泥濘の果て
著者.しあえが
本部に待機しているゲンドウとレイこそいないものの、シンジとアスカ、ミサトと一部スタッフ達が、数年ぶりに訪れた浅間山温泉旅館にて2泊3日の慰安旅行を楽しんでいる夜。 湯上り直後で桜色に肌を染め、乾かしたばかりでフワフワした蜂蜜色の髪を煌めかせながら、アスカがシンジ達から離れ、口をきいたこともない技術部スタッフ達の輪に入ったのは、別に深い理由があっての事ではない。 ミサトから「いつも世話になってるんだし、こういう時こそ感謝の気持ちをあらわすものよん♪」と言われたこと、それよりなにより、愛しくも憎らしい、友達以上彼氏未満の元・同居人の気を引きたかったからだ。 他の男の御酌をするよ、会話して楽しくしちゃうよ? という可愛らしい感情からの行動だったのだが、当のお相手はミサトに捕まり、「オラ、飲め!」と無茶な事をされて目を白黒させてる真っ最中で、全く気が付いていなかった。それどころか、浴衣越しに触れる年増の熟れた肉体の感触に鼻の下を伸ばして、逆にアスカの方が嫉妬する始末だった。 (あんたがそういう態度取るんなら、私だって勝手にするわよ!) シンジが全く認識していない所で勝手にへそを曲げ、半ば絡む様に「ビールは水!」とか言いつつ、ワインや日本酒をかっくらうアスカ。一応の周囲の大人たちは『もう飲んでもいい年なんだっけ?』とか疑問を感じつつも、敢えて口には出さない。 それはそれで社会人としてどうかという気もするが、当の保護者がウワバミのミサトだし、今更かと思ったのかもしれない。 「あーもーイライラするわね! 酒! 飲まずにはいられない!」 鯨飲馬食するアスカに、最初のうちこそやんややんやと歓迎していた独身男性スタッフたちも、なんだか凄くいたたまれない気分になってしまう。 更にそんな気配を察したのか、アスカの不機嫌はレッドゾーンを突破して「あんたら飲むのに邪魔! どっか行きなさいよ!」と喚いたあげく、周囲を威嚇する。 俺達の席だったのに……。と男性スタッフたちは微妙な表情を浮かべつつ、酒の席で無礼講だしまあ良いかと他の席に移動するのだった。 「フンだ。馬鹿シンジなんか知らない」 周囲の喧騒をよそに、不機嫌の極みなアスカは一人手酌で黙々と酒を煽り続ける。 そんなアスカに、罵倒されてもめげずに近寄る一人の男がいた。 『はい、アスカちゃん。焼酎のお湯割りだよ』 「ったく、焼酎なんて水みたいなもんね。ちっとも酔えやしない」 『お、イイ飲みっぷりだねぇ。はい、ラム酒なんてどうかな?』 「なんでもいいからサッサとよこしなさいよ! 気が利かないわね」 『参ったなぁ』 ほとんど意識しないまま、男の手渡すグラスの中身を一口で飲み干す。 強いアルコールの刺激と共に液体を嚥下した時、舌の奥に何か痺れるようなものを感じたが、アスカはあまり気にしなかった。 シンジ達を気にするあまり、周到とは程遠い場当たり的な罠にかかろうとしていることに気が付かなかった。 いや、場当たり的だからこそ、気づけなかったのかもしれない。 「あれ、アスカは?」 数十分の死闘の末、どうにかこうにか絡み酒のミサトを引きはがし、「結婚できないわけだ……」とため息をつきながら周囲を見渡したシンジは、アスカがいないことに気が付いた。 「んん〜〜〜? 知らな〜い。部屋に戻ったんじゃないのぉ?」 再び絡みついてくる、というかコブラツイストを掛けに来るミサトをあしらいながら、奇妙な違和感をシンジは感じていた。 (そう、かな? なんだかアスカらしくない気がする) いつものアスカなら、憎まれ口と共にああする、こうするって一言伝えてから部屋に戻ったはずだ。 ……シンジに気にして欲しいから。 そう、怪訝に思いはしたが、ミサトの言うことももっともだとシンジは思う。 何かあるとすぐにアスカを頼ってしまうし、すぐに甘やかしてしまう。いい加減、アスカ離れをしないといけない。 (ま、後でフォローすればいいか) なんだかんだ言って憎からず思っている金髪のお姫様と、関係を深めたいと思ってる。 けど、いやだからこそ、がっついて幻滅されたくない、とも思っている。 焦りは禁物。 放っておくと不機嫌になり、追えば逃げるやっかいなお姫様なのだから。 慣れというものは恐ろしい。もし、シンジが直感に任せてアスカの事を探していれば、このあと彼女を待ち受ける恐ろしい運命は回避できたかもしれない。 だが、ミサトの言うことももっともだと、シンジは思ってしまった。 そしてそのまま、酔って乱れるミサトのフォローに追われて、いつしかアスカの事を忘れていた。 「う、う〜〜〜ん」 ところ変わり。 ベッドに横たわり、艶めかしく身じろぎするアスカを見下ろしながら、男はゴクリと生唾を飲み込んだ。 彼自身、かなり酔っていて、歩くのもおぼつかなかったはずだが、その酔いも今は感じない。ただ、異様なほどに高ぶり、手で押さえなくても伝わるほど激しく心臓が鼓動しているのを感じる。こめかみがズキズキと痛んだが、それ以上に股間がはち切れんばかりに膨らみ、破裂寸前になっていることが気になって仕方なかった。 『ここまでは上手くいった。ラッキーだぜ』 こっそりアスカを伴って宴会場から姿を消しても、誰にも特に注目もされず部屋まで戻ってこれたのだ。独り言をつぶやきながら、一生分の幸運を使い果たしてしまったのではないかと、ふと男は不安を覚える。 荒い息が自分のモノか、人目を避けてこっそりと自室に運び込んだアスカが漏らしている物かもわからない。 再び、乾いた唾液一滴出てこない喉を鳴らし、無理矢理つばを飲み込む。 匂い立つような香しさ、香水をつけているわけでもないのに室内に色気という名の香りが充満していく。 白人種の血が流れているアスカの肌はどこまでも白く、それが酒に酔ったことでピンク色に染まっている。 『よ、よし……。やるぞ。いざとなれば、所詮女の子だ。押さえ込んで……』 アスカが素面の時なら、彼が3人がかりでもまるで勝負にならないはずだが、そんなことにも思い至らない。アスカが目を覚まし、抵抗すればすべてが終わるのだ。 だがその破滅一歩手前の状況が、使徒との戦いで感じた以上のスリルが、彼を押しとどめるどころか奮い立たせる。 自分が危険なほどによっていることを彼は自覚していたが、だがそれ以上の酩酊感に得も言われぬ興奮を味わっていた。 この部屋は2人部屋だが、都合があって彼一人だけが使うことになっている。 つまり、朝の点呼が始まるまで邪魔が入ることはない。 改めてベッドの上に横たわるアスカを見つめる。 日本人的感覚からすると、少々細すぎる胴体に高い腰の位置と小さな頭。170cmを超えた身長は威圧感さえある。 身長同様、鍛えているからか同年代女子の平均よりもずっと広い肩幅をしている。それは内包したポテンシャルを想像させて、気の弱い男性なら忌諱する理由となっただろうが、いかんせん、酩酊して寝込んでいる今は男にとっては高評価になってもマイナスにはならない。 そして、高身長で均整の取れた体をしているということは、とどのつまりは抜群のプロポーションの持ち主という事でもある。 ほどよく膨らんだ双丘が浴衣を持ち上げているのが見て取れた。ミサト達大人組に比べれば一回り小さいが、腰の細さもあって、反って本来のサイズよりもカップサイズがずっと上に見える。 膨らみが押し上げる浴衣の隙間から、うっすらとアルコールまじりの汗の匂いが漂ってきていた。 「う、うん……」 頬を上気させたアスカが呻きながら身じろぎすると、蜂蜜色の髪がキラリと輝き、空気を求めて桜色の唇が開く。 誘うように、唾液で濡れた舌が唇を舐めつつ浅く速い呼吸を繰り返す。 神聖不可侵の神域を前にしたように男は言葉をなくし、数分間、身じろぎもせずに横たわるアスカを見つめ続けた。 『俺の、俺のモノにしてやる。俺のモノに、するんだ!』 男はカラカラになった喉に興奮剤も兼ねたエナジードリンクを流し込み、きつく、強く、血が出るほど強くこぶしを握り締めた。 もう、後戻りはできない。するつもりもない。 男はアスカにしがみつくように抱き付く。 『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。綺麗、アスカ』 「うっ、うう」 アスカが不快そうに呻くが、一切無視して半開きになった唇にむしゃぶりついた。 粘液まみれのナメクジのような舌が、アスカの唇を押し開き、無抵抗のアスカの口腔内を蹂躙する。 歯を嘗め、歯茎に沿って舌を這わせ、舌を絡み合わせながら唾液を流し込んでいく。 「う、うぅぅ」 嫌々する子供のようにアスカは首を振って逃れようとするが、両腕で抱きしめられていては逃れようもない。 たっぷり。 ねっとり。 「う……ちゅ、ちゅぷ……んんっ。ふあ、んんっ……んっ、はぁ、ちゅ、ちゅ、ちゅぱ」 餌を求めてがっつく豚さながらに興奮した男はアスカの唇を、思うままに貪りつづけた。鼻と鼻がぶつかり、触れあった唇が唾液の糸を引いて粘つく。 飲ませた唾液が口内でアスカ自身の唾液と混じり合い、ピチャピチャと淫靡な音を奏でる。無意識の内に、ゴクリ、ゴクリとアスカはそれを飲み干していく。 (あのアスカ・ラングレーが俺の唾液を飲み干している……!) 歪な感動に打ち震えながら、男は尚もアスカの唇を求めた。 「あむ、くちゅ、ちゅ、ちゅる、はぁ…んっ、あ、あふ……んん、ちゅ、ちゅちゅ」 どれくらいそうしていたのだろう? たっぷり数分間、アスカの唇と舌の感触、そして唾液を味わってようやく満足できたのか、少し冷静さを取り戻した男は、名残惜しそうに唇を開放し、間近で眠り姫の寝顔を見つめた。 「ぷはっ……。はぁ、はぁ、はぁ……。あぅっ、ふっ、くぅぅ」 数分に及ぶ長いキス。 「ん……ぷはっ」 漸く一方的なキスから解放され、呻きながら深呼吸するように深く、長く、アスカが呼吸を繰り返している。 呼吸が乱されたことで赤みを増した頬と全身に、うっすらと汗が浮かんでいる。その顔は、はた目から見ても不快そうに歪んでいるのが見て取れた。 『暑いの、かな』 目を覚まされたらたまったものじゃない。 まだ冷静に考えられるだけの理性を残していた男は、いそいそと、だが嬉しそうに浴衣をはだけ、余人の目にさらされたことのない柔肌を露わにする。 浴衣という拘束具から解放され、両の乳房が重そうにプルンと揺れた。 彼女がするにはアダルトすぎるデザインに思えるが、彼女のイメージカラーである赤色のブラジャーに包まれた双丘が、仰向けになっても型崩れせずに上向いている。 もしかしたらと下世話な想像を男はする。 (今夜、サードチルドレンとセックスするつもりで本気下着を用意していたのかもな) 「……う、ぁ……はぁ」 呼吸が楽になったからだろうか、ホッとため息をするようにアスカが呻く。 少しびくつきながら、男はじっとアスカを見下ろして目を覚ます前兆ではないのかと、恐れながら様子をうかがう。 痛いほどの沈黙が続き、最悪の事態を想像して男は深爪するまで強く爪を噛みしめる。そんな痛みが気にならないほどの焦燥に男は懊悩した。 脳内で糾弾され、保安部隊員に逮捕され、連行される自分の姿が浮かぶ。 (嫌だ、嫌だ、嫌だ! 俺はそんな逮捕されるようなことはしていない! 頼む、神様……!) 「……すぅ、すぅ、すぅ」 規則正しい寝息が聞こえてくるまで、男は身じろぎもせず息をひそめていた。 今更、すでに手遅れなのだが理性的にそう考えられる人間なら、そもそもこんな馬鹿な事はしないだろう。 ともあれ、しばらく様子をうかがい、目を覚ます気配がないと判断した男は、いよいよ大胆に芋虫の様な指先でアスカを愛撫し始めるのだった。 「あ……あ……はぁ……はっ」 ブラジャー越しにぎゅっ、ぎゅっと揉みしだかれ、アスカがほんの少しだけ甘さを感じる呻き声を漏らす。 眠っていても感じてしまうのか、時折、ビクンと体を震わせ上ずった喘ぎ声めいた吐息を漏らした。 男の愛撫は決して巧みとは言えないが、男性経験のないアスカにとっては、異性から一方的に行われる身体愛撫というのは、まったく初めての感覚だけにどうしても反応してしまうのは仕方がないことだろう。 「……っ。んんっ、んっ、んっ、くぅ!」 男が勢いを強める理由には十分だった。 (あのアスカ・ラングレーが俺の愛撫で感じている! 喘ぎ声を漏らしている!) 「や、やぁ……あっ、あぁ」 大胆にも男はアスカの足を押し開き、パンティをずり降ろした。下腹に続いて、毛がほとんど生えていない ―― きちんと手入れされている ―― 股間の膨らみが露わになる。 短く刈り揃えられた淡い金髪で彩られたこんもりとふくらんだ恥丘。 もし眼鏡をしていたら、一瞬曇るほどの熱が微風を伴い、男の鼻先をなぶった。 『へ、へへへへっ。光って……濡れてる? 濡れてる、よな』 それはただの生理現象、あるいは男の勘違いだったかもしれない。 だが、男の行動はさらに大胆さを増していく。 「うっ……うっ……ううぅ」 露わになったアスカの秘唇に指を這わせ、ゆっくりとなぞるように動かしていく。一気に奥まで差し込みたい要求を懸命に抑え、執拗に、念入りに単調な動きを繰り返していく。 「……はぁ、あ……あっ。ああぁ」 三半規管がどうかなったのだろうか。グルグルと部屋全体が回転しているような感覚に男は襲われる。息が苦しいほど速くなり、興奮し過ぎたのためか指先が痺れたようなヒリヒリとした感触が、ゆっくりと全身広がっていくのが分かる。 (き、気持ち良すぎる! 指からの刺激だけで射精しそうだ!) だが、男には欲望のままに射精する気は毛頭ない。ここが我慢のしどころだということはよくわかっていた。 左手で胸を揉み、硬い布越しに乳首の辺りを付けて少し強めに指先ではじく。右手はだらしなく開かれたまた先に差し入れられ、秘唇への愛撫を繰り返していく。 「あ……あぁ……う、くぅ……ん」 アスカの上ずった呻き声の頻度が少しずつ多く、長くなっていくような気がする。 いや、間違いない。いつからか、始終アスカが呻き声……いや、喘ぎ声を漏らし始めていた。それだけではない。 クチュ……チュ、ニチュ。 もう勘違いではない。 右手の指先に熱い湿り気を感じ、耳には微かだが淫靡な水音が聞こえている。 「うっ、ふぅ……は、あぁ」 僅かに眉根を寄せ、不快そうな寝顔のまま、少しずつ背中を反らす様に身じろぎし、まるで男の愛撫から逃れようとしている。 「う……い……ぁ」 『おっと、逃がさないぜ』 大胆にも背後からアスカを抱きすくめると、身体を密着させながら今度は右腕で力強くアスカの胸を揉み、左手が指先の侵入を拒みつつも、その抵抗があからさまに弱くなっていく秘裂へ愛撫する。そのままアスカの髪の中に鼻先を埋め、肺一杯に眠り姫の匂いを吸い込んだ。 「っ! ……ああぁ!」 アスカが熱く甘い息で喘ぎ、男を振り払うように全身をくねらせ、頭を揺さぶっている。緊張した体がブルブルと震え、食いしばった歯の隙間から熱い吐息が漏れる。 無意識でも嫌悪を感じるのだろうか。身を捩ってアスカは抱擁から抜け出ようとするが、男はギュッと恋人同士のように強くアスカを抱きしめて逃がさない。 「あ……あ……あぁ。はぁ、あっ……ああ……うぅ」 その間も絶え間なく男の愛撫がアスカを襲う。 ブラジャー越しにもわかるほど固くなった乳首の辺りを指先でひっかくように刺激し、愛液とも汗ともつかない湿り気で粘つく秘唇を執拗に擦り続ける。 そのまま、叶うなら根元まで指先を挿入しようとするが、指先の侵入を拒む秘唇の圧力に男は目を丸くする。 (なんだ、サードチルドレンとやりまくってるかと思ったら、もしかしたら処女なんじゃないか?) そう認識すると、男の行動はより大胆になっていく。万一、行為途中で目覚めても、処女なら余裕で支配することができる。 根拠のない妄想に囚われた男は、指先を割れ目に沿って沈めると、アスカの肢体がビクンと大きく震える反応を楽しむ余裕さえ見せ始めていた。 「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、はっ、はっ」 呼吸が激しくなるのと反比例して、徐々にアスカの抵抗が弱まっていく。バネが弾けるような強い抵抗は鳴りを潜め、モジモジと身じろぎしながら、息も絶え絶えという様子で荒い呼吸を繰り返している。 「ううっ……くぅ。ん……っ」 身体をまさぐる間は固く強張り、手を休めるとグッタリと弛緩して悩まし気な喘ぎ声を上げるアスカの様子に、男は満足そうに男は頷く。悦楽にせせら笑いながら、もしかしたら軽く達したのかもしれない、と邪な想像をする。 『御開帳……っと』 「あ、はぁ……」 男は抱擁を解き、アスカをベッドに横たえるとおもむろにブラジャーを捲り上げた。 既にパンティは脱がしていたが、改めて上下の桜色をした秘肉に視線を向ける。異性としてそれを目にする男は彼が初めてだろう。根拠はないが彼は確信をしていた。 『これがアスカのマ○コと乳首か。桜色をして綺麗じゃないか。想像以上だぜ』 処女である今しか見ることができない光景を目に焼き付けながら、そんな下世話な事を呟く。 「はぁ、はぁ、あっ、はぁ……んんっ」 ニンマリと口元を緩めると、傍目から見ても固く凝固した乳首をつまみ上げ、少々強めにギュッと……つねるようにこね回した。 「んんん……っ」 乳房の形が変わるほど強く引っ張ったり、ほぐす様に指の腹で挟んでこね回したり、思う存分にその感触を楽しむ。 「う゛う゛う゛ぅ〜〜〜〜っ!」 だが次の瞬間、目を覚ましたのかと思うほど強い不快感をにじませた呻きを上げてアスカが身を捩る。反射的に左手で乳首を捏ねる腕を払おうとするのを、かろうじて押しとどめた。 「あぅ……。はっ、うぅ」 だが、意外なほどに強いアスカの腕力に押し返されそうになって、瞬時に背筋が冷たくなる。 本気になったアスカには決して敵わない。アルコールが抜けたことと予想外過ぎるアスカの膂力に、意識が明晰になっていく。 「ん、んん……うるさい……くぅん」 自分が地雷原で踊る様な無謀をしていることを思い出し、男は少し顔を青ざめさせた。 『これが女の子の腕力かよ。よく見れば肩とか筋肉凄いし、腹筋もうっすら割れてる……。やっぱり途中で目を覚まされたらヤバいな』 勿論、ここで手を止め、身なりを整えて応接室辺りにアスカを放置して、何事もなかったかを装うことはできる。リスクはあるがまだ間に合うかもしれない。 アスカの柔肌に触れ、唇を奪っただけでも御の字だ。十分だと思うべきかもしれない。 だが、男にはもう止まる気持ちは毛頭なかった。 (最後までするには、目をギリギリまで覚まさせないこと。そして目を覚ましても、どうにもできない段階にすること) そう考えたところで、ハッと気が付く。 アスカのピクピクと小刻みに痙攣する瞼を見て嫌な予感に襲われる。もしかしたら眩しいのかもしれない。目を……覚ます? 慌てて照明を消して常夜灯だけにする。室内がうっすらと紫がかった淡い明かりだけになると同時に、アスカの瞼の痙攣が収まるのが分かった。ホッとため息をつきつつ、危機一髪だったことにドッと冷や汗を流す。 ともあれ、これでアスカが眩しさで覚醒するリスクは減るだろう。 (それから、服だな。脱がしてさえおけば目を覚ました時の抵抗は大分弱まるだろう) 本当にそう上手くいくかは賭けではあったが、男はアスカの片足に引っ掛かっていたパンティ、そしてブラジャーを脱がしていく。 「ん……やぁ」 もうおぼろげな記憶だが、確か使徒の急な襲撃に合い、全裸でジオフロントの地底湖に緊急射出された際、最後まで救出をぐずって文句を言っていたのはアスカだったと聞いている。比較対象がシンジとレイなので、殊更アスカが恥ずかしがり屋というわけではないのだが、男は無根拠にアスカは裸にすると抵抗が弱まると決めつけた。 (それにしても……くそ、面倒だな) 既にしわくちゃになっていた浴衣が邪魔して、なかなか上手く脱がせられない。 「うう……」 アスカが呻く度に、目を覚ましたのかと男の方がビクリと全身を震わせながら静止することを繰り返し、5分以上もかけてどうにか脱がし終えた。 下着を外し、遮るものの無くなったアスカを見下ろし、改めて自己主張の激しい双乳に目を向ける。 ツンと上を向いた乳首に、うっすらと産毛が逆立ち稜線に沿う様に汗が浮かんだ白い肌に、初めてギリシア彫刻を目にした芸術家の卵の様な感動を覚える。 『おっふ、すげぇ……』 男が離れたことで多少は回復したのか、安堵する様な吐息を漏らしている。 「う……ふぅ」 まず全裸にしなくては。そう思っていたはずなのに、条件反射のように豊かな胸の膨らみをわしづかみにする。レイやミサトよりも小さいとはいえ、男の手にちょうど納まるほどの、巨乳と呼んで遜色ないサイズだ。圧力と重みを直に受け止め、男はまた生唾を飲み込んだ。 ドキン、ドキンと心臓の鼓動を感じ、じわり……と暖かいものが染み込んでいくのを感じる。 『どうせ、全部、いただくんだし……。もう、ちょっと』 言い訳するようにつぶやきながら、男からしたら精一杯優しく、だがアスカからしたらガサツな動きで、ゆっくりと双乳を揉み始めた。 「うっ……うっ……うっ……うぅっ!」 感触を愉しみながら、まだ硬さを残した双乳を男は揉みしだく。 硬さがゆっくりとほぐれ、手に馴染んでくるのが文字通りの処女地を開発しているようで、得も言われぬ達成感を感じる。指の間にぷっくりと膨れた乳首をはさんで押しつぶす様に揉みころがすと、ビクンと体を震わせるアスカの反応で頬を緩ませる。 相手はシンジじゃないのに、酩酊した体は男の愛撫に否応もなく反応してしまう。 「はぁ、あっ……ああ……やあっ、あっ、あっ」 乳首を指先に捕らえ、クニクニ、コネコネとひっかくように前後左右に転がし、そのたびにアスカが可愛らしく喘ぐのを愉しんだ。 (感じてるんだな) 薄く霧のようにアスカの口元が霞んでいる。明かりを消したことでアスカの漏らす呼気が熱く湿り気を帯びたいわゆる吐息であることが見て取れた。 「あっ……あっ……あっ……は、はっ……ああっ……くっ……ああっ!」 執拗な愛撫に晒されていたアスカが、唐突にそれまで漏らし続けていた呻き声とは違う甲高い刺すような叫び声を小さく上げる。総身をブルブルと震わせ、ガクガクと頭を前後に揺さぶり仰け反りはじめていた。 「くふぅ……あ、ああ、あっ、あっ、あっ」 快楽に溺れ、嬌声をあげて成熟したばかりの青い肢体をのたうたせるアスカの体に夢中になって、時間の経過が男の意識から完全に抜け落ちていた。 「あぉっ、ひっ、はぁ、はぁ、い……はぁ。や、ああぁ、んんん〜〜〜っ!」 どれくらい経っただろう? アスカが押し殺したような呻きを漏らした時、半分惰性のように愛撫し続けていた男の意識が覚醒した。 『はっ!? 俺、無我夢中でずっと……?』 見ればアスカは勿論、自分もぐっしょりと汗まみれになっていることに男は気が付いた。こめかみから汗が流れ、他の雫と合流して大きな塊となって滴り落ちる。身じろぎすると、熱のこもった室内に隣室からの冷めた空気が流れ込んでくるのを感じた。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」 肩で息をして息も絶え絶えという有様のアスカを見る。目を覚ましたのか、と思ったが固く閉ざされたままの瞼がそうではない事を告げていた。 両の手が痺れたような心地よい倦怠感に包まれ、小刻みに震えている。 奥に芯を残した固い処女の乳房だったのが、すっかりと柔らかく、搗き立ての羽二重餅のように柔らかくなっていた。 チラリと時計に目を向けると、5分程度と思っていたら、20分近く揉み続けていたことに本気で驚く。 「う……うぅ……はぁ……はぁ……くぅ」 手の跡が残るほどの愛撫だったが、アスカは目を覚ますこともなく、小さく体を震わせながら、思わせぶりな呻きを漏らしている。まだ、深い眠りの世界にいるのは確実だ。 何はともあれ、一つ山場を乗り越えた。 心地よい達成感とともに、先程のアスカの小さな叫びが絶頂の喘ぎであったことに、男は確信を抱いたのだった。 まだアスカが目を覚ます気配はない。 大丈夫だと自信を深めた男は、寝汗で濡れて重くなったアスカの浴衣をはだけ、上半身を露わにする。 「はぅ……うっ……あ、はぁ」 汗で濡れた肌が外気に触れたことで寒さを感じたのか、ほんの少しアスカが身をすくませる。 ガサガサの手の平で撫でると、産毛が逆立っていて手にぷつぷつとした肌の感触を感じられた。 『寒いかい? すぐ温めてやるぜ』 体の外と中からな! そう、嘯きながらアスカの乳首に男はむしゃぶりついた。 舌で舐め、唇で挟み込むように刺激し、軽く歯で甘噛みする。気のせいか、うっすらとミルクの味がするような気がする。 「んんんっ……!」 男に赤ん坊のようにチュウチュウと音を立てて吸い付くと、アスカの体がブルブルと大きく震えた。 死体のように抱えられてダラリと投げ出したままだった手足も震え、何かを探し求めるように海兵を繰り返し、弛緩していた体に緊張が走る。 「あっ……はっ、はぁ……ああ……シン……ジ……ああぁ。だ、ダメ」 サードチルドレンの夢でも見ているのだろうか、つらそうに眉をハの字にしながらも、どこか陶然とした表情を浮かべている。 やはり噂通り、アスカはシンジの事が好きなのだろう。内心で理不尽な苛立ちを覚えながらも、そのサードチルドレンより先にアスカをいただこうとしている事実が、男の歪んだ精神性を肯定していく。 「ハァ、ハァ、ハァ、あっ……ああぁ……んっ…あ、あぁ!」 ガクガク、ブルブルと体を揺さぶりながら、男の一方的な愛撫に露わな喘ぎを漏らすアスカ。 巨乳の女は感じにくいというが、アスカは例外だったようだ。男の偏執的な舌技に喘ぎを抑えられないでいる。 細かい泡のように全身を快感が積み込み、内股をビクビクと痙攣させる。 「だ……ダメ……だって、ばぁ」 寝言にしてはかなりはっきりした拒絶の呻きに、男の背筋に冷たいものが走る。 だが、男は賭けに出る。 少し強めに、歯形が残るかギリギリの強さでアスカの乳首に噛みついた。 「あ、あああっ! ああぁ〜〜〜〜〜っ!」 その瞬間、先ほどと同じ、いやそれよりも少し強い痙攣に弾け飛んだようにアスカが全身を震わせる。ビク、ビクと体をくねらせ、首を揺さぶりながら声にならない悲鳴を上げる。 「ああ、あ、あっ、はぁ〜〜〜」 ため息とともにアスカの体が脱力し、片手で支え切れない重みを感じた男は、慌ててアスカを横たえさせた。 そして、アスカの股間に触れていた男の太ももに、熱く、ヌルリとした液体の感触が伝わってきていた。 もう我慢できない。 男はアスカを押し倒すと、大きく股を開かせた。 目をギラギラと血走らせながら、ぱっくりと開き、誘うようにひくつく秘唇に、張り裂けんばかりに怒張した己が分身を押し当てる。 「んんっ……」 アスカは、声というより、肺から空気を押し出したときに出た呼吸音のように呻く。 ただ、股間に男の亀頭が押し当てられた時、何か感じるモノでもあったのか小さく、体を震わせた。 それだけだった。 肉棒に添えた手で位置を調節し、ゆっくりと体重を掛けながら、押しつぶそうとするようにアスカに伸し掛かっていく。 男の体重は80キロ以上。アスカの倍近い体重で押さえ込めば、もう逃れることはできない。 「はっ……あうぅ」 望まぬ相手との性交を拒絶するように、アスカは無意識の内に体を緊張させ、貝のように固く閉ざして男の侵入を拒もうとする。 挿入位置をずらそうとするように体をくねらせ、男を拒絶しようとする。 「……ああぁ」 だが、何度も愛撫され、刺激を受けて数回達した体は男を受け入れる準備が整っていた。抗議するように口をパクパクと開き、声にならない悲鳴を上げるアスカ。 そんなアスカの抵抗も空しく、愛撫で充血して膨らんだ秘裂は、ぱっくりと口を開き、愛液を滴らせながら怒張を飲み込もうとしていた。 「あうぅ」 それでも強い抵抗の前に、男は何度も挿入のやり直しを強いられる。 『クソッ、弾力と抵抗が……凄くて、なかなか入らないな』 だが、それも結局は儚い抵抗でしかなかった。 遂にベストな角度で一物が押し当てられ、先端が抵抗を押し割り、ほんのわずかだが割れ目に潜り込む。刹那、常夜灯の下でサイケデリックなピンク色に光る亀頭が、ヌルリと吸い込まれるように淫唇の中に押し込まれた。 「ひっ、ううぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜っ!」 肺から絞り出すような悲痛な呻きが木霊する。 痛々しいほどに押し開かれた淫唇が、男の圧力に押しつぶされて根負けし、左右に押し広げられる。亀頭に続いて、竿部分がズブズブと沈み込んでいく。 まだ目が覚めてないのが不思議なくらい、甲高く哀切な啼き声をあげるアスカ。 「あ……あっ、はぁ……!」 耳に心地よいアスカの呻きをBGMに、忘我の表情を浮かべた男は、肉棒を更にアスカの胎内に埋め込まんと、体重をかけていく。 「くぅぅんっ!」 汗を飛び散らせ、歯がキリキリとなるほど強く食いしばりながら、それでも押し戻そうとするようにアスカは下腹に力を籠める。だがその結果、得も言われぬ快感で肉棒を包み込まれることになって、耳障りな豚の様な呻きを男は漏らした。 『ブヒィィィ……! た、たまらねぇ』 このまま、ずっとこの感触を味わっていたい。しばらく動かさずに肉襞の感触を堪能している男だったが、すぐにそれは征服欲にとってかわられる。 「あっ、あっ、あっ、あっ、ああっ!」 (もっと、もっとだ!) より深い場所に差し込めば、胎内で煮えたぎる欲望を解き放てば、もっともっと気持ち良くなることができる。本能でそれを理解している男は、腰の角度を変えて更に奥深くへ肉棒を押し込もうとする。 「う、うううぅぅ」 処女膜を押し破ろうとする異物感に不快を覚えたのか、眉根を寄せてアスカが苦しそうに呻いた。 「あっ、あうぅぅ」 悶えるアスカを押さえつけながら半ばまで挿入した時、強い抵抗を感じた。 一瞬、怪訝な顔をする男だったがすぐに察しが付いてほくそ笑む。 (やっぱり処女だったか!) 実のところ、処女とセックスをした経験のない彼であったが、それでもゴムが張り付くような強い抵抗の意味することはわかった。 それに気をよくした彼は、上反りになった凶器の先端を膣壁の上側を特に刺激するように押し付けた。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」 敏感なGスポットを攻められ、背骨を貫くような電流が脳天まで突き抜けていき、アスカは反射的に太腿で男を締め付けた。 息も絶え絶えという風情でアスカは首をのけぞらせ、酸欠の金魚のように口を開き、空気を求めて喘いでいる。 「ああああっ……」 うっすらとアスカの目の端に、涙の玉が浮かんでいた。 吸って、吐いて、吸って、吐いて。 よほど苦しいのか、断続的に呻き声を上げながらアスカは激しく痙攣を続け、半ばまで挿入された肉棒をきつく締めつけながら悶えた。 だがその呻きは苦痛によるものばかりではなかった。意識のないまま、悩まし気な喘ぎ声をあげ、悦楽の淵に沈んでいく。 「あ……はぁ、はぁ……うぅ、んんっ」 『すげぇ、ソープの年増なんかとは……全然違う』 男の方もまた、媚肉の耐えがたいまでの締め付けに肉棒が最大限に膨張していくのが分かった。これ以上は、アスカのほっそりとした体では受け止めきれないのではないか? そう思うほどに、大きく、硬く一物が膨張しているのがわかった。 「はぁ、はぁ、あ……くぅ……」 自分のサイズは日本人の平均より、少し大きい程度と思っていた。事実、昨日までは確かにそうだった。だが信じられないことに、今の彼は確実に15センチを超える長さになっていることを確信していた。 「あっ……ああっ……ああ、はぁ、はぁ、あうううっ、あああぁぁぁ」 だが、アスカの体は初めての男の挿入を受け入れ、膣壁がこれでもかとばかりに強く締め付けていく。 男は三浅一深の動きを繰り返し、徐々にそのスピードを速めていく。リズミカルに、だが不定期な衝撃がアスカの胎内に響き渡る。 『アスカ、アスカ、アスカ、アスカぁ』 「う、あううっ、はぁ……やぁ」 男のだみ声と、アスカの喘ぎがハーモニーを奏でる。 「くっ……ううぅ〜〜〜ん」 さらに男が体重をかけると、プチプチと乾いた膠をはがすような感触とともに、奥へ奥へと肉棒が引き込まれるように沈んでいく。アスカはくっきりとした眉をハの字に折り曲げ、ツンとした鼻を震わせながら可愛らしく喘いだ。 「あっ、ああっ! はぁ……あ、はぁ……。はっ、やああっ」 耐えきれなくなったのか、アスカはシーツを強く握りしめ、上体を弓なりに大きく反らせた。ゆさゆさと男の眼前でたわわな果実が誘うように揺れる。 我知らず、左手を伸ばして乳房をギュッと強く握りしめると、「あぁぁ」と艶めかしいかすれ声をあげてアスカが全身をくねらせた。 意識のないまま漏らしていたアスカの喘ぎが、徐々にすすり泣きに変わっていく。 「い、ああ……はぁ……あう、あん、あんっ。ああっ」 痛みを感じているが、それ以上に快感の方が強いようだ。 肉襞が徐々に侵入の度合いを強める肉棒を痛いほどに締め付け、溢れだす鮮血まじりの愛液が二人の股間をしとどに濡らした。ピンク色をした蜜がポタポタと汗と混じり合いながら滴り落ち、シーツに染みを作っていく。 「ああっ! あっ、はぁ、バカぁ……あああぁぁ」 何という快感だろう。獣じみたい衝動に身を委ねながら、男は更に腰を押し付けた。 ビリっと癒着した皮膚を引きはがしたような強い感触が伝わり、一気に根元まで挿入されて、肥大した男の睾丸がアスカの尻たぶにぶつかってぺちりと湿った音を立てる。 「あ、ああァァァ! はっ、あああぁぁぁ―――!」 その瞬間、喫水線を超えて流れ込んできた快感と苦痛の入り混じった感覚に、アスカは絶叫を上げながら折れそうなまでに背中と首筋を反らせ、食いちぎらんばかりにきつく、強く男の肉棒を締め付けた。 カクカクッと震えると同時に、硬直していた体が今度は糸の切れた操り人形のように、ぐったりと突っ伏してしまう。 「あああぁぁぁ……。ハァ、ハァ、ハァ」 肩を大きく上下に動かしながら、獣に囚われた美姫は荒い呼吸を繰り返している。 もう意識のあるなしは関係なかった。 処女喪失と同時に絶頂した体は茹ったように赤く染まり、空気を求めて喘ぎながらポタポタと汗を滴らせている。 『う、うううぅぅぅ』 弛緩したアスカの中で怒張を保ったまま、男は呻き声を漏らした。口元から一滴の血が滴る。 強く舌を噛んだ苦痛で絶頂を回避した彼の目的はシンプルだ。 (こんなところで絶頂してはもったいない。出すときは、意識のあるアスカの中に出したい) あまりにもアスカの具合が良すぎて狂ってしまったのかもしれない。もう、ある意味やけくそになった男は、先程までと違いアスカが目を覚ますことを期待して遠慮なく激しく腰を打ち付け始めた。 「あんっ! ひぃ……んっ!」 ぐっちゅ、ぐっちゅと淫靡な水音が室内に響く。 酒と薬の影響もあったかもしれないが、処女をなくした直後に関わらずアスカはすでに感じ始めていた。健康優良児の見本のような彼女は処女喪失の痛みや出血というものが、ほとんどなかったらしい。 それが彼女にとって、幸か不幸かは誰にもわからない。 ただ確かなのは、アスカにとって快楽地獄とでもいうべき性の饗宴は、まさに始まったばかりということだ。 「はぁ、はぁ、はっ……ああぁ」 既に出血は納まり、男のもたらす望外の快楽に身を委ねて、しゃくり上げるように腰を波打たせている。 どんな夢を見ているのか? 望まぬ相手に熱く潤う媚肉を掻き回されてみる夢だから、きっとろくでもない夢だろう。 「ううう、うううううっ……。はぁ……うぅ、あううぅ!」 声を上ずらせながら甘く熱い息を弾ませるアスカ。 濡れた肌が吸い付く様にしっとりして、対照的な男の体に絡みつきながら、狂おしく、びくんっ、びくんっ、と全身を跳ね上げて淫靡な呻きを漏らしている。 「あああっ……。ああっ! ひっ、はぁ……はっ……はっ、ああぁっ」 相変わらずきつい締め付けだ。絶妙の圧力で締め付ける肉襞の中を肉棒が出し入れされるたびに、大量に愛液が溢れ、淫らな音を立てて互いの股間を熱く濡らした。 「ああ、あっ、あっ……。や、ああぁ……あああぁ、ああぁぁぁ〜〜〜っ」 官能の大波に飲み込まれ、激しい喘ぎを漏らすアスカ。泣きそうな顔で瞼を痙攣させて、目覚める寸前という状態だ。 「あ……ああっ! ひっ、いや、あっ、あっ、あん、あ、ああっ」 熱いものが睾丸から駆けあがってくるのを感じ、男は更にムキになって怒張を叩きつける。グロテスクに肥大した肉棒が、処女をなくしたばかりの膣をえぐり、オルガスムスの電流で女体を翻弄する。 「うあっ! はぐっ! うっ、あうぅ!」 調子を変えた喘ぎ声は、望まぬ刺激から逃れようとするような拒絶を感じさせる。だが、弓なりに体を反らせたまま激しく身悶え、腰を突き出して密着を深めようとするその姿からは、むしろ快感を望んでいるようにも見えた。 (お望みどおりに、してやるよ!) アスカのような女性への征服欲がムクムクと励起し、男は湧き上がる邪な要求に口をゆがめて笑った。 緩く結ばれていた帯はすでに解け、くしゃくしゃになった浴衣と共にベッドの下に転がり落ちている。今二人は生まれたままの姿で抱き合い、獣の様なセックスをしていた。 アスカは男にされるがまま、甘く切なげなすすり泣きを漏らして、悩ましく腰をゆすっている。 「はぁ、ああああっ、ああん、あん、ああ、あっ、はぁ、はっ、くっ……ああっ!」 薬と強い酒で幻夢に沈んでいたアスカの精神。 それは城塞都市の城壁のように堅固にアスカの意識を包み、彼女の覚醒を妨げていた。 だが、それも限界が来ていた。 絶えず襲い来る快感が衝撃となって揺さぶり、反響し、積み重なることで、角笛の響きで打ち壊されたというジェリコの壁のように、今まさに崩れ落ちようとしていた。 「いやっ! あっ、いっ!? ひぃっ!」 既に体は完全に覚醒し、男のもたらす官能に抗えなくなっている。左右に身を捩り、シーツや枕を握りしめ、くしゃくしゃにしながらうわ言のように喘ぎを漏らしている。肉棒を最奥に打ち込まれ、ピンク色に染まった肢体が淫らに踊る。その様は、彼女が決して逃れえない淫獄に堕ちたことを感じさせた。 「ひ、ひぃっ! あ、はぁ、はぁ、はぁ、ああっ、あああぁぁ!」 そして、遂に……。 「あっ、はぁ、はぁ、ああっ! え、なに? え、えええっ!?」 意識のないまま、ぼんやりと目を開け、眼前の男の顔を見つめる。 そのまま数秒間、表情には何の変化もない。瞼を半開きにしたまま、男に突き上げられて体を揺さぶられている。 「なっ!? なんで!?」 目に焦点が戻るのとほぼ同時に、アスカは「ひゅっ」と息を大きく吸い込んだ。 大きな楔というより杭を無理やり打ち込まれたような、ズーンとした衝撃が股間から喉元までせりあがってきた。これまで経験した事のないような圧倒的な切迫感にアスカは息をのんだ。 「う、ううううぅ!? い、痛い……苦しぃ」 美貌をゆがめ、アスカが呻く。さすがにまだ状況を理解できないのかまだ朧な様子だが、右に左にと視線をさまよわせ、自分と男が全裸であることを見て取ると、反射的に男を跳ね除けようと手足を突っぱね、押しのけようとする。 だが、不思議と全く手足に力が入らず、男の蜘蛛のような拘束から逃れることができない。 「どきなさいよ! あんた一体!?」 叫びながらも、股間をうずかせるわずかな痛みと圧倒的な快感の美電流を感じた瞬間、アスカは何が起こったのかを瞬時に悟った。無意識の内に涙が滲み、みるみる玉の雫になっていく。 「いっ……やぁぁぁぁ!! 馬鹿、バカバカぁ! 何してるの!? 抜いて、抜きなさいよぉ!」 男は一瞬身構えるが、叫ぶばかりでまったく逃れようとしないアスカの様子に、彼女が全身痺れてまるで力が入らない状態であることを見て取った。ポカポカと頭を叩いてくるが、じゃれつくトイプードルよりも力がない。 『抜くわけ、無いだろ!』 不敵に呟くと、起き上がろうとするアスカの上半身を押さえ込む様に伸し掛かり、ツンと上向いたままの乳首を噛みつくように口に含んだ。ぬらぬらとした涎が溢れ、桜色の乳頭を淫靡に染め上げる。舐めまわし、甘噛みし、赤子のように吸い付いた。無論、その間も腰は交尾中の犬のように前後させて、膣壁を穿ち続けることも忘れない。 「あ、あうっ! な、何して……あああっ!」 抗議と共に頭を押し返そうとしていたアスカの右腕が、寸前でビクビクっと大きく震えて硬直した。 男が姿勢を変えたことで、刀剣じみた形状の一物が、アスカの弱い部分を激しく打ち据えたのだ。 怒りで一瞬失念するほどの快感が電流となって一気に全身を貫き、息をする事もできなくなる。 「か……かはっ……は、はっ、はぁっ」 アスカの表情に怒りに替わって困惑が浮かび、見開かれた瞳に映るのはエクスタシー。 言葉の代わりに勝手にすすり泣くような喘ぎを漏らす自分の体が信じられない。 何をされているのか認めない、わかりたくない。これは全部夢、目を覚ましたら、全部なかったことに……! 「ああ、いっ、あああ、ううん、うんっ、ああ……だ、ダメェ! それ、ダメなの、ダメなんだからぁ!」 巧みに指先で乳房を愛撫し、舌で舐めまわしながら、リズミカルに腰の動きを速めた。 たちまち首を仰け反らせ、犬のように舌を出して喘ぎ声を漏らすアスカ。 (わたし、どうして、こんなことに!? あの時、酔って、寝入って……そのまま、私) こんな時にもアスカの冷静な部分は、どうしてこんなことになったのかを正確に考え続けており、そしてほぼ正解を導き出していた。勿論、今更答えが出たところでどうしようもなかった。 ただただ、己の不明を恥じ、自分を構ってくれなかったシンジへの理不尽な怒りと恨みが小さなトゲとなって心に刺さった。 「あっ、あはああぁ、あううぅっ、やめ……ぇ! はっ、ハァ、ハァ、ハァ、ああうぅああぁぁ〜〜〜」 発達した胸を荒々しく揉みこまれ、アスカの歯を食いしばった喉奥から油断しすぎた後悔と官能の疼きが混じった呻き声が漏れる。 「ふっ……ううぅっ……くぅ、ううぅ……。あ、あああ……ひぅっ」 痺れたように力の入らない体は全く言うことを聞かず、今や生殺与奪さえ凌辱者の思うがまま。自分のできることは罵ろうとしても快感に中断されてしまい、罵り混じりの喘ぎ声を漏らすことが精いっぱいだ。 「あんた、絶対に、こ、ころ……かひゅ!? あ、ああっ、あん、あんっ! やめ……ひきぃ!?」 思うさまに乳房を弄ばれる快楽に我を忘れ、抵抗することもできない。 絶望的な状況に、アスカは打ちひしがれた。 『目を覚ましたんなら、これからが本番だ。覚悟しろよアスカ』 「いや、止め……てぇ! あ、あああっ、ああああああぁぁ……」 男の一方的な言葉をアスカは拒絶しようとするが、言葉さえも思う様にならない。 アスカの抵抗が思ったよりもないことに気が付いた男は、上半身で押しつぶすように伸し掛かることを辞め、上体を起こすと勢いを増してアスカの媚肉を穿ち始めた。 「あ、は、あ、はっ、あ、いや」 処女喪失の絶叫も弱弱しく、全身をよじるその動きは、むしろ腰を摺り寄せるようにより深く男を求めるような動きだった。 「あああああっ! あっ! あ、あ、あ、イヤァァァ!」 余裕をたっぷりと持たせたストロークでゴツゴツした肉棒で肉襞をかき分けられる快感に、体の内側から焼かれそうな熱を感じて甲高い声を上げて首を振る。望まぬ快感を拒絶する悲鳴と共に均整の取れた女体が仰け反り、たわわな乳肉が弾むように揺れる。男はロデオの乗り手がするように弾む乳房の片方を握りしめると、更に腰の動きを速めた。 「きゃああ、あっ、あああっ! バカ、バカぁ! やめて、やめなさいよ! 嫌だってばぁ!」 玉の汗を飛び散らせながら、アスカは全身を震わせて絶叫する。押し寄せる快感の波が、アスカの意識を飲み込んでいく。さっきから何度この感覚に襲われているだろう。 「ひぅっ、んっ、んあっ、あっ、ああっ、あんっ」 ガツン!ガツン! と股間から脳天まで焼けた鉄杭で貫き通すような、揺さぶるような強い衝撃を感じる。 これが来るたびに、絶叫と共にアスカの意識が一瞬途切れているのだが、勿論アスカは覚えていない。 「あはぁっ! わ、わっ、わたし、ああ、やだぁぁ! 助けてシンジ、助けてよぉ!」 激しく体を前後させられ、あまりの勢いに柔らかなはずのシーツが擦れて背中が少し痛い。もしかしたら皮が擦りむけて、出血しているかもしれない。しかし、そんなことも気にならないほど、全身を貫く快感は強い。気が付けば、また一瞬のブラックアウトの直後、仰け反り反って啼き声を上げている自分に気が付くのだった。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」 息が荒い。喘息患者のように激しく、短く浅い呼吸を繰り返している。視界がぼやけるのは涙が溢れて溢れて止まらないから。二人の放つ熱気が充満して、隣室への扉が開け放たれた上に濡れた体で全裸なのに熱さしか感じれない。 「ひぐぅっ! ああ、は、はっ! くぅぅ……っ!」 ぷっくりと膨れた乳輪を含めた乳首全体が汗と男の唾液で濡れ光っている。見たくはなかったが、チラリと目を向けると双乳の間から異様な膨らみを持つ下腹が見えた。 「あ、あああぁぁ! い、嫌ぁ!」 (ああ、犯されてる。入ってる。こいつの、ペニスが、私のヴァギナの中に……! シンジぃ) 下腹の奥にさらに視線を向けると、愛液でぬらぬらと濡れ光る肉棒が、充血して肥大したアスカの淫裂を押し開き、「じゅぶぶ」と卑猥な音を立てて出入りするさまが見て取れた。 あまりの激しい勢いで出し入れされることで空気を巻き込み、白濁した泡のようになった愛液がまとわりつく黒光りする肉棒と、それに蹂躙される現実が、自分が女であることを否応もなく感じさせる。 「はぅ、はぅあぅ、あうぅぅ…」 改めてはっきりとそれを目にし、眉間に深々と皺を刻み、肌を泡立たせながらアスカは叫んだ。 「んっ、んんんっ! あうっ、ああぁ……っ、い、いや……っ! やめて、ああ、あんっ、ああーっ!」 開きっぱなしになった唇から、耐えず「ハァハァ」と荒い息を漏らし、泣きじゃくるアスカの姿に男もまた、これまで味わったことのない充足感に支配されていた。 「ひぃ、ひぃ、い、いいいいぃぃ! いや、ああ、ああ、なんで、どうしてぇっ!? やめて、やめなさいよ! ねぇ。あんた聞こえてるの!?」 あのアスカが涙声でやめてほしいと哀願している。その事実に、男の歪んだ征服欲と嗜虐趣味が満たされていく。だが足りない、もっと、もっとだ。 「あ、ああぁ―――っ! やめて、嫌ぁ! いやっ、あう……。こ、こんなのあり得ない! 絶対、ダメなんだからぁ!」 男は逃れようとするアスカの両手を捕えると、恋人同士がするように指を絡めてギュッと握りしめる。 そして、腰の位置を再度調節すると勢いよく腰を前後、いや、上下に動かし始めた。 アスカは抗おうとするが、身体を串刺しにされたみたいに力が全く入らない。 「はぅ!!」 重力も利用して、上から激しく突き入れる。 抉られ、刺激される場所が先程と変わり、一瞬、呼吸も忘れて言葉をなくすほどの衝撃に見舞われるアスカ。嫌というほど強く腰を叩きつけられ、頭が真っ白になるほどの快感に囚われる。深々と抉られた瞬間、アスカは頭頂部を枕に押し付け、グーンと背中を反らした。 「ああぁ、ひっ、あひぃっ! やめ、だ、待っ……あああああ―――っ!」 アスカが悲鳴に近いエクスタシーの叫び声をあげると、男は勢いづいてさらにピストン運動の勢いを増していく。まさに人間パイルバンカーという有様で、アスカの胎内に己の存在を刻み付けていく。この先、他の男とセックスをすることになっても、俺以上の存在はあり得ない、と教え込む様に。 「ああっ! なにか、来ちゃう! さっきのと、違う、何かがっ! あっ、ああっ、なんなのよ、うぅっ、こ、これはぁ!?」 粘膜が擦られ、そのたびに膣を中心にして全身の細胞が解けていくような官能が全身に広がっていく。筋肉がビクンと震え、その震えはうねりとなってアスカの全身を戦慄かせる。うねりはすぐには消えず、すぐに次のうねりが重なり、連なってさらに大きなうねりが生まれていく。 「はっ、はっ、ああぁ! はううぅぅ―――っ!」 あまりの激しさに残像が見えるほど勢いよく乳房が揺れる。ボロボロと涙を流し、だらしなく開きっぱなしになった口元から涎をこぼしながら、獣のような喘ぎ声をアスカは漏らした。 「んはっ、ああぁっ! んっ! もう、ダメェ! ひ、ひぐぅ……!」 僅かに残った理性は男を突き飛ばし、何としても逃れないといけないと警告を発している。だが酔いがまだ残っているのか、グルグルと部屋全体が回っているような感じがして、起き上がることもおぼつかない。 「ああっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ〜〜〜〜っ」 焦点の合わない目をして、イヤイヤするように首を左右に振ることしかできない。 力の入らない両足は男を挟み込み、カニのようにガニ股で押し開かれている。 「やめ、やめへぇ! ゆ、ゆるひ、てぇ! 無理、むり、だからぁ……」 うねりが限界を超えたサイズになっていくのがわかる。先程からなんども感じてるアクメがさざ波だとすれば、それとは比べ物にならない波高150メートルを超える史上最大級の大波だ。そんなものに飲み込まれたらどんなことになるか……。 (そ、そんなの……ダメ、駄目よ。狂う、絶対、狂っちゃう!) 忘我の表情で快感に我を忘れていたアスカの瞳に、ほんの一瞬だけ正気の光が灯る。激しく首を振って逃れようとするが……。 「たすけ、助けてぇ……! あっ、くぅっ、ひぃっ! はっ、はぁぁっ!」 両手を捕えられ、深々と肉棒が抽挿され、更にアスカの足は男を求めるようにその腰を挟み込んでいるような状態では、逃れられる可能性など1%もありはしなかった。 全身が溶けていくような快感に、アスカの体は完全に飲み込まれていた。アスカの意志や魂はもう無力だった。快感でピンクに染まった裸身は仰け反り、全身を貫くオルガスムスの波に身を預けて究極の絶頂を求めようとする。 「あああ―――っ。あ、あああ―――っ」 (もう、我慢できない……!) 超人的な忍耐の末、舌まで噛んでこらえていた射精だが、それももう、限界だった。 睾丸は固く締まって持ち上がり、背筋を貫き、込み上げるような圧力と切迫感で狂いそうだ。 「や、ら、もう、やだぁ…。あ、あうぅぅ、なに、ああ、がっ」 このまま出してしまいたい、という思いとここまで我慢したのだから最後まで……という気持ちがせめぎ合う。 「ああ、ううンン、ああっ……あっ」 アスカの両手を開放すると、背中に手をまわして密着するようにギュッと抱きしめる。 先程まで散々にアスカを翻弄していたピストン運動をやめ、最奥まで挿入したまま「の」の字を書くように腰をグラインドさせる。汚い尻をグイグイと締めて、剛直で掻き回していく。 「ああ、あ、あああぁぁ」 アスカの口から、切なげな声があがりはじめた。同じくらい強烈だが、優しさすら感じるような攻めに、否応なしに性感が高まってしまう。クリトリスは固く勃起して尖り、押し付けられた男の下腹に触れ、嬲るように転がされる。鋭いよがり声が室内に響く。 「イヤッ、やっ、やだぁ、やだってばぁ! ああぁ、あっ、ああっ、お、おかしくなるぅ……」 そんなアスカの様子に、男は薄ら笑いを浮かべてグラインドの速度に緩急をつけて責め立てる。 アスカはヒップを艶めかしく動かしながら、同じく艶めかしく喘いだ。 「うああぁぁ……やめて、やめて、やめてぇぇ…。やだ、いやぁぁ」 いつしか、解放されたアスカの手は、拠り所を求めるように男の背中に回されていた。肉食獣がするように指を折り曲げ、爪を立てる。鋭い苦痛が背中を走るが、それもすぐに快感で上書きされ、男は苦痛を忘れた。 「ううっ、いやぁ……ああっ……ううん」 ぐちゅぐちゅといやらしい粘着音が深夜の旅館の一室に響いた。 荒い男女の吐息と喘ぎが響く。 男の胸に押し付けられた乳房が変形し、硬く凝固した乳首が押されただけ乳房に埋没するのを感じる。男の胸毛に擦られて、チリチリした快感とも嫌悪感とも判断がつかない感触に、アスカの全身の肌が粟立つ。 「あっ、あっ、あっ……はうぅっ。うふん、ふぅ、あっ……うう、ダメ、ダメェ」 両手に続いて、足も男の腰に絡みついていた。左右で互いにひっかけ脱落しないようにホールドし、快感と共に密着を増す様に腰を更に押し付ける。 小刻みに腰を律動させながら、最も敏感な部分に最も強く肉棒が押し当てられるよう、アスカもまた腰をくねらせていた。 「うっ、うっ、ううっ……ああ、ううぅ、うっ、ひぃぅ!」 アスカの本心はどうあれ、激情のままに二人は到達点を目指し、完全一体となって体を絡み合わせ腰を擦り付け合わせていた。 そしてその時は来た。 美しい顔を切なそうにゆがめ、まさに狂い啼くアスカの耳元に男が呻くように囁く。 『出す……ぞ。あと、2,3擦り、で』 それが意味することをすぐには理解できず、忘我状態にあったアスカは胡乱な表情を浮かべる。 気が付いたのか、呆けたままのなのかわからないが、アスカの膣がこれまでで最大の圧力で肉棒をきつく締め付けた。肉襞の一つ一つさえも大いにうねり、白濁した愛液に包まれた肉棒のみならず亀頭やくびれたカリに絡みつく。 「あああぁぁぁぁ……。ううん、ああっ、いやぁ……あっ、ああああっ」 瞳孔が縮まり、見開かれた目に映るのはシンジではなく、名前も知らないずっと年上の卑劣な男。絶望と、最大級の絶望も吹き飛ばすほどの圧倒的な快感。 突然、アスカが一際高い震えた声で喘ぎ声を放った。全身を使って男にしがみついたかと思うと、 「んんっ! ああっ、ひぃ、ああ、ああああーっ! き、来ちゃう! わたし、死んじゃう―――っ!」 これまでで最大級の絶叫を上げながら、狂ったように泣き喚いたのだった。 いまだかつて味わったことのない快感に、あまりの愉悦にボロボロと涙をこぼしながら犬のように舌を出して全身を戦慄かせた。 『お、おおお……っ! うっ、ふぅ、ふぅぅ〜〜〜〜っ』 男もまた下半身が爆発する幻視に襲われながら、今まで我慢に我慢を重ねた忍耐の結晶をアスカの胎内に解き放っていた。数回分の射精が一度に集約されたものが、大量にアスカの胎内に注ぎ込まれていく。 「あああああ―――っ! 殺され、殺されるっ! 嫌、イヤイヤ! 死ぬのは、イヤァァァ……」 子宮に男の血液混じりの精液が迸った瞬間、最大級のうねりとなった官能の大波がアスカに襲い掛かった。直前のそれまでで最大の絶頂と合わせ、波高300メートルクラスの大波となった官能に、アスカは断末魔じみたよがり声をあげて全身を痙攣させた。 「か、かは、はっ、はぁっ……。はぁ、はぁ、はぁ、はっ、はひ、ひっ…。な、に、これ、はっ、はっ、はっ……ううぅぅ」 目が回る。暗闇に落ちていきそうで、反射的に男にしがみついて堪えようとする。 「助け、シンジ! やめて、やめ、イヤァ! 駄目、駄目だってばぁ! バカぁ、バカバカバカぁ!」 全身が高揚し細胞が蕩けるような快感に終始翻弄され、拒絶というよりむしろ恋人同士がむつみあうような喘ぎ声を漏らす。 男が腰を動かすと、納まりきれなかった精液がヌルリと結合部から零れだし、シーツに滴り落ちていく。 「あっ、あっ、あっ、あああぁ〜〜〜〜っ!?」 男が脱力していくのと対照的に、アスカはまだ全身を震わせていた。 骨が折れそうなほどに全身の筋肉が強張り、ヒクヒクと小刻みに痙攣するのを止められない。 「だ、ダメ、もう、私、ひっ、はぁ、はぁ、はっ、はぁ……。嫌ぁ、だめ、私、ダメェ……」 ボロボロと涙をこぼし、男と現実を否定しながら、アスカはなおも男にしがみついていた。 あまりに強烈すぎる快感に意識を失うこともできず、真の絶頂をしたことで少し冷静さを取り戻したが、それは救いとは程遠い現実にアスカを放り出すも同然だった。 「あっ……あっ、ああ、そんな、わ、私……」 失ったものや取り返しのつかない事態になった現実を、如実にアスカの精神に刻み込んでいく。 (もう、シンジに好きって言えない) 意識が闇に落ちる寸前、アスカはシンジへの謝罪だけを思い続けていた。 「うっ、うっ、ううぅ……。なんで、こんな、なんでよぉ。これじゃあ、シンジに、シンジに……」 全ては終わった。 そう悟った瞬間、ようやくアスカの全身から力が抜けた。両手両足が投げ出され、解剖されるカエルのように大股を開いた姿勢でぐったりと横たわる。そのまま幼児のように泣きじゃくりながら、顔を両手で隠して現実を否定するように首を左右に振った。 そんなアスカの側に横たわった男が、まるで慰めようとするかのようにアスカの髪を優しく撫で、労わるようにギュッと抱きしめる。おぞましいものが触れているのを感じるばかりのアスカだったが、男のすることに抵抗することなく、されるがままだ。 「くっ……最低、最悪、よ」 信じられなかった。こんな形で処女を失うことになるなんて。 夢であって欲しかった。目が覚めたら、ベッドの中で夢だったということになって欲しかった。 だが、この惨劇は現実である。使徒との戦いの過程で精神攻撃を受けたアスカには、カウンセリングの過程で過去と現在を正確に認識できるよう教育を受けている。だから、これが現実であることは痛いほど分かっていた。 「う、ううぅぅ……」 まだ体には力が入らない。薬と酒の影響が残っているのか、それともあまりに激しい凌辱の後遺症か。いずれにしろ、今度もまた、アスカは自分にできることをするしかない。つまり、男に抱かれ、頭を撫でられながらさめざめと涙を流す。そんな彼女に凌辱者は最悪なピロートークを囁く。 『なあ、こうなったら仕方ないよな。責任取るからさ、俺の女になれよアスカ』 盗人猛々しい、という諺はあるがそれにしてもこの無神経さはどういう事だろうか。 ギリっと奥歯がなるほどアスカは噛みしめる。だが、それさえも小さく、キリっとアスカにしか聞こえない音を立てるのが精一杯だった。 「人をレイプしておいて、あんた頭がどうかしてるんじゃないの?」 怒りに我を忘れそうになりながらも、アスカは状況を整理する。今、自分は指一本ろくに動かすこともできず、恋人同士がするような体勢で男に添い寝されている。耳元でピロートークを囁かれ、それを拒絶することもできないでいる。 『でもイきまくって喜んでたじゃないか』 「……喜んでなんか、いないわ」 呟きながら、男の一物を手を添わせ、まさぐるように弾力を確かめる。ゴムの様な弾力で、硬さはほとんど感じられない。 腕力さえ戻っていたら、根こそぎ引きちぎってやるのに。 それは間違いないが、先程まで鉄の様な硬さを持ち、自分の胎内を穿って処女を奪った狂気なのは間違いない。 (これが男の人の、ペニスなんだわ) 先程、自分の胎内でしていたように、一物を握りしめてゆっくりと上下させると、手の中で徐々に硬さを取り戻していくのがわかった。 猿のような痩面を歪ませて手淫を受け入れる男をよそに、アスカはじっと考えていた。 立ち上がることもできないような状況で、秘密の露呈を恐れて男が暴走した時、自分はどうなるだろう? 復讐するにせよ、今はこの場を切り抜けないといけない。アスカの戦士として鍛えられた部分が、冷静にそう囁いていた。 絶対にこの場を生き延び、解放される。 殺されるかも、というのは最悪中の最悪の想定で可能性は低いが、だが、それでも五体満足で解放されるためにアスカがすべきことは……。 (シンジ……) 想い人の笑顔が脳裏に一瞬浮かぶ。 『おいおい、もしかしてアスカからしてくれる? 俺、期待しちゃうよ』 本気で殺してやりたい。 憎しみで人が殺せるのなら、男は10回以上は死んでいただろう。 だが、そうはならない。そうはならないから……。 アスカは物思いを振り払うように首を振り、深呼吸を繰り返すと、ニヤついた笑みを浮かべる男に、小さく、だがハッキリとこう呟いたのだった。 「好きに……すれば」 たちまち、喜色満面で笑みを浮かべ、男は上体を起こしてアスカの顔中にキスを繰り返す。 露骨な男の態度の変化に戸惑いつつも、黙ってアスカは男の行為を受け入れた。 『うわぉ、マジ!? 言ってみるもんだな! じゃあさ、もう一回しようぜ。処女なのにいきなりイってたし、アスカと俺ってきっと滅茶苦茶体の相性良いんだぜ』 「知らないわよそんなの。もう、何もかも、どうだって、良い」 (あとで、絶対に、復讐して、やる……! 汚らしい、ペニスを切断して、歯を全部へし折って……!) 男から口移しでエナジードリンクを無理やり飲まされるという、最悪の小休止の後、再びアスカと男は濃密な男女の交わりを再開していた。「妊娠は嫌だから」と最低限のお願いをしたため、ゴムは付けているが最悪の気分であることに変わりはない。 「あっ、ああっ、あっ、あんっ! はぁ、はっ、はぁ、あっ、あああっ!」 せめてもの抵抗のつもりで、あからさまでワザとらしい演技の声を出して男を萎えさせてやろうかと思ったアスカだったが、剛直を打ち込まれると、たちまち決意は消え去り、本気の喘ぎ声を漏らして全身をくねらせる。 「ううンン、あうっ……ああ、お願い、もっと、ゆっくり……」 だが男は容赦しない。アスカに、尻を突き出すような姿勢にさせ、ズンっ!ズンっ!と勢いよく肉棒を打ち込んでいく。そのたびに、押しつぶされて肺から吐息と共にアスカは喘ぎ声を漏らす。文字通り、自分の存在をアスカの中に刻み付けるように、力強い抽送が容赦なくアスカの膣を穿っていった。 「ああっ、はっ、ああ、うううっ。く、苦しい、わよ。あ、はぁ、はぁ、あああぁ……」 『アスカは口ではそう言うけど、ここは喜びまくって締め付けてるぜ』 「……っ! ば、バカなこと、言わないで……よっ」 男と視線を合わせる事すら嫌で、そうすれば早く終わると言わんばかりに部屋の壁を見つめるアスカ。 だが悔しいかな、男の言うことは真実だということは嫌でもアスカにはわかった。 (喜んでる。私の体、こいつに犯されて喜んじゃってる) 徐々に律動のピッチを上げていく男の動きに、アスカの精神は更なる強すぎる快感を警戒して悲鳴を上げるが、体は貪欲に男の行為を受け止めている。異形じみたサイズに肥大し、男の肉棒を飲み込む淫唇が自分の体の一部だとアスカには到底信じられなかった。だが、そこからビリビリと尽きぬ快感を全身に迸らせるのは、まぎれもなくアスカの一部だ。 「うっ!? ああぁぁ……」 考え事をして僅かに気を抜いたその瞬間、股間から脳天まで突き抜けるような甘美な電流が突き抜ける。 一度達したことで、それが意味することをアスカはよく理解していた。 (ま、また、わたし、絶頂、しようとしている……) 日本人はそういう時、「イく」って言うんだっけ? そんな益体もない事を考えながら、再び体の奥から込み上げてくるものに抗えず、アスカは男にしがみついた。 「あん、あん、あん……ああ、ああぁぁぁ……。おかしく、なる。ああ、し、死ぬ、死んじゃう。わたし、わたしわたし、また……い、イっちゃいそう。 ああん、だめ、ダメダメ、ダメェ!」 汗の雫をまき散らし、身を捩って悶絶しながらアスカは絶叫を上げた。 「いやああっ! 助けてシンジ、助けてよぉ! ひっ、許して、これ以上は勘弁して! いやあああっ!!」 最悪な事に、シンジの顔を脳裏に浮かべた瞬間、男の迸りを胎内に感じたアスカもまた、気絶するほどの絶頂を迎えたのだった。 男との性行為はまだまだ続く。 夜明けまで止めるつもりがないかのように、激しく濃密なセックス。まるで夜を徹して行う、サバトのように二人は激しく愛し合った。 「ん……んんっ。ちゅ、ちゅ……ちゅぷ」 対面座位の体勢で犯され、キスをしながら下から突き上げられる。 「んふっ、くっ、ちゅ、ちゅぶっ、ちゅっ、ん、んんん〜〜〜〜〜〜っ! お願い、やめ、んんんっ」 先ほどまでの正常位と比べれば大分ゆっくりして穏やかな性行為と言えるが、乙女の精神的な拠り所と言えるかもしれない唇を奪われながらのセックスというのは、かなりアスカの精神を追い詰める行為だ。 「ああ、ちゅ、はぁ……ちゅ、ちゅっ」 男がアスカの裸体を上下させるたびに、素晴らしいまでに実った白い双乳が勢い良く上下する。 今も固く凝固した乳首の先が男の胸に擦りつけられ、その度に走る媚電流にアスカは体を震わせた。 「ん、レロ……んんっ。ちゅ、ちゅる」 「あ、はぁ、あん、ちゅ、ちゅる。ちゅ、ちゅちゅ……。ん、はぁ、ちゅぶ、れろ……」 唇を合わせるだけでなく、舌を絡め、唾液の交換をし濃密なディープキスを繰り返す。 ファーストキスはシンジとした、なんてことは何の慰めにもならなかった。彼としたのは唇を合わせ、息を止めるだけの言ってみれば挨拶同然のお子様のキス。こんな性器の挿入じみた濃厚なキスと比べれば、キスの内にも入らない。 「ふっ、あう、んんんっ。ちゅ、ちゅ、はぁ、も、もう……あん、は、ひゅ、ちゅぶ」 唐突にアスカは首を、背筋を反らし後ろに倒れ込みそうになる。二人の唇の間に、濃密な唾液の橋がかかり、常夜灯の淡い照明でキラリと輝くのが見えた。 「はぁっ……! あ、あああっ! ま、また、私の体、変に……あああああっ……あっ、いやあああっ!」 また込み上げる絶頂に体が勝手に反応してしまい、痛いほどきつく男の肉棒を締め付けながら、アスカは絶叫を上げた。 更に時間が進み完全に深夜になっても、まだまだ二人の性交は続いていた。 仰向けになった男の上に跨り、深く腰を下ろした姿勢で突き上げられる。 「あ、あひぃぃぃっ! 待って、やめて、止まってぇ!」 髪を振り乱し、気が狂ったように喘ぐことを止められない。突き上げられ、深奥の弱い部分を亀頭で殴られるたびに絶頂しているのを感じる。 「やめて、やめ、ああ。ち、ちく、しょう……こんな、奴に……」 先ほどのキスしながらの対面座位と違い、歯がぶつかってケガをする恐れがないため下半身の力を全て使ってアスカを翻弄することができるのだ。巨乳を上下に揺さぶりながら、成す術もなくアスカは嬌声を上げる。 「ひ、ひぃん! いやあ、ダメェ! も、もう……だめぇ! バカぁ!」 騎乗位で上下に揺さぶられるということは、逃れたい、逃げたいと思っても重力に惹かれるがまま、傍から見たら自分から奥へと導くように肉棒を受け入れていることになる。実際、少し力を籠めて立ち上がろうとすれば、完全に男のペニスを引き抜き、この快感地獄から一時でも休息を得ることができる。だが、どうしてもそれをすることができない。 「ああ、はぁ、奥まで、届いて……あっ、んはっ、はぁ! も、もう許してっ!」 尻ごと上に持っていかれる衝撃に、アスカは歯を食いしばって必死に耐えている。 もう酒も薬も汗となって流れ落ち、萎えた筋力は回復して完全に力を取り戻しているはず……。だが、相変わらず指先まで痺れるような倦怠感に全身を支配されたまま、アスカは男の思うまま、嬲り者にされていた。 「ああ、ヤダ、もう、やだぁ! 無理だってば! また、イっちゃうからぁ!」 (もう、回復していても、おかしく、無いのに!) 到底立つこともできないほどの快感に支配され、水蜜桃のように甘い声で啼くように喘ぐことしかできない。 ツンと屹立した乳首の沿って汗が流れる。それだけで背筋がゾクゾクとする痺れに全身が支配される。 「はぁ、はぁ、ああっ……。あ、ああ、こんなの、私じゃ、ない……。ああ、嫌よ、イヤァ」 『おら、おらおら! またイけよアスカ!』 男の蔑むような言葉と共に突き上げられた時、アスカはこの日3回目の ――― 前日のモノと含めると4回目 ――― の、意識を失うほどの絶頂を迎えるのだった。 常人なら咽るほど濃厚な性の匂いが室内に立ち込める。 換気なしで入れば脳が焼かれるほどの淫臭。 「あん、あん、あん、あん、あん、あん、あん、あん、あっ、あ、あああっ!」 パンパンと肉がぶつかる湿った音が小さく響き、それに合わせるようにグチュグチュと淫らな水音が重なる。 競うようにアスカの嬌声が混じり、決して広くはない寝室には、性の狂想曲が奏でられていた。 「駄目、ダメェ!」 男が持っていたコンドームはわずかに三つ。 それも使い切り、生で挿入されて遠慮なく射精を繰り返されているが、疲れ切ったアスカは言葉で拒絶するだけで精一杯。 「お、お願い、もう、許して。イくの、もう、嫌、嫌なんだからぁ」 力が入らなくなり、まともに支えることもできなくなかったアスカは、後背位で激しく突き入れられていた。 疲れ切った全身はクラゲのように頼りなく、背後からわしづかみにされた乳房が勢い良く、水風船のように揺れている。グニグニとこね回して弾力を確かめながら、胸と性器、上下からの刺激にアスカは喉を震わせて喘いだ。 「は、は、はっ、はう、はぁ。あ、ああ、あああああぁぁぁ〜〜〜〜〜っ」 俯き、ブルブルと震えながら込み上げる絶頂を懸命にやり過ごそうとする。 緩んだ口許から涎が滴り、光をなくした瞳が虚ろに開く。 「ひ、ひっ、ひぅ! も、もう、何回、何回イかせれば、気が、済むのよぉ!?」 『そんなの、俺が満足するまでに決まってるじゃん』 「馬鹿、馬鹿ぁ! いい加減、満足、しなさいよぉ!」 内股をヌルリと流れ落ちる精液の感触。 直に差し入れられた肉の感触と迸る精液の生温さに絶望は深まるばかりだ。勿論、アフターピルは飲むが、それはそれとして絶対ではない。万一、子供を妊娠していたら……。 「だ、出さないで……。もう、中出しは、嫌ぁ」 最悪の想像をすると同時に、膣がきゅっと男の一物を締め付ける。 男は相貌を歪め、予想外に来た全身を震わせる快感に呻き声を上げた。 『んん〜〜〜? 何がダメなんだい、アスカ?』 「あ、アンタの子供なんて、絶対、絶対嫌なんだからぁ!」 売り言葉に買い言葉。堰を切ったように罵詈雑言が溢れ出る。 もう内心を隠す余裕もなくなったアスカの言葉に、男は笑みを浮かべてこう反論する。アスカを追い詰めるように、ゆっくり、噛んで含めるように……。 『そりゃおかしくないか?』 「はぁ、はぁ、はぁ……な、何がよ?」 『俺たち、付き合ってるんだからさ。子供ができたって無問題だろ?』 「何言ってるのよ、バカぁ! アンタなんて、大っ嫌い! 嫌い嫌い! 死んじゃえ! アンタなんて、最低最悪よぉ!」 予想はしてたが、改めて言われると内心傷つく。そう嘯きながら、男はアスカの胸を掴む手に力を込めた。男の呵責のない腕力で、乳房が粘土のように形を変える。いくら柔らかく揉みほぐされたとはいえ、指の隙間から乳肉が溢れるほどの力で捕まれれば、苦痛を感じずにはいられない。 「いっ……! ぐぅぅ!?」 罵声を飲み込み、うめき声をあげるアスカ。 快感で敏感になっていた体に、苦痛が文字通り刺す様に貫いていく。 「あ……か、はっ。……ハァ、ハァ、ハァ」 ドッと流れ出た冷や汗が、アスカの全身を濡らしていく。 言葉をなくし、ブルブルと震えながら深呼吸を繰り返すアスカに、男は優しく囁く。 『痛かった? でもアスカが悪いんだぜ。恋人にあんなこと言っちゃんだからさ』 「だ、だから……誰が……こい、びと……よ」 『じゃあ、サードに告白するのか? 他の男にレイプされた中古だけど付き合ってください♪ってな』 口を噛みしめ、憎悪の籠った視線で男を睨みつけるアスカ。 だが、男の最低な指摘は、ある意味で的を射ていた。 受け入れてはくれるかもしれない。だけど、望んでいた形でシンジと結ばれることは、決してないのだ……。 「ひ、卑怯者……」 『卑怯で結構。じゃあ、そろそろ無駄話も終わりにして、再開するぜ』 男の言葉にアスカは目を見開き、逃れようとする。だが幾度もの絶頂と、先程の呼吸を忘れるほどの激痛の記憶がアスカに逃亡を許さない。いま、優しく蜘蛛が足全てを使ってしがみ付くように乳房を揉みしだくこの手が、いつ、先程の苦痛を再現するか。それを思うとアスカは動けなかった。 「う、う、うううぅ……。や、やだ、やっ、いや、いやぁぁ」 再開された背後からピストン運動と、柔らかく胸を揉む手の平の感触に、アスカは息をのんだ。 「あ……ああっ! ひっ、いや、あっ、あっ、あん、あ、ああっ」 深奥から快感が沸き上がり、愛液が吹き出す様に零れ落ちる。繊細な首筋に汗が浮かび、たまらなくセクシーだ。 快感を堪えるため唇を噛んだり、シーツをきつく握りしめたりする、その所作の一つ一つ。まさにアスカは淫靡な天使……淫天使。つまりはサキュバスだ。 「はぁ……ん! あっ、あっ、うう、うふぅ……んんっ! あ、ああぁぁ」 たちまち、アスカはとろんとした妖しい目つきで甘えた喘ぎ声を漏らし始めた。 「ひ、ひゃだ……ぁ、ぁぁっ。それだけは、それだけはイヤぁ」 苦痛を忘れたわけでも、男への憎悪をなくしたわけではない。ただ、何時間もかけて犯されたことで、天性の淫乱さが開花したアスカは、そうならざるを得なかったのだ 「あ、ああ、また、またイく! イかされちゃう! いやあっ! アンタの子供なんていらない! 母親なんかなりたくない! あ、あああ、きゃっ、あああぁぁぁ〜〜〜っ!」 S字カーブを描く理想の女性らしい胴体をくねらせ、腰をガクガクとさせながら淫ら牝の喘ぎを絞り出す。 「あ、あ、あ、あああぁぁ……」 男は容赦なく、邪悪な偏愛に強化された凶暴な肉棒で何度も貫ぬいた。 「あ゛あ゛――っ! あ、あああっ! あ、いやあああ―――っ!」 けものじみた叫び声がアスカの喉から絞り出された。 その声の調子から、限界が近い事を悟った男は、抽挿のピッチをより速くさせると、肉襞全てをこそぎ取らんばかりの勢いで背後から突き入れ続けた。 「あんっ! あんっ! あんっ! あんっ! ああ、あっ、んっ、いやぁ! あああああぁぁ!!」 軽い平手打ちのような音と粘性を帯びた液体をかき混ぜる淫靡な水音が室内に響き、人が出してるとは思えない嗚咽とも喘ぎともつかない声を漏らしてアスカは全身をうち震わせた。 「いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、イヤぁ!!」 アスカが啼き声を上げるとともに、きゅうぅ……と膣がすぼまる。狭い肉の通路がパニックを起こし、ねばりついて肉棒に食いつくように締め付けた。 その時、ドクン……と大きく音を立ててアスカの心臓が鼓動した。 子宮がうずき、男の一物を絞り上げる……。 『お、うう……』 「ああっ、あああっ! くぅぅん! 赤ちゃん、嫌ぁ!! 妊娠、嫌ぁぁ!! ああっ! ああぁぁっ! イヤァァァァァ!」 その瞬間、恐ろしいほどの快感に襲われ、ブルブルと震えながら男は尻を引き締めた。 アスカもまた、男と共に絶頂を迎える。瘧にかかったように震え、尻穴をすぼませるアスカの姿に男はせせら笑う。 「あ……あ……あ、ああっ」 弓の様に張り詰めていたアスカの体から、唐突に力が抜け落ちた。 絞り出されるように、ドクッ、ドクッ……と音を立てて精液がアスカの胎内に流れ込んでいく。納まりきれなかった精液があふれ出し、再びシーツにシミを付けていった。 「あ、ふぅ……」 焦点の合わない瞳で、アスカは意味をなさないうわ言を呟いていた。 どんな形であれ抵抗し、男の期待を裏切ってやる。そんな儚いアスカの覚悟と決意は、あっけなく崩壊したのだった。 「やだ…。もうやだぁ……。うぅっ、赤ちゃん、シンジじゃない人の赤ちゃん……」 この日最大の絶頂に正気を失い、崩れ落ちた体をドロドロになったベッドに横たえ、ヒュー、ヒューとかすれるような音を立てて呼吸を繰り返していた。 それから、どらくらい時間が経ったのか。 ふと見ればカーテン越しに見える外の景色が、夜の宵闇色から、早朝特有の白い光で彩られているのが分かった。 「う……ううぅ……」 アスカが身じろぎすると「ゴポリ」と、ぬめった音を立てて、半ばゼリー状になった精液と愛液の混合ジュースが零れ落ちるのを感じる。到底、起き上がる気力もないまま、アスカは力なく周囲を睥睨する。 身体はやっぱり動かない。 アルコールと薬の影響はもうなくなっている。 単純に疲労と初めて経験するオルガスムスの痺れで全身がマヒしているのだ。 (あいつ……好き放題しやがって。絶対、絶対に許さない) どれくらい自分は意識を失っていたのだろう? 男の姿は見えない。どこかに行った? いや、違う。 アスカの目覚めを待ち受けていたように背中に伸し掛かってくる男の重みに、アスカは息をつめた。まだ興奮冷めやらないのか、荒い息を吐きながら、男が体を密着させ耳元で囁く。 背中を蜘蛛とナメクジが集団でマラソンしてるような怖気が走る。 『すごく良かったぜ。じゃあ、これからよろしくな。 ア・ス・カ』 「あううぅ……。シンジぃ……」 どうして? どうしてこんな事になったのだろう? 滝のように涙を流しながら、アスカは運命の皮肉と変遷を呪った。 数週間後。 一見、アスカとシンジ達の関係は何も変わってないように見えたが、実際はもちろんそうではない。 アスカが技術部所属の年上の男性と付き合い始めた、という噂が公然と囁かれるようになるのは、それから程なくしてからだった。自然、アスカは最低限の付き合いしかシンジとしなくなり、ただの同僚という態度で彼と接するようになっていった。まるで彼を異常者の悪意に巻き込むことを避けるかのように……。 シンジ達との交流が減ると、変わって男との接触が増えていく。 人目をはばからない男の態度に、アスカは色々迷惑そうにしているが、だが、実は満更でもない。というのがもっぱらの噂だった。 そして、その噂は……。 真実である。 「ちょっと、何よ? 施設内では話しかけない約束のはずよ。人に見られたら……どうするのよ」 『俺は気にしないよ。第一、アスカだって噂は聞いてるだろ? 俺達が付き合ってるって噂をさ』 意識的に避けていたが、職員とパイロットだけが使用するメンテナンス用通路で男に捕まり、アスカは壁際に追い詰められていた。逃げ場を求めて左右を見るが助けになりそうな人影もなく、不承不承、目を反らしながらも男の要求を待ち受ける。 「私は……あんたと付き合ってるつもりはないわ」 『そんなこと言うなよアスカ。ちょっとパイロットの視点で、俺の仕事の確認して欲しい事があるのよ。というわけで付き合ってくれる?』 「なにが……確認よ。もう、嫌なのよ。あんたとあんなことするのは」 『はいはい、またいつもの強がりかな? いっつも最初は抵抗するよなアスカって。どうせ最後には自分からしがみ付いて、セックス大好きって連呼する癖に』 「くっ……」 逆らえない。 抗えない。 男に求められると、体がうずく。 あの焼け付くような快感に身も心も委ね、何もかも忘れた獣のようになりたい。 「嫌い、嫌い、大っ嫌い……」 浅ましく男を求め、犯されるたびに女らしさを増していくこの体が憎い。 男を憎悪しながらも、彼のもたらす快感を忘れることができない。あれほど憎悪していた肉欲で、支配されたいと願う心が憎い。 「そんな私が、一番嫌い……」 もう何もかも手遅れだとわかってはいるけど、それでも万一を期待している。 異変に気付いたシンジが、あの時みたいに助けに来てくれることを。 何の根拠もないけど、いつもと変化を付けることで気づいてくれることを願って、彼と初めて出会った時と同じような黄色のワンピースを着て今日は本部に来た。だけど、最悪な事に【交際相手】の男に見つかってしまった。 アスカにとって全てが裏目に出る、最悪の展開だった。 このあと、何が待ち受けているのかはここ数週間で男にされたことから全部予想できる。 吐きそうなくらい嫌なのに……。 知らず知らずのうちに、アスカの呼吸が浅く、速くなっていく。頬が紅潮し、熱が体の奥底から湧き上がってくる。 「あん、あん、あん、あん、あん、あっ! あっ、あっ、あっ、そんなっ!」 職員用男子トイレの個室に連れ込まれ、服を脱がされないまま背後から突き入れられる。 事前の愛撫も何も必要なかった。 執拗な性交ですっかり開発された体は、どんなに望まぬ行為だったとしても、男の手が触れ、生臭い呼気と体臭を感じただけでたちまち紅潮して、股間は愛液で濡れてしまう。 (助けて、助けて! ……シンジ、助けて!) 上半身と共に巨乳を激しく振り、男の底なしの性欲を受け止めることしかできない。 途中までずり降ろされたパンティに、愛液が滴り落ちてシミを作る。 「いやぁぁ、あっ、ああっ! やだ、こんなの、違う! あ、あっ、あっ、あああぁぁぁ」 掃除中の看板を置かれ、他人が入り込む可能性が無くなった男子用トイレに空しくアスカの叫びが響き、消えていく。 『なんかアスカさぁ。初めてやった時より胸大きくなってない?』 「し、知らないわよ、バカぁ! あ、ああっ、そんなはずっ! あっ、あっ、あああっ!」 アスカはポタポタと汗が滴らせながら、上ずった喘ぎ声で男の言葉を否定する。 説得力が微塵も感じられない、否定の言葉だった。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。ああ、い、いやぁ……なんで、どうしてこんなに、感じちゃうのよぉ。嫌なのに、イヤイヤぁ」 何度めかわからないほどに経験した絶頂寸前であることを伝える官能の疼き。 甘美な、だが呪わしい刺激に全身を支配され、アスカは悲鳴のような声を上げた。 「あ、あああ、あああっ! また、また、イっちゃう! いや、嫌ぁ! もう、イきたくないぃっ!」 早く、早く終わって……! 懸命に祈り願うアスカだが、既に一つ使用しているが、男はコンドームを箱で持ち込んでいる。 「いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁぁ―――っ!! 誰か、誰かぁ! あ、ああ…」 当分、「パイロット視点」での技術部へのアドバイスが終わらないことは明白だ。 END
初出2025/05/10
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