Dating history

Original text:引き気味


『 06:交際整理。彼が勧める青春劇』


 粒子の荒い画像になっているのは、最適の機材を整えないまま強引に暗い場所での録画をスマートフォンに行わせたからだった。
 画面が映している殆どは打ちっぱなしのコンクリート壁や、古めかしい団地部屋風の天井を無意味にで。全体的に角度の傾いた端の方にかろうじて人影が動いている。
『ンァッ! ァッ――あああっ!!』
 髪がすっかりぼさぼさに乱れてしまっている少女の横顔。赤い瞳。確認できる腰の上からの姿に何ひとつ衣服をまとっていない、綾波レイのものだ。
 おびただしい汗で肌を濡らし、わずかな照明による光をてらてらと反射させていて。そんな蠱惑的なシルエットになった裸身で性急なリズムを刻み、上下へ盛んに揺さぶっている。
 ギシギシと、あまりスプリングも効いていなさそうな音にベッドが軋んでいた。
『あっ、はっ、はぁッ……ンンぅ!』
 次から次にと、儚げな見た目からはギャップを感じさせるほど熱っぽい声を上げている。
 学校で普段過ごしている姿からは誰が想像出来るだろう。喘ぎの大きさときたら、スマートフォンのマイクがその嬌声と息継ぎの間に生々しく喉を掠らせる様子すら拾えているぐらいだ。
『も、もっと……。もっと、深いところ、深いところに……』
 将来性の豊かさを示す、十四歳という年齢以上に女性らしさを備えつつあるボディラインを今まさに、少女の方から男に跨っての騎乗位セックスでくねらせているところなのだった。
 特に魅惑的なカーブを描いている胸の膨らみには、コリコリに固くなっているのだろう乳首の尖りようが見て取れる。
 そうして、一際あられもない艶声を上げたので大きく唇を開いたまま、ぶるぶると――酷い悪寒を覚えているかの風で動きを止めてしまう。
『あ、ぁぁ……』
 最後にうっとりとした吐息を洩らして。画面フレームから外れた所に寝そべっているらしい情事の相手の胸へと崩れ落ちていく。
『すごいよ、綾波』
 レイに負けないぐらい息を弾ませながらのそれは、碇シンジの声だ。
『こんなに、感じるなんて』
 なにかの体育競技を全力でこなした後を思わせる様で言葉を切れ切れにしているのだが、どこか誇らしげでもある。
『最初の頃からすると何というかその、綾波もすごく積極的で……。それに、気持ち良くなってくれてるのが分かるんだ』
『……そう。そう、かしら』
 あけすけな言い方をしてはいないが、それはガールフレンドの少女に向かって淫らになってきたねと指摘しているようなものだ。
 無論、少年にレイに対して含むところは無いのだろう。
 少女がぎこちなく言葉を詰まらせたのも、日頃の口下手さに接していればこそ違和感も覚えなかったのか、或いは恥じらいであると捉えたのか。気にした素振りもない。
 男性経験の無かった少女に一から快楽を教えていったのは自分なのだからという、その達成感じみた自負もあったのだろう。
『ほら、まだ綾波の中……ヒクヒクって、僕のを締め付けてきてる』
『…………。まだ、出来る……?』
 おずおずとのものではあったが、レイの言葉には更に続けてを望んでの、はっきりとした欲求が現れていた。
 シンジは喜んだようだった。声から窺える。
 少年が一方的にこの美しい少女の肉体を求めているのではない。少女の方もまた思いを同じくしていて、少年との情熱的な一時を求めてくれているのだ。
 自分にだけ可愛らしい部分を見せてくれるガールフレンドが、自分とのセックスに積極的になってきてくれているのだとなれば、嬉しいわけがない。
 そうしてまた、レイが自分のベッドに向けて撮影しておくよう黙って仕掛けておいたスマートフォンが、彼女の一層の悩ましい声を記録し続けて――。


◆ ◆ ◆


「いやいや」
 相田ケンスケがわざとらしく呆れた風に肩をすくめてみせた。
「シンジのやつ、ドヤ顔してるところ申し訳ないんだけど〜って言ってみたくなるな。綾波も随分欲張りになっちゃったわけだし。目覚めさせ過ぎちゃってご迷惑おかけしてますっていうか。――結局これ、何回ぐらい付き合わせちゃったわけ?」
「……ンッ、ンッ、んんン……っ」
「あれ、聞こえなかったふり? あんまりお答えしたくはない?」
 いまさら俺に恥ずかしがることなんて無いのにと、そう言ってみせるケンスケが撫ぜ回してやったレイの白いヒップ。
「んンン」
 ふーっ、ふーっと鼻での狂おしげな呼吸は返事代わりに寄越したのか。レイの耳まで真っ赤になった顔はたしかに今、それどころではないのだろう。ケンスケのいつもの軽口一つに、いちいち反応しているどころではないのだろう。
「ンンっ、ンッ、ンぁッ!? それはっ――ッッ。洞木、さん……っ」
 思わずといった悲鳴で首を反らし、ケンスケのベッドの上で藻掻いてみせたのは、レイの下腹部を抱え込んで蜜まみれの敏感なクレヴァスに舌を使っている洞木ヒカリの仕業であった。
「ンッ、ンッ、ンッ、ンッ……」
「ああっ、だめっ。そんな急に、そこばかり舐められたら……! あぁ、あぁ、ああっ」
 色素の抜けた色をしているレイの薄い秘毛地帯に、逆向きに顎先を擦り付けるようにして。純朴なお下げ髪を解かないままベッドに入っているクラス委員長少女だった。
「綾波、さん。動かないで……」
 普段至って生真面目な唇はお上品にとはとても言えない大口を開けて、レイのクリトリス周辺へしゃぶりついてしまっている。
 黙々とクンニ愛撫を続けている顔が揺れる合間、時折覗く赤い舌の動きの激しいこと。
「ンッ、ンーッ、ンンッ、ンーっっ」
「だめっ……それは、それは、わたし……溶けてしまう……。だめっ、だめっ、吸うのは……ぁ、あああ――」
 加えて、はしたない音を立てて吸いしゃぶっている部分の近く。もう感極まってしまいそうなレイの感じっぷりを表すように、ぱくぱくと入り口をヒクつかせている淫蜜の泉に対しても、根本近くまで挿入させた指を動かし乱暴なぐらいにかき混ぜ続けているのだ。
「ァ――ぁぁアアッ! ぃヒッ。いっ、いやぁっ! ほらき、さん……っッ」
 喜悦の涙を浮かばせた赤い瞳をぎゅっと瞑ったレイは、たまらず裏返りそうな声を放つ。
 そうでありつつも、レイも一方的にこの生真面目一辺倒だった筈の級友にばかり、文句を付けられたものではない。
 この頃はシーツに染み付いているのが主人である少年一人のものだけではなくなってきているそのベッドで。レイと一緒になって肌を火照らせ、アルビノ美少女の真っ白な肢体と絡み合っているヒカリの両足の付け根の方は、レイによって長々とやはり唇と指を使った相似形の愛撫が続けられていのだから。
「ほらほら、綾波も頑張って攻めに出ないと」
 いわゆるシックスナインの体制になって互いの性器を舐めあっていたクラスメイト同士の少女たち二人の体に、横から好きに手を出しながら。この自然発生的ではレズビアン嗜好を刷り込んでいくがごとき趣向を考えたケンスケが言うのである。
「平日の夜は短いんだからさ。どっちかが逝っちゃってる間に、俺のチンポはもう一人の相手で忙しくなっちゃうんだぜ?」
 期せずして、二人の少女たちが見せた反応は同じだった。
 蕩けた眼差しを反射的に横に動かし、ベッド際に胡座をかいているケンスケがこれみよがしに誇示してみせた股間の勃起ぶりへと。
「ぁあ、ぁ……」
「ンむ……っ。ぁ、相田くん……」
 レイも、ヒカリも。
 いくら少女たちと少年とで性別の違いこそあれ、同じ十四歳の中学生とは思えないぐらい褐色じみた威容の様相になってきているそのペニス。ことにレイは比較する対象として、まるで違うそんな凶悪そうな風情を持たないシンジのものを知っている。
 あまりに猛々しいそそり立ちっぷりを瞳に捉え。彼女たちの表情は惧れと共にまた、救いがたいまでの肉の欲望に呑まれてしまってもいたのだった。


◆ ◆ ◆


「あぁ……」
 結局、ぎこちなさを最後まで拭えなかったがために先に二度、三度。同性から与えられたオーガズムに伸びてしまったレイだった。
 勝者に与えられる報酬――と言うにはあまりに無様で見苦しい、鼻水すら流して泣きじゃくりながら持ち上げた尻肉を背後から犯されている洞木ヒカリの悩乱ぶり。
 ケンスケが他の少女を犯すところを見せられるのは、ビデオを入れればもう数え切れず。実際の目の前でであっても初めてのことではなかったのだが。
「ひぃぃ、ぃひっ!? ひっ、ぃひぃぃぃ〜ッ!! だっ、だへぇっ。わたひ、わたひッ、おひりなんかで……!」
「そうそう、フケツだよなぁ、委員長。前はまだ処女のまんまなのに。尻穴でこんなに逝ける女の子なんかになってさー」
 この日はじめてケンスケの家で引き合わされ、互いに一目で状況を察しあった彼女の、鉄面皮とすら言われるレイをして唖然とする程――アナルセックスに弱く躾け上げられたヒカリの姿だった。
 ベッドシーツを握りしめて堪えながらも、ケンスケが背後から腰を送り込むたび、牡の性交器官をアヌスに迎え入れたお下げ髪の女の子は、背筋をピィンと伸ばして悦がり散らすのである。
「あひっ、ひぃっ、ぃイイひぃーッ!!」
「洞木、さん……。あぁ、なんて……いやらしい、の……」
 一人放っておかれる切なさをクチクチと自分で恥処のスリットをいじって慰めながら、レイは息を飲んで見入った。
「ほらほらほら、どうすんだよ委員長? ケツ穴ン中俺のチンポでいっぱいにしちゃって、アヘアヘ言っててさ」
「はぉっ、ッ、ふわわっ……!? ――ッあぐっ! ンぐっ、ンぎヒィッ……ッ! 」
「不純異性コーユーってレベル超えちゃってるけど、頭どんどんバカになってくんだろ? どうするのさ」
「わらひっ、わらひぃぃ」
「まるっきりバカじゃん。バカ丸出しの顔じゃん。そうやってどんどん馬鹿になってって良いわけ? なぁ、学生の本分は勉強なんだろ? テスト全然駄目なバカ女になっちゃうんだぜ?」
 本来ならばちんまりと控えめに窄まっている排泄器官をぱんぱんに拡げて、荒々しくペニスに出入りを繰り返させる、堂に入ったケンスケの腰遣い。
 裏側から子宮近くを乱打され、ヒカリは放置されている秘裂からもおびただしい愛液を飛び散らせる。
 レイ自身やアスカ、マナからするとやや控えめな胸の膨らみであるが、赤く手形が残るぐらいケンスケに揉みしだかれた結果充血し、ぷくりと盛り上がった乳輪の方は逆に大きめにも思えて。
 レイが見たこともないくらい極限まで勃起した乳首の尖りようと合わせて、なんとも淫靡な様の裸をしていると見えたのだ。
 同性のレイの目からして胸を疼かせるに十分の淫らな魅力に、満ち満ちていたように映ったのである。

(凄い……)
 喉を喘がせ、レイは生唾を飲み込んでいた。
 思えば同性同士の愛撫で絶頂を迎えてしまうぐらい感じてしまったのも初めてだった。
 他には居ないほど親密な友情を結んだと思ったマナとの軽いレズ行為とは全然違ったし。終始拒絶感が拭えなかったアスカとで無理強いされた相互愛撫では、ここまで気分が高まることもなかった。
「……どうだよ、綾波。なにげにエロいだろ、委員長? これがクラス一口やかましい学級委員長の本当の顔ってやつさ。今現在のね」
「相田、くん……」
 苦しげな息の下でやめてよと鼻声を震わせるヒカリだったが、ケンスケが本腰を入れだせば呆気なく肛門性交によるおぞましいアクメを極めて見せてしまう。
 嫌だ、イヤだと、その姿をレイに見られてしまうことに繰り返し泣き叫びながらも。やわらかな裸身を突っ張らせてガクガク全身を痙攣させていったヒカリの、女の子の声とも思えない獣じみた叫び声は、レイの脳裏に深く刻み込まれたのだ。
 それでもヒカリは、息を吹き返せば嫌々の体で振る舞いながらも二度目、三度目をとケンスケを求めた。
 それはレイも同様で。
 一度精を放ったケンスケが回復のために要求してきたフェラチオ奉仕に、二人で頬をぶつけ合い競うようにして舌を差し出した。
 自分で動けと言われれば、その為に覚えた騎乗位をとってケンスケに跨り、卑猥に腰を踊らせてみせた。
 ほつれた黒髪を頬に汗で張り付かせたヒカリは、問題児視して小言を言うばかりの相手だった筈のクラスメートが、眼鏡を外して許可を出した顔面へと羞じらいながらもそわそわと股間を下ろさせて貰って。その性感帯を知り尽くしているかのような的確な舌遣いで、ひたすらに悩乱の声を上げ続けていた。
 やがてレイも夢中になっていく内には、そんな彼女とも『洞木、さん……』『綾波さぁん……』と濡れた眼差しで見詰め合い、呼び合って、自然自然の濃密なキスを交わすようになっていたのだった。


◆ ◆ ◆


「……ただでさえこっちからすると二体一だってのに。綾波もほんと遠慮なくチンポ欲しがってくれるよな」
 ――事後、落ち着いてみれば。あれは箍が外れてしまっていたと言うべきか。
 ひどく貪欲になってしまって、飢えて涎を垂らすばかりになったような股間の疼きを埋めて欲しいと求め続けて。それで何度果てさせられても、レイはしとどに濡れた膣肉へまた繰り返しケンスケのペニスを突き入れてくれるよう、ねだっていたのだ。
「シンジ相手にも最近だとそんな感じなの? 隠し撮りしてもらった動画でも随分はっちゃけてたよな〜」
「そんなこと……」
 いや、あれは間違いなく息上がっちゃってたねと、同じ男としての目線を主張するケンスケに、レイも今日のこともあって強く言い返すことは出来なかった。
 惣流も近頃似たようなもんだし――などと、そんな淫乱な側面を少女たちに植え込んでしまった当の本人がそらっとぼけた顔。
「なぁ」
 ニヤニヤとして、いかにも面白いことを思いついたという風にして、ケンスケはレイの肩を抱き寄せ、裸のままだった乳首を突付いた。
「んッ……」
 そのままやわやわと乳房を揉まれてしまえば、またじんわりと官能の熱が広がっていって。撫ぜ回される心地良さに鋭敏な肌へと、乳首へと、感覚が切り替わっていってしまう。
「あぁ……ぁ……」
 とろんと目を蕩かせ、ケンスケへ振り向かせた唇でレイは無意識なままキスを求めてしまっていた。
 応じてくれたのを『ンンッ』と満足げな鼻息で迎え入れ、クチャクチャと舌を絡めあっていたところを、ヒカリが今更ながら信じられないばかりに目を丸くして見詰めている。
「綾波さん、本当に……」
「吃驚した? 懐いたもんだろ?」
 ケンスケが口の端をつり上げてヒカリに笑う。
 真っ白な肌をピンク色に火照らせたヌード姿のレイをぎゅっと抱き寄せる様は、事情を知らなければ熱々のカップルにも見えるだろう。
「だって綾波さん……。碇君のことは?」
「…………」
 それを言われれば後ろめたい以外無いのが今のレイだ。
 逆にケンスケに罪悪感は感じられない。
「いや、それがさぁ」
 アイツ、綾波レイに惣流アスカと壱中きっての美少女を二股にかける真似なんかしてくれちゃってて、と。いかにも悪いのはあちらの少年の方だという都合の良い主張に続けて『そうだ!』と、閃いたかのように指を立ててみせたのだった。
「綾波も惣流も、近頃じゃエッチに前のめりの欲張りさんぶりじゃん?」
 そんなことは、とはもうレイも口に出来ない。
 情けないが、自覚させられてしまったばかりのところだ。
「シンジじゃあ、結構負担になってると思うんだよね」
 その口ぶりは、裏返せば自分は負担になんかなっていないという自信の表れだろう。
 レイ達が事あるごとに躯を要求されて思い知らされている通り、それは裏付けのある事実であるのかもしれない。
「だからさ。俺、言ってやろうか、綾波?」
 磨いたばかりの眼鏡越しに、相田ケンスケはさも愉快そうに目を細めていた。
「お前か――それとも惣流か。どっちかを、俺に譲ってくれよって」
「……ッ!?」
 レイが純粋な気持ち抱いた碇シンジという少年は、根が真面目なのである。たしかに今、他人からするとレイやアスカを両天秤に掛けているとしか見えない行動を取ってしまっているにしても。
 そして、友人だと思っているケンスケやレイたちの裏切りには気付いていないのだ。
 不実を友人に責められ、そして提案してみせている通りたとえばケンスケが迫真のものであるかの風に言い募って、それに比べて自分には恋人がいないんだ切ないんだだのと訴えてみれば、或いは。
「譲ってくれ、みたいな言い方に納得するかは別として。アイツからすればさ、俺がアプローチ掛けるのを許可出来ない理屈とか、出てこないと思うんだよね」
 どう思う?
 揉みこねて、レイが丁度いい具合にの愛撫を施されている乳房では薄い色の乳輪に再び充血がはじまっていた。
 ゾクゾクと背筋を伝い広がっていく淫らな痺れで、下腹部の緩んだ溝泉にまた新たな潤みが滲み出すのを感じ取っていながらも。
 自分か、それともライバルであるアスカを。大手振って譲り渡してもらおうかなどと耳元に吹き込んでくるケンスケの思い付きが、どこまで本気なのか。そしてもしもそうなった時、自分はどちらをとケンスケに願ってしまうのだろうかと。
「……ぁ、ぁ」
 レイは顔を真っ青にさせて、その時間違いなく胸の裡で首をもたげかけたおぞましい考えに、欲求に、ガタガタと打ち震えたのだった。





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From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(5)