INNOCENT TABOO Short Shorts / トウジとアスカの場合、翌朝

Original text:引き気味


「アス姉、おっ早ーっ!」
―― ひゃう!? っ、ッっ、このエロガキー!!」
 通勤通学の人混みでごった返す朝の坂道。近くの中学の制服を着た、知り合いなのだろう年上の少女を追い抜きざまに、スカートのお尻にタッチしていく小学生。
 どこか絵に描いたような、微笑ましい子供たちのやり取り。
 いちいち性的な要素をそこに見出して眉をひそめたりするような人間がいるわけでもなく、たまたま居合わせていた通勤中のサラリーマンたちも『朝から災難だったね、お嬢ちゃん』と苦笑いをするぐらい。
 むしろ好ましげに、その慕われている様子に頷いていたりもする。
 顔を真っ赤にして、ダッシュで逃げていく悪戯小僧に怒鳴っていた綺麗な金髪の女の子―― アスカにしたって、これはあのムサシという悪ガキと交流が出来てしまって以来の慣れっこ、お定まりの挨拶イベントでもあった。
 この短気な先輩をからかい慣れたムサシが今朝も実に手際よく一撃離脱を果たし、さっさと安全圏まで逃げていったからというわけでもないが、
「後でとっちめてるんだから」
 で済ませて、プンスカ頬を膨らませて済ませる程度のことでしかない。
 毎日のことではないにしても昨日もそうだったのだし、土日を挟んだ先週も同じだった。

 ただ、今朝のアスカは全然追いかけようともしなかっただけ。
 ワンパターンと化していたイベントに生じていた、取り立てて意味を見出すほどでもないイレギュラー。
 イレギュラーだと看做すほどのこともない、この些細な違い。
 そう―― アスカは見せたつもりだった。
 つもりだったのだ。
 が、そう見せたつもりの相手の悪ガキ小僧、ムサシ・リーは、ただ見かけ通りの小学生坊や扱いで済ませられるタマではなかったというだけのこと。
 やはり甘く見て良いようなお子様ではなかった。
 後になってしまえば、それに尽きた。
 あの端倪すべからざる碇ユイの弟子であり、
『なんたったさ、アス姉のことはよっく知ってるもん。俺らってばアイジン、なわけだしさ』
 とうそぶくぐらいに、アスカとは不本意ながら「深い仲」だったのであるから。

「キャッ!?」
 その日のレッスン。アスカは休む気でいた。
 だから放課後はレイと下校することもなく、シンジの家にも寄らずまっすぐに自宅へと向かっていた。
 そこを朝と同じように不意打ちしたのがムサシだった。
 『何よ!?』と言わせる暇も与えられない。
 夕方の住宅地、人目を気にしないで良い場所とは違う普通の道ばたでいきなりスカートめくりをしかけてきた悪ガキの手が、殆ど一繋がりになった鮮やかな所作でパンツまで半ばずり下ろしてしまったものだから、アスカは可愛らしい悲鳴を上げてしまっていた。
 こんなところで半ケツ晒す羽目など、いくらこの頃ムサシに悪戯されてばかりとはいえ「慣れた」で済ませられる範疇ではない。
 咄嗟の羞恥と焦りは、同時に走った鈍い痛みによって倍加もしていた。
 そこを突かれて『やっぱり!』と、ムサシの目に露見してしまった事実を悟った時、アスカはらしくもなく酷く動揺してしまったのだ。
 壱中の制服の青いスカートをめくりあげられ、もう片手でずり下ろされたショーツから覗く、アスカのヒップ。
 全てではない一部が晒されてしまったに過ぎなかったが、常とは違う異変がそこに生じていたことは一目瞭然だったろう。
「腫れてるじゃん」
 ムサシが指摘する。
「これさー、叩かれたんだよね?」
「っッ!」
 本格的に痣になっていたわけではないが、本来真っ白な肌をしているはずの表面に鮮やかに刻まれた、アスカが前夜受けた仕打ちの痕跡。
 それが誰かの手形が重ね付けられた後だと見抜けるのは、どんな類の経験によるものか。
「そっかー」
 美少女の顔は一気に青ざめた。
「は、放しなさいよ! こんなところで、な、なにしてくれんのよっ」
「良いけどさ」
 軽く言って手を引っ込め、肩をすくめたムサシはしかし、アスカの動揺をいや増しにさせる言葉は止めようとしない。
 一言で、アスカを立ちすくませてしまう。
「ケンスケ兄ちゃん?」
「……な、な、何が」
「それとも、トウジ兄ちゃんかな。やりたがりだしたのはケンスケ兄ちゃんが先だったけど、トウジ兄ちゃんも最近好きらしいし」
「何がよっ」
 身を庇うようにしつつの大声は、逆にムサシに『人に聞こえちゃうんじゃない?』と窘められた。
 暗に言っているのだ。誰かの注意を引いてしまうのは、アスカの方が都合が悪いのじゃないのと。
 虚勢は見透かされている。
 アスカの強気のポーズなんて、もう見破り慣れているのがこの悪ガキ坊主なのだから。
「なるほどねぇ」
 ニヤニヤ笑いがアスカを後じさりさせた。
「アスカ姉、寝たんだろ。トウジ兄ちゃんたちと。で、スパンキングプレイと」
―― ッ!! ば、馬鹿ね。誰がそんなこと……」
「そういや、トウジ兄ちゃんたち二人、昨日の晩は途中からずっとどっか行ってたし。アスカ姉がいないのは来てなかったからだと思ってたんだけど」
 深く物を考えるということはしなさそうな、野生児じみた日に焼けた顔つきをしているお子様だのに。どうしてこういつもいつも、アスカの弱みを探り当てるのは上手いのだろう。
 アスカは完全に追い詰められている自分を自覚していた。
(……気付かれた。よりによってコイツに、気付かれちゃった……!)
 気持ち悪い汗がふき出すのを止められない。
「昨晩はお楽しみでしたね、かぁ。あーあ、とうとうトウジ兄ちゃんたちにもアスカ姉のカラダ、食われちゃったんだ」
 洩らす言葉に込められている、嫉妬じみた響き。不吉な予感がアスカを更に落ち着かなくさせる。
 上目遣いに見やってくるこのムサシに、アスカは事実上肉奴隷調教を受けている身だ。
 この、空気。密やかに張り詰めていく、後ろ暗さを伴った淫靡な雰囲気に飲み込まれてしまったが最後。アスカは逆らえなくなってしまうのだ。
 ほんの十一歳そこそこの小学生に対して、いわばご主人様と奴隷とでも例えられる力関係に陥ってしまうのである。
 そして今日も、彼女は逆らうことは出来なかった。
 そのまま再び後ろからスカートの中に入り込んできた手によってヒップを撫ぜ回される。
「ッ……。痛い、のよ……」
「じゃ、こっちも触ってやるよ」
「あっ」
 お尻を押される格好で手際よく誘導されて、何度かこの道で同じように従わされてしまった時に利用した路地裏に連れ込まれる。
 どさりどさりと傍らに、取り上げられたアスカの通学鞄、ムサシのランドセルが投げ出された。
 そして腰までスカートをめくり上げさせられた尻たぶと同時に股間をまさぐられ、予感をおぼえながらの声を洩らしてしまう。
「トウジ兄ちゃんたち、大喜びだったろ? アスカ姉のこと、いつかあひんあひん言わせちゃる〜って言ってたし」
「あいつらは……、あ、あたしだって気付いてないもの」
「へえっ?」
 どんなプレイで、日頃馬鹿にしているあのクラスメイト達と交わったのか。それを聞き出されるのと平行して加えられるいたぶり、愛撫。
「あっ、あっ、あ……。いたいのは、イヤぁ……」
「嘘つけよ。痛いから余計、びちゃびちゃにしちゃうんだろ? ほらほら、もう濡れちゃってんじゃん。こーの、マゾ姉!」
「うそっ、嘘よっ」
「じゃなきゃ、俺のチンポで掻き混ぜてやったってこんなグチャグチャ音しないって」
 ぎゅっと尻肉に爪を立てられたかと思うと、もうぱくぱくと入り口を息衝かせていたラヴィアに、遠慮のない指が突っ込まれた。
 後ろ向きに差し出されたわれめを押し広げられて、その気の早い潤滑具合をかきまぜ確かめられてしまう。
 愛撫らしい愛撫にもなっていないまさぐり。それだけで十分なぐらい、少女のよく躾けられた媚肉は蕩けきっていた。
「ああっ、やぁっ! あっ、厭っ、アッ、アアン―― !」
 たちまち、あられもない声でアスカの腰がくねらされる。
「言えよ、いつからこのオマンコ、濡らしちゃってたわけ?」
「し、しらないわよっ」
「へえっ!? マゾ姉のくせに、口答えするんだ。お仕置きっ!」
「イヤッ!? ヒッ、あぐっ!? ヒィッ! ……お、お願いよ。叩かないでぇ……」
「じゃ、正直に言えって」
「分からない。分からないのぉ」
「ほらほら、よーく考えて、思い出して、さぁ……」
 ぞんざいな態度のムサシに嬲られるほどに、被虐の陶酔に囚われていくアスカだ。口ばかりの抗いを見せつつも、全身を覆う官能に青い瞳は濁りきり、指遣いを二本、三本と増やされた秘部からはとめどなく蜜が溢れ流れる。
「あうぅ……ぅ、ぅ、ううぅぅ。はぅンンンン」
「ほら」
「……あ、ああ……。多分……、あ、アンタに……お尻、見られて、叩かれたのかって、言われたから……」
「その時? ああ、トウジ兄ちゃんたちに叩かれたの思い出して、キュンってきちゃったんだ」
「そんなわけじゃ……」
 あっという間に、まさしく肉奴隷と呼ぶにふさわしいマゾヒスティックな感覚に溺れてしまっていったアスカは、やがて自分が脱いだショーツを口に詰め込まれて声を殺すようにさせられると、昨晩トウジたちにされていたのとまるで同じように、ムサシの小さな手のひらでさんざんヒップを叩かれて犯され、『この、マゾ姉! 変態姉ちゃん!』と罵られる屈辱感に悦びの呻きをくぐもらせて、絶頂を遂げたのであった。



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