シン○リオン → 鉄道ということで

Original text:FOXさん


「そ、睨みつけてやったの。たったそれだけ」
 それは背中越しに聞こえる武勇譚。
「ほんのちょっとだけ勇気を出したらいいのに。たったそれだけのコトができないなんて……」大袈裟な溜息。
「それができるのはアスカちゃんだからだよ。普通の女の子にはその『ちょっと』が……難しいんだよ」
「でもコダマ先輩」高校生に褒められて凛々しいチームメイトにしてクラスメイトかつ天敵の口調が少し甘えたものになった。「それを教えてくれたのは先輩ですよ」
「ねぇ?このコ……」
「惣流・アスカ・ラングレーちゃん。洞木さんの後輩なんだって」
「でも中学生でしょ。すごいね……」
「こんな可愛い女の子が……」
「ほんと、スーパーヒロイン、って感じ」
 女子高校生たちの賛美のささやきに少年はひそかに溜息をついた。
 ……いや、違うから。あれは後先考えない彼女の性格がそうさせた事故みたいなものだから。
 ……そのあと本当に大変だったんだから!
 けれども彼はアスカの、惣流・アスカ・ラングレーの武勇伝を否定することはできない。

 なぜならここは女性専用車両だから。
 本来なら【彼】が存在してはいけない車両だから。
 ドアの窓に映る自身の姿に少年は溜息をついてしまう。
 それは凛々しいアスカと同じ学校の制服を身にまとった女子中学生。
 もうひとりのチームメイトを思わせるショートボブ姿の内気そうな少女はしかし頬を膨らませていた。
「ほんと、ちょっと睨みつけてやっただけなんですからぁ!」
 ……あの我が侭アスカ!
 ……君のせいなんだぞ!
 窓の中のショートボブの第3新東京市立第壱中学校の女子生徒は制服に包まれた細い肩をすくめ、小さく首を振った。
 少し涙目なのは気のせいだと、【彼女】は思い込むことにした。

 惣流・アスカ・ラングレーは女子高校生達に得々と説明していた。
 それは一昨日の朝の出来事だった。
 先日転校してきたばかりの眼鏡の転校生、彼女がラッシュアワーの電車の中で痴漢被害に遭っていることに気付いた彼女は即座に行動を開始した。
 その黒髪の女子中学生の背後に密着し制服ごしにバストに悪戯していた中年男の肩をほっそりした指でぐいと押し、振り返ったそれをひと睨みして行為を中断させたという。

 そう。そこまではそれほど事実からかけ離れてはいない。
 問題はその痴漢がひとりではなかったことだった。
 そして聡明なはずのクォーター少女がその可能性に気付けなかったことだった。

 翌朝、愛らしい少女は報復を受ける。
 いや、昨日の獲物よりもはるかに魅力的なターゲットとして狙われたのだ。
 ホームから乗り込んだ途端、女子中学生は同行していた同居人から切り離され、男「たち」に一気に車両の隅に押し込まれる。
 呆然とする暇すらなかった。
 そのときにはもう、制服スカートの中に侵入したごつごつした手が日本人離れしたすらりとした太股を左右から撫で回していたのだから。
 無礼な手を押しのけようとした細い指はがっしりした手で掴まれ、「恋人つなぎ」を強制された。
 悲鳴はほっそりとした喉の途中で止まった。
 形の良い唇が半開きになり、碧い瞳から涙が溢れた。
 小振りな、しかしきゅっと持ち上がったヒップをスカートの上から悪戯されていたのだった。
 指の一本一本が戦利品を確かめるかのようにゆっくり蠢き、くりくりと青硬い乙女の双丘の形と温度を確かめる。
 人型決戦兵器のパイロット、人類の守護者は凍り付いたように動けない。
 制服スカートが持ち上げられ、コットンショーツが剥き出しにされた。
 直接悪戯される。
 柔らかな生地を、すべすべの尻肌を。
 じわりと噴き出す生汗の匂いを嗅がれ、耳元に囁かれる。
「おじさんたち、昨日から欲求不満なんだ。キミが代わりをしてくれるんだよね?」
 それは質問ではなかった。
 それは宣言だった。
 少女は動けない。
 嫌悪に、恐怖に金縛りにされていた。
 そのこと自体が彼女の自尊心を深く傷つけ、精神を縛る枷になった。
 そして、美しい少女の表情の変化は正面の男から観察されていた。
 男の靴がアスカの揃えたローファーの間にこじ入れられ、女子中学生は肩幅よりも大きく脚を開く姿勢を強制された。
 あぁ、と薔薇色の唇から絶望のあえぎが漏れる。
 彼女の下半身を護っていたコットン生地がくるん、と剥かれてしまったのだ。
 抗おうともがく動きはむしろ牡を誘う淫らなダンスのように見えたろう。
 そのまま薄ピンクの活発なデザインのショーツは太股なかばまで降ろされ、乙女の下半身は四人の牡の玩具にされた。
 後から這う指は執拗に排泄口を悪戯した。
 前からの手はぴったり閉じた花弁の形を確かめるようにゆっくり上下に動き、そしてちっぽけな肉芽を鞘越しにくりくり刺激した。
 かくんかくんと無様な尻振りダンスを始めた女子中学生の両手は男たちによって持ち上げられ、完全無抵抗な万歳ポーズにされてつり革にがっしり固定された。
 それだけではない。
 あちこちから伸びてきた手によって純白のブラウスの上から成長途上の胸の膨らみを確かめられた。
 たちまちブラウスがスカートのウエストから抜かれ、侵入した何十本の指に汗ばむ上半身の肌触りを楽しまれた。
「ほら、キミのオマタのトコロ、ぬーるぬる、してきちゃったよぉ」
 正面の男に囁かれ、残酷に女子中学生の官能を目覚めさせた人差し指と中指をそのぼんやりとした視線の前に持ってくる。
 ゆっくりと二本の指が開き、その間に白っぽい粘液の橋が架かる。
 それは痴漢どもにとって残酷で卑劣極まりないVサイン。
 じわりと浮かぶ涙。小さくいやいやする頬に貼りつく栗色の髪がどうしようもないほど色っぽかった。

 そう。
 本当に危険なところだったのだ。
 舌打ちと罵声を浴びせかけられながら人混みを掻き分けてきた同居人が、生贄にされる寸前の美少女を抱きかかえるように卑劣な男たちから引き剥がさなければ、彼女の純潔は満員電車の中で喪われていただろう。

 途中下車したホームのベンチで彼女を救い出した【騎士】の細い腕にしがみついて惣流・アスカ・ラングレーは半時間ほど泣きじゃくる。
「お願い。いっしょにいて。もう離れないで。お願いだから。アタシを守って」
 ぐすぐすと鼻を啜る少女に上目遣いに見つめられた碇シンジがそのお願いを拒否できるはずがない。
 当然だろう。
 少年らしい正義感は、彼に否やと言わせなかった。

 けれども。
 その翌日。
「あ、あのさ。どうして僕が女子の制服を着なくちゃいけないの?」
「とーぜんでしょ」すっかりいつもの調子を取り戻した少女は駅の身障者用トイレットで腰に手を当てた。「『いっしょにいるよ。いつでも、どんなときでも』って昨日アンタ言ったじゃん!」
「……え、えぇぇ……」
「そのためにはアンタも女性用車両に乗らないといけないわけでしょ?」
 碇シンジはその論理展開が分からない。理解できない。そもそも約束の内容がすごく膨れあがっているような気がする。
 だが碇シンジの「お姫さま」はボディーガードを務めることになった彼に壱中の女子制服を手渡し、着替えるように命じたのだ。
 せめて外に出ていて欲しいという要求も通らなかった。
 「アタシの恥ずかしいところを見てたでしょ。だからおあいこ!」と言われると逆らえなかった。
 むしろあの光景を思い出し、「反応」しないことを祈りながら着替えなければなかった。
「うん」ぐるぐると即席少女の周りを楽しそうに巡ったアスカがボストンバッグから取りだしたのは栗色のウイッグ。
「え、え!」
「これがないと完成しないでしょ」丁寧に被せられ、整えられる。
「ほら、ごらんなさい」勝ち誇ったような声に少年は目を開く。
「あ……」鏡の向こうから栗色のショートボブの女子中学生が頬を染めて上目遣いでこちらを見つめていた。
 内気そうで、どこかおどおどしている表情にシンジの鼓動が高まってしまう。
「ね?これならバレない」満面の笑みを浮かべてクオーター少女はぎゅっと抱きついた。「これで完璧!お願いね!アタシ専門のナイト君!」
 鏡の向こうでショートボブの少女は深く溜息をついていた。


「だけどね。アスカちゃん、気をつけないとダメだから。ね?しばらくは女性専用車両で……」
「大丈夫!コダマ先輩。アタシ、負けたりしませんから!」
 ……そしてこれがその結果なのだ。
 常に彼女に付き従う「騎士」を手に入れたアスカは妙に気が大きくなってしまったのか、【奴ら】への反動なのかどこか攻撃的だった。
「だけど、そのお友達……ユイ……ちゃん?と一緒なら大丈夫かな?」
「ええ、結構頼りになるんです!ほんとですから!」背中をぐいと押しつけられて女装したシンジ……便宜上「ユイ」と呼ばれていた……の鼓動は高まってしまうのだ。
 健気な騎士として。
 強気で正義感が強いくせに、どこか折れやすいところなる「お姫さま」のことを知っている同居人として。

 だから、ふたたび「奴ら」と遭遇したときも騎士には覚悟ができていた。
 彼らに有利な場所にお姫さまを連れ去られる前にその手をしっかり掴んでドア横のスペースに身体を滑り込ませる。さらに体勢を入れ替えて「壁」となって彼女を護る。
 痴漢どもは押し流されて二人に触れることができない。恨めしそうにこちらを見つめることになる。
 しかし車内の混雑は二人の「少女」の想像を超えていた。
 二人はまるで抱き合うかのように密着姿勢をとらざるを得なくなった。
「あ……」ショートボブの少女が真っ赤になった。スカート越しのアスカの太股に腰を押しつけてしまったのだ。
「あ、あ、あ……ごめん。だって、アスカ、とってもいい匂いがしてるから、アスカ、ごめん、ごめん……」
 ささやく「ユイ」にアスカは微笑し、耳に口を寄せてささやき返す。
「許す。だって仕方ないもの。こんなカッコしてても、オトコノコだもんね」
 くすくす笑う少女が挑戦的な表情で痴漢達を見つめていたことに「ユイ」は気付かなかった。

 そして数日、二人は満員電車での通学を続けた。
「痴漢が怖いから女性専用車に移ったりしない」と彼らに無言で示したのだ。
 とはいえ、混雑する車両でお姫さまを守り抜くためには窮屈な姿勢をとらざるをえない。
 普段の「シンジ」なら絶対に許されない距離で「ユイ」はアスカと囁き合うことになった。
 だから、それは不可抗力だったのかもしれない。
 お姫さまを護ろうとした女装騎士の手が美しい女子中学生のスカートの中に入ってしまったのは。
 息を呑むアスカ。
 真っ赤になる「ユイ」。しばらくしてくすくす笑うアスカ。
 だが、その表情が強張る。
 手を抜こうとしても満員のため身動きすらできないのだ。
 小さく溜息をつき「赦す」とアスカはささやく。
 だから次の駅までの数分のあいだ、すべすべの太腿を騎士に触れられることになる。
 太股に押しつけられた「女の子にはない器官」が熱と硬さを帯びていくことにスカートの生地越しでもはっきり分かっても、アスカはそれに気付かないふりをすることに成功した。

 いや。それは違う。
 その事実は少女に奇妙な満足感を与えたのだった。

 大人しい少年が自分を女性として見ていることに。
 内気な彼が彼女に我を失っていることに。
 それでも彼女を護ろうと健気な努力を続けていることに。
 そんな少年に対し、自分の肉体が「ご褒美」になっていることに。

 惣流・アスカ・ラングレーのしなやかな右手が「ユイ」の腰にそっとまわった。
「もう……バカ。でも……赦す」
 くすりと笑い。少女たちは頬を寄せた。
 それはとても美しい光景だった。
 なにも知らない乗客から見れば、だが。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 数日経った。
 その間、クオーター少女に対する不埒な行為は一切なかった。
 常軌を逸した混雑ぶりと息苦しさは我慢ならないものであったが、「同級生の少女」に守ってもらっての電車通学時間は彼女にとって不快なものではなかった。
 なぜなら。
「ほら。ちゃんとアタシを護るのよ」勝ち気なお姫様の囁き。
 いつもの場所……ドア横のスペース……に陣取った二人の女子中学生は大人たちに押しつぶされないよう、お互いを支え合う。
 お互いの体温を感じながら。
 アスカの「騎士」は壁としての役割を忠実に果たしていた。
 当然だろう。
 このたぐいまれな美少女の髪と肌の匂いに酔わされ、その肌に触れることを許され、それどころかたぎった欲望を何枚の布越しとはいえはりのある太股に押しつけることも黙認されているのだ。
 もう「騎士」が女装を拒絶する理由はなにもなかった。
 それどころか自ら率先して駅のトイレに飛び込むと着替えをするように、いや「変身」するようになった。
 心変わりの理由を彼はけして「お姫さま」に明かすことはなかったけれど、それは彼女にとって自明のことだった。
 もちろんそれを非難したりしない。
 それどころか、スカート越しに押しつけられる硬く熱い「それ」を太股を「ぐりぐり」してその労に報いてあげることもしたのだから。
 そのたびに「可愛らしい騎士」のあげるあえぎが彼女の体温をさらに上げ、そして密かな征服欲を満足させたのだから。
 惣流・アスカ・ラングレーは勝利の笑みを浮かべる。
 可愛らしい「騎士」の瞳を見つめつつ、スカートのサイドファスナーをゆっくり降ろす。
 おずおずと細い指が侵入し、まるで宝物を扱うようにアスカの素肌を撫ではじめた。
 くすくす笑い、「バカ」とささやく。


 だから、痴漢達が、けして忘れることができないその面々がまた近づいてきても狼狽することはなかった。
 「盾」はその責を完全に果たしていたのだから。
 彼らの伸ばす手はアスカに届かない。
 もう一人の少女が肘を突っ張らせ、あるいは足を踏んで彼らを阻止する。
 腹いせに「騎士」に悪戯をはじめた彼らの手がはたと止まる。
 スカートに侵入した手に触れたのは少女が身にまとう下着ではなかったからだ。
「ざんねんね」アスカの低い声は車内の騒音を圧して彼らの耳に届いた。「アンタたち、男子のお尻を触って喜ぶ筋金入りのヘンタイなのね」
 すごすごと彼らは撤退した。
 硬直している少年にアスカは「ありがと」とささやき、ぎゅっと抱きしめる。
 吐息と共に「ユイ」の緊張がほぐれる。
 ドアが開き、二人は手をつないだまま列車から降りる。
 少女は理解していなかった。
 彼女の「騎士」が青ざめている理由を。

 さらに数日。
 「騎士のつとめ」は今日も果たされていた。
 連日変態どもはアスカに迫るものの指一本触れられることなく「ユイ」は壁になってくれていた。
 だが、少女は奇妙なことに気付いた。
 降車後の「着替え」の時間が妙に長くなっているのだ。
 「『オトコノコ』に戻るときは独りにしてほしい」という要求を受け入れて(「ご褒美」の結果で発情した身体を自分に見せたくないのだろうとアスカは理解していた)、身体障害者用トイレの外で待つことにしていた。
 ……こんなに時間が掛かってなかった。最初のうちは。長くても五分以内だった。
 ……でもいまは十五分?いやもっとかかっている。遅刻の心配をしなければならないくらいだ。
 いまはドアに身体をもたせかけていた彼女は、控えめにノックする。
 水が流れる音。身繕いする音。
 ドアが開き、青ざめた少年が現れた。
「あ、アンタ?大丈夫?」
「う、うん。ちょっとお腹の調子……悪くて」
「そ、そっか。じゃあ、行こうか?……あッ!」ぐらりと脚の力を喪った少年を慌てて支える。
「ご、ごめん。電車の中で、無理な姿勢だったから……」
「しょ、しょうが無いわねぇ」アスカは溜息をついた。「ちゃんと歩けるようになるまで肩を貸してあげるから」
「う、うん」
 アスカは支えたその身体がひどく熱いことに驚いた。
 だが少年がかたくなに問題ないと言い張るため、それ以上の追求を諦める。
 それに、彼女に身体を預ける少年の重さは彼女のなかにあった保護欲をかき立てるものだったから。
「しょうが無いわね」つやつやの唇が笑みの形に変える。「このアスカ様に心配されることに感謝しなさい」

 そう。なにもかも上手くいっている。
 惣流・アスカ・ラングレーは確信した。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 そして週末の朝。
 相変わらずのラッシュの車内。
 アスカは異変に気付く。
 彼女の可愛らしい「騎士」が、ショートボブの女子中学生がふっ、とアスカに身体を預けてきたのだ。
「あ、あ、あ……や、やめろぉ……ぁ、あ、あ……お、お、おしりぃ……」うつろな「騎士」の呟きに少女は戦慄する。
 そして気付く。
 「ユイ」が汗びっしょりになっていることに。
 男たちの手が「ユイ」のヒップを撫で回していることに。
 不意にアスカの目の前に握り拳が突き出される。
 それはアスカを執拗に狙っていた痴漢のひとりだった。にやりと笑って掌を開く。
 マジックのように現れた「それ」にクォーター少女は目を見張る。
 それは浣腸薬の樹脂容器がふたつ。
 キャップが取り外されたそれは内容物を誰かのナカに注ぎ込んだことを物語っていた。
 そして蒼白になっている彼女の「騎士」の様子から、それが誰なのかは明らかだった。
 痴漢のがっしりした手が「ユイ」のウエストを掴み、アスカから引き剥がす。
 意地悪な手が「ユイ」のスカートを持ち上げ、下腹部を撫で回しはじめた。
「おいおい、こんなに硬くしちゃって。男にケツ撫でられるのが良くなってきたのかい?」
 アスカを見つめながら痴漢が彼女の守護者にささやく。「ユイ」は否定しない。
 腸内でぐつぐつと煮えたぎる液体に思考をもぐずぐずとされた女装中学生は涙を流しながらアスカを見つめていた。
「車内でお漏らししたいか?」囁かれ、ショートボブがぶんぶんと横に振られる。「じゃあ、おじさんが栓をしてあげるからね。ごつごつとした中指が目の前に突き立てられる。
 涙を流しながら小さくうなずく。大きな手が「ユイ」の口を塞ぎ、次の瞬間涙を浮かべた瞳が見開かれ、ぶるぶると全身が痙攣した。
「あーあ」スカートの前から手を忍び込ませていた別の痴漢がくすくす笑う。「別な方が暴発しちゃったみたいだぜ」
 そして数分にわたり、「ユイ」は彼らの玩具にされた。
 やがてドアが開き、「ユイ」は連れ出される。
 もちろん心折られたクォーター少女も細い肩を掴まれ、そのあとをふらふらと追うことになった。

 二人が連れ込まれたのはホームの端に位置したトイレット。
 「ユイ」は壁に手を付いてお尻を突き出した姿勢を強いられ、尻穴を男の中指でぶっすり犯されたままどろどろになったブリーフを抜き取られる。
 その隣で同じ姿勢をとらされた惣流・アスカ・ラングレーも黄色のショーツをするりと降ろされ、クロッチがどうしようもなく湿っていることを暴露され泣きじゃくる。
 そして美しい女子中学生はソックスとローファーだけ残されて制服を剥かれた。
 もうまったく抵抗できず、壁に手を付いてお尻を突き出したポーズでスレンダーな裸身を男たちの指で好き放題に意地悪され、さらに「ユイ」と同様に尻穴に浣腸液を注がれゴムで栓をた彼女は、甘やかな声とともに屈服した。
「あーあ。キミが護ってたオンナノコ、オジサンたちに悪戯されるのが大好きになっちゃったよ」アスカのすぐ隣で同じ姿勢で、しかしあえて女子制服のままにされたた少年はアスカが挿入されたものよりもひとまわり大きなアナルプラグをねじ込まれながら嘲笑われた。「せっかくオンナノコの格好までして、代わりにチカンされてあげて……ここ数日は座薬までケツ穴に入れられて耐えたのに……みーんな無駄になっちゃったねぇ」
 残酷な台詞にショートボブの少女は肩を震わせて涙をこぼした。
「ほんと、無駄どころじゃないよねぇ。オトコに意地悪されて、ガキチンポこんなに硬くして。ほーら、シコシコしてあげるよ。オジさんの手の中に出しちゃいなよ」
 勇気も努力も全て否定され、ただ残酷に快楽だけ与えられた「彼女」は下衆な雄どもの「ほのめかし」にわずかな光明を見いだし、その誘いに乗ってしまう。

 例えば嫌悪しか感じられない中年男性との抱擁、そしてキス。
 舌を絡め、唾液を飲まされて泣きじゃくるその表情は「そっち方面」に興味が無かったほかの痴漢たちをも昂ぶらせ、結局五人全員との屈辱を強いられた。
 もちろんそれで済むはずがない。
 昂ぶった男たちの勃起ペニスへの口唇奉仕も「ユイ」は従わされたのだ。
「みなのを飲めたら腹の中のもの、出してもいいからな」
 座面を跳ね上げた洋式便座にスカートを持ち上げてしゃがまされ、尻穴をこりこり意地悪されながら自身のそれとは形も大きさも別次元なものを舐め、しゃぶらされる。
 「沢山出させたら、それだけアスカが妊娠する可能性が減る」と示唆されると、健気な「ナイト」は泣きながら陵辱者たちのペニスをしごき、鼻を鳴らして口唇奉仕する。
「やっぱりオスガキはチンポの扱いが上手いなぁ」最期になった男が腰を震わせながら放出するまるで固形物のようなそれを喉を鳴らして「ごっくん」した瞬間、「ユイ」のアナルプラグが引き抜かれた。
 男たちに支えられ、観察されながらの放出はしかし、「ユイ」の脳髄が痺れるほどの快感だった。
「おいおい。また「ぴゅっぴゅ」してるぞ、コイツ」肉茎に手を触れることもなく放精する「彼女」はとても幸せそうだった。

 そしてその様子を屈辱的な前屈ポーズで観察させられていた惣流・アスカ・ラングレーもまた墜ちていくことになった。
 当然だろう。
 アスカは彼女の「騎士」が屈服させられるたびに、恥知らずなアクメを迎えていることを彼らに暴露されてしまったのだから。

 だから、男たちに裸身を密着させてのキッスも。
 もちろん、「騎士」の唾液と精液で汚れるペニスへの心を込めたご奉仕も。
 さらに便秘を笑われながらの放出も。

 それらは全て彼女のために尽くしてくれたショートボブの少女への贖罪になった。
 それらは全て、アスカに途方もない快楽を与えてくれるものだった。

 だからふたたび二人お尻を突き出したポーズで並ばされ、尻穴をとろとろローションと指と意地悪な器具で虐め抜かれたときももう、二人の口からは感謝感激の声しか漏れなかった。
 クリトリスとペニスをしごかれ、かくんかくんと腰を揺すっての射精も潮吹きも恥ずかしいと思えなくなっていた。
 そしてゆるゆるにされたアナルを「二人の」女子中学生は犯される。
 爪先立ちでお尻を突き出したポーズでゆっくりじっくり亀頭を埋め込まれ、お互いを見つめ合い励まし合い、そしてその涙顔が快楽に歪み、幸福感いっぱいになる様子をしっかり観察させられた。
 いつのまにか二人は手をつないでいた。
「ああ、ああ、アスカ、アスカぁ。ボク、ボク、オンナノコにされちゃったぁ。オチンチンで犯されてもイヤじゃないよぉ!どうしよう!どうしたらいいのぉッ!」
「お、ぉぉぉお、ご、ごめんなひゃい、ごめんなひゃい。ああ、ああ、あなるせっくすきもちいいよぉ、せっかくまもってもらったのにぃ、きもちよくなってごめんなひゃい」
 淫らで卑猥な二重奏が何度も繰り返され、そして二人から反抗心が完全に蒸発したのち、二人はさらに淫らな措置を施される。

 五人のうちでも屈強な肉体を誇る男に尻穴を犯された二人は背後から膝裏を抱えられ、ふわりと持ち上げられる。
「あ……」
「あすかぁ……」
 「しーしー」ポーズで持ち上げられ、向かい合わされた二人は手を伸ば死、お互いの手をつないだ。
 そしてそのまま男たちは前進する。
「あ、あ、あ……」
「そんな、そんなの、そんなの、だめ、だめ、だめ……ぁぁ」
 なんども射精を繰り返したものの前立腺をごりごり意地悪されて屹立する十四歳のペニスに痴漢の指が絡みつき、ひくひく蠢くクォーター少女の肉裂を擦り立てた。
 亀頭とクリを卑猥にキッスさせられ、肉襞をがちがちの亀頭がくちゅくちゅと往復する。
 やがて白っぽい本気汁を垂れ流すちっぽけな孔に中学生ペニスの先端が押しつけられ、そのまま全裸女子中学生はじわりじわりと身体を沈めさせられる。
「ああ、ああ、だめ、だめだよぉ、あすか、こんなのだめだ、だめ、らめぇ……」
「むりやり、むりやりだからぁ!アンタは悪くないの!ああ、ああ、ああ、アタシ、アタシ、アンタに犯されてるっ!アンタのペニスが入ってきてる……ぅ」
 手をつないだままの二人の下腹部が密着する。
 涙に濡れる瞳を見つめ合った汎用人型決戦兵器のパイロットたちの唇がゆっくり近づき、彼らは初めて口づけした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「これは許しがたい犯罪だと思います。赤木博士」
 平坦な非難の声にとてつもない怒りの熱量を感じつつ彼女は振り返る。
「犯人は保安部が確保したわ」
 アルビノ少女にそう応え、赤木リツコは保安カメラの映像にちらと視線をやった。
 【LIVE】の表示が画面の隅にあるそれは公園らしき場所に設置されている多目的トイレ。
 そこには赤毛の美少女とショートボブの愛らしい制服少女が跪き、男たちのペニスを一心不乱にしゃぶっていた。
 整った貌に四人分の精子を浴びせかけられ、それを命じられるまでもなくお互いの舌で綺麗に舐め取った二人は微笑み熱烈なキッスをはじめる。
 やがて男たちに命ぜられた二人は立ち上がり、頬を染めてスカートを持ち上げる。
 ショートボブの少女の身に付けているいかにも少女らしい意匠のコットンショーツが露わになる。そしてその白い生地は涎を垂らす包茎ペニスでぐっしょり濡れていた。
 クオーター少女に至ってはレースをふんだんに使った娼婦さながらのハイレグショーツだった。
「二人とも、すっかり……」マヤが声を震わせる。
「ああ、あんなにうっとり見つめ合って……あ」アスカのほっそりした指が「ごしゅじんさま」と「ユイ」のペニスに絡みついたさまを目の当たりにした大井サツキが絶句した。
「すくなくとも弐号機パイロットは碇君に説明すべきです」アルビノ少女の朱い瞳に見つめられた赤木リツコは視線を外すのにかなりの努力が必要だった。
「けれども、二人のコンビネーションはすごく良くなったわ。この不幸な事件によって……」
「『二号機パイロットの猿芝居によって』の間違いです。ああ、だから猿なのね」
 その指摘にぎくりとする女性陣。
「レイ、あなた……」
「特段の推理は要りません」ゆっくりとしかしなにかを押し殺した口調で綾波レイは説明した。「あんな犯罪行為を保安部が看過すること自体がありえない。そもそもあの中のひとりは冬月副司令の護衛ですよね?」
 レイは淡々と指摘する。
 それがセカンドチルドレンが親友の姉から仕入れた「薄い本」をもとにした陰謀であることを。
 「碇シンジが男の娘にされて開発される」というくだりにNervの少なからぬ人間がどういうわけか反応し、全面協力を約束してしまった可能性を。
 沈黙するリツコたちにアルビノ少女は訊ねる。
「これ、『彼女』に伝えた方がいいのでは」と。
「待って、待ってレイ、早まってはいけないわ」リツコがいきなり取り乱した。「『彼女』が知ったときの反応についてのシミュレーション、発散してしまってるのよ」
「『ご子息はお尻を犯されないと子孫を残せない体質になりました』って言われた母親の反応ってそんなに無いと思いますけど……」
「だ、だからよ。だから、レイ、もうちょっと待って……」
「いいですけれど……」少女はそう言って鞄からノートを取り出した。表紙には「R計画」と大書してあった。
「え……」受け取ってしまった阿賀野カエデが目次を確認して絶句する。
「『綾波レイをお嫁さんにしないと出られない部屋の建造計画』って……」
「対抗処置にすぎません」穏やかな口調で告げる彼女の瞳はまったく笑っていなかった。「こちらにもブレーンがしっかりついていますから。成功は保証されています」
「……ブレーンが誰か聞いていい?」おずおずと最上アオイ。
「『ワン・ツー・パンチ』です」
「は?」絶句するリツコ。
「問題ありません。認可を」詰め寄られた彼女は視線を逸らせない。逸らせるはずがない。



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From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(3)