Badlands




「んっ、んっ、んっ、んっ……」

リズミカルな吐息。

「いいわ……凄くいい、そぉっ……。んあぁ……、シンジぃ……」

バチバチと燃える暖炉に薄赤く照らされて、ゆらめくアスカのシルエットが無骨な石組みの壁に浮かび上がっていた。
寝台の上に膝立ちに、男に跨った上体をくねらせて快楽を貪る、一糸まとわぬ艶かしい姿だ。

「んっ、んあっ……は! ンん……」

嬌声を上げて仰け反ると、バッと宙に散らばったブロンドが炎の色に輝いて、濡れたほつれ毛を張り付かせた細い項(うなじ)が、その隙間から白く覗く。

「あっ、ハ! ……そんな、また太く……? やっ、アタシの中、もういっぱいなのよぉ……」

切なく洩らして、下腹に迎え入れている肉杭のいや増し始めた興奮を感じとったアスカは、怯えたように身を震わせた。

彼女のパートナーは少女とそうも変わらぬ華奢な体つきだというのに、二人抱き合うベッドの上になると、その印象を大きく裏切るような野生を見せてくる。
殊にその股間の持ち物ときたらである。
その目が日頃の気弱さを捨てて若い盛りの性欲に血走り始めると、アスカの手のひらの中にやわやわと包み込んでしまえるような「可愛らしさ」から、ムクムクとたじろぐまでの威容にそびえ立ってのけるのだ。
彼の事情を考えれば、その変化の激しさが通常の男性生理の範疇を越えてしまっている事は間違いない。

(これ以上大きくだなんて。そんなの……そんなの、絶対無理だわ)

普段はぴったりと閉じて一筋の割れ目でしかないアスカの花唇は、今ですらそんな―― 幼ささえ残した彼女が受け入れるにはとても無理だとしか思えない、隆々とした漲りに貫かれているのだ。
猛々しく突き刺さった縁では、未成熟な恥丘の肉、それ自体が厚ぼったく捲れ上がったように押し拡げられてさえいて、男の抽送に合わせてその隙間から初々しいピンクの肉ビラが無残に引きずり出され、また押し込まれてと蹂躙されている。
色白な少女の最も密やかな部分が、そこまでして赤黒い牡の性器を受け入れているという、痛々しくもあり、いっそ健気ですらもある有様をまじまじと見詰めて、

(い、イヤだなんて言うのも今更だけど……。アタシ、やっぱりその内、壊れちゃうんじゃないかしら……?)

しかし、それすらも彼と共にある事を選択したアスカにとっては、その決意の内の序の口に当たった。
彼と男女の関係でいるのなら、さらにこれ以上をも受け入れねばならない。
アスカは他の男性を知らないのだけれども、彼との交合はアスカが平和な日常が続いていた頃に耳にしていたようなセックスよりも格段に凶暴で、覚悟を必要として、そしてアブノーマルだと少女の心を怯ませる程。

(……でも、でもなのよね……。フ、フフ……。アタシったら……)

しかしその一方で、引き換えに与えられる愉悦もまた尋常を越えていると、現に溺れてしまっていると自覚のあるアスカは知ってもいたのだ。
ドキドキと、それを思えばあさましいと感じつつも胸の高鳴りは増していく。

―― コクン。

ふるると長い睫毛を震わせた美少女は、不安と妖しい期待に頬を染め上げ―― 結局は無言のうちに頷いて承諾を示した。
たちまち繋がり合う少女の小振りな性器にミチミチと肉の軋みを立てて、蹂躙への承諾を受け取った獣性が、狭隘な膣を突き破らんばかりにこじ開け、深く、そして大きくアスカを犯していく。

「あ、ああ……」

身体の中を貫き通して、喉の奥から飛び出しそうな圧迫感。
自分の胎内でまた一段と質量を増したような感触を確かめるように、震える右手をお腹から下へと探らせると、

「やだ……。こんなにして……」

『ああ……』と、何かに観念したかのような溜息がこぼれた。
さわさわと手のひらに見つけてしまったのは、なだらかなアスカの下腹部にそこだけぽっこりと浮かび上がった、ちょうど潜り込んだ肉槍の形。
内側から突き破らんばかりのその膨らみは、白いすべらかな皮膚一枚を隔てて尚もビクビクといきり立っている。

「あ、アタシったら……。なんていやらしい……」

まだ20にも手の届かない少女の未熟な「くちびる」は、打ち込まれた欲望にこじ開けられて、口一杯に頬張らされた隙間からタラタラとよだれをこぼしている。
つるりと幼さを残した恥丘は、薄っすらけぶるように金糸の恥毛が生え初めたばかり。
それなのに、既に繰り返し受け止めた抽送に充血してしまっていて、痛々しくも淫らなセックスの装いに赤く染まっているのだ。
割り拡げられた媚粘膜の端には、ペールピンクの尖りもつんと発情しきった姿を見せていた。

そんな何よりもアスカの薔薇色の唇を戦慄かせるのは、はっきりとペニスのカタチに突き上げられ盛り上がった、そんな無残な自分の下腹の様相。

「ふ、ふふ……信じられないわね。こんな、突き破られそうなモノ……んっ、く、咥え込んじゃって……」

そして、こんな有様で串刺しにされて、それを壊れるでもなしに受け止めてしまっている自分の身体の底知れなさだ。
こうして少年とセックスを交わすようになって、そうそうキャリアを重ねたという訳でもないのに。

「はぁぁ! あ、奥に……来てる、しぃ……」

口元を抑えた左小指を噛んで、美しい眉根を折り曲がらせたアスカの顔には、それまで思いも寄らなかった自分の躰の性への柔軟性に対する、微かな怯えが見える。
それでも、半開きに男との結合部を見詰める目元はピンクに上気していて―― 紛れもない陶酔の色もだ。

「それなのにアタシ、……ま、まだ気持ちイイの……ッ!? あ、や! はぁン! シンジぃぃ!!」

うっとりと立ち止まっていた恋人に焦れたように、膝立ちになった下から不意にグイと深い突き上げがアスカを襲っていた。

「あっ、やっ、き……キツイわよ。 そんな、んあン! はっ! ひあああっ!!」

受け入れてしまってはいるものの、あまりの巨きさに立ち竦んだようにしていた少女には、強烈過ぎる一撃。
続けざまにまた二撃、三撃、荒々しいグラインドで剛直の槌撃が繰り出される。

「やだっ、シンジったら……あ、ああ! そん……っ、えぐっ、抉っててッ、凄すぎるわよぉ……おおっ、おうンんっ! あおぅぅぅ〜〜……!!」

スリットを引き裂くような勢いで、ギチギチと少女の膣を胎奥まで欲棒の塊が掻き分け攻め上る。
猛々しく打ち込まれる弾頭に子宮口を叩かれ、責め上げられて、アスカの悲鳴はたちまち甘い啼き声に摩り替わった。

「ちょ……ッ、あぅンン! 待ってシンジ。ッあン! あっ、あっ、あっ、やぁぁ〜!」

逃げ惑おうとした腰を左右からがっしりと捕らえられている。
狭い膣腔を貫かれてこみ上げる痛みは、アスカの理性がそら恐ろしさを覚える程の速さで、気持ちの良さだけになってしまっていた。
一瞬の嘔吐感すら覚えるほど深々と腹の中に沈み込み、また引き戻して、粘るような肉洞を抉り貫くと、翻弄されるばかりの美少女はもう『ひぁあン……んぁぅんンン!』と甘ったるく尾を引く嬌声で悦び悶えるしかない。
感じやすい襞粘膜の隅々まで擦り上げられ、更には秘核の裏側に当たる敏感すぎる急所をまで一時に長大なペニスに刺激されている。

ひっきりなしで淫猥に、粘ついたな摩擦音を立てる接合部分。
ジンジンと灼け付くように硬くなって疼く乳首。
汗を浮かせ、揺れ弾む若い肢体。

アスカは悩ましく眉間に皴寄せてうっとりと、霞のかかった眼差しで肉悦に酔いしれている。
受け入れがたいかと恐怖さえ覚えた筈なのに、早くももう肉体は陥落していて、限りない官能の泥濘にドロドロに蕩かされてしまっているのだ。

「し、信じらんない! もう、もうっ……こんなにイイだなんてっ!」

高まる快感に堪えきれず、気付けばアスカも応えるように騎上位の腰を打ち揺すっていた。
まだ成熟しきっていない筈の躰が示すセックスへの順応性は、こじ開けられた秘裂から淫らに糸引く潤滑油を溢れんばかりに分泌させて、男を華奢な肢体に受け入れている。
雪白の下肢は愛液をテラテラとまとい付かせながら大きく割り拡げられ、それこそ暴れ馬に跨ったかのよう。
腱が浮かぶ程に力を込めて、屈伸のような上下の動きに自ら深く抜き差しさせながら、包み込んだ媚粘膜に肉茎を頬張り味わっている。

捕まえていずとも自らうねうねと快楽を貪り出した腰からは、枷の役目を捨てた淫らな手付きが、嘗め回すように柔らかな美少女の肌触りを楽しみながら、すべらかなヒップへと回された。
まだ少年のように蒼く生硬な尻たぶに、両脇から指を食い込ませて鷲掴みに。
ぐにぐにと乱暴に揉み立ててこねくり回し、やがて割り拡げるようにして露にさせた菊のすぼまりにまで侵略を開始する。

「あん……。やだ、シンジぃ……」

尻込みするように軽く腰を打ち揺すって、その浅くつぷつぷと悪戯する指先を逃げたアスカだったが、ピシャリと軽く尻肉を叩かれると、そぶりだけの抵抗を止めて大人しく秘孔への愛撫を受け入れ始めた。
ズップズップとピストンを味わう肉裂から内腿に流れる愛液をすくいとって、まぶすようにアヌスを貫く、内側からのマッサージに解されていく。

「んぁ……は、はううっ! んあぅ、はぅぅン……」

ぞくぞくと背を這い上がる、もう馴染みの背徳的な菊花の愉悦。
排泄に使うような不浄の場所を愛されて喘いでいる、そんな淫らな自分が、自覚する程にアスカを妖しく昂ぶらせる。

(ああ、見てる。見られてる……。お尻なんかで感じちゃってるアタシを……シンジに……)

自分を見上げる恋人の貌は暖炉の照り返しを受けて、いかにも自分の浅ましさを嘲るように、ニヤニヤと揺れる影に彩られている。

―― いやらしいね、アスカ。

そう目が語りかけているようで、それだけでもう可憐なアナルがキュンとすぼまってしまう。
ムズムズとおかしな感じはいや増すばかり。
気を注いだ秘肛の感覚は鋭敏に、中に差し込まれた指先の動き一つ一つを捕らえて、胸をざわめかせてしまう。
『もっと、もっとよ!』と。
かつては嫌悪していたオンナそのものの貪婪さが、抑え難くアスカの内に叫んでいた。
―― いや、今のセックスに燃え滾ったアスカにそれを押し留められる筈が無かったのだから、きっと知らずの内、声を大にあさましく叫んでいたのに違いない。

「な、なに笑ってるのよ……。そうよ、気持ち良いわよ。……良いでしょう、もうっ! あ、アタシをこんなにしたのはシンジの癖に!」

こみ上げる羞恥に真っ赤な顔をそっぽに向けると、

“ゴメンよ、アスカ……”

お侘びのつもりか、そう言ってヒップを掻き分けたあわいにまたもう一本、跨った下から這い伸びてきた「ペニス」があてがわれ、グニと押し入っ来た。

「キャ、やっ、ッあああ……!」

思わず力を込めてしまった狭い入り口をズルズルとくぐって、身をうねらせる蛇のように奥深くまで潜り込む。

「あ、熱ぅい……!!」

ギュウと蛇身を圧迫する腸壁の締め付けに負けず、アスカを体奥から灼くような熱さが深々と肛門から貫いていた。
傷を負いかねないその本来の機能とは逆しまな侵入を、しかし美少女のアヌスはごくごく自然に受け入れている。
その呑み込んだ瞬間から、美しくも壮絶な隻眼の美貌には、禁断の快美に渦巻く欲望の高まりが浮かび上がっていたのだ。

「ふわっ、あっ、……な、中で……ああ、アタシの中でぶつかってる……」

わなわなと震える尻肉の奥で、肉壁一枚を隔てて切っ先を突き合わせた前と後ろからの二本の「ペニス」が、ゴツゴツとアスカの子宮を突き上げている。
ヒップの中心から潜り込んだ蛇はそのまま深いところで蠢き始めて、荒々しく膣襞を抉る秘裂へのペニスとは裏腹の、いっそ繊細なと言っていい動きでゆるゆると少女の菊蕾をほじくり返す。

「はうっ! ……ハ! ア! そんな、お尻ッ、優しくされたら……」

『ひぃん』と可愛らしい悲鳴を上げたアスカは、髪を振り乱して悶え泣きはじめた。
たちまち切羽詰ってしまった様子で、アスカの白い―― そして獣に引き裂き破られたかにも見える惨たらしい傷跡が縦横に走った腹部が、ビクビクと痙攣して波打ちだす。

“もうイッちゃうの? アスカ。まだ入れたばっかりなんだけど。そんなに良い、お尻?”

「ひどいっ! あ、アンタにこんなことされたら……、ッ、ひゃう! ひぅううン……! んっ! ど、どんな女の子だって……ふぅぅんんン〜〜!!」

喘ぎ喘ぎ息を切らせるその間にも、踊りくねるアスカのしなやかな両足の間に打ち込まれた二本の「ペニス」は脳を痺れさせるような激しい蠕動を繰り返し続けている。
その尋常を越えたシンジの前後二乗の抽送に、口を大きく快楽を叫ばされているアスカは、もう恥じらいも慎みも夢幻の彼方。
獣の唸りにすら聞こえるとめどなき喜悦を垂れ流す口元からは、飲み込むことを忘れられた唾液がだらしなくも淫靡にヌメヌメと、喉元までを飾っている。
苦痛に耐えるように固く瞼を瞑り、もう二度と開かない左目からも喜悦の涙を溢して喘ぎ啼いているのだ。

ズブッ、ズブブブッ……!

蛇頭の欲望器官に仰け反るほど強烈に抉られて、一気に快楽の断崖絶壁に追い詰められたアスカは、狂ったように頭を振って泣き叫ぶ。

「どんな……女の子だって、お、お尻だけでも……イッちゃうわよ! ……それなのに、アンタったら……に、二本もアタシにぃ……!!」

“だってアスカ、こんなのが大好きじゃない”

「なによっ! ひ、人を……アウッ! へ、変態みたいにっ、ッ!? こらっ! シン……んむっ!? そんな奥で、あ、暴れて……ンムゥッ! ……シン、んヒィィ―――― ッ!!」

あくまで強気な調子を通そうと抗議してみせながら、隠し切れない快美の味わいは、鈴の鳴るような愛らしい声を半音上げさせ裏返させて、最後の方はもう言葉にすらなっていなかった。
あの頃のアスカには想像すら出来なかっただろう。
忌み嫌い、疎ましいとばかりに思っていた自らのオンナの器官がもたらす感覚に、こうも耽溺し、魂の底から歓喜を歌う日を迎えようとは……!

「ひ、ひんじの……ンゥッ! す、すご……アタシの中で、ぶつか……あうっ、うぅ〜っ! ゴリゴリって、中で揉んでるっ、ううンぅ……! んぅう〜っ!!」

“キレイだよ、アスカ……。そんないやらしい貌の君も、とっても素敵だ……”

トロトロに蕩けて肉欲にうねる伸びやかな肢体は、まるで恋の季節の猫のよう。
ギュギュとシンジの上で背を丸め、仰け反らせ、弾むように小振りな乳房を揺らして汗を飛び散らせる。
尾を引く切ない咽び泣きをもらす―― まだどこかあどけない顔立ちは、恋人の与えてくれる歓びに身も心も預けて狂い惑ってしまえる、滲み出すような多幸感にと緩みきっていた。

「はぁぁ……。いいわ、とってもイイわよシンジぃ……、んくぁッ! ああん……もっと、もっとアタシの中を抉ってぇ〜〜!!」

暖炉を焚いてもまだどこか肌寒い夜気に、舌を突き出して嬌声を張り上げる、白い淫らな吐息がボゥと揺らめいている。
それは若い二人の汗に塗れた裸体から立ち上るムッとした人いきれに混ざって、あの日―― サードインパクトの日から流れ流れて、今は日本も遠い北国の少年少女を暖かく包むのだ。

ぐんっ、ぐんっと。
ひっきりなしに揺れる少女の瑞々しい躍動は、その一つ一つが秘裂の内側を力強く擦りたてられる―― そして肛交に突き上げる少年との輪舞だった。
紅潮したバストも激しい運動に汗まみれで、その頂上にぽっちりと膨らんで固くなった乳首ごと自ら両手に揉みこねながら、アスカは騎上位に跨った腰を沈め、また引き上げてを繰り返している。
乱れきった姿を晒す羞恥に身を揉みながら、それでも今はプライドも何もかも放り出して、素直に快感を訴える夢中の悦がり声はいよいよ艶っぽさを増していく。

(ああっ……もう駄目! もう、もうアタシ……ダメになっちゃう……!!)

急速に薄れ行く意識の中、汗まみれの躯を何度も弓なりに仰け反らせて、

「やんン、ふかぁいのぉぉ……。お尻も、アソコも深くて……熱くて、もうダメ……! あっ、あっ、あぅぅンン〜〜! イッちゃう! イッちゃうわよ! シンジ、シンジィ……いい―― っ!!」

白い頤(おとがい)を突き出し喘いで、アスカは四肢を突っ張らせる絶頂感に、真っ白に染まった悲鳴を張り上げさせた。

溶け合うほどの情交に上り詰めた、一瞬重力を忘れる浮遊感。
石造りの部屋に響くようにこもって、それから張りつめた肢体がくたりと弛緩して舞い降りた。




ぺたんと両手を後ろについて、まだせわしなく息を吐くアスカは頭の奥に痺れを残していて、直後の穏やかな陶酔感に浸っている。
そんな彼女の胎内で、シンジの剛直はいまだ硬く漲ったままだった。

“そろそろ良いかな?”

力の抜けたアスカの胎奥にもぞりと肉棒で掻き混ぜて、シンジが蕩けきった恋人の顔を見上げている。

「アタシ、もうくたくたなんだけどね。シンジ」

“そう? まだ全然なんだけど、……僕も”

「も、って何よぉ。……それよりアンタ! アタシだけイかせといて自分は出さないなんて、それって侮辱じゃない? アタシに何か不満があるのかしら?」

ちょっと剣呑に口を尖らせたアスカに、悪戯な赤い瞳が『だって』と笑いかけた。

“アスカの方が強いのに、夜はまだまだなんだよ?”

「言うわね……。うんン……いい感じ。アンタのがアタシの中でどくんどくんって、……疼くわぁ」

クスクスと笑いを返して甘くねだる。

「良いわ。今度はアンタに全部任せるから――

ふらと力の入らない腰で身を起こし、跨ったまま身を屈めるようにシンジの胸に手を付いて、顔を寄せる。

「んっ……」

軽く口付けて、その次は深く舌を絡めて貪って、まだ夢を見ているような表情で囁いた。

「アンタの飛びっきりでイカせてよね?」

寝台から首を跳ね上げて、奪うようなキスが答えだった。

「んむっ、んぅう……うン



◆ ◆ ◆




綺麗だよアスカと、シンジはいつも彼女の裸を褒める。
エヴァでの最後の戦いで過剰フィードバックがもたらした、醜い傷跡だらけのアスカの裸を見て、だ。

女としては終わったものと、そう捨て鉢に、

『アンタ頭がおかしいんじゃないの? こんなボロボロの……! 目も潰れたような女の気持ち悪いハダカ見てっ、どうしてそれで興奮なんか出来んのよ!? この、変態がぁッ!』

そうやって八つ当たりに泣き叫んで、度の過ぎた暴力さえ振るうアスカに、シンジはただ言い続けたのだ。
だって、アスカだから―― と。

『アスカだから……、他の誰でもないアスカだから』

少年にとって特別な、たった一人だけのアスカなのだから、と。

それは男が「オンナ」という対となる種類の生き物に情欲を感じるように、シンジという少年はたった一人、「アスカ」という存在にだけ恋が出来るのだった。
世界に大勢居る「オンナ」達の中の、その中から選んだアスカという少女ではなく、ただ「アスカ」だから。
それ以外の選択肢など、まるで頭に浮かばぬかのようだった。

『アンタなんて、ファーストにでも言い寄ってれば良いのよ……』

『だって綾波はアスカじゃないもの』

獣の牡が牝に発情するように。
ヒトの男が女に興奮するように。
シンジがアスカにときめくのは、それはただの当たり前。
当たり前で、他は無いただ一つ。

だから、

『アスカは綺麗だよ。こんなに柔らかいし、暖かいし、いい匂いだし……。アスカの中は凄く気持ちが良いもの。アスカとこうしてるなんて、夢みたいだ……』

『信じられんない変態ね。良いわよ、信じたわよ。……もう信じたんだから……ずっと、ずっと、このまま信じさせて。何度でも抱きしめて。アタシが好きだって言って。こんなになっても好きなんだって……アタシに証拠を見せ続けて――

そんなシンジを受け入れたから、アスカとシンジは二つ目の「初めて」を交わしたのだ。

『またこんな大きくしちゃって……コレって、アンタがアタシに首ったけだって証拠よね』等と、笑って睦言を交わすまでになるには、勿論それだけではなかったのだけれども、

そうした経緯の内に、やがて世界を覆っていた直後の混乱も一時晴れて。
変わり果ててしまった新しい世界が露になり、赤い海から還って来た「人類」と、そしてそれ以外だと決め付けられることになった―― 還りきれなかった「ヒト」達がパニックに陥った時。
銀の髪に赤の瞳と、シンジがただ容貌だけが変わってしまったのではなく、今度は彼自身がアスカに向かってこんな自分で良いのかと涙ながらに尋ねなければならなくなった時。
アスカは力強くシンジの手を引っ張って、言ったのだ。

『一緒に行こう?』と。

そうして少年と少女はネルフを逃げ出した。
今のシンジにネルフが見出した、少年にはちっとも嬉しくなんかない、新しい「価値」に背を向けて。
二人手に手を取って、混乱の最中にと。


 
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Original text:引き気味