POSSESSION



01

朗々とした声。牧師様が読み上げる聖書の一説が墓地に響いている。
―― 寒い。とても寒い。一面の雪化粧だ。
石屋がやって来て立てていったばかりの、その上埋葬式の前に一度きちんと払っておいた十字架にも、もう薄っすらと積もってしまっている。
参列の誰もがコートの襟に首を竦め、白い息を、一緒に体温も逃げやしないかとばかりに恐る恐る吐き出していた。
空は辛気臭くどんよりと。それでも、見上げるあたしには歓喜の空だ。

世界だ! 生きている世界だ!

この澄み通った冬の空気。そこには鉄分臭い海の匂いも混ざっていないし、昼間っから星が見えるようなふざけた天気でもない。
勿論、地平線に人の顔をした山がにやけていたりもしない。
海も―― ここからは見えないのでまだ確かめていないのだけれども、それでも当たり前に青い色をしているに決まってる。これが世界。当たり前の世界。人間様の―― あたしの生きる世界……!
ハレルヤ! ビューティフル・ワールド!
サードインパクトにさようなら。また会えて嬉しいわ、あたしの居るべき場所よ。
この惣流・アスカ・ラングレー様は、時の流れにさえも勝利したのだ。
ハレルヤ! タイムトラベラーのあたし。

踊り出す足。歌い始める唇。
うふふふ……。有頂天になってふらふらとそこらにステップを。
一応、誰かさんのためのお葬式を邪魔しないようにと気を付けていたけれども、あたしは歓びで一杯の自分を止められなかった。
そんなあたしの足元にムギュッと。

「ギャンッ!?」

ごめんなさいね、ワンちゃん。ちょっと踏ん付けちゃったわ―― って、なにもそんなに吠えること無いじゃない。

「ワウッ、ワウッ、ワウ……ゥ。……キャンッ。キャイン、キャイン……!」

体中の毛を逆立てて狂ったように吠えていたその子犬は、不機嫌になったあたしに恐れを成したのか、ビクンと身を翻すとどこかにすっ飛んで行った。それも呆気に取られる程の勢いで。
なんなのよと、折角の気分に水を注された思い。
振り返れば、やはり何事かと喪服の皆さんがこちらに首を向けたところだった。

「ヒッ……!?」

怪訝な顔が並ぶ中で、ちょっと小太り、割と年配のシスターが一人目を剥いて―― いきなり泡を吹きながら卒倒してしまった。
牧師様が驚き駆け寄り、介抱する。
これは後々になって分かった事だけど、要するに聖職者としてはこの牧師様よりシスターの方が上等だったということらしい。
震える指先をあたしの方に向けて、もごもご必死に何かを伝えようとしていた。
あれよあれよという間になんだかかなりマズい事になったらしく、担ぎ込まれた担架に乗せて、シスターが運び出されて行く。
お葬式どころじゃなくなってしまったらしい騒ぎの中で、その時確かに、アタシは聞き捨てならない声を聞いたのだ。

「ママ! ……ママぁっ!!」
「何なの、アスカちゃん。今ちょっと大変だから、後でね」
「でも……。ねっ、ママー!」

(……? あすか、ちゃん―― !?)

慌てて人込みの中に見つけたちっちゃな女の子。それは紛れも無いあたし自身だった。
黒いスカートの片手に、よく見覚えのあるサルの縫いぐるみを抱いて。その手を引く女性もあたしのママにしか見えない。

(何で!?)

あたしは目を疑った。
ママが生きてる。それはとりあえず良い。きっと、あんな事になる前に辿り着いたという事なのだろうから。
それよりも、あたしがここに居るのに、どうしてあっちにも“あたし”が居るの?

「ねっ、ねぇっ、ママぁ。変なのが居るの、変なのが居るの!」
「なぁに? ……何も居ないじゃない」
「だってあそこ……。赤くって、うじゃうじゃしてて―― きっと、オバケよっ」
「もうっ、変な事言わないの。ママには何も見えないわよ?」
「なんでぇ? 居るのに、あそこー。オバケ、オバケー!」

呆然とするしかないあたしを置いて、ママと“あたし”は行ってしまった。
まずはじめに胸を過ぎったのは、これもいつもの夢だったのだろうかという不安だった。
あたしは本当はまだあの惨めな世界に居て、廃墟になったねぐらの中でシーツに包まっているのかもしれない。
そしてまた、不安そうにあたしを呼ぶシンジの声に起こされる、いつもの現実。
たった二人、死にたく無いという最後の臆病だけに背を押されて生きている、惨めな世界――

(そんなのイヤっ、イヤよ……!)

震える身体を抱き締めようとして。何かがおかしいと首を下に傾けて。自分の胸から下を見下ろしてみて。まじまじと見詰めて――
―― あたしは卒倒した。



◆ ◆ ◆




「なかなか上手くは行かないもんだね……」

『ハハハ……』と乾いた笑い声を上げるのが無性に腹立たしかったから、あたしは遠慮無し手加減無しでぶん殴った。

「……痛いじゃないか、アスカぁ」

シンジが頬(?)を押さえて文句を垂れる。
その、妙にいつも通りボケたままの声がムカついたから、あたしはもう一発裏拳(?)をくれてやった。
雪の上をずささーっと、紫色のぐねぐねのウジャウジャがすっ転んで行く。
ついでに、ゴム鞠を殴ったような感触の残るあたしの拳骨(?)も、ぐねぐねのウジャウジャだ。……色は赤だけど。

「なんなのよ! ええっ? 一体全体これは何なのよっ!!」
「なんなのよ―― って、何となく弐号機……かな? ……赤いし」
「そう言うアンタはそこはかとなく初号機だわね。紫だし。―― でっ、残りは何よ? それ腕じゃないし、足でも無いし……! 使徒っ!? なんか居たわよね。ファーストが街ごと吹っ飛ばしてくれたーっ!」
「どっちかって言うと……タコとか、イソギンチャクとか……かなぁ」

座り込んだ(?)シンジが、肩っぽい辺りからニョロニョロと何本も生えた腕(?)をしげしげと眺めながら言う。
サードインパクト後の世界を一年近く流離う間それなりに逞しくなっていたこの男は、今や初号機っぽい面影を残したぬめぬめの胴体を、肩からや腰の下からの幾本もの触手で支える立派なバケモノだ。
全身紫色で、ご丁寧にも初号機と同じ緑のラインがそこかしこに入っているのが悪趣味極まりない。
自分ではタコなどと言っているが、きしめんのように平べったい触手はどこか14番目の使徒に似ている。
零号機が道連れに自爆した16番目のやつに似ているのは、あたしの方のだった。

「アンタ、よく平然としてられるわね……。あたしはもう、気が狂いそうだわよっ!」
「ここまで来ると慣れかな。気持ち悪いのだったら、さんざん見せられてきたからねえ。……そういやだけど、サードインパクトの時も随分酷かったよ」

実にしみじみと。諦観か、それか悟りでも開いたようなシンジの声。
いらいらするけれど、シンジがいつもの雰囲気を守ってくれたそのお陰か、あたしも少しは冷静に、いつもの自分でいることが出来た。
そうやってギロリとシンジを横目に睨むあたしの目は、多分弐号機に影響されたのだろう四つ目だ。
シンジが言うように、あたし達の姿は―― 我ながらかなり気色悪いにせよ、どこか見慣れた造形をそこらに散りばめたもの。
でなければ、パニックになった以上の衝撃であたしは発狂してしまっていただろうし、少し離れた所にあたしをほったらかしでひっくり返っていたコイツを、シンジだと見分けることは出来なかったろう。

「心当たりも有ると言えば……有り過ぎだしね」
「まーね。アダムだか、リリスだか知らないけどさ。使徒のパワー、ゲットだぜとか、調子こきすぎたわ」
「しかも、人をまず実験台にするし……」
「何よ? シンジが大丈夫だって言ったんじゃない。多分とか、あやふやな事言ってさ〜。―― 神がかりって言うの? あたしみたいな大物じゃなかったら、まじめに聞いてやる前に病院行きよ、あんた」

―― そう、今のあたし達はハイブリットだ。
サードインパクトにたった二人生き残った時点で、特にシンジなんかはホントに人間のままだったか甚だ怪しかった上に(確かにズタズタにされて死んだ筈のあたし自身だって、実に疑わしいものだったが)、それまでの戦いで負けた使徒が遺していったという、力だか魂だかを取り込んでいる。
その経緯たるや、いかがわしさもここに極まれりといったものだった。

なんとか生きて暮らしてはいるものの、希望だとか将来の展望もへったくれも無い毎日。
いっそ死ぬだの、過去に戻りたいだのヒスを起こしていたあたしに、一応躊躇いつつもシンジが言ったのだ。
『皆の所に戻れるかもしれない』と。
さては、あたしの愚痴った中から心中プランの実行でも決断したかと思ったのだけれども、聞けば『カヲル君が言ったンだ。……あと、綾波も』とか電波がかったお答え。
更に追求すると、サードインパクトの直後から夢だの幻だので色々と「お告げ」があったらしいが、とにかく信用して貰えるとも思えず、一年近くに渡って口を噤んでいたのだとか。
キチ○イ扱いされたくなかったというのは、まぁ……正解だったろうが。ともかく半信半疑のあたしはシンジに試させた。どうせ駄目元、当たれば儲けとその程度で。

使徒の残り滓なのだろう力は、シンジに引き寄せられるまま実にあっさりとあたし達の裡に馴染んだ。
思うに、向こうも自分たちを受け入れてくれる「器」を探していたのだろう。
使徒が様々に振るって見せた能力の本質だというそれらは、喩えれば、人の本質たる遺伝子のような物なのかもしれない。
ただ自分達のカタチを未来へと存続させる為に、遺伝子は生き物の中に乗り物のようにして渡り歩く。
自分達の都合の良いように、乗り物をより優秀にと進化させながら。
同様にして、かつての宿主を滅ぼしたあたし達に節操無くも新たな能力をもたらしてくれた力は、進化と呼ぶべきそれらに伴った変容をも引き起こしたのだ。
ちょっと肌の美白が行き過ぎて、目の色だとか髪の色だとかが誰かさんそっくりに変わった、その程度だと思っていたのだが――

「時間の壁を越えたんだったっけ? 無茶したからねぇ……。力を一気に解放したついでに、見かけの方も使徒っぽさ全開になったんじゃないかな」

無責任に思い付きを挙げてみせるシンジ。
『あんたの保証を信じたあたしがバカだったわよ!!』と仕置きをくれてやりつつ、あたしは考えた。

元は人型で安定していた身体だ。
シンジの言う通り、この姿は一時的に極大化させた出力に対応した形態をとったものなのかもしれない。
既にその必要は済んだのだから、或いは元通りの形状に収束するかもしれないわ―― と。



◆ ◆ ◆




「ええ、ええ……! 甘い事考えてたあたしが、やっぱりバカだったわよ!!」

この世界に来て5年ほど経っても、まだあたし達はぐねぐねのウジャウジャだった。
ついでに、時間を遡ったと思ったのも間違いだった。
ここはあたし達の世界とは違う世界、パラレルワールドだ。
同じ過去から異なる可能性の元に分枝し、平行して存在する数多の―― そして微妙に異なった世界。その一つ。
決して過去に戻ったわけではなく、たまたま時間の流れ方が「故郷」よりも遅かったが故に、スライドしてきたあたし達から見ればそこは過去のように思えたという、それだけのこと。
平たく言えば、使徒の力を飲み込んでまで敢行した一大決心はかなり部分で失敗に終わったということだ。

「こんなザマじゃ、人生の楽しさを取り返すどころじゃ無かったし……!」
「スリルだけはてんこ盛りだったけどね。死にそうになったり、物騒なのに追い回されたり。なんかもう……僕ら、どこに行ってもこればっかりだねぇ」
「あんたが言うな……! あんたがーっ!!」
「はっはっは、痛いよアスカ。ツノ、折らないでってばさ。折角直ったばっかりなんだから」

腕の先を巻きつけてやった初号機譲りの一本角を庇って、シンジが言う。
ついさっきまでは根元から切り落とされていたが、今はシュウシュウと湯気を立てながら治癒が進んでいる。
あたしの右上と左下の眼も同じだ。
ケガをさせてくれた連中にはきっちり報いをくれてやったから、今は全員揃ってそこらで死体に変わっていた。
ボディアーマーを着込んだ重装備。肩に付いた十字架のエンブレムは、警察特務の六芒星と並んで良く見かけるもの。あたし達のような「妖魔」専門の特殊部隊だ。

『よっ』とシンジが片手(?)を上げて挨拶すると、知り合い妖魔のダミアが口に一人咥えたまま飛び立っていった。
ドイツからはるばる旅をして、まだまだ整備中の第3新東京市にやっとこさ辿り着いたばかりのあたし達に、バチカンから追っ手が出ているとわざわざ警告しに来てくれたやつだ。
何であたし達がバチカンのバケモノ・ハンターなんぞに狙われなきゃいけないかというと、この5年間、細々とやってきたつもりが何故かやけに名前が売れてしまっていたし、あちこちで少しばかり派手目の騒ぎにも巻き込まれてしまっていたからだ。
そうやって因縁が出来てしまったのは、別にバチカン相手に限ったことじゃない。
ついでに知り合いも色々と出来たというわけで、ガーゴイルのダミアはその一人。妖魔仲間の顔役の下で、連絡役のようなことをしている。
……もっとも、そういった知り合い達と言っても皆“バケモノの”なのだが。

そう―― 。驚くべきかな、世界の真実……!
世の中には結構バケモノが多かった。
妖怪だとかと呼ばれて親しまれているように、元々この世界に棲んでいた連中もいれば、あたし達みたく他所の世界からやって来た「異邦人」タイプもそれなりの数がいるらしい。
その手の一人に教えてもらったのだが、あたし達のこの変化は、元の世界とは微妙に異なる法則の下に入り込んだが故の「変質」なのだそうな。
悪魔とか呼ばれたようなおぞましい格好の古株達も、故郷ではそれなりに美しい姿をしていたのだとか。
道理を曲げて、異世界転移という無理を通すその力だ。大きいほどにその世界の法則との反発を呼び、ねじくれた存在として異邦人の異形は度を増すことになる。
そう言ってそいつは、あたし達のバケモノっぷりを羨んだ。
複雑な気分だったが、それだけ大きな力を行使できるあたし達に、実に耳寄りな力の使い方を教えてくれもしたので今はもうどうでも良い。

「さぁってと。邪魔者も片付いたし、さっさと行くわよ、シンジ」
「邪魔者って、酷いなぁ。この人達、多分すっごい良い人達だったんだよ?」
「世の為人の為、バケモノ退治に駆けずり回る裏方さん達だものね。悪いことしてると思うわ。嗚呼、心が痛む―― ってね」
「正義の味方、エヴァンゲリオンパイロットのアスカ様も随分変わったね」
「言ってなさいよ。変わったのはあたしだけじゃないし。……あんたも結構、様になってるわよ。悪者っぷりがさ」
「そりゃないよアスカぁ。僕だって別に好きでこんな酷い事したわけじゃないし、襲ってくるから仕方なく……」

ごにょごにょとシンジ。
あんまり大きく言えないのは、20人以上は居た特殊部隊の殆どを―― それも、かなりの凄腕だったろうにも関わらず、文字通り千切っては投げと片付けてしまったのは自分だからだ。
元から切れるとヤバイ性格だったけれど、こっちに来て更に悪化しているような気がする。
あたしにも自覚はあるし、「変質」は精神にも及ぶと聞くが、ぞっとしない話だ。
自分達が、見掛けのままのクリーチャーに成り果ててしまったとは思いたくない。
だからこそ、

「あたし達はあるべき姿を取り戻さなければならないのよ!」
「だからって……。こっちの僕達の身体を乗っ取るのって、なんか酷くない?」
「イメージ悪いわね。一つになるとか、融合するとか……言葉を選びなさいよ」
「どっちにしたって、やる事一緒じゃない」
「気分ってもんよ」

逢魔が刻と言っただろうか。夕闇の気配が増す街を、ビルとビルの隙間、行き交う車の影、住宅地の塀の裏と、闇から闇に伝いながら言葉を交わす。
どうせその手の特性に秀でた人間にしか今のあたし達を視ることは出来ないのだけれど、逸る心はもう一時たりともの足止めも許せそうに無い。
今度邪魔が入ったら―― 巻き添えも構わず、辺り一面を血の海にしてしまいそうだ。
そんな残酷な笑みに口元を綻ばせてしまうあたしの心は、確かに変質を帯びてきている。

「別にバチカンの連中だとかが憎いってわけじゃないのよ。尊敬だってしてるわ」
「そうなの?」
「ええ。別にね、この世界だけだとも思わないのよ。きっとあたし達の故郷にもあんな人達は居て、そして誰にも知られない戦いで世界を守っていたんでしょうね」
「僕らや、ネルフの皆がそうだったみたいに?」
「そうよ。きっと人類社会のピンチなんてのも、あたし達が知っていたよりずっと有り触れたもので。そして、決して世に知られることの無い英雄達が大勢居て、守ってくれてたのよ」

自分こそが救世主になるのだと、そう粋がっていた頃がおかしくてならない。

「だけどさ。今じゃ、あたし達はその悪者の側だもの。あたし達がただ生きて行きたいって思うのを邪魔してくるなら、仕方が無いでしょう?」

『それに』と、あたしは薄っすら笑う。
適当に足を止めたビルの屋上からは、家路を急ぐ人々の流れが一望出来た。
真正面に見下ろす坂は、忘れられない景色。あたし達の一番楽しかったひと時の、コンフォート17マンションへと続く道だ。
その坂に、長く影を伸ばした男の子と女の子。黒と赤のランドセルを背負った二人が、並んでゆっくりと歩いていた。
何事か笑い合い、仲良く手を結んで。

「僕たちだ……」

そんな平和そのものの様子に、ぽつりと隣から漏らされた声だった。

「羨ましいのはあんたもでしょ?」

シンジは黙ったまま頷いた。

「幼馴染みなんですって、“あたし達”。ああやって帰って、家ではママ達が待ってるのよ。暖かい夕ご飯を用意してね……」

返される言葉は無くとも、その心の内は手に取るように分かった。
『どうして?』と、その一言だけで埋め尽くされているに違いない。
あたし達にはあんなにも世界は冷酷だったのに、どうしてこの世界はここまで優しいのだろう。
あたし達とあの二人と、何がそんなに違うというのだろう。

「気に病むことは無いわよ。あたし達があの子達から幸せを分けて貰うように、あの子達ももっと幸せになれるわ」

詭弁だと分かってはいた。
ただ、罪悪感を凌ぐ嫉妬に、言い訳を付けたいだけ。

「一つになって……あたし達の力も、あの子達のものになるの。それこそやりたい放題し放題よ。出来ない事はなに一つ無いもの。あたし達に優しくない全てを、今度は力ずくで跳ね返して―― 逆に叩き壊してやれる。その力があるわ……」

さぁと、あたしはシンジを誘った。
バラ色のやり直し人生へと、今度こそ生まれ変わるために。



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Original text:引き気味