INNOCENT TABOO, case Asuka & Rei

Original text:引き気味


『 若尻熟尻五つ咲き、夜の社会体験学習 』


「何事も勉強よ。社会勉強よぉ〜ん♪」
 もう一年近くも何食わぬ顔でアスカ達の担任教師を務めていながら、その実、しれっと碇ユイの奔放すぎる裏人脈に名を連ねていたことが発覚したばかりの葛城ミサトが無責任にお墨付きを出し、
「良いよねー、社会見学ってやつだよねー。わくわくするなぁ、どきどきするなぁ」
 普段はミサトの属するグループで勉強という名目での淫行三昧に耽っているらしい他校の女子生徒―― 真希波マリと名乗った―― が、何も考えてなさそうな暢気な声を出して、はしゃぎまわった。
 それで、アスカ達の師匠はついでの話題だった筈を本気で決めてしまったらしく、次の週末にはレイも入れた女ばかり5人で行ってみましょうということになった。
 


◆ ◆ ◆

「で、でもおばさまっ」
 『これって……』と口元を引き攣らせつつ、はっきり指さすのも憚られたアスカは、代わりに視線をユイの顔との間で行き来させて訴えた。
 隣のレイも、じっと視線を注いだまま固まってしまっている、ような気がする。
 目の前に置かれた一枚の紙。革に似せたビニール製の表紙にとじられたそこには「Drink」と明記されていて、そのままずらっと果物やもっと露骨な名前が付けられた―― 要するにアルコール類のお品書きが並んでいる。
 もっと気になってしまっている、意識を奪われてしまっているのはまた別のところになのだが。それでも駄目だろう、この時点で。
 アスカの捨てきれぬ常識がそう言うのだ。
 大人二人の他は未成年が三人。それなのに、と。
 辛うじてと言うべきか、流石にと言うべきか。外出の際は制服でと明記された校則を教師であるミサトが先頭切って無視するように、大人っぽい服装を推奨してくれていたおかげで、高校生ぐらいには見えるだろうというメイクも施してあったのだけれども。

 そもそも。サラリーマンの帰宅ラッシュでごった返す中わざわざモノレールに乗って二駅。地下改札口から直接くねくねと伸びる地下街をやたら入り組んだ方へ、通路の狭くなった方へと連れて行かれた挙げ句、ドアベルをからんと鳴らして入った店がどう見てもバー。
 それも、カウンターから壁までの空間は人がなんとか二人すれ違って移動出来るかといった狭さで、全体的に細長い店内。様々な形の瓶が並んだ壁の棚の他はカウンターだけの、いわゆる多分「スタンドバー」というやつ。
 当然椅子は無いので、ミサトとマリを両端にして五人、横一列に並んでカウンターに寄り掛かってである。

「お飲み物もね、分からなければ私がお奨めを選んであげる。ふふ、まずは雰囲気が大事ですもの。リラックス出来る、良い酔わせ方をしてくれるカクテルがあるのよ」
 入店早々、常連の貫禄を醸しだし、子供をぞろぞろ引き連れていても店主に委細承知といった顔で頷かせて済ませていたユイの幹事っぷりは、ここでも万端過ぎた。
 ついとカウンターを滑るように差し出されて来たカクテルグラスが次々に彼女らの前に止まり、いよいよアスカの元にも。
 覚悟を決めろと、彼女自身の覗き込む顔が小さく映り込む水面を揺らす。
 ええい、ままよ。きりっと冷やされたカクテルなのに、焼けるように熱くも感じるそれで、アスカはゆっくり喉を湿らせていった。
 見咎めるような他の客は一人もいない。この貸し切り状態も、ユイの手配だろう。
 レイはけほけほと咳き込んだりしている様子だが、アスカはアルコールの味を知らないわけでもない。
 それになるほど、ユイのお奨めだけあってフルーティーな口当たりはソフトもソフト。悪くない味だった。
 美味しい、と感じてしまえばもう後は。ここまで来てしまってもまだどこか心を決めかねている、これ全部そのものが悪い夢のようにも思える気分を、意識してアルコールに溶かしていった。
 そして時間も掛からず、ポッと頬が上気していく。
 ドキドキと不安―― とだけとも言えない高鳴りを胸に宿した体温も、また同じだった。

「アスカったら良い飲みっぷりじゃない」
 『不っ良ぉ〜』とからかいの目でニヤニヤとしているミサトの手にあるのは、さくらんぼがそのまま浮かべられたカクテルだ。
 傾けたグラスの縁からそのままビー玉のようにつやつやとした果実を咥え取って、すぐには潰さず、表面を濡らすカクテルを舐めている赤い舌。学校には付けてくることのない濃いめのルージュが引かれた唇の間に、チロチロと見える。それはひどくエロティックだった。
「でも、カクテルってそんなゴクゴク飲むもんじゃ無いわよぉ?」
「……うっさいわね、このダメ教師が。酔いでもしないと、やってらんないのよ」
「あぁ、景気づけってわけなのね。分かるような気がするけど――
 ははぁんと訳知り顔で頷いてみせた、その上で、アスカ達を挟んだ反対側でレイに盛んに話しかけている陽気な少女を目で示す。
「ほら、マリちゃんなんかもー全然ノリノリ。お目々もあれ、まさに爛々って感じよね」
 『さすがだわ、エロい子っ!』などと茶化しつつ、また意味ありげなニヤニヤ顔を戻してくるのは、つまり要するに、怖じ気付いてるんじゃないのと馬鹿にしてくれているわけか。
 あんたが言うか、あんたが。余計なことを言って、今日のこんな羽目に仕向けてくれたくせに。
「いっぺん死になさいよ、バカっ」
 アスカは思い切りこめかみをひくつかせていた。
「あらあら。今晩はレディとしての勉強に来たんだから、あまり汚い言葉遣いはダメよ、アスカちゃん」
 大人びたアイシャドーまで入れたメイクとあいまって、背伸びをした小悪魔とも言えようチャーミングさでもってふて腐れてみせる愛弟子に、ユイはやんわりと教育的指導。
 そのまま、レイとマリと、二人しての瞳もとろんとしたほろ酔い加減の様子を微笑ましそうに見やり、自らも上品にカクテルを楽しんでいる。
 そうしてやがて、もう頃合いだろうと、ユイがもう一度メニューを指し示した。
「うぁ」
 アスカは思わず呻いていた。先ほどは故意に目を背けていたのだ。
 飲み物が載った半分の、反対側。普通のバーならば大体はサイドメニューが記載されているあたり。ユイが注文を出していた「アフリカ」だのといった国の名前やら「スネーク」といった動物の名前。とうていカクテルに名付けられる物とは趣を異にしたメニューが並ぶそちらこそが、本来この店の本命なのである。
 アスカも、何となくそのネーミングの意味は察していた。
「じゃ、良いのね。アスカちゃん、レイちゃん。それから、マリちゃん」
「…………」
 アスカは声に出しての返事は出来なかった。レイは頷いただけでなく、いつも通りの小さい声ながらはっきり『……はい』と答えていたし、マリはもっと屈託の無い調子で、待ってましたとすら言ってのけていたのだが。

「オッケー」
 そう来なくっちゃ、と。ミサトがぱんっと両手を合わせ、カウンターの向こうへ頷いてみせた。
 まだ30を越えた程度だろう若い長髪のマスターが、そちら側もやはり狭く細長くなっているカウンターの中を端まで歩いて行って、厨房らしい奥へと合図を出す。
 ユイがオーダーを伝えていたのは、最初に飲み物と一緒にだった。だからとっくに準備は出来ていたのだろう。奥から店員達―― と言うべきなのか。男達が次々に五人、姿を出す。
(ううっ……)
 ミサトの目は気になったが、アスカは彼らがはっきり視界に入ってくる前にさっと顔を背けていた。
 この気持ちは、隣のレイならば分かってくれるだろう。真希波マリとかいう、もう見事にミサトのノリに染まってそうな子は分からないが。
 が、それでも。マスターと揃いで蝶ネクタイを締め、ベストとエプロンを付けたいかにもなバーテン風の制服を肩幅広い体躯でぱんぱんに、内側から弾け飛びそうな着込なしをした彼らの姿は、特に一人目の彼の姿は、きっちり視界に収まってしまっていた。
 筋骨隆々、シンジの倍はありそうな大男。そして髪を短く刈り込んだ、黒い肌の顔。
 そう、ユイの注文していたメニューの一つ目が、まさに「アフリカ」だった。
 落ち着かない気分、胸の動悸がいよいよ激しくなりだす。
 頬が自分ではっきり分かるくらい熱くなっていた。
 顔を隠す。俯いてカウンターに視線を落とし、見られずに、見ずに済むようにする。
 そうすると、ユイが最後の確認のため差し出してきていたメニューがまだ広げられたままにしてあって、アスカは何となく目が留まってしまった値段の文字の所を、瞬きも忘れてじっと見つめ続けた。
 そうしている内に。店員達は本当に狭っくるしい―― カウンターに寄りかかっていると、否応なしに後ろを通っていく人間の体格さえ分かってしまうようなそこを通って、客の彼女達と過不足無く同じ人数、ぴったりと後ろに着く。
(き、来た……)
 アスカの直ぐ後ろにも足音は止まった。
 それでもアスカは振り返ろうとしなかった。
 自分のすぐ真後ろに立つ、圧し潰されでもしそうな大柄な気配の持ち主を、確かめようとはしなかった。
「じゃ、アスカちゃん、レイちゃん、これも見聞の内よ」
「シンジ君たちとばかりじゃ見えてこない、社会の広さ、世界の広さってやつ、たっぷり単能してねん」
 蕩けそうな笑みに添えたユイのその言葉は、多分餞だったのだろう。
 ミサトからも似た台詞は掛けられたが、彼女の場合はもう、我慢出来ないとばかりに舌なめずりする視線をちらちら、自分の後ろに向けながらだった。

「ひぅっ!?」
「……あっ」
「うひゃあ」
 少女達の声は三人三様。けれど、伝える意味は全て一緒。
 カウンターに手をついて待ち受けていた彼女らのヒップをさっと一撫でにしてスカートをめくり、背後の男らが突き付けてきたのだった。
 ぐいぐい、ぐいぐいとショーツの船底に。
 同じ、人の体の弾力を持ちながら女のどことも比べようもなく硬く、屹立した、股間の一部分を。
 ズボンを脱いではいない筈だから、チャックから逸物だけを取り出したのか。
「ヒッ――
 分かって待ち構えていても、アスカの背筋は総毛立った。
 わざわざこの瞬間に備えた見栄っ張りで、膝のすぐ上からは総レース細工になっている黒のストッキングを、レース柄で揃えたガーターで吊って来ておいて良かった。などと、変な安堵をしている余裕なぞ無かった。
(うぁ、ぁ、ぁぁぁ……ぁああうーっ)
 歯をガチガチ鳴らして唸る。
 そこは少女にとって、怯えという感情に最も近く繋がった場所。なんて言われれば納得もしよう。すべすべとしてとにかく柔らかな内腿の、付け根の先。アスカの躯の内側が外に直接開かれているもう一つの入り口。厳重に守るべきだろうに、何故か世の中たった一枚薄布で覆っただけで歩き回るのが当たり前とされている、女の急所。
 そこにだ。鋼のように硬くなった誰かの一部分が、他人の体温というやつをいきなり不躾に押し当ててきたのだ。
 アスカでなくても竦み上がるに決まっている。
 一気に神経が集中した箇所をさらに肉刀の背で前後に刺激され、否応なくアスカ達は知らされた。
「……お、大きい。嘘でしょ……」
「……こんな、に……?」
「こっ、これっ。どう考えてもサイズが違うっていうか、せんせーのとこの男の人たちとだと、比べるのもごめんなさいって感じなんだけどっ」
 少女達がカモシカのような太股同士を摺り合わせる隙間に、こじ開けるように押し入ってきた、その「幹」の太さ、圧倒的な質量感ときたら。
 わ、わ、と驚いていたマリが、カウンターの下に手をやってスカートの前をたぐり上げ、目で直に確かめてしまったらしい。
 あんなに賑やかでおしゃべりだったのに、呆然と喉を喘がせる他はすっかり静かになってしまった。
 そのまま喘ぎとも、驚嘆ともつかぬ声を洩らしながら、下着越しに敏感な割れ目をこねくられる刺激へ身を任せている。
 無理も無い。内心、アスカも深く頷いて同意する。
 まず押し当てられた丸みのある感触が本当に「先っちょ」であったのなら、これだけでも驚愕の大サイズだったのに。その亀頭が『ずずっ、ずいっ』と会陰の方向からアスカの縦溝状になっているそこを通り過ぎていった後に連続して、分かるかい? と言わんばかりに押し当てられてくるこの逞しすぎる感触――
(な、なによ、何なのっ!? き、筋肉……なの? 鍛えるとこうなるの? あ、頭のとこより、首の方が太いじゃない……!!)
 そういえば、ちらっと見てしまった彼らの体は見事にムキムキの筋肉質だった。喉元もアメフト選手並みのマッチョな猪首。
 しかし、彼のこの下の方の首は、猪首並みに太くとも決して短いというシロモノでは無い……!

「これ、が……」
「そうよ。ああ、素敵……。独身時代、フィールドワークで歩いたあの国を思い出すわ」
 実感のこもった師匠の言葉は、勿論アスカには想像するより他のない境地を指してなのだろう。
 この国の人間より人種として体格に恵まれる西洋の血が流れるとはいえ、アスカ自身はずっと日本で暮らしているのだ。ましてや、そんな体格差の成人男性が臨戦状態になったところなど、父親のでも見たことが無い。
 見たことすら、無いのだ。
 だが今、それが、明らかにシンジやムサシ達といった同世代の少年らの勃起より数倍以上の偉容を伝えてくる大人のモノが、アスカの秘部に殆ど直に擦りつけられている。
(こ、こんなの……入れられたら……!?)
 どうなってしまうと言うのだろう。
 間もなくアスカは知ることになる。「アフリカ」という隠語で指し示された、異国の男性のサイズというものを。
 そうやって、ユイの語る放埒な異性体験に頬を熱くして想像巡らせるだけだった今までの方が、過去となるのだ。
 いやたしかに、なるほどユイ達の言うように「社会勉強」にはなろうが――

「ね、あなた方、日本語は大丈夫なのかしら? この子達は見ての通り、まだデリケートに扱ってあげなきゃいけないの。念入りにほぐしておいてあげてから、あなた方の国の大きさを教えてやってね」
 気遣いではあっても、真にアスカをほっとさせるものではない。そういう類の思いやりを見せたユイがカウンターに突く手には、応えるようにそっと黒い大きな手のひらが重ねられたが、彼女自身とミサトに関してはその必要も無かったのだろう。
「あはっ、あぁぁ……」
「あンっ、来た、来たぁぁ……!」
 二人、さっそく開始された結合とピストン抽送とで、憚らぬ歓喜を迸らせだしていた。
「ああっ、あっ、ああお……ぉ……。そうよ……もっと、深く……!」
「あんっ、良いわ。ああ、こんなにいっぱいに……ひ、久し振りっ」
(お、おばさま……。ミサトっ……)
 ぐっと、カウンターのすぐそこに突かれた女の手に力がこもったのが分かる。
 なんと力強い打ち込みだろうか。一突きであの腕っ節自慢のミサトの上背が大きく沈み、服を着たままではっきり分かる胸の形がぶるんぶるんと揺さぶられている。
 ユイも同じだ。うっとりと瞼を閉じた恍惚の貌には、少年らを相手のセックスでは中々見られない“味わう”表情が浮かんでいた。
 そして、彼女らほどの女傑を喜色満面に変えて喘がせるまでの逸物と同等を保証される男性達に、アスカ達自身もまた下着を丸出しにした股間を下拵えされてしまっているのだ。
「ぁ、ぁぁ……」
 圧倒されている様子の、レイ。
 アスカもまた、思わず生唾を飲み込んでしまっていた。
 この間も一定のリズムを守ってずっと、ペニスでの按摩は少女達の秘部に継続中。
 普段はたとえシンジとのレッスンの場合でも滅多に履かない、見た目の高級感を優先させたオトナ物の下着越しに、恥ずかしい割れ溝を端から端まで一度に擦り上げていく巨大さ加減。下から一息に持ち上げ潰されていくクリトリスが堪らなく、むずむずと見る間に硬くなっていくのが分かった。
 とても平静ではいられない。
「……あ、あぁ……。や、やだ……」
 勿論、見知らぬ相手に加え、すぐ前には素知らぬ顔でグラスを磨いているマスターもいて、視線が気になるのは気になるのだが。
 それでも腰をはしたなくもじつかせ、アスカはすっかりクロッチの内側を熱くさせてしまっていた。
 この手も足も伸びきらない少女達とて、ユイの薫陶を受ける身。たとえ未経験の魁偉にだろうと、立ち竦むばかりの不甲斐なさからは既に卒業している。少女であっても、もう子供ではないのだからだ。
「うぁっ……。ぁ……、あ……」
「くうぅっ……」
 ユイが注文を加えていたからか、それぞれのショーツの上から加えられる「挨拶サービス」は実に丹念で。服も脱がず、おまけに立ちバックの体位というインスタントな風情とは裏腹に、手早くあっても執拗も執拗。そして的確だった。
「ふっ、く、くふぅぅ……ぅ」
 手も使わず、冗談ごとのように硬く太く大きくなったペニスだけで秘部を摩擦され、ぷくりと発情しだした肉芽を薄いナイロン生地ごと圧し揉まれ。
「うぁ……ぁ、ぁぁん……ん……」
アスカ達それぞれのスリットもいとも容易く、じわりじわりと潤んでゆく。淫らに悦びの蜜を分泌していってしまう。
 今日は馴れ合った感のあるムサシ達とは違う初対面の男らの目にチェックされると思えばこそ、特に気合いが入った身支度の結果だった勝負下着。サテンの輝きを持つその表面に、小さく楕円のかたちに浮かび上がったシミが、じんわりと広がっていってしまう。
 相手は生のペニスで擦っているのだから、なんとも頼りない薄さの布地をそうやって湿らせてしまえば、その時点で気付かれてしまうのも当然のことで、
「くうっ」
 すぐに股布の部分に巨大イモムシじみたごつい指が潜り込み、綻びの具合を確かめられた。
 アスカのぬるぬるになった割れ目を侵し、この歳にして日夜淫行に耽り続けているわりに清らかなピンク色を保った二枚の花びらの間へ位置を取る。
「うっ、ううっ、うンンン―― っ」
 背中を完全に覆う男の体格からすると、どこもかしこもがコンパクトに見えるアスカだ。その、ちんまりとした女の入り口に。まだしも柔らかな方の指の腹側から指先を少し食まされただけで、彼女は唇を噛んでわなないた。
 一ミリ、二ミリ……。じわじわと、焦ることのない指先がアスカの膣口のほぐれ様を確かめてくる。
 たしかな“ぬめり”を指先に認めて、さらに奥へと埋め込んでくる。
「くうっ、ふ―― ッっっ」
 元より敏感極まりない場所。まして今は、毛の先ほどの変化も見逃さないだろうくらいそこに神経が張り詰めているのだ。
 膣口をくぐって直ぐの場所の粘膜を、太い指先で全方向に一度に引き延ばされながらほじられた。それぐらいでもアスカの視界には火花が飛び散っていた。
(これっ、ヤバいなんてものじゃっ……!)
 まだ、声も一応噛み殺すことは出来る。けれどという予感。
 アスカがその14歳の粘膜に締め付けて察知したのは、やはり今まで体を重ねてきた少年達とは、全てのサイズが違いすぎるという事実だった。
 たかが指先。それがこんなにも圧倒的だとは。“本番”が来たらどうなるというのだ。
(こ、壊されちゃう……)
 しかし怯えは無論であったが、もうアスカもレイも、マリも、充分に女。畏れるのと同等にまた募らせもする未知への期待が確かにある。
 でなければ、こうもしっとりと性器を濡らす筈が無い。
 布地をのけられてはっきり姿を現した、男を誘う綻びの具合。自ら男の指を食い締めに行くびしょびしょ花弁の有様こそが、正直というものだった。
 ならばもう、だ。
「い、良いよっ。タイツ、破って良いから、一気にマリのオマンコ……串刺しにして……!」
 マリがまず先んじた。白い曇りの浮いた眼鏡で肩越しに振り返って、大胆に叫んだ。
 レイが覚悟を込めて一度目を瞑り、深く頷く。がくりと項垂れたかにも見えるその仕草の横で、アスカも改めて足を開き、手を突っ張って、体勢を整えた。それが意思表示。

 挿入が行われたのは、少女達三人、ほぼ同時だった。
「あっ、あーっ!」
 一撃で遂にあっさり、どんな表情になっているのか晒したがらずにいた顔を跳ね起こし、電流に打たれたような声を上げたアスカを皮切りに、
「……ぅあっ―― ぁ、くぅぅぅ……!」
「来た……来た、来たっ、来たぁぁぁ」
 ついとクロッチを横にのけただけで行われた気忙しげな立ちバック結合に、未熟な蜜壺三つはしかししっかりと、極太の黒竿を埋没させていったのだった。

「あ、あ、ぁ……」
 ぱくぱくと、アスカは息継ぎに苦労する泳ぎ下手のように口を喘がせる。
 丁度目の前に来ていたマスター。その視線が今どちらに向けられているのか、確かめる余裕すらない。
 やはりまだ中学生の彼女では、一気に膣道を倍以上の直径にも膨らませて侵入してきた規格外ペニスの衝撃に耐えるに、いっぱいいっぱいだったのだ。
「……かはっ……ハッ、はぁうゥぅぅ……」
 隣では、儚げな面差しゆえに一層無残に、ルビー色の目をかっと見開き、意識を半分飛ばしかけているレイがいる。アスカと同様にだ。
「あう、う、うぁ、ぁ……ぁ……おば、さまぁ……」
 異国の巨漢がくれる、ひたすら逞しいばかりの過剰充実感。腹の底を満杯以上にされた体格差無視の結合は、先程見たユイとそっくり同じ以上に懸命に、アスカ達にぎりぎりとカウンターへ爪を立てさせていた。
 ならおそらく、三人が少しでも股関節を広げて串刺しにしてくる太さを受け止めようと、カウンターの下でじりじり床を掻いて不格好なガニ股になっていっていたのも、ユイ達と同じだったのだろうか。
 そのユイは、とろんと目尻を垂れさせて官能の昂ぶりに身を任せている。上品に口紅も塗った口元は、たびたびアルファベットのOの字に開け放たれて声を放ち、涎までだらしなく伝わせる淫らがましさだ。
 アスカの苦吟に反応はしたが、心配ないと見て取ったのか、うっすらと微笑みを送っただけ。後は背後からの抽送に合わせて、どこかの大企業の女秘書じみたコーディネイトだったスーツタイトスカートをまくり上げ、腰をうねらせることに専念している。
「うふふ、吃驚したでしょう? んっ……ムサシ君達のおちんちんも素敵だけど、あの子達がこんな風にお腹の中をぱんぱんにしてくれるようになるには、もう何年か掛かりそうだものね」
 これが大人の男の人の味よと、喘ぎに乱れる息で歌うように言う。
「でもっ、お、おばさまっ。あ、あたし……レイもっ、こんな―― こんなの、無理だわ。無理よぉぉ……」
 壊されちゃう、と。アスカの哀れっぽい悲鳴は切実だった。
 言葉の通りに未熟な膣が受けている負荷が過ぎていることは、ぽっこりと巨根のサイズで盛り上がりが出来てしまった下腹部を見れば一目瞭然だったはず。
 だが、そんな表面上のことだけを見て判断するユイではない。少女達のはじめてのベッドインから第一、第二の破瓜儀式、その後まで。手厚いサポートで導いてきたセックスの伝道師は、悲鳴を上げながら同時にどこか未曾有のサイズに陶然ともしている、アスカの淫らな成長というものを見て取っていたのだ。
「大丈夫よ。アスカちゃんも、レイも、ちゃんと感じられるわ。シンジや、ムサシ君達とのレッスンは無駄じゃなかったもの」
 五人もの女性、少女達が並んで犯される場面には不似合い極まりないが、それは慈愛の眼差しだった。
 愛弟子達の成長を、或いは開発されきった躰の淫らがましさを保証して、そしてまた一層のGoサインを出したともとれる台詞を口に。

 OKと、男達は言葉に出して答えはしなかった。彼らはずっと寡黙だ。
 ただ、
「ひっ、ひぅうッッ!?」
「……はぅっ、ッぁぁぁ―― ぁ、ああッ!」
 アスカとレイがまた背を仰け反らせ、一番余裕をもって味わっている風だったマリも『きゃふぅっ』と意外なくらい可愛らしく啼いて、驚愕を露わにする。
 ここまではまだ緩やかな内だったのだ。それが本格的な抽送が始まったおかげで、三人はガニ股に膝を笑わせていることも、笑わせ過ぎてくずおれることすらも出来なくなってしまったのだった。
(う、うそ……ッ。私だって……あんなにレッスンして、あいつらに簡単に馬鹿にされないぐらいにはなってる……は、筈なのに……!)
 ムサシやケイタがするように、じっくりと愛撫されて狂っていったわけではない。なのに、アスカは既にいきなり悩乱の最中にあった。
 少年達とのセックスの場合、じっくりと躰を重ね続けてきて把握されたアスカやレイの感じやすいポイントというものが意味を持ってくる。けれどこれは、この「アフリカ」の場合は、膣の中の弱点を攻め当てられた―― なんて生やさしいものではなかった。
「あぐぅっッッ!? ッあっ、っぁあああ……! ぁ、これぇぇぇ……っ。ぜんぶっ、全部いっぺんに……あ、アタシの、中がっ」
「ああ、あなたも……なの……? わ、わたしも……っ」
 大粒の涙を浮かべたアスカとレイが、互いを見つめ合った。
 ゴリゴリと、膣粘膜の全面すべてが一時にこそがれ耕される。
 一突きで、入り口から奥までの膣壁まとめてが根こそぎ裏返りそうになる。
 肉路の内の襞皺という襞皺が引き延ばされて。それどころか、無理矢理な大口に開かされる陰唇からずるずると引きずり出されそうに感じさえする。
 それら全てが、爆発的な快感を引き起こすのだ。
「く、苦し……っ、くるし、のにっ……。あたまの……中ぁ、ぁ、ぁああああ、気持ち良すひて、ひにっ……死にそぉっ」
 腕には力が入らない。完全にカウンターに突っ伏す形になってしまった。
 けれど同じく力が抜けきった下肢がもはや役立たずでも、背中から突き上げてくる男は少女達の脱力を補って余りあるマッチョ揃い。
 三人の少女の華奢なボディは今や、一撃一撃がハンマーで打ち込まれているかの如き剛力ピストンそのもので支えられているのだった。
(足っ、届か、ないぃ……ぃ、いひぃぃぃーっッッ)
 足下がへなちょこなバレエダンサーを思わせるつま先立ち状態で、よたつきっ放し。強い突き上げの時には、一瞬宙に浮いたりもする。
「お、おおぅ……ふ。ふっ、ふぁっ、あっ。やぶれ……ちゃうっ。あ、ぁあアタシのっ、お腹っ、っッツ、オマンコが……突き破られちゃうぅぅうううっ!」
 どすっ、どすっ、と。ズボンの太股にぴっちり筋肉を浮き上がらせた巨漢の下半身が、レースのガーターを付けたまん丸いアスカのヒップを打擲しまくる。
 白人の血がよく出た白いヒップは、肉同士のぶつかり合う音と共に見る間に赤く腫れ上がっていった。
「すっ、すご……っ、すごいよぉぉっ。ね、ねっ、みんなも……だよねっ。気持ち良いとか、も、そんなどころじゃ無くふぇ―― ぇ、おおっ、ぉおぉうう! ぉ、ぉ……おうふっ。フーッッっ!」
「ああぅ……ぅ、ああうっ。あっ、あっ、あうっ! ああぅ、あっ、あっ……」
 マリもレイも似たようなもので、暴力的なまでにハードな責めで既に官能をぐすぐずに酔わされてしまったらしい。
 体温の発情っぷりを露骨に、すっかり曇ったっきりのマリの眼鏡。レンズの向こう側にぼんやり、眉根を狂おしく歪ませた切迫の貌が確かめられる。
 腰から下に強いられている激しい運動に合わせ、頭も激しく打ち揺すっているものだから、綺麗に櫛を入れてまとめていた髪もざんばらに乱れる寸前。白い髪留めがもう役目とは逆に、振り乱される髪にしがみ付いているだけの有様に見える。
 レイのアルビノの白皙の方も、熟れきった林檎を思わせる真っ赤っ赤ぶりった。
 ことにこの体の弱い女の子は一番背が低いせいで、今やお尻から完全に抱っこされてしまって、カウンターと男の腹のところとに掛けられた橋のよう。
「うぁっ、あっ、はぁっ! あっ、ああっ」
 ぐんと尻の方から膣奥を突き上げられれば、素直に一つ『ぁあう!』と漏らし、また一つシャフトに子宮口まで穿たれれば、更に切なく声を上げる。
 こちらももう立派に、急性セックス中毒を引き起こしてしまった風情。
 苦しいと訴えればいいのか、今も逝ってしまいそうなのだと訴えればいいのか、入力される刺激いずれものとんでもない高レベルさ加減に、脳神経が焼き切れる寸前なのだ。
「下ろし……て。むり……、ぁ、ああ、むり……だわ……」
 カウンターに圧し潰した乳房を両腕の内側に抱く格好で突っ伏すレイは、細い手首同士が交差した上にちょこんと乗せた顎をぐらぐらと揺らして、今にも意識を飛ばしそうに見える。
 いじらしい鼻声の合間に、『ひゅっ、ひゅうっ』という過呼吸寸前の息遣い。ぽろぽろと涙をこぼして、何も考えられなくなったまま巨漢のくれる逞しい抽送の波間に、ただただ揺さぶられているのだった。
 人見知りが激しい娘である。いくらユイの引率でとはいえ、初対面どころか顔も碌に見ていない男に犯されて乱れてみせるなど―― と、密かに頑なになってもいたのだが、
「……ッ、ハッ、ハッ、ハッ……はぁふ、ふっ、ふぅぅぅぅっッ! フッ、ふぅぅぅンンンンーぅ!」
 ひとたびその唇を引き結んでしまえば、幼さに見合わぬ凄みさえ漂う怜悧な容貌。その普段のクールビューティーな雰囲気をぶち壊しにして、今のレイは鼻の穴を膨らませた呼吸も荒く、全力疾走の競走馬もかくやの血走った顔つき。一瞬ごとに増して増して、官能の限界へ突進させられる切羽詰まりを加速させていた。

―― ッ、―― !」
 アスカの頭のはるか上の方で、獣の吠え声にも感じられる低い唸り声が何かをつぶやいていた。
 感に堪えない、といった響き。黒人店員の唇から漏らされたそれは、比べれば胸までもない体格で良くもここまでしっかりと男を受け止めて、彼にも素晴らしい締め付けでの快楽を与えることが出来ているアスカへの賛辞だったかもしれない。
 けれど、交媾が開始されて10分も経たないその頃には、アスカはもはや意識を明瞭に保ってなどいなかった。そんな言葉を聞き取ることも出来なくなっていた。
「ヒ、ふっ、ふぅぅぅっッッ! ひぬ、ひんじゃう、オマンコ……パンクして、ひんじゃうぅぅぅぅ……っッッ!!」
 一人前のレディとして振る舞ってみせようとした意気込みも、見栄っ張りも、お洒落にかけた時間たっぷりの準備も全て、涙と汗でぐちゃぐちゃにしてしまった顔からは剥ぎ落ちて。アスカはそこだけは最初から変わらずちゃんと突き出したままのお尻をぶるぶると震わせながら、オーガズムに全身を波打たせた。
 途中からは完全に脱力しきっていた少女のヒップをがっちり固定して、まさにサービス満点の抜き差しで悦がらせきった黒人店員も、客の満足を確かめた頃合いで、締めくくりとしての射精を遂げる。
 胎内で蛇口をいきなり全開にしたようなザーメン噴射。勢いだけで子宮口をこじ開けそうな、これまた初体験の凄まじさに、意識が漂白された境地からまだ舞い降りてこられずにいたアスカは、再び『ひぃっ』と啼いて背を仰け反らせた。



◆ ◆ ◆

「あ、ああん……ン……」
 マリががっくりとカウンターに突っ伏して、余韻に浸っていた。
 レイは猫の子のようにカウンターに蹲らされた格好で、店員に後始末をして貰っている最中。息を飲んで驚かされる程ぽっかりとうろが開いて白濁を滴らせる秘部を、おしぼりで丹念に拭われている。
 アスカのお尻も、おしぼりを持った手によってスカートの下で撫で回されているところ。
 脇の下からアスカの胸を抱き上げ、反対の脇までを一抱えにしている逞しい腕が無ければ、崩れ落ちた床の上でレイと似た格好をさせられていた筈だ。
「うふふ、素敵な味、愉しませて頂いたわ」
 少女達の情けない有様とはさすが違って、ユイはちゅっと、軽いキスを自分の担当だった店員に与えてから帰し、じつに満足げ。
 いかつい顔をらしくなく赤らめるその男の様子をぼんやり眺めていて、なんとなくアスカは思い至った。
 自分にあれだけ太いペニスを埋め込んできて、狂わせて、そしてたっぷりの精液を流し込んでくれたこの男の顔を、まだ見ていない。
「……んんっ」
 アスカを支えるついでに紛らせて、胸を揉んできているような。いや、今たしかに間違い無くわざと揉みこねてきた。
「はぁっ……。くふぅ、……ぅ」
 絶頂後の敏感になった乳首が反応してしまう。
 レイについているサングラスで目元を隠した男が随分とビジネスチックで、淡々と股間の汚れを拭うだけにして、またショーツを履き直させているのからすると、この男は少し違う風だった。
 仕事の分を越えて、妙に気安い。ひょっとすると、気に入られたのだろうか。などとも考える。
 そうこうしている内に、男の続けていた後始末は完了した。
 最後に一度、元通り引き上げられたショーツの上からさすと股間のわれめをなぞり上げられて、
「あぅン!」
 結局アスカが振り返れずにいる内に、店員はのっしのっしと元通り、店の奥へと消えていった。

「さぁて」
 また新しいグラスを手にしているミサトが、どうにか体裁を整え直してカウンターに顔を揃えた少女達に声をかけた。
「次、いっとく?」
 そうして勧められた二杯目の、三杯目の“カクテル”。
 「スネーク」の名で呼ばれていたサービスは、その名の通り蛇のごとく長く巧みに動く舌を持った女性店員達による、膣内クンニリングスだった。
 特にわざわざユイがアスカに譲ってくれた店員は舌技絶妙で。前の黒人店員が残していったザーメンを残らず吸い上げながら、唇と前歯によるクリトリス責めと平行して膣壁を舐めこそぎ回し、一度では済まない絶頂をアスカに味わせた。
 その次の「ピアニスト」とは指技に特化したサービスで、挿入やクンニの後には大人しめだろうかと思ったのもつかの間、本当にこの男の指は自分と同じ10本なのだろうかというほどバリエーションに富んだ愛撫を施してくれた。
 中でも忘れがたいのが、膣内とアナルに同時に潜り込んできた指達が、二つの肉穴を隔てる壁を両側から乱打してきた時。まさにピアニストと呼ぶのが相応しい、一瞬たりとも同じパターンの連続はない千変万化のノックが、アスカに足首までびしょびしょにする愛液の垂れ流しっぷりをもたらした。
 ただ性器やクリトリス、後肛といった分かりやすい性感帯を責めてくるばかりではない。緩急を織り交ぜ、ストッキングの感触を確かめているかの撫で回しで内腿を這い、膝裏をくすぐり。そうやって店員の手指が向かう先で次にどんな官能歓喜が爆発するのかと思うと、アスカは一瞬たりとも気を緩められず、何度も何度も甲高い声を叫ばされた。
 
 もうこれ以上は。そう息も絶え絶えになる一つ前に、ユイは少女達にその日はじめてリクエストを聞いた。
 メニューのほんの一部だけを覚えたばかりの少女達。そんな中で、アスカがまともにユイの目を見ることも出来ずに注文したのは、あの「アフリカ」。
 再び己が胎内をこじ開けて挿入されてきたオーバーサイズの巨根に、今日だけでもう元に戻らないくらい“ゆるゆる”にされてしまうのではと怯えつつ。最後にはアスカは、自分からしがみ付いていく―― いわゆる駅弁スタイルで繋がり合った。
「あん、っ……っむ……ッ、ンふぅむ……むっ、むぅふ、ふ、ふンンン……ン、ンーッ」
 思ったよりも愛嬌のある顔立ちをしていた彼と、深く舌を絡め合ったキスを。何度も何度も絡め合い、唾を飲まされ、飲まれ。黒い木肌の大樹にしがみつく幼女のように。
 終いにはアスカは本物のお漏らしかと見紛う潮吹きで床を濡らし、この日最高のアクメを迎えた。

「アスカ、今日は先生達のおごりよ。でもね――
 素晴らしいサービスを受け取ったなら、満足の証にチップを。
 そう囁かれ。胎内を黒人店員の精液でたぷたぷにして朦朧とするアスカは、震える手で財布を取り出し、また自分の股間におしぼりを当ててくれている男に、言われるままの紙幣を渡していた。
「……サンキューネ。キュートプッシー、ゴチソウサマネ」
 にかっと笑みを見せた大男が、礼代わりにその唇を奪う。
 くちゅくちゃと淫らな水音を立てるディープキスに、息苦しいくらい吸われながら。アスカの意識には、男の手に渡ったばかりの紙幣の感触が残っていた。
(そうだ、わ……)
 店に入って最初にメニューを見せられて、息を飲んだことが思い出される。
 これって、と自分は躊躇った。話を聞かされていても、やはり躊躇わずにはいられなかった。
(お金……。わたし、男の人にセックスしてもらって、お金を……)
 メニューに並んでいた値段は、別にいかにもという程の高額なものではなかった。
 ユイの話では、彼女たちの人脈の中でもノリの良い面々が殆どおふざけで誂えてしまったような、結局は“そういう”好事家同士の為の互助システムの範囲らしいが。でも、それでも、値段は載っていたのだ。お金を払うものなのだ。
 そして今、自分は、自分の財布を取り出して、母から与えられていたお小遣いの一部を男に手渡した。
「すっごぉい! も、こんなに……こんなにされちゃったら、忘れられなくなっちゃうよ。せんせっ、ね、せんせぇっ。あん、ああンっ! ……マリ、またイケナイこと覚えちゃったじゃない……ぃ」
 『どうするのさ〜』などと、言葉の割に緊迫感の感じられない嬌声が聞こえる。
 アルコールも確かに口にしていたが、割引いても正視に耐えないベロンベロンの酔い潰れ方のマリ。つんと乳首を起たせた赤い乳暈が目に留まった。服の前もいつのまにか全部開いてしまって、肌蹴だした乳房を自分で揉みこね、カウンターの上にお尻を載せた股間には「スネーク」の女性店員の顔を埋めさせて喜んでいる彼女には、アスカの方こそ言いたかった台詞を取られたように感じる。
 
(どうしよう……)
 その日、アスカは。そしてレイ達は。
 なんと言い繕おうとも、たしかに「買春」という恥ずべき犯罪行為に手を染めてしまったのだ。
 これは、そういうことなのだった。



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