカップブラジャーとハイレグのショーツはおそろいの光沢のある藤色で、さらに凝った刺繍……彼女の下腹部の飾り毛と、固く勃起した乳首を強調するためのもの……がなされていた。

 それは発情した雌が身につけるものだった。
 牡を誘うために娼婦が身にまとう代物だった。
 ……「彼」が私にそうあるべきと考えている姿をするのは当然なのだ。いや、それは私の義務なのだ。

 「さ、早くしてください」
 「は……い」
 彼女はおぼつかない、エロティックな足取りでスツールへ向かった。

 嘘だ!こんな、こんなことがあっていいはずがない!
 碇シンジはその光景から目を離せない。

 渚カヲルから携帯にかかってきた電話に呼び出され、この「見学室」でマジックミラー越しに母親には内緒でデッサン現場を眺めていた彼は声も出せなかった。
 さきほどまで、清楚でそしてはにかんだ笑みを浮かべてポーズを取っていた母親……いや、それは少年が家で見たことのあるどの彼女とも違う、「碇ユイ」という成熟した美しい女性だった……にどぎまぎしていた少年は、彼女が虚ろに、淫らな表情を浮かべながらワンピースを脱ぎ落とすころには声を失っていた。

 だが、碇ユイはシンジの目の前で、さらに淫らな姿態を披露するのだ。
 彼女はゆっくりとけだるげに、張りつめたヒップを強調するような動きでスツールによじ登り浅く腰掛け、こちらに、画架の前の「彼」に向かって膝を緩め、恥知らずな大股開きのポーズを完成させる。

 「ショーツに大きな染みができていますよ。ユイ」
 「い、言わないで……」
 「目を逸らしちゃだめですよ。僕を見て返事するんだ。いいね」
 「ああ……ッ……は……ぁ……い……」

 アトリエ内には高感度なマイクが仕掛けられているらしく、少年の耳には「彼」の命令に漏らす碇ユイの吐息さえ聞こえていた。

 「見られて濡らしていたんですか」
 「そ、そうよ……最初のポーズを取ったときからなの!」
 「いいんですか?そんな言葉遣いで?」あっ。とユイが息を呑む。

 「ご、ごめんなさ・・・申し訳ありません。ぬ、濡らしていました。このあと剥かれてえっちなコト、されるって……していただけるって考えたら……濡れてきちゃったんです」

 「さっきはすました顔をしていたのに、パンツの中はぐしょぐしょだったんだね。ユイ」
 「は、はい。そうなんです。み、見られると、見られていると思うと……申し訳ありません」
 自分と同い年のはずの「彼」に碇ユイがプライドを投げ捨てて媚びるさまにシンジは現実感をなくしていた。

 「よく言えました。偉いですよ。ユイ」
 「あ、ありがとうございます……」
 「彼」は立ち上がって部屋の隅にあるトランクを掴み、ユイの足下に跪く。

 「さぁ、ドレスアップしてあげますね」ちゅっとユイの右足の甲に口づけをする。それだけで碇シンジの母親は切ない声を上げて腰をがくがくと震わせた。

 ユイがさらけ出したショーツの底の、楕円形の染みがさらに大きくなったのがシンジからもはっきりと見てとれる。

 そして「彼」が丁寧にユイの整った脚にストッキングをかぶせて、ほどよく脂肪ののった太股まで持ち上げていくあいだ、彼女はシンジがいままで聞いたことがないような甘く切ない悲鳴を上げ、なんども躰を震わせるのだ。

 贅肉ひとつないウエストにまわしたガーターベルトで左右のストッキング止めるころには、「おねがいです。せつないんです。なんとかして、なんとかしてください」と泣きじゃくって慈悲を請うのだった。

 しかし、そのような状況でもユイは恥知らずな大股開きのポーズを崩そうとせず、「彼」もまた冷静だった。

 鼻歌を歌いながら麗夫人の「ドレスアップ」を……そのきゅっと締まった足首に足かせを巻いてスツールに固定し、ぶるぶる震えながらなんとか革張りの座面を掴んでいる手首も同様に鎖を巻いて固定し……進めていく。

 「さぁ、仕上げですよ」
 「彼」がユイの髪の毛を無造作に掴み、すらりとした首筋を剥き出しにして鋲付の首輪を巻いた。
 「できたよ。ユイ」
 ユイの背後に回った「彼」が震える彼女のおとがいを白く細い指で持ち上げ、目の前の鏡に映った自分自身と対面させた。
 「!」

 鏡の、マジックミラーの裏で身動きすらできないシンジは、美しく淫らに装われた人妻奴隷と見つめ合うことしかできない。

 「母さ……ん」シンジはつぶやく。「嘘……だよ……ね。ただの、ただの……デッサンの……モデルなんだよ……ね」

 その問いは彼女にはもう届かない。届くわけがない。

 「綺麗だよ。ユイ。自分でもそう思うだろう?」
 耳元で甘くささやかれると、ユイは震えながら少女のようにうつむいてしまう。
 「そんな……許して……くださ……い」
 「どうして?綺麗だよ。ユイ。ほら、よく見るんだ」再びおとがいを掴まれて、その人妻は自身の躰を鑑賞することを強いられた。

 「ほら、この肌」
 「彼」の指がうなじへとゆっくりと進んでいく。
 「あ……あ……は……あっ」
 ユイはもう、凍り付いたように動けない。自分の身体が愛撫されていくさまを鏡越しに見ることしかできない。

 「彼」の指、その細く白い「芸術家の指」が肌に沿って進んでゆくときに生まれる快感、それは彼女をがんじがらめに拘束してしまったのだ。

 「吸い付くような肌ですね。それに」ブラジャーの肩ひもに沿って指が動き、その手のひらがユイの双丘を触れるか触れないかの位置を保ったまま包み込んだ。

 「このバスト。かちんかちんに先を尖らせて、すごく物欲しそうですよ」
 「お、お願い……おねが……い。い、弄って……せつないの。もう、もう我慢できないの……」

 「可哀想にね。ユイ。こんなに柔らかくて、こんなにすばらしい感度なのに。触ってもくれないんだね?」

 「そ、そうなんです!あの人、あの人ったら……ね、だから、だから……お願い!意地悪、意地悪しないで」

 しかし「彼」はユイの感受性を高ぶらせるだけ高ぶらせるものの、彼女の待ち望む刺激は与えずにゆっくりとその指を脇腹へ下ろしていく。

 「ひぃっ!ひぁぁぁぁっ!」
 「ウエストもきゅっと締まってる。可愛らしいお臍。お尻もこんなにむっちりさせて」

 とても中学生とは思えない手つきで腰回りとショーツに包まれたヒップを撫で回された。ユイは甘い声を切れ切れに発しながら突き出し気味の腰をさらに前に突き出して、ショーツの染みを拡げてしまう。

 「綺麗だよ。ユイ。ほら、よく見て」
 その声は甘やかで確信に満ちていた。

 「綺麗な脚」つやつやしたココア色のストッキングに覆われたふくらはぎから、それとコントラストをなす白磁の内股へ手のひらが這う。

 「あっ!ああ……あはぁ」

 押し寄せるアクメにストッキングに包まれた爪先をきゅうきゅうとすぼめるユイ。「彼」の指は彼女が切望する場所にはまだ触れてもくれないのに、碇ユイは自分が何度絶頂を迎えたかもう覚えていなかった。

 「そして、ここ」

 「彼」にショーツのクロッチをひと擦りされたその瞬間、碇ユイは一オクターブ高い悲鳴を上げて絶頂を迎えてしまう。しかし、それ以上の刺激を「彼」は与えてくれない。熱を持った雌芯を慰めても虐めてもくれないのだ。

 「お願い、お願い、もう許して、虐めないで、私のこの躰をどうにかして……お願いだから、お願いですから……」

 うわごとのようにつぶやくユイ。

 そこにいるのは聡明な夫人でも、溌剌とした美しい母親でもない。

 肉欲に逆らうことができなくなった牝奴隷だった。

 「彼」はにっこりと微笑んだ。「ごらん、あれが碇ユイ。あれが彼女の本当の姿」いまや鏡に映る自分自身から目を離せなくなっている彼女にささやいた。

 「どう思います?彼女のこと」

 「……と、とてもいやらしい……オンナ……ですわ。物欲しそうな……顔を……して……アソコをひくひく……させて……」

 「よく言えました」ユイはペットのように頭を撫でられた。「でも、次からはちゃんと『御主人様』と言うんだよ」

 「は、はいご、御主人さ……ま」もはや彼女は息子の同級生に心の底から隷従していた。

 「だけどホント、スケベなメスだね。物欲しそうな貌して、オシッコ漏らしたみたいにマタのアイダをどろどろにして」

 「ああ……ああ……ご、御主人様ぁ」不意に冷淡なトーンに変わった。「彼」の言葉にユイは蒼白になった。迷子になった幼児のように、捨てられたペットのように不安げな表情になる。

 「だけど、綺麗だよ。こういうのが、ボクの好きなユイさんだよ」
 「本当!本当ですか!御主人様!」ぱっと碇ユイの表情が明るくなった。

 「そうだよ」ちゅっと頬にキスをされた。「エッチで、恥知らずなポーズを取るのが大好きな、お○○ちんが大好きな」単語ごとにユイは「彼」の口吻を受ける。うなじに、耳たぶに、その額に。
「ヘンタイ奴隷の碇ユイなら愛してあげてもいいな」

 「は、はいっ!わたし、わたしは御主人様、カヲル様のためならそんなオンナになります。そんなメスになります。だから、だから……んむぅぅっ!」

 唇を息子の同級生に強引に奪われる。口内を蹂躙され、舌を強く吸われて絡め取られ、じんじんとした刺激を与えられて甘い唾液をたっぷりと流し込まれる。

 唇が離れたとき、碇ユイは自分自身が「一段高いステージ」へ進んだことを自覚していた。

 うっとりとした表情の雌奴隷にその主人は命令する。

 「じゃ、このドスケベな碇ユイの姿を記録に残してあげるね。描き終わるまではこのポーズを保つんだよ」

 「は、はい!御主人様」

 「そうだ。描き終わったらご褒美にユイが好きなことをしてあげようか」

 「あ、ありがとうございます!御主人様」

 「そんなの、ユイの飼い主としては当然のことだよ」「彼」はにっこりと微笑んだ。「そうそう、そのまえに何をしてほしいかちゃんと教えてくれるよね」

 こくこくと何度もうなずく碇ユイ。その瞳には歓喜の色しかない。

 「は、はいっ、あたし、あたし、う、後ろから御主人様に可愛がってほしいんです!」

 「『後ろ』?ちゃんとした言い方があるんじゃないかな?ユイ」

 「申し訳ありません。御主人様ぁっ」ユイはすがるような眼差しで『彼』を見上げ、そして叫ぶ。「犬の、犬の姿勢で愛してください!どっぎぃ!どっぎぃ・ふぁっくしてほしいんです!後ろからずんずん突いてもらいながら、おっぱいやクリトリスを虐めてほしいんです!お尻の穴を悪戯してほしいんですぅぅっ!」

 「よく言えたね。ユイ。その通りにしてあげるよ」

 「あ、ありがとうございます!御主人様」

 「それにしても、」「彼」はくすくすと笑った。「初日にむりやりシてあげたときの体位が忘れられないんだね。あのときは泣き叫ぶユイの全身の自由を奪っておいてから、ずぶずぶ入れてあげたけど、なんだ、好きだったんだ」

 頬を染めるユイに「彼」は微笑む。
 「それから」「彼」はちらりと鏡の方を見た。「今日は『見学客』も来ているから、そちらもご奉仕するんだよ」

 「お、お客様……ですか。最初から……ずっと」ユイはうっとりとつぶやいて鏡を見つめ、躰を震わせた。

 「今日はユイのお口を使っていただこうと思っているんだ。ま、その前にちゃんと絵を描かなくちゃ、ね」
 鏡に向かってウインクしてから「彼」は画架へ向かった。

 だが、鏡の背後にいる碇シンジには分かっていた。
 渚カヲルは「いまからスケッチを」描く必要などないことが。
 彼は見ていた。
 一枚目のスケッチがずり落ちたその下に、完成したスケッチがあったことを。
 碇ユイが下着姿でスツールに拘束されて淫らなポーズを取ったスケッチがあることを。

 それは、「いま」彼の母親が取っている姿勢とまったく同じで、身につけているランジェリーも同一だった。

 画架の前に腰掛けた「彼」、渚カヲルは鏡へ振り返り、輝くような笑みを浮かべてからスケッチブックをめくってみせる。

 そこには泣きそうな表情で射精をこらえる碇シンジとその幼茎に口唇奉仕する母親、その腰を高々と掲げさせて貫くカヲル自身が描かれていた。
 そう、これは未来の風景。確定された運命を記したもの。

 さらに、もう一枚スケッチブックがめくられる。
 そこに描かれているのは、シンジのよく知っている少女だった。
 その碇シンジの幼なじみは碇ユイに菊門をねっとりと舌で舐めしゃぶられていた。
 その勝ち気な赤毛のクォーター少女は後ろ手に拘束され、苦痛と屈辱にまみれ涙を流していた。
 そこに描かれているのは惣流・アスカ・ラングレー。
 ユイとおそろいの首輪を付けられた少女は渚カヲルにまたがる姿勢を強制され、ずぶずぶとその処女門を貫かれていた……。



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