搾精少年


Original text:FOXさん


 「あのねあのね」すとんとベッドの縁に腰を落とした霧島マナは言った。「牛さんのおっぱいってすごく熱いの。もちろんお乳もあったたかくって……びっくりしちゃった」
 「搾ったの?お乳」
 ベッドに横たわって自分を見上げる少年へ彼女はうなずき、天真爛漫な笑みを投げかける。
 「うん。みんな見てるだけなんだから。こう、付け根を軽く握ってお乳の先をしぼってくの」
 「マナ、その手つき、いやらしい」
 「アスカったら恐がりなのよ。後ろでいろいろ注文付ける癖に、『やってみる?』って聞いたらぶんぶん首を振るの」
 少年を間に挟んでベッドの反対側に頬杖を突いているアスカはマナの言葉にぷっと頬を膨らませた。
 「だって、だって」
 「もう、口ばっかなんだから、アスカったら」
 「うっさいわね。いいじゃない。別にぃ」
 「アスカ」
 「あによぉ、アンタまで文句あるの?」
 「その帽子、似合ってる」
 「とーぜん」テンガロンハットの縁をちょっと持ち上げて、アスカは少し頬を染めた。さっきまでの不機嫌さは少年の言葉で消えていた。
 「売店で買ったの?」
 「そうよ」
 「バスのなかでもかぶってたんだから」
 「いいじゃん、別に」
 「他にも買ったんだ」少年は笑う。ベッドのそばに白地に黒の模様の入った紙袋がいくつか置いてあった。
 「そうよ。いろいろ買ってきたの。行けなかった誰かさんへのお土産もあるから、あとで見せたげる。ああ……あれもお土産のひとつ」ベッドに頬杖をついて少年を観察していたアスカは形の良いあごで指し示す。

 そこにいるのは真剣そのものの表情を浮かべた綾波レイ。
 サイドテーブルの上にコップを4つ並べている彼女は、射撃訓練か化学実験でも行うかのような視線でグラスを見つめ、寸分も狂いもなく等分にミルクを注ごうと努力している。


 「しかしアンタってタイミングの悪い人生を送ってるわねぇ」
 「そんな、人生なんて大げさな」アスカの言葉に碇シンジは溜息をついた。
 「大げさじゃない」生真面目な口調でレイは言った。かすかに肩に力を込め、ベッドサイドの惣流・アスカ・ラングレーを少年から少しでも距離を置こうと押しやりつつ、しかしその努力の気配をみじんも見せずに少年のまだ疲れの残る表情を見下ろした。「せっかくの機会だったのに。待機任務からも開放されるなんてめったにないのに」ポケットからハンカチを出して少年の口元のミルクを拭った。
 「あ、ありがとう」
 「いいの。ぜんぜんいいの」そっとポケットにハンカチをしまったアルビノ少女は頬を染めて答えた。
 「けっきょくドジなのよ」ぐい、とレイを押し戻しつつアスカは言った。「こんな日に限って熱を出すなんて。まったくもって、本当にドジ」

 そうなのだ。
 チルドレンたちの通うクラスが社会見学(という名目の遠足)で牧場へ行くことになったその前日に碇シンジは高熱を出した。
 葛城ミサトの粋な計らいによって三人のエヴァンゲリオン搭乗資格者たちはそろって市外への外出許可をもらっていたにもかかわらず、結局彼はひとりベッドのなかで留守番をするはめになったのだった。
 彼の同僚である惣流・アスカ・ラングレーと綾波レイも残留を希望するが、これは「大人たち」の説得で「遠足」に参加することになった。
 ……楽しい体験をして、それを彼に教えてあげれば、きっと彼も喜ぶんじゃないかしら。
 ……お土産を買ってきてあげれば?そう、それで「あぴーる」しちゃうの、ライバルに差を付けるチャンス……ッっ、冗談だってば、リツコぉ。
 大人たちの善意に後押しされ、そして帰宅後の少年とのひとときのことを想像してふたりは一日だけの旅に出て……終わると同時に息を切らせて少年の部屋を訪れたのだ。
 戦略自衛隊の元スパイのくせにいつのまにやらちゃっかりとNervに居場所を見つけてしまった「おまけ」が一名増えていることに疑念を抱きつつも。

 「で、熱は下がったんでしょうね」まるで彼が努力してそうしなければならないような口調でアスカはたずねる。
 「うん」うなずくシンジ。そのまだ赤みが残る頬をアスカのほっそりした掌が包みこむ。
 「まだちょっと熱っぽい」少女は睨みつけた。「ちゃんと寝てたんでしょうね」
 「寝てたよ」
 「ふーん」
 「ほんとだって」
 「ふーん」アスカが掌に力を込めた。「こら、目をそらすな」
 「だって、恥ずかしいよ」強引に向き合う姿勢を取った上、まるでキスをするかのように間近に視線を交わすことになった少年の顔はさらに紅くなっていた。
 「うるさい。アタシはつまらなかったの。退屈だったの。いつものオモチャがいないから」
 「どうして、どうしてアスカは僕に意地悪するのかなぁ」
 溜息をつく少年に、赤毛の少女はいささか獰猛に笑ってみせた。
 「だって、だって、シンジがそういう顔するのが好きなんだもん」
 「アスカったらぁ、小学生だよ。それじゃぁ」マナは溜息をついた。
 「そ、好きなのよ、アタシ」くすっと笑ってクォーター少女は言った。「無理言って、意地悪して、シンジが泣きそうな顔すると、胸の奥がきゅっとなって、悲しくて、でもすごく愛おしいんだからぁ」
 そのまま惣流・アスカ・ラングレーは少年の口づけをする。
 「へ?えええっ!あ、あああ、あー。ちゅーしてるー!ちゅーしてるー」あわてふためいてなにやらおかしな舞いを踊り始めたマナを尻目にアスカはさらに情熱的にサードチルドレンのかさつく唇にちゅっちゅっと唾液を塗りつけ、さらにはそっと舌を侵入させて臆病な少年の歯茎を口蓋を舐め回す。
 「ちょ、ちょっと、ダメだよ、アスカ、伝染ちゃうよ。だめだったら」
 「うっさい。かまわないんだから……あは……ミルクと、林檎ジュースの味……おいしい……もう、ぐだぐだいわない」
 「だって……ぷはぁっ……もし……あ、アスカまで」
 「女の子みたいな声を出さないの……んふっ……もし……そうなったら……アンタがお見舞いに来て、アタシの世話を焼けばいいの……だから……ね?」
 「わ、わわわ、わ……ちょっとちょっと、いいの?ねぇ、これ、ちょっとぉ……綾波さん、こ、こ、こんな大胆なの……あり?」ベッドの上で半身を起こしてアスカを抱きしめる碇シンジの姿に霧島マナはパニックに陥っていた。
 しかし、呼びかけられた綾波レイは至って平静だった。
 すっとベッドに登るとヘッドボードと碇シンジの間にその身体を滑り込ませ、少年の背中にぎゅっとしがみつく。
 「碇君、汗、かいているわ……」黒靴下を履いた脚が碇シンジの腰に背後から絡みつき、驚くほど白い太股の付け根までがあらわになった。
 「ああ、綾波さんまで、レイまでそんなぁ……」
 マナの悲鳴をよそに綾波レイは少年の背中へさらに密着し、太股の付け根を少年の腰にぐりぐり押しつけながらうなじに首筋に小鳥のようなキスをはじめる。
 そればかりか「碇君、汗で濡れた服はよくないの」とつぶやいて、ほっそりした指で彼のパジャマのボタンを一つひとつ外してゆく。
 一見無邪気に少年の腰に絡めた黒ソックスの踵で彼の下腹部を巧みに刺激しつつ、綾波レイは彼を剥いてゆく。
 紅玉の瞳を潤ませながら「ああ、もう、こんなに汗をかいてるなんて……」とささやきつつ上衣を脱がせ、シャツのなかにそっと手を入れてさわさわと乳首に悪戯する。
 アスカのしなやかな躰を抱きしめてキスに夢中になっている少年に、かすかな嫉妬を示しつつも笑みを浮かべたままパジャマのズボンの中へ手を入れてゆくのだ。

 少女二人に優しく淫らにリードされた碇シンジはついにブリーフまでも抜き取られてしまった。
 けれども美しい天使たちの指に、唇に高ぶり、彼女たちの肌の熱さと抱き心地に夢中になった彼は寒さなど感じることはないようだった。
 だが、霧島マナは違う。
 彼女が感じるのは背筋がぞくぞくするほどの「熱さ」。
 背徳感と畏れに後押しされ、好奇心と欲望に燃え上がった彼女の身体は燃えるように熱いのだ。
 「ね、霧島さん」その彼女に綾波レイが声をかけた。「袋のなかに、お土産の牛柄のパジャマがあるから……取ってくれない?」
 膝が熔けてしまったかのようにがくがくふらふらと脚をもつれさせたマナが袋からそれを取りだし、震える指でレイに差し出す。
 レイは受け取らなかった。
 一瞬きょとんとしてから、細い肩を震わせて笑い出す。
 しばらくしてアスカも笑い出した。
 「それを……碇君に着せたいのね。いいわ……それ、とっても……すてき」
 ちらと視線を投げかけたシンジのあげた非難の声は、クォーター少女の唇で封じられた。
 「え、あの……あ!こ、これ!」
 そう、それはパジャマではなかった。
 確かに牧場の売店で売られていた牛柄の衣類ではあったが。
 それはマナが「これ着て、シンちゃんにサービスするんだー」と自慢しながらレジへ持って行った可愛らしいエプロンだったのだ。
 「きっと、とっても可愛くなると思う。碇君」くすりと笑ったレイはマナをまっすぐ見つめていた。「貴女は……いいの?見ているだけで……いいの?」
 いいはずなどなかった。
 目に涙を浮かべながら、霧島マナはなんどもなんども首を振る。
 任務として「言い寄った」はずなのに、いつしか恋心を抱くようになった少年が愛らしく美しい妖精たちと睦み合う姿に見せつけられた少女は痛いほどの疎外感を抱いてしまう。
 それほどまでに三人の少年少女たちの交歓風景は情熱的だった。
 「お願い……あたしも……ね?」
 乙女の恥じらいも畏れも、霧島マナの中からは消え去っている。


 「あ、マナ、マナの指、すごいよ、ああ、ガマンできないよぉ」
 ベッドの上に四つん這いになった碇シンジが少女のような声で喘いでいた。
 彼は全裸ではなかった。
 彼は素肌に牛柄のエプロンだけを許されていた。もっとも、背後から見ると幅広のリボンと首かけしか見えないために、むしろ全裸より扇情的ですらある。
 その剥き出しの背中をアスカの細い指がさわさわと這う。
 「ほら、もっと我慢なさい。そうすればもっと気持ちよくなるから」
 「だって、でも、あ……」もがくシンジの首にぬめ光るレイの太股が絡みつき、ショーツのクロッチ越しのキスをせがんだ。
 さっきまで病人が横たわっていたベッドの上では、三人の美少女と少年との饗宴が行われていた。
 エプロンだけを身にまとい四つん這いの碇シンジ。
 彼が逆らえないように覆い被さるように抱きついて、裸の背中を肩を、指で唇で愛撫しているのはショーツだけを身にまとった惣流・アスカ・ラングレー。
 その下で仰向けに横たわるのは下着姿の綾波レイ。ただし彼女の視線にはいるのは硬く大きく勃起した碇シンジの男子生殖器。つまりシックスナインの姿勢だった。
 そして少年の下半身にすがりついているのは霧島マナ。
 「ああ、これ、熱いよ……わたし、わたし、指……離れないよ……」と感極まった声を上げて碇シンジのペニスを握り、先端から滲み出る分泌液をまったく硬さを喪わないそれに塗りつけ、くびれの部分を輪にした指でしごきたてていた。
 左手も休むことはできなかった。
 ごわごわした、でもどこか柔らかい陰嚢をそっと撫で回し、「縫い目」の部分を牝の本能ですりすりと愛撫する。
 「すごい。初めてとは思えない」
 「発射」を待ちかまえていたレイがかすかな感嘆の声を上げる。
 いまのレイと同じようにベッドに横たわり、大きく口を開けていたアスカの顔へ、レイの指と「さぁ、彼女の顔を碇君のもので征服してしまいましょう……ほら、あの高慢な彼女が、精液の匂いと予感だけでぶるぶる震えているわ……さぁ、彼女の顔を白いお汁で穢してしまいましょう……」というささやきとでたっぷり射精するさまを直近で見せつけられた霧島マナは「じゃぁ、交代ね」というレイの言葉が聞こえてくるとふらふらと少年の背後に位置し、いままで手に触れたこともなかった男性器へおずおずと手を伸ばす。
 「ぎゅーってつかんだり、爪を立てたらダメだからね」というアスカの言葉も耳に入らないほど少女の思考は白熱していた。
 だが、指先がその硬く、熱い男性器に触れた瞬間、マナの精神は「それ」への絶対的な奉仕の感情を抱いてしまう。
 「ああ、ああ、オトコノコのおちんちんってこうなんだ、すごい……すごいよぉ……熱くて、ぴくぴくしてて、ぬるぬるしてて、硬いんだぁ……」とうわごとのようにつぶやきながら濃厚な性感サービスを開始してしまったのだ。
 初めてなのに。
 経験などないはずなのに。
 ぬるぬると指先で塗り広げては、少年の溜息に全身を熱くしていた。
 リズミカルに動かすたびに「あっあっ」とあげるシンジの声に、泣きそうなくらい感激していた。
 掌に伝わる熱が自分の全身に伝わり、腰が熔けてしまいそうになっていた。
 学校では「無愛想でクールな美少女」とみなされている綾波レイの顔に、唇に大量のザーメンが放たれたときに、どんな風にペニスが震えるのかを想像するだけでなんどもエクスタシーを感じてしまっていた。
 だから霧島マナは熱心に丁寧にその指を掌を使って碇シンジのペニスを慈しみ、奉仕するのだ。
 そして搾精の瞬間。
 「ごめん!綾波!ごめん」という悲鳴とともに、怜悧な美貌に碇シンジの精液がぶちまけられたその瞬間、マナは「あーっ」と声を上げて突っ伏してしまったのだった。
 たっぷりと指にまとわりついたザーメンをレイとアスカにちゅうちゅう吸われつつ、自分の顔のすぐ近くまで青臭い匂いを発する凶器が近づき、発射されるのはどんなに素敵だろうと想像してはひくひくと華奢な乙女の躰を痙攣させていた。

 そうして彼女の番がやってくる。
 少年をしなやかな指で昂ぶらせ、甘やかな快楽で屈服させて雄の雫を搾り取った少女はしかし、ベッドにくたりと身体を投げ出してお人形のように少年に触れられるのを待っていた。
 その霧島マナを碇シンジはのぞき込む。
 「ね?本当にいいの?」
 声も出さずにこくこくと少女はうなずき、少年の樹液で「印」を付けてもらうことを望む。
 「じゃ、汚さないように……」
 少年のほっそりした指が彼女の襟を飾るリボンをしゅるりと解いた。
 「……あ」
 「恐い?」
 問われるとマナはなんども首を振る。少年の指だけで軽いアクメに達してしまった少女に否やなどあるはずはなかった。
 「よかった」シンジはほほえむと少女のブラウスのボタンを一つひとつ外してゆく。
 素肌が少しずつ露わになってゆくごとに、マナは自分の肌が熱を帯びていくことを自覚してしまった。
 からからになった喉からようやく声を絞り出す。
 「あ、あのね、シンジくん……お願いがあるの」鳶色の瞳を熱情に揺らめかせてマナは言った。「全部……全部シンジくんに脱がせてほしいの。制服も……ブラも……ソックスも……あ、あの、ぱ、ぱんつも……もちろん……」

 ……ああ、シンジくんに「はい、ばんざいして」って言われてブラウスを抜がせてもらうんだぁ。
 ……ぎゅうって抱きしめられて背中に回った指先でホックがプチプチいったら、マナのおっぱいはシンジくんに見られちゃうんだ。
 ……いつもなら、「丸めてぽい」なソックスを丁寧に脱がされるってああ……すごく素敵だろうな。
 ……それにそれに、恥ずかしい「染み」を見られながらパンツを脱がされるのって、ああ、すごく恥ずかしいけれど……けれど……。

 ぎゅっと拳を握りしめて、幸福の予感に胸をどきどきさせて、霧島マナは少年の指によって裸身となることを望むのだ。
 「最初だけだからね、マナ」
 「あなた、贅沢だわ」
 という二人の少女の冷やかしさえ幸福の一部だと理解して。
 「さ、マナ、始めるわよ」
 アスカの声でゆっくり瞳を開く。
 そこには彼女の待ち望んだものがあった。
 牛柄のエプロンからのぞく、碇シンジの勃起ペニスが。
 「さぁ、三度目だからってぜんぜん問題ないからね。天才アスカ様がさくっとしょーてんさせたげるから」
 くすくす笑いとともにセカンドチルドレンの指が優しく大胆に碇シンジのペニスに絡みつく。
 さらには少女の愛らしい唇から突きだした温かな舌が、少年の睾丸を後ろから舐めあげてさらには菊門に唾液をまぶしはじめる。
 「ちょっと、アスカ、汚いよ……だってお風呂入って……」
 「うっさい。かまわないんだから。アタシ、アタシ……」熱烈なキスの音ともに、霧島マナの目の前で、シンジの肉棒がさらにその体積を増した。
 ぶるっと震えて少女はさらに大きく脚を開き、まだ飾り毛もまばらな肉裂を窓から差す午後の光のなかに露わにする。
 「……ね、ね、ね……きす、きす、キスして……マナのここに、おねがい、ね?おねがい……」
 まだ「ほんとうの」キスもしたことのない少女が熱に冒されたような声でクリニングスをせがんだ。
 少年もまた、欲望に蕩けた表情で舌を伸ばし、「クールで無表情」なことで知られるファーストチルドレンを泣きじゃくらせた情熱的な口づけを霧島マナの幼裂へと浴びせるのだった。

 ……ああ、先の方をくるくるしながら根っこをきゅっきゅっってするんだ。
 ……すごい、すごい、お尻のなかにまでディープキス、してるよぉ。
 ……あ、おっぱいの先をいたずらするとオチンチンがまたおっきくなったぁ。

 霧島マナはその瞬間を待ち望んでいる。
 惣流・アスカ・ラングレーによって搾り出された碇シンジのザーメンが放たれ、愛らしい表情を唇を征服されるその瞬間を。
 自分に「彼」が「印」を付けてくれるそのときを。
 喉奥まで濃い樹液を迸らせてくれるその瞬間を。




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