Dating history

Original text:引き気味


『 02:交際歴四ヶ月目の少女。或いは、はじまりの日 』


「三ヶ月ぅ〜?」
 ええぇ、と彼女は大げさなくらいにレイに驚いてみせた。
「そんなに経ってるのに? だって、エッチももうしちゃってるんでしょ? 綾波さんが言ってる――」
 言い難そうに一度口ごもった様子で、『もう一人の、彼女さんとも』と。
 普段は愛嬌のある垂れ目がちな目尻が幾らばかりか険しくなって見えるのは、嫌悪感にだろうか。
「完全に二股じゃない。それでまだケツロン出せないって、都合良すぎぃ」
「……でも」
 レイは慌てて言葉を探した。
「わたしたち、その」
 三人が、一つの命綱で繋がっているような。お互いがよく理解しあって支え合わなければいけないのだと、大人たちからも繰返し諭されている。そういった絆の――と。
 だけれども、元来がとても話し上手とは言えないレイだ。
「…………」
 上手く気持ちを伝える方法も思い浮かばず、弱り果ててしまうのだ。
「綾波さんは……」
 俯いてしまったレイのやるせなく握りしめた膝の上の拳に、そっと手を添えてくれて。
「カレシ君のことが、大好きなんだね」
 マナは――、人付き合い下手なレイに最近になって出来た新しい友人である霧島マナは、そう言ってくれたのだ。
 たしかに、レイが処女も捧げたあの少年の優柔不断さは世間一般では褒められたものではないのかもしれない。それでも、少年への想いを肯定してくれるマナの言葉を、レイは嬉しいと感じたのだった。

 そういったことがあってからまだ半月も経たないぐらいだが、レイはすっかりこの新しい友人と打ち解けていた。
「おじさん、私達にニンニクラーメン2つ〜。彼女の分はチャーシュー抜きで、その分わたしのに付けてね」
「あいよ。いつもちゃっかりしてるねぇ、お嬢ちゃん」
「えへへ」
 二人で何度か通う内にすっかり馴染みになってしまったお店のメニューも、彼女に誘われなければレイはきっと一生挑戦することなんて無かっただろう。
「それじゃ、綾波さん明日はカレシ君とデートなんだ」
「ええ」
「その後は、エッチも?」
「……ええ」
 随分とあけすけなことまで話してしまうようになっていた。
 一度思いつめていたところを聞き上手に相談に乗ってもらって、堰を切ったようにあれこれと話してしまってからは。恥ずかしがるのも今更であるのだしという、そんな感覚だ。
「良いなぁ〜。わたしも欲しいな〜、彼氏」
「二股で、優柔不断な男の子でも?」
「良いもん。わたしもフタマタするから」
「……ふふ」
「あー、綾波さんまたそういう風に笑ってぇ。だってそうでしょー? 別に男の子ばっかりの特権じゃないんだし。女の子だって火遊びに興味津々なの、綾波さんだって分かるでしょお?」
「そうなの?」
「そうだもん」
「……そう。分からないわ」
「あ、それ絶対わかっててからかってるでしょう。分かるもん」
「ふふふ」
 こうして、時には冗談も言えるようになった自分に、翌日のデートのお相手である少年も驚いていた。
『綾波、やわらかい顔をして笑うようになったね』
 褒めてくれたのだ。
 自分は今、変わっていっている。それはとても素晴らしいことなのだと、レイはたしかな気持ちを抱けるようになっていた。
 なにかを期待するような顔で尋ねられたその変化の理由について。もう半分の恩人なのだろうマナについてまで答えてしまうのは、いろいろと気恥ずかしくて口に出せなかったのだが。

 ――はじまりは些細な偶然だったろうか。
 たまたま図書室で手に取ろうとしていた本が同じで。たまたまそうやって快く本を譲ってくれた同級生と、バス停で一緒に待つことになった事があって。いつしか偶然が重なることが増えた。
 近くに住んでいるのだと帰り道を一緒にしながら、口数の少ない自分に気を悪くする様子もなく話掛けてくれるようになっていって。
 巡り合わせという、本でしか知らなかった言葉を今のレイは気に入っている。
 偶然を運命だった、必然だったとまで言い換えてしまうのは、自分本位が過ぎるように思うのだけれども。単なる偶然に過ぎないのかもしれない出会いに意味を見出したいと考える、この気持ちを彼女とも共有出来ていたらと思うのだ。

「そっかー。週末の綾波さんは、彼氏くんの予約済みかぁ」
 夕飯を一緒に食べた帰り道。レイの腕に自分のそれを絡めて、肩にこてんと可愛らしく傾けた首をマナは乗せてくる。
「じゃ、おニューの勝負下着、着けていっちゃうんだ」
「……その予定」
 勝負下着というもの。そういったお洒落の仕方に、知識としては辿り着けていたレイではあったものの、そこに年頃の女の子らしい実際的な肉付けを提供してくれたのもマナだ。
 自然な流れで、レイがデートに着けていく下着についてはマナも一緒に選んでいることが多い。
「見たいな。綾波さんの、おニューの勝負下着つけてるところ」
 自分がデートの最中などでそうしてみようとするより、よっぽど可愛らしくねだってくるマナである。断るなど思いもよらないことだった。

「……霧島さん」
 友人とともに自分の団地まで帰り、以前よりは置いている荷物が増えて賑やかになった部屋で、レイは制服を脱いで着替えていた。
 恥ずかしいわ、と訴えると。マナはぐふふふと涎を拭う真似であるらしいジェスチャーをしてみせるのである。
「なんだか、普通じゃない目付きに見えるわ」
「いやぁ、やっぱり綾波さんの白い肌に黒いランジェリーは似合いますなぁ。アダルトですわ。正直堪りません」
 女の子同士で裸を恥ずかしがるものではないというし。特別な相手であるあの少年の視線でもなければ、別にそこらの男子生徒に見られたところで何とも――とさえ考えていたレイだった。マナに下着を選んで貰うことにした時からも、何度となく目の前で着替えてみせたことはあるのだけれども。
 レイのベッドを腰掛け代わりに、やけにワクワクとしているところを隠さない友人にせっつかれて衣服を抜ぎ落としていく中、一枚ごと素肌を晒していくことに居た堪れなさのような――二の足を踏んでしまうような感情が生まれてきていたり、
「わ、綾波さんひょっとして、ちょっとおっぱい大きくなってない? やっぱり、カレシ君に揉んでもらってるからかなぁ?」
 薄っすらとレイの白磁のような肌を透かしてみせるレース生地を、ブラのカップにも上半分近く。ショーツのクロッチ部分にさえぎりぎり迫るくらい使用している下着だ。レイの身じろぎ次第では胸の先の仄かに色付いた乳輪にも気付けてしまうもので。
 相変わらず綺麗なピンク色した乳首ー、などと茶々を入れてくる声に、頬や耳朶にまで熱を覚えてしまうようになった。それは、もう彼女もまた自分にとって特別な存在だからなのだろう。
「ね、ね。此処、ここ……!」
 一通りレイに、後ろを向いて、ぐるりと回って見せて等と注文を出していたマナが満足したようで。今度はシーツをぽんぽんと叩いて自分の隣を示してくる。
「えへー。綾波さんの膝枕〜。太腿、やわっこいですねぇ。すべすべですねぇ」
 レイが傍まで来て腰を下ろすと、くてんとベッドに横になってその両腿の上に頭を載せてくる彼女だった。
 ご機嫌であれこれと頭の位置を変えてくるたび栗毛の髪がさわさわと毛先でくすぐってくるのや、太腿を撫でさすってくる手のひらがくすぐったい。
「彼氏くんにはもうしてあげた?」
 膝枕。と訊かれ、レイが素直に答えると、彼女は随分と満足そうな顔をしたものだった。
「いぇー。それじゃ、不肖この霧島マナが綾波さんの膝枕処女の相手ってことだね」
「……膝枕の?」
「そ。膝枕のはじめて、綾波さんの膝枕ショジョ」
 女の子の処女は一つだけじゃないんだよと。
 はじめてピアスの穴を開けたらピアス処女卒業、スノーボード未体験ならスノボ処女って言うんだし、だのと数え上げるように並べていく。
 その考え方がマナの独特の感覚なのか、本当に世間一般のものなのかはレイには分からないのだが。
「ほら、エッチな記事でも書いてるじゃない。はじめてお口でしてあげたらお口の処女。お尻でさせてあげたら、お尻の処女って」
 マナは女同士でもドキリとするような話題にも簡単に踏み込んでいってしまう。
「ふふ〜。綾波さんのショジョ、貰っちゃった」
「膝枕の、でしょう。……恥ずかしい言い方しないで」
「でも、頂いちゃいましたから」
 それがとても嬉しいという様子で繰り返している。親しくなっていく程にマナが見せるようになってきていた、あの少年への対抗心とも言える感情だろうか。
「……わたし」
 そんな、寄り添うよりもお互いの距離の近い時間を笑いさざめきながら過ごしている内、ぽつりとマナは口にすることがあった。
「綾波さんにだったら、処女あげちゃっても良いかな」
 ふざけ合いの中で自分も制服を脱いで、スポーティーな下着姿になった彼女と二人でベッドに寝そべりながらのことだった。
 鼻と鼻がくっつきそうなすぐ間近で覗き込んでくる瞳は、照れながらであっても冗談どまりのものではない。
 『ね?』と言ってレイの手を取り、彼女は自らの胸の膨らみにと導く。
 自分以外では知らなかった、他人の乳房の柔らかさに、レイはひどく狼狽えさせられてしまっていた。
 茶目っ気たっぷりな上目遣いでウインクをして、ちらりとスポーツブラの首元を引っ張って覗かせてくる、生地の上からもぷくりと丸く浮かんで見えていた乳首の直の姿。
「わたしたち……女同士だもの」
「いいじゃない。女の子同士のはじめて、私と交換しようよ」
 すぐ真正面にいるのに、まっすぐ顔を見ていられない。
 頬が熱くなって仕方がないレイは、忙しなく視線を逸し彷徨わせることで、どう答えれば良いのかを探そうとした。
 女同士と言ってはみたものの、本当のところでは別にそれを忌避する感覚はない。
 好意はあるのだ。この少女が望むのであればと、受け入れてしまうことに肯定的な気持ちだって間違いなく存在している。
「……あ」
 肌を擦り寄せるようにしてきたマナが、もぞと動かした太腿の付け根あたりで、レイの下腹部を刺激していた。
「彼氏クンにここ触って貰うの、気持ち良い?」
「…………」
「そっかー」
 結局の所は、そこがレイに二の足を踏ませているのだった。
 普段は青白いくらいの肌を首筋まで真っ赤にして、それでもこくんと正直に頷いてしまうところを、マナはいつも可愛い、可愛いと言ってくれる。
「わたしもエッチ、してみたいなー。綾波さんに気持ちよくして貰いたいなー」
 レイは答えられない。
 そこに、
 ――私だって、綾波さんのこと気持ち良くしてあげられるのに。
 ぽつりと半ば独り言に近くこぼす言葉は、今日のところはと引いてくれたサインで。ほっとしてしまう自分の心がレイは申し訳なかった。

 マナが本気でそれを望んでいることは、レイにも分かっているのだ。
 自分のように人付き合いの苦手な相手にでも懐に安々と踏み込んでくる、それを躊躇しない彼女が、決して強引にならないようにしてくれている。
 レイの気持ちを第一にしてくれているのが、嬉しくて、心苦しくて。やはり嬉しくて。
 ――だからだろうか。いつしか自分とマナとの関係を通し、ずるずると自分たちとの三角関係の決断を出せないまま過ごしている少年の胸の裡を、想像出来るようになっていったのは。
 マナが時折「二股クン」と呼んで恨めしそうにしているその行状を、レイはもう自分も不満を言えはしないなと考えるようになっていた。

「ああ……。ごめんなさい、霧島さん……」
 気まずくならないように明るく振る舞っていたマナが、それでも寂しそうに帰っていったのを団地の入口まで見送って。
 その晩、レイはマナを想って自慰に耽った。
 彼女の匂いの残るシーツに鼻を寄せ、瞼を閉じた裏に思い浮かべながら。
「あっ……、ぁ、ぁ……」
 居ても立ってもいられず、取っておきの下着を脱ぎ捨てて裸になり、固くなっていた胸の先をいじくった。
 マナの覗かせた乳首に性欲を覚えなかったわけではない。
 その時、衝動に駆られたままを今更に。レイは自分の乳首を指で挟み、乳暈ごと強く潰すのも構わず揉み転がして、コリコリとした感触を乱暴にすることで生まれる甘い痺れに喘いだ。
「きり、しま……さん……!」
 もう片手を太腿の付け根に挟み込み、そこをやんわりとマナが愛撫してくれた――その先を受け入れてしまっていたのなら、きっと今頃は自分のこの指ではなく、マナの指が愛してくれていたのにと。
「あっ、っッ! なかに……中を……さわって――」
 つぷりと秘唇に突き入れていき、早くも蜜にまみれていた窮屈な狭間に、中指の根元まで飲み込んでしまうように。
 レイは指をそらせて付け根の腹で入口近くを擦り、またはくねらせて指先や関節の硬い感触をあちこちに当たるようにして、性急な快楽を貪った。
 マナの指をこうして媚肉にくるんで、締め付けてみたかったのだ。
 マナの指でこうやって敏感なクレヴァスの内側を蹂躙してもらって、昂りを癒やす官能に酔わせて欲しかったのだ。
「あぁ……、あぁ……ぁ」
 静まり返った一人きりの部屋で、無骨なパイブベッドの上ではいかにもちっぽけな裸身を何度ものたうたせ、レイはぱくぱくと喘いだ。
 悦楽の声と共に舌を突き出す。
 そこには何もありはしないし、誰も居はしないのだけれども。誰かに求めるそれで、舌を突き出していく。
 彼女が求めてくれていた通りに、抱き合って、愛し合いながら、そうして深く口付けを交わしたなら――それはどんなにか素晴らしいキスだったのだろう。
「あぁ、あぁぁぁ! 霧島さん、霧島さん……ッ」
 虚空に口付けをねだり、眉根を切なくよじらせて。一人暮らしの少女の部屋に響く噛み殺したかの絶頂の声は、あっけない程早く訪れ、夜更けまで何度となくレイが疲れきるまで繰り返されたのだった。
 今度求められたならと夢見ながら、汗ばんだ肢体をシーツに投げ出してまどろみに落ちていった少女は翌日、どこか落ち着かない、気持ちの置きどころの定まらない中途半端な感覚でデートを過ごす羽目になった。
 デートの後はいつもの通りに一番の友人へと電話を掛け、話し込む。その時の方がよっぽどデート中よりも素直に微笑んでいられたような、そんな感覚さえあって。
 レイにとって今が一番幸せだと、そう思えていた日々は、やがて唐突に終わりを迎えたのだった。


◆ ◆ ◆


 霧島マナの転校。
 第3新東京市からも既に出発しているという完全な事後報告のそれを人伝いに聞いて、レイは呆然自失となって立ち尽くした。
「アイツにとっても急な話だったらしくってさ。どうしても急がなくちゃいけないから、学校に来て挨拶も出来ないって。だいぶ残念がってたよ。携帯の契約も変わるから、落ち着くまで連絡とか全部難しいって」
 あまりにも突然過ぎたこの経緯。それを彼女から託され、レイに伝えたのが相田ケンスケというまるで接点の見えてこない少年だったから、レイは我に返る前にきつい声を出してしまっていたのだった。
「……どうして?」
 なぜ、あなたなのか。
 最後の言葉が直接自分にではなくて、どうしてあなたが託されたりしなければならなかったのか、と。
 事情の説明を求めているのだというには、あまり言葉が足りていなかったそれを、クラスの女子の噂話ではけっして評判の良くないこの少年は、あっさりと理解した様子だった。
「なんでって?」
 レイの苛立ちが、逆に楽しげなようにすら見えた。
 『そりゃ、さ』と辺りを窺ってからレイの耳元に顔を近付け、そして不遜なことに、はっきり言ってきたのである。
「俺が、霧島の処女――貰ってやった男だからだよ」
「…………!?」
 嘘、と。彼女は気付けば平手を見舞っていた。
「あっぶね」
 ズレて落としかけた眼鏡を手にとって確かめ、掛け直して。また少年は癇に障るにやけ顔を向けてきた。
「ほんとだって。いや、信じられないってのは分かるよ。俺も自分ってやつを弁えてるし。アイツも、きっと本気にしないって言ってたわけだし」
 いかにも気安い間柄であるかの風で彼女のことを口に出してみせる態度がまた、レイには気に入らない。
「…………」
「睨むな、睨むなって。ちゃ〜んと証拠見せてやったから。アイツもさ、霧島も言ってたんだよ」
 レイが望むのであれば、見せてやってくれと。
「なんでもさ、お前らにとっては――。二股、される側の気持ちってやつが、重要なことだったんだろ?」
 いったい何処まで話を聞いているのか。相田ケンスケのニヤニヤ笑いは一層、いやらしいものになっていた。
「で、どうするの? そういう話の証拠だもん。エロいよ?」
 一応とばかりに確認しても、すぐにといきり立つレイだったから。頬を赤く腫れさせたまま降参だと手をあげたポーズをしてみせた少年は、そのままレイを人目に付かないところにと言って放課後の校外へ連れ出したのだった。
 新しい首都になる予定ではあるものの、元は人に利用されていない土地の方がよほど広い山間の地方都市だった。そんな面影をいまだ捨てきっていない。それが仙石原である。
 山の中腹に立つ第壱中学からの道沿いでも、斜面でまだ切り倒されていない山林が目立つ。昼間でも薄暗いぐらいの繁みが、幾らでも残されている。
 その一つに分け入っていく少年の後を、レイは着いて行った。

「これだよ。……全部じゃないんだけど、そっちは家だしさ」
 ケンスケが鞄から取り出した薄い簡易フォトブックを、レイは引ったくるようにして受け取った。
 そうして開いた一ページ目から、少女は目を大きく見開き、わなわなと震える羽目になったのだった。
「ぁ……」
 からからに乾いた声が出てしまったのも、自分では気付いていない。
 そこで、確かに。マナは、レイの一番の友人だった彼女は、見たこともないぐらいの蕩けた喜悦の貌で、少年に犯されていたのである。
「どう、して……」
 さして時間も置かない内、打ちのめされるのも二回目。
 またも呆然とするしかない少女の背中に、いつの間に近付いていた少年がぴったりと張り付いて、うなじをくすぐる程に寄せてきた唇で囁いたのだった。
「それを教えてやってくれって、アイツに頼まれたのさ」
「……ぁ、あぁ……っ?」
 ゆっくりとレイの脇から差し込まれてきた少年の両腕が、立ち尽くす彼女の胸を揉みしだいてきていた。
「おっほ、澄ました顔に似合わず意外なくらいグラマーだって聞いてたけど、こりゃ確かに。シンジのやつに揉まれて育っちゃったんだって?」
「なに、を……」
「いいから、いいから。ほら次のページも、すっげぇよ? お前の度肝を抜いてやるぐらいの写真をって霧島が言うからさぁ」
「きりしま、さんが……」
「そ。アイツの、お尻の処女喪失ってやつ」
 もう、それだけで。ケンスケの手がめくってやった次のページから赤い瞳を離せなくなってしまっていたレイは、再び言葉も出せない状態になってしまっていた。
 それをいいことに、相田ケンスケの手がぷつぷつとブラウスのボタンを外していく。
 窓を開け放つように胸のリボンのすぐ下で、ぐいと前を開かせてしまって。下着に包まれた二つの膨らみを外に取り出してしまう。
 脇の下越しに容易に鷲掴みにして。左右それぞれ大きく開いた五指の間に捕まえられる格好にされたレイの乳房を、ケンスケは遠慮なく揉みしだいていた。
 食い込ませた指でグニグニとまろやかな紡錘形を変形させ、やわい肉感を堪能していく。
「……ぅぁ、ぁ、あぁ……。ぁ……?」
 ちゃんとした別れも出来ずに友人を、或いはそれ以上だったのかもしれない少女を失ってしまったレイは、その衝撃に勝るとも劣らない更なるショックを浴びせられ、混乱の最中にいるのである。意識は機能不全に陥っているのも同然だったろうか。
 年頃の少女として当然の防衛反応をこの時まったく起こすことが出来なくなっていた――である以上は、そこにはもう繰り返した逢瀬の分だけ開発され、性感を発達させた若い少女の肉体があったというだけだ。
「あっ、ぁ、あ……。ぁあッ!? アッ」
 ブラジャーの上から小突かれたり摘まれたりと刺激されている内に、簡単に胸の先端はしこり勃っていく。
 今どんな状況で、誰にそれをされてしまっているのか。そんなことはお構いなしで。二股の分、倍はレイより経験豊富だったボーイフレンドと、そしてこの頃のレイの密やかな日課とでたっぷり、淫らに愛撫されることに味をしめていたその場所だ。そこは既に立派な官能のスイッチで、無断の狼藉も甚だしい少年に弄ばれている内、みるみる物欲しげに尖っていく乳首なのだった。
「ハッ、ハッ、ハッ、はぁぁ――!?」
「右より左のが感じるわけね。綾波も右利きだもんなぁ。ほら、お気に入りの左チクビ、グニって」
「ぁうッ!」
 フォトブックを持った手をぶるぶると震わせて、アルビノの美しい少女がわなないた悲鳴が、木漏れ日も届かない下の薄暗さに響いた。
 喘ぐレイが身を捩らせ、結果としてスカート越しにその魅力的な弾みを備えたヒップをケンスケに擦りつけてしまうものだから。そこにあの碇シンジとは別の少年の性欲が、ムクムクと勃起を膨らませていくのである。
「そろそろ、綾波の透き通ったピンクだって乳首も見せてほしいかな、って」
 自覚のないまますっかり発情させられてしまった肉体に、レイは翻弄されるばかりだ。その敏感な肉の丘を撫でたり揉んだりしながら、ケンスケはブラジャーのカップを押し下げていく。聞いていた通りの美しい乳首を露出させてしまう。
「おおぅ、CG修正無しでこんなクリアなピンクしちゃってるわけか。そりゃ霧島も羨ましがるよな」
 更にそのまま両方の胸でブラカップを剥き下ろし、完全にふるふると揺れる双丘の姿が取り出されてしまったバストを、青い静脈が透けて見えるぐらい純白の肌に感嘆しつつ激しく責め立てていく。
「あっ、あ、アアッ。や、やめ……て!」
「おっとっと、暴れない暴れない。ほらまた写真落としそうになっちゃってる。次のページは霧島のフェラ顔だよ? カメラ目線くれてるから、綾波見詰めてるみたいな感じに見えんじゃね? ほらほら、すげーンだって」
 時折に、遅まきながらの危機感がレイの大荒れの波間にあるも同然の脳裏から浮かび上がろうとする。
 しかしそれも、ケンスケが突き付けてきて目を背けることを許さないショッキングな写真と、耳元に吹き込んでくる霧島マナの名前を持ち出した卑猥な解説の前には、いかにも他愛ない。簡単にまた元通り、混乱の坩堝へ突き落とされてしまうのだった。
「あっ……アッ、はぁッ」
 ヒップの谷間に押し当てられてくる、天を突かんばかりにいきり立った肉棒の感触。追い立てられるようにレイは木立の間を歩いた。
「あぁっ」
 周囲では一際に太い幹をした一本にフォトブックを持ったまま押し付けられ、咄嗟に肘を突いて寄りかかる。そのレイの目の前には、大開きになった左右のページ、4枚の写真。様々に角度を変えてこちらを見つめる、4対のマナの瞳が。
 淫猥にヌメヌメと濡れそぼったペニスの幹に舌を絡ませ、或いは正面から亀頭に吸い付き、頬を膨らませた内側にもごもごと飲み込んでいる友人の姿が、その眼差しが、彼女の喉を詰まらせた。
「霧島――さんっ」
 それは、氷のポーカーフェイス、ケンスケたち男子生徒の前では笑顔知らずの動揺知らずだった綾波レイが上げた、心底の悲鳴。
 背後に立つ少年によってスカートを腰まで捲くり上げられ、ある種この薄暗い木陰に似つかわしい病弱そうな青白い太腿を曝け出されてしまった女の子が、発情の程度を確かめようとする手付きでショーツの船底をまさぐられている。そんな、貞操を穢される寸前ではないかという状況にまったく相応しい悲鳴であったのに。
「う、うっ……。きりしま……さん、霧島さんっ。どうして? どうして……?」
 肝心の少女自身は、ハメ撮りポルノに進んで夢中になっているとしか見えない、楽しげな友人の生本番ショットにばかり意識を持っていかれていて。
 結局は何の抵抗も出来ないまま。
「それじゃ、異議なき場合は沈黙を以って応えよ――だっけ?」
 おざなりに愛撫を施しただけで、あっさりと守られるべき蜜溝の奥からおびただしい愛液を滴らせてきた秘唇に、怒張しきった亀頭部を押し当ててきたケンスケによって、
「あぐっ。――ァ、あうっッ……!?」
「はい、これで同意の上。和姦っつーことで」
 その日までシンジにしか許さずにいた清廉なパールピンクをした粘膜が戦慄する、その狭間に。レイは大切な友人の処女を奪ったのと同じペニスをズブズブと飲み込まされてしまったのだった。
「ぁ、ああっ。ぐッ……。ンゥ゛ッ、ぅうう〜ッ……!!」
 無防備な性感帯への一大攻勢がそうさせていた、十分な潤滑に乗って。レイの慎ましやかな膣腔でもあっさりとケンスケの肉棒を最奥まで到達させてしまう。
 立ったままの姿勢で少年との結合を果たしても当然、既に破瓜の儀式を済ませたレイの秘所に痛みはなく。その代わりに、周辺よりもピンクに色付いた肉土手をひしゃげさせて嵌りこんでいる獣欲器官との隙間から、とろみのある愛液がツゥ――と内腿に伝っていっただけなのだった。
「はー。これが綾波のマンコの味かぁ。なんか反射的にぐいぐい締め付けてきてる感じなんだけど。さっすが経験アリ、サービス違うよな」
 ずんっ、と。
「……ン゛ン゛ッ」
 灰褐色の樹皮は山桜か。太い幹周りが十四歳の小柄な女の子には壁のごとくすらある。そこに縋り付いているレイの剥き出しにされた真っ白の双臀に、相田ケンスケの腰が完全な密着を果たす。
「あな、たっ……!」
 深々と膣内を串刺しにされてしまった。ここまでくれば、さすがに恨めしげな瞳が振り返り、憤りで少年を射殺そうとする。
 それでも相田ケンスケはへらりと笑って、言い放ってみせたのだった。
「霧島の依頼っつーか、心尽くしの置き土産なんだって言うからさ。堪能してくれよ? 友達なんだろ?」
「何を……!」
 何のつもりでと抗おうとするレイを、膣奥を抉ることで黙らせて。
「ほら、これで綾波も二股ってやつさ。霧島のやつが随分悦んでくれたコイツだぜ?」
「ひぅッ……!?」
 グンっと腰をしゃくるケンスケに身構えようのない奥深い繊細なところを抉られてしまえば、火花が散った様で目を白黒とさせるレイのそれ。思わずといった唇から鼻にかかって呻いたのは、膣内感覚でのアクメを覚えた女の反射的な媚態だ。
「分かって欲しいんだって、伝えてくれってアイツが言ってたわけなのよ」
「霧島さんが……。ぁ、あぅ……ぅ。な、何を、だと……いうの……!」
「俺、シンジよっか色んなこと知ってっからサ。色々してあげられるし、霧島にはしてあげたんだよな。で、霧島はすっかり俺とのセックスが大好きになっちゃって、これじゃ二股だーって言ってたの」
 『お前と』と、ケンスケはレイに向けた人差し指で、その顰めっ面になった眉間を小突いた。
「お前ら、軽くレズってたんだってな」
 揶揄してきた言葉の意味を、分からないレイではない。
 かーっと頬を羞恥に染め上げたのを、少年は楽しそうに笑ってまた腰を送り込んだ。
「んくっ、ぅぅうゥ――」
「おっ、色っぽい声出すじゃん。こっちも具合最高だぜ? 綾波、良いマンコしてるよ」
「勝手な、ことを……!」
「その最高マンコが勿体無いと思ったんだよ、霧島は。あんな優柔不断君――おいおい、俺に怒るなよ。霧島が言ってたんだから」
「あぁっ……。霧島さん、どうして……?」
「だから俺が説明してやるから。俺の言う事、霧島がお前に言いたかったことで、伝言だとでも思って聞いてくれれば良いんだから」
 今日のこのわずかな間だけで、どれだけレイはショックに打ちのめされれば良いのだろう。
 既にシンジに申し訳の立たない裏切り行為までさせられてしまって。霧島マナとの密やかな友愛すら、いけ好かない少年の知るところになってしまった。いや、話を信じるのならばマナ自身が打ち明けてしまっていた。
 ――信じていたのに。そういう、ショックもある。裏切られたという思いと、それでもまだ信じたいという想い。
 それゆえに。レイは自分を強姦した少年の言葉なぞに、耳を傾けようという姿勢を見せてしまったのだ。

「……教えて。霧島さんは、どうしてだと……貴方に?」
「そ、アイツの伝言」
 都合良く効き目のある印籠みたいな言葉だった。
 途方に暮れて涙を浮かべる美少女の耳元に、何度も何度も『アイツが言ってたんだ』と囁き込みながら、ケンスケは執拗に腰を振った。
 剥き出しのまま雑木林を抜ける風に撫ぜられる乳房をまたまさぐり、指の付け根に先端を挟んだ状態で円を描いて揉みこねる。
「ッ、っく。――っッ」
「乳首、感じるんだろう? こんなにビンビンにさせちまってるんだから。こっちも……好きに決まってるよな。やっぱ、もうビンビンにさせてたり?」
 下腹部いっぱいに詰め込まれているという感覚のある、そのほとりで鋭敏になって竦んでいたクリトリスも押さえられてしまう。
「……ぁ、あっ」
 やがて自分でもどうとも出来ない躰の反応で、レイは官能を燃え上がらせていってしまった。
「ああっ、ああっ!」
 なにを否定したくてなのか、レイが拒むように左右へ顔を振りたくるたび振り乱される銀糸のショートボブ。さらさらの前髪が散らされる陰に隠れる双眸は、悲しみと憤りの涙を浮かべていて――しかしいつしか時折には、切なげに虚ろにもなって。薄ピンクに火照りを帯びた目元に、引き攣りにも似た法悦のさざ波が過ぎることもあった。
 あの鉄面皮の綾波レイがふぅふぅと口元を荒げ、唇を噛みしめればその分鼻息の方を熱くさせてさえいる。
「あぅっ。ぅ、ぅぅン……!」
 そのことが少年からも一目瞭然の蠱惑的な発情貌を見せてしまうものだから。いよいよケンスケは手を尽して少女の全身を探り、愛撫し、遂には引きずり出すことに成功したのだった。
 喜悦を噛み殺しきれない、悩ましげな喘ぎ声を。
「ハッ、はぁぅウッ――。ンぅぅぅンンン……ッ」
 フォトブックも取り落したレイは、ひしと木の幹にしがみ付いて。ケンスケが背後から送り込むピストンの腰遣いに耐えている。
「言ってみなって、綾波。ほら、霧島のマンコを処女からドエロ女に変えてやったチンポなんだぜ? アイツもこうやって後ろからビショビショに濡らした中突かれて、エロ声上げてたんだよ。今の綾波のエロ声みたいに」
「……わたし、はっ。わたしは……そんなこと――」
「違う、違うって。霧島が訊いてるんだって、そう考えるんだよ。シンジだって綾波や惣流とセックスするの気持ち良くって、二股やめられないでいるんだろ? で、霧島も二股やめらんなくなった俺とのセックスで、綾波は今、感じてるわけ」
「わたし……。感じて……」
「な?」
 ぐちゅっ、ぐちゅっと。肉と肉がぶつかり合う音の中に、こう淫らがましい粘ついた水音が混じっていれば。彼女がこのレイプから始まった行為に快感を得ていないとは、とても言えたものではない。
「ああっ、あっ、ああっ」
 陥落寸前。その気配を嗅ぎ取るケンスケは絶好調で。折れそうなくらいに細いレイの腰を、たくし上げたスカートごと掴んで一層盛んに腰を振り立てる。
 そうやって重ねてケンスケに促される内に、遂にレイは認めたのだった。
「わたし、感じてる、わ……」
「そうだろ! 綾波は霧島と同じになったんだよ。二股して、俺のに浮気マンコずぶずぶ犯されて、イッちまいそうなくらい感じちまってるんだろ?」
 だよな!? そう怒鳴ったのも同じ大声に頷かされて、レイは『……ええ』と、『ええっ……!』と認めさせられたのだった。
「わた、わたし……っ。相田くんの、硬いのが……太くて、大きくて……。浮気マンコ、気持ちいい――のっ……!!」
 そんなことを叫んでしまう誰にも見せられない顔も、しがみ付いた木に押し当てていれば後ろの少年に見られることはない。
 それが安堵なのか、安堵してしまったからなのか、常に無い大きな声を上げてしまっていたのである。
「気持ち……いい。気持ち、良いわっ。気持ちイイ……のッ!」
 ああっと一声放って、背中をぶるぶる震わせていく。
 もはや一度認めてしまえば、相田ケンスケとの浮気行為を受け入れてしまったのも同然。
 最後には自分のことを浮気マンコ、浮気マンコ女とまで言わされてしまい。相田ケンスケに犯されて絶頂したのだと認めるまで、繰り返し執拗に陵辱され続けた。
 そんな惨めな目に遭わされた、ボーイフレンドとの交際歴四ヶ月の女の子は、
「ンぁぁ、ぁ、ああ……。い、いや……」
「ほら、手で掬って舐めてみろって。顔面シャワーで俺のザー汁まみれになったとこ、霧島に送ってやる約束なんだからさ」
 ようやく数回程度、シンジの求めに応じてフェラチオ奉仕の入り口程度をやってみたことがあるだけの唇の端に、顔中たっぷりと浴びせられた――湯気さえ出ていそうなドロドロの白濁の滴りをぬめらせて。鼻だってすすり上げる泣き顔を無理矢理に笑顔に歪ませた痛々しい美貌で、その夕方の最後に、相田ケンスケのカメラに撮影されたのだった。

 なにがあったかを雄弁に物語る、着衣を無残に乱された格好。真っ白な肌に赤く手形の跡が残された胸を丸出しにして、あちこち枯れ葉や土で汚して地面にへたり込む、美しいアルビノ少女。近くにはついさっきまで履いていたのだと思しき、丸まったショーツさえ落ちていて。壱中二年のトップ2美少女である綾波レイが、薄暗い木立の間で何者かによるレイプ被害に遭ってしまったのだと写真全体から訴えてくる、その一枚。
 それこそが、この日から幾枚も幾枚も、分厚く束を積み上げることが出来るくらいに撮影されていく、レイのティーン時代を赤裸々に収めたヌード写真アルバムの、記念すべき一枚目になるのだった。





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