INNOCENT TABOO Short Shorts / ケンスケの疑念

Original text:引き気味


 中学二年の自分が、まだランドセルを背負って小学校に通っているような“ガキんちょ”を羨ましく思う。
 所詮はこちらも同じ“ガキ”にすぎない十四歳坊主。それが『小学生のくせに』と上から目線でものを考えている滑稽さも含めて―― 格好の悪いことだとは思うのだ。ケンスケも。
 だけど、でも、なのだった。
(チャンスを貰うのが遅かったか早かったかくらいだろ? あいつらと俺たちの違いって)
 得意げなムサシにまた自慢話を聞かされていれば、つまりは面白くないのである。
 無意識の内にながら、このごろ急速に“牡”としての性(さが)が強まってきている脱童貞したての少年としては。

―― で、俺たちさっそく試してみたくなってさぁ。呼び出してジッセンしちゃったわけなのよ。例のドレイちゃんたち相手に」
 『なぁっ?』と肘でつついて隣りに座り込むコンビの相棒ケイタに頷きを返させるムサシは今日も絶好調だ。
 いつもの土曜午後。いつもの碇家リビング、“レッスン”の場。
 車座になって支度中のユイを待っている少年たちは、みな等しくここで開かれている英会話教室を理由に碇家に出入りするユイの歳下の愛人たちであり、その実、性に開放的であり過ぎる人妻が施す淫らな英才教育の生徒たちであった。
 ムサシ、ケイタと同じ小学生が殆ど。その中にケンスケとトウジの二人だけが、なんとなく居心地悪く混ざっている年上組だった。
 行儀良くきちんと畳まれた洋服が何着も壁際に置いてあるのが示す通り、既にパンツすら誰も穿いてはいない。
 そして股間にはつるりとした幼い肉茎たちが各々の角度でもって屹立しているのである。
 今日もこの後すぐにもあの美しい人妻コーチの媚肉を心ゆくまで堪能出来る。その期待感でもって幼さに不釣り合いな類の昂ぶりを育てている彼ら。
 そして、前座の肴としてムサシがディスクに入れて持参してきたポルノムービーを再生している、彼らの囲むノートPCには、コンクリート張りのいかにもジメジメとしていそうな床に―― 窓のない背景といい多分これはどこかの家の地下室を撮影現場にしているのだろう―― 並べられた何枚かの写真に、四つん這いで姿勢を低くして舌を伸ばす、全裸の女性が映し出されていた。
 動画ファイルに添えられていたキャプションは『オカズにされたてほやほやのMYヌード。ザーメントッピングで大好物ごちそうさまのM嬢ちゃん』。
 インディーズのポルノムービーであるらしい映像状態の悪さはあるが、次々に大映しになる写真一枚一枚が写した主演女優の素人らしくどこか拙いセクシーポージングと、それに浴びせられた精液ごと自分のヌード写真を舐める横顔という倒錯的な構図は、ネットでさんざん地下ポルノを漁ってきたケンスケにとっても、視線を吸い寄せられる卑猥さがあった。
 たとえ、その主演女優がおせじにも良いスタイルだとは言い難いぽっちゃり体型で、これまた美人と呼ぶには微妙な目鼻立ちをしていたにしても。
(ムサシのやつ……)
 唸らされるケンスケだ。
 ―― これを実践したというのか。
 この、えらくフェチなシチュエーションのプレイを。
 話に聞かされるところ相当の美人であるらしい、その、ムサシ自慢の“ドレイちゃん”二人組相手に。
(小学生がよ……)
 まさかと思う気持ちは当然ある。まさかこいつらなんかが。だって、どんなにマセてたって結局は小学生なんだぜ? 背だって全然俺らより低くて、イケメンだとか男らしさだとかいうよりただただ生意気なだけの、本当の本当にただのクソガキ悪ガキ、ガキ大将坊主でしかないのにさ―― という、どっちかと言えば“信じたくない気持ち”がだ。
 しかしただ一点、この日焼けしきった浅黒い顔で生意気そうに『へへっ』と笑っている悪ガキムサシ、そして対照的にずいぶん引っ込み思案に見えるコンビの片割れケイタには、共に明らかに認めざるをえないアドバンテージがある。
 ケンスケやトウジではまだ追いつけていないアドバンテージ。今からでは変えようがないアドバンテージだ。
(くっそ、俺たちももっと早く碇ンとこのおばさんが“こんな”だったんだって知ってりゃなぁ……)
 ムサシ・リー・ストラスバーグと浅利ケイタ。
 この二人の小学生は、ケンスケとトウジが揃って碇家の美人主婦、ユイに童貞を卒業させてもらい、様々な悦びに満ちたセックスの世界へ導いて貰うようになるよりずっと早く、彼女の幼い愛人の立場を手に入れていたのだ。
 まだケンスケが何も知らずにいる頃。友人である碇シンジの母親をただ綺麗な人だよなとしか思わず、淡く真っ当なかたちで憧れていた頃。その頃にはもう、ケンスケには想像するだけだったユイの裸を好きなだけ実際に眺め回していて、好きなだけその魅力的な乳房を揉みしだいていて、そして人妻の熟れた膣で何度となく思い切りの中出し射精をさせてもらっていたというわけだ。
 これだけでも充分すぎるぐらい羨ましいのに、他にも“レッスン”に加わった特典としての他のメンバー女性たちとの経験を重ねていて、しかも、
(肉奴隷調教してる女の子がいて、何でも言うこときかせられるって―― 。ほんとマジかよ)

 どんな顔をしたやつらなのだろう。その、十歳そこそこの小学生の性奴隷をやっている二人というのは。
 歳下に対する嫉妬は同時に、そんなムサシたちに奴隷呼ばわりされるぐらいの従順さで肉体関係を続けているという相手たちへの興味に繋がる。
 自慢をされるたび、毎回のことだ。
 そんな考えが周りの少年たちに通じていたわけでもあるまいが、
「すっげ。これ本当にあの姉ちゃんたちにやらせたって?」
「見せて、見せて! なぁ、当然撮ってんだろ? いつもみたいにさ」
「だぜ、だぜー! 証拠写真、見せろってばよ」
 ムサシの自慢に色めき立った少年らが、口々に言い募る。
 ケンスケも全くの同感、同じ気持ちだ。写真が、動画が撮ってあるのなら俺にもぜひ見せてくれよと思うのである。
 だけど、どうせなぁ……と、口を開く気にもならなかったケンスケの様相は早くも渋さに満ちていた。
 ムサシが答えるより前から分かっていた『後でな』という毎回の蚊帳の外扱い。ケンスケの予想通り、つまるところは今回もそれなのだった。
「悪ぃ〜なとは思うんだけどさ」
 ケンスケとトウジに向かってムサシが言う。
「ユイ先生から許可が出ねーと、ケンスケ兄ちゃんとかトウジ兄ちゃんには言えないことになってるから」
「毎度毎度そのネタになるといっつもこれや。ほんまきっついで。ムサシもケイタも、おどれらも、薄情モンやもんな」
「だから申し訳ないなーって。ユイ先生に言ってくれよ〜」
「わーっとる、わーっとるがな。ワシらのやっとることは人に知られんようにしとらなあかん事ばかりなんやし、万が一があったらっちゅうことで、互いのことでも知らんでおいてええことは普段から内緒やっちゅうんだろ? わかっとるがな」
 ぼやくトウジにも理屈は理解できていたことだろう。
 積極的に意識を切り替えるように、その後のトウジは次の週の夏祭り用にと新調した浴衣を着て(当然、下着はつけずにだ)現われたユイの美しさを褒めちぎり、そのたくし上げられた裾の中に顔を突っ込んで、人妻の秘所を舐めしゃぶりたくって奉仕することに夢中になっていた。
 しかし、ケンスケはずっと意識の片側で気に留めたまま、考えを巡らせ続けていたのだ。
(ムサシのやつ、あそこでシンジの名前を出したら一瞬ずいぶんと間の抜けた表情しやがったよな。シンジにも内緒にしてんだよなって訊いたら、さ)
 それは改めて尋ねられるまでまるで考えていなかった風の、虚を突かれた様子であったように見えたし、その途端沸き上がった感情を強引に隠したような、曰くし難い表情であった。
(にやけてやがった)
 あれはそう、自慢したくて自慢したくてしょうがないことがある時の、そんな時のムサシが見せる態度だったように思う。
 そのことがケンスケには気になってならなかったのだ。
 それこそが、自分たちには秘密にされ続けている“ドレイちゃん”の正体。ムサシ、ケイタが肉奴隷調教を施している相手とは何者なのかを解き明かす、重大なヒントであるように思えて。

 そんな、小骨のようにケンスケの記憶に引っ掛かって、後々まで事あるごとにふっと思い出すことになっていたこのやり取り。全てがリンクし、真実を明らかにしてくれたのは、彼ら二人がユイの他にもう一人、極上の人妻美女と愛人契約を結ぶようになってから後のことだった。
 彼女の名は、惣流・キョウコ・ツェッペリン。
 すなわちケンスケたちのクラスメート、惣流・アスカ・ラングレーの母親。
 この、ケンスケたちとは接点の多さのわりに今日までついぞ友好的な付き合い方をすることのなかった高飛車娘とは切っても切り離せない位置にいる美女を、彼らが征服してのけたことによって、事態は大きく様変わりしはじめ、やがて一変する日を迎えるまでになったのである。
 そう、その日。他ならぬアスカが、潔癖症の権化であるかのごとく振る舞っていたあの少女が、自分の母親とケンスケたちが肉体関係にあることをいつのまにか知っておきながら、黙って事を荒立てずにいたのだと判明した―― それどころか、娘なら遅くまで帰ってこないからというキョウコの誘いでこそこそ3Pプレイに耽っていた彼らの寝室を、いつの間にか戸の隙間から欲情もあらわな眼差しで覗いていたのが知れた、その日から。



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From:【母子相姦】淫乱美母ユイ3【寝取られ風味】