INNOCENT TABOO case Asuka & Rei



恥戯慣らし、視姦下着撮影会

――ユイの目が光っている場所で、シンジと一緒になら。
せめて、そうでなければならなかった。

(じゃなきゃ……)

アスカはぶすっとして、目の前、膝立ちになってローアングルからデジカメを構えるムサシ・リーという子の、無邪気そうな、しかし決して気を許す気になれない顔を睨み付けた。

「アスカ姉ちゃん?」
「い、言われなくても……」
「ほらぁ、早く、早く。早くポーズとってよ。パンツ見せてくれるんだろ〜!」

そう言って、悪戯盛りの年頃の少年がはやし立てる。
その下半身はパンツも履かないすっ裸だ。Tシャツの一枚しか着ていない。
そしてぶらりと、生勃ちの硬さになって垂れ下がるシルエットが腿の間に。

(もうっ、嫌ぁ……!)

直視しかけてしまった「男の子の股間」に、アスカは顔を覆いたくなる。
しかし手は、言われなくても今から、今からポーズをとるわよと、そう言って制服のスカートに掛けられた姿勢にあった。
だからといってあからさまに顔を背けたりするのは、それは“負け”を認める仕草なんじゃないかと思ってしまう。
目を瞑るのも負けだ。

(アタシだって、もうセックスも知ってるもの。オトナなんだから、お、おちんちんくらい……なんてことないわよ)

そんな複雑な心持ち。
さながらは、山道で熊に出くわしたハイキング客なのか、犬同士の喧嘩レベルなのか。
先に視線を逸らしたら負けなのよとばかり、睨み合いをキープする。
ただし、青い瞳が微妙に焦点をボカしているのは、小学生ストリートキングの年齢不似合いな“武器”をピントから外すためだった。

「なんでアタシが、こんなガキに……」
「お? なんか言いましたかね、アスカお姉さん?」

わざとらしく聞き咎めてみせるムサシは、アスカの頭が上がらない相手の方をほれほれと、顎をしゃくって見せていた。
リビングの隅に移動されたソファーには、そうして部屋の中央に確保された撮影スペースを見守るユイの姿がある。

「……ほんと、腹立つわね。良いわよ、分かってるわよ。これが補習だって言うんでしょ。パンツくらい、平気なんだから!」

フンと鼻息も荒いアスカに、『顔も可愛くしてくんねーと、モデルにならないじゃん』とムサシの茶々が火を注ぐ。
頬をキッと紅潮させて、涼やかなソプラノボイスを尖らせる美しい女子中学生。
そして、浅黒い肌に野生児の印象を備えた少年の、にぎやかなやり取りは、まるで仲の良い姉弟であるかにも見えただろう。
しかし、少年は既に隠すべき下半身を露にしており、少女もまたこれより、覆うべき一枚を解いて見せねばならぬ立場だった。

「良いから、もう黙ってなさいよ。……い、今から……いくからね」

壁際でアスカが取るポーズは、社交界のお姫様が気取ってスカートの裾を摘む、挨拶のそれに似ている。
そこから慎ましく手を持ち上げていって――
伝統的なセーラー服を採用している学校が多い中、一際身体のラインを隠してしまうと一部で不評のその制服の、役目を一部、捨ててしまう。
しなやかに伸びた雌鹿のような太腿を露わにさせて、さらにその先の清潔なパンティもさらけ出す。

(だめっ、や、やっぱり恥かしい……。なんて目して見てんのよ、こいつ〜)

年頃らしく羞じらいもあれば、はしたなさを潔癖に嫌いもする。
そんな当たり前の女の子であるアスカが、スケベ心を全開でカメラレンズを向けるムサシに、自分でスカートめくりをしてやらねばならない。
それが彼女にユイが課した課題だった。
性愛の神聖さを説く碇ユイの教え子でありながら、少年達のペニスを不潔だと、心得違いな発言をしてしまったペナルティーだった。



◆ ◆ ◆


『アスカちゃん。ムサシ君達のおちんちんも、あなたの女の子の部分と同じなのよ。汚いということはないの』

それを汚いと言うのならば、アスカは自分の性器を不潔なものだと言うのかと。
常に清潔を心がける少女の口から否は返しがたいユイの言葉であったが、さりとてここで言う綺麗であるか不潔であるかは一般的な意味合いとはまた異なる。
さわる、さわられる。時には口付け、舐められもする。
肌を重ねあう男女の秘め事を、この場の者でだけは大っぴらに共有する“レッスン”の生徒同士なのだ。

『私は汚いなんて思ったことはないわよ? ムサシ君のおちんちんなら、私もいつも洗ってあげているものね』
『そそ、先生のお口でね〜』

教え子とにこやかに頷きあった口元の、赤いリップの艶かしかったこと。

『アスカ姉の可愛いお口だって、先生にキスしてもらってるんだろ?』
『なっ―― !』

『それにシンジ兄ちゃんにも、いやシンジ兄ちゃんにはしてあげてもいる方だよな』と。
本来ならば絶対の秘密でなければならない、シンジとの相互口淫の痴戯でさえ筒抜け。
あまりに分の悪いアスカだった。
直接肌を晒したことも無いし、まして単なる幼馴染同士以上になれる大切な時間を覗かれることは、断固拒否している。
だが、そのシンジはムサシたちともセックスを交わすユイと、近親相姦の間柄にあるのだ。
母親に伝授されたテクニックでアスカを抱いているのだし、アスカ自身もユイに教えを受けているとあれば、推測は実態をそう外れることは無い。

動揺し続けるアスカはじりじりと追い詰められた。
しかし、場所はシンジの部屋に逃げ込もうとしていたのを食い止められた格好。
左右に逃げ場のない廊下をムサシたちとユイに挟まれれば、離脱の強行はまず不可能だった。
偉大な母親を前にしてしまっては、シンジの口添えもあまり期待できない。
ムサシたちのペニスが清潔であると自分自身で確かめることにするのか、彼らのものも自分の性器も一緒くたにまとめて「神聖なセックスのための器官が不潔なものであるはずがない」と、ユイの教えを全面的に受け入れ、認めるか――

『い、いやよ。なんで好きでもないやつのなんて触らなきゃいけないのよ。だいたいセックスは神聖な儀式なんだから、余計に愛が必要なんでしょう!』
『え〜? 俺達はアスカ姉のこともちゃんと愛してるよー? だからさ、アスカ姉のも汚くなんてないって、確認してあげるのも平気だって』
『それに、ここでセックスしちゃうって話じゃなくて、ちょっとタッチして確かめるってだけじゃない。ねぇ、ムサシ?』
『そそそ。ベッドでしかセックスしないってお子様なこと言ってる姉ちゃんと違って、俺達はこーゆーとこで始めちゃうのも燃えるって知ってるけどさ』

だから触らせろといやらしい手付きするムサシとケイタに、さすがのアスカも頑強に抵抗した。

『……やっぱりね。おばさん、アスカちゃんが自分の自然な姿を解き放つことにまだまだ抵抗があるのが、問題の根っこだと思うのよ』

全裸主義者のユイは、やいのやいのと言い合う教え子達に困ったわねと頬に手を当て、憂い顔を傾けてみせた。

『アスカちゃんの身体はとっても綺麗だと思うんだけど、あなたはどこかでそれを恥かしいと思っているんじゃないかしら?』

だから、人前に晒せないのではないか、堂々と胸を晴れず、不潔なものだというイメージさえ抱いてしまうのではないかと。

―― それでね?』

ユイは厳かに伝えた。
やはりこのカリキュラムは必要だったと、その日までの躊躇を真摯に悔いる口調で。



◆ ◆ ◆


―― 一言で言えば、「脱げ」ということだった。

自宅の中ではどころかの徹底した全裸主義を貫くユイだ。
一糸まとわぬオールヌードこそが人のあるべき正しい姿だと公言し、それを許容しない現代社会の規範すら、あえて逸脱してみせることで却って悦びと信仰をいや増している。
密かには、衆目の只中でもインモラルな露出プレイに浸っているらしい。
背徳を糾弾する視線も彼女の思想を揺らがせることはなく、非難しつつもそこに紛れる男達の本心を、彼女の美しい肢体に注がれる賞賛と欲望を見抜いているのだ。
日々確信を深める露出愛好家のユイに性の手解きを受けていて、アスカが同じ痴女行為に誘われないわけが無かった。
そこを固辞して固辞して、逃げ続けていたのだが……。

「ま、年貢の納め時ってわけだね」

碧眼の上級生少女の屈辱ポーズを眺めながら、下着姿の披露をせかすムサシ。
今日はまだ下着姿どまりの初心者レッスンと容赦されているが、とは言えそれが、やがてはユイの後に続いての全裸露出に至る階梯の第一歩であることは違いない。
……遂に、そういうことになってしまったと、おどろおどろとした顔つきでもって恨めしく小憎たらしく、そして、

(なのに、なんでそう、アタンは……!)

疑問一杯に睨む先には、リビングの反対でアスカと同じように壁に立ったレイが、こちらはしれっとした顔で。
カメラの前にスカートを持ち上げ、一足先に下着開陳のポーズを取ってしまっていた。

アスカの八つ当たり気味の尖った目にも素知らぬ素振り。
普段と変わらぬクールフェイス。
隠そうとしても隠せるものではない恥ずかしさのアスカの赤面とは、対照的ですらある。
遅れて碇邸を訪れてきてみればいきなり、アスカの自爆に巻き込まれる羽目になったと―― そう恨めしく睨み返してきていい筈なのだが。
ライバルだが友人でもあるレイを付き合わせた引け目だってあったのに、相手がこう暖簾に腕押しでは、筋違いな苛立ちさえ募ってしまう。

「レ、レイお姉ちゃん……もう少し、足開いて」

レイの前にも、ムサシの同級生でもあるケイタ少年がしゃがみ込んでいる。
ユイに言われた「モデルには絶対に触らないこと」という言いつけと、それでいて「女の子がまだ自分では気付けないでいる魅力を、男の子の視点で教えてあげる」ための写真撮影という課題の両立をこなすべく、ギリギリの接写に挑んでいるようだった。

「ん……。鼻息、少しこそばゆいわ」
「あ、ご、ごめん」

小学生の手には少し大きめのデジタルカメラは、ふるふると震えるレンズをレイの白いショーツが包むひそやかな膨らみに密着させんばかりだ。
年上の美少女のひっそりとした性の割れ目までも、清潔な布地の皺ごしに透視出来そうな破廉恥すぎる至近距離。
ムサシのように軽口を叩く余裕もない様相でそう夢中になってファインダーを覗いていても、ああも近過ぎてはだ。
きっとケイタの意図した写真は撮れないのだろうが、そのこと自体は些細なことであるらしい。
他にも息子であるシンジと霧島マナという三人目の小学生生徒の組を監督しているユイのそぶりを見ても、技術的な観点からアドバイスするつもりは無いようだった。

「レイお姉ちゃんの……、凄い……」

ケイタが見慣れたユイのアンダーに比べれば、デザイン自体はずっと素っ気無くとも、やはり女の子の買う下着は少年たちの履くものとは薄さが違う。
ムサシ同様、撮影に入る前に半ズボンを脱ぐよう指示されていた股の間で、ケイタの興奮が急角度で立ち上がる。
きれい……と零した声は、熱い息遣いに震えていた。

「……綺麗?」
「うん。やっぱり、レイお姉ちゃんってオマ×コの毛も髪と一緒なんだ。透けてる……」
「……そう」

少年達の崇拝するユイに良く似た容貌に、なまじっかなことでは反応というものを浮かべない超然とした佇まい。
赤い瞳と銀の髪のアルビノの特徴を、どこか神秘的な魅力にさえ変えてみせる。
そんな、憧れも少なくない綾波レイ先輩の、なのである。
下着一枚が覆っているとは言え、性器そのものを拝んでいるに等しいとあれば、ケイタが昂ぶるのもごく当然のこと。
そして、その興奮の程を被写体である少女達に分かり易くしてやる為というのが、このむき出しのペニスの理由なのだった。

「私のここが、あなたを嬉しくさせるのね」
「……うん。すっごく、いやらしい。なんか良い匂いしてるし……」
「あなたの、随分大きくしているわ」

流し目のように見やって確かめたレイが、足の位置を変える。
絨毯を踏む左右の黒い靴下は、肩幅よりも開いたものになった。

「あなたたち、男のひとなら女性のここを見ればそうなるものなの? ……性交、したい?」
「うんっ、したい、したいよ! レイお姉ちゃんのこのマ×コに、僕のをずぶずぶぅってしたい!」

もうシャッターを押し込むのも忘れたかとひたすら見入るケイタが息を飲むと、また配慮を上乗せに示して、裾をたくし上げ直す。
そうして、すべすべとしたお腹をもう少しでへそが見えるくらいの位置まで出した腰で、心持ち突き出すようにさえしてやった。

「うわぁ……ぁ、レイお姉ちゃん……」

自然、レイがヘアの青みがかって見える色を透けさせているショーツは皺が伸びて、恥丘の柔らかい丸みにぴっちり張り付く形へ。
ふっくらと柔らかそうなヴィーナスの丘に縦にすっと走るライン、レイの半熟の恥裂。
あけすけに浮かび上がった薄布の下の形が、最大接写で目を皿にするケイタの視界に飛び込んで、

「これ、この小さいぽっちり……レイお姉ちゃんのクリトリスなんだよね……っ、あっ!」

これ以上ないギリギリの位置になっていたレンズが、クッションのような感触で押し返された。

『んん……っ』と、レイが小さな息を漏らす。

頬の病弱そうな肌色に、ばら色の朱が立ちのぼっていた。
その優しい感触がレイの敏感な下腹部のものであったと理解が追いつく頃には、媚態と言って良い―― 彼女にしては意外なまでのサービス精神を見せたかのその表情は、鼻血を吹きそうにして呆然と見上げるケイタとはもう違った場所へ向けられていた。

「……碇くんも、大きくしているのね……」

声には、玲瓏な響きを曇らせる嫉妬がはっきりと滲んでいた。



◆ ◆ ◆


「おいたはだめよ、ケイタ君」
「ああっ、ユイ先生ぇ〜」

我慢が効かずレイの腰にむしゃぶりついたケイタの、歩み寄った全裸の麗女、ユイに襟首を引っ張り上げられて出す、情けない声。

「んっ……」
「あらあら、着替えてくる?」

大股開きで尻餅を付くレイはと見れば、涎でたっぷりの口付けを受けたと思しきショーツの中心のシミに、軽く眉を顰めている。

「……構いません。脱いでしまいますから」
「そう? ……あら、まぁ……レイちゃん……」

簡単に言って、躊躇も無くするすると足をくぐらせ脱ぎ捨ててしまう辺りには、さすがのユイも苦笑しているようだ。
座り込んで細い足を交互に動かす間、完全に見せ付けてしまっている自身の秘唇を、ケイタがまた硬直して凝視しているのには気にした素振りもない。
あっさりと足首から抜いたショーツは片手で丸め、無造作に腰のポケットへ突っ込んでしまう。
すぐに何も無かったように立ち上がり、『撮影は……?』と、続行の有無を露出レッスンの教師であるユイに訊く。

「レイってば……」
「綾波……」

期せずして重なった嘆息にアスカが首を巡らせば、目を合わせて決まり悪そうに笑ってみせるシンジが居るのだった。

「あんた、随分楽しそうにしてるじゃない」
「そ、そうかな」

アスカたちと共に下校してきたそのままでこのレッスンに臨んだシンジだが、壱中制式の制服の内、黒のズボンは当然の如く脱ぎ捨てた後だ。
傍らにアスカよりもずっと幼い少女を這わせ、座り込む股間は隆々とそそり立っている。
生白い幹には、小さな手指がいやらしく絡み付いた真っ最中。
ユイに倣って早々に衣服を脱ぎ捨てていた少女、マナの、寝そべりつつキャッキャと楽しげなペッテイング奉仕だった。
楽しんでいたとしか思えないシンジの顔の、しまりのないこと。
アスカはかちんときたそのままを口に出した。

「……モデルにタッチは禁止だったんじゃないの?」

じとりと言われると、シンジは視線を逸らして手の中のカメラを無意味にいじり回す。

(――都合が悪くなると黙り込むんだから!)

そう膨れてしまったアスカが続けざまの言葉を浴びせようとしたところで、しかし彼女は、シンジを庇うかに口を挟んできたマナ相手の方で、ムカムカと腹を立てさせられることになった。

「モデルの方がカメラマンにお触りするのは、別に何も言われてませんよ?」
「なによ。カメラマンなんてしてないじゃない。どうせ、最初っからいやらしいことばかりしてたんでしょ!」
「……ふっふ〜ん♪」

マナは得意そうに鼻を鳴らして、腰より下をカーペットから持ち上げた。

「シンジさんなら、ちゃんと私のここ――」

言いながら天井に向けて、足をぷらぷらと揺らして見せる。
力を込めていない膝がだらんと開いた、逆さがに股とでも言うべきはしたないポーズで、だ。
いかにも子供じみた体付きの童女がする分に限っては、それは無邪気な所作に過ぎないのだろう。
しかし、マナが見ろと言っているのは、足の裏がぷくぷくと可愛らしい両足ではない。

「ね、シンジさん、い〜っぱい、いっぱい撮ってくださいよぉ? コ、コ、……ここをアップで」

盛んに撫で回し続けている勃起がよほど愛しいのか、仰むけになってもシンジの股座に齧り付きのマナは、微妙に腰をくねらせる。
開いた脚の中心に目を誘う確かな媚びは、このロリータ少女の閨事に於けるアンバランスな成熟を示していた。
この姿勢になってしまうと、単なる一本の筋―― まったくの子供そのもの肉溝でも、くぱと開いてしまって、そのピンク色をした内部構造を彼に覗き込み易くしてしまうのだ。

「ぅあ……」

たちまち正直な反応を示して、真正面にヒクヒクと幼唇の息衝きを見せつけられた牡器官が、マナの掌の内で力を漲らせる。
大きく喉を鳴らして生唾を飲み込んだシンジに、マナの鳶色の瞳は年に似合わぬ淫らな悦びで満たされたようだった。

「ね♪ ちゃんと見てくれてますもん。シンジさんの目が、わたしのこの……エッチなところが好きだ〜って、教えてくれてるんです」

あまつさえ『ん……、奥まで、ちゃんと写るようにしますね……』と、空いた方の手で未熟もいいところの小淫唇を片側摘んでひっぱり、大きく拡げてみせさえした。
喜蜜にまみれて輝く膣口は、この歳で既に男性経験がある等とは思いもできない初々しさ。
華奢な腰つきもあって、無体な真似をすれば簡単に壊れてしまいそうな彼女のそこは、けれどももうアスカが知るずっと前からシンジを受け入れてきているのだ。
くいくいと、いきり勃ちをしごきたてる手付きの慣れた様はといえば、アスカのとても及ぶところではないとまで思えた。

「うぁ……ぁ、マナちゃん……。そんなにしたら……」
「出ちゃいます? あは、出ちゃうんだ。シンジさんのセーエキ。そしたら、今度は霧島マナのミルク掛けヌードってことで、シャッターばんばん切っちゃって下さい。マナのエッチな写真、いっぱい撮って下さいね」
「う、うん……」

アスカを気にしておっかなびっくり半分であっても、結局はペニスに与えられる巧みなマッサージの快感に、人前でも恥じることのない全裸の誘惑に、シンジは抗しきれない。

(この子、なんでこんなに厭らしいことばっかり上手なのよぉ……!)

あっ、あっ、と。手もなく女の子のように喘がされつつ、マナの裸身に魅入られていく幼馴染みの男の子の醜態に、アスカは歯噛みするのみ。

「シンジぃ〜」
「マナぁ……」

『ん?』と、すぐ側からのお互いの情けない声に顔を見合わせて、アスカとムサシは気まずく誤魔化し笑いを重ねたのだった。



◆ ◆ ◆


「そんなに硬くならなくってもさぁ」
「うっさいわね」

さっさと下着を見せろ、待ちなさいよと、二人の押し問答はまるっきり進展を見せていない。
再び介添えの位置に戻ったユイが見ていなければ、ともすればその勢い任せにリビングの床をベッド代わりにしてしまいかねないシンジとマナ。
そして、下着を脱いでしまったそのまま、再びケイタのレンズにスカートを掲げた下を写させるレイたちの二組からすると、自分たちは―― 自分は、果たして課題を与えたユイを肯かせるだけの“答え”というものを見いだせるのだろうか。
アスカには甚だ疑問だった。
同様のレッスンを経てあれだけシンジを魅了する術を身につけたのだろうマナの存在を思うと、焦りにも似た苛立ちが胸に募りもする。
ムサシも、マナとシンジの仲睦まじい様は面白くないらしく、余所見に気を取られながらのふて腐れた物言いが目立つ。

「パンツなんてさぁ、水着と大して変わんないわけだろ。一緒にユイ先生にプールに連れて行ってもらったばっかじゃん」
「……あんたは、泳ぐよかエロい目してる方が長かったわよね。だからエロガキは嫌なのよ、人のことやらしい目でジロジロ見て」
「当たり前だろぉ〜? 俺ら男だもん」

女の子の裸を前にしたなら無視する方が失礼だとは、ユイの薫陶であろうか。
ムサシの理屈は、女の自分からしてみればただ男に都合が良すぎるものでしかないが、これまでのポリシーで一蹴してしまうには、自信というものを失いかけているアスカだった。
他でもない、女としての恋を掛けたレースに遅れをとり続けている自覚があるからだ。

「大体、水着も男に見せるために着るもんなんだから、ちゃんと目の保養ってやつをさせて貰って、エロいぜって褒めたげるのがマナーなんじゃない」
「……エロいぜじゃなくて、綺麗って言うとこでしょ、そこは」
「一緒じゃん。言葉をどう選んだってさ、要はここ――」

あぐらをかいて座り込んだ股ぐらを見ろと、顔を顰めるアスカに、

「チ×ポがモッコリくるか、こないかだろう……?」

男が女を見る判断基準なんて、究極的にはそこに尽きるのだとムサシは言い放つ。

「どうなのさ?」
「……まぁ、そういう一面も……否定できないわね」
「アスカ姉ちゃんもさ、ユイ先生に教えて貰ってんのは、そういう“女を磨く”ってやつじゃないの? はっきり言って、スカートも捲ってくんないアスカ姉じゃ、チ×コ勃たないぜ」
「まっ……!」

なんて物言いかしら。分かりやすく嫉妬してたり、ちょっとは可愛いところもあるじゃないと思って損したわ――と、腹を立ててみても、彼女には言い返す言葉が見付からなかった。
ユイが見ているのだ。
その教えを受けると自分から“レッスン”に参加した身なのだから、真っ向から否定するような台詞は、少なくともユイの前では言い辛い。

「……さ、どうすんの? いい加減、先に進まない?」
「うぅ〜」

スカートを捲って、ショーツを見せる。それだけと言ってしまっても、踏ん切りはつかなかった。
初体験を随分とインモラルな経緯で済ませていても、アスカの心は処女だった時とさして変わらない。
当たり前に乙女であるのだ。

「忘れてんじゃないかと思うけど、この“補習”、俺らにはあんま関係ないんだよね。今更っつーか、ユイ先生がわざわざこのメニュー出したのって、アスカ姉たちの為だろ? で、俺らはそれに付き合ってあげてんの。分かる? 付き合って、あげてる、の」

呆れた調子が次第に多くを占めだしているムサシの声色には、言外に含むものがあった。
匂わせているのは、いつでも止めてしまって構わないのだというスタンス。
年齢差とは逆にここでは教えを請う立場である彼女に向かって、それを弁えろよと言っているのである。

「良い? この位で腰が引けててもさ〜。その内もっとスゲーことしろって先生も言ってくるし、今日に限ったって、単にパンツ見せろってだけで終わりじゃないんだぜ? 少しはエロく写真に写んなきゃ、マナに負けるって以前だよな」

“レッスン”の入り口に過ぎない場所で足踏みをしていてもしようがないのだと、思い出させる。

「次があって、もっとエロい写真撮らせろって俺が言ったらさ、アスカ姉ちゃん、おっぱい出すのだって覚悟しないといけないんだぜ? その内、パンツも脱いでもらうし、ゴールは更にその先なんだから」

最低限でもレイ並みの素直さでもって協力してくれなければ、コーチしてやろうってものも伝わらないぞと。
そうやって“レッスン”が成立しなければ、ユイのように、マナのように、シンジの目を自分に惹き付けるための何かを学び取ることも出来ないのではないか。
だから『後輩なんだからさ。もっと謙虚になればぁ〜?』とは、理性が分を認めても、しかし何とも腹の立つ話だった。

「あーっ、もうっ、分かったわよ! スカートくらいいくらでも捲ってやるわよ。好きなだけ見れば良いんだから」
「違うだろ。見て下さい、だってば。アスカ姉は、『ムサシ先輩、私がマナに勝てるぐらいエロいかどうか、どうかこの躯を見て確かめてやって下さい』って、俺に頭をこう低く下げてだね――って、痛ぇ」

調子、乗りすぎ。そうがつんと拳骨をくれてやったアスカだった。

「……真面目にやるから、あんたも真面目にやってちょうだい」

大声を出してしまっていたのが聞こえたらしく、マナとの痴戯から顔を上げたシンジがちらちらと様子を窺ってきている。
そちらをキッと睨み付けて、(見てなさいよ……)とアスカは覚悟を決めた。
最後にゴクリ、何かを飲み込んで、

「む、ムサシ……君。あ、あたしの……下着、どうか見て……ください……」

ふるふると震えつつ、恥じらいたっぷりにたくし上げていく。
ぎゅっと閉じる太股が付け根まできても、裾を持つ拳を固くした後は、一気にまくり上げきってしまう。

「うっわ、黒かよ……」

ユイの身に着ける高級で扇情的な下着。それを精一杯背伸びして真似たかの艶麗な刺繍入りショーツに、本当はアンタに見て貰いたくって買ったんだからねと、真っ赤になった顔で眉間をきつくさせながら。
赤毛のヘアがレース地に薄っすらと確認も出来る眺めに、よっしゃ合格と喜ぶムサシがシャッターを切り出した。
そうやって、マナをまとわりつかせたシンジが複雑な顔で見守る中、重いわけが無いスカートを支えるのに、かたかたと腕を小刻みに揺らさねばならないアスカの美貌を、フラッシュで真っ白に焚いて、焚き続ける。

(あ、あぁ……。やっぱり、は、はずかしい……っ)

ソファのユイが満足げに頷く。そうよアスカちゃん、その恥かしさが第一歩なの。

「…………」
「……レイお姉ちゃん?」

同じポーズでいた、こちらは―― 儚げに青白い肌の股間に、慎ましいスリットの周辺だけが薄くチェリーピンクに色づいた―― ノーパン写真を撮影させていたレイが、ユイの表情に気付いて、アスカを振り返る。
俯かせた顔を前髪で隠し、ムサシが何を囃しても決して起こそうとしないアスカには問うまでもないが、ほんのりと染めた面持ちで友を見守るレイが何を思うのかは窺い知れない。
ただ、恋するシンジが自分を置いて年端もいかない少女に夢中になっている、それを面白くないと思う心を、彼女は正確に把握していた。
把握していたが故に、ケイタ少年にスカートを捲り上げてみせた時、下着を脱いでみせた時、視線を吸い寄せられたシンジの挙動を、赤い瞳にしっかりと捉えていたのである。
些細な感慨も浮かべぬかのクールフェイスは、そのままさらに反応を確かめて、ほぅと小さく零していた。
頬に射した薄い桜色はその時からのものだった。

(碇君……)

彼の黒い眼は今、アダルトな下着姿を他の少年に視姦させる幼馴染の身悶えぶりに、食い入るようにしている。
―― アスカは分かっていないのだろう。
今の彼女はおそらく、アイドル視する一方のクラスメイト達が暗に注ぐ後ろ暗い欲望より、子供の癖に数段生々しい欲情をぶつけてくるムサシに慄くばかり。それで精一杯。
恥女を演じる現実からの逃避を願い、くうっと顔も背けた有様では、折角なのに彼の熱心な眼差しにも気付けない。

(……それは、残念なことだわ)

レイは、選択の正しさを信じている。
ユイの誘いに頷いた、それは正解だったと。

だからこそ知っていた。少年の目を再び振り向かせ、熱っぽく見惚れてもらうにはどうすれば良いのかを。

「……お尻の方も、カメラに写したい?」
「え? う、うんっ。撮らせてよ、レイお姉ちゃんのお尻っ」

後ろを向いて、腰にスカートを引き上げる。
光沢をもった雪肌のヒップが丸見えになり、ケイタのはしゃぎ声が一際高く―― それでもまだ足りない。
シンジの関心は、アスカに取られたままだ。

「……もっと見やすくしてあげる」

色素に欠けたショートカットを揺らし、レイは上半身を倒して、壁に手を付いた。
ぐいとお尻を突き出し、高く。黒いソックスを履いた爪先を伸ばして、まだ高く。
その姿勢で、細い首を振り返らせた先に片手を伸ばし、クリクリッと丸い二つの肉の丘をかき分けてやった。

「うわ、わっ、わぁっ……! 良いんだよね、お姉ちゃん。お尻の穴も見えちゃってるけど、撮って良いんだよね!」
「……ええ、構わないわ」

さらに爪先に力を入れて、すぼまったアヌスの蕾も会陰も、そしてひっそりと柔肉に切れ込んだクレヴァスも、何もかもを彼の目に届くように、さらけ出す。
そんなポーズを取る自分はどうだろう。

「わたし、いやらしく出来てる? ユイ母さんみたいに、男の人が我慢できなくなる位、いやらしい……?」
「うんっ、うんっ。凄いよ、すっごくいやらしい。レイお姉ちゃんのおマンコも見えてて……。もっと、もっとお尻高くして、もっと良く見せてよ!」

ケイタを挑発して騒がせたなら、それだけシンジを注意を引くことが出来る。
シンジを喜ばせることが出来る。
そう思うと、レイの胸は高鳴った。腰の奥がじんと、甘ったるく疼いた。

「あ、あ……、濡れてる。濡れてるよ、レイお姉ちゃんのおマンコ。興奮してるんだ、興奮してるんだよね!?」

『……そうよ』と、挑発的なポーズに秘部をかき開くアルビノの美少女は、ささやくように洩らす。
嘘偽りの無い吐露は、閨房の喘ぎにも似て聞こえたか。
そうして、視界の端に遂に待ち望んだ黒い瞳を認めたレイが『ぁ、はぁぁ……っ』と垣間見たものは、軽いアクメですらあったかもしれない。
レイのピンク色をした粘膜の溝を熱い湿りが伝い集まり、太腿に一滴となって流れ落ちる。
美少女の頬はさらに赤く染まった。

「はぁっ……」

背中から尻肉に宛がっていた手をいったん前に回し、十分に開いた足の間をくぐらせる。
『綾波……』と、今度こそしっかりと捉えた視線に喜蜜をしたたらせつつ、二本の指を使って自らの発情した秘唇をくつろげたレイは、背後へ甘えた掠れ声を投げ掛けた。

「ケイタ君。この、いやらしい涎を垂らすわたしを、写して――


 

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Original text:引き気味
From:『INNOCENT TABOO』 寝取られ風味、淫乱美母ユイスレ3