畜類め、繁りやがれ! 05

Original text:LHS廚さん


 


「わたしが、あのロボットの、パイロットですか?」
「実はね、一昨日貴女が初号機……シンジ君の動かしていたあの紫の機体なんだけど。
 あの機体にあなたが乗った時、まったく拒否反応が出なかったの。
 本来なら彼以外受け入れないシステムのせいで、動きが鈍くなる筈なのに。
 つまり、貴女に素質が有るとしか思えないの」

これは欺瞞ね。


彼女の母親はユイさんのペット。
Seeleの老人達も知らない。
これで初号機、弐号機、参号機はコアごと彼女のもの。
手違いでサード・インパクトが初号機以外をヨリシロにして起こされたとしても、キョウコさんとメリーナさん、カズミさん。
忠実な『猫』は御主人様を裏切らない。

間違いなく三人は誰のコアが選ばれたとしても、『世界再構成の権利』を彼女に差し出す。
三人には世界がどうなろうとどうでもいいと言う発想すら無いかもしれない。

あの三人にとって、それ以上の価値が、ユイさんにあるんですもの。


◆ ◆ ◆


その要請に、一晩の猶予を貰った私は。
シンジさん達の家で行われた歓迎会に参加しました。

 

「それでは、山岸はんとビンセ「もう、マリイでいいですわ」……マリイはんの歓迎会を祝って」

皆さんがグラスを取って、顔の前にかかげて。

「「「かんぱーい!!」」」


「飲まなきゃやってられっかぁー!!」
「ホンマにやりたかったんやな、パイロット」
「僕は人を傷付けたくないから、やりたく無いのに……」


「あ、そう言えばミナツへの見舞い、感謝しとるで」
「僕こそ御免。 最近まで怖くて行けなかったのは悪いと思って」
「まぁまぁ。 惣流も委員長もアリガトな、センセと一緒に来てくれて」
「「いいえぇ」」


「なぁ、何時の間にここまで飼いならしてしもうたんや?(ひそひそ)」
「それが、僕にも……仲良く慣れたのは幸運だったとしか……(ひそひそ)」


「あれ、どうしたのマリイさん。 怖い顔して」
「失礼いたしますわ三佐。 私、負けられませんの」


とことこ……どすっ。


「何でアンタまでここに来るのよ」
「わたくし、彼の資料写真に一目惚れ、ですわ。 日本赴任を承諾したのもそれが理由です。
 その気持ちは、今日彼を見て知って、更に大きく、強くなりました。
 ……嬉しいですわ♪」
「はぁ!? 冗談は」
「恋愛の切欠としてはいけませんの? 一目惚れは」
「本気のようですね。 私、負けませんよ?」
「リードされてしまってるようですが、わたくしも負けませんわよ?
 アスカ、それと洞木さん」
「私もヒカリで、いいですよ」


「「「また碇か!!」」」
「僕のどこがいいの……?」
「やかましい!! 一発殴らせぃ! この『転校生キラー』!!」


そんな会話が、ひたすらにお酒を飲む私のまわりで聞こえました。
はじめてのお酒の味は、よく判りませんでした。
苦かった、としか。


 


◆ ◆ ◆


 

酔い潰れた私が目を覚ました時、殆どの人はもう帰られてしまった後のようでした。
私を起こしてくれたのは確か、葛城ミサトさん。
シンジさんの保護者の方です。

「大丈夫?」
「あ、はい。 少し、悪酔いしてしまったようです」

彼女は非常に申し訳ない、と言う表情をしています。
目の前にはカクテルの缶が5個。 多分、一気飲みのしすぎでしょう。

「御免なさいね。 貴女も巻き込んでしまって」
「あの、飲んだのは私の意志」
「それだけじゃないの。 貴女がヤケ飲みした理由……それにも私は関与しているのよ」

なるほど……そう言う訳でもあったんですか。 護衛のかた、なんですね?


「えっと、私達、最後に残った鈴原君達を車で送って」
「いいんですか? 飲酒してたんじゃ?」
「俺が運転するから大丈夫だよ。 俺は加持リョウジ。こいつの恋人で同僚だ。
 それで、よければ送るけど……一緒に帰るかい?」
「それは止めた方がよろしいですわ」

加持さんの真後ろからマリイさんがやって来ました。
彼女の後ろにいる鈴原さんと相田さん、綾波さんは、帰り支度を終えてしまっています。

そんな三人の間を、碇さんと洞木さんが後片付けをしながら右往左往。
アスカさんは……シャンパンのビンを抱きしめてソファーでお休み中です。


「正直な所、彼女は今日、この家にお泊めした方がよろしいかと。
 かなり酷く酔われてますので。 今日、お父様はお帰りにならないのでしょう?」


え?  私はそんな事言った覚えは無いですが。

話が変に進んでいます。

どうしてそうなるのかを理解できずに動揺し始めた私の前で。
彼女は、そんな私の前に片膝をつき、カードが入るくらいの封筒を渡してくれました。

「わたくしのホテルの住所など、あと多分明日から使えるでしょう携帯電話のテレホン・ナンバーです。
 何かあったらお電話下さいな。 何時でもお待ちしていますわ」

それでは、と恭しく私とシンジさんに一礼して。

鈴原さん達を連れて……と言うより率いて、颯爽と出て行かれました。
唇を『頑張って下さいな』と動かし、一つwinkをしながら。


◆ ◆ ◆


「よかったの? 告白したのに」
「このチャンスを告白に利用できるかどうか……それは彼女しだいですわ。
 お塩を敵に送ると言う日本の逸話。 わたくしはそんな心遣いが好きですの。
 それに、今、躊躇なくせまっていい答えが得られる程、わたくしが彼を知ってる程、彼はわたくしの事を知りません」
「成る程な。 じゃ、俺達も彼女にチャンスをあげよう」

エントリープラグの中で二人が交わした『約束』を三人は知らなかった。
そして、彼女がした悪戯が意味を成してしまう事になる。


◆ ◆ ◆



「シンジ、今日は頑張ったから久しぶりに栄誉を与えるわ!」
「な、なに?」
「山岸さん、シャワーだけで済ませてしまったの、それで」
「そ、それで?」
「アンタに茹でたてになって欲しいのよ、アタシ達より先に」
「?」
「シンジの匂いが付いたお湯にアスカと二人、浸かって見たいなぁ、って」
「ふふ、真っ赤になった真っ赤になった♪」


◆ ◆ ◆


「マリイさんも、なの? 僕のなにが良いのかな……」

さっきは吃驚した。
本心からの、混じりっけなしの告白だった。
確かに、今日のお昼の出来事から想像は出来るけど……。

 


『さっきからアスカとヒカリ、何言ってるんだろ? あ、マリイさん、此処が僕らのクラス……?』
『「貴方とヒカリさんと言う方とアスカが『何回出した』」って言う話をなさってますわ。
 わたくしも、知りたいですわ? 一体何を出したんですの?』

彼女は僕に寄り添うように顔を近づける。 アスカより少し深みのある青い瞳を潤ませながら。
今の僕はそのひと仕草だけで、彼女の『弱い所』を見抜けた気がした。

多分鎖骨の辺りをそっと撫でるだけでとろけるように甘く啼いてくれ、って違う!!


『あ、いや、それは後で説明、します。 そ、それで、とりあえず、翻訳、あ、有難う』
『では報酬を下さいな』

ちゅっ。

『……!!』
『くすっ。 本当に、可愛らしい所もある方なんですね? ますます……嬉しいですわ。
 それでは、説明しながらで良いですから、わたくしを皆さんに紹介して下さいな……』

いきなり、唇に、キスされた。 頭を抱きしめられながら。


『さ、さぁ』

躊躇なくキスした時と違って照れ臭そうな瞳をむけるマリイさんが……欲しいと思った。 好きになった。
何で、何で僕はこんなに、それも沢山の女性を求めるようになったんだ?!
これじゃ僕は…。


とんとん


「あ、はい、アスカ?」
「私です。 マユミです。 少し、宜しいですか?」

マユミさんは控えめで……。

「遠慮なんかしなくていいよ? 入って来て」


彼女の事だから、アスカが好む漫画じゃなくて僕の戸棚にある小説を借りにきたのか、と思った。
パーティーの片づけをしている時、『後で、部屋にお邪魔していいですか?』って聞かれていたから。
どうぞ、と素直に招き入れる。

するするっ、という音が二度響いた。


「えっと何か気に入ったほん……!!!」

振り返った僕の前にいたのは、シーツだけを纏った、明らかに全裸とわかる彼女で。

「シンジさん。 あの時の約束です。 一度でいいですから抱いてください」

彼女のほほを涙が伝って。 僕はまた『僕』になった。


「僕は、一度だけなんかで終わらせたくない。 ずっとマユミが、欲しい」


◆ ◆ ◆


「このお風呂じゃ二人してはいるのは無理、だったかぁ」
「でも、私からでよかったの?」
「アタシには幾らでもチャンス、あるもの」
「あはははははは……はぁ。 で、どうだった?」
「やっぱり行ったわ。 それもシーツ一枚」
「うわ、アスカと違っておしとやかなのに。 大胆」
「悪かったわね、あんなのが似合う女で。 それで、いつ踏み込む?」
「最初の一回だけは待ってあげよ?」
「でも、あと少ししたら上がろうよ。お湯じゃなくてものぼせちゃうもの」


◆ ◆ ◆


「直接、見せてくれないの?」
「ひゃ、ひゃですっ、こんなっ! はしたない、わたしっ!」


ヒカリともアスカと違う、別の女性なんだなぁ、と思う反応。

アスカは全てに自信がありありとあって、僕の視線に何時も自分の裸を入れるようにする時がある。
体も精一杯広げ、今自分が重点的に刺激して欲しい所を僕に無言で強調する癖がある。
僕に支配されるのがお気に入りで、全体的にバックで愛撫されたり抱かれたりするのが好き。


一方ヒカリは何時も僕の体にしがみ付く。 体を観られるのが嫌なんじゃ無くて、触れ合う事で感じる僕の体温を体全体で求めて。
とにかく触れている事を喜んでいるんだ。
だから、正面から抱きしめてると僕の片足を挟んで、あそこを僕の太股にこすりつけたりしてくる。


いま抱いているマユミは多分、快感が強くなると体を丸めてしまうタイプ。
緊張してガチガチだった肌が、柔らかくなった頃には下半身が正座をしている様にくるくるっと僕にお尻を向けながら丸まっていく。
でも、上半身は僕の方へ振り返り

「キス、してくださぁぃ」

必死にキスをねだって来る。


自分の中につけて来た小さい火が、一気に炎になってしまった事に戸惑いのなかに。

自分が「碇シンジ」に抱かれているのに喜び。
自分がそれに素直に反応しているのに、僕に何も出来ない事に怒り。
自分を抱いている男が女を抱く事に慣れきっている事に気付いて悲しんで。

諦めとは正反対の理由で抱かれる事を『楽しもう』としている。

 

マイナス思考を振り切ろうとする精一杯の強がりが、可愛い。

彼女は乱れた。

「あふぁっ……」

僕自身が愛撫と思っていない事にすら。

「ひん?!」

今、胡坐を書いた僕の目の前で、僕に『刻印』として何時ものマークを刻む。
心臓の真上にある濃いキスマークを刻み疲れた彼女は、何時もの冷静さをかなぐり捨て。
たった一本だけ膣に入った僕の中指に狂ったように腰を打ち付けている。


「きゃふ、はふぅ?! 嫌、いやだ、いきます!いきますぅ!!」


一番奥に入った瞬間、僕のほうも中指をGスポットに限界まで近づけ、
折り曲げるように指を振動させながら親指で豆を押しつぶした。

歓喜の涙を流し、赤ちゃんのように胸に執着していた僕をぎゅっと抱きしめ。

「私は、マユミは貴方の女! 貴方だけに忠実な、貴方だけのものですぅ!!」


背筋をぴぃん、と仰け反らせる。

一拍置いて。 真っ赤になった体を僕に押し付けるようにしなだれかかった瞬間。


「やっほ! シンジ、今日も来たわよ♪」
「お邪魔します。 取り合えず山岸さんに休んで……あ」

ふすまが開いて。 僕の『女』達が入ってきて。
固まった。

 

「あ、あの、もしかして。 私達の事知らないうえに」
「初体験も、まだ?」

こくり。


マユミが頷くのと一緒にひそひそ声になっていない話し声が響く。

「ど、どーしよヒカリ?」
「だ、だってあんなに大きな声だからてっきり」
「そりゃあヒカリはあんなに声大きかったし、アタシもどっちかと言えばそうだし」
「え?! 私ってそんなに声大きいの?」
「うん。 だって雷の音に掻き消えなかったんだよ? あの時のヒカ」

いいんです。


僕の不安と二人の騒ぎはその一言で静まった。

「「「え?」」」
「知って、ました。 全部。 女のカン、です」

マユミは体をひっくり返し、ぼくに背を向ける。

「気付いていらっしゃらなかったでしょう? けど、判りますよ。 綺麗ですもの。
 この数日で、本当に生き生きとした、健康的な、それでいて妖艶な美しさでした」

そのままマユミはそそり立った僕のをつかみ。 一気に自分の意思で根元まで受け入れた。
二人の先輩に見せ付けるように。

「みて、んぎゅゅ!! 私が、この人の事を好きだと言う事を受け入れてくれるのなら。
 お二人と一緒に、彼を愛していいのなら……! 最後まで、私の『誓い』、見て下さい!」

彼女は生まれ変わっていく。 僕の『マユミ』に。


◆ ◆ ◆


ふすまから見て左側にシンジがいて。
胡坐をかいていた足はもう下ろして、丁度ベッドに腰掛けるようになっていて。
丁度肩幅に開いた腰を丁度かかとで挟むようにしたマユミさんが足を曲げて
シンジに背を向けながら、しんじとつながって、いる。

「はわ、はっわわわわっ」


アスカは慣れて(?)いるかもしれないけど。 私にはカルチャーショックだった。

昨日、私とアスカ、シンジの三人は確かに一つのベッドで愛し合いはした。
でも、自分の中の欲望を鎮めるのに夢中だったし、気を抜けば自分が消えてしまうと思うほどの悦楽に飲まれ、自分の番が終った後のアスカとシンジがしてるところ、なんて見てなかった。


でも、マユミさんは私たちを見ている。 そして、『魅せてる』。
血を滴らせながら、それでもいとおしげにシンジのを飲み込んでいる彼女のあそこ。

観想を言ってくれないのにじれたのか。


「あすか、さん。 ひかり、さん。 私、の、みて、くれ、てます、か?」

「うん。 貴女の、りょ…あし、のかかとが。 シンジ、の腰、挟むようになてて。
 しんじ、きもちよさそう、に、してて。 あなたの胸、の、先もピンと……とがってて」
「アタシより、少し、陰毛、こくて、シンジの、マユミの、なかに、入ってて。
 固いラビアが必死になって、くわえ込んで、ぎちぎちていってる。
 あ、血……純潔の。 アタシも、こんな……」


いつの間にか、私たちは二人の前に跪くようにして凝視していた。

 

「破瓜の……鉄の味……」
「きゃぅん!? あ、あすかさぁ! あすかさぁん!!」

アスカは、傷付いた子猫を癒す親猫のように。
マユミさんとシンジが繋がっている所を、そのラインを舌でそっと舐めていく。

私も、切ない気持ちを二人に受け止めて欲しくて。
『シンジ』と『マユミ』につわって行く真紅の雫に舌を這わせ、その鉄の味を心に刻む。


私達にその意思がなくてもこの好意は勿論、性器を舐められている二人を感じさせるもので。

引き攣りながら受け入れていた彼女の陰唇はしっかりと彼のおちんちんに馴染んで。
シンジのが微妙にこね回していたおかげで時々激しく漏れてくる彼女の愛液に血の味がしなくなった頃。

「……っ!!」

彼女が女に生まれ変わったのが、飛び散る雫の形で知らされた。
でも彼女はまだ、精液と言う『男の蜜』の味を知らない。


◆ ◆ ◆


太く、硬く、マユミの中に突き立ったシンジのペニスから完全に血の味がしなくなったのに満足して。
顔をあげたアタシを……正確にはアタシの体をヒカリの視線が追っていた。

「な、なに?」
「そこのも……」

ヒカリに言われて、初めてアタシ達の胸元にも、飛び散った血混じりの愛液がしたたっているのを理解した。
同じのはヒカリの胸元にも花を咲かせている。

「「はぁ……」」

とため息をつきながら、ヒカリとお互いの体に付いているマユミの血を舌で拭い取りながら味わい……。

最後に顔を見合わせ、ヒカリとの間には殆ど性欲が湧かないのがおかしくて。 くすっと笑い離れる。

「キス……しないんですね」


「あのね、マユミ。 気持ちが昂ぶってしまえばするかも。けど、どうせならシンジとがいいわよ」
「アスカが嫌いなんじゃなくて、『好意』と『恋』は二人とも違うの。
 私達はシンジにだけ恋を捧げてるの……それより、いい?
 どうしてシンジに抱かれようと思ったの?」

なんで?
抱かれたい時が吉日、そんな諺あったじゃない。 え? ちがう?

「アスカ、もし使徒と言う存在に助けられた時に『お礼に』とか言う話だけだったら…。
 私達がいない時に抱かれた方が良い思い出になるじゃない。 彼女は私達の事を知ってたんだから。
 それなのに今日抱かれた……のは何もマリイさんの『悪戯じみた好意』だけじゃないの。
 なにか今日じゃなきゃいけない理由が有るから。 そうよね?」 

急に変わった事情って……!!
え?! ま、まさかマユミが!?

「はい。 ヒカリさんが察している通り、私、『四人目』なんだそうです。 放課後の校長室への呼び出し、その事だったんです。
 マリイさんが、作業している筈の機体に乗る事に。
 私、ここに来る前から要請を受ける事に決めてました。
 シンジさんのお手伝いがしたい。 だから……見て、理解して欲しかったんです。
 私の、全部。 彼への、想いも、全部。 同じ思いの貴女達にも」

 


◆ ◆ ◆


少し、悲しい雰囲気になってしまいました。

勿論、あんな怪物が攻めて来るのですから…何時か跡が残る怪我をしてしまう人が出るかもしれない。
最悪、死んでしまう人も。
そして、その可能性が一番高いのは殆どそういった訓練をしていない私。

世界なんてどうでも良い、シンジさんのために戦う、と決めたのも私。
それでも、やっぱり戦うのは怖い……。


その不安が皆さんにも伝わってしまったようです。


それなら、多少乱暴なやり方でもこの雰囲気を変えてしまいましょう。
それも、私に出来ることです。


「あの……私のように……見せてください。 『シンジさんに抱かれているお二人』を」
「「え?」」

「私、まだ一回しかシンジさんに抱かれてません。 Hに関しては全くの素人です。
 でも、今の私の望みは『シンジさんに『私で』気持ち良くなって欲しい』です。
 だから、お二人のやり方でいいです。 シンジさんとHをして見せて下さい」


二人は真っ赤になってしまいました。
何時も三人でなさっている筈なのに。 不思議です。

「うん、判った。 見せてあげる。 大切な『宝物』、二人の僕にしか見せない姿を。 でも」
「え?」
「三人目の『宝物』を本当の意味で僕のものにするね」

何を言いたかったのか判らない私が聴くよりも早く
シンジさんが一度私を立たせようとして、シンジさんのが一度抜かれて……!!

違いますっ! 
半分ほど抜けた時、反動を付けたシンジさんが私に腰を叩き付けるようにして!

一緒に立ち上がって!
足の長さっ、ちがうから、繋がってるままじゃ、つま先っ、だちにっ!


「や、やです!! こ、こんっ、こんな、いぬ、み、ひゃうぅん!!」
「駄目。 それと、アスカ、ヒカリ。 立って」

 

さすがに二人の態度からも、彼の行動が何時もより過激になっているらしい事が判ります、がっ。

「二人共、『両手』でマユミの手を握って。 先に放したほうが後になるから」
「な、なんで。 あ、アタシ達」

シンジさんは満面の笑みを私達にみせ、「恋の相手は僕なんでしょ?」


そして、私の『開拓』が始まりました。
碇シンジ……『御主人様』が私を知り尽くす儀式の。

もっとも。本人はそう呼ばれるのはお嫌みたいですけど。


◆ ◆ ◆



あれから5分程……経ちました。

「お、おねらい、も、やれ、すう……!」

シンジさんは両手を私の胸に当て、たふたふと快楽の『ツボ』と思える所をゆっくりと見つけていってます。
対して、私といえば……『冷静に発狂』してる気がします。
全てが快楽を主体にしていますから。

アスカさんがふるふると震え、ヒカリさんは逆に股を広げて彼を誘ってます。
わたしもっ。


「脚に…脚に力が入、らない…」

私の両足は、シンジさんの足の甲を挟む形、つまり踏ん張りにくい状態で。
まったく動いてくれない今の状態でも。
力を失っていく足を少しでも踏み外せば。

「おうっ!!」

私に刺さった彼のものが移動して刺激を伝え……こうなるわけです。
時として、まだ裂けている所に当たって痛みが感じられる時もありますが、それが当たり前で。
慣れ始めた私に対して『先輩』たちの方がはっきりビクッと反応してくれるのがおかしくて。


彼が意図した事なのか。 全ての愛撫に敏感に反応していたのが、次第にウットリと陶酔出来るものと
はっきりと『快感』と受け止めれるものにわけて感じる事が出来るようになった……気がします。
要するに、余裕が出来てきたわけです。

そこで改めて観察してみた所、この二人の先輩達の感覚は確かに違うようです。


「はう……あう……」

アスカさんは、『夢見ない乙女』と言う感じでしょうか。

私の痴態を見て、何も言えずに「あうあう」と感じてしまっています。
でも、『アタシがこうされたらこんな感じなんだろうな』と言うのを巧く想像できない……。
『私の痴態』としか理解できず、『うらやましいなぁ……』とおもっている。
そんな感じです。


「シンジぃ…」

ヒカリさんはその逆で、『夢見れる現実家』です。
アスカさんが出来にくい『こうされたらこんな感じなんだろう』を想像して、ウットリなさってます。
ただ、『現実家』が意味する通り、私にされている愛撫を直接自分にもして欲しい、と言う気持ちをシンジさんに誘惑しながら訴えてます。

 

それでは私は……どんなタイプなんでしょうか。

表情から、抱かれている態度から、二人にどんな風に見えているんでしょうか?

立った状態で後ろから貫かれています。
ヒカリさんとアスカさんの間くらいの乳房を揉まれています。


「あの、私、逃げませんけど?」
「こうすれば、誰も、マユミを覚えてくれるよ」


そうなんです。
左手をアスカさんの、右手をヒカリさんの両手に握り止められて、お互いを固定しあっています。

私は両手と腰を三人に固定されているせいで(その気が無くても)逃げられませんが、お二人も私の手を握りなさいとの命令で、自分を慰める事も出来ず、私達の行為を見せられているんですから。


「強く動くよ?」
「いやぁっ?! わた、んん!! もう、いたくないですから! 激しくして、いいですっ」

自由に動けない腰から下は二人の液で汚れ、足が触れ合う所から汗やヒカリさん達の唾液がくちくち、にちゃにちゃと音がします……但し、時々シンジさんが動きを止める時に聞こえるだけで。
一番の大きな音、私達の繋がっている音が四人の心と体に響いています。

 


「マユミぃ、お願いぃ。 早く、早くおわってぇ」
「我慢、出来ないの、切ないのよアタシぃ……」

私が着ていたシーツは私達の真下に敷かれた状態になっていた。
アスカさん達の悲痛な声が嘘で無い証拠に、丁度三つのしみが。

……勿論私達のは微妙に大きい……。


  快楽の終わりはあっけなくて。

しんじさんの動きが早く、突き込むことに集中し始めました。
私も、もう我慢できなくなったのが伝わったのか。
アスカさん達が期待に満ちた目で見守る中で、弾けようとしています。


「はぁ……私、生まれ変わっちゃったんですねぇ……」
「じゃあ、最後の鍵…僕の……イクよ!!」

たった一時間前までは自慰も……その自慰すら、私が初体験したのは昨日……知らなかった私がのめり込んでしまっているのが、たまらなく怖くて。
でも、嬉しくて。

そう思ったのとシンジさんの子種が私の中で弾けたのを感じて。


「んんっ!」
「ふぁあああああっっっっっ!! きちゃうぅぅぅぅぅうぅ!」


私は、始めて「女」として、彼とイク事ができました。
こうして、私も、淫らな覚めない夢を彼と見る権利を得ました。
でも……。


「満足してません。……もっとあなたを、イカせたいです。 皆さんがイク所も、見たいです……」
「じゃあ、選んで。 最初は、どっち?」

 

「ヒカリを」

 


 


◆ ◆ ◆


「よっ。 今はまだ知られたくない奴がいてね。 一寸撒かなきゃならなかったんで遅れてしまった…すまない」
「御久しぶりです」
「眼鏡掛けて髪伸ばすだけで結構変わるもんなんだね」
「シンジは……。 元気ですか?」
「ちょっとだけ変な成長しちゃったみたいだけど、それ以外は元気だよ」
「変な成長?」
「プレイボーイ化」
「……は? あのシンジがですか?」


◆ ◆ ◆


マユミの腰がふるふるとふるえて、その振動にあわせるように閉じていく。
それに合わせて垂れていく彼の精子……あれは、彼女のもの。

けど。

「ふぅ。 御免ね、二人とも立たせたたままで。 もうすわって」
「えい!」
「わっ? な、なに?!」

一寸疲れたらしい彼をベッドに座った瞬間に。 がばっと。
アスカならともかく私にそうされたのが驚きだったみたいで素直に倒れてくれた。

「そ、そんなに我慢できないの?」
「それもあるけど。 シンジ、私が少しの間だけ先生になるね?」


シンジのは幾つもの白い雫にまみれつつ、まだまだ絶好調……!!!


「えっと、二人ともシンジのをまだ受け入れる事しか出来ないから。
 さっきアスカからマユミを癒そうとしたから吃驚しちゃった。 ……で。
 コダマお姉ちゃんの本から手に入れた知識だけだけど、経験者としてやってみるね?」


 
「何、する気?」

言葉とは反対に、する事に期待してる瞳。 解ってるくせに聞くんだから。
私は欲望を精一杯表情と声にに出して。

「フェラチオ。 アスカは昨日、やった?」
「(ふるふる)…さっき、マユミのと一緒に舐めたのが、はじめて」

今の震えは違う、って意味じゃないわね?

内心の嬉しさを堪えずに。
自然に開いた彼の股間に私は正座するように座って喉元まで飲み込んだ。
まず表面に染み付いている二人の陰液を舐め取っていく。

「うわぁ……お父さんのより大きい気がしますぅ……」
「……(ごくっ)……本当に、喉まで入るんだ……」


ほぼ拭い取った後、亀頭部分に私の唾液も混じった液をちょっと乗っけておいて
一度完全に唇から抜き取って。

アタマに残った液を使ってちょうど口紅を塗るように塗り付け、悪戯心にわくわくしながらシンジにキスする。

シンジのほうも平気なのか、私と直ぐに舌を絡め合い、私を惚けさせていく。

「ふぅ……気に、ならないの?」
「ん。 だって、そんな事気にしてたらヒカリとキスを楽しめないもの。
 それより、ちょっと逆になって……僕も……したいから」

言われたまま体を逆にた私と『69』の形に持ち込んでいくシンジ。

「やっぱり、三人の中で一番Hだよ、ヒカリは」
「そう、なのかな……」

あっけに取られたのか、見つめたまま二人はもう何も言わない。
でも見て興奮しているのが、間隔が狭くなった荒めの吐息でわかる。


こんどはしんじ、の?!

「きゃはっ!?」


シンジの指が私のあそこに入るのに合わせてお尻のすぼまりに舌、入って?!

「ふもひ、ひひ?」
「や!わ、あ、わかんないよ?! だって、前は、きみち、いう、いたい、強かった、たのに!」
「本当に? 僕の胸に小さい水溜りが出来るくらいに漏れてるよ?」

お尻の中にある、汚い物としか思考が直結しない物が通るところを舐められ、ほじられて。
獣の叫び声を上げながら感じてる。

「ホラ、ヒカリも……」
「うん、うん! 

私もシンジのをアスカたちに見せながら、魅せながら、精一杯伸ばした舌で愛していく。


 


◆ ◆ ◆


「それで、司令さんが私に出した条件は、何ですか?」
「一つ目は戦自と敵対的な意思を持って貰うそうだ。
 正確には彼らのガード役。君の存在はちょっと調べれば判るからな。
 二つ目は、これだ」
「ブレスレット、ですか。 発信機付ですね?」
「そう。但し、非常に厭らしいタイプだが」
「?」
「発信機は一時間おきに一回ビーコンを打つ。 但し、6回だけだ。
 それ以降は、その赤いスイッチを押して初めてまた6回打てるようになる。 つまり」
「六時間おきに赤いスイッチを一回押さなければならないんですか」
「それと、そのボタンは君の体温でブレスレットが温まっていて、脈拍と一緒に検知できる状態で初めて意味を持つそうだ。
 つまり何時如何なる時でも着けていろ、と言う事だね」
「なるほど。他は?」
「最後に後一つ。
 『明日からもう一度シンジがいる学校に行け。拒否は認めない。
 住居はシンジ達が暮らす部屋の隣。
 明日よりファースト、フォース、フィフス候補にアルファ・チルドレンとも一緒に暮らして貰う』だそうだ」
「最後が一番キツイ気がしますね……それで、その四人って誰の事ですか?」

「ファーストって言うのはレイちゃんの事。 フォースは今度転校してきた『山岸マユミ』さん。
 フィフス候補はあのクラスの委員長、洞木ヒカリさん。

 で、アルファ・チルドレンとは『マリイ・ビンセンス博士』。
 参号機に先行してアメリカから昨日の早朝来日……ほら、あれが参号機だ」

漆黒の闇の中、幾つ物ライトによって浮かび上がる赤い十字架。 磔にされた黒い機体。

「まるで……悪魔ですね」


◆ ◆ ◆



ぱちん。

「参号機が到着したそうだ。 半日到着を早めたのは嫌がらせかな」
「厄介払いをとっととしたかった……そう言う事だ」

ぱちん。

「ところで。 レイを含めてシンジ君の隣に押し込む事にしたそうだな。
 何故だ? レイに今の生活への執着を起こさせるのは拙いのではないのか?」「それを考慮に入れても都合が良い点が見つかった、と言う事ですよ、先生」

ぱちん。

「『都合が良い』? どこがだ?」
「失いたくない者を手に入れた人間は、心が硬くなる。 彼女の為に世界を壊せる我々のように。
 ゴムボールを床に叩きつけても弾むだけだが、ガラス球ならどうなる?」

ぱちん。

「なるほどな」
「『約束の時』までに、確実にシンジの心を壊すネタは一つでも多くあった方がいいのだ。 どうやって壊すかは別にしてもな」

腹心には話さなかったが、彼がそうするにはもう一つ理由があった。


『『運命の日』までに主人二人と猫三人を集めておいて』。 それが妻と交わした約束だった。
彼はそれを果たした。 彼にとっても、『妻』たるユイが全てだったから。



 


◆ ◆ ◆



搬入されていく参号機を映すはずの画面の一つ。

 

『だから、あのシンジって奴はオマエ以外にも告白された女がいるって』
『それだから、なんですの? わたくしが選んだのですのよ? 彼とのお付き合いは』
『ハーレムの一員になるつもりか?!』
『……それでも……イイですわ。 嫉妬心が彼を愛していると言う事実を実感させてくれますもの』
『なんで、何でだよ……彼のどこが、いいんだよ。 写真だけで冴えないってわかる奴のどこが。
 オレですら、もう少し男として魅力があると思うぞ? メイヤー居るから手、ださねーけどさ』

『有難うカイル。 でも、わたくしは彼に愛されたいんですの。 それが如何に歪んでいようと。
 「惚れた弱み」としか言えませんわね。 わたくしも何故ここまで惚れてしまったのか……』

『彼に伝えといてくれ。 オレ達はマリイにこの選択が不幸だった…と感じさせる事を許さない、って』
『判りました。 お伝えしておきます。 でも、私が不幸と思うかは……』

 

「マリイちゃん次第、か……。 ふぅん……」

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わたくしが制御室に入ったとき、まだ葛城三佐はMR.加持に逃げられた腹立ちを押さえる事が出来ていないよう。

「あ、マリイ博士。 ボーイ・フレンドとの話し合いはどうだった?」
「ええ。 ただの友達ですから。 それで、加持一尉はまだお帰りで無いんですの?」

彼女は話の中に引っ掛けを作る事で情報を手に入れようとなさってますが、それに付き合う気は全くありません。
事実、私が言った反撃に三佐は思ったより反応を返して下さいませんもの。

「私はねぇ。 アイツがそー言う悪趣味な性格だって知ってたから」
「三佐も、悪趣味な所はありますわ。 盗み聞きなさってたでしょ」
「え? そんな「私の唇を読んで、マユミさんに告白を促したのに気付かれたのでしょう?」…う」

私は、監視モニターの一つを指差しました。
丁度、私に彼にのめり込むのを止めさせようとしたカイル・ステイシアが映っています。
唇が読める状態までキッチリとズームアップされたままの。

「ははは……バレちったか。 ゴミン!」
「ワザとばれる様にして、わたくしの気持ちを確かめる理由にするおつもりだったのに?」

子供なりの迫力なんかに押されているのが嫌なのか、彼女は表情をあらめた。


 
BGM替わりになっているPCの駆動音とコーヒーメーカーの水音。
それにギリギリ紛れない程度の小さな声でした。


「……アスカとあまり仲が良くない、って聞いてるけど」
「つまり、わたくしがシンジさんに告白したのは、わたくしが一目惚れをした、という事実よりアスカにダメージを負わせる事が主な目的である、と思われているようですわね。

 少し、貴女に失望を感じましたわ。 殆ど下衆の勘繰りですもの」

三佐の顔色が怒りを含んだものに変わります。

「アスカの事を心配してしまうのは、おかしいというの?!」


呆れました。

どうやら、報告書にあった「マグマからの救出劇」でアスカは既にシンジさんにMr.加持と同じくらいのハッキリとした好意を持っていた。
彼女はそう思っているようですわ。

傍にずっといたと言うのに……彼女の事、本当に家族として認識されていたのでしょうか……。


「大体…わたくしが彼女にダメージを与えるのが前提なら。
 彼ではなくMr.加持に言うべきでしょう?
 彼女がわたくしに『ずっと好きだ』と明言していたのはMr.加持ですもの。

 わたくしは二月前、電話で一度アスカとシンジさんの事について話したことがあります。
 ですがその時の彼女はMr.加持にしか好意を向けていませんでした。
 彼の遠まわしな告白に全く気付いていらっしゃらなかった。
 『アイツは男友達だ』と明言されていたのですよ?」

「嘘……」
「ここで貴女につく嘘に何の意味が?」


椅子から立ち上がった彼女の表情から、既にさっきの怒りは消えています。

たった今、ようやく、彼女も気付いたようです。
自分が見ていたアスカが、本当のアスカでは無かったと言う事に。


「貴女に行ってもしょうがない事ですが、その時のわたくしは電話を持ちながら握りこぶしを振り、満面の笑みでガッツ・ポーズをし、電話を切った後もベッドの上で一時間近く喜びを叫び、にへらっ、と笑い続けて。
 ルームメイトだった友人のメイヤーに引き攣られたものです。

 アスカは彼の魅力に気付いてない! 良かった!! とわたしが思ったのも。
 これならシンジさんと恋仲になっても嫉妬されないですむ、とわたくしがホッとしたのも……判ってもらえない、でしょうね。

 多分、シンジさんとアスカの仲が進展したのはここ数日の事……違いますの?」


三佐はコーヒーメーカーからコーヒーを注ぐと三号機のほうへ向き、黙ってすすっています。
これも、図星のようです。



◆ ◆ ◆



指示室を抜け出したわたくしは、これから数日を共に過ごすことになるわたくし専用の複合走査型エントリー・プラグのチェックに向かいました。

彼女の話に見え隠れし始めた『裏』の存在に、いよいよ付き合う気になれなくなったからです。

「わたくしの事をアメリカ支部のスパイとして疑っているのならそう言えばイイのですわ。
 シンジさんへの恋心が信用できないのではなく、ただわたくしが信じられないんじゃありませんか!
 全く。 予定が大きく狂った上にシンジさんとお話しする機会さえ無い……」

シンジさん達が使っているタイプのシステムとは違い、このプラグのインテリアは完全固定型です。

わたくしに必要とされているのは高深度状態のシンクロや高いシンクロデータでは無く、10パーセント前後のシンクロ率を保ち、アクセスした機体に『違和感』…つまり不具合が有るかどうかを確かめるのが主な仕事内容ですから。

勿論高シンクロ状態になって初めて判る不具合もありますが、実際の不具合の殆どは低レベルのシンクロでも意外に判ってしまうものなのです。

そのインテリアにまたがってチェックしながら。
わたくしは葛城さんさの反応を思い出していた。


私を信じれない、スパイと疑ってしまう彼女の気持ちも判ります。
でも。
わたくしの働きとは別のところで不満を溜め込まされれば、爆発したくもなります!

「マユミさんが関わっている実験の準備でなかったら、さっさと仕事を赤木博士に押し付けて帰りたいですわ! わたくしだって彼との関係を前向きに進めたいのに!」
「それはちょっと困るわ。 出て来てくれる? マリイさん」


 


◆ ◆ ◆



「ふふふっ」

ヒカリはそう笑うとシンジのモノを本当にいとおしく……。
その瞬間、嫉妬心と切なさが爆発して、アタシはついに行動した。

「もうやだぁ!」
「きゃぁっ?!」

アタシだってシンジの温もりが欲しいの!
ヒカリをコイツの足元の方へ肩を使って押しやりながら、アタシはシンジに抱きついてきすをした。


「シンジっ! 苛めないでよ! これ以上嫉妬で切なくさせないでよぉ!!」
「我慢、出来ないの? アスカ。 美味しい物は最後に食べるんじゃないの?」

ヒカリが独占欲を持っていて、それを必死に押さえていてくれるのは知ってる。
でも我慢できない。 駄目。 もうアタシ……!


◆ ◆ ◆



  機嫌が悪い時。

この状態のわたくしが一番わたくしらしくなる、と言っていました。
今なら少しだけ納得もできます。 ヤクザさんにでもなった気分ですわ。

「そこまで喧嘩売るような表情をしなくて良いわよ、私はあの子とは違うから」「誰彼となく、のお話ですけど……赤木博士はレズビアンだとお聞きしましたが?」
「ご冗談でしょ。 そんな噂がある事は知ってたけど、噂を信じられるのは貴女だって」


いやですわね。

そういう意味を込めて頷きながら、彼女が入れてくれたモカを飲む。

マンガのようにスパイな子供が頑張れる条件は相手が徹底した間抜けなのか、それとも子供というより専用に訓練された『人形機械』にされてしまった可愛そうな存在だけ。


「わたくしはスパイではないですわ。 まぁ、わたくしに対する彼女の立場も判らないではありません。
 でも、その調査の前提にわたくしの恋を話の種にするのは……。
 わたくしのシンジさんに対する恋心を侮辱された気がします。
 少女らしい潔癖さ、でしょうか?」

先程指示室を出る時に三佐へぶつけた台詞。
三佐の場合は、無言でしたが

「そうは思わない。 男女の間をロジックにするほど無粋じゃないし、そう思ってしまったらそれはもう恋じゃない。
 『生殖の理由』を探しているだけ。でもね、ミサトの気持ちも判るのよ」
「?」
「彼女ね、加持君と大学生時代に二年近く付き合った事があるの。
 でも、彼に求めているのが『恋人』と言う存在じゃなくて、セカンドインパクトの時に死に別れた父親と同じ存在だと。
 彼に恋ををしているんじゃない、そう誤解した。 それで、少女の潔癖さは適当な理由をつけて」
「別れたんですか」

お互いに、静かになった。


「わたくしが始めて彼の写真を見たのは確か五歳か六歳の時です。
 駅のホームの上で大泣きする幼い彼を望遠レンズで撮られた写真が最初でしたわ。
 恋、というより母性でしょうか。 とにかく抱きしめて、慰めて差し上げたかったのです。

 何年たってもその思いは消えませんでした。 『恋』という厄介な気持ちまで作ってしまうくらいに。
 母がEVAの実験で死んだときも。 大学生活をすごしていた時も。
 ずっと、あの人にあって、まだ悲しんでいるのなら慰めてあげて。 そして……」


 確かに一目惚れは相手の気持ちを無視しているのかもしれない気持ちですわ。

 でも、わたくしはずっと。
 彼の事だけを。


◆ ◆ ◆



赤木さんはわたくしの話を慎重に聞いた後。

「なるほど。 じゃあ、初恋の顛末を話してくれた御礼に……はい」

渡してくれたのは……検査の為に取り上げられていたままだった携帯電話です!
機密保持のためか、指示室にも隣接している制御室にも内線専用の物しか無かったので、何かしらの理由で外に出ようと思っていたのですが。
これでそうしなくても良くなりましたわ!


「感謝です! 本当に、今のわたくしにはどんな事よりもありがたいですわ!」「特に掛ける相手に制限はつけてないし、電話代はこちらが持ちます。
 皆に、と言うよりシンジ君に明日と明後日、学校で会えるって事を教えておくといいわ。
 ただし、今の貴女に言うのは酷かもしれないけど、シンジ君と話すのは節度をもってね」


今のわたくしは満面の笑みを間違いなくしている筈です!
これほどの幸福感は日本勤務を命じられて以来です。


「それと……ミサトの事、許してあげて。 彼女とヨリを戻した頃から加持くん……NERVの強力な特権を嫌う日本政府のスパイらしい、と疑惑を持たれてるの。
 彼自身も否定していないから、恋人になった彼女にも、風当たりがきついのよ。
 それだけ今の本部も余裕が無くなって来ているという事でもあるしね……。

 戦略自衛隊のロボットの話、聞いてるで……?! 加持君!! その子民間人じゃ?!」

彼女の非難が止まったのはわたくしが左手で制したから。

 

二人の隣にいつの間にか来ていたMr.加持。

さらにその隣にはわたくしより少しだけ背が低い少女。
かなり強い癖のせいで毛先が微妙なカーブを描くセミロングの栗毛、少し太めの銀縁眼鏡。
そして少したれた印象のある大きめの瞳。  ……そして。


「始めまして。 バスト・サイズでは勝たせて頂きましたわ。 『霧島マナ』さん」


先制パンチに引き攣った彼女のレンズに写る、呆然とした葛城三佐と赤木博士の呆然とした顔。
少しだけ溜飲が下がった気がしましたわ♪



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