はぁ、と碇シンジは溜息をついた。
 どうして彼女はこうも無頓着なんだろうと。
 彼の目の前にあるのは幼馴染みで同級生の惣流・アスカ・ラングレーの個人端末。
 春休みの宿題を「とっとと片付けてしまう」ために少年の家へ押しかけてきた少女が持ってきたもの。
 「口やかましくお節介」と碇シンジをときに辟易させるアスカはしかし、自称するだけあって非常に聡明だった。
 彼が課題に詰まるためにすぐ隣にぴったり腰掛ける少女が、「ったく、どうしてアンタって分からないのかなぁ」とつぶやきながら見せるそのスクリーンには完璧な答えがあったのだった。
 彼はいささかばつの悪い表情でそれを写そうとするが、美しい幼馴染みはそれを許さない。
 まるで担任の葛城ミサトのような口調で、「さぁ、碇シンジくん、どうしてそうなるのか考えましょうねー」と少し意地悪な笑顔で訊ね、ヒントを小出しにするのだった。
 「ったく、はやく終わらせたいんだったら、そのまま写させてよ」唇を尖らせるシンジの頭はごつんと小突かれた。
 「だめよ、それじゃアンタのためにならないじゃない」しかし少女はとても楽しそうだった。

 そうして宿題もほとんど終わりかけ、夕日が部屋に差してくるころ、彼女は「ちょっとトイレ」と言って席を立った。
 なかなか戻ってこない少女の端末から答えを写そうとしてのぞき込んだ少年の目の前に、それはあった。



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Date: Wed, 1 Apr 2015 13:38:57 +0900 (JST)
From: "Asuka"
Subject: あしたの"Party"どうする?
To: "Hikari"
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 あしたの"Party"……どうする?
 「みんな優しい人ばっかりだから大丈夫」ってあのコたち言ってたけど……。

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惣流☆アスカ☆ラングレー
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Date: Wed, 1 Apr 2015 13:54:35 +0900 (JST)
From: "HIKARI HORAKI"
Subject: Re:あしたの"Party"どうする?
To: "ASUKA"
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 アスカ、ちょっと、こんなことやめたほうがいいよ。
 おおごとになっちゃうよ!

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HIKARI HORAKI(洞木 ヒカリ)
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Date: Wed, 1 Apr 2015 13:38:57 +0900 (JST)
From: "Asuka"






 それは惣流・アスカ・ラングレーの書いたメールの画面だった。
 シンジが苦戦している間に少女は親友とメールをやりとりしていたらしい。
 それは彼が見てもいいものだとはシンジ自身も思えなかった。
 だが、気になってしまうのだ。
 それに少年のことはなんでも知りたがるくせに、「そ・れ・は・ナ・イ・ショ」とくすくすにんまり笑うことが多いアスカの書いたこのメールは、どこか奇妙なところもあった。
 シンジは少し溜息をついてからカーソルキーを押した。



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Date: Wed, 1 Apr 2015 14:02:12 +0900 (JST)
From: "Asuka"
Subject: Re[2]:あしたの"Party"どうする?
To: "Hikari"
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 えー。大丈夫だって。
 みんなやってることだよ。
 飲み物も美味しいんだって。
 それに、みんな優しくしてくれるから、気持ちいいうちに終わっちゃうよ。

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惣流☆アスカ☆ラングレー
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Date: Wed, 1 Apr 2015 14:05:18 +0900 (JST)
From: "HIKARI HORAKI"
Subject: Re[3]:あしたの"Party"どうする?
To: "ASUKA"
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 だから、やめなさいって。
 だいたいお酒なんて飲んだことないくせに。
 アスカだってわたしと同じ中学生なんだから、そんな駆け引きしなくても。

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HIKARI HORAKI(洞木 ヒカリ)
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 「いったい……なんのパーティなんだろ」少年は首をひねる。
 少なくとも、そのパーティに彼は誘われていないことは確かだった。
 「自分だけ……参加するんだ。ずるい」つぶやいたシンジの表情が少し強ばった。

 ……優しい人ばっかり
 ……みんなやってる
 ……飲み物も美味しい

 「ちょ、ちょっと、それってその、『合コン』ってやつ?」
 合コン……異性とお酒を飲み、親睦を深めるもの。
 少年の知識によるとそれは少なくとも、ある程度大人とみなされる年齢でなければしないはずのものだった。
 さらに「気持ちいい」となると……。
 ときおりクラスでひそひそとささやかれる、すこしいかがわしい「コンパ」なのだろうか……?
 あわただしく彼の指がキーを押した。



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Date: Wed, 1 Apr 2015 14:08:49 +0900 (JST)
From: "Asuka"
Subject: Re[3]:あしたの"Party"どうする?
To: "Hikari"
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 ったく、ヒカリったら固いんだから。
 想像してみてよ。
 お化粧して、ちょっとオトナっぽい格好のアタシたちを大学生の男のヒトたちがちやほやしてくれるんだよ。
 アイツとは違って、アタシを宝物みたいに扱うんだから。
 大学生の男のヒトたちが、アタシたちの言うことをなんでも聞いてくれるんだよ。ぞくぞくしない?
 何人もいるうちから格好いいヤツだけに甘えてあげたり、「ゲームに勝った人だけにご褒美あげる」って言ったらみんな目の色変わっちゃうんだよ!

 それにね、それにね。その……キスだってすごく上手なんだから!

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惣流☆アスカ☆ラングレー
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 「あ、アスカったら……合コン、したこと、あるんだ……」
 少年は汗をかいていた。
 どうもアスカは親友のヒカリをコンパに誘っているらしい。
 そして、その「コンパ」では少女たちはオトナとして扱われるのだ。
 「それに……キスなんて」
 ごくりとつばを飲む。
 彼の前では男の子のような口を利くくせに、学年どころか学校中でも一、二を争う美少女である惣流・アスカ・ラングレーが、年上の男たちとキスに興じているさまを想像してしまったのだった。

 きっとその「合コン」はやや薄暗い照明のなかで行われるのだろう。
 そこでもアスカは中心にいるのだ。
 他にも可愛らしい少女や、少し大人びた女子大生も参加しているかもしれないが、男たちが注目し、熱い視線を注ぐのは碇シンジの幼馴染みの少女にちがいない。
 そこでアスカは短いスカートに身体の線が出たトップスを身にまとい、メークのおかげで少し大人びた雰囲気の彼女は、男たちに挟まれて低いソファーに腰を落とし、はやされるままにお酒を口にし、上気し少しとろんとした表情で彼らと口づけを交わすのだろうか。

 ぶるっと彼は躰を震わせた。
 ごく幼い頃はアスカが彼のほっぺにキスをするのは日常だった。
 だが、いつしかその習慣はなくなり、それどころか「本物のキス」をしようなどと考えもつかないほどに、少女は勝ち気になり、同時に輝くばかりの美しさを身につけていた。
 そのアスカが、彼よりもはるかに女性の扱いに長けた若者たちに囲まれ、唇だけではなく舌をも使った粘っこいキスを次々と交わす光景を想像してしまったのだ。
 いや、果たしてキスだけで済むのだろうか。
 そのことに気付いて彼は愕然とする。
 叩きつけるようにシンジはキーを押した。



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Date: Wed, 1 Apr 2015 14:15:03 +0900 (JST)
From: "HIKARI HORAKI"
Subject: Re[5]:あしたの"Party"どうする?
To: "ASUKA"
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 もう知らない。
 どうなってもわたし、知らないからね!!!!

 アスカ、不潔!!!

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HIKARI HORAKI(洞木 ヒカリ)
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Date: Wed, 1 Apr 2015 14:18:25 +0900 (JST)
From: "Asuka"
Subject: Re[6]:あしたの"Party"どうする?
To: "Hikari"
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 はいはい。
 まったくぅ、ヒカリもアイツみたいにオコサマなんだからー。
 ほんと、すごいんだよ。
 みんなに見られながらスるのって。
 身体中をたっくさんの指がさわさわーって撫でてくと、頭がぼーっとしてくるんだよ。
 でもでも、身体中をペロペロされるともっと凄いけどさ。



 「『それにね、それに、オチンチンの形っていろいろなんだよ』って……そんな、そんな!」
 碇シンジのつぶやきはもはや悲鳴だった。
 彼の幼馴染み、彼が気兼ねなく駄々をこねたり気安く電話することができた少女は、つれだって歩いているときに浴びる視線が秘かに誇らしい惣流・アスカ・ラングレーは一足早く大人になっていたのだった。
 それどころか彼女は大学生たちとの淫遊戯に「ハマって」しまっているのだ。
 きっと、きっとそうなのだ。

 薄明かりのなかで男たちと身を寄せ合い、アルコールに上気した頬に男が口づけてもうっとりくすくす笑ったままで、それどころかスレンダーで柔らかな身体を弄られても「やだぁ、えっちぃ」と拒絶とはほど遠い甘え声をあげるだけなのだ。
 「アスカちゃんのオッパイ、柔らかいねぇ」といやらしくしたから持ち上げた指がふにふにぐりぐり動いても、「あ、あは、ああ、もう、もう少し優しくしてよぉ」とはいうものの、けっして身をかわそうとはしない。
 さらには胸の先端の尖りを発見されて爪でこりこり悪戯されて、「あ、バカ、バカ、ばかぁ、くすぐったいのぉ」と嬉しそうに叫んでしまうにちがいない。
 日本人離れしたすらりとした脚を撫で回され、太股の奥まで這い上がった指がスカートの奥の感触を楽しみはじめても逆らうはずもない。すっかり湿ってしまったショーツ越しに女性の部分をくりくりすりすり意地悪されて息を荒げてしまうのだろう。
 他の女性「参加者」同様に衣類を剥ぎ取られ、輝く裸身を鑑賞されるのことはもはやアスカにとっては「気持ちの良いこと」なのだろう。
 「身体中をペロペロされる」ときの声をカラオケマイクで増幅されても、それを恥ずかしいこととはもはや思えない。むしろそのあえぎ声は彼女の情熱をさらに高めてしまうだけのこと。
 幼馴染みの額を弾いたしなやかな指で、剥き出しになった大学生達の肉棒を愛撫し、その熱さと硬さに舌足らずの賞賛の声を上げるのだ。
 甘く口当たりの良いアルコール飲料と、たばこ臭くて淫らに動く舌を受け入れていた唇に雄のペニスを迎え入れることにも躊躇などないだろう。
 アルコールと淫靡な雰囲気と快楽に飲まれてしまった碇シンジの幼馴染みは、年長男性達の要求に唯々諾々と従って、ペロペロとその異臭を放つ雄棒を舐め回し、ちゅうちゅうと吸うようになる。
 「アスカちゃんって本当に上手だねぇ」と艶やかな髪の毛を撫でられるとさらにさらに熱心に男達の剛棒に愛らしい唇で奉仕してしまうのだ。
 牡たちのペニスの生々しい匂いをたっぷりと吸い込み、先走り汁を舌が痺れてしまうほど味わっているうちに惣流・アスカ・ラングレーは「それ」に支配され、「それ」のことしか考えられなくなってくる。
 「アスカちゃん、オレたちのチンポ、おいしい?」と訊ねられると頬を染めてこくりとうなずいてしまうまでに堕落してしまうのだ。
 そうしてついにはまだ飾り毛もまばらな陰花から本気汁を分泌させ、ちいさなお尻をひくひく振って無意識のうちに肉の交わりを求めてしまう。
 他の「参加者」同様に男の膝の上に乗せられて、大股開きの背面座位の体制で「せーのーで」とペニスをずぶりと埋め込まれると、名前もよく知らない男のものを狭くてしかし柔らかく、灼熱の肉襞できゅうきゅう締め付けて甘く切ない歓びのコーラスをはじめるのだろう。
 ビデオカメラや携帯電話のレンズが向けられていることなど気にもせずに、他の参加者と同じように腰をうごめかしつつ快楽を貪ってしまうに違いない。
 当然「中に出される」ことについての禁忌もない。
 「ゴムなんか付けたら、ぜんぜん気持ちよくないんだよ」というささやきを真に受けて、どろどろした白濁液をおんなの奥にまで注がれることも許してしまう。
 どくどくした液体が子宮に注がれる感覚にぞくぞくと背筋を震わせて、感極まって涙を流すほどなのだ。
 ひとりが満足すれば、次の男が少女にのしかかる。
 ソファーに押し倒されて、大きくM字の開脚姿勢で正常位のセックスとなったときは、少女の細い両手は男の背中にしっかり回り、ぴったりと肉体を密着させて、激しく叩きつけられる男の腰の動きを楽しんでしまう。
 ぱんぱんと淫らな音が響くたびに彼女の手首に付けられたキャラクターものの腕時計……それは少女が碇シンジに強引にねだってプレゼントさせたもの……を揺らしながら。
 「3P」を提案されても拒否などできるわけがない。
 つやつやした唇に硬いペニスを銜えさせられ、同時に子宮をずんずん突かれるとセックスの悦びを覚えたばかりの早熟少女はなすすべもなく快楽に溺れ、喉奥に、子宮に注がれる熱いザーメンの感覚に全身を震わせて感謝を表してしまう。
 「女子中学生の串刺しなんてめったに見れないよなぁ」という男達の声も気づくはずもなく、「普通、あそこまでやらないよぉ。あの子、スキモノ?」という同性の侮蔑の声も聞こえるはずがない。

 そう。
 いつしか惣流・アスカ・ラングレーは「パーティの王女様」から「男たちの欲望を満たすための幼牝」へと存在を変えている。
 だがもちろん彼女はそれに気がつかない。
 輝くばかりの紅茶色の髪を振り乱して男の上にまたがって、腰を突き上げられてはあんあん鳴きよがり、あるいは安っぽいカーペットにひざまずいてアナルに悪戯されつつ後ろから貫かれてよがり泣く彼女が分かるはずもない。
 「一番たくさんナカダシされた」ことを「一番最後までお兄さんたちがアスカと遊んでくれた」ことこそが自分の価値の表れだと思ってしまうようになった彼女には。
 背伸びをしたがる早熟少女を言葉巧みにセックスの虜にしてしまった男たちに嘲笑われていることも、その美しく愛らしい、瑞々しい一四歳の肉体がペニスの快楽に震えるさまを撮影され、「パーティ」のたびにネットに流れていることも知るよしがない。
 それどころか「クラスのお友達もぜひ連れておいでよ。アスカちゃんだけこんな素敵な経験をしているのはずるいって思われちゃうよ」と提案されると。「う、うん、そうする!」と嬉しそうにその男にキスしてしまうのだから。

 そう。
 惣流・アスカ・ラングレーは幼馴染みの宿題の手伝いをしているときも、「パーティ」の快楽に身体を火照らせ、むっちりとした太股の付け根をぬるぬるさせながら親友である洞木ヒカリを淫らな罠へと「誘惑」していたのだ!

 もしヒカリがこの「パーティ」に参加すれば、彼女は惣流・アスカ・ラングレーと同じ罠に落ちるのは間違いないだろう。
 いや、今回はアスカ自身が「罠」の役目を果たすのだ。
 きっとアスカは親友である「委員長」に「駄目だよぉ、こんなところで真面目ぶっててもつまらないオンナだと思われるだけだよ」と言葉巧みにアルコールを勧め、生真面目ゆえに自分よりも性的なことに関心の高い彼女の欲望と劣等感を煽って異性との親密な身体接触を許させ、緊張と酔いで判断力が衰えたところで少女のプライバシーを暴いてゆくにちがいない。
 好きな異性はいるのか。
 キスの経験はあるのか。
 セックスの経験は。
 自慰はするのか?
 「大丈夫だよ、みんなおんなじだから」とのおためごかしに勇気を振り絞って答えているうちに、自身の言葉に欲情してしまった少女は「ちょっといいかな」と思っていた年上の男性のひとりにぎゅっと抱きしめられて、どうしようもなく鼓動が高まったところで唇を奪われてしまう。
 そうなるともう少女は彼らの思いのまま。
 すぐ隣で美しい友人がしているように、男の首に手を回してうっとりと舌を絡めてのキスに夢中になるまで数分もかからない。
 キスの合間の優しい言葉と甘いアルコールで全身を熱くした女子中学生は、男達の指がお洒落なワンピースのボタンをつぎつぎと外してゆくことにも気づかない。
 少女の親友がそうだったように途中で「我に返っても」、やはりそのクォーター少女同様にショーツとストッキング以外を剥ぎ取られてしまっては逃げ出すことなどできない。
 華奢な肩を掴まれるとソファーに押し倒されて、男達の指と舌がみずみずしい肌を這うようになると可愛らしい声で「あっあっ」と鳴くことしかできなくなる。
 逃れようとしてもあちこちから伸びてくる手にがっしりと掴まれ捉えられ、表に裏に返されて全身にキスマークが付けられては、彼らの行為を快楽を受け入れる以外の選択肢が洞木ヒカリにはなくなってしまう。
 そうして優しい、お節介焼きのクラス委員長はカメラのレンズが並ぶなかでロストバージンするのだ。
 名前すら知らない年上の男に組み敷かれたヒカリは、男に命じられるまま(おとがいまで唾液でどろどろになるディープキスのあとなら、もはやどんな言葉にも彼女は従ってしまう)大きく膝を緩めるのだった。
 「大丈夫、ダイジョーブ、あれだけイったから、ヒカリのココはもうどろどろだからね」と指二本で掻き回されて甘え泣きしているうちに、硬く熱いペニスの先端に狭い処女花をこねくりかえされ、じりじりと穿たれるのだ。
 「ああ、ああ、い、い、いたぁ……いぃ」と泣きじゃくるさまも、純潔の紅い証が男のペニスの動作とともに滲み出るさまも克明に記録されるのだ。
 彼女のすぐ隣で彼女と同じポーズで男に貫かれて「あ、ああ、ああ……ヒカリ……も、すぐに、すぐに、よくなる……よ。大丈夫、ね、ね?」と感極まった声をあげる、クォーター美少女と同じフレームに収まって、洞木ヒカリはついにやがて、ペニスの動きとともに甘いあえぎをあげるようになるのだ……。

 そう。
 アスカは、アスカはもはや卑劣な若者たちの為の淫らな道具になってしまっているのだ。


 「アスカったら……アスカったら……ひどいよ……そんな……僕だって、僕だって、アスカのこと……」
 碇シンジはふらりと立ち上がる。その瞳は怒りと欲望で濁っていた。
 ドアを開け、呼吸を荒げたままゆっくりと歩いてゆく。

 やがてキッチンからアスカの悲鳴が聞こえてくる。
 「あ、お茶の準備できたから……え?わぁっ!バカぁ、シンジ、アンタなにをするの!ちょ、ちょっとやめなさいってば!見たわね!アンタ見たのね?」
 「アスカぁ!どうして、どうして!どうして!」
 「落ち着きなさいってば!アンタ、ちゃんと見たの?」
 「見たよっ!見たから……僕、僕はアスカを、アスカのことを……」
 「こら!こら、そんな乱暴……きゃぁ、ばかぁ!あ、わ、やだぁ、あ、あのね、シンジ、落ち着いて……」
 「やだ!いやだ!」
 びりびりと繊維が引き裂かれる音、少女の悲鳴。




【未送信】
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Date: Wed, 1 Apr 2015 16:18:49 +0900 (JST)
From: "Asuka"
Subject: これ読んでるバカへ
To: "SHINJI"
CC: "HIKARI"
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 ヒトの端末かってに見てるバカへ。
 メールの日付に注意なさい。
 「1 Apr」よ、ほらほら。

 これでアンタが変なこと想像したら、それはアンタがスケベでバカってことなんだからね!
 (元ネタはヒカリのおねえちゃんのトコロからこっそり借りてきたレディコミでーす。感謝>ヒカリ)

 幼馴染みのプライバシーを覗こうとしたこと!
 幼馴染みの純真を疑ったこと!

 二重に断固、反省なさい!!!

 追伸:ヒカリ、あとでシンジにおごらせるから、そのときはヒカリもいっしょにね(はぁと)

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惣流☆アスカ☆ラングレー
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 「こ、こらぁ、アンタ、ちゃんと最後まで見たんでしょうね!あ、バカ、そんなとこ舐めちゃだめ、汚いから、その、さっきまでトイレ……あ!やだ、あ、あ、ばかぁ、ばかぁ……もう……あ、あッ、あは……もうっ、あ……は……あン……はぁ……」
 「アスカぁ、アスカぁ……アスカぁ……」

 美しく愛らしい幼馴染みの声がしだいに諦観と期待にとろけ始めていることに、碇シンジは気がつくはずもない。
 もちろん、惣流・アスカ・ラングレーのメールの最後のくだりについても、当然気がついているはずもない……。



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Original text:FOXさん
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(6)